JP2004209431A - フッ素化触媒およびフルオロ化合物の製造方法 - Google Patents
フッ素化触媒およびフルオロ化合物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004209431A JP2004209431A JP2003001799A JP2003001799A JP2004209431A JP 2004209431 A JP2004209431 A JP 2004209431A JP 2003001799 A JP2003001799 A JP 2003001799A JP 2003001799 A JP2003001799 A JP 2003001799A JP 2004209431 A JP2004209431 A JP 2004209431A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chromium
- fluorination catalyst
- catalyst
- fluorination
- containing salt
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Catalysts (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
【課題】高い選択性と原料転化率を持ち、特に担体を必要としないクロム系のフッ素化触媒、及びこの触媒を用いるハロゲン化合物のフッ素化方法を提供する。
【解決手段】クロム含有塩と炭素を含む混合焼成物からなるフッ素化触媒。
クロム含有塩と炭素を含む混合焼成物をフッ素化処理してなるフッ素化触媒。
【選択図】 なし
【解決手段】クロム含有塩と炭素を含む混合焼成物からなるフッ素化触媒。
クロム含有塩と炭素を含む混合焼成物をフッ素化処理してなるフッ素化触媒。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフッ素化触媒、及びこの触媒を用いるハロゲン化物のフッ素化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クロロフルオロカーボン類(いわゆるフロン)の代替物として用いられているヒドロフルオロカーボン(HFC)類などの含フッ素化合物を製造するうえで、フッ化水素(HF)による触媒フッ素化は基も重要なものの一つである。
【0003】
このフッ素化のための触媒として、クロム塩が有効であるとされ、酸化クロム(Cr2O3)をフッ化水素で処理したものはフッ素化触媒として活性があることが知られている(特許文献1)。さらにクロム塩以外の金属塩を添加することによってその活性の向上を図った触媒が種々開発されている。例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、ニッケル、コバルトを添加した触媒(特許文献2)、亜鉛を添加した触媒(特許文献3)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、これまでに提案されている触媒は、必ずしもその選択性や原料転化率が十分なものとはいえず更なる触媒活性の向上が強く要請されていた。
そのため、これらの触媒を多孔質のアルミナなど支持体に担持した担持触媒も提案されているが(特許文献4)、活性物質が少量の場合には触媒活性の低下を招き、また触媒寿命が短いなどの問題点を包含するものであった。
【0005】
【特許文献1】米国特許第3258500号明細書
【特許文献2】特開平2−172933号公報
【特許文献3】米国特許第528168号明細書
【特許文献4】特開平10−180104号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、担体を用いなくても高い選択性と原料転化率を与える新規なクロム系フッ素化触媒、及びこの触媒を用いた効率的なフルオロ化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クロム含有塩に炭素を混合し、このものを焼成、フッ素化することにより得られるクロム/炭素混合焼成物系触媒が、特に担体を必要とすることなく、ハロゲン化合物を高い選択性と原料転化率で対応するフルオロ化合物に変換できることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)クロム含有塩と炭素を含む混合焼成物からなるフッ素化触媒。
(2)上記(1)に記載の混合焼成物をフッ素化処理してなるフッ素化触媒。
(3)炭素の含有量がクロム含有塩に対して1〜6重量%であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のフッ素化触媒。
(4)クロム含有塩がクロムと共にコバルト、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、ニッケル及び亜鉛から選ばれた少なくとも一種の金属を含有する塩であることを特徴とする上記(1)乃至(3)何れかに記載のフッ素化触媒。
(5)クロム含有塩が沈殿法によって得られたものであることを特徴とする上記(1)乃至(4)何れかに記載のフッ素化触媒。
(6)クロム含有塩が共沈法によって得られたものであることを特徴とする上記(1)乃至(5)何れかに記載のフッ素化触媒。
(7)上記(1)乃至(6)何れかに記載のフッ素化触媒の存在下、ハロゲン化合物とフッ化水素を反応させることを特徴とするフルオロ化合物の製造方法
(8)ハロゲン化合物がハロゲン化炭化水素であることを特徴とする上記(7)に記載のフルオロ化合物の製造方法。
(9)ハロゲン炭化水素がジクロロメタンである上記(8)に記載のフルオロ化合物の製造方法。
(10)クロム含有塩を炭素と混合し、不活性雰囲気下で焼成し、必要に応じフッ素化処理することを特徴とする上記(1)乃至(6)に記載のフッ素化触媒の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のフッ素化触媒はクロム含有塩と炭素を含む混合焼成物からなる。
クロム含有塩としては、特に制限されるものではないが、水酸化クロム、酸化クロム、硝酸クロム、炭酸クロム等のクロム塩の1種あるいは2種以上の混合物が使用できる。
【0009】
本発明で好ましく使用されるクロム含有塩は、少なくとも水酸化クロムを含む塩である。水酸化クロムを含む塩は、硝酸クロム、塩化クロム等のクロム塩の水溶液にアンモニア水などを加えてクロムの水酸化物を沈殿させる、いわゆる沈殿法によって得ることができる。ここで、クロム塩の種類、その水溶液の濃度、アンモニア水の濃度については、この方法で水酸化クロムの沈殿が得られるならば特に制限はないが、たとえば、塩化クロムまたは硝酸クロムの1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%の水溶液に、撹拌しながら5〜35重量%、好ましくは20〜30重量%のアンモニア水溶液を1分から2時間かけて滴下し、得られた沈殿を濾過して水洗浄、好ましくは脱イオン水で洗浄し、100〜200℃で乾燥させる方法等が採られる。
【0010】
また、本願発明で用いるクロム含有塩には、クロムと共に共触媒成分として他の金属成分、具体的にはコバルト、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、ニッケル、亜鉛など、好ましくはコバルトを添加することができる。その方法としては共沈法、含浸法などが挙げられるが、好ましくは共沈法がよい。この場合、クロムとコバルト等金属の重量比は10:1〜1:1、好ましくは5:1〜1:1である。
【0011】
上記のようなクロム含有塩と炭素の混合焼成物はフッ素化に好適な触媒活性を示す。
クロム含有塩に混合される炭素は、特に制限はないが、グラファイト、活性炭が例示される。炭素の混合量は触媒成型性、活性保持性などを考慮することにより適宜定められるが、好ましくはクロム含有塩に対して1〜6重量%、より好ましくは2〜4重量%である。
【0012】
混合焼成物触媒を形成するには、クロム含有塩と炭素の固形混合物を混練して金型などに入れ、ペレット状、顆粒状、柱状などの成型体とした後焼成すればよい。焼成条件には特に制限されるものではないが、通常、窒素などの不活性雰囲気下、300〜600℃、好ましくは400〜500℃で加熱することによって行われる。
【0013】
本発明に係る混合焼成物をフッ素化触媒として用いるには、このものをフッ素化処理しておくことが好ましい。フッ素化処理としては、フッ化水素、フルオロカーボン類等で前処理して活性化させる方法等が挙げられるが、フッ化水素で処理することが好ましい。フッ素化水素の処理は、上記混合焼成物にフッ素水素、または窒素ガスやアルゴンガスなどの希釈ガスで希釈したフッ化水素を接触させればよい。フッ化水素処理の温度は、10℃から500℃、好ましくは20℃から400℃で行われる。フッ化水素の量に特に制限はない。
【0014】
本発明のフッ素化触媒は、クロロカーボンなどのハロゲン化合物をフッ化水素によりフッ素化してフルオロ化合物を製造する際の触媒として好適に使用できる。
【0015】
出発原料であるハロゲン化合物としては、クロロカーボン類、クロロフルオロカーボン類、ヒドロクロロフルオロカーボン類、クロロオレフィン類などのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
具体例としては、クロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、クロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、クロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエタン、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2−フルオロエタン、1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、クロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレンなどが挙げられる。
【0016】
これらの触媒フッ素化反応に使用されるフッ化水素は出発物質であるハロゲン化合物に対して過剰量で使用するのが有利であり、通常1〜30当量、好ましくは3〜10当量用いるのが好ましい。また、この場合において、窒素ガスやアルゴンガスなどの希釈ガスで希釈したフッ化水素を用いることもできる。
フッ素化の反応温度は通常200℃から450℃、好ましくは300℃から400℃である。反応の形式としては、バッチ式、フロー式のどちらでも行うことができる。
【0017】
本発明のフッ素化反応により得られるフルオロ化合物としては、たとえばフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンを挙げることができる。
【0018】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)Cr−Co−炭素系触媒の調製
8重量%の三塩化クロム水溶液(200ml)と14重量%の二塩化コバルト(50ml)水溶液を混ぜ、ここに撹拌しながら28重量%のアンモニア水溶液(115ml)を1時間かけて滴下した。この間、反応容器を水冷して反応温度を約40℃に保った。反応後、反応液のpHは約7であった。得られた沈殿を脱イオン水で3回洗浄し、120℃で一晩乾燥した。得られた固体に、これに対して4%の重量のグラファイトを混合し、直径1.5mmのペレット状に成型した後、窒素雰囲気下400℃で4時間焼成した。得られたCr−Co−炭素系触媒の比表面積をBET法で測定したところ、160m2/gであった。
【0020】
(実施例2)Cr−Co−炭素系触媒を用いたジクロロメタンのフッ素化によるジフルオロエタンの合成
実施例1で調製したCr−Co−炭素系触媒10mlをインコネル製の反応管(内径12mm、長さ300mm)に入れ、窒素(N2)で希釈した無水フッ酸(HF)(N2/HF=200/100(ml/min))を、室温で2時間、次いで4時間かけて400℃まで昇温させつつ流通し、さらにHFのみを100ml/minで10時間流通し、活性化した。
次に、CH2Cl2を82ml/min、HFを300ml/minを一方の入り口から流して342℃で反応させ、もう一方の出口から流出する生成物の混合ガスを水酸化ナトリウム水溶液で洗浄、モレキュラーシーブ4Aで乾燥後、ガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果、ジクロロメタンの転化率は87%、生成物の選択率はジフルオロエタン84%、クロロフルオロエタン16%であった。
【0021】
(比較例1)グラファイトを用いないCr−Co系触媒の調製
グラファイトを混合することなく、それ以外は実施例1と同様にしてCr−Co系触媒を調製した。得られた触媒の比表面積をBET法で測定したところ、150m2/gであった。
【0022】
(比較例2)グラファイトを用いないCr−Co系触媒を用いたジクロロメタンのフッ素化によるジフルオロエタンの合成
比較例1で調製した、グラファイトを用いないCr−Co系触媒を用い、実施例2と同様にして350℃でジクロロメタンのフッ素化反応を行った。その結果、ジクロロメタンの転化率は74%、生成物の選択率はジフルオロエタン77%、クロロフルオロエタン23%であり、原料転化率もジフルオロエタン選択率も実施例2よりも低かった。
【0023】
【発明の効果】
本発明のクロム−炭素系フッ素化触媒は、高い選択性と原料転化率を持ち、高収率でヒドロフルオロカーボン等のフルオロ化合物を製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフッ素化触媒、及びこの触媒を用いるハロゲン化物のフッ素化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クロロフルオロカーボン類(いわゆるフロン)の代替物として用いられているヒドロフルオロカーボン(HFC)類などの含フッ素化合物を製造するうえで、フッ化水素(HF)による触媒フッ素化は基も重要なものの一つである。
【0003】
このフッ素化のための触媒として、クロム塩が有効であるとされ、酸化クロム(Cr2O3)をフッ化水素で処理したものはフッ素化触媒として活性があることが知られている(特許文献1)。さらにクロム塩以外の金属塩を添加することによってその活性の向上を図った触媒が種々開発されている。例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、ニッケル、コバルトを添加した触媒(特許文献2)、亜鉛を添加した触媒(特許文献3)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、これまでに提案されている触媒は、必ずしもその選択性や原料転化率が十分なものとはいえず更なる触媒活性の向上が強く要請されていた。
そのため、これらの触媒を多孔質のアルミナなど支持体に担持した担持触媒も提案されているが(特許文献4)、活性物質が少量の場合には触媒活性の低下を招き、また触媒寿命が短いなどの問題点を包含するものであった。
【0005】
【特許文献1】米国特許第3258500号明細書
【特許文献2】特開平2−172933号公報
【特許文献3】米国特許第528168号明細書
【特許文献4】特開平10−180104号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、担体を用いなくても高い選択性と原料転化率を与える新規なクロム系フッ素化触媒、及びこの触媒を用いた効率的なフルオロ化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クロム含有塩に炭素を混合し、このものを焼成、フッ素化することにより得られるクロム/炭素混合焼成物系触媒が、特に担体を必要とすることなく、ハロゲン化合物を高い選択性と原料転化率で対応するフルオロ化合物に変換できることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)クロム含有塩と炭素を含む混合焼成物からなるフッ素化触媒。
(2)上記(1)に記載の混合焼成物をフッ素化処理してなるフッ素化触媒。
(3)炭素の含有量がクロム含有塩に対して1〜6重量%であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のフッ素化触媒。
(4)クロム含有塩がクロムと共にコバルト、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、ニッケル及び亜鉛から選ばれた少なくとも一種の金属を含有する塩であることを特徴とする上記(1)乃至(3)何れかに記載のフッ素化触媒。
(5)クロム含有塩が沈殿法によって得られたものであることを特徴とする上記(1)乃至(4)何れかに記載のフッ素化触媒。
(6)クロム含有塩が共沈法によって得られたものであることを特徴とする上記(1)乃至(5)何れかに記載のフッ素化触媒。
(7)上記(1)乃至(6)何れかに記載のフッ素化触媒の存在下、ハロゲン化合物とフッ化水素を反応させることを特徴とするフルオロ化合物の製造方法
(8)ハロゲン化合物がハロゲン化炭化水素であることを特徴とする上記(7)に記載のフルオロ化合物の製造方法。
(9)ハロゲン炭化水素がジクロロメタンである上記(8)に記載のフルオロ化合物の製造方法。
(10)クロム含有塩を炭素と混合し、不活性雰囲気下で焼成し、必要に応じフッ素化処理することを特徴とする上記(1)乃至(6)に記載のフッ素化触媒の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のフッ素化触媒はクロム含有塩と炭素を含む混合焼成物からなる。
クロム含有塩としては、特に制限されるものではないが、水酸化クロム、酸化クロム、硝酸クロム、炭酸クロム等のクロム塩の1種あるいは2種以上の混合物が使用できる。
【0009】
本発明で好ましく使用されるクロム含有塩は、少なくとも水酸化クロムを含む塩である。水酸化クロムを含む塩は、硝酸クロム、塩化クロム等のクロム塩の水溶液にアンモニア水などを加えてクロムの水酸化物を沈殿させる、いわゆる沈殿法によって得ることができる。ここで、クロム塩の種類、その水溶液の濃度、アンモニア水の濃度については、この方法で水酸化クロムの沈殿が得られるならば特に制限はないが、たとえば、塩化クロムまたは硝酸クロムの1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%の水溶液に、撹拌しながら5〜35重量%、好ましくは20〜30重量%のアンモニア水溶液を1分から2時間かけて滴下し、得られた沈殿を濾過して水洗浄、好ましくは脱イオン水で洗浄し、100〜200℃で乾燥させる方法等が採られる。
【0010】
また、本願発明で用いるクロム含有塩には、クロムと共に共触媒成分として他の金属成分、具体的にはコバルト、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、ニッケル、亜鉛など、好ましくはコバルトを添加することができる。その方法としては共沈法、含浸法などが挙げられるが、好ましくは共沈法がよい。この場合、クロムとコバルト等金属の重量比は10:1〜1:1、好ましくは5:1〜1:1である。
【0011】
上記のようなクロム含有塩と炭素の混合焼成物はフッ素化に好適な触媒活性を示す。
クロム含有塩に混合される炭素は、特に制限はないが、グラファイト、活性炭が例示される。炭素の混合量は触媒成型性、活性保持性などを考慮することにより適宜定められるが、好ましくはクロム含有塩に対して1〜6重量%、より好ましくは2〜4重量%である。
【0012】
混合焼成物触媒を形成するには、クロム含有塩と炭素の固形混合物を混練して金型などに入れ、ペレット状、顆粒状、柱状などの成型体とした後焼成すればよい。焼成条件には特に制限されるものではないが、通常、窒素などの不活性雰囲気下、300〜600℃、好ましくは400〜500℃で加熱することによって行われる。
【0013】
本発明に係る混合焼成物をフッ素化触媒として用いるには、このものをフッ素化処理しておくことが好ましい。フッ素化処理としては、フッ化水素、フルオロカーボン類等で前処理して活性化させる方法等が挙げられるが、フッ化水素で処理することが好ましい。フッ素化水素の処理は、上記混合焼成物にフッ素水素、または窒素ガスやアルゴンガスなどの希釈ガスで希釈したフッ化水素を接触させればよい。フッ化水素処理の温度は、10℃から500℃、好ましくは20℃から400℃で行われる。フッ化水素の量に特に制限はない。
【0014】
本発明のフッ素化触媒は、クロロカーボンなどのハロゲン化合物をフッ化水素によりフッ素化してフルオロ化合物を製造する際の触媒として好適に使用できる。
【0015】
出発原料であるハロゲン化合物としては、クロロカーボン類、クロロフルオロカーボン類、ヒドロクロロフルオロカーボン類、クロロオレフィン類などのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
具体例としては、クロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、クロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、クロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエタン、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2−フルオロエタン、1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、クロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレンなどが挙げられる。
【0016】
これらの触媒フッ素化反応に使用されるフッ化水素は出発物質であるハロゲン化合物に対して過剰量で使用するのが有利であり、通常1〜30当量、好ましくは3〜10当量用いるのが好ましい。また、この場合において、窒素ガスやアルゴンガスなどの希釈ガスで希釈したフッ化水素を用いることもできる。
フッ素化の反応温度は通常200℃から450℃、好ましくは300℃から400℃である。反応の形式としては、バッチ式、フロー式のどちらでも行うことができる。
【0017】
本発明のフッ素化反応により得られるフルオロ化合物としては、たとえばフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタンを挙げることができる。
【0018】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)Cr−Co−炭素系触媒の調製
8重量%の三塩化クロム水溶液(200ml)と14重量%の二塩化コバルト(50ml)水溶液を混ぜ、ここに撹拌しながら28重量%のアンモニア水溶液(115ml)を1時間かけて滴下した。この間、反応容器を水冷して反応温度を約40℃に保った。反応後、反応液のpHは約7であった。得られた沈殿を脱イオン水で3回洗浄し、120℃で一晩乾燥した。得られた固体に、これに対して4%の重量のグラファイトを混合し、直径1.5mmのペレット状に成型した後、窒素雰囲気下400℃で4時間焼成した。得られたCr−Co−炭素系触媒の比表面積をBET法で測定したところ、160m2/gであった。
【0020】
(実施例2)Cr−Co−炭素系触媒を用いたジクロロメタンのフッ素化によるジフルオロエタンの合成
実施例1で調製したCr−Co−炭素系触媒10mlをインコネル製の反応管(内径12mm、長さ300mm)に入れ、窒素(N2)で希釈した無水フッ酸(HF)(N2/HF=200/100(ml/min))を、室温で2時間、次いで4時間かけて400℃まで昇温させつつ流通し、さらにHFのみを100ml/minで10時間流通し、活性化した。
次に、CH2Cl2を82ml/min、HFを300ml/minを一方の入り口から流して342℃で反応させ、もう一方の出口から流出する生成物の混合ガスを水酸化ナトリウム水溶液で洗浄、モレキュラーシーブ4Aで乾燥後、ガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果、ジクロロメタンの転化率は87%、生成物の選択率はジフルオロエタン84%、クロロフルオロエタン16%であった。
【0021】
(比較例1)グラファイトを用いないCr−Co系触媒の調製
グラファイトを混合することなく、それ以外は実施例1と同様にしてCr−Co系触媒を調製した。得られた触媒の比表面積をBET法で測定したところ、150m2/gであった。
【0022】
(比較例2)グラファイトを用いないCr−Co系触媒を用いたジクロロメタンのフッ素化によるジフルオロエタンの合成
比較例1で調製した、グラファイトを用いないCr−Co系触媒を用い、実施例2と同様にして350℃でジクロロメタンのフッ素化反応を行った。その結果、ジクロロメタンの転化率は74%、生成物の選択率はジフルオロエタン77%、クロロフルオロエタン23%であり、原料転化率もジフルオロエタン選択率も実施例2よりも低かった。
【0023】
【発明の効果】
本発明のクロム−炭素系フッ素化触媒は、高い選択性と原料転化率を持ち、高収率でヒドロフルオロカーボン等のフルオロ化合物を製造することができる。
Claims (10)
- クロム含有塩と炭素を含む混合焼成物からなるフッ素化触媒。
- 請求項1に記載の混合焼成物をフッ素化処理してなるフッ素化触媒。
- 炭素の含有量がクロム含有塩に対して1〜6重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフッ素化触媒。
- クロム含有塩がクロムと共にコバルト、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、ニッケル及び亜鉛から選ばれた少なくとも一種の金属を含有する塩であることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載のフッ素化触媒。
- クロム含有塩が沈殿法によって得られたものであることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載のフッ素化触媒。
- クロム含有塩が共沈法によって得られたものであることを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載のフッ素化触媒。
- 請求項1乃至6何れかに記載のフッ素化触媒の存在下、ハロゲン化合物とフッ化水素を反応させることを特徴とするフルオロ化合物の製造方法。
- ハロゲン化合物がハロゲン化炭化水素であることを特徴とする請求項7に記載のフルオロ化合物の製造方法。
- ハロゲン炭化水素がジクロロメタンである請求項8に記載のフルオロ化合物の製造方法。
- クロム含有塩を炭素と混合し、不活性雰囲気下で焼成し、必要に応じフッ素化処理することを特徴とする請求項1乃至6に記載のフッ素化触媒の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003001799A JP2004209431A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | フッ素化触媒およびフルオロ化合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003001799A JP2004209431A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | フッ素化触媒およびフルオロ化合物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004209431A true JP2004209431A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32819724
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003001799A Pending JP2004209431A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | フッ素化触媒およびフルオロ化合物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004209431A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2023507691A (ja) * | 2020-11-23 | 2023-02-27 | 浙江衢化▲弗▼化学有限公司 | 1、1-ジフルオロエタンと塩化ビニルを同時に生産する方法 |
-
2003
- 2003-01-08 JP JP2003001799A patent/JP2004209431A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2023507691A (ja) * | 2020-11-23 | 2023-02-27 | 浙江衢化▲弗▼化学有限公司 | 1、1-ジフルオロエタンと塩化ビニルを同時に生産する方法 |
JP7332724B2 (ja) | 2020-11-23 | 2023-08-23 | 浙江衢化▲弗▼化学有限公司 | 1、1-ジフルオロエタンと塩化ビニルを同時に生産する方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2541541C1 (ru) | Каталитическое газофазное фторирование | |
US8232435B2 (en) | 1,2,3,3,3-pentafluoropropene production processes | |
JP2022141845A (ja) | 2,3,3,3-テトラフルオロプロペン生成物中のハロゲン化エチレン不純物を除去する方法 | |
JP5562638B2 (ja) | 高圧触媒活性化法及びそれにより製造された触媒 | |
KR100336337B1 (ko) | 플루오르화촉매및플루오르화방법 | |
KR101125467B1 (ko) | 1,1,1,3,3-펜타플루오로프로판 및1,1,1,3,3,3-헥사플루오로프로판의 제조 방법 | |
JP7336849B2 (ja) | クロム触媒を用いた気相接触フッ素化 | |
JP2000508320A (ja) | 末端炭素原子に結合したフッ素を含有するハロゲン化プロパンの製法 | |
JP2005536539A (ja) | 1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタンを製造するための方法 | |
JPH04226927A (ja) | 1,1,1,2−テトラフルオロクロルエタンおよびペンタフルオロエタンの製造方法 | |
JPH10113562A (ja) | ハロゲン化炭化水素の弗素化用触媒 | |
EP0673354A1 (en) | Process for reducing the fluorine content of hydrofluorocarbons and hydrohalofluorocarbons | |
US5545774A (en) | Process for the manufacture of 1,1,1,3,3,3-hexafluoropropane | |
CN111875473A (zh) | 一种HFC-365mfc和HFC-245fa的制备方法 | |
JP2010047571A (ja) | 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 | |
JP4231921B2 (ja) | 多孔性物質とその製造方法 | |
JP3558385B2 (ja) | クロム系フッ素化触媒、及びフッ素化方法 | |
JPH06128179A (ja) | 異性体1,1,2−トリフルオロ−1,2−ジクロロエタンからの1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロエタンの精製方法 | |
JP2690878B2 (ja) | 1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロエタンのフッ素化触媒及びその製造方法 | |
JP2996598B2 (ja) | クロム系フッ素化触媒、その製法及びフッ素化方法 | |
US3086064A (en) | Fluorination process and catalyst | |
JP2004209431A (ja) | フッ素化触媒およびフルオロ化合物の製造方法 | |
JPH1015400A (ja) | 気相フッ素化用触媒の再生方法 | |
JPS5814819B2 (ja) | 塩化水素と塩素によるフツ化クロム触媒の賦活 | |
JP4078416B2 (ja) | 多孔性フッ化アルミニウム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060420 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060425 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060822 |