JP2004212540A - 電子写真用トナーとその画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

電子写真用トナーとその画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】像担持体上のトナー像を被転写体に転写する際に中抜けが無く、高画質の画像形成が可能な電子写真用トナー及び現像剤と、それを用いた電子写真方式の画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する手段と、像担持体上に各色に応じたトナー画像を形成する現像手段と、像担持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を加熱または加圧して定着する手段とを備えた画像形成装置の該トナーとして、平均円形度が0.95〜1.0、体積平均粒径が0.8〜5μmの球形で、圧縮率が0.4未満であるものを用いて画像を形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式一成分あるいは二成分現像剤を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に関し、特に小粒径で球形のトナーを用いた際に異常画像の発生がなく、画質劣化が対策され高画質を形成し得る電子写真用トナーとその画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式による画像形成装置としては多様な方法が知られており、一般的には、まず像担持体表面を帯電させ、帯電させた像担持体を露光して静電潜像を形成する。次いで、静電潜像に対してトナーを用いて現像し、像担持体上にトナー像を形成する。さらに、中間転写体を介するか、あるいは直接的に像担持体上のトナー像を記録紙などの記録材上に転写し、この転写されたトナー像を加熱、加圧、もしくはこれらの併用により定着する。これら一連の手順によって記録材上に画像が形成された記録物が得られる。なお、トナー像転写後の像担持体上に残存したトナーは、ブレード、ブラシ、ローラ等の既知の方法によりクリーニングされる。
【0003】
これまで、像担持体上のトナー像を記録材に転写する手段としては、コロナ放電を利用して記録材の裏側を帯電するコロナ帯電方式が用いられてきた。しかし、このコロナ帯電方式の場合にはオゾンが発生するという問題があるため、近年は記録材にローラ、ベルト、ブラシ、ブレード等を接触させて、直接電圧を印加する方式が多く用いられている。また、カラー画像を形成するために、像担持体上のトナー像を直接記録材に転写せずに、一旦ローラまたはベルト状の中間転写体に転写し、中間転写体から記録材に転写する方式も既に上市されている。これらの方式は、前記コロナ帯電方式に比べてオゾン発生量が低減され、像担持体と記録材間、あるいは像担持体と中間転写体間に圧力が加えられているので、それぞれ両者間の密着性が良く、したがって良好な転写画像が得られるという特徴を有する。
【0004】
しかし、上記接触式転写方法では、像担持体と記録材または中間転写体との接触時に設定された圧力を受けてトナー層が圧縮されるため、トナー層の内部応力が増大してトナーが凝集しやすくなる。このため、トナー画像の一部あるいは全部が転写されない現象が生じてくる。とりわけ、トナー画像の一部が転写されない現象は、圧力が機構的に集中する細線部に起こりやすく、特に細線等の中心部が選択的に転写されないケースを「中抜け現象」と称し、転写工程における大きな画質劣化要因となっている。
【0005】
この中抜け現象の対策として、像担持体と記録材または中間転写体間の圧力を低く設定すること方法が考えられるが、圧力が低いと像担持体と記録材または中間転写体間の接触不良による転写ムラや転写ブレが生じやすくなる。
また、記録材の厚さによって圧力が変化するが、転写ムラや転写ブレが生じないように圧力を薄い記録材に合わせて設定すると、厚い記録材の場合に中抜け現象が生じやすくなる。この対策として、転写紙の厚さを検知して圧力を調整する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法では圧力制御手段のための追加部品の装備によるコストアップが避けられないという問題がある。
【0006】
あるいは、上記中抜け現象の対策として、像担持体と中間転写体との間に速度差を設け、トナー層にせん断力を与えて中抜けを防止する方法が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
しかし、この方法では、被転写体側の画像自体の長さが変動するので、中抜けを抑止できても画像品質が劣化するという問題が発生していた。
さらに、トナーにシリカ等の微粒子を添加することによりトナー間の付着力を小さくして、トナー層の内部応力が増大してもトナーが凝集しにくくなるようにして、中抜けを防止する方法が知られている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、トナーに外添された微粒子は、キャリアとの混合撹拌等の画像形成装置内の様々なストレスによりトナー内部に埋れ、結局はトナーの付着力が大きくなり経時的に中抜けが発生するという問題が生じていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−258967公報
【特許文献2】
特開平6−175474号公報
【特許文献3】
特開2001−183915号公報
【特許文献4】
特開2000−172003号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、像担持体上のトナー像を被転写体に転写する際に中抜けが無く、高画質の画像形成が可能な電子写真用トナー及び現像剤と、それを用いた電子写真方式の画像形成装置及び画像形成方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者等は鋭意検討の結果、現像後の像担持体上のトナー画像の積層状態が上記課題に大きく関わり、特に小粒径の球形トナーを用いた場合にその傾向が強く発揮されることから、その要因を検討し、下記に記載する電子写真用トナー及び現像剤と、それを用いた電子写真方式の画像形成装置及び画像形成方法により、像担持体上のトナー像を記録材に転写する際に中抜けが無く、高画質の画像形成が可能となり、上記問題が克服されることを見出し、本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
【0010】
請求項1の発明は、少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する手段と、像担持体上に各色に応じたトナーを用いて画像を形成する現像手段と、像担持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を加熱または加圧して該被転写体上に定着する手段とを備えた画像形成装置に用いられる電子写真用トナーにおいて、
前記用いられるトナーは平均円形度が0.95〜1.0で、体積平均粒径が0.8〜5μmの球形であり、下記式(1)により求められる圧縮率が0.4未満であることを特徴とする電子写真用トナーである。
【0011】
【数3】
圧縮率={[(固め嵩密度)−(緩み嵩密度)]/(固め嵩密度)}…(1)
【0012】
(式中、固め嵩密度は、容器中のトナーを振幅18mm、周波数1Hzで3分間タッピングした後の嵩密度を表し、緩み嵩密度は、タッピングする前の嵩密度を表す。)
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、転写されるトナー層の加圧による応力集中が起き難くなり、従来高画質の形成に用いられる小粒径で球形のトナーにおいて問題となっていた異常画質発生による画質の劣化が防止され、中抜けがなく高画質の画像形成が可能となる。これによって、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に用いて高画質の画像が得られる。
【0014】
請求項2の発明は、前記像担持体上の未帯電トナーに対して付着面に垂直な方向に所定の回転数で逐次遠心力を作用させ、該トナーの脱離前後の回転数における遠心力の平均値Fを付着力として設定し、該平均値F(nN)と脱離トナーの体積平均粒径D(μm)との比(F/D)が4.5nN/μm以下であるように調整したことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナーである。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、F/Dが4.5nN/μm以下に調整したトナーを用いることによって非静電的付着力が適切な大きさに制御され、トナー層パイルハイトも均一で転写中抜けの発生を抑えることができる。
【0016】
請求項3の発明は、前記Fは、前記像担持体と同質の表面が形成された基板上に未帯電トナーを付着し、該基板のトナー付着面が受け基板と対面するようにスペーサを介して測定セルを構成し、次いでトナー付着面の垂直な方向に遠心力が作用するように該測定セルを遠心分離装置に装着して、回転数を上げながら各設定回転後に測定セルの受け基板を取り替え、全ての設定回転数について遠心分離をした後、前記各受け基板の一部の領域について付着した各トナーの粒径dを計測するとともに、トナー脱離前後の回転数f(rpm)における遠心力(Fc)を下記式(2)により算出し、トナー脱離前後の回転数におけるFcの算術平均値を各トナーの付着力とし、計測した全トナーの付着力に関する常用対数の算術平均Aから、トナー付着力の平均値F=10を求める方法により設定することを特徴とする請求項2に記載の電子写真用トナーである。
【0017】
【数4】
Fc=(π/5400)×ρ×d×r×f ……(2)
【0018】
(但し、ρ:トナーの真比重(kg/m)、d:トナーの粒径(m)、r:回転半径(m)を表す。)
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、トナーと像担持体との間の付着力を容易に測定することができ、上記F/Dを4.5nN/μm以下とするような構成の設定が容易にでき、高画質の画像形成が可能となる。
【0020】
請求項4の発明は、前記トナーに無機微粒子からなる外添剤が添加され、該無機微粒子は、体積平均粒径が5nm以上、80nm未満の小粒径微粒子と体積平均粒径が80nm以上、200nm以下の大粒径微粒子との混合微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナーである。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、粒径が好適とされた無機微粒子によってトナーの表面を被覆することにより、トナーの流動性を保ちつつ外添剤がトナーから分離してトナー中に埋没することなく高転写性を発揮することができる。
【0022】
請求項5の発明は、前記トナー1粒子の表面積に対する前記外添剤の被覆面積比率の平均値が15〜100%となるように調整したことを特徴とする請求項4に記載の電子写真用トナーである。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、外添剤の被覆面積比率が調整されたトナーを用いることにより、トナーから外添剤が分離することなくF/Dが適切な範囲に制御されて転写中抜けの発生を抑制することができる。
【0024】
請求項6の発明は、前記無機微粒子は、シリカ、酸化チタンあるいはアルミナの内、同一素材を用いる場合を含めて少なくとも粒径の異なる2種類以上を混合して用いることを特徴とする請求項4または5に記載の電子写真用トナーである。
【0025】
請求項7の発明は、前記無機微粒子は、シリコーンオイル乃至はシリコーンカップリング剤で表面処理された疎水性シリカ微粒子を併用したものであって、更に当該疎水性無機微粒子の疎水化度が50%以上であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
【0026】
請求項6および7に記載の発明によれば、流動性や帯電性が良好であり、環境安全性も考慮されたトナーが得られ、画像形成においても優れた転写特性が発揮される。
【0027】
請求項8の発明は、前記トナーは、少なくともイソシアネート基を含むポリエステル樹脂プレポリマーと着色剤とからなるトナー組成物を水系媒体中で無機分散剤または微粒子ポリマーの存在下にアミン化合物と伸長反応あるいは架橋反応させて乳化分散液を得、該乳化分散液から溶媒を除去して製造されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、粒径や球形などの制御が好適に行われ、中抜けが防止されるとともに耐ホットオフセット性、耐熱保存性、低温定着性などが優れた高画質の画像形成が可能である。
【0029】
請求項9の発明は、前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が2000〜15000であり、ガラス転移点が55〜75℃で、酸価が1〜30mgKOH/gであることを特徴とする請求項8に記載の電子写真用トナーである。
【0030】
請求項10の発明は、前記ポリエステル樹脂がウレア結合を有する変性ポリエステル構造を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の電子写真用トナーである。
【0031】
請求項11の発明は、前記ポリエステル樹脂のポリオール成分としてビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物を含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
【0032】
請求項9〜11に記載の発明によれば、分子量や結合構造などがより厳密に制御されるため、更に粒径や球形などの制御が好適に行われ、中抜け防止、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、低温定着性が向上する。また、ウレア結合を含む構造とすることにより、フルカラー装置に用いた場合光沢性が向上する。
【0033】
請求項12の発明は、前記トナー中に離型剤としてワックスを含有することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の電子写真用トナーである。
【0034】
請求項12に記載の発明によれば、トナー残存を低減しつつ転写中抜けの発生を抑制し、安定した画像が得られる。
【0035】
請求項13の発明は、前記請求項1〜12のいずれかに記載のトナーと体積平均粒径が60μm未満であるキャリアとを混合したことを特徴とする電子写真用現像剤である。
【0036】
請求項14の発明は、前記トナーと前記キャリアとを混合した現像剤中の該トナー濃度が2〜20wt%であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用現像剤である。
【0037】
請求項13および14に記載の発明によれば、外添剤がトナー中に埋没せず、転写による中抜けの発生を抑制し、画像不良の発生を防ぐとともに高画質の画像形成に対応することができる
【0038】
請求項15の発明は、少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する手段と、像担持体上に各色に応じたトナー剤を用いて画像を形成する現像手段と、像担持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を加熱または加圧して該被転写体上に定着する手段とを備えた画像形成装置において、
前記用いられるトナー剤は請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真用トナーもしくは電子写真用現像剤であることを特徴とする画像形成装置である。
【0039】
請求項15に記載の発明によれば、請求項1〜14に記載の発明と同様に転写中抜けの発生が抑制され、画像不良が生じない高画質の画像が得られる画像形成方法を提することができる。
【0040】
請求項16の発明は、前記像担持体の感光体は、導電性支持体上に少なくとも有機材料からなる電荷発生層と電荷輸送層とが順次形成され、必要により更に保護層が形成された構成からなる有機感光体であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置である。
【0041】
請求項17の発明は、前記有機感光体の最表面層に形成された保護層が無機粒子とバインダー樹脂から形成されることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置である。
【0042】
請求項18の発明は、前記保護層の無機粒子がシリカ、酸化チタン、アルミナの内の少なくとも1種類以上から構成されることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置である。
【0043】
請求項16〜18に記載の発明によれば、像担持体の感光体として導電性支持体上に有機材料からなる電荷発生層と電荷輸送層とを形成し、あるいは更に保護層を形成した構成としたことにより、高画質の画像形成が可能となる。また、保護層を無機粒子とバインダー樹脂を用いて構成することにより、更に感光体の性能が向上する。
【0044】
請求項19の発明は、前記像担持体上に形成されたトナー画像の被転写体上への転写が、中間転写体を介して行われるように構成したことを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置である。
【0045】
請求項19に記載の発明によれば、請求項1〜14に記載の発明と同様に転写中抜けの発生が抑制され、画像不良が生じない高画質の画像が得られる画像形成方法を提することができる。
【0046】
請求項20の発明は、少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する手段と、像担持体上に各色に応じたトナー剤を用いて画像を形成する現像手段と、像担持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を加熱または加圧して該被転写体上に定着する手段とを備えた画像形成装置における該像担持体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段から選ばれる少なくとも一つの手段とを一体に支持し画像形成装置に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、
前記現像手段は請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真用トナーもしくは電子写真用現像剤を保持することを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0047】
請求項20に記載の発明によれば、作業手段の保守、交換性を良好にし、かつトナー像を記録材に転写する際に中抜けがなく、高画質の画像を出力することができる。
【0048】
請求項21の発明は、順次、像担持体に静電潜像を形成し、該像担持体上に各色に応じたトナー剤を用いて画像を形成し、該像担持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写し、前記被転写体上のトナー画像を加熱または加圧して該被転写体上に定着する画像形成方法において、
前記用いられるトナー剤は請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真用トナーもしくは電子写真用現像剤であることを特徴とする画像形成方法である。
【0049】
請求項21に記載の発明によれば、請求項1〜14に記載の発明と同様に転写中抜けの発生が抑制され、画像不良が生じない高画質の画像が得られる画像形成方法を提供することができる。
【0050】
請求項22の発明は、前記像担持体の感光体は、導電性支持体上に少なくとも有機材料からなる電荷発生層と電荷輸送層とが順次形成され、必要により更に保護層が形成された構成からなる有機感光体であることを特徴とする請求項21に記載の画像形成方法である。
【0051】
請求項22に記載の発明によれば、請求項16と同様に像担持体の感光体として導電性支持体上に有機材料からなる電荷発生層と電荷輸送層とを形成し、あるいは更に保護層を形成した構成としたことにより、高画質の画像形成が可能となる。
【0052】
請求項23の発明は、前記像担持体上に形成されたトナー画像の被転写体上への転写が、中間転写体を介して行われるようにしたことを特徴とする請求項21に記載の画像形成方法である。
【0053】
請求項23に記載の発明によれば、請求項1〜14に記載の発明と同様に転写中抜けの発生が抑制され、画像不良が生じない高画質の画像が得られる画像形成方法を提することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像形成装置とその画像形成方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の画像形成装置は、像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段、像担持体上の潜像上にトナー剤(トナーあるいはトナーとキャリアとを混合した現像剤)を用いて画像を形成する現像手段、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体または被転写体(記録材)上に転写する転写手段、記録材上のトナー像を定着する定着手段、転写されずに像担持体上に残ったトナーを除去・回収するためのクリーニング手段を有する。
【0055】
図1に本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図を示す。
図1において、静電潜像担持体である感光体ドラム11の周囲には、該ドラム表面を帯電するための帯電装置12、一様帯電処理面に潜像を形成するための露光装置13、感光体ドラム11表面の潜像に帯電トナーを付着することでトナー像を形成する4つの現像装置14、形成された感光体ドラム11上のトナー像を中間転写体である中間転写ベルト27上へ転写し、中間転写ベルト27上のトナー像を被転写体である記録材29上に転写する転写装置25、記録材29(記録紙)上のトナーを定着する定着装置30、感光体ドラム11上の残留トナーを除去・回収するためのクリーニング装置16、感光体ドラム11上の残留電位を除去するための除電装置17が順に配設されている。
【0056】
まず、感光ドラム11は帯電装置12(帯電ローラ)によって表面を一様に帯電される。図1の例では、帯電ローラを用いて感光ドラム11を帯電しているが、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電を用いてもよい。帯電ローラを用いた帯電は、コロナ帯電を用いた場合よりもオゾン発量が少ない利点がある。帯電した感光体ドラム11に画像情報に応じて露光装置13からレーザー光線15が照射され、静電潜像が形成される。感光体ドラム11上の帯電電位や露光部位を電位センサで検出し、帯電条件や露光条件を制御することもできる。
図1の例では4つの現像装置14が感光体ドラム11を囲むように設置されているが、本発明はこの構成には限定されず、4つの現像装置14が回転等の動きによって交互に感光体ドラムに接するように構成してもよい。
【0057】
前記感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、感光体ドラム11と中間転写ベルト27が接触する転写ニップに搬送される。中間転写ベルト27に接触するローラ26bに不図示の転写用電源によってトナーと逆極性の転写電圧が印加され、中間転写ベルト27と感光ドラム11間に作用する転写電界によって感光体ドラム11上に形成されたトナー像が中間転写ベルト27上へ転写される。フルカラー画像を形成する場合、1色目のトナー像が中間転写ベルト27上へ転写されると、感光体ドラム11上に残留したトナーはクリーニング装置16によって除去され、除電装置17によって感光体ドラム11上の残留電位が除去され、次に感光体ドラム11上に2色目のトナー像が作像され、1色目のトナー像が形成されている中間転写ベルト27上へ2色目のトナー像が転写され、同様の手順で4色のトナー像が順次中間転写ベルト27上へ転写される。なお、中間転写ベルト27は、感光体ドラム11と接離可能で、トナー像の転写が実施されていない時は感光体ドラム11から隔離している。
【0058】
次に、不図示の給紙トレイから搬送された記録材29が転写ニップに進入し、中間転写ベルト27上に形成されたトナー像が、ローラ26bに印加される転写電圧によって記録材29上に一括して転写される。感光体ドラム11から中間転写ベルト27への転写を一次転写、中間転写ベルト27から記録材29への転写を二次転写とする。二次転写後に中間転写ベルト27上に残留したトナーは、中間転写ベルト27用のクリーニング装置28によって中間転写ベルト27上から除去される。なお、クリーニング装置28は中間転写ベルト27と接離可能で、トナー像の転写が実施されている時は中間転写ベルト27から隔離している。
【0059】
中間転写ベルト27は、高分子フィルムや合成ゴム等にカーボンブラック等の導電性フィラーを添加したものが用いられ、体積抵抗率が10〜1013Ωcmに調整される。図1の例において、中間転写部材として用いた転写ベルトの代りに転写ローラを用いてもよいが、転写ベルトは転写ローラに比べて転写ニップを広くとれる利点がある。また、本図では中間転写体27をベルト形状で表記したが、ドラム形状でも同様である。
【0060】
次いで、未定着のトナー像が載った記録材29には、定着ローラ31と加圧ローラ32によって一定の熱と圧力が加えられ、トナーが記録材29上に定着される。なお、定着温度を一定に保つために、定着ローラ31には不図示のサーミスタが接触しており、定着ローラ31の温度制御が行われる。定着ローラを用いた定着方式は、熱効率が高く、安全性に優れ、小型化が可能で、低速から高速まで適用範囲が広い。
【0061】
前記のように感光体ドラム11上及び中間転写ベルト27上に残留したトナーは、それぞれクリーニング装置16及び28によって除去されるが、このようなクリーニング装置としては、クリーニングブレード、クリーニングローラ及びクリーニングブラシ等を用いることができ、またそれらを併用してもよい。さらに、これらのクリーニング部材にトナーと逆極性の電圧を印加して、クリーニングの効率を高めることもできる。
【0062】
前期図1の例は一つの感光体ドラムと複数の現像装置を用いたカラー画像形成装置であるが、本発明はこの構成には限定されず、複数の感光体ドラムと現像装置を用いたカラー画像形成装置、一つの感光体ドラムと一つの現像装置を用いた白黒画像形成装置にも適用できる。
【0063】
本発明は、上記のような画像形成装置の例において、転写時の中抜けが無く、良好な画像品質が得られることを特徴としており、このためには図1に示したような画像形成装置における画像形成に際して最適な条件設定が必要である。すなわち、図1の画像形成装置によれば、静電潜像の像担持体である感光体ドラム11(感光体)上に形成されたトナー層は、感光体と中間転写ベルト間の圧力によって圧縮されるため、トナー層の内部応力が増大する。
【0064】
この時トナー層内の内部応力の分布が著しく変化した場合、高圧力部ではトナー層内部応力が高く、トナー間の付着力が大きくなってトナーが凝集するが、低圧部ではトナーの凝集には至らないという状況が発生する。これによって、トナーの流動性に大きな差が生じて、転写電界によるクーロン力を受けると選択的に転写される部分と転写されにくい部分が発生する。特に、高圧力で凝集したトナー層の一部が転写しにくくなると考えられる。前記のように画像の細線部は圧力が集中しやすく、特に細線の中心部では周辺部に比べてトナーが移動しにくく局所的に応力が高くなり、細線の周辺部よりも中心部が転写されにくいため、「中抜け現象」が発生すると考えられる。
【0065】
トナー層が圧力により圧縮された場合の内部応力は、上記のように細線の中心部と周辺部で異なり、トナー層内部応力には分布がある。このトナー層内部応力の分布は、トナー層内のトナー粒子の充填状態、つまりトナー層の嵩密度に依存する。嵩密度はトナーの真密度の他、トナーの充填状態や粒径、形状、あるいは流動性などの特性に依存するが、トナー粒子の充填状態が極端に異なる二状態における密度、いわゆる「緩み嵩密度」と「固め嵩密度」での変化の割合が応力の局所集中に大きく関連し、この二状態の差が少ない方が転写工程でトナー層が圧縮されても応力集中が起きにくく、結果的に中抜けが発生しにくくなることが分かった。
【0066】
本発明者らは、様々な条件で感光体ドラム(感光体)上にベタと細線のトナー画像を形成し、ベタ部のトナー層パイルハイト分布と細線部の中抜けとの関係を調べた。その結果、「固め嵩密度」に対する「緩み嵩密度」と「固め嵩密度」との差の比より求められる圧縮率{=[(固め嵩密度)−(緩み嵩密度)]/(固め嵩密度)}が0.40未満である場合に中抜けが発生しにくいことが分かった。なお、トナーの真比重は1.2〜1.5g/cmが好ましい。
ここで固め嵩密度の測定条件としては既知の方法によるものが採用されるが、本発明者らの検討結果からは川北等が提唱したタッピング法による嵩密度測定法に基づく評価が最も適合していることが分かった。具体的には容積が既知である容器中にトナーを収容し、振幅18mm、周波数1Hzで3分間タッピングする。トナーの充填重量、タッピング前後の各容積から各々嵩密度を求め、タッピング前の嵩密度を緩み見かけ嵩密度とし、タッピング後の嵩密度を固め嵩密度として圧縮率を算出するものである。
【0067】
また、この測定条件は全ての粒径やあらゆる形状のトナーに対して成立するものではなく、特に該トナーの体積平均粒径が0.8〜5.0μmの範囲内で、かつ該トナーの円形度が0.95〜1.00の範囲内である場合にのみ成立する。
これは本現象がトナーの流動性に関ることが要因であり、該流動性を左右するファンデルワールス力の発現状態が上記範囲内とそれ以外では異なっているためである。具体的には、例えば粒径に関してはファンデルワールス力とトナー電荷に起因するクーロン力との割合が5μm近傍から大きく異なり、上記範囲以上の粒径ではクーロン力の影響が大きく、ファンデルワールス力の寄与が少なくなるために上記圧縮率の範囲外でも中抜けが生じない場合がある。また、0.8μm以下ではファンデルワールス力の効果がクーロン力よりも著しく高くなるために、この場合も上記条件を反映できない。また、トナー粒子の形状も大きく関与し、上記円形度が0.95未満の、いわゆる不定形トナーの場合は粒子間の摩擦等の応力の影響が無視できず、上記圧縮率を保有させることが困難であり、本発明の範囲から除外される。
【0068】
そこで、中抜けは上記のようにトナー層内部応力の局所的な増大、つまりトナー間付着力の局所的増加が発生要因と考えられるため、中抜けの発生を抑制するにはトナー間付着力の分布を小さくすることが有効である。トナー間付着力はトナーの帯電に起因する静電的付着力と、帯電に起因しない非静電的付着力から構成されるが、トナーの帯電は応力に依存しないので、応力によって主に非静電的付着力が増大すると考えられる。
【0069】
トナー粒子間の付着力を測定するには、付着しているトナー粒子を分離する力を計測する必要がある。そのためには一方のトナー粒子を固定する必要があるが、このような条件によるトナー粒子間の付着力の測定は容易にはできない。
一方、トナーと感光体間の付着力は、以下に示す遠心分離法を適用することによって容易に測定できる。トナーと感光体との間の付着力とトナー間における付着力の違いは、トナー粒子の付着する対象がトナー粒子にとってはほぼ平面に近い感光体か、同程度の曲率をもった粒子かの違いである。したがって、トナーの違いによって付着力の大きさは異なるものの、付着力の大小関係は変わらない。このため、本発明者らはトナー間の非静電的付着力の代りにトナーと感光体間の非静電的付着力を測定し、中抜けの発生との関係を調べた。
【0070】
トナーの付着力を測定する方法としては、トナーが付着している物体からトナーを分離するのに必要な力を測定して見積る方法が一般的である。トナーを分離させる方法としては、遠心力、振動、衝撃、空気圧、電界、磁界等を用いた方法が知られているが、これらの内で、遠心力を利用した方法は定量化が容易で、かつ測定精度が高いという利点がある。なお、遠心分離方法としては、IS&T NIP7th p.200(1991)などに記載されている方法が知られている。
本発明ではトナーと感光体間の付着力を測定する方法として、遠心分離法を用いた。以下、トナーと感光体間の付着力を測定する方法について説明する。
【0071】
図2、図3は、それぞれ本発明に係るトナー付着力測定装置の測定セル、遠心分離装置の一例を示す図である。図2は、トナー付着力測定装置の測定セルの概略斜視図である。図2において、41は測定セルであり、測定セル41は、トナーを付着させるための試料面42aを有する試料基板42と、試料基板42から分離(脱離)したトナーを付着させる付着面43aを有する受け基板43と、試料基板42の試料面42aと受け基板43の付着面43aの間に設けられるスペーサ44から構成される。
【0072】
図3は、図示しない駆動機構により回転動作する遠心分離装置の要部断面を示す側面図である。図3において、55は遠心分離装置であり、遠心分離装置55は、測定セル41を回転させるロータ56と、保持部材57を備えている。ロータ56は、自身の回転中心軸59に対して垂直な断面において空洞部を有する形状であり、保持部材57を設置する試料設置部58を有している。保持部材57は、棒状部57aと、棒状部57aに設けられ測定セル41を保持するセル保持部57b、測定セル41をセル保持部57bから押し出すための穴部57c、棒状部57aを試料設置部58に固定する設置固定部57dを備えている。セル保持部57bは、測定セル41を設置したときに、測定セル41の垂直方向がロータの回転中心軸59に垂直となるように構成される。
【0073】
上記の遠心分離装置を用いてトナーと感光体との間の付着力を測定する方法を説明する。
まず、試料基板42上に直接感光体を形成するか、または感光体の一部を切り出して試料基板42上に接着剤で貼り付ける。次に、トナーを試料基板42上に形成した感光体(試料面42a)上に付着させる。次に、図2に示すように、試料基板42、受け基板43及びスペーサ44を用いて測定セル41を構成する。測定セル41を、保持部材57をロータ56の試料設置部58に設置したときに、試料基板42が受け基板43とロータ56の回転中心軸59との間に位置するように、保持部材57のセル保持部57bに設置する。保持部材57を、測定セル41の垂直方向がロータの回転中心軸59に垂直となるように、ロータ56の試料設置部58に設置する。遠心分離装置55を稼働してロータ56を一定の回転数で回転させる。試料基板42に付着したトナーは回転数に応じた遠心力を受け、トナーの受ける遠心力がトナーと試料面42a間の付着力よりも大きい場合には、トナーが試料面42aから分離(脱離)して付着面43aに付着する。
トナーの受ける遠心力Fcは、トナーの重量m、ロータの回転数f(rpm)、ロータの中心軸からトナー付着位置までの距離r(回転半径)を用いて、下記式(3)より求められる。
【0074】
【数5】
Fc = m×r×(2πf/60) ……(3)
【0075】
トナーの重量mは、トナーの真比重ρ、トナー粒子の円相当径dを用いて、下記式(4)より求められる。
【0076】
【数6】
m =(π/6)×ρ×d ……(4)
【0077】
上記式(3)および式(4)から、トナーの受ける遠心力Fcは、下記式(2)により求められる。但し、下記式中、ρ:トナーの真比重(Kg/m)、d:トナーの粒径(m)、r:回転半径(m)を表す。
【0078】
【数7】
Fc=(π/5400)×ρ×d×r×f ……(2)
【0079】
遠心分離終了後、保持部材57をロータ56の試料設置部58から取り出し、保持部材57のセル保持部57bから測定セル41を取り出す。受け基板43を交換し、測定セル41を保持部材57に設置し、保持部材57をロータ56に設置し、ロータ56を前回よりも高回転数で回転させる。トナーの受ける遠心力が前回よりも大きくなり、付着力の大きなトナーが試料面42aから分離して付着面43aに付着する。このような手順で遠心分離装置の設定回転数を低回転数から高回転数へ変えて順次同様の操作を実施することにより、各回転数で受ける遠心力と付着力の大小関係に応じて、試料面42a上のトナーが付着面43aに移動する。
【0080】
全ての設定回転数について遠心分離を実施後、各回転数の受け基板43の付着面43aに付着したトナーの粒径dを計測する。トナー粒径の測定は、光学顕微鏡で付着面43a上のトナーを観察し、CCDカメラを通して付着面の画像を画像処理装置に入力し、画像処理装置を用いて各トナーの粒径測定を行うことができる。ある設定回転数で分離したトナーの付着力は、トナーが分離した回転数における遠心力よりも小さく、分離する前の回転数における遠心力よりも大きいので、前記式(2)により両者の遠心力を計算し、トナー脱離前後の回転数におけるFcの算術平均値を各トナーの付着力とし、計測した全トナーの付着力に関する常用対数の算術平均Aから、トナー付着力の平均値F=10を求める。
【0081】
上記の方法で粒径の異なる未帯電のトナーについて感光体との付着力を測定した結果、トナーと感光体間の非静電的付着力がトナーの粒径に比例して増大することが分かった。このため、異なるトナーについて非静電的付着力を比較するには、トナー粒径の違いを考慮して、非静電的付着力の平均値Fと体積平均粒径Dとの比F/Dを用いる必要がある。
本発明者らは、感光体と中間転写体との間に線速差を設け、トナーと感光体間の摩擦力がトナーと中間転写体間の摩擦力よりも小さくなるように構成された画像形成装置を用いて、様々なトナーのF/Dと中抜けの関係を調べた結果、F/Dが小さいほど中抜けが発生しにくいことが分かった。特に、F/Dが4.5nN/μm(mN/m)未満ではトナー層パイルハイト均一で、ほとんど中抜けが発生しないことが分かった。
【0082】
トナー間及びトナーと感光体間の非静電的付着力は、ファンデルワールス力、液架橋力、分子間力等から構成されるが、これらの力はトナーが接触している領域の幾何学的な構造に依存しており、特にトナー表面の曲率半径の大きさは、非静電的付着力の大きさを左右する重要な要因である。外添剤によりトナー母粒子(外添剤を添加していないトナー粒子)の表面を被覆すると、トナー表面の曲率半径を大きく変化させることができるので、非静電的付着力を制御する有効な手段となる。本発明者らは、様々なトナーについてF/Dを測定した結果、F/Dが外添剤の材料、粒径及び外添剤被覆率に依存して変化することを見出した。外添剤被覆率は、トナー母粒子の表面積に占める外添剤の面積によって定義され、トナーの電子顕微鏡写真を画像解析することによって計測することができる。
【0083】
本発明に用いるトナー剤は、いわゆるトナー単独あるいはトナーとキャリアとを混合した現像剤の形態で用いることができる。このような形態におけるトナーには、一次粒子径(の平均値)が5nm〜2μmnmの無機微粒子からなる外添剤を用いることができ、好ましくは80nm〜200nmの外添剤を用いることが好適である。特に、体積平均粒径が5nm以上、80nm未満の小粒径無機微粒子と体積平均粒径が80nm以上、200nm以下の大粒径無機微粒子との混合微粒子を用いることが好ましい。この場合の無機微粒子のトナーに対する添加量は0.01〜5重量%の範囲が好適である。
一次粒子径の平均値が80nmよりも小粒径の外添剤は、トナーの流動性を向上するのに有効であるが、キャリアとの混合撹拌等の画像形成装置内の様々なストレスによってトナー中に埋没しやすいという問題がある。外添剤が埋没すると、トナー表面の曲率半径が大きくなり、非静電的付着力が増大して中抜けが発生しやすくなる。したがって、小粒径の外添剤の埋没を低減するには、一次粒子径の平均値が80nm以上の大粒径の外添剤を添加する必要がある。ただし、前記大粒径外添剤の一次粒子径の平均値が200nmを超えると、外添剤がトナーから分離しやすくなり、分離した外添剤によって感光体等の画像形成装置の構成部材が損傷しやすい。
更に、本大粒径外添剤は埋没に対しては大きな効果を示すが、トナー粒子の流動性や帯電性の発現にはほとんど寄与しない。そこで、上記大粒径外添剤に加えて、小粒径外添剤を併用することが最も好ましく、この場合は大粒径外添剤がスペーサとして機能し、小粒径外添剤の埋没を抑制する効果が期待できる
【0084】
トナーと感光体間の非静電的付着力は外添剤被覆率の増加と共に小さくなり飽和する傾向にあり、外添剤被覆率依存性や飽和値は、外添剤の材質や粒径等に依存する。このため、外添剤被覆率の適切な範囲も外添剤の材質や粒径等によって異なるが、外添剤被覆率を少なくとも15%〜100%に調整する必要がある。外添剤被覆率が15%未満では、F/Dを適切な大きさにするのが困難である。また、外添剤被覆率が100%を超えると、外添剤がトナーから分離しやすくなり、感光体等の画像形成装置の構成部材が損傷しやすい。
【0085】
前記トナー剤におけるトナーに用いられる外添剤としては、公知の有機微粒子及び無機微粒子を使用することができるが、無機微粒子、特にシリカ、チタン、アルミナのいずれかを少なくとも2種類以上使用することが好適である。これらの微粒子の場合は、環境安定性を考慮すると、疎水化処理を施したものが好適に用いられる。前記疎水化処理は、疎水化処理剤と前記微粉末とを高温度下で反応させて行なうことができる。疎水化処理剤としては特に制限はなく、例えばシラン系カップリング剤、シリコーンオイル等を用いることができる。すなわち、無機微粒子としては、シリコーンオイル乃至はシリコーンカップリング剤で表面処理された疎水性シリカ微粒子を併用することができ、疎水性無機微粒子の疎水化度を50%以上とするのが好ましい。
また、本発明に用いられる外添剤の外添方法は、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノフージョン等の各種混合装置を用いた公知の外添方法を用いることができる。
【0086】
本発明者らは、様々な形状のトナーについて、感光体上に形成されたトナー層の積層状態と中抜けについて検討した結果、トナー形状が球形に近く、またその体積平均粒径が小さいほど積層状態は最密充填した状態に近くなり、結果として画像全体のトナーの積層状態が均一となり、転写圧縮時の内部応力の局所集中現象が発生し難くなり、中抜けが発生しにくいことを見出した。
【0087】
このため、本発明に用いられるトナーとしては、製造工程あるいは製造後の工程において球形化したトナーが好適に用いられる。製造後の工程において球形化したトナーとは、例えばトナーの構成材料である樹脂や着色剤などを混合攪拌後に溶融混練し、粉砕・分級して作製した粉砕トナーを熱や機械的な力で球形化したトナーであり、製造工程において球形化したトナーとは、例えば分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法により作製されたトナーである。特に、重合法は、トナーの形状及び粒径制御の容易性、生産性等の点で優れており、本発明に用いられるトナーの製造方法として好適である。以下に本発明におけるトナーの製造方法として好適な各種重合法について説明する。
【0088】
まず、分散重合トナーから説明する。
本発明におけるトナーを形成する樹脂粒子(種粒子)は親水性有機液体に、その親水性有機液体に溶解する高分子分散剤を加え、これに前記親水性液体には溶解するが、生成する重合体は前記親水性液体にて膨潤されるか、あるいは殆ど溶解しない一種または二種以上のビニル単量体を加えて重合することにより製造される。
上記種粒子の形成時及び種粒子の成長反応時に用いる単量体を希釈するための親水性有機液体(希釈剤)としては、メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのアルコール類や、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルアルコール類などが代表的なものとして挙げられる。
【0089】
これらの親水性有機液体(有機液体)は単独で、もしくは二種以上の混合物として用いることができる。なお、アルコール類及びエーテルアルコール類以外の有機液体と、上述のアルコール類及びエーテルアルコール類とを併用することで、有機液体が生成重合体粒子に対して溶解性を持たせない条件下で、有機液体のSP値(溶解性パラメーター)を種々変化させて重合を行なうことにより、生成される粒子の大きさ、種粒子同士の凝集及び新粒子の発生を抑制することが可能である。
【0090】
この場合の併用する有機液体としては、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、トリクロルエチレン、テトラブロムエタンなどのハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、ジメチルグリコール、シリオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メチラール、ジエチルアセタールなどのアセタール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン類、ギ酸ブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの酸類、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの硫黄、窒素含有有機化合物類、およびその他水も含まれる。また、重合開始時、重合途中、重合末期とそれぞれ混合溶媒の種類及び組成を変化させ、生成する重合体粒子の平均粒径、粒径分布、乾燥条件などを調整することができる。
【0091】
前記種粒子の製造時あるいは成長粒子の製造時に使用される高分子分散剤の適当な例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有するアクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、並びにメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、または前記親水性モノマーとスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのベンゼン核を有するものまたはその誘導体、またはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体との共重合体、さらに架橋性モノマー、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼンなどとの共重合体も使用可能である。
【0092】
上記高分子分散剤は、使用する親水性有機液体、および目的とする重合体粒子の種類とその粒子が種粒子の製造なのか、あるいは成長粒子の製造なのかにより適宜選択されるが、特に重合体粒子同士の凝集を主に立体的に防ぐ意味で、重合体粒子表面への親和性、吸着性が高く、しかも親水性有機液体への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。また、立体的に粒子同士の反撥を高めるために、分子鎖がある程度の長さのもの、好ましくは分子量が1万以上のものが選ばれる。しかしあまり分子量が高いと、液粘度の上昇が著しく、操作性、撹拌性が悪くなり、生成重合体の粒子表面への析出確率のばらつきを与えるため注意を要する。また、先に挙げた高分子分散剤の単量体を一部、目的とする重合体粒子を構成する単量体に共存させておくことも安定化には効果がある。
【0093】
更に、上記高分子分散剤とともにコバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、錫、鉛、マグネシウムなどの金属またはその合金(特に、粒径1μm以下のものが好ましい)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素などの酸化物の無機化合物微粉体、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、燐酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えば、アラニン型(例えば、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンなど)のアミノ酸型やベタイン型の両性界面活性剤を併用しても、生成重合体粒子の安定性及び粒径分布の改良をさらに高めることができる。
【0094】
一般に、種粒子製造時の高分子分散剤の使用量は目的とする重合体粒子形成用の重合性単量体の種類によって異なるが、親水性有機液体に対し0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。高分子分散安定剤の濃度が低い場合には、生成する重合体粒子は比較的大粒径のものが得られ、濃度の高い場合には小粒径のものが得られるが、10重量%を越えて用いても小径化への効果は少ない。
【0095】
また、前記の種粒子を得るために使用されるビニル単量体は、親水性有機液体に溶解可能なものであり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルエチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチル脂肪酸モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸、もしくはメタクリル酸誘導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類などからなる単独または相互の混合物及びこれらを50重量%以上含有し、これらと共重合し得る単量体との相互の混合物などが含まれる。
【0096】
また、本発明における前記の重合体は、耐オフセット性を高めるために、重合性の二重結合を二個以上有するいわゆる架橋剤の存在下に重合させたものであってもよい。好ましく用いられる架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導体である芳香族ジビニル化合物、その他エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどのジエチレン性カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなど全てのジビニル化合物、及び三個以上のビニル基を有する化合物が挙げられ、これらは単独または混合物などが用いられる。
このように架橋された種粒子を用いて成長重合反応を引き続いて行った場合には、成長する重合体粒子の内部が架橋されたものとなる。また一方で、成長反応に用いるビニル単量体溶液に上記の架橋剤を含有させた場合には、粒子表面が硬化された重合体が得られる。また、平均分子量を調節する目的として、連鎖移動定数の大きな化合物を共存させて重合を行わせるものに、例えば、メルカプト基をもつ低分子化合物や四塩化炭素、四臭化炭素が挙げられる。
【0097】
また、前記単量体の重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオクトエートなどの過酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウムなどの過硫酸化物系重合開始剤、これにチオ硫酸ナトリウム、アミンなどを併用した系などが用いられる。重合開始剤濃度は、ビニル単量体100重量部に対して0.1〜10重量部が望ましい。
【0098】
種粒子を得るための重合条件は、種粒子を形成する重合体粒子の目標平均粒径、目標粒径分布に合わせて、親水性有機液体中の高分子分散剤、ビニル単量体の濃度、及び配合比が決定される。一般に、粒子の平均粒径を小さくしようとするならば、高分子分散剤の濃度を高く、また平均粒径を大きくしようとするならば、高分子分散剤の濃度が低く設定される。一方、粒子径分布を非常に鋭くしようとするならば、ビニル単量体濃度を低く、また、比較的広い分布でもよい場合は、ビニル単量体濃度は高く設定される。
【0099】
種粒子の製造は親水性有機液体に、高分子分散安定剤を完全に溶解した後、一種または二種以上の前記ビニル単量体、重合開始剤、その他必要ならば無機微粉末、界面活性剤、染料、顔料などを添加し、30〜300rpmの通常の撹拌にて、好ましくはなるべく低速で、しかもパドル型よりもタービン型の撹拌翼を用いて、槽内の流れが均一になるような速度で撹拌しながら、用いた重合開始剤の重合速度に対応した温度にて加熱し重合が行なわれる。なお、重合初期の温度は生成する種粒子に大きな影響を与えるため、単量体を添加した後に温度を重合温度まで上げ、重合開始剤を小量の溶媒に溶解して投入した方が望ましい。重合の際には窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性気体にて反応容器内の空気中の酸素を充分に追い出す必要がある。この酸素パージが不充分であると微粒子が発生し易い。重合を高重合率域で行なうには5〜40時間の重合時間が必要であるが、所望の粒子径、粒子径分布の状態で重合を停止させたり、また重合開始剤を順次添加したり、高圧下で反応を行なうことにより重合速度を速めることができる。
【0100】
重合終了後は、そのまま染着工程に用いてもよいし、沈降分離、遠心分離、デカンテーションなどの操作により不必要な微粒子、残存モノマー、高分子分散安定剤などを除いた後に、重合体スラリーとして回収して染着を行なってもよいが、分散安定剤を除去しない方が染着の安定性は高く、不要な凝集が抑制される。
【0101】
本発明における染着は次のようなものである。すなわち、種粒子である樹脂粒子を溶解せしめない有機溶媒中に当該樹脂粒子を分散し、この分散前または分散後に前記溶媒中に染料を溶解させ、前記染料を樹脂粒子中に浸透させ着色せしめた後、前記有機溶媒を除去して染着トナーを製造する方法において、前記染料の前記有機溶媒に対する液解度(D1)及び前記樹脂粒子の樹脂に対する前記染料の溶解度(D2)の関係が、(D1)/(D2)≦0.5となる染料を選択使用する。これにより、樹脂粒子の深部まで染料が浸透(拡散)したトナーを効率よく製造することができる。なお、本明細書における溶解度は、25℃の温度で測定されたものと定義する。
染料の樹脂中への溶解度とは、染料の溶媒中への溶解度と全く同じ定義であり、樹脂中に染料が相溶状態で含有させることができる最大量を意味する。この溶解状態あるいは染料の析出状態の観察は顕微鏡を用いることにより容易に行なうことができる。樹脂に対する染料の溶解性を知るには、直接観察による方法の代りに間接的な観察方法によってもよい。この方法は樹脂と溶解度係数が近似する液体、即ち樹脂をよく溶解する溶媒を用い、この溶媒に対する染料の溶解度を樹脂に対する溶解度として定めてもよい。
【0102】
着色に使用する染料としては、前述のように使用する有機溶媒への該染料の溶解度(D1)と、前記樹脂粒子を形成する樹脂に対する染料の溶解度(D2)との比(D1)/(D2)を0.5以下とする必要があるが、さらに(D1)/(D2)を0.2以下とすることが好ましい。染料としては、上記の溶解特性を満たせば特に制限はないが、カチオン染料、アニオン染料などの水溶性染料は環境変動が大きいおそれがあり、またトナーの電気抵抗が低くなり、転写率が低下する心配があるので、バット染料、分散染料、油溶性染料の使用が好ましく、特に油溶性染料が好ましい。また、所望の色調に応じて数種の染料を併用することもできる。染着される染料と樹脂粒子との比率(重量)は、着色度に応じて任意に選択されるが、通常は樹脂粒子1重量部に対して、染料1〜50重量部の割合で用いるのが好ましい。
【0103】
例として、染着溶媒にSP値の高いメタノール、エタノールなどのアルコール類を使用し、樹脂粒子としてSP値が9程度のスチレン−アクリル系樹脂を使用した場合、用いられる染料としては、例えばC.I.SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,102,103,105)、C.I.SOLVENT ORANGE(2,7,13,14,66)、C.I.SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,149,150,151,157,158)、C.I.SOLVENT VIOLET(31,32,33,37)、C.I.SOLVENT BLUE(22,63,78,83〜86,91,94,95,104)、C.I.SOLVENT GREEN(24,25)、C.I.SOLVENT BROWN(3,9)などの染料が挙げられる。
【0104】
また、市販染料としては、例えば保土谷化学工業社製の愛染SOT染料、Yellow−1,3,4、Orange−1,2,3、Scarlet−1、Red−1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Violet−1、Green−1,2,3、Black−1,4,6,8や、BASF社製のsudan染料、Yellow−140,150、Orange−220、Red−290,380,460、Blue−670や、三菱化成社製のダイアレジン、Yellow−3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange−HS,G、Red−GG,S,HS,A,K,H5B、Violet−D、Blue−J,G,N,K,P,H3G,4G、Green−C、Brown−Aや、オリエント化学社製のオイルカラー、Yellow−3G,GG−S,#105、Orange−PS,PR,#201、Scarlet−#308、Red−5B、Brown−GR,#416、Green−BG,#502、Blue−BOS,HN、Black−HBB,#803,EE,EXや、住友化学工業社製のスミプラスト、ブルーGP,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,GCや、日本化薬社製のカヤロン、ポリエステルブラックEX−SH3、カヤセットRed−BのブルーA−2Rなどを使用することができる。もちろん染料は樹脂粒子と染着時に使用する溶媒の組み合わせで適宜選択されるため、上記例に限られるものではない。
【0105】
染料を樹脂粒子に染着させるために用いる有機溶媒としては、使用する樹脂粒子が溶解しないもの、あるいは若干の膨潤をきたすもの、具体的には溶解性パラメーター(SP値)の差が1.0以上、好ましくは2.0以上のものが使用される。例えば、スチレン−アクリル系樹脂粒子に対しては、SP値が高いメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系、あるいはSP値が低いn−ヘキサン、n−ヘプタンなどを使用する。SP値の差があまりに大きすぎると、樹脂粒子に対する濡れが悪くなり、樹脂粒子の良好な分散が得られないため、最適なSP値の差は2〜5が好ましい。
【0106】
染料を溶解した有機溶媒中に樹脂粒子を分散させた後、液温度を樹脂粒子のガラス転移温度以下に保ち、撹拌することが好ましい。これにより、樹脂粒子の凝集を防ぎながら染着することが可能となる。撹拌の方法は市販されている撹拌機、例えばホモミキサー、マグネチックスタラーなどを用いて撹拌すればよい。また、分散重合などで重合終了時得られるスラリー、つまり有機溶媒中に重合樹脂粒子が分散している状態の分散液に、染料を直接添加して前記の条件にて加熱撹拌してもよい。加熱温度がガラス転移温度超過の場合は樹脂粒子同士の融着が生じてしまう。染着後のスラリーを乾燥する方法としては、特に限定はされないが、濾過した後に減圧乾燥あるいは濾別しないで直接減圧乾燥すればよい。本発明において濾別した後に風乾または減圧乾燥して得られた着色粒子は、凝集は殆どなく、投入した樹脂粒子の粒度分布を殆ど損なわないで再現される。
【0107】
次に、懸濁重合トナーについて説明する。
懸濁重合に使用される重合性単量体はビニル基を有するモノマーであり、具体的には以下のようなモノマーが挙げられる。すなわち、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ブチルスチレン、オクチルスチレンなどのスチレン及びその誘導体が挙げられ、なかでもスチレン単量体が最も好ましい。他のビニル系単量体として、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン系不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、これらの単量体を単独あるいは混合して用いることができる。
【0108】
単量体組成物中には、架橋重合体を生成させるために、次のような架橋剤を存在させて懸濁重合させてもよい。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−メタクリルロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールメタンテトラアクリレート、ジブロムネオペンチルグリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリルなどが挙げられる。架橋剤の使用量が多過ぎると、トナーが熱で溶融しにくくなり、熱定着性、熱圧定着性が劣ることになる。また、架橋剤の使用量が少くな過ぎると、トナーとして必要な耐ブロッキング性、耐久性などの性質が低下し、熱ロール定着において、トナーの一部が紙に完全に固着しないでロール表面に付着し、次の紙に転写するという、コールドオフセットが発生してしまう。従って、用いる架橋剤量は、重合性単量体100重量部に対して0.001〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0109】
また、得られるトナーのオフセット防止のために、重合組成物に離型剤を含有させることができる。離型剤としては低分子量のポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。この低分子量オレフィン重合体は、着色剤と共に重合性単量体中に分散させておくのが好ましい。なお、離型剤は重合性単量体100重量部に対して1〜15重量部使用することが好ましい。離型剤の使用量が1重量部未満では、得られたトナーが充分な離型効果をもたず、ローラ上にオフセットしやすくなる。逆に使用量が15重量部を超過すると、トナーから離型剤が摩擦帯電付与部材にスペントするようになるし、また、トナーの流動性が極めて悪くなる。
【0110】
単量体に含有される着色剤としては、従来知られている染料及びカーボンブラック、カーボンブラックの表面を樹脂で被覆してなるグラフト化カーボンブラックのような顔料が使用可能である。その他の着色剤としては、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、レーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系染料、ジスアゾ系染料などの染顔料がある。なお、これらの着色剤は、重合性単量体100重量部に対して0.1〜30重量部の量で使用できる。
【0111】
また、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンPー51、含金属アゾ染料のボントロンSー34、オキシナフトエ酸系金属錯体のEー82、サリチル酸系金属錯体のEー84、フェノール系縮合物のEー89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTPー302、TP一415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRAー901、ホウ素錯体であるLRー147(日本カ一リット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0112】
分散安定剤としては次のものが使用可能である。すなわち、ポリビニルアルコール、でん粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、タルク、粘土、珪藻土、金属酸化物粉末などが用いられる。これらは水に対して0.1〜10重量%の範囲で用いるのが好ましい。
【0113】
本発明において、重合開始剤は造粒後の単量体組成物を含む分散液中に添加してもよいが、個々の単量体組成物粒子に均一に重合開始剤を付与する点からは、造粒前の単量体組成物に含有させておくことが望ましい。このような重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスブチロニトリルなどのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0114】
次に、乳化重合トナーについて説明する。
本乳化重合法では、無機分散剤または微粒子ポリマーの存在下で、水系媒体中にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーをはじめとするトナー組成物を分散せしめ、アミン類により伸長反応あるいは架橋反応によりトナー粒子を形成させる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた生成物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0115】
上記ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0116】
前記ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0117】
前記ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0118】
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0119】
前記アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックした化合物(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックした化合物(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
【0120】
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超え、1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0121】
本発明のウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、などにより製造される。ウレア変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0122】
本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、(ii)の酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
【0123】
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成してもよいし、あらかじめ製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いてもよい。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させた方がより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0124】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波など公知の方式の分散設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温である方が、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0125】
ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0126】
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性荊、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやNーアルキルーN,Nージメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0127】
また微粒子ポリマーも無機分散剤と同様な効果が確認された。このような例としては、MMAポリマー微粒子(1、及び3μm)、スチレン微粒子(0.5及び2μm)、スチレン−アクリロニトリル微粒子ポリマー(1μm)、あるいは市販例としてPB−200H(花王製)、SGP(総研)、テクノポリマーSB(積水化成品工業)、SGP−3G(総研)ミクロパール(積水ファインケミカル)などが挙げられる。また上記の無機分散剤、微粒子ポリマーとを併用して使用することも可能であり、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、αーシアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β一ヒドロキシエチル、メタクリル酸β一ヒドロキシエチル、アクリル酸βーヒドロキシプロビル、メタクリル酸β一ヒドロキシプロピル、アクリル酸γーヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ一ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3ークロロー2一ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、Nーメチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビsニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0128】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に短時間で蒸発除去する方法を採用することができる。なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去する方がトナーの帯電面から好ましい。
【0129】
更に、トナー組成物の粘度を低くするために、前記ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いる方が、粒度分布がシャープになる点で好ましい。用いる溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。
溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100重量部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
【0130】
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0131】
次に、本発明に用いられるトナーは球形に近い粒子が好ましく、平均円形度の値が0.95〜1.0のものが好ましい。円形度は下記式(6)で求められる値で、1に近いほど球形な粒子であることを示している。
円形度=(トナー粒子と同面積の円の周囲長)/(トナー粒子の周囲長) …(6)
平均円形度は、各トナー粒子の円形度を平均した値である。トナーの円形度は、市販の画像解析装置を用いて光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察したトナー画像を解析する方法や、例えばフロー式粒子像分析装置FPIA−1000(シスメックス社製)によって測定することができる。なお、式中トナー粒子と同面積の円の周囲長とは、トナー粒子の投影面積に相当する真円の周囲長を示す。
【0132】
また、本発明のトナー剤に用いられるトナーは、磁性体を含有して単独で磁性1成分トナー(磁性トナー)として使用されたり、そのまま単独で非磁性1成分現像剤として使用されたりすることもできるが、磁性キャリアとともに磁性2成分現像剤を構成する非磁性トナーとして用いることが好ましい。キャリアとしては、体積平均粒径が60μm未満であるものが好適であり、トナーとキャリアとを混合した現像剤中の前記トナー濃度は2〜20wt%であることが好ましい。
【0133】
次に、本発明の画像形成装置に用いられる像担持体(感光体ドラム)の感光体について説明する。
本発明に用いられる感光体は、導電性支持体の上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層が形成されたもの、あるいは更に電荷輸送層の上に保護層が形成されたもの等が使用される。導電性支持体および電荷発生層としては、公知のものならば如何なるものでも使用することができる。本発明の感光体の材料としては、セレン及びその合金、アモルファスシリコン等の無機感光体材料でもよいが、有機感光体材料が好適である。
【0134】
有機感光体の電荷発生層に用いる電荷発生顔料としては、例えばX型の無金属フタロシアニン、π型の無金属フタロシアニン、τ型の無金属フタロシアニン、ε型の銅フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料やジスアゾ・トリスアゾ系顔料、アントラキノン系顔料、多環キノン系顔料、インジゴ顔料、ジフェニルメタン、トリメチルメタン系顔料、シアニン系顔料、キノリン系顔料、ベンゾフェノン、ナフトキノン系顔料、ペリレン顔料、フルオレノン系顔料、スクアリリウム系顔料、アズレニウム系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、ポルフィリン系顔料が使用できる。これら電荷発生顔料の感光層全体に占める量は0.1〜40wt%、好ましくは0.3〜25重量%が適当である。なお、これらの電荷発生顔料は有機アクセプタ性化合物と組み合わせて使用することが可能である。
【0135】
また、電荷輸送層に用いる有機正孔輸送物質としては、公知のものが利用できる。例えば、分子中にトリフェニルアミン部位を有する化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、オキサジアゾール系化合物、カルバゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、ブタジエン系化合物、線状の主鎖がSiよりなるポリシラン系化合物、ポリビニルカルバゾール等高分子ドナー性化合物等が挙げられる。感光層全体に占める該正孔輸送物質の量は、10重量%以上、好ましくは20〜60重量%が適当である。
【0136】
さらに、前記感光層用結着剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等の付加重合型樹脂、重付加型樹脂、重縮合型樹脂、並びにこれらの繰り返し単位のうち2つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂を挙げることができる。これら結着剤の感光層全体に占める量は20〜90重量%、好ましくは30〜70重量%である。
【0137】
前記保護層は、耐久性や感光体性能を向上するため、無機粒子とバインダー樹脂(結着剤)から形成されることが好ましく、無機粒子としてシリカ、酸化チタン、アルミナの内の少なくとも1種類以上から構成されることが好適である。
【0138】
また、帯電性を改良する目的で感光層と導電性支持体、いわゆる導電性基体との間に下引き層を設けることができる。これらの材料としては前記結着剤材料の他に、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン等公知のものが利用できる。
本発明で用いることができる導電性基体としては、公知のものが利用でき、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、酸化錫、ヨウ化銅の薄膜を塗布または貼付したプラスチックフィルムあるいはガラス等が挙げられる。
【0139】
本発明の有機感光体を作製するには、前記電荷発生材料を有機溶媒中に溶解または、ボールミル、超音波等で分散して調整した電荷発生層形成液を浸漬法やブレード塗布、スプレー塗布等の公知の方法で基体上に塗布・乾燥し、その上に前記電荷輸送材料を同様の方法で調整した電荷輸送層形成液を塗布・乾燥して形成すればよい。
【0140】
本発明の各作像手段を備えた画像形成装置においては、構成手段の作業手段の保守や交換性を良好なものとするため、像担持体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段から選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し画像形成装置に着脱自在とし、該現像手段をトナー剤(電子写真用トナーもしくは電子写真用現像剤)を保持するプロセスカートリッジとして構成して用いることができる。
【0141】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、本実施例に使用したトナーについて説明する。
〈トナーバインダーの合成〉
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃、8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた。これを160℃まで冷却して、32部の無水フタル酸を加え2時間反応させた。更に、これを80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート188部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。次にこのプレポリマー(1)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部とテレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(a)を得た。
次に、ウレア変性ポリエステル(1)200部と変性されていないポリエステル(a)800部とを酢酸エチル/エチルメチルケトン(MEK)(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)の酢酸エチル/MEK溶液を得た。得られたトナーバインダー(1)を一部減圧乾燥し、単離した。トナーバインダー(1)のTgは62℃であった。
【0142】
〈トナーの作製〉
ビーカー内に上記で得られたトナーバインダー(1)の酢酸エチル/MEK溶液240部、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、TK式ホモミキサーで60℃、12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。次に、ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ均一に溶解した。次いで、60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入して10分間攪拌した。攪拌後、この混合液を98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、体積平均粒径が4.8μmの着色粉体を得た。
上記により得られた着色粉体100部と帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロンE−84)0.2部とをQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、体積が容器内容積の1/2以下のタービン型羽根を周速を50m/sに設定し、2分間運転、1分間休止する操作を5サイクル(合計の処理時間は10分間)行い、最終的に重合粒子Aを得た。
【0143】
上記重合粒子Aに、疎水化処理した小粒径シリカ(一次粒子径平均値14nm、以下シリカAと略)をトナー量の0.8重量%、疎水化処理した大粒径シリカ(一次粒子径平均値120nm、以下シリカBと略)をトナー量の0.6重量%、疎水化処理した酸化チタン(一次粒子径平均値15nm)をトナー量の0.6重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーにより攪拌混合処理してトナー剤(実施例1のトナー)を作製し、以下の評価試験に供した。
【0144】
上記で得た実施例1のトナーの体積平均粒径、円形度、圧縮率、及び外添剤被覆率を下記により測定した。結果を表1に示す。
[体積平均粒径の測定]:コールターエレクトロニクス社製粒径測定器を用い、トナーの体積平均粒径Dを求めた。
[円形度の測定]:シスメックス社製フロー式粒子像分析器EPIA―1000を用い、トナーの円形度を求めた。
[圧縮率の測定]:セイシン企業製マルチテスタMT−1000型測定器を用い、前記した測定条件により「緩み嵩密度」および「固め嵩密度」を計測し、下記式(1)により圧縮率を求めた。
圧縮率={[(固め嵩密度)−(緩み嵩密度)]/(固め嵩密度)}…(1)
(式中、固め嵩密度は、容器中のトナーを振幅18mm、周波数1Hzで3分間タッピングした後の嵩密度を表し、緩み嵩密度は、タッピングする前の嵩密度を表す。)
[外添剤被覆率の測定]:作製した実施例1のトナーについて、以下のような方法で外添剤被覆率を測定した。まず電子顕微鏡用観察基板にトナーを付着させ、トナーの付着した観察基板を金でコーティングし、トナーの表面を電子顕微鏡(日立製作所製走査電子顕微鏡S−4500)で観察した。トナー表面を3万倍に拡大した画像をパーソナルコンピュータに取り込み、画像処理ソフト(Media Cybernetics製 Image−Pro Plus)を用いて外添剤の面積を計測し、トナー表面画像の面積に対する外添剤面積の比を計算して外添剤被覆率を求めた。5個以上のトナーについて外添剤被覆率を測定し、その平均値を求めた。
【0145】
次に、本実施例の画像形成評価用として用いる感光体を以下のような構成で作製し、評価装置に搭載した。
下記構造式(1)のビスアゾ顔料0.4重量部をブチラール樹脂(エスレックBL−S 積水化学(株)製)の5重量%テトラヒドロフラン溶液4重量部、及びテトラヒドロフラン 7.6重量部とともにボールミリングを行い、ミリング後テトラヒドロフランを加えて2重量%に希釈し、電荷発生層形成用塗布液を調整した。この電荷発生層形成用塗布液をφ90mmのアルミニウム製感光体ドラムに浸漬法により塗布・乾燥させて電荷発生層を形成した。
【0146】
【化1】
Figure 2004212540
【0147】
次に、下記構造式(2)の正孔輸送物質を6.0重量部と、感光体バインダー樹脂としてシクロヘキシリデンビスフェノールポリカーボネート(Zポリカ,帝人化成TS2050)9.0重量部を、テトラヒドロフラン67重量部に溶解し、電荷輸送層形成用塗布液を調整し、これを浸漬法で電荷発生層上に塗布・乾燥させて、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成し、本実施例の有機感光体を作製した。
【0148】
【化2】
Figure 2004212540
【0149】
本実施例1のトナーをリコー製カラー複写機Imagio Color 5100用シリコーン樹脂コート磁性キャリア(体積平均粒径50μm)と混合し、ターブラ−ミキサーにて攪拌し、二成分現像剤(トナー剤)を作製した。なお、本現像剤中の上記トナー含有量は約6wt%である。
次に、上記感光体を搭載したリコー製カラー複写機Imagio Color5100改造機を用いて、転写ベルト上の画像評価を実施した。なお、Imagio Color 5100改造機は、現像は二成分現像方式、転写は中間転写ベルト方式で、外部信号によって任意のタイミングで作像動作を途中で止められるようにした。感光体ドラム上に複数のベタ画像及び細線画像の潜像を書き込み、一次転写の途中で作像プロセスを止め、感光体ドラムユニットと転写ベルトユニットを複写機から取り出し、感光体ドラム上のベタ画像部のパイルハイトを測定し、転写ベルト上の細線部の画像評価を実施した。なお、トナー層が2層以上となるように、単位面積当たりのトナー重量M/Aは約0.7mg/cmに設定した。
画像評価は細線画像の中抜け発生状況の測定により行い、キーエンス社の超深度形状測定顕微鏡VK8500を用いた。4段階の評価見本を用意し、評価見本と比較することによって以下に示す4段階に評価した。
4:問題が無い、3:ほぼ問題が無い、2:やや問題がある、1:問題がある結果を表1に示す。
【0150】
更に、本実施例の未帯電トナーと感光体間の付着力を下記条件で測定した。
〈付着力の測定〉
本実施例の有機感光体材料を、アルミ蒸着したPETフィルム上に塗布して有機感光体膜を形成した。このフィルムを直径7.8mmの円板状に切り出し、遠心分離に使用する試料基板上にプラスチック用接着剤を用いて貼り付けた。本実施例のトナーを自然落下させて感光体上に付着させ、前記の遠心分離法を用いてトナーと感光体間の非静電的付着力を測定し、平均値Fの値を求めた。Fと体積平均粒径Dから求めたF/Dの値を表1に示す。なお、付着力測定に使用した装置及び測定条件は以下の通りである。
〈使用した装置及び測定条件〉
遠心分離装置:日立工機製CP100α(最高回転数:100、000rpm、最大加速度:800、000g)
ロータ:日立工機製アングルロータP100AT
画像処理装置:インタークエスト製Hyper700
試料基板と受け基板:直径8mm、厚み1.5mmの円板で、材料はアルミニウム。
スペーサ:外径8mm、内径5.2mm、厚み1mmでのリングで、材料はアルミニウム。
保持部材:直径13mm、長さ59mmの円筒で、材料はアルミニウム。ロータの中心軸から試料基板のトナー付着面までの距離:64.5mm
設定回転数f:1000、1600、2200、2700、3200、5000、7100、8700、10000、15800、22400、31600、50000、70700、86600、100000(rpm)
【0151】
(実施例2)
実施例1で得た重合粒子Aに、シリカAを0.2重量%、シリカBを0.2重量%、酸化チタンAを0.2重量%配合し、ヘンシェルミキサーによって攪拌混合処理して実施例2のトナーを作製した。以下、実施例1と同様にしてトナーの体積平均粒径、円形度、圧縮率、外添剤被覆率及びF/Dを測定し、画質評価(中抜け画像の有無)を行った。結果を表1に示す。
【0152】
(実施例3)
実施例1で得た重合粒子Aに、シリカAを0.4重量%、シリカBを0.4重量%、酸化チタンAを0.3重量%配合し、ヘンシェルミキサーによって攪拌混合処理して実施例3のトナーを作製した。以下、実施例1と同様にしてトナーの体積平均粒径、円形度、圧縮率、外添剤被覆率及びF/Dを測定し、画質評価(中抜け画像の有無)を行った。結果を表1に示す。
【0153】
(実施例4)
〈トナーバインダーの合成〉
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物314部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物314部イソフタル酸274部および無水トリメリット酸20部を重縮合した後、イソフォロンジイソシアネート154部を反応させプレポリマー(2)を得た。
次いで、プレポリマー(2)213部とイソホロンジアミン9.5部およびジブチルアミン0.5部を実施例1と同様に反応し、ウレア変性ポリエステル(2)を得た。ウレア変性ポリエステル(2)200部と変性されていないポリエステル(a)800部を酢酸エチル1000部に溶解、混合し、トナーバインダー(2)の酢酸エチル溶液を得た。一部減圧乾燥し、トナーバインダー(2)を単離した。なお、上記ポリエステル樹脂の数平均分子量は約6000で、ガラス転移点(Tg)は70℃、酸価は18mgKOH/gであった。
【0154】
〈トナーの作成〉
トナーバインダー(2)を用いて実施例1と同様に、トナーバインダー(2)の酢酸エチル/MEK溶液240部、ペンタエリスリトールテトラベヘネート20部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、TK式ホモミキサーで60℃、12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ均一に溶解した。次いで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで20000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。次いでこの混合液を98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、体積平均粒径が4.4μmの着色粉体を得た。
【0155】
上記により得られた着色粉体100部と帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロンE−84)0.2部とをQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、体積が容器内容積の1/2以下のタービン型羽根を周速を50m/sに設定し、2分間運転、1分間休止する操作を5サイクル(合計の処理時間は10分間)行い、最終的に体積平均粒径3.4μmの球形の重合体粒子Bを得た。
次いで、重合体粒子Bの100重量部に対して、疎水化処理したシリカAを重合粒子量の0.8重量%、疎水化処理したシリカBをトナー量の0.6重量%配合し、ヘンシェルミキサーによって混合攪拌処理して実施例4のトナーを作製した。以下、実施例1と同様にしてトナーの体積平均粒径、円形度、圧縮率、外添剤被覆率及びF/Dを測定し、画質評価(中抜け画像の有無)を行った。結果を表1に示す。
【0156】
(実施例5)
上記実施例4で得た重合体粒子B用いて、シリカAを0.2重量%、酸化チタンAを0.25重量%配合し、ヘンシェルミキサーによって攪拌混合処理して実施例5のトナーを作製した。以下、実施例1と同様にしてトナーの体積平均粒径、円形度、圧縮率、外添剤被覆率及びF/Dを測定し、画像評価(中抜け画像の有無)を行った。結果を表1に示す。
【0157】
(参考例1)
粉砕法により作製されたリコー製カラー複写機Imagio Color 5100用トナーを更に分級処理し、体積平均粒径約5μmに調整した。本トナーに、シリカAを0.8重量%、シリカBを0.6重量%、酸化チタンを0.6重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって攪拌混合処理して参考例1のトナーを作製した。以下、実施例1と同様の条件にてトナーの体積平均粒径、円形度、圧縮率、外添剤被覆率及びF/Dを測定し、画像評価(中抜け画像の有無)を行った。結果を表1に示す。
【0158】
(参考例2)
実施例1で得た重合粒子Aに、シリカAを0.2重量%、酸化チタンAを0.15重量%配合し、ヘンシェルミキサーによって攪拌混合処理して参考例2のトナーを作製した。以下、実施例1と同様の条件にてトナーの体積平均粒径、円形度、圧縮率、外添剤被覆率及びF/Dを測定し、画像評価(中抜け画像の有無)を行った。結果を表1に示す。
【0159】
(参考例3)
実施例4で得た重合粒子Bに、シリカAを0.2重量%、シリカBを0.2重量%、酸化チタンAを0.1重量%配合し、ヘンシェルミキサーによって攪拌混合処理して参考例3のトナーを作製した。以下、実施例1と同様の条件にてトナーの体積平均粒径、円形度、圧縮率、外添剤被覆率及びF/Dを測定し、画像評価(中抜け画像の有無)を行った。結果を表1に示す。
【0160】
(参考例4)
実施例1で得られた重合粒子Aの作成過程でTK式ホモミキサーによる攪拌条件を60℃、9000rpmで攪拌したほかは、実施例1と同様の処方により体積平均粒径が6.8μmの着色粉体を得、これに帯電制御剤を実施例1と同様に添加し、重合粒子Cを得た。この重合粒子Cに、シリカAを0.8重量%、シリカBを0.6重量%、酸化チタンを0.6重量%配合し、ヘンシェルミキサーによって攪拌混合処理して参考例4のトナーを作製した。以下、実施例1と同様の条件にてトナーの体積平均粒径、円形度、圧縮率、外添剤被覆率及びF/Dを測定し、画像評価(中抜け画像の有無)を行った。結果を表1に示す。
【0161】
【表1】
Figure 2004212540
【0162】
表1に示すように、実施例1〜5では、いずれも体積平均粒径、円形度、圧縮率、外添剤被覆率及びF/Dの値が本発明の請求項に記載した範囲内にあり、中抜けの発生が問題の無いレベルにあり、良好な画像が得られた。これに対して円形度、圧縮率もしくはF/Dのいずれかが本発明の請求項の記載範囲外である参考例1〜3では中抜けが生じ、画質が劣化した。一方、参考例4のように体積平均粒径が本発明の請求項の記載範囲を超える場合には、発明の実施の形態において説明したように中抜けが発生しないケースがある(なお、他の特性項目いかんによっては中抜けが発生するケースもある)。
【0163】
【発明の効果】
平均円形度、体積平均粒径、圧縮率、付着力と脱離トナーの体積平均粒径との比、トナーの外添剤などが制御された小粒径で球形な本発明のトナー剤(電子写真用トナー及び現像剤)、画像形成装置、プロセスカートリッジ、画像形成方法を用い、像担持体上に形成されたトナー画像のパイルハイト分布、及びトナーの非静電的付着力を適切に制御することにより、転写時に中抜けが発生しない高画質の画像形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】実施の形態において本発明に係るトナーと感光体間の付着力を測定する測定セルを説明するための概略斜視図である。
【図3】実施の形態において本発明に係るトナーと感光体間の付着力を測定する遠心分離装置の要部断面を示す側面図である。
【符号の説明】
11 感光体ドラム
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
14B、14C、14M、14Y 現像装置
15 レーザー光線
16 クリーニング装置
17 除電装置、
25 転写装置
26a〜26f ローラ
27 中間転写ベルト
28 クリーニング装置
29 記録材
30 定着装置
31 定着ローラ
32 加圧ローラ、
41 測定セル
42 試料基板
42a 試料面
43 受け基板
43a 付着面
44 スペーサ
55 遠心分離装置
56 ロータ
57 保持部材
57a 棒状部
57b セル保持部
57c 穴部
57d 設置固定部
58 試料設置部
59 回転中心軸、

Claims (23)

  1. 少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する手段と、像担持体上に各色に応じたトナーを用いて画像を形成する現像手段と、像担持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を加熱または加圧して該被転写体上に定着する手段とを備えた画像形成装置に用いられる電子写真用トナーにおいて、
    前記用いられるトナーは平均円形度が0.95〜1.0で、体積平均粒径が0.8〜5μmの球形であり、下記式(1)により求められる圧縮率が0.4未満であることを特徴とする電子写真用トナー。
    Figure 2004212540
    (式中、固め嵩密度は、容器中のトナーを振幅18mm、周波数1Hzで3分間タッピングした後の嵩密度を表し、緩み嵩密度は、タッピングする前の嵩密度を表す。)
  2. 前記像担持体上の未帯電トナーに対して付着面に垂直な方向に所定の回転数で逐次遠心力を作用させ、該トナーの脱離前後の回転数における遠心力の平均値Fを付着力として設定し、該平均値F(nN)と脱離トナーの体積平均粒径D(μm)との比(F/D)が4.5nN/μm以下であるように調整したことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 前記Fは、前記像担持体と同質の表面が形成された基板上に未帯電トナーを付着し、該基板のトナー付着面が受け基板と対面するようにスペーサを介して測定セルを構成し、次いでトナー付着面の垂直な方向に遠心力が作用するように該測定セルを遠心分離装置に装着して、回転数を上げながら各設定回転後に測定セルの受け基板を取り替え、全ての設定回転数について遠心分離をした後、前記各受け基板の一部の領域について付着した各トナーの粒径dを計測するとともに、トナー脱離前後の回転数f(rpm)における遠心力(Fc)を下記式(2)により算出し、トナー脱離前後の回転数におけるFcの算術平均値を各トナーの付着力とし、計測した全トナーの付着力に関する常用対数の算術平均Aから、トナー付着力の平均値F=10を求める方法により設定することを特徴とする請求項2に記載の電子写真用トナー。
    Figure 2004212540
    (但し、ρ:トナーの真比重(kg/m)、d:トナーの粒径(m)、r:回転半径(m)を表す。)
  4. 前記トナーに無機微粒子からなる外添剤が添加され、該無機微粒子は、体積平均粒径が5nm以上、80nm未満の小粒径微粒子と体積平均粒径が80nm以上、200nm以下の大粒径微粒子との混合微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
  5. 前記トナー1粒子の表面積に対する前記外添剤の被覆面積比率の平均値が15〜100%となるように調整したことを特徴とする請求項4に記載の電子写真用トナー。
  6. 前記無機微粒子は、シリカ、酸化チタンあるいはアルミナの内、同一素材を用いる場合を含めて少なくとも粒径の異なる2種類以上を混合して用いることを特徴とする請求項4または5に記載の電子写真用トナー。
  7. 前記無機微粒子は、シリコーンオイル乃至はシリコーンカップリング剤で表面処理された疎水性シリカ微粒子を併用したものであって、更に当該疎水性無機微粒子の疎水化度が50%以上であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  8. 前記トナーは、少なくともイソシアネート基を含むポリエステル樹脂プレポリマーと着色剤とからなるトナー組成物を水系媒体中で無機分散剤または微粒子ポリマーの存在下にアミン化合物と伸長反応あるいは架橋反応させて乳化分散液を得、該乳化分散液から溶媒を除去して製造されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  9. 前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が2000〜15000であり、ガラス転移点が55〜75℃で、酸価が1〜30mgKOH/gであることを特徴とする請求項8に記載の電子写真用トナー。
  10. 前記ポリエステル樹脂がウレア結合を有する変性ポリエステル構造を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の電子写真用トナー。
  11. 前記ポリエステル樹脂のポリオール成分としてビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物を含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  12. 前記トナー中に離型剤としてワックスを含有することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  13. 前記請求項1〜12のいずれかに記載のトナーと体積平均粒径が60μm未満であるキャリアとを混合したことを特徴とする電子写真用現像剤。
  14. 前記トナーと前記キャリアとを混合した現像剤中の該トナー濃度が2〜20wt%であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用現像剤。
  15. 少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する手段と、像担持体上に各色に応じたトナー剤を用いて画像を形成する現像手段と、像担持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を加熱または加圧して該被転写体上に定着する手段とを備えた画像形成装置において、
    前記用いられるトナー剤は請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真用トナーもしくは電子写真用現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
  16. 前記像担持体の感光体は、導電性支持体上に少なくとも有機材料からなる電荷発生層と電荷輸送層とが順次形成され、必要により更に保護層が形成された構成からなる有機感光体であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 前記有機感光体の最表面層に形成された保護層が無機粒子とバインダー樹脂から形成されることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
  18. 前記保護層の無機粒子がシリカ、酸化チタン、アルミナの内の少なくとも1種類以上から構成されることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
  19. 前記像担持体上に形成されたトナー画像の被転写体上への転写が、中間転写体を介して行われるように構成したことを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
  20. 少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する手段と、像担持体上に各色に応じたトナー剤を用いて画像を形成する現像手段と、像担持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を加熱または加圧して該被転写体上に定着する手段とを備えた画像形成装置における該像担持体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段から選ばれる少なくとも一つの手段とを一体に支持し画像形成装置に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、
    前記現像手段は請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真用トナーもしくは電子写真用現像剤を保持することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  21. 順次、像担持体に静電潜像を形成し、該像担持体上に各色に応じたトナー剤を用いて画像を形成し、該像担持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写し、前記被転写体上のトナー画像を加熱または加圧して該被転写体上に定着する画像形成方法において、
    前記用いられるトナー剤は請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真用トナーもしくは電子写真用現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
  22. 前記像担持体の感光体は、導電性支持体上に少なくとも有機材料からなる電荷発生層と電荷輸送層とが順次形成され、必要により更に保護層が形成された構成からなる有機感光体であることを特徴とする請求項21に記載の画像形成方法。
  23. 前記像担持体上に形成されたトナー画像の被転写体上への転写が、中間転写体を介して行われるようにしたことを特徴とする請求項21に記載の画像形成方法。
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