JP2004217536A - トリプチセンジアミン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の原料、エポキシ樹脂硬化剤等に用いられるアミノ化合物に関する。また、特に本発明は、光導波路、光フィルタ、レンズ等の光部品のための、耐熱性に優れた屈折率及び複屈折率の小さいポリイミド樹脂の合成に適用されるジアミノ化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は、耐熱性、電気的特性、機械的物性に優れたエンジニアリングプラスチックとして知られており、電子機器分野における保護材料、絶縁材料あるいは構造材料として広く用いられている。このような分野では、例えば、LSIの層間絶縁膜やプリント板などでは、低誘電率、低熱膨張係数、低吸湿性を有することが求められてきた。また、最近ではポリイミドは光通信分野にも適用され始めている。光通信分野特に光導波路用材料としては、上記のようなポリイミドの特性に併せて屈折率が低いことが期待されている。また、一般に光学材料として有機ポリマを適用しようとした場合、耐熱性、光透過性、低屈折性、低熱膨張性、低吸湿性などのほかに複屈折率の低いことが期待されている。光が複屈折を有する透明媒体中に進入した場合、媒体の光学的異方性により、方向により光の速度が異なる結果、例えば、複屈折の大きい材料を光学レンズに使用すると、光のコントラストが低下し、鮮明な像が得られないなどの問題が生じるからである。
【0003】
光学部品用ポリイミドとしては、例えば、特許文献1及び特許文献2には、ポリイミド骨格を剛直構造にし、フッ素置換基を導入することにより、熱膨張係数、誘電率、屈折率を低減できるという報告が示されている。しかし、光部品用材料として重要な複屈折率については全く触れられていない。本発明者らは、特定のトリプチセンジアミン類を用いたポリイミド樹脂が上記のような光学特性に優れることを見出したが、従来必ずしもこのようなジアミン類を容易に合成する方法は知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平2−251564号公報
【特許文献2】特開平3−72528号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の原料、エポキシ樹脂硬化剤等に用いられるアミノ化合物、また、特に従来の光学用ポリイミドで問題であった複屈折を低減できるポリイミド材料を合成するためのアミノ化合物及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の一般式(I)で表されるトリプチセンジアミンを提供するものである。
【0007】
【化3】
[式中、X及びYの一方はNH2基を示し、他方は水素又はR3を表し、R1、R2、R3は同じでもあるいは異なっていてもよく、水素、ハロゲン又は炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキルを示す。]
本発明はまた、4−ニトロアントラニル酸のジアゾ化物をアントラセン誘導体と反応させ、得られたトリプチセンのニトロ置換体を還元することを特徴とする一般式(I)で表されるトリプチセンジアミンの製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の上記一般式(I)のトリプチセンジアミン類は、一般式(II)で表されるトリプチセンのニトロ置換体を還元することによって合成することが出来る。
【0009】
【化4】
[式中、X及びYの一方はNO2基を示し、他方は水素又はR3を表し、R1、R2、R3は同じでもあるいは異なっていてもよく、水素、ハロゲン又は炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキルを示し、R4はNO2又はNHR5を示し、R5はアセチル基などのアシル基を示す。]
【0010】
この一般式(II)で表されるニトロ置換体は置換アントラセンと4−ニトロアントラニル酸のジアゾ化物を反応させることによって得ることが出来る。この反応の反応溶媒はジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタンなどを用いることが出来る。反応温度は0〜5℃、反応時間は2〜8時間程度が好適である。
一般式(II)のトリプチセンのニトロ置換体の還元には、通常の還元手段が適用できる。例えば、Pd−炭素、白金黒などを触媒とする水素による接触還元、錫と塩酸、鉄と塩酸あるいは亜鉛末と塩酸などの金属と酸による還元などを用いることが出来る。この反応の反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドなどを用いることが出来る。反応温度は5〜120℃、反応時間は1〜15時間程度が好適である。
【0011】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。
(実施例1) 2,6−ジアミノトリプチセンの合成
まず、以下の方法により、2−アセトアミノ−6及び7−ニトロトリプチセン(IIA及びIIB)を合成した。
4−ニトロアントラニル酸3.5g(0.019mol)をTHF100gに溶解し、この溶液に、氷冷、攪拌下、亜硝酸イソペンチル3.5g(0.030mol)を1時間かけて加え、滴下終了後更に1時間攪拌を続けた。白色の結晶が析出するのでこれを濾取、THF(テトラヒドロフラン)で洗浄し亜硝酸イソペンチルを含まないジアゾニウム塩の結晶を得た。1,2−ジメトキシエタン20ml中にこのジアゾニウム塩を懸濁し、2−アセトアミノアントラセン5g(0.213mol)の1,2−ジメトキシエタン400ml溶液中に、85〜86℃に加熱し、還流下に少量ずつ、1時間30分かけて加えた。反応をTLC(薄層クロマトグラフィ)でチェックしたところ、未反応の2−アセトアミノアントラセンが認められたので、3.5gの4−ニトロアントラニル酸を上記と同様に反応させて得たジアゾニウム塩を追加して加えた。反応生成物を酢酸エチルとヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィによって精製し、2種のトリプチセン誘導体、2−アセトアミノ−6及び7−ニトロトリプチセン(IIA及びIIB)をそれぞれ1.5gずつ得た。
【0012】
次に、上記2−アセトアミノ−6−ニトロトリプチセン(IIA)を還元して、2−アセトアミノ−6−アミノトリプチセンを合成した。2−アセトアミノ−6−ニトロトリプチセン(IIA)2.2gのテトラヒドロフラン50ml溶液に塩酸10mlを加え、この中に、室温で攪拌下に亜鉛末8.5gを少量ずつ添加した。8時間攪拌を続け、TLCでニトロ体が消失したことを確認し、溶液を減圧で濃縮した。水を加えて炭酸ナトリウムでアルカリ性とし、生じた沈殿を濾取した。かくして、2−アセトアミノ−6−アミノトリプチセンの粗生成物を得、これを酢酸エチルとヘキサンを展開溶媒として、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィによって精製した。殆ど白色の結晶として、2−アセトアミノ−6−アミノトリプチセンが1.8g(収率:90%)得られた。
【0013】
次に、アセトアミノ基を加水分解することにより、2,6−ジアミノトリプチセン(IA)を合成した。2−アセトアミノ−6−アミノトリプチセン1.8gを酢酸100mlに溶解し、濃塩酸15mlを加え100℃で加熱した。TLCで反応が完結したことを確認して冷却後水を加え、炭酸ナトリウムでアルカリ性にし、生じる沈殿物を濾取、水洗、乾燥し2,6−ジアミノトリプチセン(IA)を得た(1.5g、反応収率96%)。シリカゲル及び/あるいはアルミナでカラムクロマトグラフィを行って精製した。
2,6−ジアミノトリプチセン(IA):
殆ど白色の粉末状固体
融点226℃
1H−核磁気共鳴スペクトル(CDCl3)δ(ppm):3.49(s、4H)、5.15(s、2H)、6.25(m、2H)、6.74(m、2H)、6.92(m、2H)、7.10(m、2H)、7.29(m、2H)
【0014】
(実施例2) 2,7−ジアミノトリプチセンの合成
2−アセトアミノ−7−ニトロトリプチセンを用いた以外は実施例1と同じ方法で、反応収率95%で2,7−ジアミノトリプチセンを得た。
2,7−ジアミノトリプチセン(IB):
融点240℃
1H−核磁気共鳴スペクトル(CDCl3)δ(ppm):3.50(s、4H)、5.13(s、1H)、5.18(s、1H)、6.25(m、2H)、6.74(m、2H)、6.92(m、2H)、7.10(m、2H)、7.29(m、2H)
【0015】
(実施例3)
2−アセトアミノアントラセンの代わりに2−ニトロアントラセンを用いた以外は合成例1と同じ方法で4−ニトロアントラニル酸のジアゾニウム塩と同様な反応を行った。得られたトリプチセン誘導体、2,6−及び2,7−ジニトロトリプチセンをPd−Cを触媒として水素で接触還元し、2,6−及び2,7−ジアミノトリプチセンを得た。このものは、実施例1で得られたIA及びIBと同じものであることがNMRスペクトルより確認された。
【0016】
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、4−ニトロアントラニル酸の代わりに5−ニトロアントラニル酸を用いてトリプチセン誘導体の合成を行った。5−ニトロアントラニル酸は亜硝酸イソペンチルとの反応が十分に進行せず、殆ど目的とするトリプチセンのニトロ置換体を得ることが出来なかった。
【0017】
以上説明したように、本発明の方法、すなわち4−ニトロアントラニル酸誘導体のジアゾ化物をアントラセン誘導体と反応させ、得られたトリプチセンのニトロ置換体を還元することにより一般式(I)で表されるトリプチセンジアミンを容易に製造することが可能である。
【0018】
【発明の効果】
本発明の新規な芳香族ジアミンは、高分子材料のモノマー、例えばポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂等の原料、あるいはエポキシ化合物等の硬化剤として有用な化合物である。本発明のトリプチセン骨格を有するポリイミド樹脂は、アミノトリプチセン構造をポリイミドの基本骨格に導入することにより、堅固で非平面的構造を持つイミド結合を形成し、このため剛直性や低複屈折性が付与され、極めて高い耐熱性と優れた寸法安定性や機械的強度及び電気的特性並びに優れた光学的特性を有する。また、本発明の製造方法によれば、本発明の芳香族ジアミンを収率良く得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の原料、エポキシ樹脂硬化剤等に用いられるアミノ化合物に関する。また、特に本発明は、光導波路、光フィルタ、レンズ等の光部品のための、耐熱性に優れた屈折率及び複屈折率の小さいポリイミド樹脂の合成に適用されるジアミノ化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は、耐熱性、電気的特性、機械的物性に優れたエンジニアリングプラスチックとして知られており、電子機器分野における保護材料、絶縁材料あるいは構造材料として広く用いられている。このような分野では、例えば、LSIの層間絶縁膜やプリント板などでは、低誘電率、低熱膨張係数、低吸湿性を有することが求められてきた。また、最近ではポリイミドは光通信分野にも適用され始めている。光通信分野特に光導波路用材料としては、上記のようなポリイミドの特性に併せて屈折率が低いことが期待されている。また、一般に光学材料として有機ポリマを適用しようとした場合、耐熱性、光透過性、低屈折性、低熱膨張性、低吸湿性などのほかに複屈折率の低いことが期待されている。光が複屈折を有する透明媒体中に進入した場合、媒体の光学的異方性により、方向により光の速度が異なる結果、例えば、複屈折の大きい材料を光学レンズに使用すると、光のコントラストが低下し、鮮明な像が得られないなどの問題が生じるからである。
【0003】
光学部品用ポリイミドとしては、例えば、特許文献1及び特許文献2には、ポリイミド骨格を剛直構造にし、フッ素置換基を導入することにより、熱膨張係数、誘電率、屈折率を低減できるという報告が示されている。しかし、光部品用材料として重要な複屈折率については全く触れられていない。本発明者らは、特定のトリプチセンジアミン類を用いたポリイミド樹脂が上記のような光学特性に優れることを見出したが、従来必ずしもこのようなジアミン類を容易に合成する方法は知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平2−251564号公報
【特許文献2】特開平3−72528号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の原料、エポキシ樹脂硬化剤等に用いられるアミノ化合物、また、特に従来の光学用ポリイミドで問題であった複屈折を低減できるポリイミド材料を合成するためのアミノ化合物及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の一般式(I)で表されるトリプチセンジアミンを提供するものである。
【0007】
【化3】
[式中、X及びYの一方はNH2基を示し、他方は水素又はR3を表し、R1、R2、R3は同じでもあるいは異なっていてもよく、水素、ハロゲン又は炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキルを示す。]
本発明はまた、4−ニトロアントラニル酸のジアゾ化物をアントラセン誘導体と反応させ、得られたトリプチセンのニトロ置換体を還元することを特徴とする一般式(I)で表されるトリプチセンジアミンの製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の上記一般式(I)のトリプチセンジアミン類は、一般式(II)で表されるトリプチセンのニトロ置換体を還元することによって合成することが出来る。
【0009】
【化4】
[式中、X及びYの一方はNO2基を示し、他方は水素又はR3を表し、R1、R2、R3は同じでもあるいは異なっていてもよく、水素、ハロゲン又は炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキルを示し、R4はNO2又はNHR5を示し、R5はアセチル基などのアシル基を示す。]
【0010】
この一般式(II)で表されるニトロ置換体は置換アントラセンと4−ニトロアントラニル酸のジアゾ化物を反応させることによって得ることが出来る。この反応の反応溶媒はジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタンなどを用いることが出来る。反応温度は0〜5℃、反応時間は2〜8時間程度が好適である。
一般式(II)のトリプチセンのニトロ置換体の還元には、通常の還元手段が適用できる。例えば、Pd−炭素、白金黒などを触媒とする水素による接触還元、錫と塩酸、鉄と塩酸あるいは亜鉛末と塩酸などの金属と酸による還元などを用いることが出来る。この反応の反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドなどを用いることが出来る。反応温度は5〜120℃、反応時間は1〜15時間程度が好適である。
【0011】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。
(実施例1) 2,6−ジアミノトリプチセンの合成
まず、以下の方法により、2−アセトアミノ−6及び7−ニトロトリプチセン(IIA及びIIB)を合成した。
4−ニトロアントラニル酸3.5g(0.019mol)をTHF100gに溶解し、この溶液に、氷冷、攪拌下、亜硝酸イソペンチル3.5g(0.030mol)を1時間かけて加え、滴下終了後更に1時間攪拌を続けた。白色の結晶が析出するのでこれを濾取、THF(テトラヒドロフラン)で洗浄し亜硝酸イソペンチルを含まないジアゾニウム塩の結晶を得た。1,2−ジメトキシエタン20ml中にこのジアゾニウム塩を懸濁し、2−アセトアミノアントラセン5g(0.213mol)の1,2−ジメトキシエタン400ml溶液中に、85〜86℃に加熱し、還流下に少量ずつ、1時間30分かけて加えた。反応をTLC(薄層クロマトグラフィ)でチェックしたところ、未反応の2−アセトアミノアントラセンが認められたので、3.5gの4−ニトロアントラニル酸を上記と同様に反応させて得たジアゾニウム塩を追加して加えた。反応生成物を酢酸エチルとヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィによって精製し、2種のトリプチセン誘導体、2−アセトアミノ−6及び7−ニトロトリプチセン(IIA及びIIB)をそれぞれ1.5gずつ得た。
【0012】
次に、上記2−アセトアミノ−6−ニトロトリプチセン(IIA)を還元して、2−アセトアミノ−6−アミノトリプチセンを合成した。2−アセトアミノ−6−ニトロトリプチセン(IIA)2.2gのテトラヒドロフラン50ml溶液に塩酸10mlを加え、この中に、室温で攪拌下に亜鉛末8.5gを少量ずつ添加した。8時間攪拌を続け、TLCでニトロ体が消失したことを確認し、溶液を減圧で濃縮した。水を加えて炭酸ナトリウムでアルカリ性とし、生じた沈殿を濾取した。かくして、2−アセトアミノ−6−アミノトリプチセンの粗生成物を得、これを酢酸エチルとヘキサンを展開溶媒として、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィによって精製した。殆ど白色の結晶として、2−アセトアミノ−6−アミノトリプチセンが1.8g(収率:90%)得られた。
【0013】
次に、アセトアミノ基を加水分解することにより、2,6−ジアミノトリプチセン(IA)を合成した。2−アセトアミノ−6−アミノトリプチセン1.8gを酢酸100mlに溶解し、濃塩酸15mlを加え100℃で加熱した。TLCで反応が完結したことを確認して冷却後水を加え、炭酸ナトリウムでアルカリ性にし、生じる沈殿物を濾取、水洗、乾燥し2,6−ジアミノトリプチセン(IA)を得た(1.5g、反応収率96%)。シリカゲル及び/あるいはアルミナでカラムクロマトグラフィを行って精製した。
2,6−ジアミノトリプチセン(IA):
殆ど白色の粉末状固体
融点226℃
1H−核磁気共鳴スペクトル(CDCl3)δ(ppm):3.49(s、4H)、5.15(s、2H)、6.25(m、2H)、6.74(m、2H)、6.92(m、2H)、7.10(m、2H)、7.29(m、2H)
【0014】
(実施例2) 2,7−ジアミノトリプチセンの合成
2−アセトアミノ−7−ニトロトリプチセンを用いた以外は実施例1と同じ方法で、反応収率95%で2,7−ジアミノトリプチセンを得た。
2,7−ジアミノトリプチセン(IB):
融点240℃
1H−核磁気共鳴スペクトル(CDCl3)δ(ppm):3.50(s、4H)、5.13(s、1H)、5.18(s、1H)、6.25(m、2H)、6.74(m、2H)、6.92(m、2H)、7.10(m、2H)、7.29(m、2H)
【0015】
(実施例3)
2−アセトアミノアントラセンの代わりに2−ニトロアントラセンを用いた以外は合成例1と同じ方法で4−ニトロアントラニル酸のジアゾニウム塩と同様な反応を行った。得られたトリプチセン誘導体、2,6−及び2,7−ジニトロトリプチセンをPd−Cを触媒として水素で接触還元し、2,6−及び2,7−ジアミノトリプチセンを得た。このものは、実施例1で得られたIA及びIBと同じものであることがNMRスペクトルより確認された。
【0016】
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、4−ニトロアントラニル酸の代わりに5−ニトロアントラニル酸を用いてトリプチセン誘導体の合成を行った。5−ニトロアントラニル酸は亜硝酸イソペンチルとの反応が十分に進行せず、殆ど目的とするトリプチセンのニトロ置換体を得ることが出来なかった。
【0017】
以上説明したように、本発明の方法、すなわち4−ニトロアントラニル酸誘導体のジアゾ化物をアントラセン誘導体と反応させ、得られたトリプチセンのニトロ置換体を還元することにより一般式(I)で表されるトリプチセンジアミンを容易に製造することが可能である。
【0018】
【発明の効果】
本発明の新規な芳香族ジアミンは、高分子材料のモノマー、例えばポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂等の原料、あるいはエポキシ化合物等の硬化剤として有用な化合物である。本発明のトリプチセン骨格を有するポリイミド樹脂は、アミノトリプチセン構造をポリイミドの基本骨格に導入することにより、堅固で非平面的構造を持つイミド結合を形成し、このため剛直性や低複屈折性が付与され、極めて高い耐熱性と優れた寸法安定性や機械的強度及び電気的特性並びに優れた光学的特性を有する。また、本発明の製造方法によれば、本発明の芳香族ジアミンを収率良く得ることができる。
Claims (3)
- 4−ニトロアントラニル酸のジアゾ化物をアントラセン誘導体と反応させ、得られた一般式(II)で表されるトリプチセンのニトロ置換体を還元することを特徴とする請求項1記載の一般式(I)で表されるトリプチセンジアミンの製造方法。
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JP2003004334A JP2004217536A (ja) | 2003-01-10 | 2003-01-10 | トリプチセンジアミン及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106955605A (zh) * | 2017-05-17 | 2017-07-18 | 南京工业大学 | 一种聚酰胺VOCs 截留型聚合物分离膜及其制备方法 |
CN108291028A (zh) * | 2015-10-08 | 2018-07-17 | 阿卜杜拉国王科技大学 | 邻位取代的基于三蝶烯的二胺、单体和聚合物,其制备方法及用途 |
-
2003
- 2003-01-10 JP JP2003004334A patent/JP2004217536A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108291028A (zh) * | 2015-10-08 | 2018-07-17 | 阿卜杜拉国王科技大学 | 邻位取代的基于三蝶烯的二胺、单体和聚合物,其制备方法及用途 |
US10619009B2 (en) * | 2015-10-08 | 2020-04-14 | King Abdullah University Of Science And Technology | Ortho-substituted triptycene-based diamines, monomers, and polymers, methods of making and uses thereof |
CN108291028B (zh) * | 2015-10-08 | 2020-09-11 | 阿卜杜拉国王科技大学 | 邻位取代的基于三蝶烯的二胺、单体和聚合物,其制备方法及用途 |
CN106955605A (zh) * | 2017-05-17 | 2017-07-18 | 南京工业大学 | 一种聚酰胺VOCs 截留型聚合物分离膜及其制备方法 |
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