JP2004224867A - ポリエステル粒体の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、環状三量体含有量が極めて少ないポリエステルを効率的に得ることができる方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、平均粒径が20μm〜2000μmで、環状三量体含有量が2000ppm〜6000ppmであるポリエステル粒体を、沸点190℃以下で、炭素、酸素、水素のみからなり、エーテル結合を含まない水溶性有機溶媒で接触処理することを特徴とするポリエステル粒体の処理方法を提供することにより上記目的を達成するものである。
【選択図】 無し

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル粒体中の環状三量体の含有量を大幅に低減させることができるポリエステル粒体の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートは、優れた機械的性質及び化学的特性に加え、その優れた透明性、ガスバリア性、安全衛生性等を生かして、ボトル、シート、フィルム等として、特に食品包装分野において著しい使用量の伸びを示している。中でも、ボトル成形の際にヒートセットを施し耐熱性を向上させたボトルは果汁飲料等の加熱殺菌充填を必要とする飲料用耐熱ボトルとして伸びが特に著しい。
【0003】
一方、ポリエチレンテレフタレート樹脂の成形時、例えば上記耐熱ボトルの成形時においては、ヒートセットのための加熱金型等の成形装置が樹脂中に含有される環状三量体を主成分とするオリゴマーにより汚染され易く、得られるボトルの表面平滑性が損なわれて透明性が劣るものとなることや、金型等の成形装置の清掃頻度増大のために生産性が大幅に低下するという問題がある。このため金型の汚れにくい、環状三量体含有量が少ない樹脂が求められている。
【0004】
従来上記問題点解決のため種々提案がなされている。特許文献1にはポリエステルとハロゲン化炭化水素、エーテル類、芳香族炭化水素との接触で環状三量体の一部を除去する方法が開示されている。また特許文献2,特許文献3にはエーテル化合物、アミン化合物に接触させることでポリエステルチップ中の環状三量体を抽出する方法が、それぞれ開示されている。
【0005】
しかしながらエーテル結合を持つ化合物を使用した場合、乾燥、熱処理時に過酸化物が生成しやすいといった問題点や、窒素、ハロゲンを含有する有機溶媒を使用した場合は 乾燥、熱処理時に着色が起こりやすいと言った問題点があった。さらに、芳香族炭化水素類のような非水溶性化合物を使用した場合、乾燥、熱処理時の揮発分の回収方法として一般的に用いられる水スクラバー等による除去が困難である等の制限があった。
【0006】
さらに特許文献4には固有粘度0.4dl/g〜0.8dl/gのポリエステルペレットを、固相重合して高重合度ポリエステルを製造するに際し、固相重合の前および/または後のペレットを水もしくは沸点190℃以下の有機溶媒で洗浄、抽出処理して低アセトアルデヒド化、低ダスト化することが開示されている。ただし、特許文献4では含有環状三量体の低減を示唆する記述は一切無く、実施例では固相重合前のペレットの処理を行っており、環状三量体抽出は不十分であった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭53−86797号公報
【特許文献2】
特開平7−126368号公報
【特許文献3】
特開平7−126369号公報
【特許文献4】
特開昭55−13715号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、本発明は、環状三量体含有量が極めて少ないポリエステルを効率的に得ることができる方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題解決に当たり適切な溶媒を用い、あらかじめある程度環状三量体の含有量が低減されており、かつ小粒径のポリエステル粒体を処理することが有効であることを見出して本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は請求項1に記載するように、平均粒径20μm〜2000μm、環状三量体含有量2000ppm〜6000ppmであるポリエステル粒体を、沸点190℃以下で、炭素、酸素、水素のみからなり、エーテル結合を含まない水溶性有機溶媒で接触処理することを特徴とするポリエステル粒体の処理方法を提供する。これにより、接触処理時、熱乾燥時、形成時などに着色などの不具合がなく、環状三量体含有量が低減されたポリエステル粒体が効率的に得られる。
【0011】
上記請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載するように、接触処理されるポリエステル粒体に用いられるポリエステルの固有粘度が0.50dl/g〜1.00dl/gであることが好ましい。固有粘度が上記範囲より小さいと、本発明のポリエステル粒体を射出成形してプリフォームを得た後、ボトル形状に延伸するときに延伸ムラが出やすく、固有粘度が上記範囲より大きいと射出成形時にヒケが発生しやすいからである。
【0012】
上記請求項1または請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載するように、接触処理に用いる水溶性有機溶媒が1価のアルコールであることが好ましい。上記溶媒の条件を満たし、かつ、取扱が容易だからである。
【0013】
上記請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項4に記載するように、接触処理されるポリエステル粒体が固相重合されたものであることが好ましい。固相重合することにより、接触処理されるポリエステル粒体中の環状三量体の含有量を上記範囲とすることが比較的容易であるからである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル粒体の処理方法は、平均粒径20μm〜2000μm、環状三量体含有量2000ppm〜6000ppmであるポリエステル粒体を、沸点190℃以下で、炭素、酸素、水素のみからなり、エーテル結合を含まない水溶性有機溶媒で接触処理することを特徴とするものである。本発明によれば、環状三量体の含有量が極めて少ないポリエステル粒体を得ることができ、樹脂の形成時に形成装置が樹脂中に含有される環状三量体を主成分とするオリゴマーによる汚染を低減できるので、透明性の高い樹脂製品を高い生産性で製造できるという利点を有するものである。
【0015】
以下、本発明のポリエステル粒体の処理方法について、接触処理されるポリエステル粒体(以下、処理前ポリエステル粒体とする場合がある。)および接触処理に分けて、それぞれ詳細に説明する。
【0016】
A.処理前ポリエステル粒体
本発明における接触処理に用いられる処理前ポリエステル粒体は、ジカルボン酸類とジオール類のエステル化(又はエステル交換反応)物を重合して得られたポリエステルであって、所定の粒径を有し、かつ含有する環状三量体(ポリエステル製造の副生物)の量が所定の範囲内のものであれば特に限定されるものではない。以下、このような処理前ポリエステル粒体について、その粒径、構成するポリエステルの成分・粘度、および処理前ポリエステル粒体の製造方法について説明する。
【0017】
1.処理前ポリエステル粒体の粒径
本発明で処理される処理前ポリエステル粒体の粒径は平均粒径で示され、その下限は20μm以上、好ましくは50μm以上、さらに好ましくは80μm以上であり、上限は2000μm以下、好ましくは1800μm以下、さらに好ましくは1500μm以下である。平均粒径が上記範囲未満では粒子の飛散が起こりやすく、取扱上不都合な場合があり、平均粒径の上限が上記範囲を超えると水性有機溶媒接触処理による環状三量体抽出効率が劣る可能性があるからである。
【0018】
本発明における処理前ポリエステル粒体の粒径の調整は、粒体の製法に応じた方法により行われるものであり、さらに必要に応じてハンマーミル等により粉砕されて粒径を調整するようにしてもよい。
【0019】
2.ポリエステルの成分・粘度
本発明においては、用いられる処理前ポリエステル粒体を構成するポリエステル中に含有される環状三量体の量が所定の範囲内であることが必要である。具体的には、ポリエステル中に含有される環状三量体の量の下限が、2000ppm以上、好ましくは2500ppm以上、さらに好ましくは3000ppm以上であり、含有量の上限が6000ppm以下、好ましくは5500ppm以下、さらに好ましくは5000ppm以下である。含有される環状三量体の量が、上述した範囲未満のものは固相重合を長時間行う必要がある等、通常のポリエステルの製造方法では得にくいので適切ではなく、上記範囲を超えると顕著な環状三量体低減効果が得られないからである。
【0020】
本発明で用いられる処理前ポリエステル粒体を構成するポリエステルの固有粘度の下限は、0.50dl/g以上が好ましく、特に0.55dl/g以上、中でも0.60dl/g以上、さらに0.65dl/g以上であることが好ましい。一方、固有粘度の上限は、1.00dl/g以下が好ましく、特に0.95dl/g以下、中でも0.90dl/g以下、さらに0.85dl/g以下であることが好ましい。ポリエステルの固有粘度が上記範囲未満では、本発明のポリエステル粒体を射出成形してプリフォームを得た後、ボトル形状に延伸するときに延伸ムラが出やすく、固有粘度が1.00dl/gを超えると射出成形時にヒケが発生しやすいからである。
【0021】
本発明で用いられる処理前ポリエステル粒体を構成するポリエステルは、特に限定されるものではないが、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応を経て重縮合させることにより得られたものが好適に用いられる。具体的には、テレフタル酸が全ジカルボン酸成分の95モル%以上、好ましくは97モル%以上を占めるジカルボン酸成分と、エチレングリコールが全ジオール成分の95モル%以上好ましくは96モル%以上を占めるジオール成分との重縮合体であることが好ましい。また、これらによるエチレンテレフタレート単位が繰り返し構成単位の90モル%以上、特に94モル%以上を占めるものであることが好ましい。エチレンテレフタレート単位が上記範囲に満たない場合は、ポリエステル樹脂として機械的強度や耐熱性が劣る傾向となるからである。
【0022】
なお、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し構成単位とする上記ポリエステルプレポリマーは、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、1,4−フェニレンジオキシジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及びコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等を共重合成分として含むことができ、これらから選択して1種または2種以上を共重合成分として用いることができる。
【0023】
また、エチレングリコール以外のジオール成分として、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール等を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を共重合成分として用いることができる。
【0024】
さらに、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分等を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を共重合成分として用いることができる。
【0025】
3.処理前ポリエステル粒体の製造方法
本発明で用いられる処理前ポリエステル粒体を構成するポリエステルは、上述したような成分および粘度であればいかなる製造方法によって製造されたものであってもよいが、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応を経て、重縮合触媒の存在下に溶融重縮合させた後、平均粒径20μm〜2000μmの粒体とし、引き続いて固相重合することにより製造されるものであることが好ましい。
【0026】
このように溶融重合させた後、固相重合させることにより、得られる処理前ポリエステル粒体中の環状三量体の含有量を上述した範囲内とすることが、比較的容易にできるからである。
【0027】
このような溶融重合および固相重合の、基本的条件などはポリエステル樹脂の慣用の製造方法による。すなわち、上記テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、必要に応じて用いられる共重合成分等と共に、スラリー調製槽に投入して攪拌下に混合して原料スラリーとし、エステル化反応槽で常圧〜加圧下、加熱下で、エステル化反応させた後、得られたエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、重縮合触媒の存在下、減圧下(常圧から漸次減圧していく)、加熱下で、溶融重縮合させポリエステルプレポリマーを得る。ここでエステル化反応は、200℃〜270℃程度の温度、1×105Pa〜4×105Pa程度の圧力下でなされ、エステル化反応率を、通常90%以上、好ましくは93%以上とした後、溶融重縮合に移行させる。溶融重縮合は、重縮合触媒の存在下、好ましくは燐化合物の共存下において、240℃〜290℃程度の温度、1.33Pa〜1333Pa程度の減圧下でなされる。
【0028】
なお、これらは連続式で行われても、回分式で行われてもよい。また、エステル化反応槽、重縮合槽、及び固相重縮合装置は、それぞれ一段としても多段としてもよい。
【0029】
溶融重縮合により得られたポリエステルプレポリマーは粒状体とされるが、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に押出して、水冷しながら、もしくは水冷後、カッターで切断し、ペレット状、チップ状等の粒状体とされる。さらに必要に応じてハンマーミルなどで粉砕する。
【0030】
また、ポリエステルプレポリマーの固有粘度が0.1dl/g〜0.5dl/gのように比較的低い場合は、ストランドを水中に押し出しながらカッティングして得る方法や噴射ノズルから気相中、または液相中に粒体状に噴射して所望の平均粒径の粒体を得る方法などがある。
【0031】
この溶融重縮合後の粒状体を固相重合に供する。すなわち、通常、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、または水蒸気雰囲気下、あるいは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下において、通常60℃〜180℃程度の温度で加熱して樹脂粒状体表面を結晶化させた後、不活性ガス流通下、および/または、13.3Pa〜1333Pa程度の減圧下で、通常、樹脂の粘着温度直下の温度から樹脂の粘着温度より80℃低い温度の範囲内の温度で、粒状体同士が膠着しないように流動等させながら、通常50時間程度以下の時間で加熱処理して固相重縮合させることが好ましい。
【0032】
上記エステル化反応は触媒の非存在下で行うこともできるが、触媒として、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、またはチタン化合物等の存在下で行っても良い。これらの触媒としては、後記の重縮合触媒として挙げた公知の触媒化合物から適宜選択して使用することもできる。
【0033】
重縮合触媒としては、ポリエステルの重縮合触媒として従来慣用されている触媒が用いられ、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、メトキシアンチモン等のアンチモン化合物、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物等を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を用いることができる。あるいは、これらとさらに、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト、亜鉛等の有機酸塩等を併用することができる。
【0034】
溶融重縮合時には、上記重縮合触媒と共にリン化合物も併用できる。リン化合物としては、具体的には、例えば、正燐酸、ポリ燐酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等の燐酸エステル等の5価の燐化合物、及び、亜燐酸、次亜燐酸、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、エチルジエチルホスホノアセテート、トリフェニルホスファイト等の亜燐酸エステル、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩等の3価の燐化合物等が挙げられる。中でも、5価の燐化合物およびその燐酸エステルが好ましく、燐酸、トリメチルホスフェート、エチルアシッドホスフェートが特に好ましい。
【0035】
B.接触処理
次に、上述したような処理前ポリエステル粒体と水溶性有機溶媒とを接触処理する工程について説明する。
【0036】
1.水溶性有機溶媒
本発明における接触処理においては、水溶性有機溶媒が用いられる。水溶性であると接触処理後の熱乾燥時に揮発する溶媒を回収する際に一般的に用いられる水スクラバーなどが採用できる利点があるからである。なお、ここで水溶性とは、いかなる割合で水と混合した場合においても均一化しうることを意味する。
【0037】
このような水溶性有機溶媒は、沸点が190℃以下のものが用いられ、特に150℃以下、中でも120℃以下のものが好適に用いられる。沸点が上記範囲であれば、接触処理後の熱乾燥効率良好となるからである。なお、用いる水溶性有機溶媒の沸点の下限は特に限定されるものではないが、取扱性等の観点から通常40℃以上のものが用いられる。
【0038】
さらに、本発明で用いられる水溶性有機溶媒は、酸素、炭素、水素のみならなり、エーテル結合を持たない水溶性有機溶媒である。酸素、炭素、水素以外に窒素、ハロゲン等を含有する有機溶媒を用いると、接触処理時、熱乾燥時、成形時などに着色の原因となるからである。さらに、エーテル結合があると、接触処理時、熱乾燥時に過酸化物生成の可能性があり、安全性に問題が生じるためである。
【0039】
本発明において用いることができる水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アリルアルコール等のアルコール類、およびアセトン等のケトン類が挙げられる。本発明においては、取扱性の観点から、一価のアルコールであることが好ましく、中でもC1〜C4の低級脂肪族アルコールが好ましく、メタノールおよびエタノールを特に好ましい水溶性有機溶媒として挙げることができる。
【0040】
2.接触処理
次に、上記水溶性有機溶媒と、処理前ポリエステル粒体との接触処理について説明する。
【0041】
本発明において上記処理前ポリエステル粒体が、固相重合により製造されたものである場合は、処理前ポリエステル粒体と水溶性有機溶媒との接触処理は、固相重合後に行うことが好ましい。固相重合後に行うことにより固相重合だけでは長時間の反応が必要なため通常は到達が困難な、環状三量体含有量が極めて少ないポリエステルを容易に得ることができるからである。
【0042】
上記水溶性有機溶媒と、処理前ポリエステル粒体との接触処理方法としては、上記溶媒に上記処理前ポリエステル粒体を浸漬してもよいし、処理前ポリエステル粒体に溶媒をシャワー状に噴霧してもよい。接触処理は回分法または連続法で行うことができる。回分法の場合は溶媒の入った容器にポリエステル粒体を仕込み、攪拌または無攪拌下で処理する。連続法の場合には、例えば円筒状の容器に粒体を連続的に投入排出し、同時に交流または並流で溶媒に浸漬するか、または、円筒状容器上部より連続的に溶媒を噴霧するなどの方法がある。
【0043】
接触処理方法が浸漬の場合、溶媒/ポリエステル粒体の重量比は、下限は1以上であることが好ましく、上限は20以下であることが好ましく、特に10以下、中でも5以下であることが好ましい。ポリエステルの形状にもよるが、重量比が1未満では充分な浸漬が行えない可能性があり、上記範囲を超える場合は、溶媒の回収コストが高くなり好ましくないからである。
【0044】
また、接触処理方法が噴霧の場合は単位時間あたりの溶媒/ポリエステル粒体の重量比の下限は0.1以上、好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上であり、重量比の上限は10以下、好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。重量比が上記範囲に満たない場合は充分な抽出が行えない場合があり、上記範囲を越える場合には溶媒の回収コストが高くなり好ましくないからである。
【0045】
本発明における接触処理温度は、下限が30℃以上であることが好ましく、特に40℃以上、中でも50℃以上であることが好ましい。一方、上限は溶媒の沸点である。上記範囲に満たない温度では充分な抽出速度が期待できない場合があるからである。また、接触処理温度を上昇させるために加圧により溶媒の沸点を上昇させ、接触処理を行っても良い。
【0046】
また、接触処理時間の下限は1分以上、好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上であり、上限は20時間以下、好ましくは10時間以下、さらに好ましくは8時間以下である。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0048】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例中「部」とあるのは重量部を意味する。また、本発明における各種物性の測定法は以下に示すとおりである。
【0049】
(1)平均粒径
JISK0069に記載の方法により積算分布曲線を作成し、積算百分率が50%になるときの値を平均粒径とした。
【0050】
(2)固有粘度(IV)
フェノール/テトラクロロエタン(50/50重量比)を溶媒として、試料を加熱溶解後、室温まで冷却し、ウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定した。
【0051】
(3)環状三量体(CT)含有量
ポリエステル200mgをクロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(容量比3/2)混液2mlに溶解し、さらにクロロホルム20mlを加えて希釈した。これにメタノール10mlを加え、試料を再析出させ、濾過した後の濾液を得た。得られた濾液を乾固後、残渣をジメチルホルムアミド25mlに溶解させた液について、環状三量体含有量を液体クロマトグラフで分析定量した。
【0052】
(実施例1)
テレフタル酸およびエチレングリコールを、テレフタル酸13.0部、エチレングリコール5.82部となるようにスラリー調製槽に連続的に供給し、スラリーを調製した。該スラリーを第1段のエステル化反応槽へ18.82部となるよう連続的に供給し、略常圧下260℃で連続的にエステル化反応を行い、エステル反応率84%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体を調製した。反応物を16.68部となるよう第2段のエステル化反応槽に連続的に供給し、略常圧下255℃で連続して反応を行い、エステル反応率97.5%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびその低重合体を調製した。
【0053】
さらに、反応物を15.56部となるよう第1段の重縮合反応槽に連続的に供給し、エチルアシッドホスフェート0.000135部、酢酸マグネシウム4水塩0.000794部及びテトラブトキシチタン0.000324部を連続的に上記の調製物に加え、3kPaの減圧下280℃で連続的に重縮合反応を行い、次いで、反応物を第2段の重縮合反応槽に15.30部となるよう連続的に供給し0.5kPaの減圧下280℃で連続的に重縮合反応を行い、さらに反応物を第3段の重縮合反応槽に15.13部となるよう連続的に供給し0.2kPaの減圧下280℃で連続的に10分重縮合反応を行いポリエステルプレポリマーを得た。
【0054】
ポリエステルプレポリマーをストランドとして連続的に水中に抜き出し、ペレット化した。このときペレットは透明で実質結晶化を起こしていなかった。得られたペレットを回転式ミルにより粉砕し、平均粒径125μmのポリエステル粒体を得た。この物質の分析結果を表1のプレポリマー(固相重合原料)欄に示す。
【0055】
続いてこのポリエステル粒体1kgを金属板バット上に入れ、オーブン中において50l/分の窒素流通下、静置状態において120℃で2時間保持した後、170℃まで30分かけて昇温し、乾燥のため170℃で2時間保持した。さらに210℃まで10分かけて昇温し210℃で20時間保持し固相重合を行った。引き続き得られた固相重合後のポリエステル粒体100gをガラス容器に入れ、200gのエタノールを加え、攪拌しながら89℃で4時間接触処理を行った。処理終了後粒体を濾過し、表面を水洗した後、オーブン中160℃で2時間加熱乾燥処理を行った。乾燥後ポリエステルの固有粘度、環状三量体含有量を表1に示す。
【0056】
(実施例2)
プレポリマー粉砕物の粒径を1300μmとし、固相重合温度を220℃とした以外は実施例1と同様に操作を行った。
【0057】
(実施例3)
エタノールの代わりにメタノールを使用し、接触処理温度を68℃とした以外は実施例1と同様に操作を行った。
【0058】
(比較例1)
第3段の重縮合槽滞留時間を1時間としてプレポリマーのIVを0.56dl/gとし、プレポリマーを粉砕せずに用いた以外は実施例1と同様に操作を行った。接触処理を行ってもCTは低減しなかった。
【0059】
(比較例2)
固相重合時間を40時間とし、接触処理、乾燥操作を行わなかった以外は実施例1と同様に操作を行った。所定のCT量に到達するのに必要な時間が長く、IVも成形性が悪化するレベルまで上昇した。
【0060】
【表1】
Figure 2004224867
【0061】
【発明の効果】
本発明は、ポリエステル粒体を特定の水溶性有機溶媒で接触処理することにより環状三量体の含有量が極めて少ないポリエステルが得られるものであり、ポリエステル樹脂の成形時に、成形装置が環状三量体を主成分とするオリゴマーにより汚染されることなく、透明度の高いポリエステル樹脂製品を効率的に製造することができるといった効果を奏するものである。

Claims (4)

  1. 平均粒径が20μm〜2000μmで、環状三量体含有量が2000ppm〜6000ppmであるポリエステル粒体を、沸点190℃以下で、炭素、酸素、水素のみからなり、エーテル結合を含まない水溶性有機溶媒で接触処理することを特徴とするポリエステル粒体の処理方法。
  2. 接触処理されるポリエステル粒体に用いられるポリエステルの固有粘度が0.50dl/g〜1.00dl/gである請求項1記載のポリエステル粒体の処理方法。
  3. 接触処理に用いる水溶性有機溶媒が1価のアルコールである請求項1または請求項2に記載のポリエステル粒体の処理方法。
  4. 接触処理されるポリエステル粒体が固相重合されたものである請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載のポリエステル粒体の処理方法。
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