JPWO2016002534A1 - 重ね合わせ体、積層体の製造方法、積層体、及び接着組成物膜 - Google Patents
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Abstract
Description
未加硫ゴムと加硫ゴムとを接着する方法は、例えば、特開2007−217559号公報に開示されており、この方法においては、加硫ゴム部材を表面処理した後、当該表面処理面に未加硫ゴム部材を加硫接着させる。
また特開2005−75010号公報には、熱可塑樹脂又は熱可塑樹脂積層体と未加硫ゴム組成物とを貼り合わせて加硫して得られる積層体において、ジエン系ゴムを加硫可能な多硫化物含有有機化合物を配合した未加硫ゴム組成物を用いることが開示されている。
そこで、本開示は、例えば、エネルギー付与により第1の層と第2の層とが高い接着力で接着する重ね合わせ体、前記重ね合わせ体を用いた積層体の製造方法、及び前記積層体の製造方法により製造された積層体を提供することを目的とする。
また本開示は、例えば、未加硫ゴムと加硫ゴムとの接着において高い接着力を発揮する接着組成物膜を提供することを目的とする。
また、本発明の別の態様によれば、ポリチオール化合物、チオール基と反応する官能基を有する化合物、及びラジカル発生剤を前記ポリチオール化合物に含まれるチオール基の合計モル数(SH)に対する前記チオール基と反応する官能基を有する化合物に含まれる前記チオール基と反応する官能基の合計モル数(FG)の比(FG/SH)が0.15以上0.25以下で含む組成物(X)の塗膜と、ポリチオール化合物、チオール基と反応する官能基を有する化合物、及びラジカル発生剤を前記ポリチオール化合物に含まれるチオール基の合計モル数(SH’)に対する前記チオール基と反応する官能基を有する化合物に含まれる前記チオール基と反応する官能基の合計モル数(FG’)の比(FG’/SH’)が0.25より大きく1.20以下で含む組成物(Y)の塗膜と、が接触した状態で、前記組成物(X)の塗膜における前記ポリチオール化合物と前記チオール基と反応する官能基を有する化合物との重合及び前記組成物(Y)の塗膜における前記ポリチオール化合物と前記チオール基と反応する官能基を有する化合物との重合により、前記組成物(X)の塗膜及び前記組成物(Y)の塗膜がフィルム化された接着組成物膜、が提供される。
また、本発明の実施形態によれば、未加硫ゴムと加硫ゴムとの接着において高い接着力を発揮する接着組成物膜を提供することができる。
本発明の一実施形態における重ね合わせ体は、未加硫ゴムを含む第1の層と、ポリチオール化合物(以下、組成物(X)に用いられるポリチオール化合物を「ポリチオール化合物(A)」ともいう)、チオール基と反応する官能基を有する化合物(以下、組成物(X)に用いられるチオール基と反応する官能基を有する化合物を「チオール基と反応する官能基を有する化合物(B)」又は「化合物(B)」ともいう)、及びラジカル発生剤(以下、組成物(X)に用いられるラジカル発生剤を「ラジカル発生剤(C)」ともいう)が、前記ポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数(SH)に対する、前記化合物(B)に含まれる前記チオール基と反応する官能基の合計モル数(FG)の比(FG/SH)が0.15以上0.25以下で含まれる組成物(X)を用いて形成され、前記第1の層に接する第2の層と、を有する。
また、成分(B)に含まれる「チオール基と反応する官能基」を、「反応性官能基」と称する場合がある。
上記「組成物(X)を用いて形成された第2の層」としては、例えば、組成物(X)を塗布して得られる塗膜の層のほか、前記塗膜を形成する組成物(X)中の成分(A)と成分(B)とが重合して組成物(X)がフィルム化した接着組成物膜の層が挙げられる。
すなわち、前記「塗膜の層」は、組成物(X)がフィルム化される前の状態であり、未重合の成分(A)及び成分(B)が存在する。そのため、「塗膜の層」である第2の層を用いた重ね合わせ体では、重ね合わせ体を用いて積層体を製造する際に付与するエネルギーによって、組成物(X)中の成分(A)と成分(B)との重合(フィルム化)が起こる。
具体的には、重ね合わせ体の第2の層に対して、第2の層に含まれる成分(C)を活性化させるエネルギーを付与することで第2の層が接着層となり、第1の層に由来する層と前記接着層とが高い接着力で接着した積層体が得られる。
その理由は明らかではないが、次のように推測される。
そのため、まず、第2の層を形成する過程又は重ね合わせ体にエネルギーを付与する過程において、組成物(X)に含まれる成分(A)の一部のチオール基と成分(B)の反応性官能基とが反応することで、成分(A)と成分(B)との重合が起こる。
以下、本明細書において単に「接着力」という場合は、界面接着力と膜強度とのバランスを含めた総合的な接着の力を意味する。
第3の層としては、例えば、未加硫ゴム、加硫ゴム、樹脂、及び金属から選ばれる少なくとも1種を含む層が挙げられる。すなわち、前記重ね合わせ体は、第3の層が未加硫ゴムを含む形態(第1実施形態)、第3の層が樹脂及び金属の少なくとも1種(以下「樹脂等」と称する場合がある)を含む形態(第2実施形態)、及び第3の層が加硫ゴムを含む形態(第3実施形態)が挙げられる。
なお、以下において、「樹脂及び金属の少なくとも1種」を「樹脂等」と称する場合がある。
まず、すべての実施形態において共通して用いられる組成物(X)について説明する。
組成物(X)は、前記の通り、ポリチオール化合物(A)、チオール基と反応する官能基を有する化合物(B)、及びラジカル発生剤(C)を含み、前記ポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数(SH)に対する、前記チオール基と反応する官能基を有する化合物(B)に含まれる前記チオール基と反応する官能基の合計モル数(FG)の比(FG/SH)が0.15以上0.25以下である。
以下、組成物(X)の各成分について詳細に説明する。
本発明において、ポリチオール化合物とは、1分子中にチオール基を2つ以上有する化合物のことをいう。成分(A)としては、ポリチオール化合物を1種のみ用いてもよいし、2種以上のポリチオール化合物を併用してもよい。
ポリチオール化合物(A)について、1分子中のチオール基の数は上述の成分(B)中の(メタ)アクリロイル基の合計モル数との関係を満たす限りにおいては特に制限はないが、接着力を向上させる観点から、1分子中にチオール基を3つ以上有するものが好ましい。前記ポリチオール化合物(A)の1分子中のチオール基の数の上限については特に限定はなく、本発明の効果を阻害しない限り適宜選定することができる。前記ポリチオール化合物(A)について、1分子中のチオール基の数は、例えば、低分子化合物の場合と高分子化合物との場合で異なることがあるが、通常2〜7、好ましくは3〜6、更に好ましくは3〜4の範囲で適宜決定することができる。但し、当該範囲は本発明の範囲を制限するものではない。
また、ポリチオール化合物(A)には、1級、2級及び3級のチオールが含まれるが、接着力を向上させる観点から、1級チオールが好ましい。
ポリチオール化合物(A)の分子量は、接着力を向上させる観点から、好ましくは3000以下であり、より好ましくは2000以下であり、更に好ましくは1000以下であり、より更に好ましくは900以下であり、特に好ましくは800以下である。また、ポリチオール化合物(A)の分子量の下限は特に限定はないが、例えば、200以上が好ましく、300以上が更に好ましい。なお、ポリチオール化合物(A)がポリマーの場合、分子量とは、スチレン換算の数平均分子量のことをいう。
ここで、「ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族ポリチオール」とは、1分子中にチオール基を2つ以上有する、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族化合物のことをいう。また、「ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族ポリチオール」とは、1分子中にチオール基を2つ以上有する、ヘテロ原子を含んでもよい芳香族化合物のことをいう。
前記ヘテロ原子は、接着力の向上の観点から、好ましくは酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン、及びケイ素から選択される少なくとも1種が挙げられ、更に好ましくは酸素、窒素、硫黄、リン、及びハロゲンから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは酸素、窒素、及び硫黄から選択される少なくとも1種である。
前記ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族ポリチオールとしては、例えば、炭素数2〜20のアルカンジチオール等のようにチオール基以外の部分が脂肪族炭化水素であるポリチオール、アルコールのハロヒドリン付加物のハロゲン原子をチオール基で置換してなるポリチオール、ポリエポキシド化合物の硫化水素反応生成物からなるポリチオール、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコールとチオグリコール酸とのエステル化により得られるチオグリコール酸エステル化物、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコールとメルカプト脂肪酸とのエステル化により得られるメルカプト脂肪酸エステル化物、イソシアヌレート化合物とチオールとを反応させてなるチオールイソシアヌレート化合物、ポリスルフィド基を含有するチオール、チオール基で変性されたシリコーン、チオール基で変性されたシルセスキオキサン等が挙げられる。
なお、前記分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコールとしては、例えば、炭素数2〜20のアルカンジオール、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
チオール基以外の部分が脂肪族炭化水素であるポリチオールの例としては炭素数2〜20のアルカンジチオールがある。
前記炭素数2〜20のアルカンジチオールとしては、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール等が挙げられる。
チオグリコール酸エステル化物としては、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、1,6−ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等が挙げられる。
メルカプト脂肪酸エステル化物としては、接着力の向上の観点から、1級チオール基を有するβ−メルカプト脂肪酸エステル化物が好ましく、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコールの、β−メルカプトプロピオン酸エステル化物が更に好ましい。また、1級チオール基を有するメルカプト脂肪酸エステル化物は、接着力の向上の観点から、1分子中におけるチオール基の数が4〜6個であることが好ましく、4個又は5個であることが好ましく、4個であることが更に好ましい。
イソシアヌレート化合物とチオールとを反応させてなるチオールイソシアヌレート化合物としては、接着力の向上の観点から、1級チオール基を有するチオールイソシアヌレート化合物が好ましい。また、1級チオール基を有するチオールイソシアヌレート化合物としては、接着力の向上の観点から、1分子中におけるチオール基の数が2〜4個であることが好ましく、3個であることが更に好ましい。
前記1級チオール基を有するチオールイソシアヌレート化合物としては、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(TEMPIC)が好ましい。
チオール基で変性されたシリコーンとしては、メルカプト変性シリコーンオイル(例えば、商品名KF−2001、KF−2004、X−22−167B(信越化学工業)、SMS042、SMS022(Gelest社)、PS849、PS850(UCT社))等が挙げられる。
ポリチオール化合物(A)として用いることのできる芳香族ポリチオールとしては、以下で例示する芳香族ポリチオールが挙げられる。上述のように、これら芳香族ポリチオールはヘテロ原子を含むものであってもよい。芳香族ポリチオールとしては、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等が挙げられる。
本発明において、チオール基と反応する官能基を有する化合物とは、チオール基と反応する官能基(反応性官能基)を、分子中に少なくとも1以上有している化合物をいう。
また、ノルボルネン骨格を有する基としては、例えば、無置換のノルボルネニル基が挙げられる。
成分(B)は、1分子中に、反応性官能基を1種のみ含む化合物でもよく、2種以上含む化合物でもよい。
例えば成分(B)が反応性官能基としてアクリロイル基を含む場合、1分子中の反応性官能基の数は、例えば、低分子化合物の場合と高分子化合物(例えばオリゴマー、ポリマー等)の場合とで異なることがあるが、接着力を高める観点から、1以上70以下が挙げられ、1以上20以下が好ましく、2以上10以下がより好ましく、3以上7以下がさらに好ましい。
一方、成分(B)に含まれる反応性官能基がいずれもアクリロイル基以外の官能基である(すなわちアクリロイル基を含まない)場合、1分子中の末端二重結合の数は、例えば、低分子化合物の場合と高分子化合物(例えばオリゴマー、ポリマー等)の場合とで異なることがあるが、接着力を高める観点から、2以上70以下が挙げられ、2以上10以下が好ましく、3以上7以下がより好ましい。
なお、成分(B)としては、チオール基と反応する官能基を有する化合物を1種のみ用いてもよいし、チオール基と反応する官能基を有する化合物を2種以上併用してもよい。
環状構造は、環を構成していれば特に限定されず、環状構造としては、例えば、脂肪族環構造、芳香族環構造、複素環構造等が挙げられる。
脂肪族環構造の具体例としては、例えば単環式の脂肪族環構造が挙げられ、さらに具体的には、例えば、シクロヘキサン等のシクロアルカンの構造、又はシクロヘキセン等のシクロアルケンの構造が挙げられる。単環式の脂肪族環構造を構成する炭素数は、例えば3以上20以下の範囲が挙げられ、4以上12以下の範囲が好ましく、5以上8以下の範囲がより好ましく、6が最も好ましい。
複素環構造の具体例としては、前記脂肪族環構造又は前記芳香族環構造の1つ以上(具体的には、例えば、1つ以上3つ以下)の炭素原子がヘテロ原子に置き換えられた構造が挙げられる。単環式の複素環構造を構成する原子数としては、例えば3以上10以下が挙げられ、5以上8以下の範囲が好ましく、6が最も好ましい。また多環式の複素環構造において、それぞれの環を構成する原子数としては、例えば3以上10以下が挙げられ、5以上8以下の範囲が好ましく挙げられる。また、多環式の複素環構造として6員環を有するものがさらに好ましく挙げられる。
また、上記置換基は、環状構造を構成する原子に直接導入されていてもよく、連結基を介して導入されていてもよい。さらに、成分(B)の1分子中に2以上の環状構造を有する場合は、一方の環状構造を構成する原子と他方の環状構造を構成する原子とが単結合で結合してもよく、連結基を介して結合してもよい。上記連結基としては、例えば、アルキレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合等が挙げられる。
成分(B)の1分子中に含まれる環の数としては、低分子化合物の場合と高分子化合物の場合とで異なることがあるが、例えば1以上100以下が挙げられ、1以上50以下が挙げられ、その中でも1以上20以下が好ましく、2以上10以下がより好ましい。
なお、多環式の環状構造を含む場合、それぞれの環の数を数えて上記「環の数」とする。具体的には、例えば1分子中に環状構造としてアントラセン構造を1つのみ有する場合は、上記「環の数」が3となる。
窒素原子を有する化合物としては、例えば、環状構造として窒素原子をヘテロ原子として含む複素環構造を有する化合物、環状構造を構成する原子に窒素原子を含む置換基又は連結基が結合した化合物等が挙げられる。なお、前記置換基又は連結基に含まれる窒素原子は、前記環状構造を構成する原子に直接結合していてもよい。
窒素原子を有する化合物として具体的には、例えば、ウレタン骨格及びイソシアヌレート環の少なくとも一方を有する化合物が挙げられる。また、窒素原子を有する化合物は、接着性及び接着層の耐熱性を両立させる観点から、イソシアヌレート環及びウレタン結合の両方を有する化合物が好ましい。
有機イソシアネート化合物にヒドロキシ含有化合物を反応させてウレタン化合物を得る方法としては、公知の方法を用いることができる。
イソシアヌレート環及びヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
また上記一般式(4)〜(6)中のL1〜L9は、積層体の耐熱性の観点から、炭素数が少ないほうが好ましく、炭素数1以上2以下のアルキレン基であることがより好ましい。
以下、反応性官能基を有するその他の化合物を例示するが、これらに限定されるものでもない。
2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとしては、例えば、前述の有機イソシアネート化合物が挙げられる。
2以上のメタクリロイル基を有するポリメタクリレートのうち、ジメタクリレートの具体例としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等の直鎖アルカンジオールのジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート等の分岐構造を有するアルカンジオールのジメタクリレート、ジシクロペンタンジオールジメタクリレート等の環構造を有するアルカンジオールのジメタクリレート、及びポリエチレングリコールジメタクリレート等のポリエーテルジオールのジメタクリレート等が挙げられる。
また、ジメタクリレートの具体例として、直鎖アルカンジオールのジメタクリレートのアルキレンオキサイド付加物、分岐構造を有するアルカンジオールのジメタクリレートのアルキレンオキサイド付加物、環構造を有するアルカンジオールのジメタクリレートのアルキレンオキサイド付加物、及びポリエーテルジオールのジメタクリレートのアルキレンオキサイド付加物等も挙げられる。
なお、前記直鎖アルカンジオールのジメタクリレート、前記分岐構造を有するアルカンジオールのジメタクリレート、及び環構造を有するアルカンジオールのジメタクリレートにおけるアルカンジオールの炭素数としては、例えば2以上50以下が挙げられる。
また、前記ポリエーテルのジオールジメタクリレートにおけるポリエーテルの繰り返し単位数としては、例えば2以上15以下が挙げられる。
3官能以上の多官能メタクリレートとして、さらに具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
エポキシポリメタクリレートの具体例としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂とメタクリル酸とを反応させたビスフェノール型エポキシジメタクリレートが挙げられる。
ポリエステルポリメタクリレートの具体例としては、フタル酸等の多塩基酸とエチレングリコール等の多価アルコールとメタクリル酸との反応で得られる化合物が挙げられる。
モノアクリレートの具体例としては、例えば、ヘキシルアクリレートやステアリルアクリレート等の直鎖アルカノールのアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の分岐構造を有するアルカノールのアクリレート、シクロヘキシルアクリレートやイソボルニルアクリレート等の環構造を有する脂肪族アルカノールのアクリレート、ベンジルアクリレート等の芳香族アルコールのアクリレート等が挙げられ、その他にも、2−クロロエチルアクリレート等のハロゲン化アルコールのアクリレートや、3−メトキシブチルアクリレート等のアルコキシアルコールのアクリレート等も挙げられる。
また、2以上のアクリロイル基を有するポリアクリレートの具体例としては、上記ジメタクリレート及び多官能メタクリレートのメタクリロイル基をアクリロイル基に代えた化合物が挙げられる。
2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂肪族エポキシド、脂環族エポキシド、これらの変性体等が挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、例えば、下記構造式(7)又は構造式(8)で示される化合物等のビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、下記構造式(9)で示される化合物等のクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ナフタレン環含有エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、例えば、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
芳香族エポキシド、脂肪族エポキシド、脂環式エポキシドの変性体としては、例えば、下記構造式(10)で示される化合物等の水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビフェニル型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。
2以上のアリルオキシ基を有するアリルエーテル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリン1,3−ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、ウレタンアリルエーテルオリゴマー等のように、ジアルコール又は多価アルコールにおける2以上のアルコール性水酸基がアリルオキシ基に置換された化合物が挙げられる。
また、2以上のアリルオキシ基を有するアリルエステル化合物としてはフタル酸ジアリルなどが挙げられる。
2以上のアリル基を有するアリル化合物、2以上のビニルオキシ基を有するビニルエーテル化合物、及び2以上のビニル基を有するビニル化合物の具体例としては、上記アリルエーテル化合物のアリルオキシ基を、それぞれ、アリル基、ビニルオキシ基、及びビニル基に代えた化合物が挙げられる。
また、2以上のビニルオキシ基を有するビニルエステル化合物としては、上記アリルエステル化合物のアリルオキシ基を、ビニルオキシ基に代えた化合物が挙げられる。
2以上のノルボルネニル基を有するノルボルネン化合物の具体例としては、例えば、下記構造式(11)で示される化合物(PEG-tetranorbornene)、下記構造式(12)で示される化合物(tri-(norborn-2-ene-5-carboxylate)、TMPTN)、下記構造式(13)で示される化合物(pentaerythritol tetra-(norborn-2-ene-5-carboxylate)、PTN4)、下記構造式(14)で示される化合物(pentaerythritol tri-(norborn-2-ene-5-carboxylate)、PTN3)、及び下記構造式(15)で示される化合物(di(trimethylolpropane) tetra-(norborn-2-ene-5-carboxylate)、DTTN)等が挙げられる。
ラジカル発生剤とは、熱や光等のエネルギーが付与されることでラジカルを発生させる化合物であり、具体的には、熱や光によって活性化された後、ポリチオール化合物(A)のチオール基に作用してチイルラジカルを発生する化合物である。すなわち成分(C)は、エネルギー付与工程において、重ね合わせ体の第1の層と第2の層との界面における反応に寄与する成分である。
ラジカル発生剤(C)としては、熱ラジカル発生剤及び光ラジカル発生剤の少なくとも1種を用いることができる。これらの中で、接着性の向上の観点から、熱ラジカル発生剤が好ましく、過酸化物からなる熱ラジカル発生剤がより好ましい。過酸化物からなる熱ラジカル発生剤としては、有機過酸化物からなる熱ラジカル発生剤及び無機過酸化物からなる熱ラジカル発生剤が挙げられ、その中でも有機過酸化物からなる熱ラジカル発生剤が更に好ましい。
以下、成分(C)の具体例を示すが、成分(C)はこれらに限定されるものではない。
例えば分子内開裂型の光ラジカル発生剤が挙げられ、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系光ラジカル発生剤;2,2−ジエトキシアセトフェノン、4'−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系光ラジカル発生剤;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4'−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4'−ドデシル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン系光ラジカル発生剤;ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−エチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン等のアントラキノン系光ラジカル発生剤;アシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル発生剤等が挙げられる。
これらの光ラジカル発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
前記組成物(X)は、更に任意成分が配合されてもよい。任意成分としては、触媒、表面調整剤、溶剤、バインダー、フィラー、顔料分散剤、導電性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、乾燥防止剤、浸透剤、pH調整剤、金属封鎖剤、防菌防かび剤、界面活性剤、可塑剤、ワックス、レベリング剤等が挙げられる。
前記組成物(X)は、成分(A)と成分(B)との反応を促進させる触媒(以下、「触媒(D)」ともいう)を用いてもよい。
例えば成分(B)が反応性官能基としてイソシアネート基を含む場合、触媒(D)としては、任意のチオウレタン化触媒を用いることができる。
該チオウレタン化触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート、オクテン酸スズ、モノブチルスズオキシド等の有機スズ化合物;塩化第一スズ等の無機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ベンジルジメチルアミン、2,2’-ジモルホリノエチルエーテル、N−メチルモルフォリン等のアミン類;p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ硫酸等の有機スルホン酸;硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;ナトリウムアルコラート、水酸化リチウム、アルミニウムアルコラート、水酸化ナトリウム等の塩基類;テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン化合物;ビスマス化合物;四級アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの中でも、チオウレタン化触媒として好ましくは上記アミン類であり、より好ましくはトリエチレンジアミン(TEDA)である。これら触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
該マイケル付加触媒としては、例えば、アミン系触媒、塩基触媒、有機金属触媒等が挙げられる。
アミン系触媒としては、例えば、プロリン、トリアザビシクロデセン(TBD)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ヘキサヒドロメチルピリミドピリジン(MTBD)、ジアザビシクロノナン(DBN)、テトラメチルグアニジン(TMG)、トリエチレンジアミン(TEDA)等が挙げられる。
塩基触媒としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウム金属、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、ブチルリチウム等が挙げられる。
有機金属触媒としては、例えば、ルテニウムシクロオクタジエンシクロオクタトリエン、ヒドリドルテニウムなどのルテニウム系触媒、三塩化鉄や鉄アセチルアセトナートなどの鉄系触媒、ニッケルアセチルアセトナート、酢酸ニッケル、ニッケルサリチルアルデヒドなどのニッケル触媒、銅系触媒、パラジウム系触媒、スカンジウム系触媒、ランタン系触媒、イッテルビウム系触媒、スズ系触媒等が挙げられる。
これら触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
マイケル付加触媒としては、これらの中でもアミン系触媒が好ましく、1分子内に2つ以上のアミノ基を有するアミン系触媒がさらに好ましく、環構造を有するアミン系触媒が特に好ましく、その中でもトリエチレンジアミンが最も好ましい。
該アニオン重合触媒としては、例えばアミン系触媒が挙げられる。
アミン系触媒としては、例えば、ジアミン等が挙げられ、具体的には、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ベンジルジメチルアミン、2,2’−ジモルホリノエチルエーテル、N−メチルモルフォリン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはトリエチレンジアミン(TEDA)である。これら触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記組成物(X)には、必要に応じて表面調整剤(以下、「表面調整剤(E)」ともいう)を含めることができる。表面調整剤(E)としては、任意の表面調整剤を使用することができる。該表面調整剤としては、アクリル系、ビニル系、シリコーン系、フッ素系、シリコーンアクリレート系などが挙げられる。これらの中でも、相溶性と表面張力低下能の観点から、表面調整剤(E)として、シリコーンアクリレート系が好ましい。
前記組成物(X)には、必要に応じて溶剤を含めることができる。溶剤としては、他の配合成分と反応しないものであれば特に制限はなく、芳香族溶媒や脂肪族溶媒が挙げられる。
芳香族溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。脂肪族溶媒としては、ヘキサン、酢酸ブチル、MEK(メチルエチルケトン)等が挙げられる。
ポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数(SH)に対する、前記化合物(B)に含まれる反応性官能基の合計モル数(FG)の比(FG/SH)は、0.15以上0.25以下である。
比(FG/SH)が0.15以上であることにより、0.15より小さい場合に比べて、重ね合わせ体にエネルギーを付与して得られた積層体における接着層の膜強度が高くなる。また、当該比(FG/SH)が0.25以下であることにより、0.25より大きい場合に比べて、成分(B)中の反応性官能基に対する成分(A)中のチオール基の割合が多く、反応性官能基と反応せずに残存するチオール基の量が多くなる。そのため、重ね合わせ体へのエネルギー付与によって、チオール基と第1の層の表面における炭素−炭素二重結合との間でチオール・エン反応が十分に行われ、第1の層と接着層との界面における高い界面接着力が得られやすい。
特に、前記重ね合わせ体では、第1の層が未加硫ゴムを含むため、第1の層が未加硫ゴムを含まず加硫ゴムのみである場合等に比べて、比(FG/SH)が小さい(すなわちチオール基の割合が多い)方が、高い接着力が得られやすい。
なお、当該比(FG/SH)は、好ましくは0.17以上、より好ましくは0.20以上である。また当該比(FG/SH)は、好ましくは0.22以下であり、より好ましくは0.20以下である。
また、「化合物(B)に含まれる反応性官能基の合計モル数(FG)」は、配合量を理論分子量で除し、化合物(B)の1分子が有する反応性官能基の数を乗じることにより求めることができる。つまり、「化合物(B)に含まれる反応性官能基の合計モル数(FG)」は、前記組成物(X)中に含有される化合物(B)の総量中の反応性官能基の総量を指すものであり、化合物(B)一分子中の反応性官能基の数を指すものではない。
また、化合物(B)がエポキシ樹脂である場合は、JIS K7236:2001に準拠した方法により、エポキシ樹脂のエポキシ当量(1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量)を測定し、エポキシ樹脂の数平均分子量を得られたエポキシ当量で除して、化合物(B)に含まれるエポキシ基の合計モル数を算出してもよい。
同様の観点から、組成物(X)から溶剤を除いた成分全体に対する成分(A)〜(E)の合計含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
上記組成物(X)では、上記組成であるため、従来の接着剤(例えばとりアジンチオール系接着剤等)よりも溶剤の量を少なくすることができる。そして、溶剤の量が上記範囲の組成物(X)を用いることにより、組成物(X)の乾燥工程にかかる時間を抑制でき、また組成物(X)が接する未加硫ゴムに対する膨潤を抑制することができる。
第1実施形態では、第3の層が未加硫ゴムを含む層である。
未加硫ゴムを含む第3の層は、第3の層に含まれる未加硫ゴムが第2の層に直接接触するように設けられていることが望ましい。すなわち、未加硫ゴムを含む第1の層と、第1の層に接し組成物(X)を用いて形成された第2の層と、第2の層に接し未加硫ゴムを含む第3の層と、をこの順に有する重ね合わせ体が好ましい。
重ね合わせ体が上記構成であることにより、第2の層に対して成分(C)を活性化させるエネルギーを付与することで、第1の層と第2の層との界面と同様に第2の層と第3の層との界面においても化学的な結合が生じる。そのため、第2の層における組成物(X)中の成分(A)と成分(B)とが重合することによる接着層の高い膜強度と、第2の層が第1の層及び第3の層の両方と化学的に結合することによる高い界面接着力と、が得られる。その結果、第1の層と第3の層とが接着層を介して高い接着力で接着された積層体が得られる。
本実施形態では、前記の通り、第1の層と第3の層とが、組成物(X)を用いて形成された層を介して接着される。そのため、第1の層に含まれる未加硫ゴムと第3の層に含まれる未加硫ゴムとが、直接接着しにくい組み合わせであっても、各未加硫ゴムが第2の層との界面において化学的に結合し、高い接着力で接着される。
以下、各層及び重ね合わせ体の製造方法について説明する。
第1の層及び第3の層に含まれる未加硫ゴムは特に限定されず、それぞれ独立に、例えば天然ゴム(NR);ポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等の共役ジエン系合成ゴム;エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM);エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM);ポリシロキサンゴムなどが挙げられ、これらのゴム層の材料は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では天然ゴム(NR)、並びに、天然ゴム及びスチレン−ブタジエン共重合体ゴムの混合物(SBR/NR)が好ましい。
具体的には、例えば、未加硫ゴム以外の材料で構成された部材の表面に未加硫ゴムの膜が形成されたものを第1の層及び第3の層の少なくとも一方に用いてもよい。そして、得られた重ね合わせ体にエネルギーを付与し、第2の層を接着層に変化させつつ、未加硫ゴムの膜を加硫することで、第2の層に加えて前記未加硫ゴムの膜も接着剤の役割を果たすことも考えられる。このようにして、前記未加硫ゴム以外の材料で構成された部材との接着を行ってもよい。
前記の通り、第2の層としては、例えば、第1の層及び第3の層の少なくとも一方の表面に組成物(X)を塗布して得られる塗膜の層、及び組成物(X)中の成分(A)と成分(B)とが重合してフィルム化した接着組成物膜の層が挙げられる。
そして前記の通り、第2の層が塗膜の層である場合はエネルギー付与工程において前記フィルム化が行われ、第2の層が接着組成物膜の層である場合はエネルギー付与工程の前に前記フィルム化が行われる。
なお、第2の層の形成に用いられる組成物(X)は前記の通りである。
以下、重ね合わせ体の製造方法について、第2の層が塗膜の層である場合と第2の層が接着組成物膜の層である場合とに分けて説明する。
第2の層が塗膜の層である場合、まず、第1の層及び第3の層の少なくとも一方の表面(第2の層と接する面)に上記組成物(X)を塗布する。
すなわち、第1の層の表面のみに組成物(X)を塗布して塗膜を形成する場合は、前記塗膜上に第3の層を貼り合わせることで重ね合わせ体が得られ、前記塗膜が第2の層となる。第3の層の表面のみに組成物(X)を塗布した場合も同様に、前記塗膜上に第1の層を貼り合わせることで重ね合わせ体が得られ、前記塗膜が第2の層となる。
また、例えば、第1の層及び第3の層の両方の表面に組成物(X)を塗布することで、第1の層上に第1の塗膜を形成し、第3の層上に第2の塗膜を形成してもよい。その場合は、第1の塗膜と第2の塗膜とを互いに接触するように貼り合わせることで重ね合わせ体が得られ、第1の塗膜及び第2の塗膜で構成された塗膜全体の層が第2の層となる。
また、塗膜の厚み、形状、大きさ等は、目的に応じて適宜設定すればよい。
また同様の理由で、重ね合わせ体を形成した後、重ね合わせ体にエネルギーを付与する前においても、必要に応じて所定時間放置することで、第2の層の粘度を上昇させてもよい。
放置時間としては、組成物の組成によっても異なるが、例えば0〜30分間の範囲が挙げられ、好ましくは1〜15分間である。
接着組成物膜は、前記の通り、組成物中の成分(A)と成分(B)とが重合してフィルム化された膜である。
第2の層が接着組成物膜の層である場合、例えば、上記第2の層が塗膜である場合と同様に第1の層及び第3の層の少なくとも一方の表面に上記組成物(X)を塗布して塗膜を形成し、その後に塗膜をフィルム化して接着組成物膜を形成してもよい。
具体的には、例えば第1の層に塗膜を形成し、塗膜をフィルム化して接着組成物を形成した場合、接着組成物膜における第1の層と接していない面に第3の層が接触するように貼り合わせることで重ね合わせ体が得られ、前記接着組成物膜が第2の層となる。第3の層に塗膜を形成した場合も同様である。
なお、前述した第2の層が塗膜の層である重ね合わせ体を得た後に、前記塗膜をフィルム化し、第2の層が接着組成物膜の層である重ね合わせ体としてもよい。
例えば、樹脂製の剥離シートの材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルスルフォン等のケトン系樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン等のスルフォン系樹脂等が挙げられる。その他、剥離シートとしては、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を好適に用いることができる。
成分(A)と成分(B)とが室温環境下で重合する組成物(X)を用いた場合、例えば塗膜を室温で所定時間放置することで、塗膜がフィルム化し、接着組成物膜が得られる。成分(A)と成分(B)とが室温環境下で重合する組成物としては、例えば、成分(B)が反応性官能基としてイソシアネート基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基の少なくとも1種を含み、かつ、触媒(D)を含む組成物(X)が挙げられる。
接着組成物膜の大きさは、接着する対象(第1の層及び第3の層)や要求される接着力等に応じて適宜選択することができる。
第2実施形態では、第3の層が樹脂及び金属の少なくとも1種(樹脂等)を含む層である。
第3の層が樹脂等を含む層である場合、第2の層と第3の層との間に、前記樹脂等に対して接着力を有する接着剤を用いて形成された第4の層を有することが望ましい。すなわち、第1の層と、第1の層に接触する第2の層と、第2の層に接触する第4の層と、第4の層に接触する第3の層と、をこの順に有する重ね合わせ体が好ましい。
すなわち、上記構成の重ね合わせ体を用いると、接着層の高い膜強度と、第1の層と第2の層との界面における化学的な結合による高い界面接着力と、樹脂等に対して接着力を有する接着剤による接着層と第3の層との高い接着力と、が得られる。その結果、第1の層と第3の層とが接着層及び第4の層を介して高い接着力で接着された積層体が得られる。
以下、各層及び重ね合わせ体の製造方法について説明するが、前記実施形態と同様の内容については記載を省略する場合がある。
第4の層に用いられる「樹脂等に対して接着力を有する接着剤」とは、以下の条件を満たす接着剤を言う。
具体的には、まず、第3の層に含まれる「樹脂等」同士を、接着剤を介して接着させた積層体を作製し、前記積層体の末端における「樹脂等」を引張速度50mm/分の条件で180°の方向に引っ張って25℃における剥離強度(N/25mm)を測定する。そして、測定で得られた剥離強度が100(N/25mm)以上となる接着剤を、「樹脂等に対して接着力を有する接着剤」とする。「樹脂等に対して接着力を有する接着剤」の具体例は後述する。
なお、第4の層の厚さは、用いる接着剤の種類等に応じて適宜選択することができる。
第3の層に用いられる樹脂及び金属の少なくとも1種は、特に限定されるものではない。
また、第3の層が樹脂等である場合、第4の層と接触する面にあらかじめプライマー処理や表面処理を行うことが好ましく、それによって第4の層と第3の層との界面におけるより高い接着力が得られる。
第2の層が塗膜の層である場合、第1の層に第2の層及び第4の層を順に形成した後に第3の層を貼り合わせてもよく、第3の層に第4の層及び第2の層を順に形成した後に第1の層を貼り合わせてもよい。また、第1の層に第2の層を形成し、第3の層に第4の層を形成した後に、第2の層と第4の層とが接触するように貼り合わせてもよい。
具体的には、例えば、支持体上の接着組成物膜に、第1の層を貼り合わせた後に支持体を剥離してもよく、第4の層を形成した第3の層を貼り合わせた後に支持体を剥離してもよく、第4の層を形成し第3の層を貼り合わせた後に支持体を剥離してもよい。また、あらかじめ支持体から剥離した接着組成物膜を用いて重ね合わせ体を製造してもよい。
その他の事項(例えば、塗膜の形成方法や用いる支持体等)については前記実施形態と同様である。
第3実施形態では、第3の層が加硫ゴムを含む層である。
第3の層が加硫ゴムを含む層である場合、第2の層と第3の層との間に、後述する組成物(Y)を用いて形成された第5の層を有することが望ましい。すなわち、第1の層と、第1の層に接触する第2の層と、第2の層に接触する第5の層と、第5の層に接触する第3の層と、をこの順に有する重ね合わせ体が好ましい。
以下、ポリチオール化合物(A’)、チオール基と反応する官能基を有する化合物(B’)、及びラジカル発生剤(C’)を、それぞれ、成分(A’)、成分(B’)、及び成分(C’)ということがある。
具体的には、組成物(X)の場合と同様に、組成物(Y)に含まれる成分(A’)の一部のチオール基と成分(B’)の反応性官能基とが反応して、成分(A’)と成分(B’)との重合が起こる。その一方で、エネルギーの付与により成分(C’)が活性化し、成分(A’)における他のチオール基に作用してチイルラジカルを生成する。そして生成したチイルラジカルが、第3の層の加硫ゴム(第5の層に接する加硫ゴム)に含まれる炭素−炭素二重結合とチオール・エン反応(Thiol-Ene Reactions)を起こすことで、第5の層と第3の層との界面に化学的な結合が生じる。また、加硫ゴムが炭素−炭素二重結合を含んでいなくても、チイルラジカルが加硫ゴム中の炭素−炭素結合主鎖から水素を引き抜き、化学的に結合する場合がある。そして、組成物(Y)における前記比(FG’/SH’)が前記範囲であるため、成分(A’)と成分(B’)との重合による膜強度と、組成物(Y)と加硫ゴムとの界面における化学的な結合による界面接着力と、のバランスが良好となると推測される。
また上記重ね合わせ体においては、第2の層及び第5の層の少なくとも一方がフィルム化される前に、第2の層と第5の層とが接触したものであることが好ましい。第2の層及び第5の層がフィルム化される前に接触する形態として具体的には、例えば、第2の層及び第5の層が、それぞれ組成物(X)の塗膜の層及び組成物(Y)の塗膜の層である形態のほか、組成物(X)の塗膜と組成物(Y)の塗膜とが接触した状態で各塗膜がフィルム化した接着組成物膜である形態が挙げられる。
以下、各層及び重ね合わせ体の製造方法について説明するが、前記実施形態と同様の内容については記載を省略する場合がある。
第5の層に用いられる組成物(Y)は、前記の通り、成分(A’)、成分(B’)、及び成分(C’)を含み、比(FG’/SH’)が0.25より大きく1.20以下である。 上記成分(A’)、成分(B’)、及び成分(C’)としては、それぞれ組成物(X)における成分(A)、成分(B)、及び成分(C)と同様のものが用いられる。
また組成物(Y)は、組成物(X)と同様に、必要に応じて、成分(A’)と成分(B’)との反応を促進させる触媒として前記成分(D)を含んでもよく、前記成分(E)、前記溶剤、及びその他の成分を含んでもよい。
第3の層に用いられる加硫ゴムは、特に限定されるものではなく、加硫ゴムとして、例えば、前述の第1の層に含まれる未加硫ゴムと同様のゴムを加硫したものが挙げられる。
ただし、第1の層に用いられる未加硫ゴムと第3の層に用いられる加硫ゴムとは、同種のものであってもよく、異種のものであってもよい。
ただし、第3の層に直接組成物(Y)の塗膜を形成する場合は、第3の層の接着面に粗面化処理を行ってアンカー効果を利用することもできる。粗面化された第3の層の接着面に組成物(Y)の塗膜が接触し、凹凸に組成物(Y)が入りこんだ後に成分(A’)と成分(B’)との重合が起こることで、より高い界面接着力が得られる。
第2の層及び第5の層が塗膜の層である場合、第1の層に第2の層及び第5の層を順に形成した後に第3の層を貼り合わせてもよく、第3の層に第5の層及び第2の層を順に形成した後に第1の層を貼り合わせてもよい。また、第1の層に第2の層を形成し、第3の層に第5の層を形成した後に、第2の層と第5の層とが接触するように貼り合わせてもよい。
具体的には、例えば、第1の支持体に組成物(X)の塗膜を形成し、第2の支持体に組成物(Y)の塗膜を形成し、組成物(X)の塗膜と組成物(Y)の塗膜とを接触させてからフィルム化し、両面に各支持体を有する接着組成物膜を得る方法が挙げられる。この場合、例えば、第1の支持体を剥離して第1の層と接着組成物膜とを貼り合わせた後に第2の支持体を剥離してもよく、第2の支持体を剥離して第3の層と接着組成物膜とを張り合わせた後に第1の支持体を剥離してもよい。また第1の支持体及び第2の支持体の両方を剥離した後に、それぞれ第1の層及び第3の層と貼り合わせてもよい。
また、1つの支持体上に組成物(X)の塗膜及び組成物(Y)の塗膜を順に形成してフィルム化することで、接着組成物膜を得てもよい。
その他の事項(例えば、塗膜の形成方法や用いる支持体等)については前記実施形態と同様である。
本発明の一実施形態における積層体の製造方法は、前述の重ね合わせ体を形成する重ね合わせ体形成工程と、前記重ね合わせ体に対し、前記第2の層に含まれる前記ラジカル発生剤(C)を活性化させるエネルギーを付与するエネルギー付与工程と、を含む。
なお、積層体を構成する「第1の層に由来する層」は、エネルギー付与工程の前において「未加硫ゴムを含む第1の層」であった層を意味し、積層体の製造過程において第1の層が変化したものも含む概念である。具体的には、第1の層に由来する層は、例えば重ね合わせ体を構成する第1の層に含まれる未加硫ゴムがエネルギー付与工程によって加硫されたものでもよく、エネルギー付与工程を経た後も未加硫ゴムのままであるものでもよい。「第3の層に由来する層」についても同様である。
第1の層に由来する層、第4の層に由来する層、及び第3の層に由来する層については上記と同様である。なお、例えば第3の層が光硬化性の樹脂であり、付与するエネルギーが光である場合、第3の層に由来する層としては、光硬化性の樹脂が光硬化した層が挙げられる。
前記方法により重ね合わせ体を得た後、重ね合わせ体にエネルギーを付与する。
なお、前記の通り、第1実施形態の重ね合わせ体を用いる場合及び第2実施形態の重ね合わせ体を用いる場合においては、組成物(X)に含まれる成分(C)を活性化させるエネルギーを付与する。
また第3実施形態の重ね合わせ体を用いる場合は、組成物(X)に含まれる成分(C)を活性化させるエネルギー及び組成物(Y)に含まれる成分(C’)を活性化させるエネルギーを、それぞれ各々の層に付与する。なお、成分(C)を活性化させるエネルギーと成分(C’)を活性化させるエネルギーとは、同種のエネルギーであってもよく、異種のエネルギーであってもよい。また、成分(C)を活性化させるエネルギーと成分(C’)を活性化させるエネルギーとを、同時に付与してもよいし、別々に付与してもよい。
以下、第1実施形態の重ね合わせ体を用いる場合の成分(C)を活性化させるエネルギーについて説明するが、第2実施形態の重ね合わせ体を用いる場合及び第3実施形態の重ね合わせ体を用いる場合についても同様である。また第3実施形態の重ね合わせ体を用いる場合における成分(C’)を活性化させるエネルギーについても同様である。
組成物(X)が成分(C)として熱ラジカル発生剤を含んでいる場合、エネルギー付与工程において重ね合わせ体に熱エネルギーを付与する。加熱温度としては、熱ラジカル発生剤が効率よくラジカルを発生する温度を適宜選択することができるが、好ましくは熱ラジカル発生剤の1分間半減期温度±30℃付近である。
重ね合せ体にプレス圧を加える場合、接着力を向上させる観点から、プレス圧は、好ましくは0.1〜5.0MPaであり、更に好ましくは0.4〜4.0MPaであり、特に好ましくは0.5〜3.0MPaである。プレス時間は、好ましくは5〜120分間であり、更に好ましくは10〜60分間であり、特に好ましくは15〜45分間である。
本発明の一実施形態に係る積層体は、上記積層体の製造方法により得られた積層体である。
例えば前記第1実施形態の重ね合わせ体を用いた場合、前記積層体は、第1の層に由来する層と、第2の層がエネルギー付与工程によって変化した接着層(第2の層に由来する接着層)と、第3の層に由来する層と、がこの順に積層されたものである。すなわち前記積層体は、未加硫ゴムを含む層に由来するゴム層と、組成物(X)に由来する接着層と、未加硫ゴムを含む層に由来するゴム層と、をこの順で有する積層体である。
そして「組成物(X)に由来する接着層」及び「組成物(X)及び組成物(Y)に由来する接着層」は、第2の層がエネルギーの付与によって第1の層中の未加硫ゴムと化学的に結合したものである。また前記第1実施形態においては第2の層が第3の層とも化学的に結合し、前記第2実施形態においては第2の層が第4の層を介して第3の層と接着し、前記第3実施形態においては第5の層が第3の層と化学的に結合している。
なお、接着層によって接着される上記第1の層に由来する層及び上記第3の層に由来する層は、接着面全体が接着層を介して接着されていてもよいし、それぞれの層における表面の一部のみが接着層を介して接着されているものであってもよい。
第1の層に由来する層、接着層、及び第3の層に由来する層の寸法や層数は、それぞれ目的に応じて適宜選択することができる。
[原料等]
原料等としては、次のものを用いた。
<ポリチオール化合物(A)(成分(A))>
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PEMP):SC有機化学株式会社製(1級チオール)
・ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)(PETG):淀化学株式会社製(1級チオール)
・前記構造式(1)で示される化合物(Z-Iso)(反応性官能基:イソシアネート基)
・下記構造式(16)で示される化合物(D-MAc)(反応性官能基:メタクリロイル基)
・熱ラジカル発生剤:t−ブチル−2−エチルペルオキシヘキサノアート:日油株式会社製、商品名「パーブチルO」
<その他のラジカル発生剤>
・光ラジカル発生剤:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(TPO):BASF社製、商品名「LUCIRIN TPO」
・トリエチレンジアミン(TEDA):Air Products社製、商品名「DABCO 33LY catalyst」
・シリコーンアクリレート系表面調整剤:東洋ケミカルズ株式会社製、商品名「SIU2400」
「ポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数(SH)」は、配合量を理論分子量で除し、ポリチオール化合物(A)の1分子が有するチオール基数を乗じることにより算出することにより求めた。
反応性官能基がイソシアネート基である場合は、JIS K1603−1 B法により測定し、成分(B)に含まれるイソシアネート基の合計モル数を求めた。
反応性官能基がメタクリロイル基である場合は、配合量を理論分子量で除し、成分(B)の1分子が有するメタクリロイル基の数を乗じることにより算出した。
下記表1の配合に従い、未加硫ゴム(縦100mm×25横mm×厚さ3mm)を製造した。具体的には、下記成分を下記表1に示す配合で混合して上記寸法に成形し、加硫を行わずに第1の層として用いた。
天然ゴム(NR):RSS#3
スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR):JSR社製、商品名「JSR 1500」
老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
加硫促進剤1:1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーD(D−P)」
加硫促進剤2:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーDM−P(DM)」
第3の層として、上記第1の層と同じ未加硫ゴム(縦100mm×25横mm×厚さ3mm)を用いた。
<比較例A−1>
下記表2(各成分の数値は不揮発分の含有量(質量%)を示す。)に従って上記(A)〜(E)の各成分に必要に応じて溶剤(メチルエチルケトン)を添加して配合した組成物(X)を得た。なお、得られた組成物(X)における溶剤の量は、組成物(X)全体に対して19質量%であった。
接着組成物膜における第1の層と接していない面に、第3の層を接触させることで、第1の層と接着組成物膜の層である第2の層と第3の層とをこの順に有する重ね合わせ体を得た。
得られた重ね合わせ体を、温度150℃にて2.5MPaのプレス圧を加えながら30分間保持することで、第1の層の未加硫ゴムが加硫されたゴム層と組成物(X)に由来する接着層と第3の層の未加硫ゴムが加硫されたゴム層とをこの順に有する積層体を得た。
なお、得られた積層体における接着層の厚みは100μmであった。
組成物(X)の作製に用いる各成分(A)〜(E)の種類及び量を下記表2に示す通りにした以外は、比較例A−1と同様にして積層体を得た。
下記表2(各成分の数値は不揮発分の含有量(質量%)を示す。)に従って上記(A)〜(E)の各成分に必要に応じて溶剤(メチルエチルケトン)を添加して配合した組成物(X)を得た。
接着組成物膜における第1の層と接していない面に、第3の層を接触させることで、第1の層と接着組成物膜の層である第2の層と第3の層とをこの順に有する重ね合わせ体を得た。
得られた重ね合わせ体を、温度150℃にて2.5MPaのプレス圧を加えながら30分間保持することで、第1の層の未加硫ゴムが加硫されたゴム層と組成物(X)に由来する接着層と第3の層の未加硫ゴムが加硫されたゴム層とをこの順に有する積層体を得た。
なお、得られた積層体における接着層の厚みは100μmであった。
組成物(X)の作製に用いる各成分(A)〜(E)の種類及び量を下記表2に示す通りにした以外は、比較例A−1と同様にして積層体を得た。
組成物(X)の作製に用いる各成分(A)〜(E)の種類及び量を下記表2に示す通りにした以外は、比較例A−3と同様にして積層体を得た。
組成物(X)の作製に用いる各成分(A)〜(E)の種類及び量を下記表2に示す通りにした以外は、比較例A−1と同様にして積層体を得た。
第1の層の表面に、得られた組成物(X)を塗布して塗膜を形成した後、室温(25℃)で180分間放置する工程を経ずに第3の層を接触させ、第1の層と塗膜の層である第2の層と第3の層とをこの順に有する重ね合わせ体を得た以外は、実施例A−2と同様にして積層体を得た。
なお、得られた積層体における接着層の厚みは100μmであった。
積層体の末端における第1の層に由来するゴム層と第3の層に由来するゴム層とを、引張速度50mm/分の条件で、180°の方向に引っ張ることでTピール試験を行い、剥離強度(N/25mm)を測定して接着力の指標とした。併せて表2に破壊モードを示す。
評価結果における「接着力」の値としては、剥離強度が100N/25mm以上であれば剥離が起こる前にゴム基材が破壊されるレベルの十分な接着力を有する。好ましくは300N/25mm以上である。一方、「接着力」の値(剥離強度)が100N/25mm未満である場合は、第1の層に由来するゴム層と接着層との界面及び第3の層に由来するゴム層と接着層との界面での化学結合が十分でなく前記界面で剥離するか、又は接着層の凝集力が十分でなく接着層自身が凝集破壊してしまい、接着力が十分とは言えない。
上述の表に示すとおり、実施例では、成分(A)〜(C)を含み、かつ成分(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、成分(B)に含まれる反応性官能基の合計モル数の比(FG/SH)が0.15以上0.25以下である組成物(X)を用いて第2の層を形成しているため、接着力が高かった。
一方、比較例では、比(FG/SH)が前記範囲外であるため、接着力が低かった。
[原料等]
成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、及びその他のラジカル発生剤については、前記実施例Aと同様である。
また、その他の原料等としては、次のものを用いた。
・ケムロック2000(CH2000):溶剤希釈型ハロゲン化ゴム系接着剤、Lord社製、商品名「ケムロック2000」
前記実施例Aで用いた第1の層と同じ未加硫ゴム(縦100mm×25横mm×厚さ3mm)を第1の層として用いた。
第3の層として、以下の樹脂及び金属を準備した。なお、いずれも「縦100mm×25横mm×厚さ3mm」の大きさに切断して用いた。
・XPA9055(樹脂種:ナイロン系エラストマー、製造元:宇部興産社製、品名:XPA9055)
・Pebax5533:(樹脂種:ナイロン系エラストマー、製造元:アルテマ社製、品名:XPA9055)
・鋼板(株式会社テストピース社製、品番:SPCC)
なお、第3の層が金属である場合、上記金属における第4の層と接する面に以下の表面処理を行って第3の層として用いた。具体的には、ブラスト処理による表面洗浄及び粗度付与を行った。
<実施例B−1>
下記表3(各成分の数値は不揮発分の含有量(質量%)を示す。)に従って上記(A)〜(E)の各成分に必要に応じて溶剤(メチルエチルケトン)を添加して配合した組成物(X)を得た。
その後、ケムロック2000の層上に、得られた組成物(X)を塗布して塗膜を形成した。得られた塗膜に、365nmの光を発する発光ダイオード(UV−LED、センテック社製 LED−UV照射ヘッド(水冷式)、光の強度1200mW/cm2)によって積算光量が800mJ/cm2になるように光を照射し接着組成物膜を得た。得られた接着組成物膜の厚みは100μmであった。
その後、ケムロック2000の層上(剥離シートが剥離された面)に、表3に示す第3の層を貼り合わせることで、第1の層と接着組成物膜の層である第2の層とケムロック2000の層である第4の層と第3の層とをこの順に有する重ね合わせ体を得た。
なお、得られた積層体における接着層の厚みは100μmであった。
組成物(X)の作製に用いる各成分(A)〜(E)の種類及び量並びに第3の層を下記表3に示す通りにした以外は、実施例B−1と同様にして積層体を得た。
第3の層上にケムロック2000を直接スプレー塗布し、厚さ10μmの層(第4の層)を形成した。
その後、ケムロック2000の層における第3の層と接していない面に第1の層を貼り合わせ、第1の層と第4の層と第3の層とをこの順に有する重ね合わせ体を得た。
得られた重ね合わせ体を、温度150℃にて2.5MPaのプレス圧を加えながら30分間保持することで、第1の層の未加硫ゴムが加硫されたゴム層と第4の層に由来する層と第3の層とをこの順に有する積層体を得た。
積層体の末端における第1の層に由来するゴム層と第3の層とを、引張速度50mm/分の条件で、180°の方向に引っ張ることで180度ピール試験を行い、剥離強度(N/25mm)を測定して接着力の指標とした。併せて表3に破壊モードを示す。
評価結果における「接着力」の値としては、剥離強度が100N/25mm以上であれば剥離が起こる前にゴム基材が破壊されるレベルの十分な接着力を有する。好ましくは300N/25mm以上である。一方、「接着力」の値(剥離強度)が100N/25mm未満である場合は、第1の層に由来するゴム層と第3の層との接着が十分でなく、各界面で剥離するか、又は接着層自身が凝集破壊してしまい、接着力が十分とは言えない。
上述の表に示すとおり、実施例では、成分(A)〜(C)を含み、かつ成分(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、成分(B)に含まれる反応性官能基の合計モル数の比(FG/SH)が0.15以上0.25以下である組成物(X)を用いて第2の層を形成しているため、接着力が高かった。
一方、比較例では第2の層を用いていないため、接着力が低かった。
[原料等]
成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、及びその他のラジカル発生剤については、前記実施例Aと同様である。
また、成分(A’)、成分(B’)、及び成分(C’)として、それぞれ上記成分(A)、成分(B)、及び成分(C)と同様のものを用いた。
前記実施例Aで用いた第1の層と同じ未加硫ゴム(縦100mm×25横mm×厚さ3mm)を第1の層として用いた。
前記実施例Aで用いた第1の層と同じ未加硫ゴムを、165℃で30分間加硫して加硫ゴム(縦100mm×25横mm×厚さ3mm)を製造し、これを第3の層として用いた。
<実施例C−1>
前記実施例A−2と同様にして組成物(X)を得た。
下記表4(各成分の数値は不揮発分の含有量(質量%)を示す。)に従って上記(A’)〜(C’)及び(D)〜(E)の各成分に必要に応じて溶剤(メチルエチルケトン)を添加して配合した組成物(Y)を得た。
形成された組成物(X)の塗膜及び組成物(Y)の塗膜が液状のうちに(塗膜形成後5分以内に)、組成物(X)と組成物(Y)とが接触するように、組成物(X)の塗膜が形成された第1の層と組成物(Y)の塗膜が形成された剥離シートとを貼り合わせた。その後、室温(25℃)で180分間放置することで、組成物(X)の塗膜及び組成物(Y)の塗膜がフィルム化した厚さ200μmの接着組成物膜(第2の層及び第5の層)を得た。
なお、得られた積層体における接着層の厚みは100μmであった。
積層体の末端における第1の層に由来するゴム層と第3の層とを、引張速度50mm/分の条件で、180°の方向に引っ張ることでTピール試験を行い、剥離強度(N/25mm)を測定して接着力の指標とした。
その結果、実施例C−1においては、剥離強度の値(接着力)が195(N/25mm)であり、破壊モードはゴム破壊であった。
なお前記の通り、評価結果における「接着力」の値としては、剥離強度が100N/25mm以上であれば剥離が起こる前にゴム基材が破壊されるレベルの十分な接着力を有する。
上述の表に示すとおり、実施例では、成分(A)〜(C)を含み、比(FG/SH)が0.15以上0.25以下である組成物(X)を用いて第2の層を形成し、かつ、成分(A’)〜(C’)を含み、比(FG’/SH’)が0.25より大きく1.20以下である組成物(Y)を用いて第5の層を形成しているため、接着力が高かった。
2014年7月1日に出願された日本国特許出願2014−136126号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (15)
- 未加硫ゴムを含む第1の層と、
ポリチオール化合物、チオール基と反応する官能基を有する化合物、及びラジカル発生剤を、前記ポリチオール化合物に含まれるチオール基の合計モル数(SH)に対する、前記チオール基と反応する官能基を有する化合物に含まれる前記チオール基と反応する官能基の合計モル数(FG)の比(FG/SH)が0.15以上0.25以下で含む組成物(X)を用いて形成され、前記第1の層に接する第2の層と、
を有する重ね合わせ体。 - 前記チオール基と反応する官能基を有する化合物は、前記チオール基と反応する官能基として、イソシアネート基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、アリル基、ビニル基、アリルオキシ基、ビニルオキシ基、及びノルボルネン骨格を有する基から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の重ね合わせ体。
- 前記ポリチオール化合物が、1分子中にチオール基を3つ以上有する、請求項1又は請求項2に記載の重ね合わせ体。
- 前記チオール基と反応する官能基を有する化合物が、1分子中に前記チオール基と反応する官能基を3つ以上有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の重ね合わせ体。
- 前記チオール基と反応する官能基を有する化合物が、環状構造を有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の重ね合わせ体。
- 前記第1の層と、前記第2の層と、未加硫ゴム、加硫ゴム、樹脂、及び金属から選ばれる少なくとも1種を含む第3の層と、をこの順で有する、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の重ね合わせ体。
- 前記第3の層が未加硫ゴムを含み、かつ、前記第2の層に接する、請求項6に記載の重ね合わせ体。
- 前記第3の層が樹脂及び金属の少なくとも1種を含み、
前記第2の層と前記第3の層との間に、前記樹脂及び金属の少なくとも1種に対して接着力を有する接着剤を用いて形成された第4の層を有する、請求項6に記載の重ね合わせ体。 - 前記第3の層が加硫ゴムを含み、
前記第2の層と前記第3の層との間に、ポリチオール化合物、チオール基と反応する官能基を有する化合物、及びラジカル発生剤を前記ポリチオール化合物に含まれるチオール基の合計モル数(SH’)に対する前記チオール基と反応する官能基を有する化合物に含まれる前記チオール基と反応する官能基の合計モル数(FG’)の比(FG’/SH’)が0.25より大きく1.20以下で含む組成物(Y)を用いて形成された第5の層を有する、請求項6に記載の重ね合わせ体。 - 前記第2の層及び前記第5の層は、前記組成物(X)の塗膜と前記組成物(Y)の塗膜とが接触した状態で、前記組成物(X)の塗膜における前記ポリチオール化合物と前記チオール基と反応する官能基を有する化合物との重合及び前記組成物(Y)の塗膜における前記ポリチオール化合物と前記チオール基と反応する官能基を有する化合物との重合により前記組成物(X)の塗膜及び前記組成物(Y)の塗膜がフィルム化された接着組成物膜である、請求項9に記載の重ね合わせ体。
- 前記第2の層は、前記ポリチオール化合物と前記チオール基と反応する官能基を有する化合物とが重合して前記組成物(X)の塗膜がフィルム化された接着組成物膜である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の重ね合わせ体。
- 請求項1〜請求項8及び請求項11のいずれか1項に記載の重ね合わせ体を形成する重ね合わせ体形成工程と、
前記重ね合わせ体に対し、前記重ね合わせ体の前記第2の層に含まれる前記ラジカル発生剤を活性化させるエネルギーを付与し、前記第2の層を接着層とすることで、前記第1の層上に前記接着層を有する積層体を得る、エネルギー付与工程と、
を含む積層体の製造方法。 - 請求項9又は請求項10に記載の重ね合わせ体を形成する重ね合わせ体形成工程と、
前記重ね合わせ体に対し、前記重ね合わせ体の前記第2の層に含まれる前記ラジカル発生剤を活性化させるエネルギー及び前記第5の層に含まれる前記ラジカル発生剤を活性化させるエネルギーを付与し、前記第2の層及び前記第5の層を接着層とすることで、前記第1の層と前記接着層と前記第3の層とをこの順に有する積層体を得る、エネルギー付与工程と、
を含む積層体の製造方法。 - 請求項12又は請求項13に記載の積層体の製造方法により得られた積層体。
- ポリチオール化合物、チオール基と反応する官能基を有する化合物、及びラジカル発生剤を前記ポリチオール化合物に含まれるチオール基の合計モル数(SH)に対する前記チオール基と反応する官能基を有する化合物に含まれる前記チオール基と反応する官能基の合計モル数(FG)の比(FG/SH)が0.15以上0.25以下で含む組成物(X)の塗膜と、ポリチオール化合物、チオール基と反応する官能基を有する化合物、及びラジカル発生剤を前記ポリチオール化合物に含まれるチオール基の合計モル数(SH’)に対する前記チオール基と反応する官能基を有する化合物に含まれる前記チオール基と反応する官能基の合計モル数(FG’)の比(FG’/SH’)が0.25より大きく1.20以下で含む組成物(Y)の塗膜と、が接触した状態で、
前記組成物(X)の塗膜における前記ポリチオール化合物と前記チオール基と反応する官能基を有する化合物との重合及び前記組成物(Y)の塗膜における前記ポリチオール化合物と前記チオール基と反応する官能基を有する化合物との重合により、前記組成物(X)の塗膜及び前記組成物(Y)の塗膜がフィルム化された接着組成物膜。
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