JP2004224965A - コーティング組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤またはその加水分解物及び(B)金属酸化物コロイド粒子を含有してなるコーティング組成物であって、チタン酸化物を実質的に含まず、且つ当該コーティング組成物を水濃度が90重量%の水希釈液とした時のpHが4.8〜6.5であることを特徴とするコーティング組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡レンズやカメラ用レンズ等の光学基材上に機能性被膜を形成するためのコーティング組成物及び該コーティング組成物が施用された光学物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック眼鏡レンズ等のプラスチック製光学物品は、軽量であり、加工し易く、更に耐衝撃性が高い等の多くの長所を有している反面、ガラス製のものと比較すると耐擦傷性、耐溶剤性、帯電防止性、耐熱性などの点で劣っている。
【0003】
そこで、プラスチック成形体に硬質の保護コートを施すことが提案されており、シランカップリング剤を成分とする種々のコーティング組成物が提案されている。このようなコーティング組成物を用いた被膜(コート膜)の形成においては、形成される被膜が上記のような物性を改良するものであることは勿論、形成される被膜と基材との密着強度が高いこと、更には被膜形成によって干渉縞の発生による外観不良や透明性の低下が無いことが必要である。このような要求に十分応え得るコーティング組成物としては、(I)特定のシランカップリング剤および(II)2〜60nmの一次粒子径を有する金属酸化物のコロイド粒子を核として、その表面を酸性酸化物のコロイド粒子からなる被覆物で被覆して得られた粒子を含有し、且つ2〜100nmの一次粒子径を有する変性金属酸化物コロイド粒子を含有するコーティング組成物が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
開平2001−123115号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1に記載されているコーティング組成物には、形成される被膜の耐久性に問題があることが判明した。そこで、本発明は、耐擦傷性、透明性、耐熱性、耐水性、耐薬品性等に優れ、且つこれらの優れた特性が長期間使用しても良好に維持できるコーティング被膜を与えるコーティング組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、上記特許文献1に記載されているコーティング組成物によって形成された被膜が劣化する原因は、該コーティング組成物中の変性金属酸化物コロイド粒子に含まれる酸化チタンにあることを突き止め、酸化チタン成分を除去することによって耐久性を向上させることに成功した。ところが、酸化チタン成分を除去した場合にはコーティング組成物の安定性が低下し、被膜中にコロイド粒子の凝集体が含まれるようになり外観が低下するという新たな問題が発生することが明らかとなった。そこで、この問題を解決すべく更に検討を続けたところ、コロイド粒子が酸化チタン成分を含まない場合にも組成物の酸性の程度を特定の範囲とした場合には上記問題の発生が防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、(A)シランカップリング剤またはその加水分解物及び(B)金属酸化物コロイド粒子を含有してなるコーティング組成物であって、チタン酸化物成分を実質的に含まず、且つ当該コーティング組成物を水濃度が90重量量%(質量%)の水希釈液とした時のpHが4.8〜6.5であることを特徴とするコーティング組成物である。
【0008】
また、本発明は、光学基材の少なくとも一方の表面に請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコーティング組成物より形成される硬化膜を有する光学部物品をも提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のコーティング組成物中の(A)成分であるシランカップリング剤またはその加水分解物は加水分解、重縮合することにより硬化して被膜マトリックスを形成するものである。ここでシランカップリング剤とは、相互になじみの悪い無機材料と有機材料とを両者と結合させる機能を有するケイ素化合物からなる剤を意味する。当該ケイ素化合物としては、ケイ素原子に水酸基又は加水分解によって水酸基に転化し得る基及び官能基を有していてもよい有機基が結合した化合物であれば特に限定されず、例えば前記特許文献1で使用されているのと同じ下記式(1)及び/又は(2)で示されるケイ素化合物を使用することができる。これらケイ素化合物は、硬度の高い被膜(コート膜)が得られ、得られるコート膜と基材との密着性が高いという観点からの好適に使用できる。
【0010】
(R1)aSi(OR2)4−a (1)
(式中、R1は、エポキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、メルカプト基、アミノ基及びシアノ基よりなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する有機基、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基又はアルケニル基であり、R2は、アルキル基、アルコキシアルキル基又はアシル基であり、aは0〜2の整数である。)
〔(R3)bSi(OR4)3−b〕2Y (2)
(式中、R3は、アルキル基であり、R4は、アルキル基又はアシル基であり、Yは、エポキシ基を有していてもよいアルキレン基、またはエポキシ基を有していてもよい複数のアルキレン基が炭酸エステル結合を介して結合して形成される2価の有機基であり、bは0又は1である。)
なお、本発明のコーティング組成物においては、これらケイ素化合物はそのままの状態であっても部分的或いは完全に加水分解された状態であってもよく、さらには凝集粒子を形成しなければ加水分解物が縮合しオリゴマーの状態であってもよい。即ち、本発明で使用するシランカップリング剤としては、前記式(1)で示されるケイ素化合物、前記式(2)で示されるケイ素化合物、これらケイ素化合物の一方又は両方の加水分解物及びこれら加水分解物が縮合したオリゴマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するのが好適である。なお、上記有機ケイ素化合物の加水分解または加水分解及び縮合は、通常、上記の有機ケイ素化合物中に、塩酸水溶液、硫酸水溶液、酢酸水溶液等の酸性水溶液を添加し攪拌することにより行われる。
【0011】
前記式(1)においてR1は、エポキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、メルカプト基、アミノ基及びシアノ基よりなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する有機基、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基又はアルケニル基である。
【0012】
エポキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、メルカプト基、アミノ基及びシアノ基よりなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する有機基の内、好適なものとしては、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基又は当該該シクロアルキル基が結合した炭素数1〜6(但しシクロアルキル基の炭素数は除く)のアルキル基に、前記官能基が置換したもの等が挙げられる。好適な有機基を具体的に例示すれば、グリシジル基、β−グリシドキシエチル基、α−グリシドキシプロピル基、β−グリシドキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、α−グリシドキシブチル基、β−グリシドキシブチル基、γ−グリシドキシブチル基、δ−グリシドキシブチル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基等のエポキシ基を有する炭化水素基;アクリロイルオキシメチル基、β−アクリロイルオキシエチル基、β−アクリロイルオキシプロピル基、γ−アクリロイルオキシプロピル基等のアクリロイルオキシ基を有する炭化水素基;メタクリロイルオキシメチル基、β−メタクリロイルオキシエチル基、β−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基等のメタクリロイルオキシ基を有する炭化水素基;メルカプトメチル基、β−メルカプトエチル基、β−メルカプトプロピル基、γ−メルカプトプロピル基等のメルカプト基を有する炭化水素基;アミノメチル基、β−アミノエチル基、β−アミノプロピル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピル基等のアミノ基を有する炭化水素基;シアノメチル基、β−シアノエチル基、β−シアノプロピル基、γ−シアノプロピル基等のシアノ基を有する炭化水素基を挙げることができる。
【0013】
また、上記有機基以外の置換基でR1として好適なものを例示すれば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、β−ナフチル基、α―ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;β−クロロエチル基、γ−クロロプロピル基、γ−ブロモプロピル基、γ−ヨウ化プロピル基、γ−フルオロプロピル基、3,3−ジクロロプロピル基、3,3,γ−トリフルオロプロピル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;4−クロロフェニル、2,5−ジフロオロフェニル、4−ブロモフェニル等の炭素数6〜12のハロゲン化アリール基;ビニル基、アリル基、β−ブテニル基、γ−ブテニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられる。
【0014】
これらの基の中で、得られる硬化膜の基材に対する密着性が優れることから、R1は、エポキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基又はメルカプト基を有する炭化水素基であるのが好適であり、最も好ましくはエポキシ基、特にグリシドキシ基又は3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する炭化水素基であるのが好適である。
【0015】
前記式(1)におけるR2はアルキル基、アルコキシアルキル基又はアシル基である。R2として好適な基を例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシプロピル基、イソプロポキシエチル基、ブトキシメチル基等の炭素数1〜5のアルコキシアルキル基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等の炭素数1〜5のアシル基を挙げることができる。これらのうち、メチル基、エチル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基等の炭素数1〜3のアルコキシアルキル基;アセチル基、プロピオニル基等の炭素数1〜3のアシル基が特に好ましい。
【0016】
また、前記(1)において、aは0、1、又は2であるが、aによって一文市中にR1及び/又はR2が複数存在する場合、各複数のR1又はR2は夫々異なっていてもよい。
【0017】
前記式(1)で示される有機ケイ素化合物としては、好ましいものを具体的に例示すると以下の通りである。
【0018】
(i)aが0の場合
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラエトキシメトキシシラン、テトラアセトキシシラン等。
【0019】
(ii)aが1の場合
メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブチロキシシラン等のアルキル基を有する化合物;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン等のアリール基を有する化合物;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、3、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン化アルキル基を有する化合物;4−クロロフェニルトリメトキシシラン、2,5−ジフロオロフェニルトリエトキシシラン、4−ブロモフェニルトリアセトキシシラン等のハロゲン化アリール基を有する化合物;グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、αーグリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン等のグリシドキシ基を有する化合物;(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン等の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアルケニル基を有する化合物;γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基を有する化合物;γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル基を有する化合物;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基を有する化合物;β−シアノエチルトリエトキシシラン等のシアノ基を有する化合物;、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有する化合物、等。
【0020】
(iii)aが2の場合
グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン等、グリシドキシ基を有する化合物;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシドキシ基以外の置換基を含む化合物。
【0021】
前記式(2)中のR3はアルキル基であり、R4はアルキル基又はアシル基であるが、好適なこれら基としては、それぞれR2におけるの同じものが例示される。
【0022】
また、式(2)におけるYは、エポキシ基を有していてもよいアルキレン基、またはエポキシ基を有していてもよい複数のアルキレン基が炭酸エステル結合を介して結合して形成される2価の有機基である。好適なこれら基を例示すれば、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、へキシレン基、デシレン基、オクタデシレン等の炭素数1〜20、特に炭素数1〜6のアルキレン基が挙げられ;エポキシ基を有するアルキレン基としては、3,4−エポキシ−1,6−ヘキシレン基、4,5−エポキシ−1,8−オクチレン基等が挙げられ;上記2価の有機基としては、エチレンオキシカルボニルオキシエチレン基、プロピレンオキシカルボニルオキシプロピレン基等が挙げられる。得られる硬化膜の基材に対する密着性が優れることから、Yはエポキシ基を有するのが好適である。
【0023】
また、式(2)におけるbは0又は1であり、分子中に複数存在するR4は互いに異なっていてもよい。
【0024】
前記式(2)で示される有機ケイ素化合物として好ましいものを具体的に例示すると、ビス(メチルジメトキシシリル)メタン、1,2−ビス(エチルジメトキシシリル)エタン、1,3−ビス(エチルジエトキシシリル)プロパン、1,4−ビス(メチルジエトキシシリル)ブタン等のYがアルキレン基の化合物;1,6−ビス(トリエトキシシリル)−3,4−エポキシ−ヘキサン、1,6−ビス(メチルジエトキシシリル)−3,4−エポキシ−ヘキサン等のYがエポキシ基を有するアルキレン基である化合物;ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]カーボネート、ビス[3−(トリエトキシシリル)イソブチル]カーボネート、ビス[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]カーボネート、ビス[3−(メチルジメトキシシリル)イソブチル]カーボネート等のYが複数のアルキレン基が炭酸エステル結合を介して結合する基である化合物が挙げられる。
【0025】
本発明のコーティング組成物における(A)成分の配合量は、最終的に形成されるコート膜の総重量の30〜80重量%、特に40〜60重量%になるようにすることが好ましい。30重量部%未満であるとコート膜にクラックが生じることがあり、また、80重量%を超えるとコート膜の耐擦傷性が不十分となる。なお、最終的に形成されるコート膜の重量は、実質的に(B)成分の金属酸化物コロイド粒子の重量に、(A)成分が重合及び加水分解したときの重量を加えたものである。
【0026】
本発明のコーティング組成物は、得られるコート膜を硬くし、更に屈折率を調整するために金属酸化物コロイド粒子を含有するが、得られるコート膜の耐久性を高くするために当該金属酸化物コロイド粒子はチタン酸化物成分を実質的に含まない必要がある。ここで、チタン酸化物成分とは、二酸化チタン等のチタンの酸化物そのものの他、チタンと他の金属の複合酸化物におけるチタン酸化物成分をも含む概念である。また実質的に含有しないとは、不純物として不可避的に混入する量を超えて含有しないという意味であり、具体的には全金属酸化物重量を基準として1000ppm以下、好適には500ppm以下、更に好適には100ppm以下であることを意味する。チタン酸化物成分の含有量は、例えば無機コロイド粒子について電子顕微鏡を用いた元素分析により確認する事ができる。
【0027】
金属酸化物コロイド粒子がチタン酸化物成分を含有する場合には、その光触媒作用によるものと推定されるが、コート膜の耐久性が低下する。例えば、前記した特許文献1に開示されているコーティング組成物で使用されている変性金属酸化物コロイド粒子のように表面が酸化アンチモン粒子等で被覆したコロイド粒子であっても核となる粒子が成分としてチタン酸化物を含む場合には、恐らく被覆によって酸化チタンの露出を完全に抑えることができないためと思われるが、得られるコート膜の耐久性を十分に高いものとすることは困難である。
【0028】
本願発明のコーティング組成物に使用される(B)成分の金属酸化物コロイド粒子は、チタン酸化物成分を含まず、(A)成分または任意成分として含まれる水溶性有機溶媒に分散するコロイド次元の大きさの酸化物粒子であれば特に限定されない。例えば、Fe、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Ta、W、Pb、Bi及びCeから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物又は複合酸化物が使用できる。これらの金属の酸化物からなるコロイド粒子は、原子価2〜6の金属の酸化物であり、それら金属の酸化物の形態として、例えばFe2O3、CuO、ZnO、Y2O3、ZrO2、Nb2O5、MoO3、In2O3、SnO2、Ta2O5、WO3、PbO、Bi2O3等を例示することができる。
【0029】
これら金属酸化物コロイド粒子は単独で用いることも、組み合わせて用いることもできる。さらに、アンチモン等の半金属元素等と組合わせて使用することもできる。組み合わせとしては、上記金属酸化物コロイド粒子を数種類混合する方法、上記金属酸化物を複合化させる方法、又は上記金属酸化物を原子レベルで固溶体化する方法が挙げられる。例えば、SnO2粒子とWO3粒子がその界面で化学的な結合を生じて複合化されたSnO2−WO3複合コロイド粒子、SnO2粒子とZrO2粒子がその界面で化学的な結合を生じて複合化されたSnO2−ZrO2複合コロイド粒子、ZrO2とSnO2が原子レベルで固溶体を形成して得られたZrO2−SnO2複合コロイド粒子が挙げられる。さらに、金属酸化物コロイド粒子は、金属成分、さらには半金属元素等との組み合わせにより化合物として用いることもでき、例えばZnSb2O5、InSbO4、ZnSnO3が挙げられる。
【0030】
これら金属酸化物コロイド粒子の径は、安定性や硬化膜の透明性の良好さの観点から、一次粒子径としては2〜60nmであることが好ましい。ここで本発明において一次粒子径とは、粒子が単一分散またはそれに近い状態で存在している際の粒子直径のことであり、電子顕微鏡により測定された値をいう。
【0031】
本発明のコーティング組成物においては、高屈折率を有するという理由からスズ及びジルコニウムの複合酸化物からなる金属酸化物コロイド粒子、特に該金属コロイド粒子の表面を五酸化アンチモンで被覆したコロイド粒子を使用するのが好適である。
【0032】
本発明のコーティング組成物における(B)成分の含有量は、金属酸化物の種類、最終的に得られるコート膜の目的に応じて望まれる物性等に応じて適宜決定すればよく、最終的に形成されるコート膜の重量の20〜70%重量部、特に40〜60重量%であることが望ましい。金属酸化物コロイド粒子の上記基準での配合量が20%重量未満ではコート膜の耐擦傷性が不十分となり、70重量%を超えるとコート膜にクラックが生じる傾向がある。
【0033】
本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の安定性を高くするために、当該コーティング組成物を水で水濃度が90重量%となるように希釈したときの希釈液のpHが4.8〜6.5、好適には5.0〜6.3の範囲である必要がある。該希釈液のpHが上記範囲からはずれる場合には、コーティング組成物中の(B)成分のコロイド粒子が不安定になり凝集してしまい、該コーティング組成物を施用して得られるコート膜中に凝集粒子が目視で判別できるような状態で分散してしまい(いわゆるブツが見える状態となり)外観が低下する。なお、コーティング組成物に影響を与える組成物の酸性の程度を上記のような希釈液のpHで特定したのは、本発明のコーティング組成物おいて水は任意成分であり、水を含む場合においてもその量は一定していないため、酸性の程度をpHで規定するためには水の濃度を一定にする必要があるためである。
【0034】
本発明のコーティング剤の酸性の程度を上記の範囲に調製する方法は特に限定されず、酸を添加することにより好適に行なうことができる。なお、酸としては、各種の酸が使用できるが、酸の程度の調節が容易であるという理由から乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、グリコール酸等のオキシカルボン酸を使用するの好適である。なお、シランカップリング剤の加水分解物を使用する場合には、塩酸等の無機酸が使用され、このような無機酸が組成物中に少量含まれることがあるが、このような場合にもオキシカルボン酸を用いることにより酸の程度を容易に上記pH範囲に調整することが可能である。これらオキシカルボン酸の使用量は、全組成物重量を基準として0.01〜10重量%、好適には0.05〜5重量%の範囲で、組成物組成に応じてその酸性の程度が上記したようなpH範囲となるように適宜決定すればよい。
【0035】
本発明のコーティング組成物においては、(A)成分及び(B)成分以外に(A)成分のシランカップリング剤を重合させる作用を有する触媒を含有するのが好ましい。当該触媒としては、従来のコーティング組成物に使用されている公知の重合触媒が何ら制限無く使用できる。このような重合触媒を具体的に例示すれば、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸アルミニウム、過塩素酸亜鉛、過塩素酸アンモニウム等の過塩素酸塩、アルミニウムアセチルアセトネート、インジウムアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート、チタニウムアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート等の金属アセチルアセトネート、酢酸ナトリウム、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸亜鉛等の有機金属塩、塩化第二銅、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化チタン、塩化亜鉛、塩化アンチモン等のルイス酸等が挙げられ、特に過塩素酸マグネシウム、アルミニウムアセチルアセトネートが好適に使用できる。重合触媒の配合量は特に限定されないが、(A)成分100重量部に対し、0.01〜5.0重量部、特に0.1〜3.0重量部の範囲であることがより好ましい。
【0036】
本発明のコーティング組成物は、眼鏡レンズやカメラ用レンズ等の光学基材、特にプラスチック製のこれら基材の表面にハードコート膜を形成するためのコーティング剤として有用である。ここで、プラスチック素材としては、特に制限されるものではなく、ポリウレタン、チオポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエピスルフィド、アリルエステル系ポリマー等が使用できるが、コート膜により耐擦傷性が向上する効果が顕著であるという理由から特にポリウレタンであるのが好ましい。
【0037】
上記のような基材に本発明のコーティング組成物を施用してその表面にコート膜を形成する方法は特に限定されず、従来のコーティング剤を用いる場合と同様な方法が採用できる。例えば、本発明のコーティング組成物を基材に付着させる(塗布する)方法としては、ディッピング法、スピン法、スプレー法等通常行われる塗布方法が適用できる。これら方法の中でも、得られるコート膜の面精度(厚さの均一性)の点からディッピング法又はスピン法を採用するのが特に好ましい。なお、基材とコート膜との密着性等を向上させる目的で、本発明のコーティング組成物の塗布に先立ち、基材を酸、アルカリまたは各種有機溶媒による化学処理したり、プラズマ処理、紫外線照射等の処理を施したり、さらには、プライマー処理を行なうこともできる。
【0038】
また、基材上に塗布された本発明のコーティング組成物を硬化させる方法としては、熱風乾燥による方法または活性エネルギー線照射による方法等が採用できる。熱風乾燥により硬化させる場合には、コーティング組成物を塗布した基材を70〜200℃、好ましくは90〜150℃の熱風で2〜5時間程度乾燥させればよく、また、活性エネルギー線を照射する場合には例えば遠赤外線を照射すればよい。
【0039】
このようにして形成されたコート膜は基材に対する密着性も高く、耐擦傷性、透明性、耐熱性、耐水性、耐薬品性等に優れ、更にこれらの優れた特性は長期間維持される。また、更に、該コート膜上に、必要に応じてさらに、衝撃吸収膜、及び反射防止膜を積層した膜を積層することもできる。これら膜の形成は従来方と特に変わるところは無く、例えば反射防止膜の形成は、特開平2−262104号公報あるいは特開昭56−116003号公報に開示されている方法等にしたがい無機酸化物を蒸着することにより行なうことができる。また、衝撃吸収膜は、通常ポリアクリル酸系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニールアルコール系樹脂、ポリウレタン樹脂等で構成される。
【0040】
本発明のコーティング組成物は、上記したようなハードコート膜用のコーティング剤としてしてばかりではなく、高屈折率膜としての反射膜用のコーティング剤として、さらに、防曇剤、フォトクロミック化合物、防汚剤等の各種機能成分を加えることにより、多機能膜用のコーティング剤としても使用するこができる。また、本発明のコーティング組成物を施用した光学物品としては、眼鏡レンズのほか、カメラ用レンズ、自動車の窓ガラス、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどに付設する光学フィルターなどを挙げることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
なお、本実施例および比較例で得られた、硬化膜を有する光学部材は、以下に示す測定方法により諸物性を測定した。
【0043】
(1)耐擦傷性試験
ボンスタースチールウール#0000(日本スチールウール製)で硬化膜表面を1kg加重で10往復擦って傷の付きにくさを目視で5段階に分けて評価した。
【0044】
A:1cm×3cmの範囲内に全く傷がつかない。
【0045】
B:上記の範囲内に、1〜10本の傷がつく
C:上記の範囲内に、10〜100本の傷がつく
D:無数に傷があるが、平滑な表面が残っている。
【0046】
E:無数にある傷のため、平滑な表面が残っていない。
【0047】
(2)密着性試験
硬化膜に1mm間隔で、100目クロスカットし、このクロスカットした所に粘着テープ(商品名“セロテープ(登録商標)”ニチバン(株)製品)と強く貼り付けた後、粘着テープを一気に剥がし、粘着テープを剥がした後で剥離せずに残っている升目の数を調べた。100/100は全て残っていることを表し、50/100は100升目中50升が残っていることを表す。
【0048】
(3)透明性試験
硬化膜に白化による曇りがあるかどうか目視で調べた。判断基準は次の通りである。
【0049】
A:暗室、スライド光下で、曇りがほとんど観察されない
B:暗室、スライド光下で、僅かに曇りが観察される
C:室内でスライド光無照射でも、硬化膜が白化(白濁)しているのが観察される(実用に適さないレベル)
(4)外観試験
硬化膜にブツがあるかどうかを目視で調べた。判断基準は次の通りである。
【0050】
A:ブツが観察されない。
【0051】
B:ブツがわずかに観察される。(実用可能なレベル)
C:ブツが観察される。(実用に適さないレベル)
(5)耐候性試験
得られた光学部材について1ヶ月間屋外暴露を行い,暴露後の光学部材の外観試験、耐擦傷性試験、密着性試験を行った。
【0052】
実施例1
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン176重量部を撹拌しながら、0.01規定の塩酸117重量部を2時間で滴下した。滴下終了後、24時間撹拌を行い、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解物を得た。つぎに該部分加水分解物に、五酸化アンチモンで被覆された酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液(固形分濃度30.5重量%、日産化学工業(株)HXシリーズ 乳酸を用いてpH:7.0に調製したもの 一次粒子径:10〜80nm)416重量部、n−ブチルセロソルブ372重量部(固形分濃度25%となる)、更に硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート1.1重量部を順次加え、十分に撹拌した後、1μmのろ紙でろ過を行ってコーティング液を作製した。こうして得られたコーティング液のpH(純水で、水濃度が90重量%になるように希釈、以下同じ)は6.1であった。
【0053】
上記のコート液を用いて以下の要領で、それぞれ硬化塗膜を得た。即ち、10%アルカリ水溶液で前処理したキシリレンジイソシアネートとペンタエリスリトール(2−メルカプトアセテート)からなるプラスチックレンズ(屈折率nd=1.60)を充分に洗浄した後、前述した方法で作製したコーティング組成物の中に前記プラスチックレンズを浸せきさせ、ディッピング法(引上げ速度30cm/分)を行ない、さらに130℃で2時間加熱処理をして、硬化膜を形成し、前述した各種評価を行なった。評価結果を表1に示した。
【0054】
実施例2
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン176重量部を撹拌しながら、0.01規定の塩酸117重量部を2時間で滴下した。滴下終了後、24時間撹拌を行い、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解物を得た。つぎに該部分加水分解物に、五酸化アンチモンで被覆された酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液(固形分濃度30.5重量%、日産化学工業(株)HXシリーズ 乳酸を用いてpH:5.5に調製したもの 一次粒子径:10〜80nm、)416重量部、n−ブチルセロソルブ372重量部(固形分濃度25%となる)、更に硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート1.1重量部を順次加え、十分に撹拌した後、1μmのろ紙でろ過を行ってコーティング液を作製した。こうして得られたコーティング液のpH(純水で、水濃度が90質量%になるように希釈、以下同じ)は5.0であった。
【0055】
上記のコート液を用いて以下の要領で、それぞれ硬化塗膜を得た。即ち、10%アルカリ水溶液で前処理したキシリレンジイソシアネートとペンタエリスリトール(2−メルカプトアセテート)からなるプラスチックレンズ(屈折率nd=1.60)を充分に洗浄した後、前述した方法で作製したコーティング組成物の中に前記プラスチックレンズを浸せきさせ、ディッピング法(引上げ速度30cm/分)を行ない、さらに130℃で2時間加熱処理をして、硬化膜を形成し、前述した各種評価を行なった。評価結果を表1に示した。
【0056】
比較例1
実施例1において、五酸化アンチモンで被覆された酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液のかわりに五酸化アンチモンで被覆された酸化チタン−酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液を用いた以外は同様な方法で、硬化膜を形成し、前述した各種評価を行なった。評価結果をあわせて表1に示した。
【0057】
比較例2
実施例1でpH:7に調製された五酸化アンチモンで被覆された酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液のかわりにpH:8.8に調製された五酸化アンチモンで被覆された酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液を用いた以外は同様な方法で、硬化膜を形成し、前述した各種評価を行なった。pH:8.8に調製された五酸化アンチモンで被覆された酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液を用いた場合のコーティング液のpHは6.8であった。評価結果をあわせて表1に示した。
【0058】
比較例3
実施例1でpH:7に調製された五酸化アンチモンで被覆された酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液のかわりにpH:4.0に調製された五酸化アンチモンで被覆された酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液を用いた以外は同様な方法で、硬化膜を形成し、前述した各種評価を行なった。pH:4.0に調製された五酸化アンチモンで被覆された酸化ジルコニウム−酸化スズ複合酸化物コロイド粒子からなるメタノール溶液を用いた場合のコーティング液のpHは4.5であった。評価結果をあわせて表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
本発明の実施例1、2は、いずれも初期性能(耐擦傷性、密着性、透明性、外観)及び耐候性に優れるものであった。これに対して、比較例1では初期性能は良好であったものの、耐候性については密着性、透明性が大きく劣化し実用できないレベルであった。また、比較例2、3では初期性能、特に透明性、外観に問題があり実用できないレベルであった。
【0061】
【発明の効果】
本発明のコーティング組成物は安定性が高く、それによって得られる硬化膜(コート膜)は、耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、透明性、耐熱性、耐光性、耐候性、耐水性等の諸性状に優れる。さらに、コート膜のこのような優れた特性は、長期間使用しても良好に維持される。また、本発明のコーティング組成物では、硬化膜の上に形成される反射防止膜(無機酸化物やフッ化物など)、金属蒸着膜などとの接着性も良好である。したがって、本発明のコーティング組成物を使用することにより、上記のような諸性状に優れ、しかも屈折率が1.54以上の高屈折率の部材に塗工しても干渉縞の見られない高透明性で外観良好な光学部材を安定的に製造することが可能になる。
Claims (4)
- (A)シランカップリング剤またはその加水分解物及び(B)金属酸化物コロイド粒子を含有してなるコーティング組成物であって、チタン酸化物成分を実質的に含まず、且つ当該コーティング組成物を水濃度が90重量%の水希釈液とした時のpHが4.8〜6.5であることを特徴とするコーティング組成物。
- (B)金属酸化物コロイド粒子が、スズ及びジルコニウムを含む複合酸化物コロイド粒子並びに五酸化アンチモンコロイド粒子からなる請求項1に記載のコーティング組成物。
- pH調節剤としてオキシカルボン酸を含有してなる請求項1乃至請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
- 光学基材の少なくとも一方の表面に請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコーティング組成物より形成される硬化膜を有する光学部物品。
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