JP2004214707A - 音響装置および音響特性の変更方法および音響補正用プログラム - Google Patents

音響装置および音響特性の変更方法および音響補正用プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】複数種類のスピーカを有する音響装置において、スピーカごとに別個独立に音声信号の補正を行い最適な音声および音場を得ることを目的とする。
【解決手段】音声信号を受信して音声を出力するための出力手段4、5を有する音響装置において、個々の出力手段4、5に入力される前記音声信号を補正するための補正手段と、個々の出力手段4、5の再生能力に基づいて、前記個々の出力手段4、5の補正特性を決定する補正特性決定手段と、を備え、前記補正手段は、前記決定した補正特性に基づいて前記音声信号を補正することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響装置および音響特性の変更方法および音響補正用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、音声信号は、例えばカーオーディオなど複数のスピーカなどの出力チャンネルを有する場合であっても、複数の出力チャンネルに対して同一の補正回路を用いて同一の補正動作を行い、複数のスピーカに音声信号を送信して、音声を出力していた。
【0003】
一方、スピーカを備えた音響装置において、伝送路ごとに遅延時間を補正可能に構成した音響装置もある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開2000−217197号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術によれば、上述のように構成していたため、例えば大口径のスピーカのように例えば低域の再生能力の優れたスピーカにおいては出力に歪みが生じていないのにも関わらず補正回路によって低域除去などの補正動作が行われしまうという問題があった。また、再生能力の優れたスピーカに適応した補正回路を使用した場合には、例えば小口径スピーカのように例えば低域の再生能力の劣ったスピーカにおいては十分に低域除去などの補正動作がなされないため、出力に歪みが生じてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、複数の種類の異なるスピーカを備えている場合であっても、それぞれのスピーカから最適な音声および音場を出力させることができる音響装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明によれば、音声信号を受信して音声を出力するための出力手段を有する音響装置において、個々の出力手段に入力される前記音声信号を補正するための補正手段と、個々の出力手段の再生能力に基づいて、個々の出力手段の補正特性を決定する補正特性決定手段と、を備え、前記補正手段は、前記決定した補正特性に基づいて前記音声信号を補正することを特徴とする。
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載した発明によれば、入力されたオーディオ信号の特性を変更して、変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力する音響装置であって、オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出する第1検出手段と、オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配する分配手段と、前記第1出力手段の再生能力に応じた第1情報と前記第2出力手段の再生能力に応じた第2情報とを記憶する記憶手段と、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を前記第1情報に基づいて変更する第1変更手段と、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を前記第2情報に基づいて変更する第2変更手段と、前記音量調節手段の調節値が第1調節値より大の場合に前記第1及び第2変更手段を動作させるべく制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載した発明によれば、入力されたオーディオ信号の特性を変更して、変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力する音響装置であって、オーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルを検出する第2検出手段と、オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配する分配手段と、前記第1出力手段の再生能力に応じた第1情報と前記第2出力手段の再生能力に応じた第2情報とを記憶する記憶手段と、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を前記第1情報に基づいて変更する第1変更手段と、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を前記第2情報に基づいて変更する第2変更手段と、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に前記第1及び第2変更手段を動作させるべく制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項19に記載した発明によれば、入力されたオーディオ信号の特性を変更して、変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力する音響特性の変更方法であって、オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出する第1検出工程と、オーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルを検出する第2検出工程と、オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配する分配工程と、前記音量調節手段の調節値が第1調節値より大で、且つ、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を、前記第1出力手段の再生能力に応じて設定された第1情報に基づいて変更すると共に、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を、前記第2出力手段の再生能力に応じて設定された第2情報に基づいて変更する変更工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項20に記載した発明によれば、オーディオ信号の特性を変更して、変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力する音響特性の変更方法であって、オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出する第1検出工程と、オーディオ信号の第1所定周波数以下の低域周波数帯域の信号レベルを検出する第2検出工程と、オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配する分配工程と、前記音量調節手段の調節値が第2調節値より大であり、且つ、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を、前記第1出力手段の再生能力に応じて設定された第1情報に基づいて変更する第1変更工程と、前記音量調節手段の調節値が第3調節値より大であり、且つ、前記信号レベルが前記第1所定値より大の場合に、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を、前記第2出力手段の再生能力に応じて設定された第2情報に基づいて変更する第2変更工程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項21に記載した発明によれば、オーディオ信号の特性を変更して変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力するようにコンピュータを動作させる音響補正用プログラムであって、オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出し、オーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルを検出し、オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配し、前記音量調節手段の調節値が第1調節値より大であり、且つ、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を、前記第1出力手段の再生能力に応じて設定された第1情報に基づいて変更すると共に、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を、前記第2出力手段の再生能力に応じて設定された第2情報に基づいて変更するように該コンピュータを動作させることを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項22に記載した発明によれば、オーディオ信号の特性を変更して変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力するようにコンピュータを動作させる音響補正用プログラムであって、オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出し、オーディオ信号の第1所定周波数以下の低域周波数帯域の信号レベルを検出し、オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配し、前記音量調節手段の調節値が第2調節値より大であり、且つ、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を、前記第1出力手段の低域再生能力に応じて設定された第1情報に基づいて低域を除去し、前記音量調節手段の調節値が第3調節値より大であり、且つ、前記低域信号レベルが前記前記第1所定値より大の場合に、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を、前記第2出力手段の低域再生能力に応じて設定された第2情報に基づいて低域を除去すべく該コンピュータを動作させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に好適な実施の形態の一例を、図面を用いて説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は音響補正装置を説明するための音響補正システムのブロック図である。尚、図1は説明を簡略化するために、片チャンネルのみを示している。
【0015】
音響補正システムは、補正装置1と、オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の一例としての音量調節部2および3、第1及び第2出力手段の一例としてのスピーカ4および5、第1検出手段及び制御手段の一例としての制御部6、記憶手段の一例としてのメモリ7によって構成される。
【0016】
補正装置1は、例えば、DSPICなどからなり、入力されたオーディオ信号の特性を変更して、変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力するものである。また、補正装置1は、オーディオ信号が入力される入力部100、低域レベル検出用LPF101、第2検出手段の一例としての低域信号レベル検出部102、分配手段の一例としての分岐点103、第1及び第2変更手段の一例もしくは第1及び第2低域除去手段の一例としての補正部110および120によって構成される。
【0017】
入力部100は、入力されたオーディオ信号を低域レベル検出用LPF101及び処理回路104へ出力する。
【0018】
処理回路104は、入力部100から入力されオーディオ信号に対して、ラウドネスやトーンなどの通常処理を行う回路である。
【0019】
分岐点103は、処理回路104によりラウドネスやトーンなどの通常処理を行った入力オーディオ信号を入力し、入力オーディオ信号を夫々のスピーカ4、5ごとに設けられる補正部110、120へ分配する。
【0020】
補正部110、120は、分配されたオーディオ信号を制御部6からの指令に応じて、各スピーカ毎に記憶された第1及び第2情報に基づいて補正し、音量調節部2、3へ出力する。なお、補正部110、120は、それぞれLPF111、121及び演算回路112、122を備え、スピーカ4、5それぞれの再生能力に応じたローカットフィルタを構成する。また、第1及び第2情報とは、例えば各スピーカの低域再生能力に応じてスピーカ毎に定められる各ローカットフィルタの低域除去特性で、補正部がローパスフィルタを備える場合には例えばそのローパスフィルタのカットオフ周波数を示す。このように、補正部がローパスフィルタと演算回路を用いてローカットフィルタを構成する場合、オーディオ信号のうち補正対象とする低域周波数帯域のみの信号処理を行い、補正しない中高周波数帯域は信号処理が行われずにダイレクトに出力されるため、補正処理によってオーディオ信号の中高周波数帯域にノイズが発生することを抑えることができる。
【0021】
低域レベル検出用LPF101は、処理回路104によりラウドネスやトーンなどの通常処理が行われた入力オーディオ信号の信号のうち、所定周波数帯域として例えば、200Hz以下の低域周波数帯域の信号レベルを抽出し低域信号レベル検出部102に送信する。
【0022】
低域信号レベル検出部102は、送信された低域の信号レベルを検出し、信号レベルがあらかじめ定められた大きさ(第1所定値)よりも大きいか否かを判断し、判断結果を制御部6へ出力する。通常処理を行った入力オーディオ信号の低域周波数帯域の信号レベルを検出する理由は、低域周波数帯域の信号レベルが極小さい場合には、後述するスピーカの低域の再生能力が問題とならず、補正を行う必要が無いからである。
【0023】
音量調節部2、3は、各出力手段毎に設けられている。また、音量調節部2、3は、互いに連動して動作するものであり、ユーザの操作にて設定される調節値により、オーディオ信号のそれぞれの音量レベルを調節して、それぞれスピーカ4,5に出力する。
【0024】
スピーカ4,5は、音量調節部2,3にてそれぞれ調節されたオーディオ信号を出力する。
【0025】
メモリ7は、補正部110、120を動作させる基準となる音量調節部2,3の調節値を第1調節値として記憶し、補正部110、120を動作させる基準となる入力オーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルを第1所定値として記憶し、更に、補正部110、120をそれぞれ動作させるための第1及び第2情報(第1及び第2低域除去特性)を各スピーカに対応させて記憶する。すなわち、メモリ7は、補正部110、120を構成するLPF111、121によってオーディオ信号を補正するために必要な情報を格納する。
【0026】
制御部6は、これら各部の動作を制御する。また制御部6は特に、低域信号レベル検出部102にて検出される信号レベル、音量調節部2、3での調節値、メモリに記憶された第1調節値及び第1所定値や第1及び第2情報に基づいて、補正部110、120を動作させるか否か、及び、どのように動作させるかを制御するものである。
【0027】
制御部6による制御の一例として、音量調節部2,3の調節値が第1調節値より大であるか否かを検出し、第1調節値以下である場合に補正部110,120を動作させないと共に、第1調節値より大である場合に補正部110,120を動作させるべく制御する。他の例として、低域信号レベル検出部102にて検出されるオーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルが第1所定値より大であるか否かの検出結果を入力し、第1所定値以下である場合に補正部110,120を動作させないと共に、第1所定値より大である場合に補正部110,120を動作させるべく制御する。また、低域信号レベル検出部102にて検出されるオーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルが第1所定値より大であるか否かの検出結果を入力し、また、音量調節部2,3の調節値が第1調節値より大であるか否かを検出し、いずれかの検出結果が第1調節値及び第1所定値以下である場合は補正部110,120を動作させないと共に、両方の検出結果が第1調節値及び第1所定値より大である場合に補正部110,120を動作させるべく制御する。
【0028】
なお、上述の構成では処理回路104を入力部100と分岐点103との間に設けるように構成したが、処理回路104を設けない構成としてもよい。
【0029】
入力部100から、ラウドネスやトーンなどの通常処理を行う処理回路104へ、入力オーディオ信号が入力される。入力されたオーディオ信号は、低域レベル検出用LPF101及び分岐点103へ出力される。
【0030】
分岐点103にて、入力オーディオ信号は夫々のスピーカ4、5ごとに設けられる補正部110、120へ向けて分配される。
【0031】
分配されたオーディオ信号は、それら各々の周波数特性が、それぞれの補正部110、120にて、制御部6からの指令に応じて、各スピーカ毎に記憶された第1及び第2情報(第1及び第2低域除去特性)に基づいて補正され、補正装置1から出力される。
【0032】
補正装置1から出力されたオーディオ信号は、音量調節部2、3にてユーザの操作により設定される調節値により、音量レベルが調節され、スピーカ4、5へ夫々出力される。
【0033】
図2は、LPF111、121に設定される周波数特性(補正特性)の例を示すグラフである。
【0034】
この例では、各補正特性1〜5の間隔はそれぞれ1/3オクターブである。補正特性1はカットオフ周波数が200Hzの特性であり、補正特性2はカットオフ周波数が160Hzの特性であり、補正特性3はカットオフ周波数が125Hzの特性であり、補正特性4はカットオフ周波数が100Hzの特性であり、補正特性5はカットオフ周波数が80Hzの特性であり、補正特性0は補正を行わず、特性はフラットでレベルがー∞のものである。但し、この周波数特性の間隔及び具体的な周波数は、上述に限定されるもので無く、適宜設定することが可能である。LPF111、121に設定される周波数特性は、後に詳述する低域再生能力判断処理および補正特性設定処理によって、スピーカの低域再生能力に基づいて決定される。
【0035】
低域再生能力判断処理によって、スピーカの低域再生能力に基づいて、それぞれのスピーカにおける一のカットオフ周波数fcが決定され、決定したカットオフ周波数fcに応じて補正特性1〜5もしくは補正特性0から一の補正特性が決定される。決定された補正特性は、LPF111、121のそれぞれに設定される。尚、それぞれのカットオフ周波数はそれぞれのスピーカに対応付けられてメモリ7に格納される。
【0036】
図3は音響補正装置中の各箇所における正規化された信号レベルのグラフである。
【0037】
図3(a)は、図1中の点Aの箇所における通常処理を行い、分岐点によって分配された分配オーディオ信号の分配信号レベルの正規化グラフである。図3(b)は、図1中の点Bの箇所における分配オーディオ信号のうちLPF111で抽出された低域周波数帯域の減算信号レベルの正規化グラフである。図3(c)は、図1中の点Cの箇所における演算回路112にて演算され、特性が補正されたオーディオ信号の補正信号レベルの正規化グラフである。図3(c)の正規化グラフは、通常処理を行っただけの信号レベル(図3(a))からLPF111で抽出された信号レベル(図3(b))を減算した信号の信号レベルを示すものである。なお、LPF121の補正特性も同様にして設定される。
【0038】
次に、低域再生能力判断処理を図4に示すフローチャートを用いて説明する。尚、このフローチャートはメモリ7に記録されたプログラムに基づいて制御部6によってコントロールされて実行されるものである。スピーカ4、の低域再生能力を判断して、LPF111のカットオフ周波数fcを決定する手順について説明する。
【0039】
まず、複数のスピーカの中から一のスピーカ4へ向けてピンクノイズを入力し、スピーカ4から出力される音声を図示しないマイクロフォンなどを用いて音声データとして集音する(ステップS1)。
【0040】
次に、集音した音声データのうち、中高域の信号(例えば、200Hz以上)の平均レベルを中高域信号平均レベルLmhとして算出する(ステップS2)。
【0041】
次に、最初の比較低周波数帯域flowを100Hzに設定する(ステップS3)。周波数100Hzを中心に、例えば1/3オクターブの幅の周波数帯域の平均レベルと、算出した中高域信号平均レベルLmh と比較して、低域再生能力を判断する。
【0042】
この比較低周波数帯域flowは、後に説明する動作において100Hzから80Hz、63Hz、50Hzそして40Hzと1/3オクターブ毎に徐々に減少させていき、低域再生能力を判断する。
【0043】
そして、現在の比較低周波数帯域flowが最終比較低周波数帯域である40Hzより小さいか否かを判定する(ステップS4)。比較低周波数帯域flowが最終比較低周波数帯域である40Hz以上である場合には(ステップS4:No)、比較低周波数帯域flowのレベルLlowと、ステップS2で算出した中高域信号平均レベルLmhとを比較して、中高域信号平均レベルLmhが比較低周波数帯域flowのレベルLlowよりも6dB以上大きいか否かを判定する(ステップS5)。
【0044】
他方、ステップS4の判定の結果、比較低周波数帯域flowが最終比較低周波数帯域である40Hzより小さい場合には(ステップS4:Yes)、スピーカ4は、低域再生能力が40Hz以下まで適切に再生することが可能と判断できるため、カットオフ周波数fcは決定されない。つまり、後に詳述する補正特性設定処理においては、LPF111に図2に示す補正特性0が設定され、図1中のLPF111および矢印Bで示す信号が無くなり、矢印Aで示す通常処理を行った音声信号のみが、音量調節部2を経てスピーカ4から音声として出力されることになる。このとき、カットオフ周波数fcはメモリ7に例えば設定なしとして格納しておく。
【0045】
ステップS5の判定の結果、中高域信号平均レベルLmhが比較低周波数帯域flowのレベルLlowよりも6dB以上大きくなかった場合には(ステップS5:No)、スピーカ4は、この比較低周波数帯域flowまで適切に再生する低域再生能力があるため、さらに比較低周波数帯域flowを1/3オクターブ減少させてステップS4へ移行し、次の比較低周波数帯域flowについて再び再生能力判断を行う(ステップS6)。
【0046】
他方、中高域信号平均レベルLmhが比較低周波数帯域flowのレベルLlowよりも6dB以上大きかった場合には(ステップS5:Yes)、さらに比較低周波数帯域flowから1/3オクターブ下の周波数帯域flow-1/3のレベルLlow-1/3と中高域信号平均レベルLmhとを比較して、中高域信号平均レベルLmhが比較低周波数帯域flowからさらに1/3オクターブ下の周波数帯域flow-1/3のレベルLlow-1/3よりも8dB以上大きいか否かを判定する(ステップS7)。
【0047】
ここで、比較低周波数帯域flowからさらに1/3オクターブ下の周波数帯域flow-1/3とは、例えば、比較低周波数帯域flowが100Hzであれば、1/3オクターブ下は80Hzであり、周波数80Hzを中心に例えば1/3オクターブの幅の周波数帯域の平均レベルLlow-1/3と中高域信号平均レベルLmhとを比較することになる。
【0048】
そして、ステップS7の判定の結果、中高域信号平均レベルLmhが比較低周波数帯域flowからさらに1/3オクターブ下の周波数帯域flow-1/3のレベルLlow-1/3よりも8dB以上大きい場合には(ステップS7:Yes)、その比較低周波数帯域flowの1オクターブ上の周波数を、LPF111に設定するカットオフ周波数fcとして決定しメモリ7に格納して(ステップS8)処理を終了する。例えば、比較低周波数帯域flowが100Hzであれば、1オクターブ上の200Hzがカットオフ周波数fcとなる。
【0049】
他方、中高域信号平均レベルLmhが比較低周波数帯域flowからさらに1/3オクターブ下の周波数帯域flow-1/3のレベルLlow-1/3よりも8dB以上大きくなかった場合には(ステップS7:No)、スピーカ4はまだ低域再生能力があるため、さらに比較低周波数帯域flowを1/3オクターブ減少させてステップS4へ移行し、次の比較低周波数帯域flowについて再び再生能力判断を行う(ステップS6)。
【0050】
このように、比較低周波数帯域flowをステップS3で設定した100Hzから80Hz、63Hz,50Hzそして40Hzと1/3オクターブ毎に徐々に減少していって、低域再生能力を判断し、カットオフ周波数fcを200Hz、160Hz、125Hz、100Hzまたは80Hzのいずれかの値、もしくは十分に低域が再生されるため設定なしとしたカットオフ周波数fcをメモリ7に格納する。
【0051】
以上説明した動作によって得られた補正に必要な情報としてのLPF111のカットオフ周波数fcに基づいて、LPF111に補正特性を設定する。
【0052】
なお、ステップS3で、最初の比較低周波数帯域flowを100Hzとし、低域再生能力がある場合には、比較低周波数帯域flowを1/3オクターブ毎に徐々に減少させているが、最初の比較低周波数帯域flowは100Hzには限られず、また、低域再生能力がある場合に、最後の比較低域周波数帯域flow40Hz及び、比較低周波数帯域flowの減少幅は1/3オクターブ毎に限られず、適宜設定することが可能である。
【0053】
また、ステップS7において、中高域信号レベルLmhと比較低周波数帯域flo wからさらに1/3オクターブ下の周波数帯域flow-1/3のレベルLlow-1/3とを比較しているが、これには限られず、比較低周波数帯域flowからさらに1/4オクターブ下の周波数帯域flow-1/4のレベルLlow-1/4や、比較低周波数帯域flowからさらに1/2オクターブ下の周波数帯域flow-1/2のレベルLlow-1/2とを比較してもよい。
【0054】
また、このステップS7における判断の閾値や、ステップS5における判断の閾値を、レベル差6dBや8dBとしたが、これに限定されるものではない。
【0055】
また、ステップS8で比較低周波数帯域flowから1オクターブ上の周波数をカットオフ周波数fcとしているが、このように1オクターブ上に限定されるものではない。
【0056】
なお、同様の手順により、LPF121についてのカットオフ周波数fcもスピーカ5の低域再生能力に応じて決定され、メモリ7に格納される。
【0057】
次に、LPFに補正特性を設定する動作について図5に示す補正特性設定処理フローチャートに基づいて説明する。尚、このフローチャートはメモリ7に記録されたプログラムに基づいて制御部6によってコントロールされて実行されるものである。
【0058】
まず、低域信号レベル検出部102によって、入力オーディオ信号の低域の信号レベルがあらかじめ定められた閾値である第1所定値よりも大きいか(例えばDSPICなどからなる補正装置1の処理可能範囲の最大値から−12dBまでの範囲)否かを判定する(ステップS11)。
【0059】
判定の結果、低域の信号レベルが第1所定値より大きい場合には(ステップS11:Yes)、現在出力中の音量レベルを調節する音量調節部の調節値があらかじめ定められた閾値である第1調節値よりも大きいか(例えばボリューム値として最大値から−20dBまでの範囲)否かを判定する(ステップS12)。他方、低域の信号レベルが第1所定値以下である場合には(ステップS11:No)、補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する。補正特性0をLPFに設定することは、補正を行わないことを示す。低域信号レベルが小さい場合には、低域の再生能力が問題とならず、補正を行う必要がないからである。
【0060】
ステップS12の判定において音量レベルを調節する音量調節部の調節値が第1調節値以下である場合には(ステップS12:No)、図2に示す補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS23)。他方、音量レベルを調節する音量調節部の調節値が第1調節値より大きい場合には(ステップS12:Yes)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数fcが200Hzであるか否かを判定する(ステップS13)。
【0061】
判定の結果、カットオフ周波数fcが200Hzである場合には(ステップS13:Yes)、図2に示す補正特性1をLPF111に設定して動作を終了し(ステップS14)、他方、カットオフ周波数fcが200Hzでない場合には(ステップS13:No)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数fcが160Hzであるか否かを判定する(ステップS15)。
【0062】
判定の結果、カットオフ周波数fcが160Hzである場合には(ステップS15:Yes)、図2に示す補正特性2をLPF111に設定して動作を終了し(ステップS16)、他方、カットオフ周波数fcが160Hzでない場合には(ステップS15:No)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数が125Hzであるか否かを判定する(ステップS17)。
【0063】
判定の結果、カットオフ周波数fcが125Hzである場合には(ステップS17:Yes)、図2に示す補正特性3をLPF111に設定して動作を終了し(ステップS18)、他方、カットオフ周波数fcが125Hzでない場合には(ステップS17:No)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数fcが100Hzであるか否かを判定する(ステップS19)。
【0064】
判定の結果、カットオフ周波数fcが100Hzである場合には(ステップS19:Yes)、図2に示す補正特性4をLPF111に設定して動作を終了し(ステップS20)、他方、カットオフ周波数fcが100Hzでない場合には(ステップS19:No)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数fcが80Hzであるか否かを判定する(ステップS21)。
【0065】
判定の結果、カットオフ周波数fcが80Hzである場合には(ステップS21:Yes)、図2に示す補正特性5をLPF111に設定して動作を終了し(ステップS22)、他方、カットオフ周波数fcが80Hzでない場合、つまり十分に低域の再生能力があるため、メモリ7にはカットオフ周波数fcを設定なしとして格納している場合には(ステップS21:No)、図2に示す補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS23)。つまり、図1中、矢印Bで示す信号は存在しないことになるため、矢印Aで示す通常処理を行った信号のみが、音量調節部2を経て出力されることになる。
【0066】
以上説明した動作は、ボリューム値が変更されなくても、オーディオ信号は常に変動しているため、常に、規定の間隔で繰り返し行われる。但し、変形例として楽曲が変わるときや、チューナーの選局時や、ソースの切り換え時、ボリューム値の変更時などの所定のタイミングにて行われるようにしてもよい。
【0067】
以上説明した動作は、すべて制御部6の制御に基づいて処理される。また、同様の手順により、補正特性がLPF121に設定される。
【0068】
以上説明した第1の実施の形態によれば、各スピーカの再生能力に応じて、スピーカに送信される音声信号を別個独立して補正することが可能になるため、カーオーディオなど複数のスピーカがあった場合でも、最適な音声出力および最適な音場を得ることが可能になるという効果がある。
【0069】
また、それぞれのスピーカ再生能力に応じた最適な音声出力および音場を得ることが可能になるという効果がある。
【0070】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の補正特性設定処理動作及び制御部での制御及びメモリに記憶される情報を除き、構成は第1の実施の形態と同様であるため、重複する構成の説明は省略する。
【0071】
メモリ7は、補正部110、120をそれぞれ動作させるための第1及び第2情報(第1及び第2低域除去特性)を各スピーカに対応させて記憶し、更に、補正部110、120を動作させる基準となる音量調節部2,3の調節値を第1調節値、及び、補正部110、120をそれぞれ動作させる基準となる音量調節部2,3の調節値として第2及び第3調節値を各スピーカに対応させて記憶し、補正部110、120を動作させる基準となる入力オーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルを第1所定値として記憶する。すなわち、メモリ7は、補正部110、120を構成するLPF111、121によってオーディオ信号を補正するために必要な情報を格納する。
【0072】
尚、本実施形態では、ステップS32:Yesであり、かつ、スピーカ4の低域再生能力判断により決まったカットオフ周波数fcが160Hzであり、かつ、音量調節部2の調節値が第2調節値である−18dBよりも大きい時には(ステップS36:Yes)、補正特性2をLPF111に設定し、カットオフ周波数fcが125Hzであり、かつ、音量調節部2の調節値が第2調節値である−16dBよりも大きい時には(ステップS39:Yes)、補正特性3をLPF111に設定し、カットオフ周波数fcが100Hzであり、かつ、音量調節部2の調節値が第2調節値である−14dBよりも大きい時には(ステップS42:Yes)、補正特性4をLPF111に設定し、カットオフ周波数fcが80Hzであり、かつ、音量調節部2の調節値が第2調節値である−12dBよりも大きい時には(ステップS45:Yes)、補正特性5をLPF111に設定する。
【0073】
また同様に、ステップS32:Yesであり、かつ、スピーカ5の低域再生能力判断により決まったカットオフ周波数fcが160Hzであり、かつ、音量調節部3の調節値が第3調節値である−18dBよりも大きい時には(ステップS36:Yes)、補正特性2をLPF121に設定し、カットオフ周波数fcが125Hzであり、かつ、音量調節部3の調節値が第3調節値である−16dBよりも大きい時には(ステップS39:Yes)、補正特性3をLPF121に設定し、カットオフ周波数fcが100Hzであり、かつ、音量調節部3の調節値が第3調節値である−14dBよりも大きい時には(ステップS42:Yes)、補正特性4をLPF121に設定し、カットオフ周波数fcが80Hzであり、かつ、音量調節部3の調節値が第3調節値である−12dBよりも大きい時には(ステップS45:Yes)、補正特性5をLPF121に設定する。
【0074】
制御部6は、音響補正システムの各構成の動作を制御する。また制御部6は特に、低域信号レベル検出部102にて検出される信号レベル、音量調節部2、3での調節値、メモリに記憶された第1乃至第3調節値及び第1所定値や第1及び第2情報に基づいて、補正部110、120を動作させるか否か、及び、どのように動作させるかを制御するものである。
【0075】
制御部6による制御の一例として、低域信号レベル検出部102にて検出されるオーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルが第1所定値より大であるか否かの検出結果を入力し、かつ、音量調節部2の調節値が第2調節値より大であるか否か、及び、音量調節部3の調節値が第3調節値より大であるか否かを検出し、信号レベルが第1所定値以下である場合に補正部110,120を動作させないと共に、信号レベルが第1所定値より大であり且つ音量調節部2の調節値が第2調節値より大である場合に補正部110を動作させるべく制御し、信号レベルが第1所定値より大であり且つ音量調節部3の調節値が第3調節値より大である場合に補正部120を動作させるべく制御する。
【0076】
第2の実施の形態の動作は、LPFに補正特性を設定する際に、設定される補正特性に応じた音量レベルを考慮するものである。
【0077】
以下に、第2の実施の形態における補正特性設定処理動作を、図6に示す補正特性設定処理フローチャートを用いて説明する。尚、このフローチャートはメモリ7に記録されたプログラムに基づいて制御部6によってコントロールされて実行されるものである。
【0078】
まず、低域信号レベル検出部102によって、入力オーディオ信号の低域の信号レベルがあらかじめ定められた閾値である第1所定値(例えばDSPのフルスケールから−12dBなど)よりも大きいか否かを判定する(ステップS31)。
【0079】
低域の信号レベルが第1所定値より大きい場合には(ステップS31:Yes)、現在出力中の音量レベルを調節する音量調節部2の調節値があらかじめ定められた閾値である第1調節値(例えばボリューム値として−20dB)よりも大きいか否かを判定する(ステップS32)。
【0080】
他方、低域の信号レベルが第1所定値以下である場合には(ステップS31:No)、図2に示す補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する。補正特性0をLPFに設定することは、補正を行わないことを示す。低域の信号レベルが小さい場合には、低域の再生能力が問題とならず、補正を行う必要が無いからである。
【0081】
ステップS32の判定において音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が第1調節値以下である場合には(ステップS32:No)、図2に示す補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する。補正特性0をLPFに設定することは、補正を行わないことを示す。音量レベルが小さい場合には、低域の再生能力が問題とならず、補正を行う必要が無いからである。
【0082】
他方、音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が第1調節値より大きい場合には(ステップS32:Yes)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数fcが200Hzであるか否かを判定する(ステップS33)。
【0083】
判定の結果、カットオフ周波数fcが200Hzである場合には(ステップS33:Yes)、図2に示す補正特性1をLPF111に設定して動作を終了し(ステップS34)、他方、カットオフ周波数fcが200Hzでない場合には(ステップS33:No)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数fcが160Hzであるか否かを判定する(ステップS35)。
【0084】
判定の結果、カットオフ周波数fcが160Hzである場合には(ステップS35:Yes)、音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が、第2調節値である−18dBより大きいか否かを判定し(ステップS36)、音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が−18dBより大きい場合には(ステップS36:Yes)、図2に示す補正特性2をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS37)。
【0085】
他方、音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が−18dB以下である場合には(ステップS36:No)、補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS47)。
【0086】
そして、カットオフ周波数fcが160Hzでない場合には(ステップS35:No)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数fcが125Hzであるか否かを判定する(ステップS38)。
【0087】
判定の結果、カットオフ周波数fcが125Hzである場合には(ステップS38:Yes)、音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が、第2調節値である−16dBより大きいか否かを判定し(ステップS39)、音量レベルが−16dBより大きい場合(ステップS39:Yes)には図2に示す補正特性3をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS40)。
【0088】
他方、音量レベルを調節する音量調節部の調節値が−16dB以下である場合には、補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS47)。
【0089】
そして、カットオフ周波数fcが125Hzでない場合には(ステップS38:No)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数fcが100Hzであるか否かを判定する(ステップS41)。
【0090】
判定の結果、カットオフ周波数fcが100Hzである場合には(ステップS41:Yes)、音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が、第2調節値である−14dBより大きいか否かを判定し(ステップS42)、音量レベルが−14dBより大きい場合には(ステップS42:Yes)、図2に示す補正特性4をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS43)。
【0091】
他方、音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が−14dB以下である場合には(ステップS42:No)、補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS47)。
【0092】
そして、カットオフ周波数fcが100Hzでない場合には(ステップS41:No)、メモリ7に格納したデータに基づき、低域再生能力判断処理において決定したカットオフ周波数fcが80Hzであるか否かを判定する(ステップS44)。
【0093】
判定の結果、カットオフ周波数fcが80Hzである場合には(ステップS44:Yes)、音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が、第2調節値である−12dBより大きいか否かを判定し(ステップS45)、音量レベルが−12dBより大きい場合には(ステップS45:Yes)、図2に示す補正特性5をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS46)。
【0094】
他方、音量レベルを調節する音量調節部2の調節値が−12dB以下である場合には(ステップS45:No)、補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS47)。
【0095】
他方、カットオフ周波数fcが80Hzでない場合、つまり十分に低域の再生能力があるため、メモリ7にカットオフ周波数fcを設定なしとして格納している場合には(ステップS44:No)、補正特性0をLPF111に設定して動作を終了する(ステップS47)。つまり、図1中、矢印Bで示す信号は存在しないことになるため、矢印Aで示す通常処理を行った信号のみが、音量調節部2を経て出力されることになる。
【0096】
以上説明した動作は、ボリューム値が変更されなくても、オーディオ信号は常に変動しているため、常に、規定の間隔で繰り返し行われる。但し、変形例として楽曲が変わるときや、チューナーの選局時や、ソースの切り換え時、ボリューム値の変更時などの所定のタイミングにて行われるようにしてもよい。
【0097】
以上説明した動作は、すべて制御部6の制御に基づいて処理される。また、同様の手順により、補正特性がLPF121に設定される。
【0098】
以上説明した第2の実施の形態によれば、各スピーカの再生能力に応じて、スピーカに送信される音声信号を別個独立して補正することが可能になるため、カーオーディオなど複数のスピーカがあった場合でも、最適な音声出力および最適な音場を得ることが可能になるという効果がある。
【0099】
また、スピーカの再生能力に影響されず、最適な音声出力および音場を得ることが可能になるという効果がある。
【0100】
さらに、スピーカからの音量レベルが、そのスピーカの低域再生能力に応じてあらかじめ定められたレベル以上の場合にのみ、スピーカに送信する音声信号に対して補正を行うようにしたため、補正効果が期待できる場合にのみ補正処理を行い、より最適な音声出力を得ることが可能になるという効果がある。
【0101】
尚、上述の音響補正装置の動作を、プログラミングして、コンピュータにて動作させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】音響補正システムのブロック図である。
【図2】LPFの補正特性を示す説明図である。
【図3】音響補正装置中の各箇所における正規化された信号レベルのグラフである。
【図4】低域再生能力判断処理フローチャートである。
【図5】第1の実施の形態における補正特性設定処理フローチャートである。
【図6】第2の実施の形態における補正特性設定処理フローチャートである。
【符号の説明】
1 補正装置
100 入力部
101 低域レベル検出用LPF
102 低域信号レベル検出部
103 分岐点
104 処理回路
110、120 補正部
112、122 演算回路
111、121 LPF
2、3 音量調節部
4、5 スピーカ
6 制御部
7 メモリ

Claims (22)

  1. 音声信号を受信して音声を出力するための出力手段を有する音響装置において、
    個々の出力手段に入力される前記音声信号を補正するための補正手段と、
    個々の出力手段の再生能力に基づいて、前記個々の出力手段の補正特性を決定する補正特性決定手段と、を備え、
    前記補正手段は、前記決定した補正特性に基づいて前記音声信号を補正することを特徴とする音響装置。
  2. 請求項1に記載の音響装置において、
    前記補正特性決定手段は、前記出力手段から出力される音声の音量に基づいて補正特性を決定することを特徴とする音響装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の音響装置において、
    前記補正特性決定手段は、前記出力手段に入力される音声信号のうち、補正処理を行う補正周波数帯域のレベルを検出し、検出した補正周波数帯域のレベルに基づいて補正特性を決定することを特徴とする音響装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の音響装置において、
    前記出力手段の再生能力は、低域再生能力であることを特徴とする音響装置。
  5. 請求項4に記載の音響装置において、
    前記補正手段は、前記補正特性を有するローパスフィルタを用いた減算回路であることを特徴とする音響装置。
  6. 請求項4に記載の音響装置において
    前記補正手段は、前記補正特性を有するハイパスフィルタ回路であることを特徴とする音響装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の音響装置において、
    複数の前記出力手段を備え、
    前記補正手段および前記補正特性決定手段は、個々の出力手段に対してそれぞれ設けられることを特徴とする音響装置。
  8. 入力されたオーディオ信号の特性を変更して、変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力する音響装置であって、
    オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出する第1検出手段と、
    オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配する分配手段と、
    前記第1出力手段の再生能力に応じた第1情報と前記第2出力手段の再生能力に応じた第2情報とを記憶する記憶手段と、
    前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を前記第1情報に基づいて変更する第1変更手段と、
    前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を前記第2情報に基づいて変更する第2変更手段と、
    前記音量調節手段の調節値が第1調節値より大の場合に前記第1及び第2変更手段を動作させるべく制御する制御手段とを備えたことを特徴とする音響装置。
  9. 請求項8に記載の音響装置であって、
    前記制御手段は、前記音量調節手段の調節値が前記第1調節値以下の場合に前記第1及び第2変更手段を動作させないと共に、前記音量調節手段の調節値が前記第1調節値より大の場合に前記第1及び第2変更手段を動作させるべく制御することを特徴とする音響装置。
  10. 入力されたオーディオ信号の特性を変更して、変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力する音響装置であって、
    オーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルを検出する第2検出手段と、
    オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配する分配手段と、
    前記第1出力手段の再生能力に応じた第1情報と前記第2出力手段の再生能力に応じた第2情報とを記憶する記憶手段と、
    前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を前記第1情報に基づいて変更する第1変更手段と、
    前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を前記第2情報に基づいて変更する第2変更手段と、
    前記信号レベルが第1所定値より大の場合に前記第1及び第2変更手段を動作させるべく制御する制御手段とを備えたことを特徴とする音響装置。
  11. 請求項10に記載の音響装置であって、
    オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出する第1検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記音量調節手段の調節値が前記第1調節値より大で、且つ、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に前記第1及び第2変更手段を動作させるべく制御することを特徴とする音響装置。
  12. 請求項11に記載の音響装置であって、
    前記制御手段は、前記音量調節手段の調節値が前記第1調節値以下もしくは前記信号レベルが前記第1所定値以下の場合に前記第1及び第2変更手段を動作しないように制御することを特徴とする音響装置。
  13. 請求項10に記載の音響装置であって、
    オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出する第1検出手段を更に備え、
    前記記憶手段は、前記第1及び第2情報夫々に応じた第2及び第3調節値を更に記憶し、
    前記制御手段は、前記信号レベルが前記第1所定値より大であり、且つ、前記音量調節手段の調節値が前記第2調節値より大の場合に、前記第1変更手段を動作すべく制御するとともに、前記信号レベルが前記第1所定値より大であり、且つ、前記音量調節手段の調節値が前記第3調節値より大の場合に、前記第2変更手段を動作させるべく制御することを特徴とする音響装置。
  14. 請求項13に記載の音響装置であって、
    前記制御手段は、前記信号レベルが前記第1所定値以下の場合に前記第1及び第2変更手段を動作しないように制御することを特徴とする音響装置。
  15. 請求項13又は14に記載の音響装置であって、
    前記第2調節値が前記第1出力手段の低域再生能力に基づいて設定された音量調節手段の調節値であって、前記第3調節値が前記第2出力手段の低域再生能力に基づいて設定された音量調節手段の調節値であることを特徴とする音響装置。
  16. 請求項11乃至14に記載の音響装置であって、
    前記所定周波数帯域は第1所定周波数以下の低域周波数帯域であり、前記第1情報が前記第1出力手段の低域再生能力に基づいて設定された第1低域除去特性であり、前記第2情報が前記第2出力手段の低域再生能力に基づいて設定された第2低域除去特性であり、前記第1変更手段が第1低域除去特性に基づいて低域を除去する第1低域除去手段であり、前記第2変更手段が第2低域除去特性に基づいて低域を除去する第2低域除去手段であることを特徴とする音響装置。
  17. 請求項8乃至16に記載の音響装置において、
    前記第1及び第2変更手段は、それぞれ前記第1及び第2情報に基づいた周波数特性を有するローパスフィルタを用いたことを特徴とする音響装置。
  18. 請求項8乃至17に記載の音響装置において、
    前記記憶手段は、ピンクノイズを前記第1出力手段へ入力した際の前記第1出力手段からの出力を集音することにより、前記第1出力手段の低域再生能力を検出し、前記第1出力手段の低域再生能力に基づいて求められた前記第1情報と、前記ピンクノイズを前記第2出力手段へ入力した際の前記第2出力手段からの出力を集音することにより、前記第2出力手段の低域再生能力を検出し、前記第2出力手段の低域再生能力に基づいて求められた前記第2情報とを記憶することを特徴とする音響装置。
  19. 入力されたオーディオ信号の特性を変更して、変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力する音響特性の変更方法であって、
    オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出する第1検出工程と、
    オーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルを検出する第2検出工程と、
    オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配する分配工程と、
    前記音量調節手段の調節値が第1調節値より大で、且つ、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を、前記第1出力手段の再生能力に応じて設定された第1情報に基づいて変更すると共に、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を、前記第2出力手段の再生能力に応じて設定された第2情報に基づいて変更する変更工程と、
    を備えたことを特徴とする変更方法。
  20. オーディオ信号の特性を変更して、変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力する音響特性の変更方法であって、
    オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出する第1検出工程と、
    オーディオ信号の第1所定周波数以下の低域周波数帯域の信号レベルを検出する第2検出工程と、
    オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配する分配工程と、
    前記音量調節手段の調節値が第2調節値より大であり、且つ、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を、前記第1出力手段の再生能力に応じて設定された第1情報に基づいて変更する第1変更工程と、
    前記音量調節手段の調節値が第3調節値より大であり、且つ、前記信号レベルが前記第1所定値より大の場合に、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を、前記第2出力手段の再生能力に応じて設定された第2情報に基づいて変更する第2変更工程と、
    を備えたことを特徴とする変更方法。
  21. オーディオ信号の特性を変更して変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力するようにコンピュータを動作させる音響補正用プログラムであって、
    オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出し、
    オーディオ信号の所定周波数帯域の信号レベルを検出し、
    オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配し、
    前記音量調節手段の調節値が第1調節値より大であり、且つ、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を、前記第1出力手段の再生能力に応じて設定された第1情報に基づいて変更すると共に、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を、前記第2出力手段の再生能力に応じて設定された第2情報に基づいて変更するように該コンピュータを動作させることを特徴とする音響補正用プログラム。
  22. オーディオ信号の特性を変更して変更されたオーディオ信号を第1及び第2出力手段へ出力するようにコンピュータを動作させる音響補正用プログラムであって、
    オーディオ信号の音量を調節する音量調節手段の調節値を検出し、
    オーディオ信号の第1所定周波数以下の低域周波数帯域の信号レベルを検出し、
    オーディオ信号を前記第1及び第2出力手段に分配し、
    前記音量調節手段の調節値が第2調節値より大であり、且つ、前記信号レベルが第1所定値より大の場合に、前記第1出力手段へ向けて分配された第1オーディオ信号の周波数特性を、前記第1出力手段の低域再生能力に応じて設定された第1情報に基づいて低域を除去し、
    前記音量調節手段の調節値が第3調節値より大であり、且つ、前記低域信号レベルが前記第1所定値より大の場合に、前記第2出力手段へ向けて分配された第2オーディオ信号の周波数特性を、前記第2出力手段の低域再生能力に応じて設定された第2情報に基づいて低域を除去すべく該コンピュータを動作させることを特徴とする音響補正用プログラム。
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