JP2004212781A - 電気光学装置、電子機器、および電気光学装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶装置1において、第1の表示用基板22aの第1の偏光部材6aが配置されている側の面に凹部28aが形成され、その内部に第1の偏光部材6aが配置されている。また、第2の表示用基板22bの第2の偏光部材6bが配置されている側の面に凹部28bが形成され、その内部に第2の偏光部材6b、および反射板7が配置されている。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の基板間に保持した電気光学物質によって画像を表示する電気光学パネルに透明保護板が重ねて配置された電気光学装置、電子機器、および電気光学装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機やパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)などの携帯用の電子機器では、各種の電気光学装置によって表示部が構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9には、代表的な電気光学装置である液晶装置が示されており、ここに示す液晶装置において、液晶パネル2では、ガラス基板などからなる第1の表示用基板22aと、同じくガラス基板からなる第2の表示用基板22bとが所定の間隙を介してシール材23で貼り合わされている。また、液晶パネル2において、シール材23によって区画された領域内には電気光学物質としての液晶44の層が保持されている。
【0004】
液晶パネル2の第1の表示用基板22aの側には、ガラス製あるいはプラスチック製の透明保護板4が重ねて配置され、この透明保護板4と液晶パネル2との間には、第1の偏光部材6aが重ねて配置されている。これに対して、液晶パネル2に対して透明保護板4とは反対側には第2の偏光部材6b、および反射板7が重ねて配置されている。さらに、反射板7に対して第2の偏光部材6bや液晶パネル2が配置されている側とは反対側には、液晶装置全体を支持するための支持枠34が配置されている。
【0005】
このような液晶装置を製造するにあたって、液晶パネル2を組み立てるには、一般に、第1の表示用基板22aより大型の第1の大型基板と、第2の表示用基板22bより大型の第2の大型基板とをシール材で貼り合わせてパネル構造体とした後、このパネル構造体を単品サイズの液晶パネル2に切断する方法が採用されている。ここで、パネル構造体を切断するには、一般に、第1の大型基板に切断溝を形成した後、第2の大型基板の側から第1の大型基板に応力を加えて第1の大型基板を割断する一方、第2の大型基板に切断溝を形成した後、第1の大型基板の側から第2の大型基板に応力を加えて第2の大型基板を割断する。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−311449号公報(第6−7頁、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような液晶装置では、外光を利用して明るい表示を行いたいなどの要求が強いことから、第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bとして薄いものを用い、各基板の光透過性を向上させることが考えられる。それには、もともと薄いガラス基板を第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bとして用いるか、第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bを構成する大型基板同士を貼り合わせてパネル構造体とした後、このパネル構造体に全面エッチングを施して、大型基板(第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22b)を薄くすればよい。このような構成によれば、光透過性を向上させることができるとともに、基板が薄くなった分、液晶装置の薄型化を図ることもできる。
【0008】
しかしながら、前者の対応では、液晶パネル2を組み立てる際、ガラス基板(第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22b)が薄いため、割れやすいという問題点がある。
【0009】
また、前者および後者のいずれにおいても、大型基板同士を貼り合わせたパネル構造体を単品サイズの液晶パネル2に切断する際、一方のガラス基板に切断溝を形成した後、他方のガラス基板の側から一方のガラス基板に応力を加えて一方のガラス基板を割断しようとしても、ガラス基板が薄いと切断溝に応力が集中せず、ガラス基板が切断溝に沿って割れないという問題点がある。
【0010】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、装置全体の薄型化を図ることができるとともに、明るい画像を表示でき、かつ、大型のパネル構造体から単品の電気光学パネルを切り出すのにも支障のない電気光学装置、この電気光学装置を備えた電子機器、および、電気光学装置の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の形態では、透光性の第1の表示用基板と透光性の第2の表示用基板とが所定の間隙を介してシール材で貼り合わされ、当該基板間で前記シール材によって区画された領域内に電気光学物質が保持された電気光学パネルと、該電気光学パネルに対して前記第1の表示用基板の側に重ねて配置された透明保護板と、当該透明保護板と前記電気光学パネルの間に重ねて配置された第1の偏光部材と、前記電気光学パネルに対して前記透明保護板とは反対側に重ねて配置された第2の偏光部材とを有する電気光学装置において、前記電気光学パネルで前記第2の表示用基板の前記第2の偏光部材が配置されている側の面には、当該第2の表示用基板の周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部が形成され、当該凹部内に前記第2の偏光部材が配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、電気光学パネルに用いた第2の表示用基板の外側表面(第2の偏光部材が配置されている側の面)には、周辺部を除く中央領域全体に凹部が形成され、凹部の底部では基板が薄い。このため、光の透過効率が高いので、明るい表示を行うことができる。また、第2の偏光部材は、凹部内に配置されているので、装置全体の薄型化を図ることができる。さらに、第2の表示用基板の外側表面において、凹部は、周辺部を除く中央領域全体に形成されているので、第1の大型基板と第2の大型基板とを貼り合わせたパネル構造体を切断するには、凹部が形成されていない周辺部を切断することになり、このような切断箇所では、基板は厚いままである。従って、第1の表示用基板と第2の表示用基板とを貼り合わせたパネル構造体を切断する際、第2の表示用基板に切断溝を形成した後、第1の表示用基板の側から応力を加えれば、第2の表示用基板を切断することができる。
【0013】
本発明の第2の形態では、透光性の第1の表示用基板と透光性の第2の表示用基板とが所定の間隙を介してシール材で貼り合わされ、当該基板間で前記シール材によって区画された領域内に電気光学物質が保持された電気光学パネルと、該電気光学パネルに対して前記第1の表示用基板の側に重ねて配置された透明保護板と、当該透明保護板と前記電気光学パネルの間に重ねて配置された第1の偏光部材と、前記電気光学パネルに対して前記透明保護板とは反対側に重ねて配置された第2の偏光部材とを有する電気光学装置において、前記電気光学パネルで前記第1の表示用基板の前記第1の偏光部材が配置されている側の面には、当該基板の周辺部を除く中央領域全体を薄くする第1の凹部が形成されているとともに、当該第1の凹部内に前記第1の偏光部材が配置され、前記第2の表示用基板の前記第2の偏光部材が配置されている側の面には、当該基板の周辺部を除く中央領域全体を薄くする第2の凹部が形成されているとともに、当該第2の凹部内に前記第2の偏光部材が配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明では、電気光学パネルに用いた第1の表示用基板の外側表面(第1の偏光部材が配置されている側の面)、および第2の表示用基板の外側表面(第2の偏光部材が配置されている側の面)には、周辺部を除く中央領域全体に凹部が形成され、凹部の底部では基板が薄い。このため、光の透過効率が高いので、明るい表示を行うことができる。また、偏光部材はそれぞれ、凹部内に配置されているので、装置全体の薄型化を図ることができる。さらに、第1の表示用基板および第2の表示用基板の各々において、凹部は、周辺部を除く中央領域全体に形成されているので、第1の大型基板と第2の大型基板とを貼り合わせたパネル構造体を切断するには、凹部が形成されていない周辺部を切断することになり、このような切断箇所では、基板は厚いままである。従って、第1の表示用基板と第2の表示用基板とを貼り合わせたパネル構造体を切断する際、第1の表示用基板に切断溝を形成した後、第2の表示用基板の側から応力を加えれば、第1の表示用基板を切断することができる。また、第2の表示用基板に切断溝を形成した後、第1の表示用基板の側から応力を加えれば、第2の表示用基板を切断することができる。
【0015】
本発明において、前記第1の凹部と前記第2の凹部とは同一の深さであることが好ましい。すなわち、第1の凹部と第2の凹部については同一のエッチング工程で同時形成することが好ましい。
【0016】
本発明の第3の形態では、透光性の第1の表示用基板と透光性の第2の表示用基板とが所定の間隙を介してシール材で貼り合わされ、当該基板間で前記シール材によって区画された領域内に電気光学物質が保持された電気光学パネルと、該電気光学パネルに対して前記第1の表示用基板の側に重ねて配置された透明保護板と、当該透明保護板と前記電気光学パネルの間に重ねて配置された第1の偏光部材と、前記電気光学パネルに対して前記透明保護板とは反対側に重ねて配置された第2の偏光部材とを有する電気光学装置において、前記電気光学パネルで前記第1の表示用基板の前記第1の偏光部材が配置されている側の面には、当該基板の周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部が形成され、当該凹部内に前記第1の偏光部材が配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明では、電気光学パネルに用いた第1の表示用基板の外側表面(第1の偏光部材が配置されている側の面)には、周辺部を除く中央領域全体に凹部が形成され、凹部の底部では基板が薄い。このため、光の透過効率が高いので、明るい表示を行うことができる。また、第1の偏光部材は、凹部内に配置されているので、装置全体の薄型化を図ることができる。さらに、第1の表示用基板の外側表面において、凹部は、周辺部を除く中央領域全体に形成されているので、第1の大型基板と第2の大型基板とを貼り合わせたパネル構造体を切断するには、凹部が形成されていない周辺部を切断することになり、このような切断箇所では、基板は厚いままである。従って、第1の表示用基板と第2の表示用基板とを貼り合わせたパネル構造体を切断する際、第1の表示用基板に切断溝を形成した後、第2の表示用基板の側から応力を加えれば、第1の表示用基板を切断することができる。
【0018】
本発明において、前記第1の表示用基板、および前記第2の表示用基板のうち、前記凹部が形成されている側の表示用基板は、他方の表示用基板よりも薄い基板から構成されていることが好ましい。薄い方の基板に対して凹部を形成する構成であれば、厚い方の基板に凹部を形成する構成と比較して、凹部の底部を同一の厚さ寸法とする場合でも、凹部をエッチング形成する際のエッチング処理時間が短くて済むという利点がある。
【0019】
本発明において、前記第2の表示用基板に形成されている前記凹部は、該凹部内に配置される前記第2の偏光部材の厚さよりも深く形成されていることが好ましい。この場合、前記凹部内に配置される前記偏光部材は、当該凹部の内部にて固定されていることが好ましい。このように構成すると、第2の偏光部材は、凹部内に完全に収納されるので、電気光学装置の薄型化を図ることができる。また、第2の表示用基板の中央領域に形成された凹部内に第2の偏光部材が完全に収納されているので、この部分は、電気光学パネルの背面側に配置された支持枠から浮いた状態にある。このため、透明保護板を指で押圧した際、第2の表示用基板がわずかに撓んで、その力が第2の表示用基板で吸収される。従って、透明保護板を押圧しても電気光学パネルで表示されている画像が歪むことがない。
【0020】
本発明において、前記第1の表示用基板に形成されている前記凹部は、該凹部内に配置される前記偏光部材の厚さよりも深く形成されていることが好ましい。この場合、前記凹部内に配置される前記偏光部材は、当該凹部の内部にて固定されていることが好ましい。このように構成すると、第2の偏光部材は、凹部内に完全に収納されるので、電気光学装置の薄型化を図ることができる。
【0021】
本発明において、前記第1の表示用基板に形成されている前記凹部内には樹脂が充填されていることが好ましい。本発明の第2の形態、および第3の形態では、第1の表示用基板の方に凹部を形成したが、この凹部に樹脂を充填しておけば、第2の偏光部材と透明保護板との間に空気層が介在しない。従って、光の反射ロスや透過ロスを低減できるので、明るい画像を表示できる。
【0022】
本発明において、前記電気光学パネルには、前記第1の表示用基板あるいは前記第2の表示用基板において前記凹部の外周側に位置する厚手領域に半導体装置が実装されていることが好ましい。電気光学パネルでは、電気光学物質を駆動するための半導体装置が第1の表光用基板あるいは第2の表示用基板に実装されるが、本発明では、凹部の外周側は厚手領域になっているので、このような厚手領域であれば、半導体装置を実装するのに支障がない。
【0023】
本発明において、前記透明保護板のうち、前記凹部の外周側と平面的に重なる領域には、印刷などによって遮光層を形成しておき、表示品位を低下するのを防止しておくことが好ましい。
【0024】
本発明に係る電気光学装置は、例えば、携帯電話機やパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)などの携帯用の電子機器に搭載される。
【0025】
本発明の第1の形態に係る電気光学装置の製造方法においては、例えば、前記電気光学パネルを製造する際、前記第1の表示用基板より大型の第1の大型基板と前記第2の表示用基板より大型の第2の大型基板とを前記シール材で貼り合わせて大型のパネル構造体とする貼り合わせ工程と、前記パネル構造体において前記第2の表示用基板として切り出される領域の中央領域を除いて当該パネル構造体をマスク材で覆うマスキング工程と、当該パネル構造体にエッチングを施して前記第2の表示用基板表面の中央領域に凹部を形成するエッチング工程と、前記パネル構造体を切断する切断工程とを行う。
【0026】
本発明の第2の形態に係る電気光学装置の製造方法においては、例えば、前記電気光学パネルを製造する際、前記第1の表示用基板より大型の第1の大型基板と前記第2の表示用基板より大型の第2の大型基板とを前記シール材で貼り合わせて大型のパネル構造体とする貼り合わせ工程と、前記パネル構造体において前記第1の表示用基板として切り出される領域の中央領域、および前記第2の表示用基板として切り出される領域の中央領域を除いて当該パネル構造体をマスク材で覆うマスキング工程と、当該パネル構造体にエッチングを施して前記第1の表示用基板表面の中央領域に第1の凹部を形成し、前記第2の表示用基板表面の中央領域に第2の凹部を形成するエッチング工程と、前記パネル構造体を切断する切断工程とを行う。
【0027】
本発明の第3の形態に係る電気光学装置の製造方法においては、例えば、前記電気光学パネルを製造する際、前記第1の表示用基板より大型の第1の大型基板と前記第2の表示用基板より大型の第2の大型基板とを前記シール材で貼り合わせて大型のパネル構造体とする貼り合わせ工程と、前記パネル構造体において前記第1の表示用基板として切り出される領域の中央領域を除いて当該パネル構造体をマスク材で覆うマスキング工程と、当該パネル構造体にエッチングを施して前記第1の表示用基板表面の中央領域に凹部を形成するエッチング工程と、前記パネル構造体を切断する切断工程とを行う。
【0028】
本発明の第2の形態、および第3の形態に係る電気光学装置を製造するには、前記第1の表示用基板に形成されている前記凹部内に前記第1の偏光部材を配置した後、当該凹部内に樹脂を充填することが好ましい。
【0029】
本発明において、前記マスク材としては、フィルム、塗膜、あるいはレジスト膜などを用いることができる。
【0030】
本発明において、前記基板間で前記シール材によって区画された領域内に前記電気光学物質を保持させるにあたっては、前記シール材の途切れ部分からなる注入口から前記基板間に前記電気光学物質を注入した後、流体圧を利用して余剰な電気光学物質を当該基板間から前記注入口を経て押し出し、しかる後に当該注入口を封止することが好ましい。すなわち、流体圧であれば、凹部が形成された表示用基板に対しても均一な圧力を加えることができ、余剰な電気光学物質を基板間から押し出すことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明に係る電気光学装置を備えた電子機器の一例としての携帯電話機の斜視図である。図2および図3はそれぞれ、本発明に係る電気光学装置の分解斜視図、および縦断面図である。
【0033】
図1において、携帯電話機101は、表示部を構成する電気光学装置としての液晶装置1、ボタン91などを有している。
【0034】
図2および図3において、液晶装置1は、この液晶装置1を保持する支持枠34と、電気光学パネルとしての矩形状の液晶パネル2と、矩形状の透明保護板4とが平面的に重ねて配置された構造を有している。液晶パネル2と透明保護板4との間には、第1の偏光部材6aが重ねて配置され、液晶パネル2に対して透明保護板4とは反対側には第2の偏光部材6b、および反射板7が重ねて配置されている。第1の偏光部材6a、および第2の偏光部材6bはそれぞれ、表示に必要な偏光透過性を得ることができる向きに配置されている。なお、反射板7は、第2の偏光部材6bと一体に構成することも可能である。
【0035】
(液晶パネルの構成)
液晶パネル2は、透明保護板4の側に位置する透明な第1の表示用基板22a、およびこの第1の表示用基板22aに対して透明保護板4とは反対側に配置された第2の表示用基板22bとを備えており、本形態では、第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bのいずれについても、ガラス基板が用いられている。
【0036】
第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bは、所定の間隙を介してシール材23によって貼り合わされ、第1の表示用基板22aと第2の表示用基板22bとの基板間でシール材23によって区画された領域内には、電気光学物質としての液晶44の層が保持されている。第1の表示用基板22aと第2の表示用基板22bとの間には、多数の液晶パネル用のスペーサ43が散布されており、このスペーサ43、およびシール材23に配合されているギャップ材によって、第1の表示用基板22aと第2の表示用基板22bとの間隙(液晶の層厚)が、例えば5μmに規定されている。シール材23には、その途切れ部分によって液晶注入口23aが形成されており、この液晶注入口23aは、ここから基板間に液晶44を注入、充填した後、封止材23bにより封止されている。
【0037】
ここに示す液晶パネル2は、パッシブマトリクス型であり、第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bにおいて対向する各々の第1面123a、123bには、例えば1000nm程度のITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電膜からなる電極26a、26bが互いに交差する方向にストライプ状に形成されている。
【0038】
なお、図示を省略するが、第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bの各第1面123a、123bには、上記の電極26a、26bの表面に、厚さが約800nm程度のポリイミド樹脂からなる配向膜(図示せず)が形成されている。また、第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bの各第1面123a、123bには、前記電極26a、26bや配向膜の他、遮光膜、カラーフィルタ層、平坦化膜などが形成されている。
【0039】
第1の表示用基板22aは、第2の表示用基板22bの端部より突出した張出し部25を有しており、この張出し部25の第1面123a上には駆動用のICチップ36が実装されている。
【0040】
ここで、張出し部25の第1面123a上には、ICチップ36の実装端子を第1電極26aの各々に繋がる多数の配線と、ICチップ36の実装端子から第2の表示用基板22aの端部と対向する位置まで延びた基板間導通用の多数の配線とが形成されており、基板間導通用の配線の端部は、シール材23に配合された基板間導通材を介して、第2の表示用基板22bの第1面123bに形成されている多数の電極26bと各々、導通している。また、張出し部25の第1面123a上は、ICチップ36の実装端子から張出し部25の端部に向けて、外部回路からの信号供給用のフレキシブル基板が実装される接続端子33も形成されている。
【0041】
このように構成した液晶パネル2において、第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bに形成したストライプ状の電極26a、26bの各々の交差部分によって各画素が形成され、これらの画素がマトリクス状に配列している領域が画像表示領域106である。この画像表示領域106は、第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bのいずれにおいても、周辺部を除く中央領域に相当する。
【0042】
本形態の液晶装置1では、液晶パネル2に対して透明保護板4と反対側(液晶パネル2の裏面側)に、第2の偏光部材6bおよび反射板7が重ねて配置されており、透明保護板4の側から液晶パネル2に入射した外光は、液晶44の層を通って反射板7に向い、反射板7で反射した光は、再び液晶44の層を通って透明保護板4の側から出射される。この間、光は液晶44によって変調され、所定の画像を表示することになる。
【0043】
[詳細構成]
このように構成した液晶装置1において、本形態では、第1の表示用基板22aとして0.7mmのガラス板が用いられ、この第1の表示用基板22aにおいて第1の偏光部材6aが配置されている側の第2面122aは平坦面のままである。従って、第1の偏光部材6aは、液晶パネル2と透明保護板4との間に挟持され、接着固定されていないため、第1の偏光部材6aと液晶パネル2との間、および第1の偏光部材6aと透明保護板4との間に空気層が介在しない。従って、光の透過ロスが少ないので、明るい表示を行うことができる。
【0044】
これに対して、第2の表示用基板22bの第2の偏光部材6bが配置されている側の第2面122bには、第2の表示用基板22bの周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部28bが形成されている。第2の表示用基板22bは、厚さが0.5mmのガラス板であり、凹部28bの深さは0.3mmである。このため、凹部28bの底部のガラス厚は0.2mmになっており、極めて薄い。従って、本形態の液晶装置1では、第2の表示用基板22bの光の透過効率が高いので、明るい表示を行うことができる。
【0045】
また、凹部28bは、第2の偏光部材6bの厚さ寸法寸法と反射板7の厚さ寸法とを足した寸法よりも深い。ここで、第2の偏光部材6bおよび反射板7は、この順に凹部28bの内部にて固定されており、この状態において、第2の偏光部材6bおよび反射板7は、完全に凹部28b内に収納された状態にある。それ故、液晶装置1の薄型化を図ることができる。
【0046】
また、第2の表示用基板22bの中央領域に凹部28bが形成されているので、第2の表示用基板22bの周辺領域のみが支持枠34で支持された構造になっている。このため、透明保護板4の表面を指で押してしまった際、その力によって、第2の表示用基板22bは、わずかに撓んで押圧した際の力を吸収する。それ故、透明保護板4の表面を指で押しても液晶パネル2で表示されている画像が歪むことがない。
【0047】
しかも、液晶パネル2を製造するには、以下に説明するように、第1の表示用基板22aより大型の第1の大型基板と、第2の表示用基板22bより大型の第2の大型基板とをシール材で貼り合わせてパネル構造体とした後、このパネル構造体を単品サイズの液晶パネル2に切断する。この切断の際には、第1の大型基板に切断溝を形成した後、第2の大型基板の側から第1の大型基板に応力を加えて第1の大型基板を割断する一方、第2の大型基板に切断溝を形成した後、第1の大型基板の側から第2の大型基板に応力を加えて第2の大型基板を割断する。このような方法でパネル構造体を切断する際、基板が薄すぎると、応力が切断溝に集中しないという問題が発生するが、本形態では、このような問題が発生しない。
【0048】
[電気光学装置1の製造方法]
図4および図5(A)〜(H)はそれぞれ、本発明に係る液晶装置1の製造方法のうち、液晶パネル2の製造工程を示す工程図、およびこれらの各工程における仕掛途中品の様子を示す説明図である。
【0049】
図4および図5(A)、(B)において、本形態の液晶装置1を製造するにあたって、第1の表示用基板22aおよび第2の表示用基板22bはいずれも、これらの基板を各々、多数枚取りできる大型基板220a、220bの状態で、半導体プロセスを利用して電極パターンなどの形成工程が行われる。すなわち、第1の表示用基板22aを多数枚取りできる、厚さ0.7mmの第1の大型基板220aの状態で、フォトリソグラフィ技術や各種印刷技術を利用して、遮光膜の形成工程ST11、カラーフィルタの形成工程ST2、平坦化膜の形成工程ST13、電極26aの形成工程ST14、配向膜の形成・ラビング工程ST15、シール材23の塗布工程ST16が行われる。
【0050】
一方、第2の表示用基板22bを多数枚取りできる、厚さ0.5mmの第2の大型基板220bの状態で電極26bの形成工程ST21、オーバコート膜の形成工程ST22、配向膜の形成・ラビング工程ST23、スペーサの散布工程ST24が行われる。
【0051】
次に、貼合せ工程ST31において、図5(C)に示すように、大型基板220a、220b同士をシール材23によって貼り合せ、大型のパネル構造体300を形成する。
【0052】
次に、マスキング工程ST32では、図5(D)に示すように、大型のパネル構造体300において、単品の液晶パネル2が切り出される領域のうち、第2の大型基板220bで第2の表示用基板22bとなるべき領域の周辺部分を除く中央領域については露出するようにマスク材310を形成する。この際、パネル構造体300の外周部分にもマスク材310で覆っておき、第1の表示用基板22aと第2の表示用基板22bとの間に形成されている隙間を塞いでおく。このようなマスキング工程では、マスク材として所定形状のフィルムを粘着材で貼る方法、各種の耐薬品性の高い塗膜を刷毛塗り、スクリーン印刷、インクジェット法、オフセット印刷などの方法で塗布する方法、さらにはフォトリソグラフィ技術でレジスト膜を形成する方法などを採用することができる。
【0053】
次に、エッチング工程ST33では、図5(E)に示すように、大型のパネル構造体300において、マスク材21から露出している部分にエッチングを行い、第2の大型基板220bで第2の表示用基板22bとなるべき領域の中央領域に凹部28bを形成する。このようなエッチング工程として、本形態では、ウエットエッチングを行う。ここで用いるエッチング液は、例えば、フッ酸系の薬液である。例えば、フッ酸液、フッ化硫酸液、ケイフッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸などのエッチング液を用いることができる。また、それらを含む水溶液を使用することもできる。例えば、フッ化水素酸と硝酸の混合水溶液、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムと硝酸の混合水溶液、フッ化水素酸と水素二フッ化アンモニウムの水溶液、フッ化水素酸と水素二フッ化アンモニウムと硝酸の水溶液などを用いることができる。また、エッチング速度が遅いが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリ性の薬液を用いることができる。
【0054】
ここで、本形態では、ガラス基板に凹部を形成して基板厚を薄くするが、本形態では、第1の大型基板220a、および第2の大型基板220bのうち、薄い方の基板にエッチングを施すため、エッチング時間が短くて済む。
【0055】
次に、大型のパネル構造体300からマスク材21を除去した後、1次ブレイク工程ST34において、大型のパネル構造体300を、図5(F)に示す短冊状のパネル構造体400に切断して注入口31を開口させる。
【0056】
それには、まず、大型のパネル構造体300の表面および裏面のうち、第1の大型基板220aの表面に対してダイヤモンドカッタによって浅い切断溝を形成した後、裏面側の第2の大型基板220bの側から治具によって第1の大型基板220aに応力を加えて第1の大型基板220aを割断する。また、第2の大型基板220bの表面に対してダイヤモンドカッタによって浅い切断溝を形成した後、裏面側の第1の大型基板220aの側から治具によって第2の大型基板220bに応力を加えて第2の大型基板220bを割断する。
【0057】
その際、パネル構造体300では、前記のエッチング工程ST33において、第1の大型基板220aはマスク材310で覆われていたので、全体が厚いままである。このため、第2の大型基板220bの側から第1の大型基板220aに加えた応力が切断溝に集中するので、第1の大型基板220aは、切断溝に沿ってスムーズに割断される。
【0058】
これに対して、第2の大型基板220bには凹部28bが形成されているが、第2の大型基板220bが割断される部分はマスク材310で覆われていた部分であり、エッチングが施されていない。すなわち、第2の大型基板220bに対する割断箇所は、エッチングが施されなかった厚手領域29bである。このため、第1の大型基板220aの側から第2の大型基板220bに加えた応力が切断溝に集中するので、第2の大型基板220ab、切断溝に沿ってスムーズに割断される。
【0059】
次に、液晶封入・封止工程ST36において、短冊状のパネル構造体400の内部に液晶44を注入した後、注入口23aを封止材23bで封止する。
【0060】
このような封止を行う際、第1の大型基板220aおよび第2の大型基板220bに圧力を加えて基板間を狭めることにより、余剰な液晶44を注入口23aが押し出すが、本形態では、第2の大型基板220bには凹部28bが形成されているので、機械的な方法で押圧する方法で均一に圧力を加えることが難しい。そこで、本形態では、気体あるいは液体などの流体を利用し、その流体圧によって、第1の大型基板220aおよび第2の大型基板220bに圧力を加えて基板間を狭め、余剰な液晶44を注入口23aが押し出し、しかる後に、注入口23aを封止材23bで塞ぐ。
【0061】
次に、2次ブレイク工程ST35において、図2および図5(G)に示すように、第1の表示用基板22aの端部が張出領域25として第2の表示用基板22bから張り出すように、短冊状のパネル構造体400を切断し、単品の液晶パネル2を得る。
【0062】
このような2次ブレイク工程ST35においても、1次ブレイク工程ST34と同様な切断方法を用いるが、1次ブレイク工程ST34を行った際と同様、第2の大型基板220bに対する割断箇所は、エッチングが施されなかった厚手領域29bである。このため、第1の大型基板220aの側から第2の大型基板220bに加えた応力が切断溝に集中するので、第2の大型基板220ab、切断溝に沿ってスムーズに割断される。
【0063】
次に、IC実装工程ST36で、図1および図5(H)に示すように、単品の液晶パネル2の張出領域25に対して駆動用IC36およびフレキシブル基板を実装する。
【0064】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係る液晶装置の縦断面図である。なお、本形態の液晶装置は、基本的な構成が実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0065】
図6に示すように、本形態のパネル付き液晶装置1においても、液晶パネル2は、透明保護板4の側に位置する透明な第1の表示用基板22a、およびこの第1の表示用基板22aに対して透明保護板4とは反対側に配置された第2の表示用基板22bとを備えている。第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bは、所定の間隙を介してシール材23によって貼り合わされ、第1の表示用基板22aと第2の表示用基板22bとの基板間でシール材23によって区画された領域内には、電気光学物質としての液晶44の層が保持されている。
【0066】
また、液晶パネル2に対して透明保護板4の側には第1の偏光部材6aが重ねて配置され、その反対側(液晶パネル2の裏面側)には、第2の偏光部材6bおよび反射板7が重ねて配置されている。
【0067】
このように構成した液晶装置1において、本形態では、第1の表示用基板22aの第1の偏光部材6aが配置されている側の第2面122aには、第1の表示用基板22aの周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部28aが形成されている。第1の表示用基板22aは、厚さが0.5mmのガラス板であり、凹部28aの深さは0.3mmである。このため、凹部28aの底部のガラス厚は0.2mmになっており、極めて薄い。従って、本形態の液晶装置1では、第1の表示用基板22aの光の透過効率が高いので、明るい表示を行うことができる。
【0068】
また、凹部28aは、第1の偏光部材6aの厚さ寸法寸法よりも深い。ここで、第1の偏光部材6aは、凹部28aの内部にて固定されており、この状態において、第1の偏光部材6aは、完全に凹部28a内に収納された状態にある。それ故、液晶装置1の薄型化を図ることができる。
【0069】
しかも、ICチップ36は、第1の表示用基板22aのうち、凹部28aの周辺領域の厚手領域29bに実装されているため、ICチップ36をCOG実装するのに支障がない。
【0070】
一方、第2の表示用基板22bの第2の偏光部材6bが配置されている側の第2面122bには、第2の表示用基板22bの周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部28bが形成されている。第2の表示用基板22bも、厚さが0.5mmのガラス板であり、凹部28bの深さは0.3mmである。このため、凹部28bの底部のガラス厚は0.2mmになっており、極めて薄い。従って、本形態の液晶装置1では、第2の表示用基板22bの光の透過効率が高いので、明るい表示を行うことができる。
【0071】
また、凹部28bは、第2の偏光部材6bの厚さ寸法寸法と反射板7の厚さ寸法とを足した寸法よりも深い。ここで、第2の偏光部材6bおよび反射板7は、この順に凹部28bの内部にて固定されており、この状態において、第2の偏光部材6bおよび反射板7は、完全に凹部28b内に収納された状態にある。それ故、液晶装置1の薄型化を図ることができる。
【0072】
また、第1の表示用基板22aに凹部28aが形成されているため、透明保護板4の中央領域は、第1の表示用基板22aからわずかに浮いている。このため、透明保護板4の表面を指で押したとき、透明保護板4は、わずかに撓んで押圧した際の力を吸収する。それ故、透明保護板4を指で押圧しても液晶パネル2で表示されている画像が歪むことがない。
【0073】
このような液晶装置1は、実施の形態1に関して、図4および図5を参照して説明した方法と同様な方法で製造される。従って、その詳細な説明を省略するが、液晶パネル1を製造する際には、まず、第1の表示用基板22aより大型の第1の大型基板220aと第2の表示用基板22bより大型の第2の大型基板220bとをシール材23で貼り合わせて大型のパネル構造体300とする(貼り合わせ工程)。
【0074】
そして、パネル構造体300において第1の表示用基板22aとして切り出される領域の中央領域、および第2の表示用基板22bとして切り出される領域の中央領域を除いてマスク材310で覆い(マスキング工程)、この状態で、パネル構造体300にエッチングを施して第1の表示用基板22a表面の中央領域に第1の偏光部材6aの厚さよりも深い凹部28aを形成し、第2の表示用基板22b表面の中央領域に第2の偏光部材6bおよび反射板7の総厚よりも深い凹部28bを形成する(エッチング工程)。
【0075】
しかる後には、パネル構造体300を切断するブレイク工程を行うが、この切断の際には、第1の大型基板220aに切断溝を形成した後、第2の大型基板220bの側から第1の大型基板220aに応力を加えて第1の大型基板220aを割断する一方、第2の大型基板220bに切断溝を形成した後、第1の大型基板220aの側から第2の大型基板220bに応力を加えて第2の大型基板220bを割断する(切断工程)。
【0076】
このような方法でパネル構造体を切断する際、第1の大型基板220aおよび第2の大型基板220bのいずれにも凹部28a、28bが形成されているが、これらの大型基板220a、220bが割断される部分は、エッチングが施されなかった分厚い部分である。このため、第1の大型基板220aの側から第2の大型基板220bに加えた応力が切断溝に集中するので、第2の大型基板220aは、切断溝に沿ってスムーズに割断される。同様に、第2の大型基板220bの側から第1の大型基板220aに加えた応力が切断溝に集中するので、第1の大型基板220aは、切断溝に沿ってスムーズに割断される。
【0077】
[実施の形態3]
図7は、本発明の実施の形態3に係る液晶装置の縦断面図である。なお、本形態の液晶装置は、そのほとんどの構成が実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0078】
図7に示すように、本形態のパネル付き液晶装置1においては、実施の形態1と同様、第1の表示用基板22aの第1の偏光部材6aが配置されている側の第2面122aには、第1の表示用基板22aの周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部28aが形成され、第1の偏光部材6aは、凹部28aの内部にて固定されている。
【0079】
一方、第2の表示用基板22bの第2の偏光部材6bが配置されている側の第2面122bには、第2の表示用基板22bの周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部28bが形成され、凹部28bの底部には、第2の偏光部材6bおよび反射板7は、この順に接着固定されている。
【0080】
さらに、本形態では、第1の表示用基板22aに形成されている凹部28aの内部では、底部に第1の偏光部材6aが接着固定されているとともに、この凹部28a内には透明樹脂27aが充填されている。このため、第1の偏光部材6aと液晶パネル2との間、および第1の偏光部材6aと透明保護板4との間に空気層が介在しない。従って、光の透過ロスが少ないので、明るい表示を行うことができる。
【0081】
但し、このような構成の場合には、実施の形態1と違って、透明保護板4を指で押圧したときに透明保護板4が撓むことはできないが、第2の表示用基板22bに凹部28bが形成されているので、その中央領域は支持枠34からわずかに浮いている。従って、透明保護板4を指で押圧したときの力は、第2の表示用基板22bで吸収されるので、透明保護板4を指で押圧しても液晶パネル2で表示されている画像が歪むことがない。
【0082】
[実施の形態4]
図8は、本発明の実施の形態4に係る液晶装置の縦断面図である。なお、本形態の液晶装置は、基本的な構成が実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
【0083】
図8に示すように、本形態のパネル付き液晶装置1においても、液晶パネル2は、透明保護板4の側に位置する透明な第1の表示用基板22a、およびこの第1の表示用基板22aに対して透明保護板4とは反対側に配置された第2の表示用基板22bとを備えている。第1の表示用基板22a、および第2の表示用基板22bは、所定の間隙を介してシール材23によって貼り合わされ、第1の表示用基板22aと第2の表示用基板22bとの基板間でシール材23によって区画された領域内には、電気光学物質としての液晶44の層が保持されている。
【0084】
また、液晶パネル2に対して透明保護板4の側には第1の偏光部材6aが重ねて配置され、その反対側(液晶パネル2の裏面側)には、第2の偏光部材6bおよび反射板7が重ねて配置されている。
【0085】
このように構成した液晶装置1において、本形態では、第1の表示用基板22aの第1の偏光部材6aが配置されている側の第2面122aには、第1の表示用基板22aの周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部28aが形成されている。第1の表示用基板22aは、厚さが0.5mmのガラス板であり、凹部28aの深さは0.3mmである。このため、凹部28aの底部のガラス厚は0.2mmになっており、極めて薄い。従って、本形態の液晶装置1では、第1の表示用基板22aの光の透過効率が高いので、明るい表示を行うことができる。
【0086】
また、凹部28aは、第1の偏光部材6aの厚さ寸法寸法よりも深い。ここで、第1の偏光部材6aは、凹部28aの内部にて固定されており、この状態において、第1の偏光部材6aは、完全に凹部28a内に収納された状態にある。それ故、液晶装置1の薄型化を図ることができる。
【0087】
しかも、ICチップ36は、第2の表示用基板22aのうち、凹部28aの周辺領域の分厚い領域に実装されているため、ICチップ36をCOG実装するのに支障がない。
【0088】
これに対して、本形態では、第2の表示用基板22bとして0.7mmのガラス板が用いられ、この第2の表示用基板22bにおいて第2の偏光部材6bが配置されている側の第2面122bは平坦面のままである。従って、第2の偏光部材6bおよび反射板7は、液晶パネル2と支持枠34との間に挟持され、接着固定されていない。なお、第2の偏光部材6bおよび反射板7については、液晶パネル2の側に接着固定してもよい。
【0089】
このような液晶装置1は、実施の形態1に関して、図4および図5を参照して説明した方法と同様な方法で製造される。従って、その詳細な説明を省略するが、液晶パネル1を製造する際には、まず、第1の表示用基板22aより大型の第1の大型基板220aと第2の表示用基板22bより大型の第2の大型基板220bとをシール材23で貼り合わせて大型のパネル構造体300とする(貼り合わせ工程)。
【0090】
そして、パネル構造体300において第1の表示用基板22aとして切り出される領域の中央領域を除いてマスク材310で覆い(マスキング工程)、この状態で、パネル構造体300にエッチングを施して第1の表示用基板22a表面の中央領域に第1の偏光部材6aの厚さよりも深い凹部28aを形成する(エッチング工程)
しかる後には、パネル構造体300を切断するブレイク工程を行うが、この切断の際には、第1の大型基板220aに切断溝を形成した後、第2の大型基板220bの側から第1の大型基板220aに応力を加えて第1の大型基板220aを割断する一方、第2の大型基板220bに切断溝を形成した後、第1の大型基板220aの側から第2の大型基板220bに応力を加えて第2の大型基板220bを割断する(切断工程)。
【0091】
このような方法でパネル構造体を切断する際、第1の大型基板220aには凹部28aが形成されているが、第1の大型基板220aが割断される部分は、エッチングが施されなかった分厚い部分である。このため、第2の大型基板220bの側から第1の大型基板220aに加えた応力が切断溝に集中するので、第1の大型基板220aは、切断溝に沿ってスムーズに割断される。
【0092】
また、本形態では、第1の表示用基板22aに凹部28aが形成されているため、透明保護板4を指で押圧した際の力は、透明保護板4がわずかに撓んで吸収される。それ故、透明保護板4を指で押圧しても液晶パネル2で表示されている画像が歪むことがない。
【0093】
[実施の形態5]
図示を省略するが、実施の形態4において、実施の形態3と同様、第1の表示用基板22aに形成されている凹部28aの底部に第1の偏光部材6aを接着固定するとともに、この凹部28a内部に透明樹脂27aを充填してもよい。このように構成すると、第1の偏光部材6aと液晶パネル2との間、および第1の偏光部材6aと透明保護板4との間に空気層が介在しない。従って、光の透過ロスが少ないので、明るい表示を行うことができる。
【0094】
[その他の実施の形態]
なお、上記形態では、エッチング工程ST33でウエットエッチングを行ったが、ドライエッチングを行ってもよい。
【0095】
また、透明保護板4のうち、凹部28a、28bの外周側(厚手領域)と平面的に重なる領域には、印刷などによって遮光層を形成しておき、表示品位を低下するのを防止しておくことが好ましい。
【0096】
さらに、上記形態においては、液晶駆動用の表示駆動回路を内蔵したICチップを第1の表示用基板22aに直接実装したCOG(Chip On Glass)方式を例にあげたが、FPC(Flexible Printed Circuit)等の導電接続部材を介して液晶駆動用の表示制御回路に接続するCOB(Chip On Board)方式やCOF(Chip On Flexible Printed Circuit)方式を採用してもよい。
【0097】
また、上記形態では、全反射型の液晶パネルを例に挙げたが、半透過・反射型の液晶パネル、あるいは全透過型の液晶パネルに本発明を適用してもよい。また、上記形態では、パッシブマトクス型の液晶パネルを例に挙げたが、画素スイッチング素子としてTFTあるいはTFTを用いたアクティブマトリクス型液晶パネルに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気光学装置を備えた携帯電話機の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の製造工程のうち、液晶パネルの製造工程を示す工程図である。
【図5】(A)〜(H)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の製造工程のうち、液晶パネルの製造工程における仕掛途中品の様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る電気光学装置の縦断面図である。
【図9】従来の電気光学装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 液晶装置、2 液晶パネル、4 透明保護板、6a 第1の偏光部材、6b第2の偏光部材、7 反射板、22a 第1の表示用基板、22b 第2の表示用基板、28a、28b 凹部、29a 透明樹脂、44 液晶(電気光学物質)
Claims (16)
- 透光性の第1の表示用基板と透光性の第2の表示用基板とが所定の間隙を介してシール材で貼り合わされ、当該基板間で前記シール材によって区画された領域内に電気光学物質が保持された電気光学パネルと、該電気光学パネルに対して前記第1の表示用基板の側に重ねて配置された透明保護板と、当該透明保護板と前記電気光学パネルの間に重ねて配置された第1の偏光部材と、前記電気光学パネルに対して前記透明保護板とは反対側に重ねて配置された第2の偏光部材とを有する電気光学装置において、
前記電気光学パネルで前記第2の表示用基板の前記第2の偏光部材が配置されている側の面には、当該第2の表示用基板の周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部が形成され、
当該凹部内に前記第2の偏光部材が配置されていることを特徴とする電気光学装置。 - 透光性の第1の表示用基板と透光性の第2の表示用基板とが所定の間隙を介してシール材で貼り合わされ、当該基板間で前記シール材によって区画された領域内に電気光学物質が保持された電気光学パネルと、該電気光学パネルに対して前記第1の表示用基板の側に重ねて配置された透明保護板と、当該透明保護板と前記電気光学パネルの間に重ねて配置された第1の偏光部材と、前記電気光学パネルに対して前記透明保護板とは反対側に重ねて配置された第2の偏光部材とを有する電気光学装置において、
前記電気光学パネルで前記第1の表示用基板の前記第1の偏光部材が配置されている側の面には、当該基板の周辺部を除く中央領域全体を薄くする第1の凹部が形成されているとともに、当該第1の凹部内に前記第1の偏光部材が配置され、
前記第2の表示用基板の前記第2の偏光部材が配置されている側の面には、当該基板の周辺部を除く中央領域全体を薄くする第2の凹部が形成されているとともに、
当該第2の凹部内に前記第2の偏光部材が配置されていることを特徴とする電気光学装置。 - 請求項2において、前記第1の凹部と前記第2の凹部とは同一の深さであることを特徴とする電気光学装置。
- 透光性の第1の表示用基板と透光性の第2の表示用基板とが所定の間隙を介してシール材で貼り合わされ、当該基板間で前記シール材によって区画された領域内に電気光学物質が保持された電気光学パネルと、該電気光学パネルに対して前記第1の表示用基板の側に重ねて配置された透明保護板と、当該透明保護板と前記電気光学パネルの間に重ねて配置された第1の偏光部材と、前記電気光学パネルに対して前記透明保護板とは反対側に重ねて配置された第2の偏光部材とを有する電気光学装置において、
前記電気光学パネルで前記第1の表示用基板の前記第1の偏光部材が配置されている側の面に115は、当該基板の周辺部を除く中央領域全体を薄くする凹部が形成され、
当該凹部内に前記第1の偏光部材が配置されていることを特徴とする電気光学装置。 - 請求項1または4において、前記第1の表示用基板、および前記第2の表示用基板のうち、前記凹部が形成されている側の表示用基板は、他方の表示用基板よりも薄い基板から構成されていることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項1、2または3において、前記第2の表示用基板に形成されている前記凹部は、該凹部内に配置される前記偏光部材の厚さよりも深く形成されていることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項2、3または4において、前記第1の表示用基板に形成されている前記凹部は、該凹部内に配置される前記偏光部材の厚さよりも深く形成されていることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項6または7において、前記凹部に配置される前記偏光部材は、当該凹部の内部にて固定されていることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項6ないし8のいずれかにおいて、前記第1の表示用基板に形成されている前記凹部内には樹脂が充填されていることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項1ないし9のいずれかにおいて、前記電気光学パネルには、前記第1の表示用基板あるいは前記第2の表示用基板において前記凹部の外周側に位置する厚手領域に半導体装置が実装されていることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項1ないし10のいずれかに規定する電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。
- 透光性の第1の表示用基板と透光性の第2の表示用基板とが所定の間隙を介してシール材で貼り合わされ、当該基板間で前記シール材によって区画された領域内に電気光学物質が保持された電気光学パネルと、該電気光学パネルに対して前記第1の表示用基板の側に重ねて配置された透明保護板と、当該透明保護板と前記電気光学パネルの間に重ねて配置された第1の偏光部材と、前記電気光学パネルに対して前記透明保護板とは反対側に重ねて配置された第2の偏光部材とを有する電気光学装置の製造方法において、
前記電気光学パネルを製造する際には、
前記第1の表示用基板より大型の第1の大型基板と前記第2の表示用基板より大型の第2の大型基板とを前記シール材で貼り合わせて大型のパネル構造体とする貼り合わせ工程と、
前記パネル構造体において前記第2の表示用基板として切り出される領域の中央領域を除いて当該パネル構造体をマスク材で覆うマスキング工程と、
当該パネル構造体にエッチングを施して前記第2の表示用基板表面の中央領域に凹部を形成するエッチング工程と、
前記パネル構造体を切断する切断工程と
を行うことを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 透光性の第1の表示用基板と透光性の第2の表示用基板とが所定の間隙を介してシール材で貼り合わされ、当該基板間で前記シール材によって区画された領域内に電気光学物質が保持された電気光学パネルと、該電気光学パネルに対して前記第1の表示用基板の側に重ねて配置された透明保護板と、当該透明保護板と前記電気光学パネルの間に重ねて配置された第1の偏光部材と、前記電気光学パネルに対して前記透明保護板とは反対側に重ねて配置された第2の偏光部材とを有する電気光学装置の製造方法において、
前記電気光学パネルを製造する際には、
前記第1の表示用基板より大型の第1の大型基板と前記第2の表示用基板より大型の第2の大型基板とを前記シール材で貼り合わせて大型のパネル構造体とする貼り合わせ工程と、
前記パネル構造体において前記第1の表示用基板として切り出される領域の中央領域、および前記第2の表示用基板として切り出される領域の中央領域を除いて当該パネル構造体をマスク材で覆うマスキング工程と、
当該パネル構造体にエッチングを施して前記第1の表示用基板表面の中央領域に第1の凹部を形成するとともに、前記第2の表示用基板表面の中央領域に第2の凹部を形成するエッチング工程と、
前記パネル構造体を切断する切断工程と
を行うことを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 透光性の第1の表示用基板と透光性の第2の表示用基板とが所定の間隙を介してシール材で貼り合わされ、当該基板間で前記シール材によって区画された領域内に電気光学物質が保持された電気光学パネルと、該電気光学パネルに対して前記第1の表示用基板の側に重ねて配置された透明保護板と、当該透明保護板と前記電気光学パネルの間に重ねて配置された第1の偏光部材と、前記電気光学パネルに対して前記透明保護板とは反対側に重ねて配置された第2の偏光部材とを有する電気光学装置の製造方法において、
前記電気光学パネルを製造する際には、
前記第1の表示用基板より大型の第1の大型基板と前記第2の表示用基板より大型の第2の大型基板とを前記シール材で貼り合わせて大型のパネル構造体とする貼り合わせ工程と、
前記パネル構造体において前記第1の表示用基板として切り出される領域の中央領域を除いて当該パネル構造体をマスク材で覆うマスキング工程と、
当該パネル構造体にエッチングを施して前記第1の表示用基板表面の中央領域に凹部を形成するエッチング工程と、
前記パネル構造体を切断する切断工程と
を行うことを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 請求項12ないし14のいずれかにおいて、前記マスク材は、フィルム、塗膜、およびレジスト膜のうちのいずれかであることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 請求項12ないし15のいずれかにおいて、前記基板間で前記シール材によって区画された領域内に前記電気光学物質を保持させるにあたっては、
前記シール材の途切れ部分からなる注入口から前記基板間に前記電気光学物質を注入した後、流体圧を利用して余剰な電気光学物質を当該基板間から前記注入口を経て押し出し、しかる後に当該注入口を封止することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
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JP2003001163A JP2004212781A (ja) | 2003-01-07 | 2003-01-07 | 電気光学装置、電子機器、および電気光学装置の製造方法 |
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JP2014525606A (ja) * | 2011-09-05 | 2014-09-29 | トビス カンパニー リミテッド | 曲面ディスプレイパネル製造方法 |
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- 2003-01-07 JP JP2003001163A patent/JP2004212781A/ja not_active Withdrawn
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