JP2004217847A - ハードコート層形成用塗料組成物及びハードコートフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電離放射線硬化型樹脂、有機または無機の微粒子、アミノ基または、4級アンモニウム基を含有しかつアミン価が1.0〜50mg・KOH/gである(メタ)アクリレート共重合物とを含有するハードコート層形成用塗料組成物を透明な支持体上に塗布し、ハードコート層を設けてハードコートフィルムを作成する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐擦傷性に優れたハードコート層を形成する塗料組成物及び該組成物を塗布してなるハードコート層を有するハードコートフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ、CRT、プラズマディスプレイ等の各種表示体は、その表面の保護基板を通して視覚情報が観察されるようになっている。特に液晶ディスプレイでは、光シャッターの役割をする偏光板がディスプレイの最表面に設けられているが、偏光板自体が耐擦傷性に劣るため、ハードコート層に設ける事によりハード性、防眩性等の機能を付与している。
【0003】
従来より、透明フィルムの上に光拡散剤及び紫外線又は放射線硬化型樹脂からなる層を設け、透明フィルム表面に防眩性、ハード性等の機能を付与したハードコートフィルムが種々提案されている。このような技術は、例えば特開平1−105738号公報等に記載されている。
【0004】
特開平1−105738号公報では、フィルム状の偏光素子に貼合して偏光板を構成するための、耐擦傷性、ノングレア性を付与した透明保護フィルムとして未ケン化のトリアセチルセルロースフィルム(以降TACフィルムと略す)の片面に、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂と無定形シリカからなるハードコート層を設ける事により、耐擦傷性に優れた防眩性を有するTACフィルムとしている。
【0005】
近年、表示体の高精細化や画面の大型化に伴い、塗工層の均一性が重要となっている。すなわち、塗工層の均一性の低下に伴う表示体輝度の不均一により視認性が大幅に低下する。特開平1−105738号公報では、紫外線又は放射線硬化型樹脂に微粒子を添加して防眩性を付与している。しかし、単純に微粒子と紫外線又は放射線硬化型樹脂と混合した場合、微粒子の分散性不良に起因した幾つかの問題が発生し、塗工層の均一性、及び連続生産性が大きく低下する。
【0006】
第一に、単純粉砕により小粒径な微粒子を調製した場合、塗料中にて微粒子同士が凝集するため、小粒径の維持が困難となる。その結果、塗工層が不均一となる。尚、今後表示体の更なる高精細化に対応するために、微粒子を小粒径化する必要があり、小粒径を維持する技術は非常に重要である。
【0007】
第二に、樹脂に対する分散性が低いため、塗工層の均一性が大幅に低下する。すなわち樹脂への分散性が低い場合、乾燥工程において溶剤揮発と平行して微粒子が凝集し、塗工層中の微粒子の分布が不均一になる。
【0008】
そして第三に、塗料安定性が低いため、塗料のポットライフは短くなり、生産性が低下する。塗料安定性が低い場合、塗料中にて微粒子が沈殿凝集を起こし、ハードケーキを形成する。ハードケーキは非常に硬く、再分散が困難であるため、塗料のポットライフは短くなり生産性が低下する。
【0009】
このような微粒子の分散性不良に起因した幾つかの問題を改善するための手段の一つとして、微粒子の分散剤処理が挙げられる。例えば、特開平8−2535701号公報にはメタクリロ系共重合物を含む非水系塗料用顔料(カーボンブラック)の分散剤が開示されている。しかし、紫外線又は放射線硬化型樹脂を含有する塗料に対する分散性を向上する分散剤を得られてはいなかった。また分散剤の種類によっては、紫外線又は放射線硬化型樹脂との相溶性不良に起因した凝集物が発生し、塗工面の均一性は低下する。
【0010】
さらに、TACフィルムは、通常、溶液キャスト法で製膜される為平面性が悪く、且つ透明性が高い為、外観不良無く均一な塗工層を形成する事が非常に困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は視認性に優れ、且つ防眩性、耐擦傷性に優れたハードコート層を均一に形成できる塗料組成物及び該組成物を塗布してなるハードコート層を有するハードコートフィルムを提供する事である。
【0012】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは上記状況を改善すべく検討を行った結果、耐擦傷性や基材フィルムとの密着性を低下させる事なく、塗工層の均一性を向上でき、且つ表示体の視認性を向上させる顔料分散剤を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の上記目的は、(1)紫外線又は放射線硬化型樹脂と、有機又は無機の微粒子と、アミノ基または4級アンモニウム基を含有した(メタ)アクリレート共重合物とを含有するハードコート層形成用塗料組成物、(2)前記(メタ)アクリレート共重合物のアミン価が1.0〜50mg・KOH/gである(1)に記載のハードコート用塗料組成物、(3)前記微粒子がシリカ微粒子である(1)、(2)のいずれか一項に記載のハードコート層形成用塗料組成物、(4)前記微粒子の平均粒径が1μm〜5μmである(1)〜(3)に記載のハードコート層形成用塗料組成物。(5)塗料組成物の硬化時の固形分に対する前記微粒子の割合が3〜40重量%である(1)〜(4)のいずれか一項に記載のハードコート層形成用塗料組成物によって達成された。
【0014】
また、(6)フィルム支持体の上に(1)〜(5)のいずれか一項に記載の塗料組成物を塗布してなるハードコート層を有するハードコートフィルム、(7)フィルム支持体がトリアセチルセルロースフィルムである(6)に記載のハードコートフィルムによって達成された。
なお、(メタ)アクリレート共重合物とは、アクリレート共重合物又はメタクリレート共重合物であることを意味する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の塗料組成物は少なくとも紫外線又は放射線硬化型樹脂と、アミノ基または4級アンモニウム基を含有しアミン価1.0〜50mg・KOH/gである(メタ)アクリレート共重合物と、有機又は無機の微粒子とを、必要に応じ溶媒を使用して混合(溶解又は分散)すればよい。
【0016】
使用する溶媒としては例えばトルエン等の芳香族類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等、公知の有機溶剤を混合して使用できる。透明な支持体がトリアセチルセルロースフィルムである場合は、白化を防止する為トルエン主体とした溶媒を用いる事が好ましい。
【0017】
さらに、性能改良の為、本発明の効果を変えない範囲で、消泡剤、レベリング剤、表面調整剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等を含有する事ができる。
【0018】
本発明で用いられる紫外線又は放射線硬化型樹脂は、電子線(EB)又は紫外線(UV)等を照射することによって硬化する透明な樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂及びエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂等の中から適宜選択することができる。
【0019】
好ましいものとしては分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能(メタ)アクリレートからなるものが挙げられる。分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオ−ルポリ(メタ)アクリレ−ト、ビスフェノ−ルAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレ−トなどのエポキシ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸および/またはその無水物と(メタ)アクリル酸とをエステル化することによって得ることが出来るポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。前記の重合性(メタ)アクリレートは単独でもちいてもまたは2種以上混合して用いてもよい。
【0020】
尚、上記の多官能(メタ)アクリレートの他にハードコート層用塗料の硬化時の紫外線又は放射線硬化型樹脂固形分に対して好ましくは10.0重量%以下のヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレートを配合しても良い。
【0021】
またハードコート層には硬度を調整する目的で使用される重合性オリゴマーを添加することができる。このようなオリゴマーとしては、末端(メタ)アクリレートポリメチル(メタ)アクリレート、末端スチリルポリ(メタ)アクリレート、末端(メタ)アクリレートポリスチレン、末端(メタ)アクリレートポリエチレングリコール、末端(メタ)アクリレートアクリロニトリル−スチレン共重合体、末端(メタ)アクリレートスチレン−メチル(メタ)アクリレ−ト共重合体などのマクロモノマーを挙げることができ、その含有量は塗料組成物の硬化時の固形分に対して、好ましくは5.0〜50.0重量%である。
【0022】
また、紫外線又は放射線硬化型樹脂は重合開始剤を含み、重合開始剤に電離線又は紫外線を照射することによりが紫外線又は放射線硬化型樹脂が硬化するが、この重合開始剤としては、ベンゾフェノン系開始剤、ジケトン系開始剤、アセトフェノン系開始剤、ベンゾイン系開始剤、チオキサントン系開始剤、キノン系開始剤、フェニルフォスフィンオキサイド系開始剤等のいかなる公知の開始剤を用いてもよい。通常重合開始剤は紫外線又は放射線硬化型樹脂に対して1.0〜10.0重量%で用いられる。
【0023】
本発明で用いられる微粒子とは、無機または有機の微粒子であればいずれを使用することができるが、特に無機微粒子、例えばシリカゲル、湿式法シリカ、乾式法シリカ等のシリカ微粒子、マイカ、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム等の金属酸化物微粒子、炭酸カルシウム、タルク等に効果が大きい。本発明においてはこれらの内、1種を用いてもよいし、2種以上混合しても良い。尚、本発明では鮮明性に優れる点でシリカ微粒子を使用することが好ましい。また、微粒子の含有量は塗料組成物の硬化時の固形分に対して好ましくは3〜40重量%であり、更に好ましくは3〜20重量%である。この範囲であれば、ハードコート層に充分な防眩性を付与することができる。
【0024】
微粒子の平均粒径は、充分な防眩性を付与することができるという点で、1μm〜5μmが好ましく、更に好ましくは1μm〜3μmである。これら微粒子の平均粒径は、レーザー回折・散乱法を用いたレーザー回折粒度測定器SALD−2100(島津製作所製)にて測定した。この方法では、粒子を分散した液にレーザー光を当てたときに、回折・散乱する光の強度変化により粒子径を測定する。
【0025】
本発明では、前述した微粒子の分散性向上を目的としてアミノ基または4級アンモニウム基を含有し、アミン価が1.0〜50mg・KOH/gである(メタ)アクリレート共重合物を塗料組成物中に配合する。具体的には、例えばBYK−2000(ビックケミー社製)やフローレンDOPA−33(共栄社化学社製)などが市販されている。
【0026】
本発明においては前述した(メタ)アクリレート共重合物のアミノ基または4級アンモニウム基が微粒子の表面に吸着するため、微粒子の凝集が無く、分散性が向上すると考えられる。特にシリカのようにほぼ中性の有機溶剤中で正に帯電する微粒子に効果が大きい。また、(メタ)アクリル共重合の鎖状部分を有するため、有機溶剤や紫外線または放射線硬化型樹脂に対して適度に溶解し、立体障害効果(鎖状部分同士が微粒子の凝集を妨げる)により、微粒子の分散性が向上すると考えられる。
【0027】
アミン価とは、「試料1g中の、第1級、第2級および第3級アミンの総量を中和するのに必要な塩酸の量を、水酸化カリウムに換算した値」であり、本発明においては1.0〜50mg・KOH/gである事が必要であり、好ましくは3.0mg・KOH/g以上30mg・KOH/g未満である。アミン価が小さい場合、微粒子表面への吸着効率は低下するため、一定の分散性を得るための(メタ)アクリレート共重合物添加量は増加する。その結果、ハード性及び支持体に対する塗工層の密着性が著しく低下する。一方、アミン価が大きい場合、微粒子表面への吸着効率は向上するが、(メタ)アクリレート共重合物1分子が複数の微粒子表面に吸着し、吸着した微粒子同士が引き寄せられて凝集しやすい。尚、上記条件を満たしていれば、(メタ)アクリレート共重合物の極性変更を目的として水酸基、ポリエーテル基等の官能基を有しても良い。
【0028】
本発明においてはアミン価1.0〜50mg・KOH/gである(メタ)アクリレート共重合物の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン標準による求められる重量平均分子量を意味する。その分子量は好ましくは2×103〜5×104であり、更に好ましくは7×103〜3×104である。分子量が小さい場合は、立体障害効果が十分に発現せず、良好な分散性が得られない。分子量が大きい場合は、樹脂との相溶性が低下し、凝集物が生成する。また粘度が高すぎて、取扱いが困難になる。
【0029】
アミン価1.0〜50mg・KOH/gである(メタ)アクリレート共重合物の添加量は、微粒子100重量部に対して1.0重量部以上60重量部未満が好ましく、更に好ましくは2.5重量部以上25重量部未満である。添加量が少ない場合、微粒子の分散性低下に伴い、塗工層の均一性が低下する。一方、添加量が多い場合、ハード性及び支持体に対する塗工層の密着性が著しく低下する。
【0030】
尚、本発明の塗料組成物に用いられる分散液は公知の分散機、すなわちボールミル、ロールミル、ビーズミル、アウトライター、高速ディスパーサー等の分散機を使用する事により調製する事ができる。分散方法は、上記分散機中に有機溶剤、アミン価1.0〜50mg・KOH/gである(メタ)アクリレート共重合物、及び紫外線又は放射線硬化型樹脂を混合、溶解させた後、微粒子を添加することが望ましい。また、微粒子表面に(メタ)アクリレート共重合物が充分吸着し、微粒子の分散性がより向上するという点で、微粒子とアミン価1.0〜50mg・KOH/gである(メタ)アクリレート共重合物とを必要に応じて溶媒を使用して混合し、その後紫外線又は放射線硬化型樹脂と混合することが好ましい。
【0031】
本発明のハードコートフィルムは上述した塗料組成物をフィルム支持体上に塗布し、均一なハードコート層を形成して得られる。本発明のハードコートフィルム支持体は、透明なシ−ト又はフィルム状のものが好ましく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファンフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテルフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム、ポリシクロペンタジエンに代表されるポリシクロオレフィンフィルム等を挙げることが出来るが、本発明においては、特に光学異方性が無いという特徴から液晶表示体に偏光板の部材として広く実用されている、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)を使用することが好ましい。TACフィルムは、通常、溶液キャスト法で製膜されるため平面性が悪く、かつ透明性が高いため、凝集等に起因した欠点がなく均一な塗工層を形成する事が非常に困難である。本発明においては、このように透明性の高い透明支持体上に均一なハードコート層を形成し、ハードコートフィルムを得る際に、特に効果が発現する。
【0032】
本発明のハードコート層は塗料組成物を公知の塗工装置を用いて透明な支持体上に塗工した後、紫外線又は放射線を照射して硬化することにより形成される。公知の塗工装置としては、マイクログラビアコーター、グラビアコーター、マイヤーバーコーター、ダイコーター等の塗工装置を使用できる。塗工時の塗料組成物の粘度、濃度は使用する塗工装置により、適切な値に調整できる。硬化後のハードコート層の膜厚は通常1.0〜20μm、好ましくは3.0〜10μmである。膜厚が大きいと防眩性が低下し、またハードコートフィルムにカールが発生しやすくなる。一方、膜厚が小さいと微粒子が塗工層表面に突出して、表面ヘイズが高まり、光の散乱により表面が白くなり表示体の視認性を著しく低下させる。
【0033】
本発明において、塗料組成物の塗工適性を得るためには、塗料組成物の固形分濃度が15.0〜65.0%未満であることが望ましい。固形分が低い場合、ブラッシングによる乾燥ムラが顕著に発生する傾向にある。固形分が高い場合、塗料組成物の粘度が高くなり、塗工面の均一性が得られない傾向にある。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の塗料組成物及びそれを用いて作製したサンプルの具体的な内容を実施例によって説明すると共に、本塗料組成物及びそれを用いて作成したサンプルを比較例と対比して説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、同一の化合物については特記しない限り同一の製品をを用いた
(分散剤の合成実施例)
本発明で用いられる分散剤の合成実施例を以下に示す。
【0035】
環流冷却器、温度計、攪拌器、および滴下漕を備えた装置にキシレン120部を入れ、液温を100℃に固定した。窒素雰囲気下にて、ブチルメタクリレート15部、メチルメタクリレートマクロモノマー(マクロモノマーAA−6、東亜合成化学工業社製)5部、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物(ライトエステルDQ−100、共栄社化学社製)15部、ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、ドデシルメルカプタン4部、アゾビスイソブチロニトリル1部の混合溶液を約3時間かけてキシレンに滴下した。滴下終了後、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.5部を加えて、100℃にて2時間反応させ共重合物を合成した。得られた共重合物の重量平均分子量をゲルパーミエーションにて測定したところ、14000であった。
【0036】
尚、下記の共重合物B〜Eについて、使用するモノマー割合の変更、及び重合調整剤量(ドデシルメルカプタン等)の変更により、容易に合成可能であった。本発明の実施例に用いられるメタ(アクリレート)共重合物の一欄を以下に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
尚、本発明で用いられる分散剤のアミン価は以下の方法にて測定した。
(装置及び器具)
三角フラスコ(100ml)
(試薬)
エタノール性塩酸、中性エタノール(試薬1級エタノールを使用直前にブロムクレゾールグリーン(以下BCGと略す)指示薬を用いて0エタノール性塩酸で中和したもの)
(操作)
試料2gを三角フラスコに測り取り、これに中性エタノール50mlを加え溶解する。
BCG指示薬を2〜3滴加え、エタノール性塩酸で滴定し、緑色から黄色に変わる点を第1終点とする。第1終点後、静置状態で更にBCG指示薬2〜3滴を加え、拡散前に指示薬を滴下した場所が橙色から変色すれば、エタノール性塩酸を微量加えてよく振り混ぜる。この操作を繰り返し、BCG指示薬が橙色のまま変色しなくなる点を第2終点とし、これを最終終点とする。
(計算)
次の計算式により、アミン価を小数点第1位まで算出する。
【0039】
アミン価=11.22×A×f/S
(ただし、A:エタノール性塩酸使用量(ml)、f:エタノール性塩酸の濃度(mol/dm3)、S:試料採取量(g)を指す)
【0040】
実施例1
80μmのTACフィルム(フジタック;富士フィルム社製)の一方の面に、下記表1の塗料組成物1をバーコーターにて塗工し、60℃のドライヤーで希釈溶剤を蒸発させた後、UV光を照射し、ハードコートフィルムを得た。この時の塗工層の厚みは5μmであった。
【0041】
【表2】
【0042】
実施例2
下記表2の塗料組成物2を用いた以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
【0043】
【表3】
【0044】
実施例3
下記表3の塗料組成物3を用いた以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
【0045】
【表4】
【0046】
実施例4
下記表4の塗料組成物4を用いた以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
【0047】
【表5】
【0048】
実施例5
下記表5の塗料組成物5を用いた以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
【0049】
【表6】
【0050】
実施例6
塗料組成物1の配合において、共重合物Aの添加量を1.0重量部とした以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
実施例7
塗料組成物1の配合において、共重合物Aの添加量を8.0重量部とした以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
実施例8
塗料組成物1の配合において、共重合物Aの添加量を11.0重量部とした以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
【0051】
比較例1
塗料組成物1の配合において、共重合物Aを添加しないこと以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
比較例2
下記表6の塗料組成物6を用いた以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
【0052】
【表7】
【0053】
比較例3
下記表7の塗料組成物7を用いた以外は実施例1と同様に塗料調製後、ハードコートフィルムを作製した。
【0054】
【表8】
【0055】
実施例1〜8および比較例1〜3のように調製した塗料組成物及びそれを用いて作製したハードコートフィルムについて、下記の手順に従って評価を行った。評価結果を以下の表にまとめる。
(1)塗料組成物の沈降性
調製した塗料を試験管に入れて24時間後静置させた後、液の沈降状態を目視にて評価した。試験管底部に沈殿物が生成せず、均一に分散している場合を「○」、沈降物が生成している場合を「×」とした。
(2)塗工面の均一性
フィルムを通してバックライト光を観察し、塗工層の均一性を評価した。
(3)透過率
分光光度計UV−3100(島津製作所製)を使用し、測定を実施した。550nmにおける透過率について、91.0%以上を「良好」、91.0%未満を「不良」とした。
【0056】
(4)鮮明値(視認性)
写像性測定器(スガ試験機製)を使用し、透過の鮮明値を測定し(JIS K7105に準拠)、視認性を評価した。各櫛の合計値が70以上である場合を「○」、50以上70未満である場合を「△」、50未満である場合を「×」とした。(5)密着性
碁盤目テープ法によりハードコート層の密着性を評価した(JIS K5400に準拠)。試験後、塗工層の残存率が100%であるものを「○」、残存率が50%〜99%であるものを「△」、残存率が50%未満であるものを「×」とした。
(6)耐擦傷性
堅牢度試験機を用いて、スチールウール#0000を250g/cm2荷重にて100往復させて試験を行い、外観変化を目視で確認した。塗膜表面の傷が無い場合を「○」、傷が1本以上10本未満入った場合を「△」、傷が10本以上入った場合を「×」とした。
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】
本発明である実施例1〜8で得られたハードコートフィルムは塗工面が均一で、かつ視認性に優れ、耐擦傷性も優れていた。一方、本発明の(メタ)アクリレート共重合物を配合しない比較例1、(メタ)アクリレート共重合物の代わりに、他の組成に分散剤を用いた比較例2,3は塗料組成物における微粒子の分散性が悪く、また、得られたハードコートフィルムは視認性が低いものであった。
【発明の効果】
本発明の塗料組成物においては、微粒子の凝集が無く、これを透明なフィルム状に塗布して得られたハードコートフィルムは視認性に優れ、且つ耐擦傷性に優れていた。特に、シリカ微粒子は表面に水酸基を有し、紫外線または放射線硬化型樹脂との分散性が悪いが、アミノ基または4級アンモニウム基を含有した(メタ)アクリレート共重合物とを含有するハードコート層形成用塗料組成物を分散剤として用いることで、分散性を向上することが可能となる。
Claims (7)
- 紫外線又は放射線硬化型樹脂と、有機又は無機の微粒子と、アミノ基または4級アンモニウム基を含有した(メタ)アクリレート共重合物とを含有するハードコート層形成用塗料組成物。
- 前記(メタ)アクリレート共重合物のアミン価が1.0〜50mg・KOH/gである請求項1に記載のハードコート用塗料組成物。
- 前記微粒子がシリカ微粒子である請求項1又は2のいずれか一項に記載のハードコート層形成用塗料組成物。
- 前記微粒子の平均粒径が1μm〜5μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のハードコート層形成用塗料組成物。
- 塗料組成物の硬化時の固形分に対する前記微粒子の割合が3〜40重量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載のハードコート層形成用塗料組成物。
- フィルム支持体の上に請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗料組成物を塗布してなるハードコート層を有するハードコートフィルム。
- フィルム支持体がトリアセチルセルロースフィルムである請求項6に記載のハードコートフィルム。
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