JP2004211038A - 接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主剤としてビスフェノールA型のエポキシ樹脂を用い、硬化剤としてポリアミドアミンあるいはポリチオールを用い主剤及び硬化剤の比率を30対70〜70対30の範囲、好ましくは50対50の比率にて混合した接着剤組成物を用いることによって解決される。これにより初期接着性、長期のフッ酸、硫酸、LLC中での浸漬試験においてもパッキンがセパレータから剥離することはなく良好な接着性を保持する。
Description
【産業上の利用分野】
本発明は固体高分子型燃料電池において発生する生成水及び反応に用いられるガス、並びに冷却水をシールするためのガスケット材料をカーボン、メタル等で成形されたセパレータに後接着するための接着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
従来、固体高分子型燃料電池は、平板状の電極構造体の両側にセパレータが積層されたものが一つのセルとなり複数のセルが積層されて燃料電池のスタックとして構成されている。
電極構造体は、正極側の電極触媒層(カソード)と負極側の電極触媒層(アノード)との間に高分子電解膜がはさまれ、各電極触媒層の外側にガス拡散層が配置された積層体である。
セパレータは電子伝達機能を有する材料からなるもので電極構造体への対向面にはガス通路が形成され少なくとも一方のセパレータの表面には冷媒通路が形成されている。
これら通路はいずれも溝状であってガス通路には、燃料ガスである水素ガスと酸素や空気等の酸化剤ガスがそれぞれ独立して流され、冷媒通路には水エチレングリコール等の冷媒が流される。
セパレータは、各ガス通路間の突起部がガス拡散層に接触する状態で電極構造体に積層される
【0003】
このような燃料電池によると例えば負極側に配されたセパレータのガス通路に燃料ガスを流し、正極側に配されたセパレータのガス通路に酸化剤ガスを流すと電気化学反応が起こって電気が発生する。
当該燃料電池の作動中においては、ガス拡散層は電気化学反応によって生成した電子を電極触媒層とセパレータとの間で伝達させると同時に燃料ガス及び酸化剤ガスを拡散させる。また負極側の電極触媒層は燃料ガスに化学反応を起こさせプロトンと電子を発生させ、正極側の電極触媒層は酸素とプロトンと電子から水を生成し、電解膜はプロトンをイオン伝導させる。そして、正負の電極触媒層を通して電力が取り出される。
【0004】
上記のような燃料電池においては燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷媒を、それぞれ独立したガス通路及び冷媒通路に流通させる必要があることから、これら通路をシールによって隔絶している。
シールする部位としては、燃料電池スタックの構造により若干異なるが、例えば燃料電池スタックを貫通するガス通路の連通口の周囲、電極構造体の周縁部、セパレータの表面に設けられた冷媒通路の周囲、セパレータ表面の周縁部等が挙げられる。そしてこれらの箇所のシール材にはシリコーン系、フッ素系、エチレンプロピレン系、イソブチレン・イソプロピレン系などの有機ゴムからなる弾性材料が用いられておるが、その要求特性の厳しさから低温性を改良したフッ素ゴムを単独で使用したりエチレンプロピレン系ゴムあるいはパーフロロアルキルエーテル系フッ素ゴムをブレンドしたものが主流となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池に用いられるガスケットでは上述したような燃料ガス、酸化剤ガス、冷媒をシールすることが必要であり、さらには電気化学反応によって発生した生成水をシールすることも要求される。
この電気化学反応によって発生した生成水の中には電解膜中に含まれるフッ素イオンや硫酸イオンが溶出するため生成水は酸性を示し運転状況によってはガスケット材料に影響を与えることがある。また設計上低温から高温領域に至るまで非常にわずかな締め代によってシール性を維持することが必要であり極度に圧縮永久歪みの良好な材料が必要とされている。そのためガスケット材料には前述した低温性を改良したフッ素ゴムを単独で使用したりエチレンプロピレン系ゴムあるいはパーフロロアルキルエーテル系フッ素ゴムをブレンドしたものが用いられつつある。
【0006】
しかしながらこれらの材料はその構造上、接着が非常に困難であるという大きな問題点を抱えており、かかる問題点を克服する接着剤組成物の出現が望まれていた。したがってかかる発明は、上述したガス透過性、ガスシール性、耐冷媒性、低温性等を有し且つ生成水中に含まれるフッ酸、硫酸に対し耐性のある材料をパッキン材料として用いたときに安定したシール性を保持するために安定した接着性を得ることを目的として開発されたものである
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は主剤としてビスフェノールA型のエポキシ樹脂を用い、硬化剤としてポリアミドアミンあるいはポリチオールを用い主剤及び硬化剤の比率を30対70〜70対30の範囲、好ましくは50対50の比率にて混合した接着剤組成物を用いることによって解決される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は以下の内容によって実施される
本発明で使用される接着剤のエポキシ樹脂は、主剤として末端に反応性のエポキシ基をもつ熱硬化型のエポキシ樹脂でビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの縮合反応により製造されたいわゆるビスフェノールA型エポキシ樹脂で(式4)のような一般式で表わされる
【0009】
【式4】
また、硬化剤としてポリアミドアミン系の代表例としては9,11−リノレイン酸の2量体のディールズ−アールダー反応縮合で得られる(式5)のような構造のものが挙げられる。
【0010】
【式5】
またポリチオール系の硬化剤としては(式6)のようなものが挙げられる。
【0011】
【式6】
【0012】
これらの主剤と硬化剤の配合比率は主剤及び硬化剤が30対70〜70対30、好ましくは50対50で配合される。また必要に応じて主剤、硬化剤が溶解する有機溶媒等に希釈して用いてもよい。
このように配合されたエポキシ樹脂接着剤はカーボン、メタル等で成形されたセパレータに刷毛、スプレー、浸せき等にて塗布され、常温では塗布後20分〜24時間、好ましくは40分〜6時間乾燥する。この場合時間短縮の為、必要に応じて例えば50℃〜150℃で10時間程度乾燥させてもよい。
【0013】
また後接着されるゴム組成物は(式1)で示されるフッ素ゴム単独かあるいはこのフッ素ゴムをベースに(式2)で示されるエチレンプロピレン系ゴムあるいは(式3)で示されるパーフルオロアルキルエーテル系フッ素ゴムとのブレンド比率が90対10〜10対90で用い、充填剤として粒径が200〜500ミリミクロンのサーマルブラックを3重量部から35重量部添加し、加硫剤として過酸化物を0.5〜10重量部、共架橋剤としてTAIC(トリアリルイソシアネート)を0.5〜6重量部配合したものをロールあるいは密閉式混合機によって混合し、ロールあるいは押し出し機等によって所定の形状に加工し成形に供する。成形にあたっては加圧加熱型のプレスによる圧縮成形、その他トランスファー成形、射出成形等任意の成形機を用いて所定の形状に加工することが出来る。 以上の方法によって加工されたフッ素ゴム組成物は150℃〜250℃、好ましくは200℃にて1〜8時間2次加硫を行った後製品として供される。
【0014】
【実施例】
【表1】
(表1)各成分で調整された接着剤は本発明を実施例1〜4に、比較例として
エポキシ樹脂の硬化剤をポリアミン系、酸無水物としたものを用いた。
これらの接着剤をフェノール樹脂をバインダーとしたカーボンプレートに塗布し、常温で1時間乾燥させた。
【0015】
【表2】
後接着されるゴム組成物は(表2)で示される配合処方を有するフッ素ゴムを
オープンロールにて混練りし、170℃、3分でプレス加硫、200℃、4時間でオーブンによる2次加硫を行い、厚さ2mmのゴムシートを作製した。
このゴムシートはJIS K 6256加硫ゴムの接着試験方法の90度剥離試験に準じた試験片になるように裁断し、前記の接着剤が塗布されたカーボンプレートに10N/cm2の荷重で150℃、10分間圧着することにより接着させ、初期接着強度と表3に示される各媒体に浸せき後の接着強度を90度剥離試験により測定し、表3に示した。
【0016】
【表3】
【0017】
【発明の効果】
本発明によって得られた接着剤組成物を用いて接着されたパッキンのセパレータへの初期接着性はいうに及ばず長期のフッ酸、硫酸、LLC中での浸漬試験においてもパッキンがセパレータから剥離することはなく良好な接着性を保持しており懸案であった接着の安定性を解決するに至った。
Claims (5)
- 主剤としてビスフェノールA型のエポキシ樹脂を用い、硬化剤としてポリアミドアミンあるいはポリチオールを用いたことを特徴とする接着剤組成物。
- 請求項1記載の主剤及び硬化剤が30対70〜70対30でブレンドされた接着剤組成物。
- あらかじめ加熱された金型内にゴム組成物を充填しプレスにて加熱加圧成形することで得られたゴム成形品の後接着に用いられる請求項1記載の接着剤組成物。
- 請求項3記載のゴム組成物が燃料電池用のパッキン材料として用いられるものであって加硫成形後170℃〜250℃で1時間〜8時間熱処理された請求項3記載のゴム組成物を後接着するための接着剤組成物。
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