JP4938136B2 - 水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は、海域、湖沼、河川、運河、堀、排水路、排水ピットなどの有機物で汚濁が進んだ水域の底質から発生する溶存態硫化物の水中への溶出を長期間安定して抑制する方法に関する。
本願は、2008年12月25日に、日本に出願された特願2008−329436号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
まず、海域を例として背景技術を説明する。
海域で発生する「青潮」とは、海水が白濁して青白色に見える現象である。海水白色化の原因物質は、海域底層で発生した硫化水素(HS)と溶存酸素(DO:Dissolved Oxygen)との接触により生成した単体硫黄である。このような「青潮」は、溶存酸素をほとんど含まないため、魚介類に甚大な影響を及ぼす。近年、東京湾や瀬戸内海などでは海砂を採取した後の大規模な窪地から硫化水素(HS)が大量に発生し、青潮の原因となっているとの指摘がなされている。
海域での硫化水素は、海水に含まれる硫酸イオン(SO 2−)の「硫酸還元反応」によって生じる。以下に、「硫酸還元反応」について簡単に説明する。一般に有機成分の多い底質は、嫌気的条件、換言すれば、DOが無い状態にある。このような嫌気性環境下では、嫌気性微生物が、「有機物」と「酸素以外の酸化剤」との酸化還元反応系を支配している。酸化力が最も強い成分であるDOが消失すると、以下のような酸化剤が順次使用され、酸化還元反応が進行する。すなわち、硝酸イオン(NO )、二酸化マンガン(MnO)、水酸化第二鉄(Fe(OH))、硫酸イオン(SO 2−)が酸化剤として順次使用され、極端な条件では二酸化炭素(CO)でさえも酸化剤となる。さらに、それぞれの酸化剤との酸化還元反応の速度は、異なる種類の嫌気性微生物によって支配されている。また、高次の酸化剤の枯渇に伴い、系全体の酸化還元電位(ORP:Oxidation-Reduction Potential)も低下していく。
嫌気性微生物の中で、硫酸還元菌(SRB:Sulfate Reducing Bacteria)は、酸化剤として硫酸イオン(SO 2−)を用い有機物を酸化する細菌群の総称である。海水中には、表1に示すように硫酸イオン(SO 2−)が28mM(2.7g/l、SO 2−、すなわち、Sとして930mg/l)と多く存在する。このため、海域底質に有機物が十分に存在し、また、SO 2−よりも高次の酸化剤がなくなる環境条件が整えば、図1に示すように硫酸還元菌(SRB)が活性化し、(1)式のような硫酸還元反応が容易に進行する。硫酸イオン(SO 2−)は、有機物(CHO)によって還元され、この結果、硫化水素(HS)が生成する。
SO 2−+2CHO+2H+=HS+2HO+2CO (1)
さらに、このようにして、底質において生成し海水中に溶出した硫化水素(HS)の存在形態は、以下のようにpHによって支配される。
[H][HS]/[HS(g)] =10−7 (2)
[H][S2−]/[HS]=10−13 (3)
ここで、[H]、[HS]、[S2−]、[HS(g)]は、それぞれ、海水(水)中のH、HS、S2−、HS(g)のモル濃度(mol/l)を示す。
また、水中の全硫化物濃度は、以下のように整理される。全硫化物の濃度は、懸濁態硫化物(FeS、MnSなど)の濃度と溶存態硫化物の濃度との和である。ここで、溶存態硫化物は、溶解した硫化水素HS(g)と、硫化物イオンS2−と、水硫化物イオンHSで構成される。通常の海水のpHでは、硫化物イオンS2−が不安定であるため、硫化物イオン濃度[S2−]は、無視できる。したがって、溶存態硫化物の濃度は、溶解した硫化水素濃度[HS(g)]と水硫化物イオン濃度[HS]との和である。
溶存態硫化物の中で最も毒性が強いとされる遊離態の硫化水素[HS(g)]の存在割合は、pHが7以下では50%以上であるが、pHが8を超えると10%以下まで下がる(図2参照)。一方、pHが7〜13の領域では溶存態の硫化物イオン[HS]の存在割合が最も高い。通常、海水のpHは、8〜8.5程度であるため、溶存態硫化物の大半が水硫化物イオン[HS]として存在すると考えられる。
底質の腐敗が進むと有機酸が生成しpHが低下しやすい。そのため、溶存態硫化物の中で、毒性が強いとされる遊離態の硫化水素[HS(g)]の存在割合が増大する。さらに、このような場合、水中の遊離態の硫化水素[HS(g)]は、空気中に揮散しやすいため、異臭の原因にもなる。
また、溶存態硫化物の中で、硫化水素濃度[HS(g)] と水硫化物イオン濃度[HS]とを区別する必要がある場合には、水中のpH値を測定することにより、(2)式からそれぞれの値を容易に推定できる。なお、参考のために、表1に海水中の主要成分(陽イオン及び陰イオン)とアルカリ度とを示す。
Figure 0004938136
海域に限らず、河川、湖沼、運河、堀、排水路、排水ピットなどの淡水域でも硫酸イオン(SO 2−)が10〜50mg/l程度含まれている。そのため、硫酸還元反応が進行すれば、海水と比較して低い濃度であるが、硫化水素HSを含む硫化物が生成する。本発明を適用する「水域の底質」とは、海域、河川、湖沼、運河、堀、排水路、排水ピットなど硫酸イオン(SO 2−)を含む水域の底部を指す。
これらの水域での底質からの溶存態硫化物の溶出を抑制する技術として、以下のような方法が公知である。
1)底質の浚渫
2)曝気による酸素供給
3)底質の被覆
底質の浚渫は、汚染源としての底質を海域や湖沼から取り除く方法であり、環境改善対策として広く実施されている。しかし、浚渫された土砂が重金属や各種の有害な有機塩素化合物などで広く汚染されていた場合、汚染対策が必要となり、浚渫した土砂の処分方法が課題となる。また、底質の浚渫は、すでに浚渫された窪地などには適用できない。
曝気による酸素供給は、極めて小規模な湖沼域や堀などに適した方法である。しかしながら、曝気による酸素供給を大規模な湖沼や海域に適用することは、現実的には困難である。
底質の被覆は、底質を良質な砂や粘土などの被覆材によって被覆する方法で、一般に覆砂と呼ばれる。良質な被覆材が容易に手にはいる場合には、海底近傍でのDO消費量を減少させ、貧酸素水塊の形成を抑制するのに非常に有効な方法であると報告されている(非特許文献1)。また、鉄鋼生産に伴い、副生する高炉スラグ、製鋼スラグを被覆材として用いると硫化水素の溶出抑制効果を持つとの報告もなされている。この溶出抑制効果は、主としてスラグの吸着効果によると報告されている(非特許文献2、特許文献1)。
特開2004−223514号公報 特開2003−286711号公報 特開2005−47789号公報
三河湾での覆砂による底質浄化の環境に及ぼす効果の現地実験、堀江毅ほか、土木学会論文集、No.553II−34、p225−235、1996 鉄鋼スラグ散布による沿岸海域底泥からの硫化物の溶出抑制とアンモニア性窒素の溶出の検討、伊藤一明ほか、水環境学会誌、Vol.20、No.10、p670−673
これまでに提案・実施されてきた海域底質からの溶存態硫化物の溶出抑制技術は、以下のような課題を有している。
1)底質の浚渫
底質の浚渫は、底質環境の改善に有効な方法である。しかしながら、底質が重金属などの物質で大規模に汚染されている場合、浚渫された土砂の2次処理に膨大な費用がかかり、その処分先の問題が生じる。したがって、今後は、汚染の程度が小さい底質の改善に限られると思われる。
2)曝気による酸素供給
強力な酸化剤である酸素を水中に供給する曝気による酸素供給も、小規模な湖沼域、堀、運河、排水路、排水ピットに適した方法であり、広大な海域、河川、湖沼に適用することは、実際的には困難である。この曝気による酸素供給は、ランニングコストの面からも課題がある。
3)底質の被覆
結局のところ、底質を天然砂や粘土などの良質な被覆材によって被覆し、底質からの溶存態硫化物の溶出を抑制する方法が最も経済的で効果的ではないかと考えられる。しかし、実際には、良質で安全性の高い砂などは枯渇しつつあり、大量入手が困難になりつつある。砂にかわる良質な被覆材として、鉄鋼生産に伴い副生する製鋼スラグが考えられる。製鋼スラグは、底質での溶存態硫化物の発生を抑制し、富栄養化の原因となるりんの固定化作用がある(特許文献2)。
しかし、本発明者らが検討したところ、従来用いられているような被覆材による方法では、溶存態硫化物の発生の抑制には課題があると考えられる。例えば、製鋼スラグによって底質から発生した溶存態硫化物が除去されるメカニズムは、以下のように推定されている。
・スラグ表面でCaSとして吸着除去
Ca2++HS=CaS↓+H (4)
・スラグから溶出したFe2+による硫化鉄(FeS)生成による除去
Fe2++HS=FeS↓+H (5)
しかし、(4)式のCaSは、表2に示すように溶解度も比較的高いため、硫化物除去効果がどの程度あるかは不明点が多い。なお、表2には、水に対する硫化カルシウムの溶解度のデータの一例を示す。
Figure 0004938136
又、(5)式のFeSは、公知の通り溶解度が極めて小さいため、明らかに溶存態硫化物発生の抑制効果があると思われる。製鋼スラグ中の鉄は、多くが酸化第一鉄(FeO)や酸化第二鉄(Fe)のような酸化物として存在する。これらの酸化物から鉄イオンが溶出しにくい(酸化物の溶解度が小さい)ため、スラグからのFe2+の溶出速度には限界がある。汚濁が進んだ海域底質のように溶存態硫化物の発生量が急速に大きくなる場合などには、(5)式の平衡反応のバランスがくずれ、溶存態硫化物の発生を抑制する効果が小さくなることも推定される。したがって、汚濁が進んだ底質の場合、製鋼スラグ単独では、硫化水素の発生を抑制するために必要とされる製鋼スラグ量がかなり大きくなることも推定される。
また、従来の溶存態硫化物の溶出抑制方法は、pH制御の視点が全く欠けている。(4)、(5)式に示すように、溶存態硫化物の中でもHSイオンが反応しており、HS(g)は、直接反応に寄与していない。先にも述べたように、pHが低くなると、溶存態硫化物としてHS(g)の存在割合が増加する。すなわち、HS(g)の存在割合は、pHが7では50%であるが、pHが8では10%弱になり、pHが9では1%弱となる。逆に、pHを上昇させるに従い、HSイオンの割合が増大する。底質の嫌気化が顕著に進み、有機酸が生成すると、底質のpHが徐々に低下し、硫化水素[HS(g)]の割合が増加する(図2参照)。特に、pHが6未満になると硫化水素[HS(g)]の割合がほぼ100%となる。この場合、(5)式に示すような反応の速度や割合が低下し、溶存態硫化物の溶出抑制効果が小さくなると推定される。したがって、溶存態硫化物の発生を長期的に抑制する観点から、長期的にpHを少なくとも6以上、可能であれば7以上に維持することが非常に重要である。従来法では、このようなpH制御の重要性が軽視されていると考えられる。
本発明は、底質からの溶存態硫化物の溶出を抑制する覆砂法のこれまでの課題を解決し、溶存態硫化物の溶出をより確実に、しかも、長期的に抑制する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため検討を重ねた結果、以下の方法により、底質からの水中への溶存態硫化物の溶出を抑制する覆砂法のこれまでの課題を解決し、溶存態硫化物の溶出を確実に長期的に抑制することに成功した。本発明の要旨は、次の(1)〜()である。
(1)水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法では、水酸化第二鉄含有スラッジとして、製鉄所の酸洗工程またはめっき工程から発生する排水を前記排水中の2価鉄イオンが3価鉄イオンになるように1〜3のpHで酸化処理し、その後、アルカリ剤を用いてpHを4〜6に上昇させることによって得られる水酸化第二鉄含有スラッジとアルカリ供給材とを、水域の底質上に被覆材として投入して、底質直上水のpHを6〜9の範囲に維持する。
)上記()に記載の水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法では、前記アルカリ供給材として、製鋼スラグを用いてもよい。
)上記()に記載の水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法では、前記アルカリ供給材として、炭酸化処置を施した製鋼スラグを用いてもよい。
)上記(1)に記載の水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法では、前記水域の底質上に前記被覆材を投入した後、前記被覆材の直上水中の溶存酸素濃度をモニタリングし、前記溶存酸素濃度が2mg/l以下に低下した場合に、更に、前記被覆材を前記水域の底質に投入してもよい。

本発明により、水域の底質からの溶存態硫化物の溶出を長期的に確実に抑制することができる。
SRB(硫酸還元菌)による硫酸イオンの還元機構を示す図である。 pHと溶存態硫化物の存在割合との関係を示す図である。 水酸化第二鉄含有スラッジの添加率と溶存態硫化物の濃度との関係を示す図である。 製鋼スラグを投入した場合の水酸化第二鉄含有スラッジの添加率と溶存態硫化物の濃度との関係を示す図である。 海域における溶存酸素濃度のモニタリング方法を示す図である。
本発明は、海域、湖沼、河川、運河、堀、排水路、排水ピットなどの水域の底質から水中への溶存態硫化物の溶出を抑制するために、底質の被覆材として水酸化第二鉄(3価鉄の水酸化物)含有スラッジを用いる底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法である。さらに、底質のpHが極端に低下する場合には、水酸化第二鉄含有スラッジとともに底質のpHをアルカリ側へと適切に調整するためのアルカリ供給材を底質に用いる。
なお、本発明の方法が適用される水域は、上記の例に制限されず、溶存態硫化物の溶出が問題となるようないずれの場所でもよい。
海域、湖沼、河川、運河などの比較的大規模な環境域の底質を被覆材で被覆する場合には、通常、船を用い、船上から溶存態硫化物の溶出を抑制するために必要とされる量の水酸化第二鉄含有スラッジ、あるいは、水酸化第二鉄含有スラッジとアルカリ供給材との混合物を供給する。底質のpHを適切に調整するためのアルカリ供給材は、船上等で水酸化第二鉄含有スラッジと混合され、攪拌されて使用される。
図1に示すように、底質の有機物量がSRBによる硫酸還元反応を支配している。そのため、下記実施例1〜3に示すように、水酸化第二鉄含有スラッジを対象の底質に投入するバッチ実験を実施して、被覆材としての水酸化第二鉄含有スラッジの必要量を確認することが望ましい。すなわち、事前に対象となる水域において、対象とすべき底質の量(例えば、有機物量の観点から、底質のCODが10mgCOD/g・乾泥を超過するような底質の量)を把握しておく。さらに、この底質を用いたバッチ実験を実施し、水酸化第二鉄含有スラッジの必要量を把握しておく。このバッチ実験の結果から、底質に投入する水酸化第二鉄含有スラッジの必要量を決めて投入すればよい。ここで、化学的酸素要求量COD(Chemical Oxygen Demand)は、有機物や還元性無機物を酸化するために必要とされる酸素量であり、汚濁の程度の指標となる。
さらに、小規模な運河、堀、排水路、排水ピットのような水域の場合には、水酸化第二鉄含有スラッジを単独、あるいは、アルカリ供給材と混合して、20kg程度ずつ袋に充填し、泥が堆積しやすいような底質上に設置すればよい。この場合にも、事前に対象となる水域において、対象とすべき底質の量(例えば、有機物量の観点から、CODが10mg/g・乾泥を超過するような底質の量)を把握しておく。さらに、この底質を用いた下記実施例1〜3に示すようなバッチ実験を実施し、溶存態硫化物の抑制に必要な水酸化第二鉄含有スラッジ量を把握しておくことが望ましい。
次に、水酸化第二鉄含有スラッジによる底質からの溶存態硫化物の溶出抑制機構について説明する。
まず、3価鉄イオン(Fe3+)は、硫化物イオン(HS)と下記(6)式のように反応し、2価鉄イオン(Fe2+)と不溶性の硫黄とを生成する。続いて、生成した2価鉄イオン(Fe2+)は、さらに、硫化物イオン(HS)と下記(7)式のように反応し、黒色の硫化鉄を生成、沈殿させる。
このように3価鉄イオン(Fe3+)は、結果的には、下記(8)式のように硫化物イオン(HS)を除去できるため、2価鉄イオン(Fe2+)よりも、50%程度、効率的に硫化物イオン(HS)を除去できると思われる。したがって、3価鉄イオン(Fe3+)を供給できる被覆材がより望ましい。
2Fe3++HS=2Fe2++S↓+H (6)
Fe2++HS=FeS↓+H (7)
2Fe3++3HS=2FeS↓+S↓+3H (8)
また、上記(6)〜(8)の反応を継続的に推進させるためには、pHが重要な要因である。すなわち、底質からの溶存態硫化物の生成を長期的に安定して抑制するためには、3価鉄イオン(Fe3+)とともに、OHなどのアルカリを継続的に供給し、溶存態硫化物を硫化水素[HS(g)]ではなく、水硫化物イオン(HS)の状態に長期的に維持し続けることが重要となる。図2に示すように、pHを7以上に保てば、溶存態硫化物は、硫化物イオン(HS)の状態で50%程度存在する。pHが6以上では、溶存態硫化物は、水硫化物イオン(HS)の状態で10%程度存在する。したがって、上記(6)〜(8)の反応を進めるためには、少なくとも水中のpHを6以上、可能であれば7以上に維持することが望ましい。さらに、水域のpHを8〜9と高めに維持することができれば、空気中への硫化水素[HS(g)]の発散を抑制できるため、硫化水素臭の発生を抑制することができる。このようにpHを維持するためには、後述するような水域へのアルカリ供給材の投入が好適である。特に、少なくとも被覆材の周辺において、3価鉄イオン(Fe3+)と溶存態硫化物とがpH6以上、好ましくは7以上、より好ましくは8〜9の範囲で反応できるようにアルカリ供給材を投入するのがよい。
このような3価鉄イオン(Fe3+)の供給材としては塩化第二鉄(FeCl)、硫酸第二鉄(Fe(SO)などの薬品が容易に考えられる。しかし、これらの薬品は、短期的効果は期待されるが、一気に水中に溶解してしまう。そのため、これらの薬品は、連続的に投入されない限り、長期的な効果が期待できない。また、これらの薬品は、強酸性であり、pHを一気に低下させるため、反応効率があまり良くないことが予想される。この他の薬品として、ポリ硫酸第二鉄のように、硫酸イオンの一部を水酸化イオン(OH)に置換させ、塩基度を増した薬品がある。しかしながら、このような薬品は、液体であり、本発明には不向きである。
薬品以外で、3価鉄イオン(Fe3+)を長期的に供給できる被覆材として、3価鉄を多く含む土砂や製鉄所から発生する製鋼スラグなどが考えられる。表3には、一般的な製鋼スラグ中の主要成分を示している。製鋼スラグには、表3のようにかなりの量の鉄が含有されており、大半が2価鉄からなるFeOや3価鉄からなるFeのような酸化物で存在している。3価鉄からなるFeは、2CaO・Feのようなカルシウムと結合した状態で存在しているため、3価鉄イオン(Fe3+)の長期的かつ継続的な溶出が期待できる。しかしながら、3価鉄イオン(Fe3+)の供給速度は、さほど大きくない。したがって、製鋼スラグ単独で底質での溶存態硫化物の発生を抑制するためには、かなりの量の製鋼スラグが必要とされることも想定される。
Figure 0004938136
そこで、本発明者らは、3価鉄イオン(Fe3+)の長期的かつ継続的な供給材として、水酸化第二鉄(Fe(OH))含有スラッジを底質の被覆材として用いることを発案した。一般に、水酸化第二鉄(Fe(OH))は、pHが上昇すると溶解度が減少するので、海域や河川域のような中性の水域ではほぼ不溶性であると考えられている。しかし、水酸化第二鉄(Fe(OH))は、有機物を大量に含有し、硫化物が生成するような汚濁の進んだ底質環境においては、水中に溶解しやすくなるため、可溶性の3価鉄イオン(Fe3+)の貯蔵庫となる可能性がある。このため、水域の底質上に被覆剤として水酸化第二鉄(Fe(OH))含有スラッジを投入することによって、汚染された水域に長期的かつ継続的に3価鉄イオン(Fe3+)を供給できる。
このようなFe(OH)含有スラッジとしては、製鉄所の酸洗工程やめっき工程などの工程で処理設備から排出されるFe(OH)を含有するスラッジを用いることができる。ここで、酸洗工程では、熱間圧延において生じた鋼板の表面のスケール(酸化鉄)を塩酸や硫酸を用いて除去するため、pHが1〜3で、鉄分を最大200mg/l程度含有する排水が発生する。めっき工程では、冷間圧延された鋼板の表面に、亜鉛、ニッケルなどの金属をめっきするため、2価鉄イオン(Fe2+)ばかりでなく、他の重金属イオン(亜鉛イオンやニッケルイオンなど)を含有する排水が発生する。
これらの排水は、通常、pHを6〜8に調整し、空気をふきこんで2価鉄イオン(Fe2+)を3価鉄イオン(Fe3+)に酸化し、水酸化第二鉄(Fe(OH))とする。この時、亜鉛イオンやニッケルイオンなどの重金属イオンも水酸化亜鉛(Zn(OH))や水酸化ニッケル(Ni(OH))などの化合物(例えば、水酸化物)とする。水酸化第二鉄(Fe(OH))は、これらの化合物とともに、沈殿池で固液分離して処理される。このような場合、発生するスラッジは、水酸化第二鉄(Fe(OH))、水酸化亜鉛(Zn(OH))、及び水酸化ニッケル(Ni(OH))の混合スラッジとなってしまう。したがって、酸洗工程やめっき工程から発生する排水を処理する場合、以下の処理を行って、水酸化第二鉄と他の金属成分とを分離することが好ましい。
まず、低pH域(1〜3)で化学薬品や鉄酸化細菌などによって、排水中の2価鉄イオン(Fe2+)を3価鉄イオン(Fe3+)まで酸化する。その後、排水のpHをアルカリ剤(Ca(OH)やNaOHなど)によって4〜6程度に上昇させる。このpH域では、3価鉄イオン(Fe3+)は、Fe(OH)となり不溶化する。また、このpH域では、他の金属成分(亜鉛やニッケルなど)は、不溶化しないため、排水から濃縮分離することによって水酸化第二鉄(Fe(OH))のみを沈殿池でスラッジとして回収することができる。
このようにして回収された水酸化第二鉄(Fe(OH))主体のスラッジは、鉄の純度が高く、他の重金属をほとんど含まないため、底質被覆材としての安全上の課題が小さい。浚渫土砂の海域への利用基準である水底土砂基準も満足する。また、このようなプロセスで回収されたFe(OH)スラッジは、粒径が1〜10μm程度で比表面積も50〜200m/g程度を有しているため、反応性も高い。さらに、実際には、このようにして回収されたFe(OH)スラッジは、結晶化していない非晶質のFeOOH(ゲータイト)を多く含むため、反応性がさらに向上していると推定される。したがって、水酸化第二鉄(Fe(OH))を含有するスラッジを被覆材として底質に用いることにより、反応性に富んだ3価鉄イオン(Fe3+)を水域に供給でき、硫化水素の生成を効率的に抑制できる。
また、このような反応性に富む性状の水酸化第二鉄(Fe(OH))は、現状では製品として市販されていない。しかし、製鉄所などの排水処理プロセスからは、副産物として容易に得られるため、この副産物の水酸化第二鉄(Fe(OH))含有スラッジを用いる。
すなわち、水酸化第二鉄含有スラッジとして、製鉄所の酸洗工程またはめっき工程から発生する排水を排水中の2価鉄イオンが3価鉄イオンになるように1〜3のpHで酸化処理し、その後、アルカリ剤を用いてpHを4〜6に上昇させることによって得られるスラッジを用いる。

また、水酸化第二鉄含有スラッジ中の水酸化第二鉄の含有量は、少なくても溶存態硫化物の発生を抑制する効果がある。しかしながら、水酸化第二鉄の含有量が高いほどその効果は高くなる傾向がある。そのため、その効果の効率の面からスラッジ中の水酸化第二鉄の含有量は、10質量%(乾燥物換算)以上であることが好ましい。製鉄所の酸洗工程やめっき工程などから排出される排水を上記方法で処理して生成されるスラッジは、通常、水酸化第二鉄を50質量%(乾燥物換算)程度以上含有している。したがって、このスラッジ中の水酸化第二鉄の含有量が実用上問題になることは無い。
アルカリ供給材としては、CaO、Ca(OH)、MgO、Mg(OH)、NaCO、NaHCOなどの薬品やこれらの薬品を含有する製品などが考えられる。これらの薬品は、固体で入手も容易であり、一時的なpH調整効果を期待できる。しかし、実際の環境では、これらの薬品は、かなりの速度で溶解してしまうため、連続投入しない限り、pH調整効果を長期間維持できないと思われる。
一方、製鉄所から発生する製鋼スラグは、表3に示すようにCaO及びMgOを含んでいる。しかしながら、通常、製鋼スラグは、CaOやMgOなどの単一酸化物としてだけではなく、カルシウムシリケート(2CaO・SiOや3CaO・SiO)やカルシウムフェライト(2CaO・Fe)などの複合酸化物としても存在する。この複合酸化物は、Ca(OH)などの薬品と比較すると、水中にゆっくりとアルカリ分を供給することができる。このため、製鋼スラグは、一時的なpH調整効果だけではなく、長期間継続してアルカリ分を供給する効果も有する。したがって、アルカリ供給材として、その効果を長期間にわたって継続できる製鋼スラグを用いることが最も望ましいと考えられる。
また、下記実施例3に示すように、製鋼スラグを対象となる底質に投入するバッチ実験を実施して、製鋼スラグの必要量を確認することが望ましい。すなわち、事前に対象となる水域において、対象とすべき底質の量(例えば、有機物量の観点から、CODが10mgCOD/g・乾泥を超過するような底質の量)を把握しておく。さらに、この底質を用いたバッチ実験を実施し、目標のpH(例えばpH=8)に維持するのに必要な製鋼スラグの量を事前に把握しておく。このバッチ実験の結果から、底質に投入する製鋼スラグの必要量を決めて投入すればよい。
しかし、製鋼スラグの中には、単一酸化物のCaOの割合が高く、狭い環境域の底質に被覆すると、水中のpHを急激に上昇させるものがある。このような製鋼スラグは、炭酸化処置を施して、単一酸化物のCaOをCaCOとすればよい。すなわち、アルカリ供給材として、炭酸化処理を施した製鋼スラグ(炭酸化製鋼スラグ)を用いればよい。製鋼スラグの炭酸化処理は、製鋼スラグを二酸化炭素または炭酸含有水と接触させることにより実施することができる。例えば、特許文献3(特開2005−47789号公報)では、次のような製鋼スラグを炭酸化する方法が述べられている。すなわち、大気雰囲気下、加圧雰囲気下、または水蒸気雰囲気下でエージング処理し、製鋼スラグに自由水が存在し始める水分値未満、かつ、該水分値よりも10質量%少ない値以上になるように水分量または炭酸水量を調整する。その後、炭酸ガスを含有する相対湿度が75〜100%のガスを流して、製鋼スラグを炭酸化する。ここで、以下に自由水について説明する。粉体に水を添加していくと、しばらくの間は粉体が水分を吸収する(この吸収された水分は、拘束水と呼ばれる)。添加された水の量が所定値以上になると、もはや粉体が水を吸収できず、粉体の周囲に独立した水が存在する状態になる。この状態の水が「自由水」と呼ばれる。この自由水が存在すると、粉体がペースト状となり、自由水が存在する領域では、炭酸ガスを含むガスが通過しにくくなる。特許文献3は、このような視点からスラグ内部の空隙表面やスラグ外表面が、湿り気を帯びる程度の拘束水の段階で、最大の炭酸化速度が得られ、効率的に炭酸化が可能となることを報告している。この炭酸化により、CaOは、CaCOとなり、CaOおよびCa(OH)の割合を0.9質量%以下にできる。また、CaCOは、製鋼スラグ表面上に形成されるため、スラグ中に残存するCaOやCa(OH)の急激な溶出を抑制できる。さらに、CaCOは、海水のような弱アルカリ(8.3程度のpH)の環境ではわずかしか溶解しない。このような炭酸化処理を製鋼スラグに施すことにより、海水の急激なpHの上昇を防ぐことができる。なお、本実施形態で使用される製鋼スラグを炭酸化処理する方法は、上記方法に限定されるものではない。CaOをCaCOとして安定化できる方法であれば、どのような炭酸化処理方法でもかまわない。
このように、水酸化第二鉄含有スラッジに加え、水域の底質上に被覆材として製鋼スラグや炭酸化製鋼スラグのようなアルカリ供給材を投入することが好ましい。
次に、実際に本発明を適用する現場におけるモニタリング方法について、海域を例に説明する。溶存態硫化物は、溶存酸素(DO)と容易に反応するため、溶存態硫化物の存在は、溶存酸素(DO)の有無によってある程度推定できる。したがって、底質上部の水中の溶存酸素(DO)の枯渇は、溶存態硫化物発生のシグナルとなる。
現在、東京湾や三河湾などの閉鎖性海域では、貧酸素水域の発生状況が定期的に調査されている。調査方法としては、湾内を10地点程度に分割し、各地点において、船上から溶存酸素濃度計(DO計)を垂下し、各水層の溶存酸素濃度を鉛直方向に測定している。すなわち、表層(海面下0.5m)から底層(海底上0.5mまたは1m)まで1m毎に溶存酸素濃度が観測されている。測定頻度は、例えば、1ヶ月に3度程度である。
本発明の硫化物の溶出抑制効果も、底質上の直上水の溶存酸素濃度を測定、モニタリングすることにより推定することが可能である。
以下、図5に従い説明する。ここで、「直上水5」は、既存の溶存酸素濃度のモニタリング手法に従い、底質(海底面)2の被覆材3の表面から上方に0.5mから1mまでの範囲の水とする。底質2上の被覆材3の表面から0.5mまでの範囲の水も「直上水」であるが、被覆材3の表面は、必ずしも平坦でないため、安定した測定が困難である。そのため、上記のように、被覆材3の表面から0.5mから1mまでの範囲の水を測定対象の「直上水」とする。底質2から水中に溶出する溶存態硫化物は、DOと容易に反応し、硫黄となる。この硫黄が水の白濁化の原因となり、この反応によってDOが消費される。したがって、DOが海水中に存在すれば、溶存態硫化物は、ほぼ0であると判断できる。逆に、直上水5中のDOがほぼ0である嫌気状態にあれば、溶存態硫化物がかなり存在している可能性が高い。直上水5中の溶存酸素濃度の目安としては、水生生物の活性維持の観点から、少なくとも2mg/l以上のDOが直上水5中に残存していることが望ましい(海域の環境基準値)。
直上水5の溶存酸素濃度の測定は、具体的には、既存のモニタリング手法に従い、投げ込み式のDOセンサー4を用い、船上部でこの溶存酸素濃度をモニタリングするのがよい。より詳細に被覆効果を調査するためには、溶存酸素濃度の平面的な変動を考慮し、例えば、被覆箇所を10m×10mの区画毎に分割し、各地点の溶存酸素濃度を測定し、直上水5の溶存酸素濃度の平面分布図を作成する。この溶存酸素濃度の平面分布図に基づいて、溶存酸素濃度の低下が顕著に起こっている箇所を判断する。このような溶存酸素濃度のモニタリングの頻度は、少なくとも3回/月程度であることが望ましい。特に、このような溶存酸素濃度のモニタリングは、水温が上昇し、水域が貧酸素状態となりやすい夏季(6〜9月)に集中的に実施することが望ましい。ただし、直上水5中の溶存酸素濃度の測定結果は、水流などの現場での環境条件に強く影響を受けるため、必ずしも、被覆材3の効果のみを示しているとは限らない。このような水流などの環境条件の影響を除き、被覆材3による溶存態硫化物の溶出の抑制効果のみを把握するためには、環境条件が似通った被覆を行わない底質に測定地点を設け、被覆を行う地点と被覆を行わない地点との溶存酸素濃度の測定結果を比較して総合的に判断すればよい。
堀、排水路、排水ピットなど、比較的規模の小さい水域の場合には、DOセンサー4を固定式とし、底質2上の被覆材3の表面から上方0.5mから1mまでの範囲の直上水5を連続的にモニタリングすることが好ましい。
長期モニタリングの結果、直上水5中の溶存酸素濃度が2mg/l以下に低下した場合には、被覆材による溶存態硫化物の溶出抑制効果が低下したと判断し、被覆材を水域に再投入する。この時、被覆材として必要とされる量の前記水酸化第二鉄含有スラッジを再投入すればよい。また、pH低下の抑制効果とスラッジの投入効率とを上昇させるために、被覆材として、前記水酸化第二鉄含有スラッジと製鋼スラグ、又は、前記水酸化第二鉄含有スラッジと炭酸化処置を施した製鋼スラグとを前記水域の底質に投入するのがよい。すなわち、本発明を適用する現場において、水域の底質上に被覆剤を投入した後、被覆剤の直上水中の溶存酸素濃度をモニタリングする。この溶存酸素濃度が2mg/l以下に低下した場合に、更に、被覆剤を水域の底質に再投入し、水域の水質を維持する。
(実施例1)水酸化第二鉄含有スラッジによる海域底質からの溶存態硫化物溶出効果の検証及び水酸化第二鉄含有スラッジの必要量の推定
対象とする海域底質にどの程度の水酸化第二鉄含有スラッジを投入すれば、海域底質からの溶存態硫化物の溶出抑制に効果があるのかを検討した。遠心分離により含水率を低減させた海域底質の性状の一例を表4に示す。表4で対象とした底質は、黒色で硫化水素臭があり、底質の腐敗が進行していることが推定された。
Figure 0004938136
本発明の効果の検証は、以下の方法で実施した。
まず、遠心分離(3000rpm×20分間)によって水分を低減させた表4に示す海域底質30g(湿重)を5本(5つの系)のガラスびん(容量:300ml)に充填した。製鉄所の酸洗排水処理施設の沈殿池から得られた水酸化第二鉄を主体とするスラッジ(含水率:25%)を表5に示す実験条件で海域底質の表面全面に投入した。このスラッジは、pH=3の条件で鉄酸化細菌を用いて排水中の2価鉄イオン(Fe2+)を3価鉄イオン(Fe3+)に酸化し、その後、pHが5になるようにアルカリ剤を添加することによって回収される。そのため、このスラッジは、他の金属をほとんど含まない高純度の水酸化第二鉄含有スラッジである。また、このようなプロセスで回収されたスラッジは、Fe(OH)を80質量%(乾燥物換算)含んでおり、水酸化第二鉄を主体としている。さらに、このスラッジの50%粒径(レーザー回折式粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布から求めた50%粒径)は、8μm程度、このスラッジの比表面積も100m/g程度であった。なお、スラッジ中の他の成分は、排水中に含まれるカルシウム塩などである。
その後、pHを8.3に調整し、窒素で十分に置換して無酸素状態とした人工海水を、海域底質とスラッジとをかきまぜないように各ガラスびんにゆっくりと満杯になるまで投入した。さらに、光を遮断しながら、各ガラスびんを密閉し、海水が酸素と接触しない嫌気状態で恒温槽(30℃)で20日間放置した。20日後、空気をまきこまないように注射器で海水を採取し、酢酸亜鉛で溶存態硫化物(HS、HS、S2−)を硫化亜鉛として固定化した。この硫化亜鉛を採取した後、再溶解し、ヨウ素滴定法により、溶存態硫化物濃度を測定した。また、同時に、人工海水のpHも測定された。
Figure 0004938136
図3に水酸化第二鉄含有スラッジの投入量(添加率)を変えた場合の20日後の海水中の溶存態硫化物の濃度および海水のpHを示す。
No.1の水酸化第二鉄含有スラッジを底質上に投入しない系(底質のみの系)では、無酸素状態にある海水中の溶存態硫化物濃度は、2.5mg/l程度に達した。一方、No.2からNo.5の水酸化第二鉄含有スラッジを底質上に投入した系は、底質のみの系と比較し、海域底質からの溶存態硫化物の溶出を抑制する傾向が確認された。特に、底質乾質量あたりの水酸化第二鉄の投入割合が6.6質量%を超えたNo.4やNo.5の系では、溶存態硫化物の濃度は、検出限界(0.2mg/l)以下となった。
この結果から、例えば、長さ100m、幅100m、深さ1mで体積10000mの底質を対象とした場合、底質の比重を1.3、含水率を60%とすると、底質の量(乾質量)は、5200tとなる。このような場合、必要な水酸化第二鉄含有スラッジの濃度は、底質(乾質量)に対して6.6質量%であるので、約350t(乾質量)の水酸化第二鉄含有スラッジを投入(供給)する必要がある。供給する水酸化第二鉄含有スラッジについて、含水率を50%、比重を1.5とすると、約500mが必要な体積量となる。この場合、底質上の水酸化第二鉄含有スラッジの層厚は、平均してわずか5cm程度である。
pHについては、いずれの系も、20日後には、人工海水のpHの初期値である8.3から6.0〜7.0程度までpHが低下した。このpHの低下は、底質中の有機物が分解して有機酸が生成したためと思われる。水酸化第二鉄含有スラッジを単独で投入した実施例1では、pHが6以上に維持されていたが、海水のpHの低下を抑制することはできなかった。
(実施例2)アルカリ剤と水酸化第二鉄含有スラッジとの併用によるpH低下抑制効果及び溶存態硫化物抑制効果の検証
対象とする海域底質にアルカリ供給材としてアルカリ剤と水酸化第二鉄スラッジとを併用して投入した場合に、pH低下を抑制する効果と海域底質からの溶存態硫化物の溶出を抑制する効果とが得られるかを検討した。
実施例1と同様に、遠心分離(3000rpm×20分間)によって含水率を低減させた表4に示す海域底質30g(湿重)を3本(3つの系)のガラスびん(容量:300ml)に充填した。また、No.2の系およびNo.3の系には、製鉄所の酸洗排水処理施設の沈殿池から得られた水酸化第二鉄含有スラッジ(含水率:25%)を表6に示す実験条件で海域底質の表面全面に投入した。このスラッジは、pH=3の条件で鉄酸化細菌を用いて排水中の2価鉄イオン(Fe2+)を3価鉄イオン(Fe3+)に酸化し、その後、pH=5となるようにアルカリ剤を添加することによって回収される。そのため、このスラッジは、他の金属をほとんど含まない高純度の水酸化第二鉄含有スラッジである。また、このようなプロセスで回収されたスラッジは、Fe(OH)を80質量%(乾燥物換算)含んでおり、水酸化第二鉄を主体としている。さらに、このスラッジの50%粒径は、8μm程度、このスラッジの比表面積も100m/g程度であった。なお、スラッジ中の他の成分は、排水中に含まれるカルシウム塩などである。
その後、pHを8.3に調整し、窒素で十分に置換して無酸素状態とした人工海水を、海域底質とスラッジとをかきまぜないように各ガラスびんにゆっくりと満杯になるまで投入した。さらに、No.3の系については、ガラスびん中の人工海水のpHを測定しながら、試薬のCa(OH)(アルカリ剤)を投入し、人工海水の初期pHを8.5に再度調整した。その後、光を遮断しながら、各ガラスびんを密閉し、嫌気状態で恒温槽(30℃)で20日間放置した。なお、実施例1と同じ方法で、人工海水の溶存態硫化物濃度とpHとが測定された。
Figure 0004938136
表7に20日後の溶存態硫化物の濃度および海水のpHを示す。
海域底質のみのNo.1の系の海水中の溶存態硫化物濃度は、20日後には1.1mg/l程度に達した。一方、水酸化第二鉄含有スラッジを投入したNo.2の系および水酸化第二鉄含有スラッジとアルカリ剤とを投入したNo.3の系では、いずれも、底質からの溶存態硫化物の溶出が抑制された。海水中の溶存態硫化物濃度は、No.2の系では、0.5mg/l程度、No.3の系では、0.4mg/l程度となり、No.1の系と比較して、50%程度の溶存態硫化物濃度を改善する効果が得られた。
一方、pHについては、No.1の系及びNo.2の系は、20日後には、初期のpHから6.7〜6.8程度のpHまで低下した。このpHの低下は、底質中の有機物が分解して有機酸が生成したためと推定される。一方、アルカリ剤を投入したNo.3の系は、No.1の系及びNo.2の系と比較すると、若干高めのpHに維持された。このように、初期にCa(OH)を投入しただけでは、pH低下の顕著な抑制効果を得ることができないため、海水中のpH低下を長期的に抑制することは難しい。
Figure 0004938136
(実施例3)製鋼スラグと水酸化第二鉄含有スラッジとの併用によるpH低下抑制効果及び溶存態硫化物抑制効果の検証
対象とする海域底質にアルカリ供給材として製鋼スラグと水酸化第二鉄含有スラッジとを併用して投入した場合に、pH低下を抑制する効果と海域底質からの溶存態硫化物の溶出を抑制する効果とが得られるかを検討した。
実施例1と同様に、遠心分離(3000rpm×20分間)によって含水率を低減させた表4に示す海域底質30g(湿重)を4本(4つの系)のガラスびん(容量:300ml)に充填した。製鉄所の酸洗排水処理施設の沈殿池から得られた水酸化第二鉄含有スラッジ(含水率:25%)と製鋼スラグ(表3参照)とを所定の割合で混合し(表8参照)、海域底質の表面全面に投入した。このスラッジは、pH=3の条件で鉄酸化細菌を用いて排水中の2価鉄イオン(Fe2+)を3価鉄イオン(Fe3+)に酸化し、その後、pHが5となるようにアルカリ剤を添加することによって回収される。そのため、このスラッジは、他の金属をほとんど含まない高純度の水酸化第二鉄含有スラッジである。また、このようなプロセスで回収されたスラッジは、Fe(OH)を80質量%(乾燥物換算)含んでおり、水酸化第二鉄を主体としている。さらに、このスラッジの50%粒径は、8μm程度、このスラッジの比表面積も100m/g程度であった。なお、スラッジ中の他の成分は、排水中に含まれるカルシウム塩などである。
本実施例における製鋼スラグは、粒径5mm以下の炭酸化処置を施した炭酸化製鋼スラグを使用した。この炭酸化製鋼スラグは、製鋼スラグを攪拌しながら、大気雰囲気下で相対湿度が75〜90%の炭酸ガスを製鋼スラグ中に流通させて生成した。この炭酸化製鋼スラグ中には、0.9質量%以下のCaOおよびCa(OH)が含まれている。炭酸化製鋼スラグの投入量を決定するために、水酸化第二鉄含有スラッジが投入されていないNo.1のような系において、底質30gに対し炭酸化製鋼スラグの投入量を0〜30gまで変化させて、人工海水を投入した後20日間放置した実験を事前に行った。この実験によってpH低下抑制効果が得られた量から炭酸化製鋼スラグの投入量を5gに決定した。
その後、pHを8.3に調整し、窒素で十分に置換して無酸素状態とした人工海水を、底質とスラッジもしくは製鋼スラグとをかきまぜないように各ガラスびんにゆっくりと満杯になるまで投入した。さらに、光を遮断しながら、各ガラスびんを密閉し、嫌気状態で恒温槽(30℃)で20日間放置した。なお、実施例1と同じ方法で、人工海水の溶存態硫化物濃度とpHとが測定された。
Figure 0004938136
図4に20日後の溶存態硫化物の濃度および海水のpHを示す。
アルカリ供給材として、炭酸化製鋼スラグを投入することにより、pHが低下することなく、すべての系で20日後でもpHが9前後に維持されていた。このようにpHが9前後に維持された場合、図2に示すように90%近くの溶存態硫化物がHSイオンで存在するため、異臭(硫化水素臭)は、ほとんど発生しない。このように、炭酸化製鋼スラグを投入することによって、底質中の有機物が分解して有機酸が生成しても、pHが低下しないことが確認された。したがって、海水のpHが高めに維持され、大半の溶存態硫化物がHSイオンで存在することが分かる。
さらに、炭酸化製鋼スラグの投入によってpH低下が抑制された条件で、水酸化第二鉄含有スラッジを底質に投入すると、明らかに溶存態硫化物の溶出が抑制された。底質乾質量あたりの水酸化第二鉄含有スラッジの投入割合が3.3質量%を超えたNo.3〜No.5の系では、底質からの溶出する溶存態硫化物の濃度は、検出限界(0.2mg/l)以下となった。実施例1と比較すると、製鋼スラグを併用することによって、海水のpHの低下が抑制された。また、海水のpHがアルカリ側に維持されることにより、水酸化第二鉄含有スラッジによる溶存態硫化物の溶出抑制効果が上昇する相乗効果が確認された。
(実施例4)海水が流入する運河底質への製鋼スラグ及び水酸化第二鉄含有スラッジの適用と溶存態硫化物抑制効果のモニタリング
海水が流入する運河底質の改善のために本発明を適用し、底質からの溶存態硫化物の溶出抑制効果をモニタリングした。
水域として、夏季に硫化水素臭が発生する運河を本実施例の対象とし、運河に堆積している底質として、長さ200m、幅10m、深さ0.2mで体積が400mの領域を対象とした。この場合、底質の比重を1.3、含水率を60%とすると、底質の量(乾質量)は、約200tとなる。実施例1のようなバッチ実験を、この運河底質に適用し、その結果(例えば、実施例1の結果)により、必要な水酸化第二鉄含有スラッジの投入量を求めた。この結果、必要な水酸化第二鉄含有スラッジの濃度は、底質(乾質量)に対して6.6質量%であるので、約13t(乾質量)の水酸化第二鉄含有スラッジを投入する必要があると推定された。底質に供給する水酸化第二鉄含有スラッジについて、含水率を50%、比重を1.5とすると、約17mが必要な体積量となる。したがって、底質上の水酸化第二鉄含有スラッジの層厚は、わずか1mm程度であっても十分に効果があることが予想された。
使用した水酸化第二鉄を主体とするスラッジは、製鉄所の酸洗排水処理施設の沈殿池から得られた。このスラッジは、pH=3の条件で鉄酸化細菌を用いて排水中の2価鉄イオン(Fe2+)を3価鉄イオン(Fe3+)に酸化し、その後、pHが5になるようにアルカリ剤を添加することによって回収される。そのため、このスラッジは、他の金属をほとんど含まない高純度の水酸化第二鉄含有スラッジである。また、このようなプロセスで回収されたスラッジは、Fe(OH)を80質量%(乾燥物換算)含んでおり、水酸化第二鉄を主体としている。さらに、このスラッジの50%粒径は、8μm程度、このスラッジの比表面積も100m/g程度であった。なお、スラッジ中の他の成分は排水中に含まれるカルシウム塩などである。
さらに、アルカリ供給材として、上記実施例3と同様にして処理した炭酸化製鋼スラグを使用した。炭酸化製鋼スラグの投入量を決定するために、実施例3のように底質30gに対し炭酸化スラグの投入量を0〜30gまで変化させて、人工海水を投入した後20日間放置した実験を事前に行った。この実験によってpH低下抑制効果が得られた量から、炭酸化製鋼スラグの投入量を底質(乾質量)に対して10質量%に決定した。この結果、必要とされる炭酸化製鋼スラグの投入量は、約20t(乾質量)となった。
上記のようにして炭酸化製鋼スラグと水酸化第二鉄含有スラッジとを製鉄所から入手し、それらを事前に船上でよく混合して、船上から対象とする運河底質の表面上に均等になるように投入した。その後、1年間、3回/月の頻度で溶存態硫化物の溶出抑制効果を、運河底質の直上水中の溶存酸素濃度を測定することによりモニタリングした。この結果、水温が上昇し、水域が貧酸素状態となりやすい夏季(6〜9月)においても、直上水中の溶存酸素濃度は、2mg/l以上に維持されていた。また、運河周辺では、夏季に硫化水素臭も発生しなかった。さらに、直上水中のpHについても同時にモニタリングを行ったが、海水並みである8.0程度のpHに維持されていることが確認された。
水域の底質から溶存態硫化物の水中への溶出を長期間安定して抑制することができる。
1 海面
2 海底面(底質)
3 被覆材
4 DOセンサー
5 直上水
6 船

Claims (4)

  1. 水酸化第二鉄含有スラッジとして、製鉄所の酸洗工程またはめっき工程から発生する排水を前記排水中の2価鉄イオンが3価鉄イオンになるように1〜3のpHで酸化処理し、その後、アルカリ剤を用いてpHを4〜6に上昇させることによって得られる水酸化第二鉄含有スラッジとアルカリ供給材とを、水域の底質上に被覆材として投入して、底質直上水のpHを6〜9の範囲に維持することを特徴とする水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法。
  2. 前記アルカリ供給材として、製鋼スラグを用いることを特徴とする請求項に記載の水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法。
  3. 前記アルカリ供給材として、炭酸化処置を施した製鋼スラグを用いることを特徴とする請求項に記載の水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法。
  4. 前記水域の底質上に前記被覆材を投入した後、前記被覆材の直上水中の溶存酸素濃度をモニタリングし、前記溶存酸素濃度が2mg/l以下に低下した場合に、更に、前記被覆材を前記水域の底質に投入することを特徴とする請求項1に記載の水域の底質からの溶存態硫化物の溶出抑制方法。
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