JP2004218702A - ダブルコグドvベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】心線3が埋設された接着ゴム層2のベルト背面側に積層された上ゴム層4により上コグ7,7,…を形成する一方、ベルト底面側に積層されかつ短繊維が混入されてなる底ゴム層5により下コグ8,8,…を形成するようにしたダブルコグドVベルトにおいて、逆曲げ方向の弾性変形に起因する下コグ8底面のクラック発生を回避して、ベルト寿命を大幅に改善できるようにする。
【解決手段】心線3の材料として、弾性率の低いポリエステルを用いることで、弾性変形を抑制してプーリ10,20に対する弾性滑りを誘発させることができるようにする。また,短繊維の材料として、ポリアミドを用いることで、プーリとの摩擦係数を小さくしてプーリ溝からの抜け性をよくする。
【選択図】 図1
【解決手段】心線3の材料として、弾性率の低いポリエステルを用いることで、弾性変形を抑制してプーリ10,20に対する弾性滑りを誘発させることができるようにする。また,短繊維の材料として、ポリアミドを用いることで、プーリとの摩擦係数を小さくしてプーリ溝からの抜け性をよくする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト式無段変速機の変速ベルトとして使用されるダブルコグドVベルトに関し、特にVプーリからの抜け性を向上させる対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、スクータ,バギー車,スノーモビルなどの自動車に搭載されるベルト式変速機のベルトとして、ダブルコグドVベルト(特許文献1)が使用されていることは知られている。
【0003】
このダブルコグドVベルトは、図1に例示するように、心線3が埋設された接着ゴム層2のベルト背面側(同図上面側)に上ゴム層4が積層されており、接着ゴム層2のベルト底面側(同図下面側)には、底ゴム層5および帆布層6が積層されている。また、ベルト背面側およびベルト底面側には、それぞれ、上コグ7,7,…および下コグ8,8,…が形成されている。
【0004】
ところで、ダブルコグドVベルトの使用環境では、小プーリが使用されていてベルトが大きく曲げられることから、従来の場合には、心線3の材料として、アラミドなど、弾性率の高いものが用いられている。
【0005】
また、回転変動の大きい4サイクル単気筒エンジンのように場合には、平均トルクを大幅に超える過大な変動ピークトルクがベルトに加わって下コグ8に過大なピーク剪断力が作用するとともに、高い伝達能力が要求されることから、底ゴム層5には、アラミドなどの短繊維が混入されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−356254号公報(第2頁,図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のダブルコグドVベルトでは、過大ピーク張力が加わってプーリ溝内に深く食い込んだときに、プーリのベルト出側において、ベルトがプーリ溝から抜けにくくて逆曲げ方向に弾性変形し、このために、下コグの底面にクラックが発生して早期破損に至るという問題がある。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、心線が埋設された接着ゴム層のベルト背面側に積層された上ゴム層により上コグを形成する一方、ベルト底面側に積層されかつ短繊維が混入されてなる底ゴム層により下コグを形成するようにしたダブルコグドVベルトにおいて、心線材料に見直しを加えることで、逆曲げ方向の弾性変形を抑えて下コグ底面のクラック発生を回避し、もって、ベルト寿命を改善できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、本発明では、心線の材料として、アラミドよりも弾性率の低いポリアミドを用いることで、弾性変形を抑制してプーリに対する弾性滑りを誘発させるようにし、このことで、逆曲げ方向の弾性変形を抑えて下コグ底面のクラック発生を回避するようにした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明では、接着ゴム層と、この接着ゴム層内に埋設された心線と、接着ゴム層のベルト背面側に積層された上ゴム層と、接着ゴム層のベルト底面側に積層された底ゴム層と、この底ゴム層のベルト底面側に積層された帆布層とを備えていて、ベルト背面側に、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の上コグがベルト長さ方向に並ぶように配置されている一方、ベルト底面側に、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の下コグがベルト長さ方向に並ぶように配置されたダブルコグドVベルトを前提としている。
【0011】
そして、上記心線は、ポリエステルからなるものとする。
【0012】
上記の構成において、ポリエステルからなる心線は、アラミドからなる心線に比べて、弾性率が低い。よって、心線によりベルトに付与される弾性率が、従来の場合よりも低いので、ベルト自体の弾性変形が抑制されるようになる。これにより、プーリ溝に深く食い込む場合に、プーリのベルト出側では、ベルトの弾性変形が抑制される分だけ、プーリ溝に対する弾性滑りが誘発されやすくなるので、逆曲げ方向の弾性変形が抑えられることとなる。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、底ゴム層が、該底ゴム層のベルト両側面に露出するように設けられた短繊維を有している場合に、その短繊維は、ポリアミドからなるものとする。
【0014】
上記の構成において、ポリアミドからなる短繊維は、アラミドなどからなる従来の短繊維に比べて、プーリ溝との間の摩擦係数が低い。これにより、プーリ溝に深く食い込む場合に、プーリのベルト出側における抜け性が向上するので、逆曲げ方向の弾性変形は、さらに抑えられることとなる。
【0015】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、底ゴム層のベルト両側面は、短繊維の露出量が多くなるようにバフ加工されているものとする。
【0016】
上記の構成において、底ゴム部のベルト両側面では、バフ加工により、短繊維の露出量が多くなっているので、短繊維の露出量が多くない場合に比べて、プーリ溝に対する短繊維の作用は、十分に発揮されることとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るダブルコグドVベルトの全体構成を模式的に示しており、このダブルコグドVベルト1は、二輪スクータ,バギー車,スノーモビルなどの自動車に搭載されるベルト式無段変速機の伝動ベルトとして使用される。
【0019】
このダブルコグドVベルト1は、断面矩形状の接着ゴム層2と、この接着ゴム層2内に埋設された心線3と、接着ゴム層2のベルト背面側(図1の上面側)に積層された上ゴム層4と、接着ゴム層2のベルト底面側(同図の下面側)に積層された底ゴム層5と、この底ゴム層5のベルト底面側に積層された帆布層6とを備えている。底ゴム層5は、短繊維(図示せず)が混入されてなっている。
【0020】
また、ベルト背面側には、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の上コグ7,7,…がベルト長さ方向に所定ピッチをおいて並ぶように形成されている。一方、ベルト底面側には、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の下コグ8,8,…がベルト長さ方向に所定ピッチをおいて並ぶように形成されている。
【0021】
そして、本実施形態では、上記心線3の材料として、ポリエステルが用いられている。また、上記短繊維の材料として、ポリアミドが用いられており、さらに、底ゴム層5のベルト両側面は、短繊維の露出量が多くなるようにバフ加工されている。
【0022】
ここで、上記のように構成されたダブルコグドVベルト1を発明例とし、この発明例の耐久性を調べるために行った耐久テストについて説明する。
【0023】
テストの要領は、250ccの4サイクル単気筒エンジンに駆動連結されていて、ピッチ径が69〜126mmの範囲において可変である駆動プーリ10と、プーリ径が105〜158mmの範囲において可変である従動プーリ20とを備えてなるベルト式無段変速機が搭載された二輪自動車を使用し、両プーリ10,20間にベルト1を巻き掛けた。そして、図2に示すように、駆動プーリ10の回転速度が1000rpmでありかつピッチ径が69mmであって、従動プーリ20が無負荷でありかつピッチ径が158mmであるLow状態(駆動側および従動側の各ピッチ径はそれぞれ69mmおよび158mm)から、駆動プーリ10の回転速度を上げ、駆動プーリ10の回転速度が5300rpmであって従動プーリ20の出力が15PS(≒11032.5W)である状態(各ピッチ径はそれぞれ69mmおよび158mm)を経て、20秒後に、図3に示すように、駆動プーリ10の回転速度が7500rpmであって従動プーリ20の出力が18.2PS(≒13386.1W)であるTop状態(各ピッチ径はそれぞれ126mmおよび105mm)とし、次いで、このTop状態を40秒間に亘って維持した後、30秒を掛けて、上記のLow状態に戻すという運転パターンを繰り返し、クラックが発生したときの運転回数を調べるようにした。尚、その運転パターンの特性図を、図4に示しておく。
【0024】
また、比較のために、心線および短繊維の各材料にそれぞれアラミドを用いた従来のダブルコグドVベルトを作製して比較例とし、この比較例に対しても上記のテストを行って、クラック発生までの運転回数を調べた。
【0025】
以上の結果を、図5に併せて示す。尚、同図では、クラック発生運転回数は比較例の場合を100とする指数により表されている。
【0026】
上記の図6から判るように、発明例のベルト寿命は、比較例の場合の2.5倍であった。これは、発明例では、プーリ10,20からの抜け性が向上して逆曲げ方向の変形が生じにくくなり、その結果、下コグ8底面のクラック発生が抑えられたものと考えられる。
【0027】
したがって、本実施形態によれば、心線3が埋設された接着ゴム層2のベルト背面側に積層された上ゴム層4により上コグ7,7,…を形成する一方、ベルト底面側に積層されかつ短繊維が混入されてなる底ゴム層5により下コグ8,8,…を形成するようにしたダブルコグドVベルトにおいて、心線3の材料として、弾性率の低いポリアミドを用いることで、弾性変形を抑制してプーリ10,20に対する弾性滑りを誘発させることができるので、逆曲げ方向の弾性変形に起因する下コグ8底面のクラック発生を回避することができ、よって、ベルト寿命を大幅に改善することができる。
【0028】
また、上記短繊維の材料として、プーリ10,20との間の摩擦係数の低いポリアミドを用いることで、プーリ溝からの抜け性を向上させることができるので、上記の効果を一段と高めることができる。
【0029】
さらに、底ゴム層5のベルト両側面がバフ加工されていることで、短繊維の露出量が多くなっているので、短繊維による抜け性向上機能を十分に発揮することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、心線が埋設された接着ゴム層のベルト背面側に積層された上ゴム層により上コグを形成する一方、ベルト底面側に積層されかつ短繊維が混入されてなる底ゴム層により下コグを形成するようにしたダブルコグドVベルトにおいて、上記心線の材料として、弾性率の低いポリアミドを用いることで、弾性変形を抑制してプーリに対する弾性滑りを誘発させることができるので、逆曲げ方向の弾性変形に起因する下コグ底面のクラック発生を抑えることができ、よって、ベルト寿命を改善することができる。
【0031】
請求項2の発明によれば、上記短繊維の材料として、プーリとの摩擦係数の低いポリアミドを用いることで、プーリからの抜け性を向上させることができるので、上記請求項1の発明による効果を一段と高めることができる。
【0032】
請求項3の発明によれば、上記底ゴム層のベルト両側面がバフ加工されていることで、短繊維の露出量が多くなっているので、短繊維による抜け性向上機能を十分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るダブルコグドVベルトの構成を示す側面図である。
【図2】耐久テストにおける速比がLowであるときの状態を模式的に示す側面図である。
【図3】耐久テストにおける速比がTopであるときの状態を模式的に示す図2相当図である。
【図4】耐久テストの運転パターンを示す特性図である。
【図5】耐久テストにおける発明例および比較例の結果を併せて示す特性図である。
【符号の説明】
1 ダブルコグドVベルト
2 接着ゴム層
3 心線
4 上ゴム層
5 底ゴム層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト式無段変速機の変速ベルトとして使用されるダブルコグドVベルトに関し、特にVプーリからの抜け性を向上させる対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、スクータ,バギー車,スノーモビルなどの自動車に搭載されるベルト式変速機のベルトとして、ダブルコグドVベルト(特許文献1)が使用されていることは知られている。
【0003】
このダブルコグドVベルトは、図1に例示するように、心線3が埋設された接着ゴム層2のベルト背面側(同図上面側)に上ゴム層4が積層されており、接着ゴム層2のベルト底面側(同図下面側)には、底ゴム層5および帆布層6が積層されている。また、ベルト背面側およびベルト底面側には、それぞれ、上コグ7,7,…および下コグ8,8,…が形成されている。
【0004】
ところで、ダブルコグドVベルトの使用環境では、小プーリが使用されていてベルトが大きく曲げられることから、従来の場合には、心線3の材料として、アラミドなど、弾性率の高いものが用いられている。
【0005】
また、回転変動の大きい4サイクル単気筒エンジンのように場合には、平均トルクを大幅に超える過大な変動ピークトルクがベルトに加わって下コグ8に過大なピーク剪断力が作用するとともに、高い伝達能力が要求されることから、底ゴム層5には、アラミドなどの短繊維が混入されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−356254号公報(第2頁,図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のダブルコグドVベルトでは、過大ピーク張力が加わってプーリ溝内に深く食い込んだときに、プーリのベルト出側において、ベルトがプーリ溝から抜けにくくて逆曲げ方向に弾性変形し、このために、下コグの底面にクラックが発生して早期破損に至るという問題がある。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、心線が埋設された接着ゴム層のベルト背面側に積層された上ゴム層により上コグを形成する一方、ベルト底面側に積層されかつ短繊維が混入されてなる底ゴム層により下コグを形成するようにしたダブルコグドVベルトにおいて、心線材料に見直しを加えることで、逆曲げ方向の弾性変形を抑えて下コグ底面のクラック発生を回避し、もって、ベルト寿命を改善できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、本発明では、心線の材料として、アラミドよりも弾性率の低いポリアミドを用いることで、弾性変形を抑制してプーリに対する弾性滑りを誘発させるようにし、このことで、逆曲げ方向の弾性変形を抑えて下コグ底面のクラック発生を回避するようにした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明では、接着ゴム層と、この接着ゴム層内に埋設された心線と、接着ゴム層のベルト背面側に積層された上ゴム層と、接着ゴム層のベルト底面側に積層された底ゴム層と、この底ゴム層のベルト底面側に積層された帆布層とを備えていて、ベルト背面側に、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の上コグがベルト長さ方向に並ぶように配置されている一方、ベルト底面側に、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の下コグがベルト長さ方向に並ぶように配置されたダブルコグドVベルトを前提としている。
【0011】
そして、上記心線は、ポリエステルからなるものとする。
【0012】
上記の構成において、ポリエステルからなる心線は、アラミドからなる心線に比べて、弾性率が低い。よって、心線によりベルトに付与される弾性率が、従来の場合よりも低いので、ベルト自体の弾性変形が抑制されるようになる。これにより、プーリ溝に深く食い込む場合に、プーリのベルト出側では、ベルトの弾性変形が抑制される分だけ、プーリ溝に対する弾性滑りが誘発されやすくなるので、逆曲げ方向の弾性変形が抑えられることとなる。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、底ゴム層が、該底ゴム層のベルト両側面に露出するように設けられた短繊維を有している場合に、その短繊維は、ポリアミドからなるものとする。
【0014】
上記の構成において、ポリアミドからなる短繊維は、アラミドなどからなる従来の短繊維に比べて、プーリ溝との間の摩擦係数が低い。これにより、プーリ溝に深く食い込む場合に、プーリのベルト出側における抜け性が向上するので、逆曲げ方向の弾性変形は、さらに抑えられることとなる。
【0015】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、底ゴム層のベルト両側面は、短繊維の露出量が多くなるようにバフ加工されているものとする。
【0016】
上記の構成において、底ゴム部のベルト両側面では、バフ加工により、短繊維の露出量が多くなっているので、短繊維の露出量が多くない場合に比べて、プーリ溝に対する短繊維の作用は、十分に発揮されることとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るダブルコグドVベルトの全体構成を模式的に示しており、このダブルコグドVベルト1は、二輪スクータ,バギー車,スノーモビルなどの自動車に搭載されるベルト式無段変速機の伝動ベルトとして使用される。
【0019】
このダブルコグドVベルト1は、断面矩形状の接着ゴム層2と、この接着ゴム層2内に埋設された心線3と、接着ゴム層2のベルト背面側(図1の上面側)に積層された上ゴム層4と、接着ゴム層2のベルト底面側(同図の下面側)に積層された底ゴム層5と、この底ゴム層5のベルト底面側に積層された帆布層6とを備えている。底ゴム層5は、短繊維(図示せず)が混入されてなっている。
【0020】
また、ベルト背面側には、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の上コグ7,7,…がベルト長さ方向に所定ピッチをおいて並ぶように形成されている。一方、ベルト底面側には、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の下コグ8,8,…がベルト長さ方向に所定ピッチをおいて並ぶように形成されている。
【0021】
そして、本実施形態では、上記心線3の材料として、ポリエステルが用いられている。また、上記短繊維の材料として、ポリアミドが用いられており、さらに、底ゴム層5のベルト両側面は、短繊維の露出量が多くなるようにバフ加工されている。
【0022】
ここで、上記のように構成されたダブルコグドVベルト1を発明例とし、この発明例の耐久性を調べるために行った耐久テストについて説明する。
【0023】
テストの要領は、250ccの4サイクル単気筒エンジンに駆動連結されていて、ピッチ径が69〜126mmの範囲において可変である駆動プーリ10と、プーリ径が105〜158mmの範囲において可変である従動プーリ20とを備えてなるベルト式無段変速機が搭載された二輪自動車を使用し、両プーリ10,20間にベルト1を巻き掛けた。そして、図2に示すように、駆動プーリ10の回転速度が1000rpmでありかつピッチ径が69mmであって、従動プーリ20が無負荷でありかつピッチ径が158mmであるLow状態(駆動側および従動側の各ピッチ径はそれぞれ69mmおよび158mm)から、駆動プーリ10の回転速度を上げ、駆動プーリ10の回転速度が5300rpmであって従動プーリ20の出力が15PS(≒11032.5W)である状態(各ピッチ径はそれぞれ69mmおよび158mm)を経て、20秒後に、図3に示すように、駆動プーリ10の回転速度が7500rpmであって従動プーリ20の出力が18.2PS(≒13386.1W)であるTop状態(各ピッチ径はそれぞれ126mmおよび105mm)とし、次いで、このTop状態を40秒間に亘って維持した後、30秒を掛けて、上記のLow状態に戻すという運転パターンを繰り返し、クラックが発生したときの運転回数を調べるようにした。尚、その運転パターンの特性図を、図4に示しておく。
【0024】
また、比較のために、心線および短繊維の各材料にそれぞれアラミドを用いた従来のダブルコグドVベルトを作製して比較例とし、この比較例に対しても上記のテストを行って、クラック発生までの運転回数を調べた。
【0025】
以上の結果を、図5に併せて示す。尚、同図では、クラック発生運転回数は比較例の場合を100とする指数により表されている。
【0026】
上記の図6から判るように、発明例のベルト寿命は、比較例の場合の2.5倍であった。これは、発明例では、プーリ10,20からの抜け性が向上して逆曲げ方向の変形が生じにくくなり、その結果、下コグ8底面のクラック発生が抑えられたものと考えられる。
【0027】
したがって、本実施形態によれば、心線3が埋設された接着ゴム層2のベルト背面側に積層された上ゴム層4により上コグ7,7,…を形成する一方、ベルト底面側に積層されかつ短繊維が混入されてなる底ゴム層5により下コグ8,8,…を形成するようにしたダブルコグドVベルトにおいて、心線3の材料として、弾性率の低いポリアミドを用いることで、弾性変形を抑制してプーリ10,20に対する弾性滑りを誘発させることができるので、逆曲げ方向の弾性変形に起因する下コグ8底面のクラック発生を回避することができ、よって、ベルト寿命を大幅に改善することができる。
【0028】
また、上記短繊維の材料として、プーリ10,20との間の摩擦係数の低いポリアミドを用いることで、プーリ溝からの抜け性を向上させることができるので、上記の効果を一段と高めることができる。
【0029】
さらに、底ゴム層5のベルト両側面がバフ加工されていることで、短繊維の露出量が多くなっているので、短繊維による抜け性向上機能を十分に発揮することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、心線が埋設された接着ゴム層のベルト背面側に積層された上ゴム層により上コグを形成する一方、ベルト底面側に積層されかつ短繊維が混入されてなる底ゴム層により下コグを形成するようにしたダブルコグドVベルトにおいて、上記心線の材料として、弾性率の低いポリアミドを用いることで、弾性変形を抑制してプーリに対する弾性滑りを誘発させることができるので、逆曲げ方向の弾性変形に起因する下コグ底面のクラック発生を抑えることができ、よって、ベルト寿命を改善することができる。
【0031】
請求項2の発明によれば、上記短繊維の材料として、プーリとの摩擦係数の低いポリアミドを用いることで、プーリからの抜け性を向上させることができるので、上記請求項1の発明による効果を一段と高めることができる。
【0032】
請求項3の発明によれば、上記底ゴム層のベルト両側面がバフ加工されていることで、短繊維の露出量が多くなっているので、短繊維による抜け性向上機能を十分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るダブルコグドVベルトの構成を示す側面図である。
【図2】耐久テストにおける速比がLowであるときの状態を模式的に示す側面図である。
【図3】耐久テストにおける速比がTopであるときの状態を模式的に示す図2相当図である。
【図4】耐久テストの運転パターンを示す特性図である。
【図5】耐久テストにおける発明例および比較例の結果を併せて示す特性図である。
【符号の説明】
1 ダブルコグドVベルト
2 接着ゴム層
3 心線
4 上ゴム層
5 底ゴム層
Claims (3)
- 接着ゴム層と、上記接着ゴム層内に埋設された心線と、上記接着ゴム層のベルト背面側に積層された上ゴム層と、上記接着ゴム層のベルト底面側に積層された底ゴム層と、上記底ゴム層のベルト底面側に積層された帆布層とを備え、ベルト背面側に、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の上コグがベルト長さ方向に並ぶように配置されている一方、ベルト底面側に、各々、ベルト幅方向に延びるように設けられた複数の下コグがベルト長さ方向に並ぶように配置されたダブルコグドVベルトであって、
上記心線は、ポリエステルからなる
ことを特徴とするダブルコグドVベルト。 - 請求項1記載のダブルコグドVベルトにおいて、
底ゴム層は、該底ゴム層のベルト両側面に露出するように設けられた短繊維を有し、
上記短繊維は、ポリアミドからなる
ことを特徴とするダブルコグドVベルト。 - 請求項2記載のダブルコグドVベルトにおいて、
底ゴム部のベルト両側面は、短繊維の露出量が多くなるようにバフ加工されている
ことを特徴とするダブルコグドVベルト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003005509A JP2004218702A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | ダブルコグドvベルト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003005509A JP2004218702A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | ダブルコグドvベルト |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004218702A true JP2004218702A (ja) | 2004-08-05 |
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ID=32896153
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JP (1) | JP2004218702A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010532450A (ja) * | 2007-07-03 | 2010-10-07 | ザ ゲイツ コーポレイション | 動力伝達ベルト |
-
2003
- 2003-01-14 JP JP2003005509A patent/JP2004218702A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010532450A (ja) * | 2007-07-03 | 2010-10-07 | ザ ゲイツ コーポレイション | 動力伝達ベルト |
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