JP2004219967A - テラヘルツ波発生装置及び計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】2波長光パラメトリック発振器と有機DAST結晶の非線形光学効果を用いたテラヘルツ波発生において,安定した広帯域テラヘルツ波発生が困難であるという課題がある。
【解決手段】本発明は,2波長発振する光パラメトリック発振器として異なる波長を発振する第1の発振部と第2の発振部を共通の反射ミラーを用いて縦続接続構成をとることにより,一方の波長を変化させても他方の波長の発振状態に変化を与えない安定した2波長発振を実現し,安定した広帯域テラヘルツ波発生装置を提供するものである。また,本発明にかかるテラヘルツ波発生装置と室温動作の検出器を備えたテラヘルツ波計測装置を提供する。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明は,2波長発振する光パラメトリック発振器として異なる波長を発振する第1の発振部と第2の発振部を共通の反射ミラーを用いて縦続接続構成をとることにより,一方の波長を変化させても他方の波長の発振状態に変化を与えない安定した2波長発振を実現し,安定した広帯域テラヘルツ波発生装置を提供するものである。また,本発明にかかるテラヘルツ波発生装置と室温動作の検出器を備えたテラヘルツ波計測装置を提供する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,理化学計測分野における分光計測等に使用するテラヘルツ波発生装置およびテラヘルツ波計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非線形光学効果である差周波発生(以下DFGと略す)現象を利用することにより,テラヘルツ(以下THzと略す)波の発生が可能である。2つの波長(周波数f1,f2)が異なる光波をDFG結晶に入射するとそれらの差周波に対応するf3=f1−f2の電磁波が発生し,f3としてTHz波周波数になるようにf1,f2を設定するとTHz波が発生する。DFG結晶としてこれまでLiNbO3,ZnTe,GaP,GaAs結晶等の無機結晶の他,図1に示す分子構造を有する有機イオン性結晶であるDAST(4−N,N−dimethylamino−4′−N′−methyl−stilbazolium tosylate)結晶は大きな非線形光学効果を有するためにTHz波発生に有望であり,本発明でも採用する。また,2波長光源としては光パラメトリック発振器やTiサファイアレーザーが報告されている。
【0003】
従来のTHz波発生装置としては,例えば図2はレーザー学会誌「レーザー研究」,Vol.30,No.7(2002)pp.365−368に示されている2波長光パラメトリック発振器とDAST結晶を組合せたTHz波発生装置の構成図であり,1は励起レーザー,2,3はKTiOPO4(以下KTPと略す)結晶,4,5はミラー,6は2波長光,7はレンズ,8はDAST結晶,9はTHz波である。以上のように構成された従来のTHz波発生装置の原理を説明する。ミラー4,5とわずかに異なる結晶角度をなす2ケのKTP結晶2,3から構成される光パラメトリック発振器から発生する2波長光6をレンズ7により集光してDAST結晶8に入射すると非線形光学効果によりTHz波9が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,図2に示すようにミラー4,5による同一の共振器の中に2ケのKTP結晶を置く構成では,THz波周波数を変化させるために一方のKTP結晶を回転させ波長を変化すると他方の波長の共振条件もわずかに変化するために2波長発振に変動が生じ,発生するTHz波が不安定となる問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる点を鑑み,安定した広帯域テラヘルツ波発生装置及び計測装置を提供することを目的とする。
【0006】
第1の発明は,2波長発振する光パラメトリック発振器として,異なる波長を発生する第1の発振部と第2の発振部を共通の反射ミラーを用いて縦続接続構成をとることにより一方の波長を変化させても他方の波長の発振状態に変化を与えない安定した2波長発振を実現するための有効な手段である。
【0007】
第2の発明は,実用化されていて安定性の良い0.52〜0.54μm,あるいは1.04〜1.07μmの波長範囲にあるパルスレーザーを励起レーザーとし,非線形光学結晶として用いる2ヶのKTP結晶の内少なくとも1ケのKTP結晶をY軸を中心軸としてXZ面内で回転させることにより波長制御が容易で安定性の優れた光パラメトリック発振器を実現することができる。
【0008】
第3の発明は,DAST結晶をポリ弗化ビニリデンを成分として含む有機材料を用いた防湿膜により覆い,ポリエチレンを成分として含むポリマーレンズを接合する構成であり,DAST結晶を防湿化すると共にTHz波の出射広がりを低減するために有効な手段である。
【0009】
第4の発明は,第1の発明のテラヘルツ波発生装置と焦電素子を用いた検出器を備えたテラヘルツ波計測器であり,室温で安定に動作するために実用上有利である。
【0010】
第5の発明は,焦電素子にDTGS結晶を用いた検出器であり,広帯域で高感度なテラヘルツ波計測装置の実現に有利である。
【0011】
【発明の実施の形態】
図3は本発明の第1実施例であり,1は励起レーザー,2,3はKTP結晶,4,5,10はミラー,6は2波長光波,7は集光レンズ,8はDAST結晶,9はTHz波,11はフィルター,12はTHz波検出器である。励起レーザー1は波長532nm,パルス幅10ns,繰返し20Hzの半導体レーザー励起の小型Nd:YAG/SHGレーザーであり,2,3のKTP結晶は長さ15mm,θ=65°,φ=90°でカットされたものである。またDAST結晶8は結晶のc軸方向厚み0.4mmの結晶を用いた。DAST結晶と入射光の偏光の関係は,最大の非線形光学効果を利用するために入射光の偏光はDAST結晶のa軸方向とし,入射光の伝搬方向はc軸あるいはb軸とする構成が有効である。
【0012】
本実施例の動作原理を以下に説明する。励起レーザー1により励起されたKTP結晶2はミラー4とミラー10を共振器として第1の波長を発振し,またKTP結晶3はミラー10とミラー5により共振し第2の波長を発振する。発振波長は,KTP結晶3を結晶のY軸を中心軸としてXZ面内で回転することにより,DAST結晶において5THz以上の広帯域THz波発生に有効である1.3〜1.7μmの範囲を波長制御した。実験ではKTP結晶2の角度は固定し,KTP結晶3を回転することにより波長λ1=1.45μm,波長λ2=1.45〜1.61μmの範囲で2波長間隔を変え発生するTHz波周波数を変化させた。2波長光6は焦点距離200mmのレンズ7で集光しDAST結晶8に入射した。発生したTHz波9は光波をカットするフィルター11を通した後,室温動作のDTGS焦電素子を用いた検出器12によりTHz波パワーを測定した結果,2〜20THzの広い範囲にわたりTHz波が発生し,ピークパワーとして,100mW以上のTHz波が得られることを確認した。実験によると1.3μm以下の2波長域では10THz以上が出にくく,また1.7μm以上では逆に10THz以下が出にくい。これらの実験結果から1.3〜1.7μmの波長範囲にある2波長光が2〜20THzの周波数域を広くカバーするためにきわめて有効であることを確認した。THz波検出に使用したDTGS結晶とは,Deuterated Triglycine Sulfate(重水素置換硫化トリグリシン)結晶のことであり,広帯域・高感度でTHz波検出が可能である。
【0013】
本発明にかかる光パラメトリック発振においては,KTP結晶2,3から各々シグナル光(0.84〜0.89μm)とアイドラ光(1.45〜1.61μm)の2つの波長が発生するが,ミラー4,5,10はシグナル光に対して高反射でアイドラ光および励起光に対しては高透過となる特性を有するものを使用し,第1の発振部で発生した共振しないアイドラ光はミラー10,5およびKTP結晶3からなる第2の発振部を透過し,第2の発振部で発生したアイドラ光と合わせて2波長光6としてTHz波発生に利用した。なお,同様にミラー4,5,10をアイドラ光に対して高反射,シグナル光に対して高透過として2波長シグナル光をTHz波発生に利用することも可能である。
【0014】
なお,0.3〜5THz域をDAST結晶で発生するためには,0.96〜1.02μm域の2波長光が効率の良いTHz波発生に有効であり,本発明と同様な構成のKTP結晶を用いた光パラメトリック発振器と0.5〜1mm厚のDAST結晶の組合せにより実現できる。また,光パラメトリック発振は,1.04〜1.07μmの波長範囲にある励起レーザーを用いることも可能であり,KTP結晶は同様な結晶構造を有する(KRb)TiO(PAs)O4組成の結晶等を光パラメトリック発振器に用いることも可能である。
【0015】
図4は本発明の第2実施例であり,同図(a)はDAST結晶8の周囲をポリ塩化ビニリデンを含む有機材料を用いた防湿膜13,14で密閉し,ポリエチレンを主成分とするポリマーレンズ15を接合した構成である。本構造は,DAST結晶の有する吸湿性による特性劣化を防ぐと同時にポリマーレンズ15により発生するTHz波ビーム16の出射拡がりを低減しビーム径の小さなTHz波ビームを発生させたものであり,THz波分光装置の小型化に有利である。また,図4(b)に示すように,ポリマーレンズ15の内部に防湿膜で覆ったDAST結晶を組み込む構成も有効である。なお,DAST結晶8の表面は光反射防止のためにSiO2等の材料を用いた反射防止薄膜を形成したものをさらにポリ弗化ビニリデンを成分として含有する防湿膜により覆うことも特性向上のために有効である。
【0016】
図5は本発明の第3実施例であり,本発明にかかる光パラメトリック発振器17とDAST結晶を用いたTHz波発生部18を備えたTHz波発生装置と,室温動作が可能で広帯域・高感度特性を有するDTGS結晶を用いたTHz波検出器12を組合せたTHz波計測装置の構成図である。このようなTHz波計測装置は,20THzにおよぶ広帯域性を有しており,様々な物質の分光特性の他,THz波を用いた透過・反射画像等の計測に有利である。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように,広帯域で安定して動作するTHz波発生装置およびTHz波計測装置として,KTP結晶を用いて2つの発振部を有する光パラメトリック発振器とDAST結晶を組合せることにより,2〜20THzをカバーできる安定で広帯域のTHz波発生装置を実現した。このようなTHz波発生装置は,生体タンパク物質や機能性セラミクス等の分光計測装置としてその実用的効果はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機DAST結晶の分子構造図,
【図2】従来例の構成図,
【図3】本発明の第1実施例の構成図,
【図4】本発明の第2実施例の構成図,
【図5】本発明の第3実施例の構成図である。
【符号の説明】
1:励起レーザー
2,3:KTP結晶
4,5,10:ミラー
6:2波長光波
7:レンズ
8:DAST結晶
9:THz波
11:フィルター
12:THz波検出器
13,14:防湿膜
15:ポリマーレンズ
16:THz波ビーム
17:光パラメトリック発振器
18:THz波発生部
19:被計測物
【発明の属する技術分野】
本発明は,理化学計測分野における分光計測等に使用するテラヘルツ波発生装置およびテラヘルツ波計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非線形光学効果である差周波発生(以下DFGと略す)現象を利用することにより,テラヘルツ(以下THzと略す)波の発生が可能である。2つの波長(周波数f1,f2)が異なる光波をDFG結晶に入射するとそれらの差周波に対応するf3=f1−f2の電磁波が発生し,f3としてTHz波周波数になるようにf1,f2を設定するとTHz波が発生する。DFG結晶としてこれまでLiNbO3,ZnTe,GaP,GaAs結晶等の無機結晶の他,図1に示す分子構造を有する有機イオン性結晶であるDAST(4−N,N−dimethylamino−4′−N′−methyl−stilbazolium tosylate)結晶は大きな非線形光学効果を有するためにTHz波発生に有望であり,本発明でも採用する。また,2波長光源としては光パラメトリック発振器やTiサファイアレーザーが報告されている。
【0003】
従来のTHz波発生装置としては,例えば図2はレーザー学会誌「レーザー研究」,Vol.30,No.7(2002)pp.365−368に示されている2波長光パラメトリック発振器とDAST結晶を組合せたTHz波発生装置の構成図であり,1は励起レーザー,2,3はKTiOPO4(以下KTPと略す)結晶,4,5はミラー,6は2波長光,7はレンズ,8はDAST結晶,9はTHz波である。以上のように構成された従来のTHz波発生装置の原理を説明する。ミラー4,5とわずかに異なる結晶角度をなす2ケのKTP結晶2,3から構成される光パラメトリック発振器から発生する2波長光6をレンズ7により集光してDAST結晶8に入射すると非線形光学効果によりTHz波9が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,図2に示すようにミラー4,5による同一の共振器の中に2ケのKTP結晶を置く構成では,THz波周波数を変化させるために一方のKTP結晶を回転させ波長を変化すると他方の波長の共振条件もわずかに変化するために2波長発振に変動が生じ,発生するTHz波が不安定となる問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる点を鑑み,安定した広帯域テラヘルツ波発生装置及び計測装置を提供することを目的とする。
【0006】
第1の発明は,2波長発振する光パラメトリック発振器として,異なる波長を発生する第1の発振部と第2の発振部を共通の反射ミラーを用いて縦続接続構成をとることにより一方の波長を変化させても他方の波長の発振状態に変化を与えない安定した2波長発振を実現するための有効な手段である。
【0007】
第2の発明は,実用化されていて安定性の良い0.52〜0.54μm,あるいは1.04〜1.07μmの波長範囲にあるパルスレーザーを励起レーザーとし,非線形光学結晶として用いる2ヶのKTP結晶の内少なくとも1ケのKTP結晶をY軸を中心軸としてXZ面内で回転させることにより波長制御が容易で安定性の優れた光パラメトリック発振器を実現することができる。
【0008】
第3の発明は,DAST結晶をポリ弗化ビニリデンを成分として含む有機材料を用いた防湿膜により覆い,ポリエチレンを成分として含むポリマーレンズを接合する構成であり,DAST結晶を防湿化すると共にTHz波の出射広がりを低減するために有効な手段である。
【0009】
第4の発明は,第1の発明のテラヘルツ波発生装置と焦電素子を用いた検出器を備えたテラヘルツ波計測器であり,室温で安定に動作するために実用上有利である。
【0010】
第5の発明は,焦電素子にDTGS結晶を用いた検出器であり,広帯域で高感度なテラヘルツ波計測装置の実現に有利である。
【0011】
【発明の実施の形態】
図3は本発明の第1実施例であり,1は励起レーザー,2,3はKTP結晶,4,5,10はミラー,6は2波長光波,7は集光レンズ,8はDAST結晶,9はTHz波,11はフィルター,12はTHz波検出器である。励起レーザー1は波長532nm,パルス幅10ns,繰返し20Hzの半導体レーザー励起の小型Nd:YAG/SHGレーザーであり,2,3のKTP結晶は長さ15mm,θ=65°,φ=90°でカットされたものである。またDAST結晶8は結晶のc軸方向厚み0.4mmの結晶を用いた。DAST結晶と入射光の偏光の関係は,最大の非線形光学効果を利用するために入射光の偏光はDAST結晶のa軸方向とし,入射光の伝搬方向はc軸あるいはb軸とする構成が有効である。
【0012】
本実施例の動作原理を以下に説明する。励起レーザー1により励起されたKTP結晶2はミラー4とミラー10を共振器として第1の波長を発振し,またKTP結晶3はミラー10とミラー5により共振し第2の波長を発振する。発振波長は,KTP結晶3を結晶のY軸を中心軸としてXZ面内で回転することにより,DAST結晶において5THz以上の広帯域THz波発生に有効である1.3〜1.7μmの範囲を波長制御した。実験ではKTP結晶2の角度は固定し,KTP結晶3を回転することにより波長λ1=1.45μm,波長λ2=1.45〜1.61μmの範囲で2波長間隔を変え発生するTHz波周波数を変化させた。2波長光6は焦点距離200mmのレンズ7で集光しDAST結晶8に入射した。発生したTHz波9は光波をカットするフィルター11を通した後,室温動作のDTGS焦電素子を用いた検出器12によりTHz波パワーを測定した結果,2〜20THzの広い範囲にわたりTHz波が発生し,ピークパワーとして,100mW以上のTHz波が得られることを確認した。実験によると1.3μm以下の2波長域では10THz以上が出にくく,また1.7μm以上では逆に10THz以下が出にくい。これらの実験結果から1.3〜1.7μmの波長範囲にある2波長光が2〜20THzの周波数域を広くカバーするためにきわめて有効であることを確認した。THz波検出に使用したDTGS結晶とは,Deuterated Triglycine Sulfate(重水素置換硫化トリグリシン)結晶のことであり,広帯域・高感度でTHz波検出が可能である。
【0013】
本発明にかかる光パラメトリック発振においては,KTP結晶2,3から各々シグナル光(0.84〜0.89μm)とアイドラ光(1.45〜1.61μm)の2つの波長が発生するが,ミラー4,5,10はシグナル光に対して高反射でアイドラ光および励起光に対しては高透過となる特性を有するものを使用し,第1の発振部で発生した共振しないアイドラ光はミラー10,5およびKTP結晶3からなる第2の発振部を透過し,第2の発振部で発生したアイドラ光と合わせて2波長光6としてTHz波発生に利用した。なお,同様にミラー4,5,10をアイドラ光に対して高反射,シグナル光に対して高透過として2波長シグナル光をTHz波発生に利用することも可能である。
【0014】
なお,0.3〜5THz域をDAST結晶で発生するためには,0.96〜1.02μm域の2波長光が効率の良いTHz波発生に有効であり,本発明と同様な構成のKTP結晶を用いた光パラメトリック発振器と0.5〜1mm厚のDAST結晶の組合せにより実現できる。また,光パラメトリック発振は,1.04〜1.07μmの波長範囲にある励起レーザーを用いることも可能であり,KTP結晶は同様な結晶構造を有する(KRb)TiO(PAs)O4組成の結晶等を光パラメトリック発振器に用いることも可能である。
【0015】
図4は本発明の第2実施例であり,同図(a)はDAST結晶8の周囲をポリ塩化ビニリデンを含む有機材料を用いた防湿膜13,14で密閉し,ポリエチレンを主成分とするポリマーレンズ15を接合した構成である。本構造は,DAST結晶の有する吸湿性による特性劣化を防ぐと同時にポリマーレンズ15により発生するTHz波ビーム16の出射拡がりを低減しビーム径の小さなTHz波ビームを発生させたものであり,THz波分光装置の小型化に有利である。また,図4(b)に示すように,ポリマーレンズ15の内部に防湿膜で覆ったDAST結晶を組み込む構成も有効である。なお,DAST結晶8の表面は光反射防止のためにSiO2等の材料を用いた反射防止薄膜を形成したものをさらにポリ弗化ビニリデンを成分として含有する防湿膜により覆うことも特性向上のために有効である。
【0016】
図5は本発明の第3実施例であり,本発明にかかる光パラメトリック発振器17とDAST結晶を用いたTHz波発生部18を備えたTHz波発生装置と,室温動作が可能で広帯域・高感度特性を有するDTGS結晶を用いたTHz波検出器12を組合せたTHz波計測装置の構成図である。このようなTHz波計測装置は,20THzにおよぶ広帯域性を有しており,様々な物質の分光特性の他,THz波を用いた透過・反射画像等の計測に有利である。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように,広帯域で安定して動作するTHz波発生装置およびTHz波計測装置として,KTP結晶を用いて2つの発振部を有する光パラメトリック発振器とDAST結晶を組合せることにより,2〜20THzをカバーできる安定で広帯域のTHz波発生装置を実現した。このようなTHz波発生装置は,生体タンパク物質や機能性セラミクス等の分光計測装置としてその実用的効果はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機DAST結晶の分子構造図,
【図2】従来例の構成図,
【図3】本発明の第1実施例の構成図,
【図4】本発明の第2実施例の構成図,
【図5】本発明の第3実施例の構成図である。
【符号の説明】
1:励起レーザー
2,3:KTP結晶
4,5,10:ミラー
6:2波長光波
7:レンズ
8:DAST結晶
9:THz波
11:フィルター
12:THz波検出器
13,14:防湿膜
15:ポリマーレンズ
16:THz波ビーム
17:光パラメトリック発振器
18:THz波発生部
19:被計測物
Claims (5)
- 2波長発振する光パラメトリック発振器と有機DAST結晶を備えたテラヘルツ波発生装置において,前記光パラメトリック発振器が異なる波長を発生する第一の発振部と第二の発振部が共通のミラーを用いて縦続構成されていることを特徴とするテラヘルツ波発生装置
- 特許請求の範囲第1項における光パラメトリック発振器が,0.52〜0.54μm,あるいは1.04〜1.07μmの波長範囲にあるパルスレーザーで励起し,前記光パラメトリック発振器の発振部にKTiOPO4結晶を用い,少なくとも1ケのKTiOPO4結晶をY軸を中心軸にXZ面内で回転させることを特徴とするテラヘルツ波発生装置
- 特許請求の範囲第1項におけるDAST結晶をポリ弗化ビニリデンを成分として含有する有機材料からなる防湿膜により両面を覆い,ポリエチレンを成分に含むポリマーレンズに接合することを特徴とするテラヘルツ波発生装置
- 特許請求の範囲第1項のテラヘルツ波発生装置と焦電素子を用いたテラヘルツ波検出器を備えたことを特徴とするテラヘルツ波計測装置
- 特許請求の範囲第4項のテラヘルツ波検出器が,DTGS結晶を焦電素子として用いたテラヘルツ波検出器であることを特徴とするテラヘルツ波計測装置
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---|---|---|---|---|
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