JP2004206804A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】媒体ノイズの低減化を図りつつ面記録密度の増大化を可能とする磁気記録媒体およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】Coを母材とする第1の層(14a)とPtまたはPdを母材とする第2の層(14b)とを交互に多数積層させた多数積層記録層(14)をスパッタ成膜する際のターゲット中に予めBの酸化物B2O3−x(0≦x<3)を添加しておき、第1の層(14a)と第2の層(14b)の少なくとも一方の層に、xBをB濃度(at%)、xOをO濃度(at%)として、7≦xB≦23、10≦xO≦36、xO≦1.5xB+1、となるようにスパッタ成膜することとした。これにより、多数積層記録層(14)中の結晶粒界に偏析する添加元素量を大きくして結晶粒子間の間隔を広げることで結晶粒子間の磁気的相互作用のエネルギを減少させ媒体ノイズを低減することとした。
【選択図】 図2
【解決手段】Coを母材とする第1の層(14a)とPtまたはPdを母材とする第2の層(14b)とを交互に多数積層させた多数積層記録層(14)をスパッタ成膜する際のターゲット中に予めBの酸化物B2O3−x(0≦x<3)を添加しておき、第1の層(14a)と第2の層(14b)の少なくとも一方の層に、xBをB濃度(at%)、xOをO濃度(at%)として、7≦xB≦23、10≦xO≦36、xO≦1.5xB+1、となるようにスパッタ成膜することとした。これにより、多数積層記録層(14)中の結晶粒界に偏析する添加元素量を大きくして結晶粒子間の間隔を広げることで結晶粒子間の磁気的相互作用のエネルギを減少させ媒体ノイズを低減することとした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体およびその製造方法に関し、より詳細には、媒体ノイズの低減化を図りつつ面記録密度の増大化を可能とする磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固定磁気ディスクの面記録密度は年々増大し続けており、現在では約50Gb/in2の面記録密度のものが製品化されている。一方、このような固定磁気ディスクの高記録密度化に伴って、記録ビットの熱的不安定性が顕在化しはじめてきており、高い面記録密度と媒体ノイズの低減化および記録ビットの熱安定性を実現可能な垂直磁気記録媒体が求められている。
【0003】
垂直磁気記録媒体の構造は「単層媒体」と「2層媒体」とに大別され、このうち「単層媒体」は、NiPメッキを施したAl基板やガラス基板上にTi膜やTiCr膜などの下地層を設け、この下地層の上にTa、Pt、Bなどの元素が添加されたCoCr系合金の記録層を積層し、この記録層上にカーボン保護膜を設けて構成される。また、「2層媒体」は、上述の基板と下地層との間にさらに軟磁性層を設けて構成される。
【0004】
これら各層の成膜は一般的にはスパッタリングで実行され、各層の膜厚は概ね、軟磁性層300〜500nm、下地層10〜50nm、記録層30〜100nmに設定されるのが通常である。また、一般に、下地層と記録層は多結晶薄膜とされ、軟磁性層にはNiFe、FeSiAl、FeTaCなどの多結晶とCoZrNb、CoTaZrなどのアモルファスの両方が用いられる。
【0005】
CoCr系合金を記録層とする磁気記録媒体では、CoCr系合金薄膜の磁気異方性エネルギ(Ku)が比較的小さいために、へッドにより書き込まれた記録ビットの十分な熱安定性を得ることが困難である。このため、Co層とPt層とを交互にn層ずつ積層させた(Co/Pt)n多層積層膜やCo層とPd層とを交互にn層ずつ積層させた(Co/Pd)n多層積層膜を記録層として用いた垂直磁気記録媒体の開発が行なわれており、Co層の厚みを0.1〜0.3nm、Pt層(またはPd層)の厚みを0.6〜1.0nm程度と設定した磁気記録媒体で高い保磁力(Hc)と高い角型比(S)とが得られている。
【0006】
多層積層膜を記録層として用いたこのような垂直磁気記録媒体は記録ビットの熱安定性に優れる反面、媒体ノイズが比較的大きいという問題があるため、記録層を成膜するに際してボロン(B)のチップをスパッタ・ターゲットの表面に配置し、この状態でArとO2の混合ガス中でスパッタリング成膜し、ボロン(B)と酸素(O)とを記録層の結晶粒界に偏析させることにより媒体ノイズを低減させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−25032号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されている媒体ノイズの低減方法では、磁気記録媒体のS/N改善に効果のあるB添加量は1.0at%まで、O添加量も0.1at%までであり、これ以上のBやOの添加をおこなってもS/N値は飽和したままであり改善効果は認められない。
【0009】
従って、磁気記録媒体の面記録密度の向上を図るためには、面記録密度の増大化と媒体ノイズの更なる低減化とを両立させることが必要となる。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、媒体ノイズの低減化を図りつつ面記録密度の増大化を可能とする磁気記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板上に、軟磁性層と下地層と磁気記録層とカーボン保護膜とが順次積層されて構成されている磁気記録媒体であって、前記磁気記録層は、第1の層と第2の層とを交互に多数積層させた多数積層膜であり、前記第1の層と前記第2の層の少なくとも一方の層には、ボロン(B)と酸素(O)とが、xBをB濃度(at%)、xOをO濃度(at%)として、7≦xB≦23、10≦xO≦36、xO≦1.5xB+1、を満たす濃度で添加されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の磁気記録媒体において、前記B濃度およびO濃度が、10≦xB≦19、11≦xO≦29、xO≦1.5xB+1、を満足していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の磁気記録媒体において、前記第1の層の母材料はCo、前記第2の層の母材料はPtであり、前記下地層はPt膜、Pd膜またはRu膜の何れかであることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の磁気記録媒体において、前記第1の層の母材料はCo、前記第2の層の母材料はPdであり、前記下地層はPt膜、Pd膜またはRu膜に何れかであることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の磁気記録媒体において、前記下地層はRu膜であり、前記軟磁性層上に、Ta層とNiFe合金層と前記Ru膜の下地層とが順次積層されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の磁気記録媒体において、前記NiFe合金層はNiFeCr層であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の磁気記録媒体において、前記軟磁性層は、アモルファスのCoZrNb膜またはCoTaZr膜、多結晶のNiFe膜またはFeSiAl膜若しくはFeTaC膜、の何れかであることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7に記載の磁気記録媒体において、前記基板はガラス基板であることを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、スパッタターゲットにボロン酸化物(B2O3−x:0≦x<3)を予め添加した混合ターゲットを用いて前記磁気記録層をスパッタ成膜するステップを備えていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1乃至8に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、スパッタターゲット上にボロン酸化物(B2O3−x:0≦x<3)のチップを載置して前記磁気記録層をスパッタ成膜するステップを備えていることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
本発明者は、記録層をスパッタ成膜する際のターゲット中に予めBの酸化物B2O3−x(0≦x<3)を添加しておきArをスパッタガスとして成膜することで、媒体ノイズの低い記録層が得られることを見出した。これは、このような方法で成膜された記録層中のBとOの濃度が従来の方法で成膜された記録層の添加濃度に比較して高いために記録層の結晶粒界に偏析する添加元素量が多くなって結晶粒子間の間隔を広げることが可能となり、結晶粒子間の磁気的相互作用のエネルギが減少することによるものと解釈される。
【0023】
これに対して従来の金属ボロンをArとO2の混合ガス中でスパッタして成膜する方法では、記録層中のBとOの濃度を高くしていくとCoあるいはPt結晶粒内に固溶するBとOが多くなることが判明した。このため、膜全体でのBとOの濃度を高くしても結晶粒界に偏析するこれらの添加元素量はほとんど増加せず、結晶粒子間の間隔も広がることがない。このために媒体ノイズの低減効果が上述した一定の添加量で飽和してS/N値も飽和してしまうこととなるものと考えられる。さらに、このような膜中のOとBの比(O/B)が1.5を超えると、Oは結晶粒界に局在するだけでなく結晶粒内に固溶し始め、結晶粒内に固溶したOは、記録層である(Co/Pt)n膜の保磁力を低下させてS/Nを低下させてしまう。このような理由により、添加されるBとOの濃度はxO≦1.5xB+1の関係を満足することが必要とされる。
【0024】
一方、本発明の方法で成膜した記録層の場合には、BやOの添加濃度を高くするとこれらの元素の結晶粒界への偏析が進行し、結晶粒内に固溶するBやOの濃度はほとんど増加しない。従って、本発明の方法では、B添加濃度が1.0at%以上、O添加濃度が0.1at%以上の場合でも、S/N改善効果が認められることとなる。
【0025】
本発明の方法により記録層を成膜する際のスパッタ方法は、DCマグネトロンスパッタ法あるいはACマグネトロンスパッタ法のどちらでも良い。ただし、BとOの添加源であるB2O3−xのターゲット中での濃度を高くしたい場合には、B2O3−xの電気抵抗値が高いためにターゲットに電荷が蓄積されて異常放電を起こし易くなるため、ACマグネトロンスパッタ法が好ましい。また、成膜時の基板加熱は必須ではないが、250℃程度までの基板加熱であれば必要に応じて実行することも可能である。
【0026】
なお、上述の方法と同様に、B酸化物B2O3−x(0≦x<3)のチップをターゲット上に配置してArガス中でスパッタ成膜しても媒体ノイズの低い記録層が得られる。
【0027】
図1は、本発明の磁気記録媒体の構成例を説明するための図で、基板としてガラス基板11を用い、このガラス基板11の上に、CoTaZr軟磁性層12と、Pt下地層13と、多層積層記録層14と、カーボン(C)保護層15とが順次積層されており、この図に示した構成例では、多層積層記録層14は、第1の層である(Co‐B2O3)膜14aと第2の層であるPt膜14bとが所望の層数だけ交互に積層されて構成されている。
【0028】
なお、この図に示した多層積層記録層14の構成では第1および第2の層の母組成を各々CoおよびPtとしたが、第2の層はPtに替えてPdを母組成として(Co‐B2O3−x/Pd‐B2O3−x)n多層積層膜としたり、第2の層にのみB2O3−xを加えた(Co/Pt‐B2O3−x)n多層積層膜としてもS/Nの大幅な改善が可能である。このような記録層中のB濃度とO濃度は、Bについて7〜23at%、Oについて10〜36at%でS/Nが大きい値を示す。また、第1の層の膜厚は0.1〜1.0nm、第2の層の膜厚は0.1〜1.0nmが好ましく、多層積層回数nは10〜30であることが好ましい。
【0029】
下地膜はPtの代わりにPd膜を用いることも可能であり、これらの下地層の膜厚は3〜20nmとすることが好ましい。さらに、Ru膜を下地層として用いることも可能であり、Ru膜の結晶配向性を向上させるためにRu下地層と軟磁性層との間にTa層とNiFe合金層(例えばNiFeCr)をこの順番で設けることもできる。なお、この場合のRu膜厚は3〜20nm、Ta膜厚は3〜10nm、NiFe合金層厚は5〜20nmが好ましい。
【0030】
軟磁性層の材料としては、アモルファスCoTaZrのほか、アモルファスCoZrNbや、NiFe、FeSiAl、FeTaCなどの多結晶を用いることが可能であり、軟磁性層の膜厚は50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
【0031】
図2は、上述の本発明の方法で成膜した記録層を備える図1に示した構成の垂直磁気記録媒体に300kFCIで信号を書き込み、この書込信号を再生した際のS/NとCo層中のB濃度との関係を説明するための図である。この図に示されているように、B濃度の増大に伴ってS/Nは増大しB濃度15at%付近で最大値を示す。B濃度は7〜23at%の濃度範囲でS/Nが改善される。同様のS/N改善効果はO添加濃度についても認められ、Oの濃度10〜36at%の範囲でS/N改善効果が認められる。特に、B濃度範囲10〜19at%、O濃度範囲11〜29at%において顕著なS/N改善効果が認められる。
【0032】
従って、本発明の磁気記録媒体の多層積層記録層を構成する第1および/または第2の層に添加されるBおよび/またはOの濃度は、xBをBの濃度(at%)、xOをOの濃度(at%)として、
7≦xB≦23 (1)
10≦xO≦36 (2)
xO≦1.5xB+1 (3)
の範囲に制御され、好ましくは、
10≦xB≦19 (4)
11≦xO≦29 (5)
xO≦1.5xB+1 (3)
の範囲に制御される。
【0033】
以下に、実施例により本発明についてさらに詳しく説明する。
(実施例1)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0034】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0035】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは18dBであった。
【0036】
(実施例2)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0037】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は7at%、O濃度は11at%である。
【0038】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは13dBであった。
【0039】
(実施例3)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0040】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は10at%、O濃度は14at%である。
【0041】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは16dBであった。
【0042】
(実施例4)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0043】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は19at%、O濃度は28at%である。
【0044】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは16dBであった。
【0045】
(実施例5)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0046】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は23at%、O濃度は33at%である。
【0047】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは13dBであった。
【0048】
(実施例6)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0049】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は23at%、O濃度は11at%である。
【0050】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは11dBであった。
【0051】
(実施例7)
スパッタ装置内で基板を100℃で加熱した後に、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0052】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は11at%である。
【0053】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは15dBであった。
【0054】
(実施例8)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、5nmのTa膜、10nmのNiFeCr膜、20nmのRu下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0055】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0056】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層、Ta膜、およびNiFeCr膜について10mtorr、Ru下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは18dBであった。
【0057】
(実施例9)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt‐B2O3)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、(Pt‐B2O3)膜の厚みは0.26nmである。
【0058】
(Co‐B2O3)膜および(Pt‐B2O3)膜は各々、CoにB2O3を混合したターゲットおよびPtにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%で、(Pt‐B2O3)層中のB濃度は14at%、O濃度はat20%である。
【0059】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt‐B2O3)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは18dBであった。
【0060】
(実施例10)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、Co膜と(Pt‐B2O3)膜とを交互に15層多層積層した(Co/Pt‐B2O3)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成するCo膜の厚みは0.44nm、(Pt‐B2O3)膜の厚みは0.26nmである。
【0061】
(Pt‐B2O3)膜は、PtにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Pt‐B2O3)層中のB濃度は14at%、O濃度は20at%である。
【0062】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co/Pt‐B2O3)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは16dBであった。
【0063】
(実施例11)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPd下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0064】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0065】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pd下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは18dBであった。
【0066】
(実施例12)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pd)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.35nm、Pd膜の厚みは0.65nmである。
【0067】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0068】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pd)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは17dBであった。
【0069】
(実施例13)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPd下地膜、(Co‐B2O3)膜とPd膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pd)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.35nm、Pt膜の厚みは0.65nmである。
【0070】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0071】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pd下地膜と(Co‐B2O3/Pd)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは17dBであった。
【0072】
以上の実施例1〜13の結果を纏めたものが表1である。
【0073】
【表1】
【0074】
何れの磁気記録媒体のS/Nも11〜18dBと高く、媒体ノイズの低減化が実現されている。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、多層積層記録層をスパッタ成膜する際のターゲット中に予めBの酸化物B2O3−x(0≦x<3)を添加しておきArをスパッタガスとして成膜することとし、記録層中の結晶粒界に偏析する添加元素量を大きくして結晶粒子間の間隔を広げて結晶粒子間の磁気的相互作用のエネルギを減少させることとしたので、媒体ノイズの低減化を図りつつ面記録密度の増大化を可能とする磁気記録媒体およびその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の構成例を説明するための図である。
【図2】本発明の方法で成膜した記録層を備える磁気記録媒体のS/NとCo層中のB濃度の関係を説明するための図である。
【符号の説明】
11 ガラス基板
12 CoTaZr軟磁性層
13 Pt下地層
14 多層積層記録層
14a (Co‐B2O3)膜
14b Pt膜
15 カーボン保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体およびその製造方法に関し、より詳細には、媒体ノイズの低減化を図りつつ面記録密度の増大化を可能とする磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固定磁気ディスクの面記録密度は年々増大し続けており、現在では約50Gb/in2の面記録密度のものが製品化されている。一方、このような固定磁気ディスクの高記録密度化に伴って、記録ビットの熱的不安定性が顕在化しはじめてきており、高い面記録密度と媒体ノイズの低減化および記録ビットの熱安定性を実現可能な垂直磁気記録媒体が求められている。
【0003】
垂直磁気記録媒体の構造は「単層媒体」と「2層媒体」とに大別され、このうち「単層媒体」は、NiPメッキを施したAl基板やガラス基板上にTi膜やTiCr膜などの下地層を設け、この下地層の上にTa、Pt、Bなどの元素が添加されたCoCr系合金の記録層を積層し、この記録層上にカーボン保護膜を設けて構成される。また、「2層媒体」は、上述の基板と下地層との間にさらに軟磁性層を設けて構成される。
【0004】
これら各層の成膜は一般的にはスパッタリングで実行され、各層の膜厚は概ね、軟磁性層300〜500nm、下地層10〜50nm、記録層30〜100nmに設定されるのが通常である。また、一般に、下地層と記録層は多結晶薄膜とされ、軟磁性層にはNiFe、FeSiAl、FeTaCなどの多結晶とCoZrNb、CoTaZrなどのアモルファスの両方が用いられる。
【0005】
CoCr系合金を記録層とする磁気記録媒体では、CoCr系合金薄膜の磁気異方性エネルギ(Ku)が比較的小さいために、へッドにより書き込まれた記録ビットの十分な熱安定性を得ることが困難である。このため、Co層とPt層とを交互にn層ずつ積層させた(Co/Pt)n多層積層膜やCo層とPd層とを交互にn層ずつ積層させた(Co/Pd)n多層積層膜を記録層として用いた垂直磁気記録媒体の開発が行なわれており、Co層の厚みを0.1〜0.3nm、Pt層(またはPd層)の厚みを0.6〜1.0nm程度と設定した磁気記録媒体で高い保磁力(Hc)と高い角型比(S)とが得られている。
【0006】
多層積層膜を記録層として用いたこのような垂直磁気記録媒体は記録ビットの熱安定性に優れる反面、媒体ノイズが比較的大きいという問題があるため、記録層を成膜するに際してボロン(B)のチップをスパッタ・ターゲットの表面に配置し、この状態でArとO2の混合ガス中でスパッタリング成膜し、ボロン(B)と酸素(O)とを記録層の結晶粒界に偏析させることにより媒体ノイズを低減させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−25032号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されている媒体ノイズの低減方法では、磁気記録媒体のS/N改善に効果のあるB添加量は1.0at%まで、O添加量も0.1at%までであり、これ以上のBやOの添加をおこなってもS/N値は飽和したままであり改善効果は認められない。
【0009】
従って、磁気記録媒体の面記録密度の向上を図るためには、面記録密度の増大化と媒体ノイズの更なる低減化とを両立させることが必要となる。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、媒体ノイズの低減化を図りつつ面記録密度の増大化を可能とする磁気記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板上に、軟磁性層と下地層と磁気記録層とカーボン保護膜とが順次積層されて構成されている磁気記録媒体であって、前記磁気記録層は、第1の層と第2の層とを交互に多数積層させた多数積層膜であり、前記第1の層と前記第2の層の少なくとも一方の層には、ボロン(B)と酸素(O)とが、xBをB濃度(at%)、xOをO濃度(at%)として、7≦xB≦23、10≦xO≦36、xO≦1.5xB+1、を満たす濃度で添加されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の磁気記録媒体において、前記B濃度およびO濃度が、10≦xB≦19、11≦xO≦29、xO≦1.5xB+1、を満足していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の磁気記録媒体において、前記第1の層の母材料はCo、前記第2の層の母材料はPtであり、前記下地層はPt膜、Pd膜またはRu膜の何れかであることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の磁気記録媒体において、前記第1の層の母材料はCo、前記第2の層の母材料はPdであり、前記下地層はPt膜、Pd膜またはRu膜に何れかであることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の磁気記録媒体において、前記下地層はRu膜であり、前記軟磁性層上に、Ta層とNiFe合金層と前記Ru膜の下地層とが順次積層されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の磁気記録媒体において、前記NiFe合金層はNiFeCr層であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の磁気記録媒体において、前記軟磁性層は、アモルファスのCoZrNb膜またはCoTaZr膜、多結晶のNiFe膜またはFeSiAl膜若しくはFeTaC膜、の何れかであることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7に記載の磁気記録媒体において、前記基板はガラス基板であることを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、スパッタターゲットにボロン酸化物(B2O3−x:0≦x<3)を予め添加した混合ターゲットを用いて前記磁気記録層をスパッタ成膜するステップを備えていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1乃至8に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、スパッタターゲット上にボロン酸化物(B2O3−x:0≦x<3)のチップを載置して前記磁気記録層をスパッタ成膜するステップを備えていることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
本発明者は、記録層をスパッタ成膜する際のターゲット中に予めBの酸化物B2O3−x(0≦x<3)を添加しておきArをスパッタガスとして成膜することで、媒体ノイズの低い記録層が得られることを見出した。これは、このような方法で成膜された記録層中のBとOの濃度が従来の方法で成膜された記録層の添加濃度に比較して高いために記録層の結晶粒界に偏析する添加元素量が多くなって結晶粒子間の間隔を広げることが可能となり、結晶粒子間の磁気的相互作用のエネルギが減少することによるものと解釈される。
【0023】
これに対して従来の金属ボロンをArとO2の混合ガス中でスパッタして成膜する方法では、記録層中のBとOの濃度を高くしていくとCoあるいはPt結晶粒内に固溶するBとOが多くなることが判明した。このため、膜全体でのBとOの濃度を高くしても結晶粒界に偏析するこれらの添加元素量はほとんど増加せず、結晶粒子間の間隔も広がることがない。このために媒体ノイズの低減効果が上述した一定の添加量で飽和してS/N値も飽和してしまうこととなるものと考えられる。さらに、このような膜中のOとBの比(O/B)が1.5を超えると、Oは結晶粒界に局在するだけでなく結晶粒内に固溶し始め、結晶粒内に固溶したOは、記録層である(Co/Pt)n膜の保磁力を低下させてS/Nを低下させてしまう。このような理由により、添加されるBとOの濃度はxO≦1.5xB+1の関係を満足することが必要とされる。
【0024】
一方、本発明の方法で成膜した記録層の場合には、BやOの添加濃度を高くするとこれらの元素の結晶粒界への偏析が進行し、結晶粒内に固溶するBやOの濃度はほとんど増加しない。従って、本発明の方法では、B添加濃度が1.0at%以上、O添加濃度が0.1at%以上の場合でも、S/N改善効果が認められることとなる。
【0025】
本発明の方法により記録層を成膜する際のスパッタ方法は、DCマグネトロンスパッタ法あるいはACマグネトロンスパッタ法のどちらでも良い。ただし、BとOの添加源であるB2O3−xのターゲット中での濃度を高くしたい場合には、B2O3−xの電気抵抗値が高いためにターゲットに電荷が蓄積されて異常放電を起こし易くなるため、ACマグネトロンスパッタ法が好ましい。また、成膜時の基板加熱は必須ではないが、250℃程度までの基板加熱であれば必要に応じて実行することも可能である。
【0026】
なお、上述の方法と同様に、B酸化物B2O3−x(0≦x<3)のチップをターゲット上に配置してArガス中でスパッタ成膜しても媒体ノイズの低い記録層が得られる。
【0027】
図1は、本発明の磁気記録媒体の構成例を説明するための図で、基板としてガラス基板11を用い、このガラス基板11の上に、CoTaZr軟磁性層12と、Pt下地層13と、多層積層記録層14と、カーボン(C)保護層15とが順次積層されており、この図に示した構成例では、多層積層記録層14は、第1の層である(Co‐B2O3)膜14aと第2の層であるPt膜14bとが所望の層数だけ交互に積層されて構成されている。
【0028】
なお、この図に示した多層積層記録層14の構成では第1および第2の層の母組成を各々CoおよびPtとしたが、第2の層はPtに替えてPdを母組成として(Co‐B2O3−x/Pd‐B2O3−x)n多層積層膜としたり、第2の層にのみB2O3−xを加えた(Co/Pt‐B2O3−x)n多層積層膜としてもS/Nの大幅な改善が可能である。このような記録層中のB濃度とO濃度は、Bについて7〜23at%、Oについて10〜36at%でS/Nが大きい値を示す。また、第1の層の膜厚は0.1〜1.0nm、第2の層の膜厚は0.1〜1.0nmが好ましく、多層積層回数nは10〜30であることが好ましい。
【0029】
下地膜はPtの代わりにPd膜を用いることも可能であり、これらの下地層の膜厚は3〜20nmとすることが好ましい。さらに、Ru膜を下地層として用いることも可能であり、Ru膜の結晶配向性を向上させるためにRu下地層と軟磁性層との間にTa層とNiFe合金層(例えばNiFeCr)をこの順番で設けることもできる。なお、この場合のRu膜厚は3〜20nm、Ta膜厚は3〜10nm、NiFe合金層厚は5〜20nmが好ましい。
【0030】
軟磁性層の材料としては、アモルファスCoTaZrのほか、アモルファスCoZrNbや、NiFe、FeSiAl、FeTaCなどの多結晶を用いることが可能であり、軟磁性層の膜厚は50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
【0031】
図2は、上述の本発明の方法で成膜した記録層を備える図1に示した構成の垂直磁気記録媒体に300kFCIで信号を書き込み、この書込信号を再生した際のS/NとCo層中のB濃度との関係を説明するための図である。この図に示されているように、B濃度の増大に伴ってS/Nは増大しB濃度15at%付近で最大値を示す。B濃度は7〜23at%の濃度範囲でS/Nが改善される。同様のS/N改善効果はO添加濃度についても認められ、Oの濃度10〜36at%の範囲でS/N改善効果が認められる。特に、B濃度範囲10〜19at%、O濃度範囲11〜29at%において顕著なS/N改善効果が認められる。
【0032】
従って、本発明の磁気記録媒体の多層積層記録層を構成する第1および/または第2の層に添加されるBおよび/またはOの濃度は、xBをBの濃度(at%)、xOをOの濃度(at%)として、
7≦xB≦23 (1)
10≦xO≦36 (2)
xO≦1.5xB+1 (3)
の範囲に制御され、好ましくは、
10≦xB≦19 (4)
11≦xO≦29 (5)
xO≦1.5xB+1 (3)
の範囲に制御される。
【0033】
以下に、実施例により本発明についてさらに詳しく説明する。
(実施例1)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0034】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0035】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは18dBであった。
【0036】
(実施例2)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0037】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は7at%、O濃度は11at%である。
【0038】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは13dBであった。
【0039】
(実施例3)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0040】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は10at%、O濃度は14at%である。
【0041】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは16dBであった。
【0042】
(実施例4)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0043】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は19at%、O濃度は28at%である。
【0044】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは16dBであった。
【0045】
(実施例5)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0046】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は23at%、O濃度は33at%である。
【0047】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは13dBであった。
【0048】
(実施例6)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0049】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は23at%、O濃度は11at%である。
【0050】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは11dBであった。
【0051】
(実施例7)
スパッタ装置内で基板を100℃で加熱した後に、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0052】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は11at%である。
【0053】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは15dBであった。
【0054】
(実施例8)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、5nmのTa膜、10nmのNiFeCr膜、20nmのRu下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0055】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0056】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層、Ta膜、およびNiFeCr膜について10mtorr、Ru下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは18dBであった。
【0057】
(実施例9)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt‐B2O3)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、(Pt‐B2O3)膜の厚みは0.26nmである。
【0058】
(Co‐B2O3)膜および(Pt‐B2O3)膜は各々、CoにB2O3を混合したターゲットおよびPtにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%で、(Pt‐B2O3)層中のB濃度は14at%、O濃度はat20%である。
【0059】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pt‐B2O3)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは18dBであった。
【0060】
(実施例10)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、Co膜と(Pt‐B2O3)膜とを交互に15層多層積層した(Co/Pt‐B2O3)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成するCo膜の厚みは0.44nm、(Pt‐B2O3)膜の厚みは0.26nmである。
【0061】
(Pt‐B2O3)膜は、PtにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Pt‐B2O3)層中のB濃度は14at%、O濃度は20at%である。
【0062】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co/Pt‐B2O3)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは16dBであった。
【0063】
(実施例11)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPd下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pt)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.44nm、Pt膜の厚みは0.26nmである。
【0064】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0065】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pd下地膜と(Co‐B2O3/Pt)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは18dBであった。
【0066】
(実施例12)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPt下地膜、(Co‐B2O3)膜とPt膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pd)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.35nm、Pd膜の厚みは0.65nmである。
【0067】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0068】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pt下地膜と(Co‐B2O3/Pd)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは17dBであった。
【0069】
(実施例13)
基板加熱なしの条件で、ガラス基板上に、200nmのCoTaZr軟磁性層、10nmのPd下地膜、(Co‐B2O3)膜とPd膜とを交互に15層多層積層した(Co‐B2O3/Pd)15記録層を順次成膜して垂直磁気記録媒体を作製した。なお、多層積層記録層を構成する(Co‐B2O3)膜の厚みは0.35nm、Pt膜の厚みは0.65nmである。
【0070】
(Co‐B2O3)膜は、CoにB2O3を混合したターゲットを用いたRFマグネトロン・スパッタ法で成膜し、得られた(Co‐B2O3)層中のB濃度は15at%、O濃度は21at%である。
【0071】
また、各成膜時のスパッタガス圧は、CoTaZr軟磁性層について10mtorr、Pd下地膜と(Co‐B2O3/Pd)15膜についてはともに56mtorrである。
このようにして得られた垂直磁気記録媒体のS/Nは17dBであった。
【0072】
以上の実施例1〜13の結果を纏めたものが表1である。
【0073】
【表1】
【0074】
何れの磁気記録媒体のS/Nも11〜18dBと高く、媒体ノイズの低減化が実現されている。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、多層積層記録層をスパッタ成膜する際のターゲット中に予めBの酸化物B2O3−x(0≦x<3)を添加しておきArをスパッタガスとして成膜することとし、記録層中の結晶粒界に偏析する添加元素量を大きくして結晶粒子間の間隔を広げて結晶粒子間の磁気的相互作用のエネルギを減少させることとしたので、媒体ノイズの低減化を図りつつ面記録密度の増大化を可能とする磁気記録媒体およびその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の構成例を説明するための図である。
【図2】本発明の方法で成膜した記録層を備える磁気記録媒体のS/NとCo層中のB濃度の関係を説明するための図である。
【符号の説明】
11 ガラス基板
12 CoTaZr軟磁性層
13 Pt下地層
14 多層積層記録層
14a (Co‐B2O3)膜
14b Pt膜
15 カーボン保護層
Claims (10)
- 基板上に、軟磁性層と下地層と磁気記録層とカーボン保護膜とが順次積層されて構成されている磁気記録媒体であって、
前記磁気記録層は、第1の層と第2の層とを交互に多数積層させた多数積層膜であり、
前記第1の層と前記第2の層の少なくとも一方の層には、ボロン(B)と酸素(O)とが次式を満たす濃度で添加されていることを特徴とする磁気記録媒体。
xBをB濃度(at%)、xOをO濃度(at%)として、
7≦xB≦23
10≦xO≦36
xO≦1.5xB+1 - 前記B濃度およびO濃度が次式を満足していることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
10≦xB≦19
11≦xO≦29
xO≦1.5xB+1 - 前記第1の層の母材料はCo、前記第2の層の母材料はPtであり、
前記下地層はPt膜、Pd膜またはRu膜の何れかであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。 - 前記第1の層の母材料はCo、前記第2の層の母材料はPdであり、
前記下地層はPt膜、Pd膜またはRu膜に何れかであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。 - 前記下地層はRu膜であり、
前記軟磁性層上に、Ta層とNiFe合金層と前記Ru膜の下地層とが順次積層されていることを特徴とする請求項3または4に記載の磁気記録媒体。 - 前記NiFe合金層はNiFeCr層であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体。
- 前記軟磁性層は、
アモルファスのCoZrNb膜またはCoTaZr膜、多結晶のNiFe膜またはFeSiAl膜若しくはFeTaC膜、の何れかであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の磁気記録媒体。 - 前記基板はガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至7に記載の磁気記録媒体。
- 請求項1乃至8に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、
スパッタターゲットにボロン酸化物(B2O3−x:0≦x<3)を予め添加した混合ターゲットを用いて前記磁気記録層をスパッタ成膜するステップを備えていることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 請求項1乃至8に記載の磁気記録媒体の製造方法であって、
スパッタターゲット上にボロン酸化物(B2O3−x:0≦x<3)のチップを載置して前記磁気記録層をスパッタ成膜するステップを備えていることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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JP2002375403A JP2004206804A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 磁気記録媒体およびその製造方法 |
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-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002375403A patent/JP2004206804A/ja active Pending
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