JP2004214565A - 集積型薄膜太陽電池の製造方法および集積型薄膜太陽電池 - Google Patents

集積型薄膜太陽電池の製造方法および集積型薄膜太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】集積型薄膜太陽電池の積層体の各層を一切剥離させずにレーザスクライブ加工で生じた不要部分等を除去することにより、特性の低下がなく信頼性の高い集積型薄膜太陽電池を製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】透光性絶縁基板上に、透明導電層、光電変換層、裏面電極層をそれぞれこの順で積層して積層体を形成させた後、該透光性絶縁基板上で互いに電気的に接続された複数の発電領域を構成するべく該積層体を積層方向に分割することにより集積型薄膜太陽電池を製造する方法であって、該積層体を積層方向に分割する工程が該積層体にレーザ光を照射するレーザスクライブ法により実行され、これにより各発電領域を隔てる分離溝が形成されるとともに、該分離溝に対して氷粒と水との混合物を加速噴射することにより不要部分を除去することを特徴とする集積型薄膜太陽電池の製造方法を提供するものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池の製造方法に関する。さらに詳しくは、集積型薄膜太陽電池の製造方法およびその方法によって製造される集積型薄膜太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より太陽光エネルギを有効利用することを目的として、たとえば図1に示すようにガラス等の透光性絶縁基板11上にZnO、ITOやSnO等の透明導電層12が形成され、その上に非晶質シリコン等の薄膜半導体のp層、i層、n層が順次積層されてなる光電変換層13が形成され、さらにその上に裏面電極層14(例えばZnO/Ag)が積層されてなる積層体が直列、並列、直並列に接続されている集積型薄膜太陽電池が用いられている。このような非晶質シリコンを用いた太陽電池においては、ステブラー・ロンスキー(Staebler Wronski)効果と呼ばれる光照射による変換効率の初期劣化があり、安定化後の出力が低く、住宅用太陽電池として設置される割合が低かった。そこで、近年、住宅用として、多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコンを光電変換層に含む薄膜太陽電池の研究開発が盛んに行なわれている。
【0003】
ところで、従来の非晶質シリコンの薄膜太陽電池では、集積化のための分離溝を形成するのにレーザスクライブ法が用いられている(特許文献1)。レーザスクライブ法とは、各種のレーザを照射することによりその照射部が溶融等することにより除去される加工方法をいい、単にレーザスクライブ加工という場合もある。しかし、このレーザスクライブ法による加工においては、該加工を施した跡に残骸物が残るため、通常、この残骸物を取除くためにレーザスクライブ加工後に水を用いた超音波洗浄が行なわれている。
【0004】
一方、LSI等の半導体産業とは異なり薄膜太陽電池の作製環境は、低コスト化等の要請からクリーンルームを用いていないため、クリーン度があまり良くない状態で行なわれることが多い。このため、透光性絶縁基板であるガラス表面のクリーン化に相当の注意を払ってもゴミ等が付着する場合がある。また、このゴミ等の影響でガラス表面に微小な傷が入ったりする場合もある。このため、レーザスクライブ法により裏面電極層等を積層方向に分割する際、通常ガラス表面側からレーザ光を照射するため、このゴミや傷が原因となって図2に示すようにレーザのパルス抜けのような加工不良部位27を生じることになる(レーザが照射された部位を楕円形のレーザスクライブ加工痕29として表している)。
【0005】
上記のレーザスクライブ加工後に行なわれる超音波洗浄は、レーザスクライブ加工により生じる残骸物の除去を目的として行なわれるだけではなく、上記のような加工不良に基づく不要部分の除去をも目的として行なわれている。しかしながら、この超音波洗浄によって該加工不良に基づく不要部分を完全に取除くことは困難であり、この不要部分が残存するとショート等を起こすことから各発電領域間の分離が十分でなくなり、以って特性の低下(曲線因子(F.F.)と開放光起電力(Voc)の低下)を生じてしまうということが問題となっている。
【0006】
また、従来の非晶質シリコン薄膜太陽電池では、光電変換層が0.2μm〜0.5μm程度と薄いため、レーザスクライブ加工後の洗浄に周波数が20〜50kHz程度の強い超音波洗浄を用いても、該光電変換層が剥離することはほとんど無かった。しかし、微結晶等の結晶質シリコンを用いた薄膜太陽電池の場合、非晶質シリコンと比較して光吸収係数が小さいことから十分に光を吸収するためには、厚みが少なくとも2〜3μm程度必要である。このため、光電変換層を構成する膜の応力が大きくなることから前記のような周波数20〜50kHz程度の強い超音波洗浄を行なうとレーザスクライブ加工後の該膜の弱い領域等から剥離が生じるという問題があった。一方、この剥離の問題を解決するために、一般的にメガソニックといわれる1MHz以上の周波数を選択したメガソニック洗浄が試みられているが、この洗浄方法によると前記剥離の問題は解消されるものの、上記不要部分等の洗浄効果(除去作用)が十分に得られないという問題があった。したがって、光電変換層として特に結晶質シリコンを用いてなる集積型薄膜太陽電池の製造において、この不要部分の除去による特性の向上が問題となっている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−274446号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、集積型薄膜太陽電池の積層体の各層を一切剥離させずにレーザスクライブ加工で生じた不要部分等を完全に除去することにより、特性の低下が無く信頼性の高い集積型薄膜太陽電池を製造する方法およびそのように製造される集積型薄膜太陽電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の集積型薄膜太陽電池の製造方法は、透光性絶縁基板上に、透明導電層、光電変換層、裏面電極層をそれぞれこの順で積層して積層体を形成させた後、該透光性絶縁基板上で互いに電気的に接続された複数の発電領域を構成するべく該積層体を積層方向に分割することにより集積型薄膜太陽電池を製造する方法であって、該積層体を積層方向に分割する工程が該積層体にレーザ光を照射するレーザスクライブ法により実行され、これにより各発電領域を隔てる分離溝が形成されるとともに、該分離溝に対して氷粒と水との混合物を加速噴射することにより不要部分を除去することを特徴としている。
【0010】
ここで、上記光電変換層は、結晶シリコン系半導体膜または非晶質シリコン系半導体膜とすることができる。
【0011】
また、上記裏面電極層は、銀の薄膜とすることができる。
また、上記氷粒の大きさは、1mm以下とすることができる。
【0012】
また、上記氷粒と水との混合物は、水に対する氷粒の容積率が5%以上60%以下で構成されているものとすることができる。
【0013】
また、上記氷粒と水との混合物は、さらにエッチング剤を含有しているものとすることができる。
【0014】
また、上記加速噴射は、圧縮エアーを用いることにより実行することができる。
【0015】
また、上記圧縮エアーは、0.1MPa〜1.0MPaの範囲の圧力とすることができる。
【0016】
そして、本発明の集積型薄膜太陽電池は、上記の方法により製造されるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
<集積型薄膜太陽電池>
本発明における集積型薄膜太陽電池とは、たとえば図1に示されるように、後述の透光性絶縁基板11上に透明導電層12、光電変換層13、裏面電極層14をそれぞれこの順で積層して積層体を形成させた後、該透光性絶縁基板11上で互いに電気的に接続された複数の発電領域15を構成するべく該積層体を積層方向に分割することにより製造されるものである。該発電領域15とは、通常光電変換層13と裏面電極層14とからなる積層体を一体としてこれを該積層面に対して垂直方向に設けられる分離溝16により分割して形成されるものであり、各分割領域ごとに発電能を有したものとなり、また各分割領域が互いに直列、並列、または直並列的に接続された構造となっている。
【0019】
<透光性絶縁基板>
上記透光性絶縁基板としては、この種の用途に用いられる従来公知のものであれば特に限定されることはなく、いかなるものでも用いることができる。通常、厚さ1〜4mm程度のガラス基板を用いることができる。
【0020】
<透明導電層>
上記透光性絶縁基板上に形成される透明導電層は、この種の用途に用いられる従来公知のものであれば特に限定されることはなく、いかなるものでも用いることができる。たとえば、ZnO、ITO、SnO等からなる厚さ0.4〜1μm程度の透明導電膜を該透明導電層として形成することができる。なお、該形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法、めっき法等従来公知の方法を採用することができ、また通常該形成後各種のレーザ光を照射することにより任意にパターニングを施すことができる。
【0021】
<光電変換層>
上記透明導電層上に形成される光電変換層は、太陽光エネルギを電気エネルギに変換する作用を有し、いわゆる半導体膜であって厚さ0.2〜3.0μm程度に形成されるものである。該半導体膜としては、この種の用途に従来公知のものであれば特に限定なく適用することができるが、とりわけ結晶シリコン系半導体膜または非晶質シリコン系半導体膜を形成することが好適である。この場合、結晶シリコン系半導体膜としては、多結晶シリコン系、微結晶シリコン系、単結晶シリコン系およびこれらの混合系が含まれる。前述の通り、これらの結晶シリコン系半導体膜は、非晶質シリコン系半導体膜に比べて光吸収係数が小さいためその厚みを厚くする必要があるが、このようにその厚みを厚くしても後述の不要部分の除去工程等において剥離することがなく、以って何等の制約なしに結晶シリコン系半導体膜を光電変換層として用いることができるということは本発明の有利な特徴となるものである。なお、本発明でいうシリコン系とはシリコン単独物の他、部分水素化シリコン等を含むことを意味する。
【0022】
このような光電変換層は、単層で形成することができるとともに複数層として形成することもできる。複数層として形成する場合は、p層、i層、n層をそれぞれ順次積層することにより形成することができるとともに、それらの積層体を1ユニットとしそのユニットを複数積層させることも可能である。なお、このような光電変換層は、通常すでにパターニングを施した透明導電層上に対して化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法、めっき法等従来公知の方法を採用することにより形成されるものであるため、透明導電層上だけではなく一部透光性絶縁基板上に積層されることもある。一方該積層形成後、各種のレーザ光を照射することにより任意にパターニングを施すことができる。なお、この場合のレーザ光の照射は通常透光性絶縁基板側から行なわれるため、透明導電層へのダメージを防止するために透明導電層に対して透過性のよいSGH YAGレーザ等を採用することが好ましい。
【0023】
<裏面電極層>
上記光電変換層上に形成される裏面電極層は、電極層としてこの種の用途に従来公知のものであれば特に限定なく適用することができる。通常、各種の金属膜で形成することができ、中でもとりわけ銀による薄膜で形成することが好ましい。このような裏面電極層は、単層で形成することができるとともに複数層として形成することもできる。複数層として形成する場合は、前記銀薄膜等の金属膜と上記光電変換層との間にZnO等の透明導電膜を形成して積層させることができる。なお、このような裏面電極層は、通常すでにパターニングを施した光電変換層上に対してスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成長(CVD)法、めっき法等従来公知の方法を採用することにより形成することができる。このため、光電変換層上だけではなく一部透明導電層や透光性絶縁基板上に積層されることもある。なお、該積層形成後、各種のレーザ光を照射するレーザスクライブ法により各発電領域に分割されることになるが、その詳細は後述する。
【0024】
<集積型薄膜太陽電池の製造方法>
本発明に係る集積型薄膜太陽電池の製造方法は、上述の通り透光性絶縁基板上に透明導電層、光電変換層、裏面電極層をそれぞれこの順で積層して積層体を形成させた後、該透光性絶縁基板上で互いに電気的に接続された複数の発電領域を構成するべく該積層体を積層方向に分割する製造方法に関するものであって、該積層体を積層方向に分割する工程が該積層体にレーザ光を照射するレーザスクライブ法により実行され、これにより各発電領域を隔てる分離溝が形成されるとともに、該分離溝に対して氷粒と水との混合物を加速噴射することにより不要部分を除去することを特徴とするものである。
【0025】
前述の通り、該発電領域とは、通常光電変換層と裏面電極層とからなる積層体を一体としてこれを積層方向(積層面に対して垂直方向)に分割して形成されるものであり、かかる分割方法として本発明においては該積層体にレーザ光を照射するレーザスクライブ法が採用され、該レーザ光が照射された前記積層体の部位が溶融等することにより該部位が消失しそこに分離溝が形成されることになる。この場合のレーザ光の照射は通常透光性絶縁基板側から行なわれるため、透明導電層へのダメージを防止するために透明導電層に対して透過性のよいSGH YAGレーザ等を採用することが好ましい。
【0026】
そして、上記のようにして形成された分離溝に対して、氷粒と水との混合物を加速噴射することにより不要部分が除去される。該不要部分とは、前述したように透光性絶縁基板の表面に付着しているゴミや傷が原因となってその上部の積層体にレーザ光が照射されなかったために生じる一種の残骸物や、他の何らかの影響で溶融せずに残った不融物等であり、ショート等の原因となって太陽電池の特性の低下の原因となるものである。
【0027】
ここで、前記氷粒と水との混合物における混合割合としては、水に対する氷粒の容積率を5%以上60%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは15%以上40%以下とするのが好適である。これは、氷粒の容積率が5%未満の場合は、前記不要部分の除去が十分に行なわれなくなることがあるためであり、一方60%を超える場合はその流動特性の変化により十分な加速噴射ができなくなるからである。また、氷粒の大きさとしては特に限定されないが、1mm以下とすることが好ましい。これは、一般的に使用される透光性絶縁基板の最小の厚みが1mm程度であることから、1mmを超える氷粒では該基板を損傷することがあるからである。
【0028】
一方、このような氷粒と水との混合物は、さらにエッチング剤を含有したものとすることができる。このようなエッチング剤を含有させることにより、裏面電極層を完全に除去することが極めて容易となる。裏面電極層が銀等の単層の金属膜で構成されている場合には、氷粒と水との混合物のみで除去することは可能であるが、裏面電極層が前記の通り複数層で形成されている場合であってZnO等の透明導電膜が積層されている場合にはこの透明導電膜をこのような混合物のみで除去することは困難な場合が多い。したがって、このような場合に氷粒と水との混合物にさらにエッチング剤を含有させることが特に有効な手段となる。ここで、このようなエッチング剤としては、従来公知のエッチング剤を特に限定なく使用することができる。例えば、酢酸、硝酸、塩酸等の酸性物質や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性物質、その他の溶剤等を挙げることができる。透明導電膜は金属膜と比較してその抵抗が2桁程高いため電池特性への影響は金属膜ほど大きくないが、曲線因子(F.F.)等の低下の原因となるためこの透明導電膜を除去することは極めて有意義である。
【0029】
また、このような氷粒と水との混合物を加速噴射させるガスとしては、この種の用途に使用されるガスであれば特に限定されないが、コスト面を考慮すると圧縮エアーを用いることが好ましい。また、該圧縮エアーを用いる場合にはその圧力を0.1MPa〜1.0MPaとすることが好ましく、さらに好ましくは0.2MPa〜0.7MPaとすることが好適である。これは、0.1MPa未満の場合には加速噴射が十分ではなく不要部分の除去が十分に行われなくなることがあるためであり、一方1.0MPaを超える場合には積層体を構成する各層が剥離したり分離溝を損傷したりする場合があるからである。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
<実施例1>
図1に例示するように、透光性絶縁基板11として厚さ1.1mm程度のガラス基板を使用し、このガラス基板上に透明導電層12として熱CVD法でSnO(酸化錫)を積層した。
【0032】
次に、IRレーザを用いて短冊状に分離するように透明導電層12のパターニングを行なった。続いて、該基板を純水で洗浄した後、プラズマCVD法により光電変換層13である水素化非晶質シリコン膜を形成した。光電変換層13は、p型のアモルファスシリコンカーバイド、i型のアモルファスシリコン、n型のアモルファスシリコンからなり、合計の厚みは約350nm程度であった。次に、このようにして形成した光電変換層13に対してレーザを用いてパターニングを行なった。この際、レーザによる透明導電層12へのダメージを避けるためレーザ光としては、透明導電層12に対して透過性の良いSHG YAGレーザを使用した。
【0033】
続いて、光電変換層13上にマグネトロンスパッタ法により、裏面電極層14であるZnO(酸化亜鉛)とAg(銀)とをそれぞれこの順で積層した。この時、裏面電極層14の厚みはZnO(酸化亜鉛)/Ag(銀)それぞれ100nm/300nm程度とした。その後、レーザ光を照射することにより裏面電極層14および光電変換層13に対してレーザスクライブ加工を施すことによって積層方向に分離溝16を形成し、任意のパターンに発電領域を分割した。この際、光電変換層13のパターニングと同様に、レーザ光による透明導電層12へのダメージを避けるため、レーザ光としては、透明導電層12に対して透過性の良いSHG YAGレーザを使用した。その後、顕微鏡を用いて図2に示したようなレーザスクライブ加工後の加工不良部位27をチェックしておき、次の工程に進んだ。
【0034】
次に、裏面電極層14側より分離溝16に対して、0.3MPaの圧縮エアーを用いて水に対する氷粒の容積率が30%である氷粒と水との混合物(氷粒の大きさ:1mm以下)を加速噴射することにより、上記のレーザスクライブ加工で生じた不要部分を除去することによって集積型薄膜太陽電池を製造した。
【0035】
このようにして製造された集積型薄膜太陽電池を再度顕微鏡を用いてチェックしたところ、不要部分である上記図2に示した加工不良部位27に該当する裏面電極層14と光電変換層13の残骸物は、氷粒と水との混合物を加速噴射することにより図3(除去された加工不良部位38,レーザスクライブ加工痕39)に示したように除去されていた。したがって、銀薄膜より抵抗が2桁ほど高い透明導電膜であるZnO(酸化亜鉛)が残るのみとなり、各発電領域間の分離抵抗が改善されていた。この集積型薄膜太陽電池をAM1.5(標準太陽光スペクトル)の下で電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての特性を評価した。得られた各特性の結果は、実施例1の値を基準として表1に示す。
【0036】
<比較例1>
実施例1において、レーザスクライブ加工後の裏面電極層14側からの氷粒と水との混合物の加速噴射に代えて、純水を用いた周波数40KHzの超音波洗浄を行なった以外は全て実施例1と同様にして集積型薄膜太陽電池を製造した。
【0037】
このようにして製造された集積型薄膜太陽電池を顕微鏡を用いてチェックしたところ、図2に示した加工不良部位27は除去されていなかった。この集積型薄膜太陽電池をAM1.5(標準太陽光スペクトル)の下で電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての特性を評価した。このとき加工不良が2段分存する場合に得られた各特性の結果を、実施例1の値を基準として表1に示す。表1より明らかなように、これらの値を上記実施例1の値と比較してみると明らかに劣っていた。
【0038】
<比較例2>
実施例1において、加速噴射する氷粒と水との混合物における氷粒の大きさとして2mmのものを含んだ混合物を用いることを除き、他は全て実施例1と同様にして集積型薄膜太陽電池を製造した。
【0039】
このようにして製造された集積型薄膜太陽電池を顕微鏡を用いてチェックしたところ、部分的に透光性絶縁基板が破損していることが分かった。この結果、氷粒としては1mm以下の大きさのものを用いる必要があることは明らかである。
【0040】
<比較例3>
実施例1において、加速噴射する氷粒と水との混合物における水に対する氷粒の容積率が4%であることを除き、他は全て実施例1と同様にして集積型薄膜太陽電池を製造した。
【0041】
このようにして製造された集積型薄膜太陽電池を顕微鏡を用いてチェックしたところ、図2に示した加工不良部位27が部分的に除去されていなかった。この集積型薄膜太陽電池をAM1.5(標準太陽光スペクトル)の下で電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての特性を評価した。このとき加工不良が2段分存する場合に得られた各特性の結果を、実施例1の値を基準として表1に示す。表1より明らかなように、これらの値を上記実施例1の値と比較してみると明らかに劣っていたことから、氷粒と水との混合物の容積率として適切な割合のものを選択する必要があることは明らかである。
【0042】
<比較例4>
実施例1において、加速噴射する氷粒と水との混合物における水に対する氷粒の容積率が70%であることを除き、他は全て実施例1と同様にして集積型薄膜太陽電池を製造した。
【0043】
このようにして製造された集積型薄膜太陽電池を顕微鏡を用いてチェックしたところ、図2に示した加工不良部位27が部分的に除去されていなかった。この集積型薄膜太陽電池をAM1.5(標準太陽光スペクトル)の下で電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての特性を評価した。このとき加工不良が2段分存する場合に得られた各特性の結果を、実施例1の値を基準として表1に示す。表1より明らかなように、これらの値を上記実施例1の値と比較してみると明らかに劣っていたことから、氷粒と水との混合物の容積率として適切な割合のものを選択する必要があることは明らかである。
【0044】
<比較例5>
実施例1において、氷粒と水との混合物を加速噴射するのに用いられる圧縮エアーの圧力を0.05MPaとすることを除き、他は全て実施例1と同様にして集積型薄膜太陽電池を製造した。
【0045】
このようにして製造された集積型薄膜太陽電池を顕微鏡を用いてチェックしたところ、図2に示した加工不良部位27が部分的に除去されていなかった。この集積型薄膜太陽電池をAM1.5(標準太陽光スペクトル)の下で電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての特性を評価した。このとき加工不良が2段分存する場合に得られた各特性の結果を、実施例1の値を基準として表1に示す。表1より明らかなように、これらの値を上記実施例1の値と比較してみると明らかに劣っていたことから、圧縮エアーの圧力として適切な範囲のものを選択する必要があることは明らかである。
【0046】
【表1】
Figure 2004214565
<実施例2>
図4に例示するように、透光性絶縁基板41として厚さ4.0mm程度のガラス基板を使用し、このガラス基板上に透明導電層42として熱CVD法でSnO(酸化錫)を積層した。
【0047】
次に、IRレーザを用いて短冊状に分離するように透明導電層42のパターニングを行なった。続いて、該基板を純水で洗浄した後、プラズマCVD法により光電変換層43の上部セル43aである水素化非晶質シリコン膜を形成した。上部セル43aは、p型のアモルファスシリコンカーバイド、i型のアモルファスシリコン、n型のアモルファスシリコンからなり、合計の厚みは約0.2μmであった。続いて、下部セル43bを形成した。下部セル43bは、p型の水素化微結晶シリコン層(μc−Si:Hp層)、i型の水素化微結晶シリコン層(μc−Si:Hi層)、n型の水素化微結晶シリコン層(μc−Si:Hn層)からなり、合計の厚みは約2.5μmであった。次に、このようにして形成した光電変換層43に対してレーザを用いてパターニングを行った。この際、レーザによる透明導電層42へのダメージを避けるため、レーザ光としては透明導電層42に対して透過性の良いSHG YAGレーザを使用した。
【0048】
続いて、光電変換層43上にマグネトロンスパッタ法により、裏面電極層44であるZnO(酸化亜鉛)とAg(銀)とをそれぞれこの順で積層した。この時、裏面電極層44の厚みはZnO(酸化亜鉛)/Ag(銀)それぞれ100nm/300nm程度とした。その後、レーザ光を照射することにより裏面電極層44および光電変換層43に対してレーザスクライブ加工を施すことによって積層方向に分離溝46を形成し、任意のパターンに発電領域45を分割した。この際、光電変換層43のパターニングと同様に、レーザ光による透明導電層42へのダメージを避けるため、レーザ光としては透明導電層42に対して透過性の良いSHG YAGレーザを使用した。
【0049】
次に、裏面電極層44側より分離溝46に対して、0.3MPaの圧縮エアーを用いて水に対する氷粒の容積率が30%である氷粒と水との混合物(氷粒の大きさ:1mm以下)を加速噴射することにより上記のレーザスクライブ加工で生じた不要部分を除去することにより集積型薄膜太陽電池を製造した。このようにして製造された集積型薄膜太陽電池は、各層の膜は剥離することがなく、正常に太陽電池として動作した。
【0050】
<比較例6>
実施例2において、レーザスクライブ加工後の裏面電極層44側からの氷粒と水との混合物の加速噴射に代えて、純水を用いた周波数40KHzの超音波洗浄を行なった以外は全て実施例2と同様にして集積型薄膜太陽電池を製造した。
【0051】
このようにして製造された集積型薄膜太陽電池を目視でチェックしたところ、光電変換層43の約5%〜約25%にあたる膜の剥離が見られ、集積型薄膜太陽電池として特性のかなり悪いものとなり商品としての価値は無かった。
【0052】
<比較例7>
実施例2において、氷粒と水との混合物を加速噴射するのに用いられる圧縮エアーの圧力を2.0MPaとすることを除き、他は全て実施例2と同様にして集積型薄膜太陽電池を製造した。
【0053】
このように製造した集積型薄膜太陽電池は、部分的な膜の剥離が見られた。また、この集積型薄膜太陽電池を目視でチェックしたところ、光電変換層43の約3%〜約12%にあたる膜の剥離が見られ、集積型薄膜太陽電池として特性が7%以上低下し、商品としては価値がないものとなった。上記実施例2と比較してみると明らかに劣っていたことから、圧縮エアーの圧力として適切な範囲のものを選択する必要があることは明らかである。
【0054】
<実施例3>
実施例1において、氷粒と水との混合物に0.1%の塩酸を混入させた以外は、全て実施例1と同様にして集積型薄膜太陽電池を製造した。
【0055】
この集積型薄膜太陽電池をAM1.5(標準太陽光スペクトル)の下で電流−電圧特性を測定して、太陽電池としての特性を評価した。得られた各特性の結果を、実施例1の値を基準として表1に示す。表1の結果から明らかな通り、裏面電極層の一部である透明導電膜(ZnO層)を化学的にエッチングさせる溶液を混入することは、実施例1と比較してさらに良くなっていることが明らかである。
【0056】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0057】
【発明の効果】
本発明の集積型薄膜太陽電池の製造方法は、透光性絶縁基板上に、透明導電層、光電変換層、裏面電極層をそれぞれこの順で積層して積層体を形成させた後、該透光性絶縁基板上で互いに電気的に接続された複数の発電領域を構成するべく該積層体を積層方向に分割することにより集積型薄膜太陽電池を製造する方法であって、該積層体を積層方向に分割する工程が該積層体にレーザ光を照射するレーザスクライブ法により実行され、これにより各発電領域を隔てる分離溝が形成されるとともに、該分離溝に対して氷粒と水との混合物を加速噴射することにより不要部分を除去することを特徴としている。このような特徴を有することにより、前記積層体の各層を一切剥離することなく不要部分を完全に除去することが可能となったため、電池本体に対してダメージを全く与えることがなく、ショート等の電池特性の低下の原因となる要因を一掃した極めて信頼性の高い集積型薄膜太陽電池を歩留まり良く製造することが可能となった。とりわけ、前記層剥離の防止に成功したことにより光電変換層として結晶シリコン系半導体膜を用いることができるようになった点、その産業上の有用性は極めて大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】集積型薄膜太陽電池の構造を示す概略断面図である。
【図2】レーザスクライブ加工後の加工不良部位を表す概略図である。
【図3】氷粒と水との混合物を加速噴射することにより加工不良部位が除去されたことを表す概略図である。
【図4】複数の光電変換層が積層されている集積型薄膜太陽電池の構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
11,41 透光性絶縁基板、12,42 透明導電層、13,43 光電変換層、43a 上部セル、43b 下部セル、14,44 裏面電極層、15,45 発電領域、16,46 分離溝、27 加工不良部位、38 除去された加工不良部位、29,39 レーザスクライブ加工痕。

Claims (9)

  1. 透光性絶縁基板上に、透明導電層、光電変換層、裏面電極層をそれぞれこの順で積層して積層体を形成させた後、該透光性絶縁基板上で互いに電気的に接続された複数の発電領域を構成するべく該積層体を積層方向に分割することにより集積型薄膜太陽電池を製造する方法であって、該積層体を積層方向に分割する工程が該積層体にレーザ光を照射するレーザスクライブ法により実行され、これにより各発電領域を隔てる分離溝が形成されるとともに、該分離溝に対して氷粒と水との混合物を加速噴射することにより不要部分を除去することを特徴とする集積型薄膜太陽電池の製造方法。
  2. 光電変換層が、結晶シリコン系半導体膜または非晶質シリコン系半導体膜であることを特徴とする請求項1記載の集積型薄膜太陽電池の製造方法。
  3. 裏面電極層が、銀の薄膜であることを特徴とする請求項1記載の集積型薄膜太陽電池の製造方法。
  4. 氷粒の大きさが、1mm以下であることを特徴とする請求項1記載の集積型薄膜太陽電池の製造方法。
  5. 氷粒と水との混合物が、水に対する氷粒の容積率が5%以上60%以下で構成されていることを特徴とする請求項1記載の集積型薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 氷粒と水との混合物が、さらにエッチング剤を含有していることを特徴とする請求項1記載の集積型薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 加速噴射が、圧縮エアーを用いることにより実行されることを特徴とする請求項1記載の集積型薄膜太陽電池の製造方法。
  8. 圧縮エアーが、0.1MPa〜1.0MPaの範囲の圧力であることを特徴とする請求項7記載の集積型薄膜太陽電池の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により製造される集積型薄膜太陽電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009195968A (ja) * 2008-02-25 2009-09-03 Mitsubishi Electric Corp レーザスクライブ装置
US8294021B2 (en) 2008-10-23 2012-10-23 Samsung Electronics Co., Ltd. Photovoltaic device and method for manufacturing the same
JP2016139739A (ja) * 2015-01-28 2016-08-04 株式会社東芝 デバイスの製造方法
CN114156370A (zh) * 2021-12-03 2022-03-08 华能新能源股份有限公司 一种太阳能电池器件及其制造方法

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