JP2004211454A - 山留め壁および山留め工法 - Google Patents

山留め壁および山留め工法 Download PDF

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直樹 佐藤
Yasuiku Fukuda
泰育 福田
Shuichi Sakai
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Abstract

【課題】地下躯体の構築が簡単かつ効率的にできる山留め壁および山留め工法を提供することである。
【解決手段】山留め壁1は、山留め壁本体3内に適宜間隔ごとに埋設された親杭7が、これらの間に設置された腹起し材8で連結され、該腹起し材8に、山留め壁本体3の外側の地山15に打設されたアースアンカー4の引張材9が緊張定着されたものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は山留め壁および山留め工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の地下躯体を構築するための根切り壁の崩壊を防ぐために、壁面に山留め壁を構築する山留め工法として、特開2002−227204号公報のものが知られている。この山留め工法は山留め壁の支持に腹起しと切梁とを使用しているため、これらが地下躯体の構築の際の妨げになっていた。
そこで、この問題を解決するために、図9に示すように、山留め壁25をアースアンカー26で支持する山留め工法が開発された。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−227204号公報(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような山留め壁をアースアンカーで支持する工法は以下のような問題があった。
(1)腹起しとアンカー台座とが地下躯体の構築の妨げになる
(2)腹起しの架設作業と撤去作業とが必要になる
(3)上記の(2)の作業において、狭い空間での重機作業および揚重作業が繁雑になる
【0005】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地下躯体の構築が簡単かつ効率的にできる山留め壁および山留め工法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための山留め壁は、山留め壁本体内に適宜間隔ごとに埋設された親杭が、これらの間に設置された腹起し材で連結され、該腹起し材に、山留め壁本体の外側の地山に打設されたアースアンカーの引張材が緊張定着された構成である。
また山留め工法は、適宜間隔ごとの親杭がこれらの間に設置された腹起し材で連結されてなる親杭ユニットを、硬化前のソイルセメントが充填された掘削孔に沈設して山留め壁を構築した後、該山留め壁の内側の地盤を掘削するとともに、腹起し材に、山留め壁の外側の地山に打設したアースアンカーの引張材を緊張定着する構成である。
【0007】
腹起しが親杭と一体になって山留め壁内に埋設されるため、該山留め壁の内側、すなわち地下躯体が構築される側に、アースアンカーの引張材を緊張定着するアンカー台座を省略することができる。
腹起しが一体となった親杭ユニットを使用したことにより、腹起しの架設作業および解体作業を省略することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の山留め壁および山留め工法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。はじめに山留め壁について説明し、次に、山留め工法について説明する。なお、各発明の実施の形態において同じ構成は同じ符号を付して説明し、異なる構成は異なった符号を付して説明する。
【0009】
図1は山留め壁1を示したものであり、この山留め壁は1は地下躯体を構築する根切り壁2に構築された山留め壁本体3がアースアンカー4で支持されて構成されている。
【0010】
山留め壁本体3は硬化したソイルセメント5内に親杭ユニット6が埋設されて構成されている。この親杭ユニット6は、図2に示すように、親杭であるH形鋼7(またはI形鋼)と、これらの間に設置された腹起し材8とで構成され、この腹起し材8にアースアンカーの引張材9が緊張定着されている。
【0011】
腹起し材8はH形鋼7と同じ厚さの平面矩形の筒体10であり、隔壁11で三分割された中央部をアースアンカーの引張材9が挿通される挿通部12とし、該挿通部12の両側の部屋13がラチス板14で補強されている。このように筒体10の内部を小さく区切り、この区切った部屋13をラチス板14で補強したことにより、地山の土圧にも十分に耐えられるようになっている。さらに腹起し材8は筒体であるため、硬化前のソイルセメント内に親杭ユニット6を沈設する際の大きな抵抗にはならない。
【0012】
また引張材9は腹起し材の孔13aに先端側へ向かって下側に傾斜して挿通され、先端部が地山15に打設されたアンカーコンクリート23に埋設されている。この引張材9は、大がかりなアンカー台座ではなく、小さな定着板16で腹起し材8に定着されているため、この定着板16が地下躯体の構築の妨げにはならない。
【0013】
なお、親杭ユニット6は3本のH形鋼7を一組としたものであるが、図2の(2)に示すように、2本のH形鋼7を一組みとしたものであってもよい。この2本のH形鋼を一組とした親杭ユニット6は、3軸掘削機で掘削された縦孔に使用する。
【0014】
また腹起し材8は、上記の実施の形態ではH形鋼7の1箇所にのみ設置されているが、これに限らず、根切り底が深い場合は複数設置するものとする。
【0015】
次に、山留め工法を図3〜図7に基づいて説明する。はじめに、建物の構築位置の地盤に山留め壁の境界線の位置出しを行う。そして、この境界線に沿って、図3の(1)に示すように、5軸掘削機24で山留め壁用の縦孔17を削孔し、ここにソイルセメント18(硬化前のもの)を充填する。この縦孔17は、図4の(1)に示すように、端部17aのみを重ねて連続的に掘削するものとする。
【0016】
次に、図3の(2)に示すように、上記の親杭ユニット6をクレーン19で吊り上げて、硬化前のソイルセメント18内に沈設する。そして、先行の親杭ユニット(図4の(1)おいて下側)6のH形鋼7に、後行の親杭ユニット6のH形鋼7を密接させて沈設すると、親杭ユニット6が密接された状態で設置される。そして、前記のソイルセメント18が硬化すると、前記の境界線に沿った山留め壁1が構築される。
【0017】
なお、図5は、3本のH形鋼を一組とした親杭ユニット6を使用した山留め壁1の構築を示したものであり、上記と同じ方法で構築する。
【0018】
次に、図6の(1)に示すように、山留め壁1内側の地盤20を腹起し材8が設置された深さまで掘削する(一次掘削)。そして、同図の(2)に示すように、アースアンカーの引張材9を挿通させる孔12aを腹起し材8に開けるとともに、地山15にはアンカー孔21を削孔し、ここにアンカーコンクリート23を打設する。そして、このアンカーコンクリート23に引張材9の一端部を埋設するとともに、他端部を腹起し材8の孔12aに挿通する。
【0019】
次に、前記のアンカーコンクリートが硬化した後に、引張材9を所定の力で緊張して、腹起し材8に定着板16で定着する。したがって、各親杭ユニット6は2つのアースアンカー4で支持された状態になる。
【0020】
次に、図7の(1)に示すように、腹起し材8から下の地盤20を所定の深さまで掘削する(二次掘削)。このように二次掘削が完了すると、腹起し材8には小さな定着板16のみが設置されているため、同図の(2)に示すように、何の妨げもなく地下躯体22の構築をすることができる。
【0021】
この山留め工法は、図8の施工フロー図に示すように、従来の山留め工法と比べて、腹起しの架設作業や撤去作業を省くことができるので、効率的な施工をすることができる。
【0022】
【発明の効果】
地下躯体の構築が簡単かつ効率的にできる山留め壁を構築することができる。腹起し材の架設作業および撤去作業を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)および(2)は山留め壁の断面図である。
【図2】(1)はH形鋼が3本一組の親杭ユニットの斜視図、(2)はH形鋼が2本一組の親杭ユニットの断面図である。
【図3】(1)および(2)は縦孔の掘削と、その縦孔に親杭ユニットを沈設する山留め工法の断面図である。
【図4】(1)は親杭ユニットを縦孔に沈設した横断面図、(2)は同縦断面図である。
【図5】H形鋼が3本一組の親杭ユニットを縦孔に沈設した横断面図である。
【図6】(1)は一次掘削をする山留め工法の断面図、(2)は要部の拡大断面図である。
【図7】(1)は二次掘削をする山留め工法の断面図、(2)は地下躯体の構築を示す断面図である。
【図8】従来と本発明との山留め工法の施工フロー図である。
【図9】従来の山留め工法の断面図である。
【符号の説明】
1、25 山留め壁
2 根切り壁
3 山留め壁本体
4、26 アースアンカー
5、18 ソイルセメント
6 親杭ユニット
7 H形鋼
8 腹起し材
9 引張材
10 筒体
11 隔壁
12 挿通部
12a 孔
13 ラチス板
14 部屋
15 地山
16 定着板
17 縦孔
19 クレーン
20 地盤
21 アンカー孔
22 地下躯体
23 アンカーコンクリート
24 掘削機

Claims (2)

  1. 山留め壁本体内に適宜間隔ごとに埋設された親杭が、これらの間に設置された腹起し材で連結され、該腹起し材に、山留め壁本体の外側の地山に打設されたアースアンカーの引張材が緊張定着されたことを特徴とする山留め壁。
  2. 適宜間隔ごとの親杭がこれらの間に設置された腹起し材で連結されてなる親杭ユニットを、硬化前のソイルセメントが充填された掘削孔に沈設して山留め壁を構築した後、該山留め壁の内側の地盤を掘削するとともに、腹起し材に、山留め壁の外側の地山に打設したアースアンカーの引張材を緊張定着することを特徴とする山留め工法。
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