JP2004223514A - 水底の環境改善方法 - Google Patents
水底の環境改善方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004223514A JP2004223514A JP2004055587A JP2004055587A JP2004223514A JP 2004223514 A JP2004223514 A JP 2004223514A JP 2004055587 A JP2004055587 A JP 2004055587A JP 2004055587 A JP2004055587 A JP 2004055587A JP 2004223514 A JP2004223514 A JP 2004223514A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- slag
- laying
- water bottom
- laying material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A40/00—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
- Y02A40/80—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
- Y02A40/81—Aquaculture, e.g. of fish
Landscapes
- Artificial Fish Reefs (AREA)
- Treatment Of Sludge (AREA)
Abstract
【解決手段】 硫化水素の発生源となる、(1)水底に形成された凹部、(2)底層水中で硫化水素が検出された水域又は底層水中の溶存酸素濃度が所定値以下の水域の水底、(3)底層水の流速が所定値以下の水域の水底、(4)水中に水温又は/及び塩分濃度による密度躍層が形成された水域の水底、のいずれかに、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設することを特徴し、スラグ中に含まれるCaOにより硫化水素の発生が抑制されるとともに、水中の硫化水素や燐がスラグに固定化される結果、硫化水素の発生とこれにより引き起こされる青潮の発生が長期間に亘って安定して抑制される。
【選択図】 図1
Description
また、天然砂で覆砂する場合には、同時に砂質水底に棲息する魚介類等の棲息場の造成も兼ねて行うことがあり、また築磯効果を期待して天然砂に代えて天然石を用いる場合もある。
(1) 天然砂や天然石は特に化学的な底質・水質浄化作用を有していないため、これらを水底の凹部に敷設した場合、例えば、夏期の海水停滞期や生物の活動が活発な時期になると、ヘドロが堆積していない状態でも間隙水中において硫酸還元菌の作用により数ppm程度の硫化水素が生成してしまう。
(4) 水底に生物が棲息することにより、生物によるN、Pの固定、有機物の分解、酸素の供給等による水質浄化作用が得られるが、水底にスラグを敷設しても石灰のように板状に固化することがないため、スラグの表面や隙間に多くの生物が棲息することができ、このため生物による水質浄化作用が効果的に得られる。
(5) 上記(1)〜(4)の作用が総合的に高いレベルで得られるという面では、敷設材としては高炉水砕スラグが最も適している。特に、高炉水砕スラグを敷設した水底は性状、外観ともに砂地に近く、しかもスラグ粒子の充填間隙が比較的大きいためにスラグ粒子間の水が入れ替わりやすく、この間隙で溶存酸素濃度が確保されやすい。このため砂地に棲息する生物の棲息環境として特に優れている。さらに、高炉水砕スラグはガラス質であることから、他のスラグに較べて含有成分の溶出や水中又は底泥中の成分との反応が非常にゆっくりと進行し、このため水中のpHを急激に上昇させたり、底質・水質の改善効果が短期間で消失することがないという利点がある。
[1] 水底に形成された凹部内に、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設することを特徴とする水底の環境改善法。
[2] 底層水中で硫化水素が検出された水域又は底層水中の溶存酸素濃度が所定値以下の水域の水底に、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設することを特徴とする水底の環境改善法。
[3] 底層水の流速が所定値以下の水域の水底に、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設することを特徴とする水底の環境改善法。
[5] 水底に形成された凹部内に、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設し、該敷設材により形成される水底面の平均水深d1と凹部周囲の水底面の平均水深d0との差[d1−d0]を2m以下(但し、[d1−d0]がマイナス値の場合を含む)とすることを特徴とする水底の環境改善方法。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの環境改善方法において、敷設材が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとそれ以外の素材とからなり、該敷設材は、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとそれ以外の素材が混合された状態であるか、又は鉄鋼製造プロセスで発生するスラグが上層側、それ以外の素材が下層側になるようにして水底に敷設されることを特徴とする水底の環境改善方法。
[8] 上記[1]〜[7]のいずれかの環境改善方法において、水底に敷設された敷設材の全部又は一部が高炉水砕スラグであることを特徴とする水底の環境改善方法。
[9] 上記[8]の環境改善方法において、水底に敷設された敷設材の最上部層が、高炉水砕スラグを60mass%以上含むことを特徴とする水底の環境改善方法。
[11] 上記[1]〜[10]のいずれかの環境改善方法において、水底に敷設された敷設材の最下部層が、製鋼スラグを60mass%以上含むことを特徴とする水底の環境改善方法。
[12] 硫化水素の発生源となる水底に敷設される青潮防止材であって、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなることを特徴とする水中の環境改善用資材。
[13] 上記[12]の環境改善用資材において、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグの全部又は一部が高炉水砕スラグであることを特徴とする水中の環境改善用資材。
本発明法が適用される水域としては、港湾を含む海、河川、河口、湖沼等のいずれでもよい。
なお、凹部の定義としては、水の停滞等を考慮した場合、一般には周囲の水底面よりも2m以上深くなっている水底部を凹部としてよい。また、場合によっては、周囲の水底面よりも1m以上深くなっている水底部、或いは0.5m以上深くなっている水底部を凹部としてよい。
(a) 自然に存在する水底の凹部:このような水底の凹部は比較的面積が大きい。一般にこの種のもので本発明法の対象となる凹部は、平面的でみて最も幅が狭い部分の幅が50m以上、深さが2m以上あるような規模の凹部である。
(b) 土砂採取や浚渫等によって水底に人為的に形成された凹部:このような水底の凹部は比較的面積が小さい。一般にこの種のもので本発明法の対象となる凹部は、平面的でみて最も幅が狭い部分の幅が10m以上、深さが5m以上あるような規模の凹部である。
(c) 水底にケーソン等の構造物を設置した場所において、この構造物と水底(例えば、自然に存在する水底の凹部や、土砂採取や元々の地形により傾斜面や浅い凹部が形成されている水底)とより結果的に形成された凹部:このような水底の凹部も比較的面積が小さい。一般にこの種のもので本発明法の対象となる凹部は、平面的でみて最も幅が狭い部分の幅が10m以上、深さが2m以上あるような規模の凹部である。
ここで、底層水とは水底の近くに存在する水のことであり、一般には水の深さ方向で水底から2m以内、好ましくは1m以内の水であればよい。本発明法では、このような底層水で硫化水素が検出され、或いは測定された溶存酸素濃度が所定値以下である水域の水底に敷設材を敷設する。硫化水素の場合は、それが底層水から検出されれば、その水域の水底に敷設材を敷設する。また、溶存酸素濃度の場合は、一般に底層水の溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の10%以下であると硫酸還元菌の作用によって硫化水素が発生するおそれがあるため、溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の10%以下の水域の水底に敷設材を敷設することが好ましい。また、一般に底層水の溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の60%以下であると底棲生物の棲息に問題を生じるため、溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の60%以下の水域の水底に敷設材を敷設するようにしてもよい。
一般に底層水の流速が20cm/秒以下の水域は底層水の溶存酸素濃度や硫化水素濃度が水底の影響を強く受けるため、そのような流速の水域の水底に敷設材を敷設することが好ましい。
密度躍層が形成されたことは水中の塩分濃度及び/又は水温等を測定することにより判定することができ、密度躍層が形成されたと判定されたときは、その水域の水底に敷設材を敷設する。
以上のように本発明法において、(a)底層水中で硫化水素が検出された水域又は底層水中の溶存酸素濃度が所定値以下の水域の水底、(b)底層水の流速が所定値以下の水域の水底、(c)水中に水温又は/及び塩分濃度による密度躍層が形成された水域の水底、のいずれかを敷設材の敷設場所とする場合は、例えば、閉鎖性の高い港や湾(例えば、リアス式海岸等にある湾)等が対象とすることができる。
すなわち、これらのスラグを硫化水素の発生源となる水底に敷設される青潮防止材(水中の環境改善用資材)として用いることができる。
また、都市ゴミスラグや廃コンクリートなどは、水和処理、炭酸化処理、エージング、水和硬化、炭酸化硬化等を経たものを用いてもよい。
敷設材としてスラグとそれ以外の素材とからなるものを用いる場合、上述したようなスラグによる作用を適切に得るためには、凹部に敷設された敷設材の50mass%以上、好ましくは80mass%以上がスラグで構成されることが望ましい。また、その場合にはスラグとそれ以外の素材が混合されるか、又はスラグが上層側、それ以外の素材が下層側になるようにして凹部内に敷設されることが好ましい。これは、敷設材を水中に投入した際に、水中を降下するスラグによって先に述べたような浮泥の凝集・捕捉作用を得るためには、敷設材の投入によって浮泥が水中に巻き上げられている最中にスラグが水中を降下する必要があり、このためには少なくともスラグがスラグ以外の素材と混合した状態で水中に投入されるか、若しくは先にスラグ以外の素材が水中に投入された後、スラグが投入される必要があるからである。
まず、高炉系スラグのうち高炉水砕スラグは、先に述べたようなスラグ一般について言える化学的な底質・水質浄化作用を有しているが、特に敷設材として使用した場合に以下のような作用が得られる。
さらに、高炉水砕スラグは白色で天然砂と同様の外観を有しており、砂質域の生物が棲息するのに適した環境を提供できる利点もある。
以上のように敷設材の最上層部を所定の粒度の製鋼スラグ又は製鋼スラグを含む敷設材で構成することにより、良質な岩礁状の水底を形成させることができる。
(ホ) 敷設材として高炉徐冷スラグを用いる場合は、高炉徐冷スラグとしては、エージング処理を十分に行ったものか、或いは高炉水砕スラグ微粉末、セメント、フライアッシュ等の水和物でSの固定又は被覆処理を行ったものを用いることが望ましい。
(a) 敷設材の全部:高炉水砕スラグ
(b) 敷設材の最上部層:高炉水砕スラグ,それ以外の下部層:高炉水砕スラグ以外のスラグ及び/又はスラグ以外の素材
(c) 敷設材の最上部層:高炉水砕スラグ、それ以外の下部層:製鋼スラグ
(d) 敷設材の最上部層:高炉水砕スラグ、敷設材の中部層:スラグ以外の素材又はスラグとスラグ以外の素材との混合物、敷設材の最下部層:製鋼スラグ
(e) 敷設材の全部:製鋼スラグ
(f) 敷設材の最上部層:製鋼スラグ、それ以外の下部層:製鋼スラグ以外のスラグ及び/又はスラグ以外の素材
(g) 敷設材の最上部層:製鋼スラグ、敷設材の中部層:スラグ以外の素材又はスラグとスラグ以外の素材との混合物、敷設材の最下部層:製鋼スラグ
(1) 凹部等の水底に敷設されたスラグ中に含まれるCaOが水中に溶出することによって水中のpHが適度に高められ、この結果、硫化水素を発生させる硫酸還元菌の活動が抑制される。また、スラグに含まれるCaO、Fe2O3によって水中の硫化水素を固定化することにより、水中の硫化水素の低減化が図られる。さらに、スラグ中に含まれるCaOによって水中の燐が吸着・固定され、青潮発生等の要因の一つである水の富栄養化が抑制される。このためスラグを凹部等の水底に敷設することにより、水底の底泥からの硫化水素の発生が抑制されるとともに、敷設材上部層の間隙水中での硫化水素の発生も抑制され、さらに、スラグ粒子への硫化水素や燐の固定化作用による水質浄化作用が得られる。また、敷設材の上部層は硫化水素が少なく溶存酸素の多い状態となるため着生する生物にとって棲息し易い環境となり、生物の着生基盤としても高い機能を有することになる。
まず、従来法のように天然砂や天然石を水底の凹部1に敷設した場合(図2(a))、凹部1の内壁に敷設材2による大きな圧力Fが作用し、敷設後ある程度の期間が過ぎると、図2(b)に示すように敷設材2が凹部1の内壁を押し広げて水平方向に広がってしまう。その結果、敷設当初は周囲の水底面Bと略同レベルであった敷設材の水底面Aが沈下し、これより再び凹部1′が形成されてしまう。
また、スラグとして高炉水砕スラグを用いた場合には、先に述べた理由によりさらに水底面Aの沈下が生じにくくなる。
(4) 水底に生物が棲息することにより、生物によるN、Pの固定、有機物の分解、酸素の供給等による水質浄化作用が得られるが、水底にスラグを敷設しても石灰のように板状に固化することがないため、スラグの表面や隙間に多くの生物が棲息することができ、このため生物による水質浄化作用が効果的に得られる。
(5) また、スラグの中でも高炉水砕スラグを敷設材として用いた場合には、上記(1)〜(4)の作用効果が総合的に高いレベルで得られるとともに、他のスラグに較べて含有成分の溶出や水中又は底泥中の成分との反応が非常にゆっくりと進行するため、水中のpHを急激に上昇させたり、底質・水質の改善効果が短期間で消失することがない。このため、特に上記(1)の作用効果が長期間持続するという大きな利点がある。また、高炉水砕スラグを敷設した水底は性状、外観(白色で天然砂と同様の外観)ともに砂地に近く、しかもスラグ粒子の充填間隙が比較的大きいためにスラグ粒子間の水が入れ替わりやすく、この間隙で溶存酸素濃度が確保されやすい。このため砂地に棲息する生物の棲息環境として特に優れている。
また、製鋼スラグを敷設材として用いた場合には、特に優れた硫化水素や燐の固定化作用が得られる。
湾内の平坦な水底(砂質上に泥質が堆積した水底)に形成された直径が約30mの凹部(深掘り部分)に、高炉水砕スラグを凹部周囲の水底面との平均高低差が1m以下([d1−d0]≦1m)となるように敷設した。敷設厚みは約15mであった。
また、敷設材の敷設後、3年にわたって半年毎に敷設部水底面の直上、敷設部から50m離れた地点での水底面の直上及び敷設部から100m離れた地点での水底面の直上の各位置で水の硫化水素濃度を測定した。また、敷設してから3年後の敷設材上面レベル(水底面)の沈下量(平均値)を測定した。それらの結果を表1に示す。
湾内の平坦な水底(砂質上に泥質が堆積した水底)に形成された直径が約20mの凹部(深掘り部分)に、高炉水砕スラグ30mass%、高炉徐冷スラグ30mass%、製鋼スラグ30mass%、都市ゴミスラグ10mass%の混合物を凹部周囲の水底面との平均高低差が1m以下([d1−d0]≦1m)となるように敷設した。敷設厚みは約10mであった。
また、敷設材の敷設後、3年にわたって半年毎に敷設部水底面の直上、敷設部から50m離れた地点での水底面の直上及び敷設部から100m離れた地点での水底面の直上の各位置で水の硫化水素濃度を測定した。また、敷設してから3年後の敷設材上面レベル(水底面)の沈下量(平均値)を測定した。それらの結果を表1に示す。
湾内の平坦な水底(砂質上に泥質が堆積した水底)に形成された直径が約30mの凹部(深掘り部分)に、高炉徐冷スラグ25mass%、製鋼スラグ25mass%、都市ゴミスラグ25mass%、廃コンクリート25mass%の混合物を凹部周囲の水底面との平均高低差が1m以下([d1−d0]≦1m)となるように敷設した。敷設厚みは約15mであった。
また、敷設材の敷設後、3年にわたって半年毎に敷設部水底面の直上、敷設部から50m離れた地点での水底面の直上及び敷設部から100m離れた地点での水底面の直上の各位置で水の硫化水素濃度を測定した。また、敷設してから3年後の敷設材上面レベル(水底面)の沈下量(平均値)を測定した。それらの結果を表1に示す。
湾内の平坦な水底(砂質上に泥質が堆積した水底)に形成された直径が約40mの凹部(深掘り部分)に、海砂を凹部周囲の水底面との平均高低差が1m以下([d1−d0]≦1m)となるように敷設した。敷設厚みは約8mであった。
この敷設材の敷設による水中の懸濁の度合いを調べるため、凹部の中心部の直上水深5m地点において、上記敷設材の敷設直前の懸濁物質量と敷設材の敷設直後(30分後)の懸濁物質量をそれぞれ測定し、その差を求めた。
また、敷設材の敷設後、3年にわたって半年毎に敷設部水底面の直上、敷設部から50m離れた地点での水底面の直上及び敷設部から100m離れた地点での水底面の直上の各位置で水の硫化水素濃度を測定した。また、敷設してから3年後の敷設材上面レベル(水底面)の沈下量(平均値)を測定した。それらの結果を表1に示す。
湾内の平坦な水底(砂質上に泥質が堆積した水底)に形成された直径が約30m、深さ10mの凹部(深掘り部分)について、実施例1における敷設材の敷設時とほぼ同時期から3年にわたって半年毎に深掘部水底面の直上、深掘部から50m離れた地点での水底面の直上及び深掘部から100m離れた地点での水底面の直上の各位置で水の硫化水素濃度を測定した。その結果を表1に示す。
底層水の溶存酸素濃度が約2ppm(飽和溶解度:約7ppm)となっている水域(約400m四方の水域)の海底に高炉水砕スラグを厚さ約20cmに敷設した。1ヶ月経過後に、スラグ敷設水域の底層水の溶存酸素濃度を測定したところ約4ppmに上昇していた。
[実施例5]
底層水の硫化水素濃度が0.5〜1.2ppmとなっている水域(約1ha)の海底に高炉水砕スラグを厚さ約35cmに敷設した。1ヶ月経過後、6ヶ月経過後、1年経過後にそれぞれスラグ敷設水域の底層水の硫化水素濃度を測定(測定方法:検知管式、検出限界:0.01ppm)したが、硫化水素は検出されなかった。
底層水の流速が3cm/秒の水域(約1.5ha)の海底に高炉水砕スラグを厚さ約3mに敷設した。このスラグ敷設前とスラグを敷設してから3ヶ月経過後の底層水の水質を比較したところ、スラグ敷設前は硫化水素濃度が1.8ppm、溶存酸素濃度が0.2ppmであったのに対し、スラグを敷設してから3ヶ月経過後では硫化水素濃度が検出限界以下に、溶存酸素濃度が5ppmにそれぞれ改善された。
海水塩分濃度による密度躍層(表層水の塩分濃度:1.5%、底層水の塩分濃度:2.6%)が形成された水域(約10ha)の海底に高炉水砕スラグを厚さ約0.2mに敷設した。このスラグ敷設前とスラグを敷設してから3ヶ月経過後の底層水の水質を比較したところ、スラグ敷設前は硫化水素濃度が3ppm、溶存酸素濃度が0.1ppmであったのに対し、スラグを敷設してから3ヶ月経過後では硫化水素濃度が検出限界以下に、溶存酸素濃度が3ppmにそれぞれ改善され、また、高炉水砕スラグの敷設により水底が浅くなったため、底層水の塩分濃度も2.3%まで低下した。
海水温による密度躍層(表層水の水温:24℃、底層水の水温:14℃)が形成された水域(約0.5ha)の海底に高炉水砕スラグを厚さ約3mに敷設した。このスラグ敷設前とスラグを敷設してから6ヶ月経過後の底層水の水質を比較したところ、スラグ敷設前は硫化水素濃度が0.8ppm、溶存酸素濃度が0.3ppmであったのに対し、スラグを敷設してから6ヶ月経過後では硫化水素濃度が検出限界以下に、溶存酸素濃度が4ppmにそれぞれ改善され、また、高炉水砕スラグの敷設により水底が浅くなったため、底層水の水温も16℃まで上昇した。
2 敷設材
20 スラグ
20a 高炉水砕スラグ
20b 高炉水砕スラグ以外のスラグ
21 スラグ以外の素材
3 ケーソン
A、B 水底面
Claims (13)
- 水底に形成された凹部内に、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設することを特徴とする水底の環境改善法。
- 底層水中で硫化水素が検出された水域又は底層水中の溶存酸素濃度が所定値以下の水域の水底に、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設することを特徴とする水底の環境改善法。
- 底層水の流速が所定値以下の水域の水底に、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設することを特徴とする水底の環境改善法。
- 水中に水温又は/及び塩分濃度による密度躍層が形成された水域の水底に、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設することを特徴とする水底の環境改善方法。
- 水底に形成された凹部内に、全部又は一部が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなる敷設材を敷設し、該敷設材により形成される水底面の平均水深d1と凹部周囲の水底面の平均水深d0との差[d1−d0]を2m以下(但し、[d1−d0]がマイナス値の場合を含む)とすることを特徴とする水底の環境改善方法。
- 敷設材が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとそれ以外の素材とからなり、該敷設材は、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとそれ以外の素材が混合された状態であるか、又は鉄鋼製造プロセスで発生するスラグが上層側、それ以外の素材が下層側になるようにして水底に敷設されることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の水底の環境改善方法。
- 水底に敷設された敷設材の50mass%以上が鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の水底の環境改善方法。
- 水底に敷設された敷設材の全部又は一部が高炉水砕スラグであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の水底の環境改善方法。
- 水底に敷設された敷設材の最上部層が、高炉水砕スラグを60mass%以上含むことを特徴とする請求項8に記載の水底の環境改善方法。
- 水底に敷設された敷設材の最上部層が、粒径10mm以上の製鋼スラグを50mass%以上含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9に記載の水底の環境改善方法。
- 水底に敷設された敷設材の最下部層が、製鋼スラグを60mass%以上含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10に記載の水底の環境改善方法。
- 硫化水素の発生源となる水底に敷設される青潮防止材であって、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグからなることを特徴とする水中の環境改善用資材。
- 鉄鋼製造プロセスで発生するスラグの全部又は一部が高炉水砕スラグであることを特徴とする請求項12に記載の水中の環境改善用資材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004055587A JP4997687B2 (ja) | 2001-03-21 | 2004-02-27 | 水底の環境改善方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001080546 | 2001-03-21 | ||
JP2001080546 | 2001-03-21 | ||
JP2004055587A JP4997687B2 (ja) | 2001-03-21 | 2004-02-27 | 水底の環境改善方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002080611A Division JP3650934B2 (ja) | 2001-03-21 | 2002-03-22 | 水底の環境改善方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004223514A true JP2004223514A (ja) | 2004-08-12 |
JP4997687B2 JP4997687B2 (ja) | 2012-08-08 |
Family
ID=32910689
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004055587A Expired - Lifetime JP4997687B2 (ja) | 2001-03-21 | 2004-02-27 | 水底の環境改善方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4997687B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008132416A (ja) * | 2006-11-28 | 2008-06-12 | Stem:Kk | 人工水底窪地を原因とする青潮発生の抑制方法 |
JP2009030366A (ja) * | 2007-07-27 | 2009-02-12 | Toyo Constr Co Ltd | 水底窪地埋戻し工法 |
WO2010073680A1 (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-01 | 新日本製鐵株式会社 | 水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法 |
JP2017087085A (ja) * | 2015-11-02 | 2017-05-25 | 宍道湖漁業協同組合 | 湖底部又は湾底部で発生する硫化水素の無害化方法、及びそのシステム |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54149209A (en) * | 1978-05-15 | 1979-11-22 | Nippon Kokan Kk | Soil improving method of waterrbottom ground |
JPS565032A (en) * | 1979-06-27 | 1981-01-20 | Kei Ai Do Yuugen | Utilization of steel making slag to artificial shore |
JPH04215900A (ja) * | 1990-12-14 | 1992-08-06 | Okutama Kogyo Kk | 底質の覆砂法 |
JPH05345187A (ja) * | 1992-06-11 | 1993-12-27 | Nippon Solid Co Ltd | 環境浄化材 |
JP2000078938A (ja) * | 1998-09-04 | 2000-03-21 | Nkk Corp | 底質・海水の浄化材および浄化法 |
JP2001047095A (ja) * | 1999-08-18 | 2001-02-20 | Tokyo Jimu Service Kk | ヘドロ水底の脱リン・脱窒素・脱アンモニア装置 |
-
2004
- 2004-02-27 JP JP2004055587A patent/JP4997687B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54149209A (en) * | 1978-05-15 | 1979-11-22 | Nippon Kokan Kk | Soil improving method of waterrbottom ground |
JPS565032A (en) * | 1979-06-27 | 1981-01-20 | Kei Ai Do Yuugen | Utilization of steel making slag to artificial shore |
JPH04215900A (ja) * | 1990-12-14 | 1992-08-06 | Okutama Kogyo Kk | 底質の覆砂法 |
JPH05345187A (ja) * | 1992-06-11 | 1993-12-27 | Nippon Solid Co Ltd | 環境浄化材 |
JP2000078938A (ja) * | 1998-09-04 | 2000-03-21 | Nkk Corp | 底質・海水の浄化材および浄化法 |
JP2001047095A (ja) * | 1999-08-18 | 2001-02-20 | Tokyo Jimu Service Kk | ヘドロ水底の脱リン・脱窒素・脱アンモニア装置 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008132416A (ja) * | 2006-11-28 | 2008-06-12 | Stem:Kk | 人工水底窪地を原因とする青潮発生の抑制方法 |
JP2009030366A (ja) * | 2007-07-27 | 2009-02-12 | Toyo Constr Co Ltd | 水底窪地埋戻し工法 |
WO2010073680A1 (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-01 | 新日本製鐵株式会社 | 水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法 |
JP4938136B2 (ja) * | 2008-12-25 | 2012-05-23 | 新日本製鐵株式会社 | 水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法 |
JP2017087085A (ja) * | 2015-11-02 | 2017-05-25 | 宍道湖漁業協同組合 | 湖底部又は湾底部で発生する硫化水素の無害化方法、及びそのシステム |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4997687B2 (ja) | 2012-08-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4719316B2 (ja) | 浚渫窪地の埋め戻し方法 | |
JP4736449B2 (ja) | 浅場等の造成方法 | |
JP5070667B2 (ja) | 水中の環境改善方法 | |
JP2000157094A (ja) | 水中沈設用石材及びその製造方法 | |
JP4736443B2 (ja) | 浅場等の造成方法 | |
JP2007063923A (ja) | 水底の覆砂構造及び覆砂方法 | |
JP4736444B2 (ja) | 浅場等の造成方法 | |
JP2000139268A (ja) | 藻場増殖促進型漁礁 | |
JP4867183B2 (ja) | 底質土の覆砂構造および覆砂方法 | |
JP3729160B2 (ja) | 水中又は水浜の環境改善方法及び環境改善用資材 | |
JP4872275B2 (ja) | 水底の覆砂方法 | |
JP2004223514A (ja) | 水底の環境改善方法 | |
JP2003286711A (ja) | 水底の環境改善方法 | |
JP2004236546A (ja) | 水中又は水浜の環境改善方法 | |
JP5742477B2 (ja) | 浚渫窪地の埋め戻し方法 | |
JP3617405B2 (ja) | 水底構造および底質・水質浄化法 | |
JP3650934B2 (ja) | 水底の環境改善方法 | |
JP2012193223A (ja) | 水底堆積土の処理方法 | |
JP4736448B2 (ja) | 浅場等の造成方法 | |
JP4084681B2 (ja) | 覆砂構造および覆砂工法 | |
JP2004000104A (ja) | 水中又は水浜の環境改善方法 | |
JP2003253642A (ja) | 水中構造体の設置方法及び水中構造体用ブロック | |
JP4069056B2 (ja) | 干潟、浅場用水域環境修復材料 | |
JP2003026456A (ja) | 港湾工事用製鋼スラグ | |
JP2003158946A (ja) | 水中又は水浜の環境改善方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050207 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090203 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090406 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100406 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110607 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110906 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111018 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20111021 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111220 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120216 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120417 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120430 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4997687 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150525 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |