JP2004217361A - シートロールの製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シートの巻き取り始端と終端の生成と、それら端部の芯管と小ロールへの固着に至る行程の自動化を図る。
【解決手段】シートSの切断位置にシートの固定テーブルTと、その上方に接着材の吐出ノズルとカッタ41を備えたシートの切断装置を設ける。その下流に、送り出した小ロールを受けて自転させる対の送りローラとせき止めローラを設ける。芯管Cとスリッタの間にはシートの張力付与手段30を設け、シートSの切断と接着材aの塗布の後、接着材aを塗布した巻き取り始端S1 を芯管Cの周面に接着させるべく巻き取りローラ1を反転させてシートを引き戻す際、隣接する小幅のシートが重ならないよう、芯管Cとスリッタの間で弛んでいるシートを押圧して緊張状態にする。巻き取り終端は対の送りローラとせき止めローラで自転している小ロールに引き込まれて、その周面に自動的に接着する。
【選択図】 図10
【解決手段】シートSの切断位置にシートの固定テーブルTと、その上方に接着材の吐出ノズルとカッタ41を備えたシートの切断装置を設ける。その下流に、送り出した小ロールを受けて自転させる対の送りローラとせき止めローラを設ける。芯管Cとスリッタの間にはシートの張力付与手段30を設け、シートSの切断と接着材aの塗布の後、接着材aを塗布した巻き取り始端S1 を芯管Cの周面に接着させるべく巻き取りローラ1を反転させてシートを引き戻す際、隣接する小幅のシートが重ならないよう、芯管Cとスリッタの間で弛んでいるシートを押圧して緊張状態にする。巻き取り終端は対の送りローラとせき止めローラで自転している小ロールに引き込まれて、その周面に自動的に接着する。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、不織布や抄紙された紙などのシートを、所定長さ分、芯管に巻き取るシートロールの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートロールの製造装置では、幅寸法の大きい原反のシートを芯管に巻き取ってシートを一体化したものを輪切りにして作製するのではなく、シートを芯管に巻き取る前に、原反の幅広のシートを所望の幅寸法のものに分割し、分割した小幅のシートを、その幅寸法に対応する長さに分割した芯管に巻き取って作製する。それは、シートロールの外形が1000mmにも達するようなものを作製する場合には、巻き取り完了後のシートロールを輪切りにしようとしても、切刃がロールの周面に切り込めないからである。
【0003】
そのような原反の幅広のシートを途中で分割して小幅のシートロールを製造する装置においては、シートを芯管に巻き始める際のシートの始端の芯管への固着と、巻き終わりに、シートの終端を小ロールの周面に固着させる作業は、長らく人手で行われていたが、それを自動化したものの一例が下記の文献(特許文献1)に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−327187号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示された装置は、シートの始端と終端に粘着テープを自動的に貼着して、各端部をそれぞれ芯管と巻き取りを終えた小ロールの外周面に自動的に接着させるものであるが、この発明では、シートの端部を固着させる手段として、粘着テープを用いるのではなく、接着材を採用したものについて、それを自動化することを試みたものである。
【0006】
ただし、その製造の方式として、原反ロールから引き出したシートをスリッタで小幅シートに分割し、分割した小幅シートをそれに対応する長さの芯管に所定長巻き取り、巻き取った小ロールを小幅シートから切り離さずに巻き解きながら下流側に送り出し、巻き解かれた小幅シートを所定の位置で切断し、切断した小幅シートの上流側端部を新たな芯管への巻き取り始端とし、下流側端部を前記小ロールへの巻き取り終端とする方式のシートロールの製造装置を念頭に置いている。
【0007】
なお、接着材を使用すれば、粘着テープ(両面テープ)の剥離紙の廃棄に伴うゴミの処理を割愛できるという利点がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明のシートロールの製造装置は、前記巻き解かれた小幅シートを切断する位置に、その小幅シートを固定する固定手段と、その固定手段で固定した小幅シートを幅方向に切断する切断装置を設け、その切断装置に前記小幅シートの巻き取り始端と終端に接着材を塗布する塗布装置を併設し、その切断装置の下流に、前記下流側に送り出された小ロールを受け止めて、巻き解かれた小幅シートを再巻き取りして小幅シートの終端を小ロールの外周面に接着する再巻き取り手段を設け、前記小幅シートを小ロールに巻き取る小ロール巻き上げ装置に、下流側にある小幅シートを引き戻してこの小幅シートの始端を新たな芯管に接着するための小幅シート引き戻し機構を設け、前記スリッタと前記小ロール巻き上げ装置との間に、小幅シートの前記引き戻し中及び引き戻した小幅シートの新たな芯管への巻き上げ中に、この引き戻した小幅シートに弛みが生じないように張力を付与する張力付与手段を設けた構成のものとしたのである。
【0009】
この装置にあっては、先ず、巻き上げた小ロールが小ロール巻き上げ装置から下流側に送り出されたとき、小ロール巻き上げ装置より上流の小幅シートは小ロール巻き上げ装置と原反ロールとの間で張力が付与されている。この状態で、前記シートの固定手段により、その巻き解かれた部分のシートを固定して、前記切断装置を動作させて、シートを幅方向に切断し、同時に、その切断装置に併設した接着材塗布手段により、切断位置で仕切られたシートの巻き取り始端と終端に接着材を塗布する。
【0010】
次に、シートの固定手段の固定作用を解除して、それと同時に、その固定手段の上流側では、新たな芯管とスリッタの間に存在するシートを、巻き取り時の逆転動作によって上流のスリッタ側に引き戻し、接着材の塗布された巻き取り始端を新たな芯管の周面に接着させるようにする。巻き取り時の逆転動作とは、具体的には、後述の実施形態の図10を参照して説明すると、対の巻き取りローラ1、および、巻き取りローラ1とスリッタ6の間に存在する送りローラ2、3の、シートSの巻き取り時とは反対向きの回転(図の時計回り)である。このシートの引き戻しの際に、上記シートの張力付与手段を動作させるのである。以下、暫し、この張力付与手段の作用について述べる。
【0011】
芯管とスリッタの間にあるシートを引き戻す際、スリッタより上流側のシートは二度切りを防ぐために固定されているが、芯管とスリッタの間に存在する小幅のシートは、上記逆転動作が始まると、上記張力付与手段が無い場合には、その芯管とスリッタの間で弛むようになる。シートが弛むと、幅方向にずれるおそれがあり、ずれた小幅のシートは、再び、(新しい芯管への)巻き取り動作が始まると、蛇行してそれが巻き取られるべき芯管に正しく巻き取られず、隣の芯管に跨がって巻き取られるようになる。それを防ぐために、前記シートの張力付与手段により、弛んでいるシートを緊張状態に保ちながら引き戻すのである。こうして、そのシートの引き戻し動作により、接着材が塗布された巻き取り始端が新しい芯管の周面に接着されると、再び、原反ロール側からのシートの供給と芯管への巻き取り動作が始まって新しい小ロールが生成されていく。
【0012】
その際、張力付与手段によるシートの緊張は、巻き取り始端が新しい芯管の周面に接着するまでだけでなく、新たな芯管への小ロールの巻き取りが開始された後も、引き戻したシートがすべて巻き取られて、巻き取りローラとスリッタの間のシートが元の緊張状態に復するまで続く。
【0013】
他方、下流側では、シートの切断と巻き取り終端の固定解除と同時に、前記再巻き取り手段により、巻き解かれたシートが小ロール側に巻き取られるので、接着材の塗布された巻き取り終端が小ロールの周面に自動的に接着する。こうして、一部が巻き解かれていた小ロールが完成品のシートロールとなる。
【0014】
以降、上記の動作が繰り返されて、小幅のシートロールが、順次、生産されていく。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この実施形態の装置の発明に係る主要部のみを模式的な正面図で示したものである。この主要部は、図に示す一点鎖線で仕切った右側のシートの「巻き取り部」と、左側の「製品搬出部」から成る。シートの巻き取り部の上流側(図の右側)には原反ロールを備えた「シートの供給部」と、「芯管の切断・供給機構」がある。それらシートの供給部と芯管の切断・供給機構は、いずれも、公知技術に基づく構成と作用を成すものであり、この発明の本質の部分ではないので、これらの部分についての図示と説明は省略する。以下では、主要部として、上記巻き取り部と製品搬出部のみを説明し、その動作については、これら主要部に、前記シートの供給部からシートと、芯管の切断・供給機構からは所定の長さに切断された芯管とが自動的に供給されてくるところから説明する。以下、先ず、上記主要部の構成について説明する。
【0016】
前記シートの巻き取り部には、水平面上に互いに軸芯を平行にして対向する一対の巻き取りローラ1が設けられている。この巻き取りローラ1は、それらを同じ向き(図の反時計回り)に回転させて、その谷間に芯管Cを載置することにより、芯管Cを図の時計回りに接触回転させ、その芯管Cと巻き取りローラ1との接触面に上流側からシートSを供給して、芯管Cに巻き取っていく。この巻き取りローラ1の上流側の四つのローラ2、3、4、5は、いずれも、図示しない前記シートの供給部から、その巻き取りローラ1にシートSを導くための送りローラである。これらの送りローラ2、3、4、5の内、3と4のローラの間にシートSを流れの方向(長さ方向)に沿って小幅シートに切断するスリッタ6が設けられている。この実施形態のスリッタ6はシートSの幅方向(紙面に垂直な方向)に沿って複数組設けられており、各組とも、図1に一点鎖線で囲んで示すように、上刃6aと下刃6bから成る。各組のスリッタ6はそれぞれ、上刃6aと下刃6bがその回転軸に沿って、すなわち、シートSの幅方向に沿って移動可能、かつ、移動後、元の回転軸に固定可能となっており、切断するシートSの幅寸法を調整できるようになっている。これらスリッタ6および送りローラ2、3、4、5、また、前記巻き取りローラ1の駆動機構は、公知のベルト伝動を介したモータ駆動によるものであり、図示省略している。
【0017】
前記巻き取りローラ1の対向中心の真上には、ライダローラ7が配置されている。ライダローラ7は昇降機構8によって垂直に移動可能となっており、前記巻き取りローラ1と協動して芯管Cの周面にシートSを巻き取っていく間、巻き取られたシートSの上から芯管Cを押圧して、シートSが隙間無く、密に巻き取られていくようにするためのものである。そのライダローラ7の昇降機構8は、例えば、モータ駆動によるベルト伝動、チェーン伝動、ボールねじ等の周知・慣用の直線運動機構で構成されるものであり、この発明の本質となるものではないので、詳細な図示は省略し、単に矩形の枠でその存在範囲を示すに止めている。
【0018】
ライダローラ7の昇降機構8の下部の図の右隣には、前記した図示しない芯管の切断・供給機構からこの巻き取り部に供給されてきた芯管Cを受け取って、待機させておく芯管の受け台9が巻き取りローラ1の斜め上方の位置に設けられている。
【0019】
その受け台9の上方に、受け台9に載置された芯管Cを対の巻き取りローラ1の谷間に送り込む「芯管の送り機構10」が設けられている。この芯管の送り機構10は、芯管Cを吸着する吸着パッド11と、その移動機構とから成る。吸着パッド11の移動機構は、斜めに配置されたリニアガイド12と、それに平行に配置されたエアシリンダ13とを有している。リニアガイド12の摺動体12aには、長手の取り付け板14が取り付けられており、その取り付け板14の一端に、前記エアシリンダ13のロッド13aの先端がブラケット13bを介して連結されている。取り付け板14は、エアシリンダ13のロッド13aの進退により、リニアガイド12のレール12bに沿って直線移動するようになっている。その取り付け板14に、ロッド15aを垂直方向に向けたもう一つのエアシリンダ15が取り付けられており、そのエアシリンダ15のロッド15aの下端に前記吸着パッド11が取り付けられている。このような構成により、吸着パッド11は垂直に配置されたエアシリンダ15で昇降し、斜めに配置されたエアシリンダ13によってリニアガイド12の配設方向(斜め方向)に移動する。
【0020】
また、前記巻き取りローラ1の上流側には、図2に斜視図で詳細を示したように、巻き取りを完了した小ロールS0 を下流側に送り出すための送り出し機構20が設けられている。この送り出し機構20は、対の巻き取りローラ1の内の上流側のローラの回転軸1aの延長両端に、送り出しアーム21の中間部が固定されており、シートSの幅方向に対向する両アーム21の一端同士は丸棒22で接続され、他端には、それぞれエアシリンダ23のロッド23aが接続されたものである。そのエアシリンダ23のロッド23aの進退により、アーム21が回転軸1aの回りに回転して、前記丸棒22の部分で小ロールS0 を送り出すようになっている。
【0021】
送り出し機構20の上流には、シートSを円弧状の経路に沿って上方から付勢するようになったシートの張力付与手段30が配置されている。このシートの張力付与手段30は図3に斜視図で詳細を示したように、シートSの下方、幅方向に配設された回転軸31の両端に側面視L字形のテンションアーム32のL字の一端が回動自在に保持されており、そのテンションアーム32の他端同士を付勢ローラ33で接続したものである。このテンションアーム32の回転軸31にはアームレバー34の一端が接続されており、そのアームレバー34の他端にエアシリンダ35のロッド35aが接続されている。この張力付与手段30では、そのエアシリンダ35のロッド35aの進退により、アームレバー34を介してテンションアーム32が回転し、そのことにより、前記付勢ローラ33を円弧状の経路に沿って移動させ、シートSを付勢するようにしている。このシートSの張力付与手段30の作用も後述する。
【0022】
他方、前記巻き取りローラ1のすぐ下流にはシートSを幅方向に切断するようになった切断装置40と、その下方に、その切断装置40でシートを切断するためのシートの固定テーブルTが設けられている。その切断装置40と固定テーブルTの拡大正面図を図4に示し、詳細斜視図を図5に示す。
【0023】
この切断装置40は、接着材の吐出ノズル42を併設している。図4、図5に示すように、一つのブラケット43に回転円板状のカッタ41と接着材の吐出ノズル42が装着され、そのブラケット43が図1に示すようにシートの上方、その幅方向に水平に配設されたリニアガイド44の摺動体44aに垂下されている。摺動体44aは、ベルト伝動機構を介して、モータで駆動される。なお、摺動体44aには接着材のタンク42tが取り付けられており、接着材が図示しないチューブを通じて、下方の吐出ノズル42に供給されるようになっている。接着材はホットメルト系の樹脂を用いている。
【0024】
また、カッタ41と接着材の吐出ノズル42は、ブラケット43上で、それぞれ別々のエアシリンダ45、46に取り付けられており、各エアシリンダ45、46の駆動により、カッタ41は上下方向に、吐出ノズル42はシートSの長さ方向(図4の左右方向)に移動するようになっている。
【0025】
前記シートの固定テーブルTは、板状のテーブル本体が、並列された二本の角パイプ51で保持されており、各パイプ51はテーブル本体を保持するとともに、下流側のものには、図示しない吸引ブロアが接続されており、パイプ51内の空気を吸引できるようになっている。その下流側の角パイプ51には、図5に示すように、その上面とテーブル本体を貫通する吸着管52が複数設けられており、この吸着管52、密閉角パイプ51、並びに吸引ブロアにより、テーブル本体の表面に載置したシートSの、切断位置で仕切られる下流側をエアで吸着できるようになっている。以上が巻き取り部の構成である。次に、その下流の製品搬出部の構成について説明する。
【0026】
切断装置40の下流には、図1に示すように、シートSの幅方向に軸芯を平行にして対向配置された対の送りローラ61が配置されている。この対の送りローラ61は、下流側のローラの回転軸62に、上流側のローラの回転軸63を軸支した軸受板64が回転可能に取り付けられている。また、この軸受板64には対のローラ61を駆動する駆動ローラ65も取り付けられている。駆動ローラ65の駆動は、図示しないモータ駆動によるベルト伝動機構で行われる。その軸受板64の一端にはエアシリンダ66のロッド66aが連結されており、軸受板64は、そのエアシリンダ66のロッド66aの進退により、下流側のローラの回転軸62の回りに回動する。この軸受板64の回動作用および送りローラ61の作用については後述する。この対の送りローラ61の下流には、巻き取り部から送り出されてきた小ロールS0 を一時的にせきとめておくための「せき止めローラ」67が設けられている。このせき止めローラ67はエアシリンダ68のロッド68aの先端に取り付けられた軸受68bに軸支された回転軸69に回動自在に取り付けられたものであり、エアシリンダ68のロッド68aの進退により、小ロールS0 のせき止めとその解除を行う。以上が、この実施形態の装置の主要部を成す「巻き取り部」と「製品搬出部」の構成である。次に、それらの動作と作用、すなわち、シートロールの製造工程を示す。
【0027】
図6は、巻き取り部の小ロール巻き取り開始直前の状態を示す。送り出し機構20では、それを駆動するエアシリンダ23のロッド23aは後退しており、送り出し用の丸棒22は、巻き取りローラ1上で小ロールS0 が生成された際の外周の通過位置(図に一点鎖線で示す)より外側に位置している。
【0028】
シートの張力付与手段30では、それを駆動するエアシリンダ35のロッド35aが進出して、付勢ローラ33がシートSの上方に位置している。
【0029】
巻き取りローラ1上方のライダローラ7はその上死点にあり、対の巻き取りローラ1の谷間に載置された芯管Cの遙か上方に位置している。
【0030】
また、切断装置40のカッタ41と接着材の吐出ノズル42は図の手前側にあり、吐出ノズル42は切断位置の上流側、すなわち、巻き取り始端S1 の位置にある。カッタ41はシートSの固定テーブルTより離反している。
【0031】
以上のような小ロール巻き取り開始直前状態の装置に対して、最初のシートSのセットは次のようになされる。先ず、図7(a)に示すように、図示しない原反ロールから各送りローラ、5、4、3、2によってシートSを引き出してきて、巻き取りローラ1を経て、シートSの先端を切断装置40のカッタ41の下流の位置まで導いて来る。次に、人手によって、シートSを固定テーブルT上に皺無く引き詰め、その状態で、固定テーブルT下面の吸着機構を動作させて、シートSを固定テーブルTの表面にエアの吸着作用で固定する。
【0032】
次に、図7(b)に示すように、切断装置40の上流側において、前記芯管の送り機構10を動作させて、受け台9上の芯管Cを吸着パッド11で吸着し、巻き取りローラ1の谷間の位置に送り込む。芯管Cは両ローラ1の谷間にあるシートSの上に載置される。芯管Cの載置後、吸着作用を解除して吸着パッド11を原点位置に戻し、その後、図7(c)に示すように、ライダローラ7を下降させて芯管CをシートS上に押圧する。シートSの芯管Cで押圧されている部分は、その下面で対の巻き取りローラ1にも当接し、芯管Cと巻き取りローラ1に挟持される形になる。こうして、シートSは、固定テーブルTにおけるエア吸着作用と、上流側のライダローラ7の押圧により、固定テーブルT上で緊張状態に置かれる。以上のようにしてシートSのセットが完了すると、次に、巻き取り動作に入る。
【0033】
先ず、図8(a)に示すように、切断装置40のカッタ昇降用のエアシリンダ45が動作してカッタ41が下降し、シートSに切り込むと同時に、水平移動機構によってシートSの幅方向に移動する。移動はシートSの全幅に渡って行われ、カッタ41はシートSの全幅を切断する。このカッタ41の移動の間、ノズル42からは接着材が間歇的に吐出され、シートSの上流側端部、すなわち、巻き取り始端S1 の線上に接着材が塗布されて行く。この実施形態では、図9に示すように、接着材aを各小幅のシートSごと、それぞれの両側縁寄りに二滴ずつ滴下した。各小幅シートごとに塗布せず、小幅シートSの全幅に跨がって連続的に塗布すると、隣接する小幅シートSの境界に接着材が染み込んで、その小幅シートS同士がくっついて、それぞれの巻き取られるべき芯管Cに独立して巻き取られないからである。
【0034】
シートSの切断が完了すると、カッタ41は上昇し、接着材の吐出ノズル42は下流側(シートの巻き取り終端側)には移動せず、そのまま、接着材を吐出することもなく、先程のシートの切断時とは逆向きに、すなわち、図の奥から手前側に移動して、その原点位置に戻ってくる。このように、最初のシートSのセットの際の切断装置40の原点位置への復帰では、シートSの巻き取り終端S2 側には接着材aを吐出せずに原点位置に戻ってくる。これは、この時のシートSの下流側は、単なる切断片で、捨てられるべきものだからである。ちなみに、以下に述べるように、シートロールの生産が順次始まると、切断位置の下流側のシートSの端部は小ロールS0 の巻き取り終端S2 となる部分であって、その場合の切断装置40の原点位置への復帰の際には、接着材の吐出ノズル42が巻き取り終端S2 側に移動して、その線上に接着材aを吐出しながら原点位置に復帰してくる。最初のシートSのセットの段階で接着材aが塗布されなかった切断片は、固定テーブルTのエア吸着機構の動作を解除して、図示しない排除手段、もしくは人手によって装置外へ排出される。
【0035】
さて、先程のシートSの切断終了直後に戻って、上流側の機構の動作の説明を続けると、切断位置より上流側では、シートSの切断と同時に、切断されたシートSの上流側端部(巻き取り始端S1 )と巻き取りローラ1の間にある部分を芯管C側に引き戻す動作が始まる。このことにより、巻き取り始端S1 を芯管Cの周面に自動的に接着させるものである。その様子を図10に模式的に示す。
【0036】
このシートSの引き戻し動作の際、スリッタ6と原反の間のシートSは固定されている。これは、スリッタ6より上流側のシートSまで引き戻すと、スリッタ6で小幅シートに分割されたものが、再び、スリッタ6を通過することによって、シートSが幅方向の一方にずれた場合、二度切りしてしまうおそれがあるからである。そこで、スリッタ6より上流側のシートSは、送りローラ3を含めた上流側の送りローラ4、5を停止させて固定したまま、基本的に、巻き取りローラ1とその直ぐ上流の送りローラ2の反転(図の時計回りの回転)だけでシートSを引き戻す。巻き取りローラ1と送りローラ2を反転すると、芯管Cとスリッタ6の間の小幅のシートSは二つの送りローラ2と3の間で弛むので、その弛みによって、小幅のシートSが幅方向の一方にずれるおそれがある。小幅のシートSが幅方向の一方にずれると、それが本来巻き取られるべき芯管Cに巻き取られず、隣の芯管Cに跨がって巻き取られるので、この発明では、2と3の送りローラの間のシートSを付勢して、シートSの緊張状態を保ったまま引き戻すのである。この実施形態では、そのシートSを付勢するために、前記した構成の張力付与手段30を設けたのである。この張力付与手段30により、その付勢ローラ33で、二つの送りローラ2、3の間のシートSを付勢し、緊張状態を保ったまま引き戻すのである。このシートSの引き戻しは、前記切断装置40のカッタ41が完全にシートSを切断した直後から始まる。
【0037】
図10(a)に示すように、カッタ41がシートSを完全に切断すると、シートSの上流側端部、すなわち、巻き取り始端S1 は固定テーブルT下面のエア吸着機構による吸着作用を受けていないので、前記引き戻し動作の開始と同時に、すぐに上流側に引き戻される。シートSの引き戻しは、図10(b)に示すように、接着材aの塗布された巻き取り始端S1 が芯管Cの周面に完全に接着すると終了する。その終了のタイミングは、予め算出された、引き戻し長さに対応するパルスモータの回転パルス数の信号に基づく。巻き取り始端S1 の芯管C周面への接着が完了すると、今度は、図11(a)に示すように、再び、巻き取りローラ1が正転(図の反時計回り)して、芯管Cとの接触回転により、その接触面で挟持されているシートSが芯管Cに巻き取られていく。その間、ライダローラ7が芯管C周面のシートSを介して芯管Cを押圧し、シートSは芯管Cに隙間なく密に巻き取られて行く。この時も、シートの張力付与手段30が動作して、付勢ローラ33がシートSを付勢し、その作用は、引き戻されたシートSが小ロールに巻き取られ、当初の緊張状態になるまで続く。図11(b)は、付勢ローラ33がシートSの上面から離反してその原点位置に復帰し、付勢作用が完全に解除された状態でシートSが巻き取られて行く様子を示している。
【0038】
ここで、この張力付与手段30における付勢ローラ33と、それが接続されているエアシリンダ35の関係について詳述する。この張力付与手段30によるシートSの付勢は、主体的には付勢ローラ33の自重によって行われるものであり、アームレバー34とテンションアーム32を介してエアシリンダ35で駆動して付勢ローラ33を円弧状に移動させているのは、その付勢ローラ33の自重による付勢力を調整するためのものである。
【0039】
これは、付勢ローラ33の自重をそのままシートSに作用させていると、巻き取り対象のシートSの品種が変わって、シートSの強度が変化した場合、例えば、シートSの強度が当初のものより小さくなった場合には、相対的にシートSにかかる力が大きくなって、弛まずに緊張状態にしておくためだけに必要な力以上の力が作用して、シートSに大きな負担を与え、場合によっては切れてしまうおそれがあり、逆に、シートSの強度が当初のものより大きくなった場合には、付勢ローラ33が効果的に作用せず、シートSを適度な緊張状態におくことができず、それを、幅方向へずらすことなく移送するという所期の目的を達成できないからである。
【0040】
すなわち、付勢ローラ33の自重がシートSの強度より大きなものである場合には、ロッド35aはローラ33をシートSから上方に離反させる向きに作用し、逆に、付勢ローラ33の自重がシートの強度より小さなものである場合には、ロッド35aはローラ33をシートSに向かって押圧させる向きに作用する、といったエアの圧力の調整を装置の稼働の前に行っておく。このことにより、最終的にシートSに掛かる付勢力がシートSに負担を掛けず、適度な緊張状態を保持するようにしているのである。
【0041】
こうして、所定長のシートSが芯管Cに巻き取られて巻き取りが完了すると、図12(a)に示すように、巻き取りローラ1とその上流側の送りローラ2、3、4、5が停止し、シートSの移送が全体的に一旦停止する。それと同時に、ライダローラ7も上死点に移動して小ロールS0 から離反する。ライダローラ7の小ロールS0 からの離反直後、送り出し機構20が動作して小ロールS0 を下流側へ送り出す(図12(b)参照)。
【0042】
下流側に送り出されてきた小ロールS0 は、図13に示すように、対の送りローラ61の谷間に転がり込み、その下流側のせき止めローラ67でせき止められる。その時点で、対の送りローラ61は共に図の反時計回りに回転しているので、小ロールS0 は対の送りローラ61との接触により、その場で時計回りに自転しようとする。すると、シートの固定テーブルTの表面では、小ロールS0 から巻き解かれた部分のシートSが、下流側では、その小ロールS0 の自転により、また、上流側では原反ロールに繋がっていることにより、両側から引っ張られて、緊張状態で載置されることになる。
【0043】
この状態で、固定テーブルTの吸着機構が動作して、シートは固定テーブルTの表面に吸着されるので、テーブルT上のシートSについては、先述した最初のシートSのセット時と同じように、テーブルT表面に皺無く敷き詰められる状態となる。最初のセットの時と異なるのは、切断位置の下流側のシートSは捨てられるべき切断片ではなく、生成された一つ目の小ロールS0 から巻き解かれた部分であることである。
【0044】
この状態から、その一つ目の小ロールS0 の完成と二つ目以降の小ロールS0 の生成に入る。先ず、先程と同じく、図8(a)に示すように、切断装置40のカッタ41が下降してシートSに切り込み、切り込みと同時に、切断装置40がシートSの幅方向に移動する。カッタ41がシートSの縁まで移動する間、ノズル42からは接着材が吐出され、図9に示したように、巻き取り始端S1 の線上に接着材が塗布される。カッタ41とノズル42がシートSの縁よりさらに進んだ所定の終点位置まで移動すると、シートSの切断と巻き取り始端S1 への接着材の塗布が終了する。それと同時に、切断位置より上流側でシートSの巻き取り動作が始まる。以降の上流側の動作は先述したのと同様であり、再度の説明は省略する。
【0045】
上流側のシートSの引き戻しの開始と同時に、前記切断装置40はシート切断後の次の動作に入る。先ず、図8(b)に示すように、カッタ41が上昇し、それと同時に、ノズル42が取り付けられたエアシリンダ46が動作して、ノズル42が切断位置の下流側、すなわち、シートSの巻き取り終端S2 の側に移動する。その状態で、今度は、カッタ41の作用はなく、ノズル42だけが接着材を吐出しながら、先程とは逆向きに、紙面の背後から手前に向かって移動する。こうして、小ロールS0 の巻き取り終端S2 の線上に接着材aが塗布される(図9参照)。
【0046】
切断装置40が原点位置に復帰すると、それと同時に、固定テーブルT下面の吸着機構の動作も停止して、固定テーブルT上のシートSはテーブル面への固定から解放される。そうすると、この部分は小ロールS0 から巻き解かれた部分であり、その小ロールS0 は、せき止めローラ67でせき止められ、かつ、対の送りローラ61の送り作用を受けて、その谷間で時計回りに自転しているので、図14(a)に示すように、巻き解かれていた部分が小ロールS0 の方に再巻き取りされ、図14(b)に示すように、接着材aが塗布された巻き取り終端S2 が小ロールS0 の周面に自動的に接着する。すなわち、この対の送りローラ61とせき止めローラ67とが、この発明でいう「再巻き取り手段」となっているのである。こうして初めて、完全品のシートロールS0 ’ が生成される。
【0047】
完成品のシートロールS0 ’ は、図15に示すように、せき止めローラ67のエアシリンダ68のロッド68aが後退して、そのせき止め作用が解除されるとともに、送りローラ61の軸受板64が図の反時計回りに回転することにより、その対の送りローラ61の内の、上流側のローラで蹴り出されて、装置外に排出される。
【0048】
なお、この実施形態の装置は、原反の幅広のシートを途中で分割して小幅のシートロールを製造するシートロールの自動製造装置であるが、この発明の装置は、原反のシートを(幅方向で)分割せず、そのままの幅寸法で、長尺の芯管に巻き取らせるシートロールの自動装置にも適用できる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、シートの巻き取り始端と終端の生成と、それら端部の芯管と小ロールへの固着に至る行程の自動化が図れ、シートロールが効率良く、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の装置の主要部を模式正面図で示したものである。
【図2】送り出し機構の斜視図である。
【図3】張力付与手段の斜視図である。
【図4】切断装置の拡大正面図である。
【図5】切断装置の詳細斜視図である。
【図6】巻き取り部の原点状態を示す図である。
【図7】(a)、(b)、(c)の順で、最初のシートのセットの様子を示したものである。
【図8】(a)、(b)の順で、シートの切断と接着材の塗布の工程を示したものである。
【図9】シートへの接着材の塗布形態を示す図である。
【図10】(a)、(b)の順で、巻き取り始端の芯管への自動接着の様子を示したものである。
【図11】(a)に張力付与手段の解除の様子を示し、(b)にシートの芯管への巻き取りの様子を示したものである。
【図12】(a)に小ロールが生成された状態を示し、(b)に小ロールを送り出す様子を示したものである。
【図13】小ロールが製品排出部の送りローラ上に載置された状態を示す模式正面図である。
【図14】(a)、(b)の順で、巻き取り終端の小ロールへの自動接着の様子を示したものである。
【図15】完成品の装置外への排出の様子を示したものである。
【符号の説明】
1 巻き取りローラ
20 送り出し機構
30 張力付与手段
32 テンションアーム
33 付勢ローラ
40 切断装置
41 カッタ
42 接着材の吐出ノズル
61 送りローラ
67 せき止めローラ
a 接着材
C 芯管
S シート
S0 小ロール
S0 ’ 完成品のシートロール
S1 巻き取り始端
S2 巻き取り終端
T 固定テーブル
【発明の属する技術分野】
この発明は、不織布や抄紙された紙などのシートを、所定長さ分、芯管に巻き取るシートロールの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートロールの製造装置では、幅寸法の大きい原反のシートを芯管に巻き取ってシートを一体化したものを輪切りにして作製するのではなく、シートを芯管に巻き取る前に、原反の幅広のシートを所望の幅寸法のものに分割し、分割した小幅のシートを、その幅寸法に対応する長さに分割した芯管に巻き取って作製する。それは、シートロールの外形が1000mmにも達するようなものを作製する場合には、巻き取り完了後のシートロールを輪切りにしようとしても、切刃がロールの周面に切り込めないからである。
【0003】
そのような原反の幅広のシートを途中で分割して小幅のシートロールを製造する装置においては、シートを芯管に巻き始める際のシートの始端の芯管への固着と、巻き終わりに、シートの終端を小ロールの周面に固着させる作業は、長らく人手で行われていたが、それを自動化したものの一例が下記の文献(特許文献1)に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−327187号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示された装置は、シートの始端と終端に粘着テープを自動的に貼着して、各端部をそれぞれ芯管と巻き取りを終えた小ロールの外周面に自動的に接着させるものであるが、この発明では、シートの端部を固着させる手段として、粘着テープを用いるのではなく、接着材を採用したものについて、それを自動化することを試みたものである。
【0006】
ただし、その製造の方式として、原反ロールから引き出したシートをスリッタで小幅シートに分割し、分割した小幅シートをそれに対応する長さの芯管に所定長巻き取り、巻き取った小ロールを小幅シートから切り離さずに巻き解きながら下流側に送り出し、巻き解かれた小幅シートを所定の位置で切断し、切断した小幅シートの上流側端部を新たな芯管への巻き取り始端とし、下流側端部を前記小ロールへの巻き取り終端とする方式のシートロールの製造装置を念頭に置いている。
【0007】
なお、接着材を使用すれば、粘着テープ(両面テープ)の剥離紙の廃棄に伴うゴミの処理を割愛できるという利点がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明のシートロールの製造装置は、前記巻き解かれた小幅シートを切断する位置に、その小幅シートを固定する固定手段と、その固定手段で固定した小幅シートを幅方向に切断する切断装置を設け、その切断装置に前記小幅シートの巻き取り始端と終端に接着材を塗布する塗布装置を併設し、その切断装置の下流に、前記下流側に送り出された小ロールを受け止めて、巻き解かれた小幅シートを再巻き取りして小幅シートの終端を小ロールの外周面に接着する再巻き取り手段を設け、前記小幅シートを小ロールに巻き取る小ロール巻き上げ装置に、下流側にある小幅シートを引き戻してこの小幅シートの始端を新たな芯管に接着するための小幅シート引き戻し機構を設け、前記スリッタと前記小ロール巻き上げ装置との間に、小幅シートの前記引き戻し中及び引き戻した小幅シートの新たな芯管への巻き上げ中に、この引き戻した小幅シートに弛みが生じないように張力を付与する張力付与手段を設けた構成のものとしたのである。
【0009】
この装置にあっては、先ず、巻き上げた小ロールが小ロール巻き上げ装置から下流側に送り出されたとき、小ロール巻き上げ装置より上流の小幅シートは小ロール巻き上げ装置と原反ロールとの間で張力が付与されている。この状態で、前記シートの固定手段により、その巻き解かれた部分のシートを固定して、前記切断装置を動作させて、シートを幅方向に切断し、同時に、その切断装置に併設した接着材塗布手段により、切断位置で仕切られたシートの巻き取り始端と終端に接着材を塗布する。
【0010】
次に、シートの固定手段の固定作用を解除して、それと同時に、その固定手段の上流側では、新たな芯管とスリッタの間に存在するシートを、巻き取り時の逆転動作によって上流のスリッタ側に引き戻し、接着材の塗布された巻き取り始端を新たな芯管の周面に接着させるようにする。巻き取り時の逆転動作とは、具体的には、後述の実施形態の図10を参照して説明すると、対の巻き取りローラ1、および、巻き取りローラ1とスリッタ6の間に存在する送りローラ2、3の、シートSの巻き取り時とは反対向きの回転(図の時計回り)である。このシートの引き戻しの際に、上記シートの張力付与手段を動作させるのである。以下、暫し、この張力付与手段の作用について述べる。
【0011】
芯管とスリッタの間にあるシートを引き戻す際、スリッタより上流側のシートは二度切りを防ぐために固定されているが、芯管とスリッタの間に存在する小幅のシートは、上記逆転動作が始まると、上記張力付与手段が無い場合には、その芯管とスリッタの間で弛むようになる。シートが弛むと、幅方向にずれるおそれがあり、ずれた小幅のシートは、再び、(新しい芯管への)巻き取り動作が始まると、蛇行してそれが巻き取られるべき芯管に正しく巻き取られず、隣の芯管に跨がって巻き取られるようになる。それを防ぐために、前記シートの張力付与手段により、弛んでいるシートを緊張状態に保ちながら引き戻すのである。こうして、そのシートの引き戻し動作により、接着材が塗布された巻き取り始端が新しい芯管の周面に接着されると、再び、原反ロール側からのシートの供給と芯管への巻き取り動作が始まって新しい小ロールが生成されていく。
【0012】
その際、張力付与手段によるシートの緊張は、巻き取り始端が新しい芯管の周面に接着するまでだけでなく、新たな芯管への小ロールの巻き取りが開始された後も、引き戻したシートがすべて巻き取られて、巻き取りローラとスリッタの間のシートが元の緊張状態に復するまで続く。
【0013】
他方、下流側では、シートの切断と巻き取り終端の固定解除と同時に、前記再巻き取り手段により、巻き解かれたシートが小ロール側に巻き取られるので、接着材の塗布された巻き取り終端が小ロールの周面に自動的に接着する。こうして、一部が巻き解かれていた小ロールが完成品のシートロールとなる。
【0014】
以降、上記の動作が繰り返されて、小幅のシートロールが、順次、生産されていく。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この実施形態の装置の発明に係る主要部のみを模式的な正面図で示したものである。この主要部は、図に示す一点鎖線で仕切った右側のシートの「巻き取り部」と、左側の「製品搬出部」から成る。シートの巻き取り部の上流側(図の右側)には原反ロールを備えた「シートの供給部」と、「芯管の切断・供給機構」がある。それらシートの供給部と芯管の切断・供給機構は、いずれも、公知技術に基づく構成と作用を成すものであり、この発明の本質の部分ではないので、これらの部分についての図示と説明は省略する。以下では、主要部として、上記巻き取り部と製品搬出部のみを説明し、その動作については、これら主要部に、前記シートの供給部からシートと、芯管の切断・供給機構からは所定の長さに切断された芯管とが自動的に供給されてくるところから説明する。以下、先ず、上記主要部の構成について説明する。
【0016】
前記シートの巻き取り部には、水平面上に互いに軸芯を平行にして対向する一対の巻き取りローラ1が設けられている。この巻き取りローラ1は、それらを同じ向き(図の反時計回り)に回転させて、その谷間に芯管Cを載置することにより、芯管Cを図の時計回りに接触回転させ、その芯管Cと巻き取りローラ1との接触面に上流側からシートSを供給して、芯管Cに巻き取っていく。この巻き取りローラ1の上流側の四つのローラ2、3、4、5は、いずれも、図示しない前記シートの供給部から、その巻き取りローラ1にシートSを導くための送りローラである。これらの送りローラ2、3、4、5の内、3と4のローラの間にシートSを流れの方向(長さ方向)に沿って小幅シートに切断するスリッタ6が設けられている。この実施形態のスリッタ6はシートSの幅方向(紙面に垂直な方向)に沿って複数組設けられており、各組とも、図1に一点鎖線で囲んで示すように、上刃6aと下刃6bから成る。各組のスリッタ6はそれぞれ、上刃6aと下刃6bがその回転軸に沿って、すなわち、シートSの幅方向に沿って移動可能、かつ、移動後、元の回転軸に固定可能となっており、切断するシートSの幅寸法を調整できるようになっている。これらスリッタ6および送りローラ2、3、4、5、また、前記巻き取りローラ1の駆動機構は、公知のベルト伝動を介したモータ駆動によるものであり、図示省略している。
【0017】
前記巻き取りローラ1の対向中心の真上には、ライダローラ7が配置されている。ライダローラ7は昇降機構8によって垂直に移動可能となっており、前記巻き取りローラ1と協動して芯管Cの周面にシートSを巻き取っていく間、巻き取られたシートSの上から芯管Cを押圧して、シートSが隙間無く、密に巻き取られていくようにするためのものである。そのライダローラ7の昇降機構8は、例えば、モータ駆動によるベルト伝動、チェーン伝動、ボールねじ等の周知・慣用の直線運動機構で構成されるものであり、この発明の本質となるものではないので、詳細な図示は省略し、単に矩形の枠でその存在範囲を示すに止めている。
【0018】
ライダローラ7の昇降機構8の下部の図の右隣には、前記した図示しない芯管の切断・供給機構からこの巻き取り部に供給されてきた芯管Cを受け取って、待機させておく芯管の受け台9が巻き取りローラ1の斜め上方の位置に設けられている。
【0019】
その受け台9の上方に、受け台9に載置された芯管Cを対の巻き取りローラ1の谷間に送り込む「芯管の送り機構10」が設けられている。この芯管の送り機構10は、芯管Cを吸着する吸着パッド11と、その移動機構とから成る。吸着パッド11の移動機構は、斜めに配置されたリニアガイド12と、それに平行に配置されたエアシリンダ13とを有している。リニアガイド12の摺動体12aには、長手の取り付け板14が取り付けられており、その取り付け板14の一端に、前記エアシリンダ13のロッド13aの先端がブラケット13bを介して連結されている。取り付け板14は、エアシリンダ13のロッド13aの進退により、リニアガイド12のレール12bに沿って直線移動するようになっている。その取り付け板14に、ロッド15aを垂直方向に向けたもう一つのエアシリンダ15が取り付けられており、そのエアシリンダ15のロッド15aの下端に前記吸着パッド11が取り付けられている。このような構成により、吸着パッド11は垂直に配置されたエアシリンダ15で昇降し、斜めに配置されたエアシリンダ13によってリニアガイド12の配設方向(斜め方向)に移動する。
【0020】
また、前記巻き取りローラ1の上流側には、図2に斜視図で詳細を示したように、巻き取りを完了した小ロールS0 を下流側に送り出すための送り出し機構20が設けられている。この送り出し機構20は、対の巻き取りローラ1の内の上流側のローラの回転軸1aの延長両端に、送り出しアーム21の中間部が固定されており、シートSの幅方向に対向する両アーム21の一端同士は丸棒22で接続され、他端には、それぞれエアシリンダ23のロッド23aが接続されたものである。そのエアシリンダ23のロッド23aの進退により、アーム21が回転軸1aの回りに回転して、前記丸棒22の部分で小ロールS0 を送り出すようになっている。
【0021】
送り出し機構20の上流には、シートSを円弧状の経路に沿って上方から付勢するようになったシートの張力付与手段30が配置されている。このシートの張力付与手段30は図3に斜視図で詳細を示したように、シートSの下方、幅方向に配設された回転軸31の両端に側面視L字形のテンションアーム32のL字の一端が回動自在に保持されており、そのテンションアーム32の他端同士を付勢ローラ33で接続したものである。このテンションアーム32の回転軸31にはアームレバー34の一端が接続されており、そのアームレバー34の他端にエアシリンダ35のロッド35aが接続されている。この張力付与手段30では、そのエアシリンダ35のロッド35aの進退により、アームレバー34を介してテンションアーム32が回転し、そのことにより、前記付勢ローラ33を円弧状の経路に沿って移動させ、シートSを付勢するようにしている。このシートSの張力付与手段30の作用も後述する。
【0022】
他方、前記巻き取りローラ1のすぐ下流にはシートSを幅方向に切断するようになった切断装置40と、その下方に、その切断装置40でシートを切断するためのシートの固定テーブルTが設けられている。その切断装置40と固定テーブルTの拡大正面図を図4に示し、詳細斜視図を図5に示す。
【0023】
この切断装置40は、接着材の吐出ノズル42を併設している。図4、図5に示すように、一つのブラケット43に回転円板状のカッタ41と接着材の吐出ノズル42が装着され、そのブラケット43が図1に示すようにシートの上方、その幅方向に水平に配設されたリニアガイド44の摺動体44aに垂下されている。摺動体44aは、ベルト伝動機構を介して、モータで駆動される。なお、摺動体44aには接着材のタンク42tが取り付けられており、接着材が図示しないチューブを通じて、下方の吐出ノズル42に供給されるようになっている。接着材はホットメルト系の樹脂を用いている。
【0024】
また、カッタ41と接着材の吐出ノズル42は、ブラケット43上で、それぞれ別々のエアシリンダ45、46に取り付けられており、各エアシリンダ45、46の駆動により、カッタ41は上下方向に、吐出ノズル42はシートSの長さ方向(図4の左右方向)に移動するようになっている。
【0025】
前記シートの固定テーブルTは、板状のテーブル本体が、並列された二本の角パイプ51で保持されており、各パイプ51はテーブル本体を保持するとともに、下流側のものには、図示しない吸引ブロアが接続されており、パイプ51内の空気を吸引できるようになっている。その下流側の角パイプ51には、図5に示すように、その上面とテーブル本体を貫通する吸着管52が複数設けられており、この吸着管52、密閉角パイプ51、並びに吸引ブロアにより、テーブル本体の表面に載置したシートSの、切断位置で仕切られる下流側をエアで吸着できるようになっている。以上が巻き取り部の構成である。次に、その下流の製品搬出部の構成について説明する。
【0026】
切断装置40の下流には、図1に示すように、シートSの幅方向に軸芯を平行にして対向配置された対の送りローラ61が配置されている。この対の送りローラ61は、下流側のローラの回転軸62に、上流側のローラの回転軸63を軸支した軸受板64が回転可能に取り付けられている。また、この軸受板64には対のローラ61を駆動する駆動ローラ65も取り付けられている。駆動ローラ65の駆動は、図示しないモータ駆動によるベルト伝動機構で行われる。その軸受板64の一端にはエアシリンダ66のロッド66aが連結されており、軸受板64は、そのエアシリンダ66のロッド66aの進退により、下流側のローラの回転軸62の回りに回動する。この軸受板64の回動作用および送りローラ61の作用については後述する。この対の送りローラ61の下流には、巻き取り部から送り出されてきた小ロールS0 を一時的にせきとめておくための「せき止めローラ」67が設けられている。このせき止めローラ67はエアシリンダ68のロッド68aの先端に取り付けられた軸受68bに軸支された回転軸69に回動自在に取り付けられたものであり、エアシリンダ68のロッド68aの進退により、小ロールS0 のせき止めとその解除を行う。以上が、この実施形態の装置の主要部を成す「巻き取り部」と「製品搬出部」の構成である。次に、それらの動作と作用、すなわち、シートロールの製造工程を示す。
【0027】
図6は、巻き取り部の小ロール巻き取り開始直前の状態を示す。送り出し機構20では、それを駆動するエアシリンダ23のロッド23aは後退しており、送り出し用の丸棒22は、巻き取りローラ1上で小ロールS0 が生成された際の外周の通過位置(図に一点鎖線で示す)より外側に位置している。
【0028】
シートの張力付与手段30では、それを駆動するエアシリンダ35のロッド35aが進出して、付勢ローラ33がシートSの上方に位置している。
【0029】
巻き取りローラ1上方のライダローラ7はその上死点にあり、対の巻き取りローラ1の谷間に載置された芯管Cの遙か上方に位置している。
【0030】
また、切断装置40のカッタ41と接着材の吐出ノズル42は図の手前側にあり、吐出ノズル42は切断位置の上流側、すなわち、巻き取り始端S1 の位置にある。カッタ41はシートSの固定テーブルTより離反している。
【0031】
以上のような小ロール巻き取り開始直前状態の装置に対して、最初のシートSのセットは次のようになされる。先ず、図7(a)に示すように、図示しない原反ロールから各送りローラ、5、4、3、2によってシートSを引き出してきて、巻き取りローラ1を経て、シートSの先端を切断装置40のカッタ41の下流の位置まで導いて来る。次に、人手によって、シートSを固定テーブルT上に皺無く引き詰め、その状態で、固定テーブルT下面の吸着機構を動作させて、シートSを固定テーブルTの表面にエアの吸着作用で固定する。
【0032】
次に、図7(b)に示すように、切断装置40の上流側において、前記芯管の送り機構10を動作させて、受け台9上の芯管Cを吸着パッド11で吸着し、巻き取りローラ1の谷間の位置に送り込む。芯管Cは両ローラ1の谷間にあるシートSの上に載置される。芯管Cの載置後、吸着作用を解除して吸着パッド11を原点位置に戻し、その後、図7(c)に示すように、ライダローラ7を下降させて芯管CをシートS上に押圧する。シートSの芯管Cで押圧されている部分は、その下面で対の巻き取りローラ1にも当接し、芯管Cと巻き取りローラ1に挟持される形になる。こうして、シートSは、固定テーブルTにおけるエア吸着作用と、上流側のライダローラ7の押圧により、固定テーブルT上で緊張状態に置かれる。以上のようにしてシートSのセットが完了すると、次に、巻き取り動作に入る。
【0033】
先ず、図8(a)に示すように、切断装置40のカッタ昇降用のエアシリンダ45が動作してカッタ41が下降し、シートSに切り込むと同時に、水平移動機構によってシートSの幅方向に移動する。移動はシートSの全幅に渡って行われ、カッタ41はシートSの全幅を切断する。このカッタ41の移動の間、ノズル42からは接着材が間歇的に吐出され、シートSの上流側端部、すなわち、巻き取り始端S1 の線上に接着材が塗布されて行く。この実施形態では、図9に示すように、接着材aを各小幅のシートSごと、それぞれの両側縁寄りに二滴ずつ滴下した。各小幅シートごとに塗布せず、小幅シートSの全幅に跨がって連続的に塗布すると、隣接する小幅シートSの境界に接着材が染み込んで、その小幅シートS同士がくっついて、それぞれの巻き取られるべき芯管Cに独立して巻き取られないからである。
【0034】
シートSの切断が完了すると、カッタ41は上昇し、接着材の吐出ノズル42は下流側(シートの巻き取り終端側)には移動せず、そのまま、接着材を吐出することもなく、先程のシートの切断時とは逆向きに、すなわち、図の奥から手前側に移動して、その原点位置に戻ってくる。このように、最初のシートSのセットの際の切断装置40の原点位置への復帰では、シートSの巻き取り終端S2 側には接着材aを吐出せずに原点位置に戻ってくる。これは、この時のシートSの下流側は、単なる切断片で、捨てられるべきものだからである。ちなみに、以下に述べるように、シートロールの生産が順次始まると、切断位置の下流側のシートSの端部は小ロールS0 の巻き取り終端S2 となる部分であって、その場合の切断装置40の原点位置への復帰の際には、接着材の吐出ノズル42が巻き取り終端S2 側に移動して、その線上に接着材aを吐出しながら原点位置に復帰してくる。最初のシートSのセットの段階で接着材aが塗布されなかった切断片は、固定テーブルTのエア吸着機構の動作を解除して、図示しない排除手段、もしくは人手によって装置外へ排出される。
【0035】
さて、先程のシートSの切断終了直後に戻って、上流側の機構の動作の説明を続けると、切断位置より上流側では、シートSの切断と同時に、切断されたシートSの上流側端部(巻き取り始端S1 )と巻き取りローラ1の間にある部分を芯管C側に引き戻す動作が始まる。このことにより、巻き取り始端S1 を芯管Cの周面に自動的に接着させるものである。その様子を図10に模式的に示す。
【0036】
このシートSの引き戻し動作の際、スリッタ6と原反の間のシートSは固定されている。これは、スリッタ6より上流側のシートSまで引き戻すと、スリッタ6で小幅シートに分割されたものが、再び、スリッタ6を通過することによって、シートSが幅方向の一方にずれた場合、二度切りしてしまうおそれがあるからである。そこで、スリッタ6より上流側のシートSは、送りローラ3を含めた上流側の送りローラ4、5を停止させて固定したまま、基本的に、巻き取りローラ1とその直ぐ上流の送りローラ2の反転(図の時計回りの回転)だけでシートSを引き戻す。巻き取りローラ1と送りローラ2を反転すると、芯管Cとスリッタ6の間の小幅のシートSは二つの送りローラ2と3の間で弛むので、その弛みによって、小幅のシートSが幅方向の一方にずれるおそれがある。小幅のシートSが幅方向の一方にずれると、それが本来巻き取られるべき芯管Cに巻き取られず、隣の芯管Cに跨がって巻き取られるので、この発明では、2と3の送りローラの間のシートSを付勢して、シートSの緊張状態を保ったまま引き戻すのである。この実施形態では、そのシートSを付勢するために、前記した構成の張力付与手段30を設けたのである。この張力付与手段30により、その付勢ローラ33で、二つの送りローラ2、3の間のシートSを付勢し、緊張状態を保ったまま引き戻すのである。このシートSの引き戻しは、前記切断装置40のカッタ41が完全にシートSを切断した直後から始まる。
【0037】
図10(a)に示すように、カッタ41がシートSを完全に切断すると、シートSの上流側端部、すなわち、巻き取り始端S1 は固定テーブルT下面のエア吸着機構による吸着作用を受けていないので、前記引き戻し動作の開始と同時に、すぐに上流側に引き戻される。シートSの引き戻しは、図10(b)に示すように、接着材aの塗布された巻き取り始端S1 が芯管Cの周面に完全に接着すると終了する。その終了のタイミングは、予め算出された、引き戻し長さに対応するパルスモータの回転パルス数の信号に基づく。巻き取り始端S1 の芯管C周面への接着が完了すると、今度は、図11(a)に示すように、再び、巻き取りローラ1が正転(図の反時計回り)して、芯管Cとの接触回転により、その接触面で挟持されているシートSが芯管Cに巻き取られていく。その間、ライダローラ7が芯管C周面のシートSを介して芯管Cを押圧し、シートSは芯管Cに隙間なく密に巻き取られて行く。この時も、シートの張力付与手段30が動作して、付勢ローラ33がシートSを付勢し、その作用は、引き戻されたシートSが小ロールに巻き取られ、当初の緊張状態になるまで続く。図11(b)は、付勢ローラ33がシートSの上面から離反してその原点位置に復帰し、付勢作用が完全に解除された状態でシートSが巻き取られて行く様子を示している。
【0038】
ここで、この張力付与手段30における付勢ローラ33と、それが接続されているエアシリンダ35の関係について詳述する。この張力付与手段30によるシートSの付勢は、主体的には付勢ローラ33の自重によって行われるものであり、アームレバー34とテンションアーム32を介してエアシリンダ35で駆動して付勢ローラ33を円弧状に移動させているのは、その付勢ローラ33の自重による付勢力を調整するためのものである。
【0039】
これは、付勢ローラ33の自重をそのままシートSに作用させていると、巻き取り対象のシートSの品種が変わって、シートSの強度が変化した場合、例えば、シートSの強度が当初のものより小さくなった場合には、相対的にシートSにかかる力が大きくなって、弛まずに緊張状態にしておくためだけに必要な力以上の力が作用して、シートSに大きな負担を与え、場合によっては切れてしまうおそれがあり、逆に、シートSの強度が当初のものより大きくなった場合には、付勢ローラ33が効果的に作用せず、シートSを適度な緊張状態におくことができず、それを、幅方向へずらすことなく移送するという所期の目的を達成できないからである。
【0040】
すなわち、付勢ローラ33の自重がシートSの強度より大きなものである場合には、ロッド35aはローラ33をシートSから上方に離反させる向きに作用し、逆に、付勢ローラ33の自重がシートの強度より小さなものである場合には、ロッド35aはローラ33をシートSに向かって押圧させる向きに作用する、といったエアの圧力の調整を装置の稼働の前に行っておく。このことにより、最終的にシートSに掛かる付勢力がシートSに負担を掛けず、適度な緊張状態を保持するようにしているのである。
【0041】
こうして、所定長のシートSが芯管Cに巻き取られて巻き取りが完了すると、図12(a)に示すように、巻き取りローラ1とその上流側の送りローラ2、3、4、5が停止し、シートSの移送が全体的に一旦停止する。それと同時に、ライダローラ7も上死点に移動して小ロールS0 から離反する。ライダローラ7の小ロールS0 からの離反直後、送り出し機構20が動作して小ロールS0 を下流側へ送り出す(図12(b)参照)。
【0042】
下流側に送り出されてきた小ロールS0 は、図13に示すように、対の送りローラ61の谷間に転がり込み、その下流側のせき止めローラ67でせき止められる。その時点で、対の送りローラ61は共に図の反時計回りに回転しているので、小ロールS0 は対の送りローラ61との接触により、その場で時計回りに自転しようとする。すると、シートの固定テーブルTの表面では、小ロールS0 から巻き解かれた部分のシートSが、下流側では、その小ロールS0 の自転により、また、上流側では原反ロールに繋がっていることにより、両側から引っ張られて、緊張状態で載置されることになる。
【0043】
この状態で、固定テーブルTの吸着機構が動作して、シートは固定テーブルTの表面に吸着されるので、テーブルT上のシートSについては、先述した最初のシートSのセット時と同じように、テーブルT表面に皺無く敷き詰められる状態となる。最初のセットの時と異なるのは、切断位置の下流側のシートSは捨てられるべき切断片ではなく、生成された一つ目の小ロールS0 から巻き解かれた部分であることである。
【0044】
この状態から、その一つ目の小ロールS0 の完成と二つ目以降の小ロールS0 の生成に入る。先ず、先程と同じく、図8(a)に示すように、切断装置40のカッタ41が下降してシートSに切り込み、切り込みと同時に、切断装置40がシートSの幅方向に移動する。カッタ41がシートSの縁まで移動する間、ノズル42からは接着材が吐出され、図9に示したように、巻き取り始端S1 の線上に接着材が塗布される。カッタ41とノズル42がシートSの縁よりさらに進んだ所定の終点位置まで移動すると、シートSの切断と巻き取り始端S1 への接着材の塗布が終了する。それと同時に、切断位置より上流側でシートSの巻き取り動作が始まる。以降の上流側の動作は先述したのと同様であり、再度の説明は省略する。
【0045】
上流側のシートSの引き戻しの開始と同時に、前記切断装置40はシート切断後の次の動作に入る。先ず、図8(b)に示すように、カッタ41が上昇し、それと同時に、ノズル42が取り付けられたエアシリンダ46が動作して、ノズル42が切断位置の下流側、すなわち、シートSの巻き取り終端S2 の側に移動する。その状態で、今度は、カッタ41の作用はなく、ノズル42だけが接着材を吐出しながら、先程とは逆向きに、紙面の背後から手前に向かって移動する。こうして、小ロールS0 の巻き取り終端S2 の線上に接着材aが塗布される(図9参照)。
【0046】
切断装置40が原点位置に復帰すると、それと同時に、固定テーブルT下面の吸着機構の動作も停止して、固定テーブルT上のシートSはテーブル面への固定から解放される。そうすると、この部分は小ロールS0 から巻き解かれた部分であり、その小ロールS0 は、せき止めローラ67でせき止められ、かつ、対の送りローラ61の送り作用を受けて、その谷間で時計回りに自転しているので、図14(a)に示すように、巻き解かれていた部分が小ロールS0 の方に再巻き取りされ、図14(b)に示すように、接着材aが塗布された巻き取り終端S2 が小ロールS0 の周面に自動的に接着する。すなわち、この対の送りローラ61とせき止めローラ67とが、この発明でいう「再巻き取り手段」となっているのである。こうして初めて、完全品のシートロールS0 ’ が生成される。
【0047】
完成品のシートロールS0 ’ は、図15に示すように、せき止めローラ67のエアシリンダ68のロッド68aが後退して、そのせき止め作用が解除されるとともに、送りローラ61の軸受板64が図の反時計回りに回転することにより、その対の送りローラ61の内の、上流側のローラで蹴り出されて、装置外に排出される。
【0048】
なお、この実施形態の装置は、原反の幅広のシートを途中で分割して小幅のシートロールを製造するシートロールの自動製造装置であるが、この発明の装置は、原反のシートを(幅方向で)分割せず、そのままの幅寸法で、長尺の芯管に巻き取らせるシートロールの自動装置にも適用できる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、シートの巻き取り始端と終端の生成と、それら端部の芯管と小ロールへの固着に至る行程の自動化が図れ、シートロールが効率良く、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の装置の主要部を模式正面図で示したものである。
【図2】送り出し機構の斜視図である。
【図3】張力付与手段の斜視図である。
【図4】切断装置の拡大正面図である。
【図5】切断装置の詳細斜視図である。
【図6】巻き取り部の原点状態を示す図である。
【図7】(a)、(b)、(c)の順で、最初のシートのセットの様子を示したものである。
【図8】(a)、(b)の順で、シートの切断と接着材の塗布の工程を示したものである。
【図9】シートへの接着材の塗布形態を示す図である。
【図10】(a)、(b)の順で、巻き取り始端の芯管への自動接着の様子を示したものである。
【図11】(a)に張力付与手段の解除の様子を示し、(b)にシートの芯管への巻き取りの様子を示したものである。
【図12】(a)に小ロールが生成された状態を示し、(b)に小ロールを送り出す様子を示したものである。
【図13】小ロールが製品排出部の送りローラ上に載置された状態を示す模式正面図である。
【図14】(a)、(b)の順で、巻き取り終端の小ロールへの自動接着の様子を示したものである。
【図15】完成品の装置外への排出の様子を示したものである。
【符号の説明】
1 巻き取りローラ
20 送り出し機構
30 張力付与手段
32 テンションアーム
33 付勢ローラ
40 切断装置
41 カッタ
42 接着材の吐出ノズル
61 送りローラ
67 せき止めローラ
a 接着材
C 芯管
S シート
S0 小ロール
S0 ’ 完成品のシートロール
S1 巻き取り始端
S2 巻き取り終端
T 固定テーブル
Claims (1)
- 原反ロールから引き出したシートをスリッタで小幅のシートに分割し、分割した小幅シートをそれに対応する長さの芯管に所定長巻き取り、巻き取った小ロールを小幅シートから切り離さずに巻き解きながら下流側に送り出し、巻き解かれた小幅シートを所定の位置で切断し、切断した小幅シートの上流側端部を新たな芯管への巻き取り始端とし、下流側端部を前記巻き取った小ロールへの巻き取り終端とするシートロールの製造装置において、
前記巻き解かれた小幅シートを切断する位置に、その巻き解かれた小幅シートを固定する固定手段と、その固定手段で固定した小幅シートを幅方向に切断する切断装置を設け、その切断装置に前記小幅シートの巻き取り始端と終端に接着材を塗布する塗布装置を併設し、その切断装置の下流に、前記下流側に送り出された小ロールを受け止めて、巻き解かれた小幅シートを再巻き取りして小幅シートの終端を小ロールの外周面に接着する再巻き取り手段を設け、前記小幅シートを小ロールに巻き取る小ロール巻き上げ装置に、下流側にある小幅シートを引き戻してこの小幅シートの始端を新たな芯管に接着するための小幅シート引き戻し機構を設け、前記スリッタと前記小ロール巻き上げ装置との間に、小幅シートの前記引き戻し中及び引き戻した小幅シートの新たな芯管への巻き上げ中に、この引き戻した小幅シートに弛みが生じないように張力を付与する張力付与手段を設けたことを特徴とするシートロールの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003006139A JP2004217361A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | シートロールの製造装置 |
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-
2003
- 2003-01-14 JP JP2003006139A patent/JP2004217361A/ja active Pending
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