JP4079051B2 - 垂直磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関し、より詳細には、高記録密度で記録再生特性に優れる垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のパーソナル・コンピュータやワークステーションには、記憶装置として、大容量で小型の磁気記録装置が搭載されるようになってきている。このような背景から、磁気ディスクにはさらなる高記録密度化が要求されている。
現在実用化されている磁気記録方式は、磁化容易軸が磁気記録媒体面に平行となる「面内(長手)磁気記録方式」である。この面内磁気記録方式において記録密度を向上させるためには、記録媒体が備える磁性膜の残留磁化(Br)と磁性層膜厚(t)との積を小さくする必要があることに加え、保磁力(Hc)も増大させる必要がある。このため、磁性膜の膜厚を薄くして結晶粒径を制御するための試みがなされている。
【0003】
しかしながら、面内磁気記録方式においては、ビット長の短縮化に伴って反磁界が増加し残留磁束密度が減少するために再生出力が低下するという問題があり、さらに、結晶粒の微細化や磁性膜の薄膜化に伴って顕在化してくる「熱揺らぎ問題」もある。このような理由から、現在では、面内磁気記録方式によって磁気ディスクをさらに高密度化することは技術的に困難であると予想されている。
一方、これらの問題を解決しつつ面記録密度を向上させるために「垂直磁気記録方式」が検討されている。垂直磁気記録方式では、磁性膜の磁化容易軸が基板面に対し垂直方向に配向するように磁気記録媒体を設計するため、磁化遷移領域において隣接する磁化同士が相互に向き合うことがなく、ビット長が短くなっても磁化が安定で、かつ、磁束の減少もなく、高密度磁気記録媒体の磁気記録方法として適している。
【0004】
このような利点の反面、垂直磁気記録媒体には、磁性層中の磁性粒間の領域への非磁性物質の偏析が充分に行なわれず、その結果、磁性粒間の磁気的相互作用が大きくなり、媒体ノイズが高くなり易いという問題がある。したがって、非磁性物質の粒界偏析を促進可能な材料制御技術を開発することにより、媒体ノイズを低減させ、SN比を向上させた上で高密度記録化を達成することが求められている。
このための公知の垂直磁気記録媒体の構成としては、例えば、アルミやガラス等の非磁性基板上に軟磁性の裏打ち層を形成し、その上に磁性層を垂直に配向させるための下地層を形成し、さらに、その上に垂直磁気記録層と保護層を形成するという「2層垂直磁気記録媒体」が知られており(例えば、特許文献1参照)、この垂直磁気記録層として、Co‐Cr、Co‐Cr‐Ta、Co‐Cr‐PtなどのCo基合金からなる垂直磁化膜、Pt/CoやPd/Coなどの多層積層垂直磁化膜、Tb‐CoやTb‐Fe‐Coなどの非晶質垂直磁化膜、などの多くの膜構成が検討されており、なかでも、Pt/CoやPd/Coなどの多層積層垂直磁化膜は垂直磁気異方性が大きく、熱安定性が高く、保磁力が大きく、さらに、角型比も容易に1.0近傍の値が得られることなどの理由により、将来の高記録密度媒体として盛んに研究されている(例えば、特許文献2および3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−203306号公報
【特許文献2】
特開2002−025032号公報
【特許文献3】
特開2001−155329号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の多層膜構成の垂直磁気記録媒体の媒体ノイズ低減のレベルは未だ不充分であり、媒体ノイズをより低いものとすることで更なる記録再生特性の向上を図る必要がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、媒体ノイズの低減を図り、高記録密度で記録再生特性に優れる垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、非磁性の基板上に磁性層を備えている垂直磁気記録媒体であって、前記磁性層は、磁性を有する第1の層であるCo層と非磁性の第2の層であるPt層またはPd層とを交互に多層積層して構成され、当該第1の層には、Si酸化物が1〜15mol%の濃度範囲で添加され、前記磁性層と前記基板との間に下地層を備え、前記磁性層は当該下地層の直上に設けられ、前記下地層は、表面に酸素を吸着させたRu膜であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の垂直磁気記録媒体において、前記第2の層はPt層であり、前記第1および第2の層中にはともにSi酸化物が添加され、前記第1の層であるCo層中のSi酸化物添加量が5〜11mol%、前記第2の層であるPt層中のSi酸化物添加量が1〜8mol%であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の垂直磁気記録媒体において、前記第1の層および第2の層の各々は、0.2〜0.8nmおよび0.05〜1.2nmの厚みを有していることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の垂直磁気記録媒体において、前記下地層の厚みは、1〜20nmであることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の垂直磁気記録媒体において、前記基板と前記下地層との間に当該下地層の結晶配向を制御するための配向制御層を備えていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の垂直磁気記録媒体において、前記配向制御層は、第1の配向制御層と第2の配向制御層とを積層して構成されており、当該第2の配向制御層の組成が、前記下地層をc軸結晶配向するように設定されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の垂直磁気記録媒体において、前記第1の配向制御層はTa層であり、前記第2の配向制御層はNiFeCr層、NiFeNbB層またはNiFeSi層のうちの何れかであることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の垂直磁気記録媒体において、前記第1の配向制御層の厚みは1〜10nm、前記第2の配向制御層の厚みは5〜20nmの範囲に設定されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項乃至の何れかに記載の垂直磁気記録媒体において、前記非磁性基板と前記第1の配向制御層との間に、軟磁性の裏打ち層が設けられていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項に記載の垂直磁気記録媒体において、前記裏打ち層は、CoZrNbまたはCoZrTa合金組成を有し、50〜400nmの膜厚であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、垂直磁気記録媒体の製造方法であって、非磁性の基板上に、磁性を有する第1の層であるCo層と非磁性の第2の層であるPt層またはPd層を交互に多層積層して磁性層を成膜するステップを備え、当該当該第1の層の成膜は、Si酸化物が1〜15mol%の濃度範囲で添加されているターゲットを用いてスパッタ法により実行され、前記磁性層成膜に先立ち、前記基板上に、Ru膜からなる下地層をスパッタ成膜するステップを備え、前記下地層の成膜後、前記磁性層の成膜前に、前記下地層の表面を、質量流量比1〜10%の酸素を混合したガス圧0.1〜10PaのArガス中に1〜20秒間曝して前記下地層の表面に酸素を吸着させるステップを備えていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の垂直磁気記録媒体の基本的な構成例を説明するための概念図で、Alやガラスなどの非磁性の基板1上に、裏打ち層2と配向制御層(3および4)と下地層5と垂直配向した磁性層6とが順次積層され、磁性層6の上には保護層7が設けられている。
本発明の垂直磁気記録媒体の基本的特徴は、磁性層6をCo層とPt層とを多層に積層させた多層積層膜で基本構成し、かつ、これらCo層とPt層の双方もしくは何れか一方にSiなどの元素の酸化物を添加し、かかる構成の磁性層6を、磁性層6を構成する磁性粒相互間の磁気的相互作用を小さくするために設けられた下地層5上に形成するようにした点である。ここで、下地層5は好ましくは、Pt膜、Ru膜、Pd膜、Pt/Pd積層膜などで構成される。また、磁性層6に添加される酸化物の組成は好ましくは化学量論比を満足するものとされ、例えばSi酸化物を添加する場合にはSiO(0<x≦2)の組成を有するが好ましくはSiOである。図1に示されている裏打ち層2と配向制御層(3および4)は、垂直磁気記録媒体の特性向上のために下地層5と基板1との間に付加することが好ましい層であり、これらの層を備えない構成の垂直磁気記録媒体とすることも可能である。
【0014】
より具体的に説明すると、下地層5はPtやRuなどの膜からなり、その厚さは例えば1〜20nmの範囲とされる。なお、下地層5の表面に酸素吸着処理を施した後に磁性層6を形成することとすると、磁性層6の磁気特性を更に高めることが可能となる。すなわち、下地層5の表面に酸素吸着させると、この下地層5の上に形成される磁性層6の磁性粒間の磁気的相互作用が抑制され、Hc付近での磁化曲線の傾きが緩やかとなり、記録再生が容易化するという利点がある。
磁性層6は、Co/Ptの多層積層膜で基本構成されており、この多層積層膜を構成する第1の層6aであるCo層と第2の層6bであるPt層の双方には、Si酸化物(SiOx)が添加されて、Co−SiO2/Pt−SiO2などの組成を有する多層積層膜とされる。Si酸化物は1〜15mol%の濃度範囲で添加されることが好ましく、例えば、Co層へのSi酸化物添加量を5〜11mol%、Pt層へのSi酸化物添加量を1〜8mol%とする。
【0015】
なお、上記説明ではCo層とPt層の双方にSi酸化物を添加することとしたが、既に説明したように、Co層またはPt層の何れかにのみSi酸化物を添加するようにしてもよい。また、磁性層6をCo/Ptの多層積層膜で構成するかわりにCo/Pdの多層積層膜で構成するようにしてもよい。Co/Pd多層積層構成とする場合も、Co層とPd層の双方にSi酸化物を添加してもよく、Co層またはPd層の何れかにのみSi酸化物を添加するようにしてもよい。さらに、Si酸化物にかえて(あるいはSi酸化物とともに)、Ru、Ta、Nb、Mo、Mn、Cr、Niのうちの少なくとも1つの元素または酸化物を添加するようにしてもよい。
本発明の垂直磁気記録媒体において、表面に酸素吸着させた下地層5を設けるのは、この下地層5上に形成される磁性層6の保磁力(Hc)付近の磁化曲線の傾きを制御するためであり、磁性層6にCo/Ptの多層積層膜を用いるのは、Co‐Cr合金などの磁性層に比較してHcが大きく角形比が容易に1となり、界面磁気異方性を利用して大きな結晶磁気異方性が得られるからである。また、これらの多層積層膜を構成するCo層とPt層の双方もしくは一方にSi酸化物を添加するのは、Co/Ptの多層積層膜による媒体のHcの更なる向上と共に記録再生特性を向上させるためである。すなわち、Si酸化物を添加することでCo層および/またはPt層を構成する磁性粒間に非磁性のSi酸化物を偏析させて個々の磁性粒の微細化・孤立化し、ノイズ特性の向上を図っている。その際、Si酸化物の添加量を増加するとHcが低下するので、その添加量を制御することにより、Si酸化物を添加しないCo/Ptなどの磁性層に比べてノイズ特性を向上させると共にCo‐Cr合金などの磁性層に比べてHcを大きくすることができ、高記録密度化を可能としている。
【0016】
磁性層6を構成する各層の厚みは、目的とする磁気特性に応じて変更可能であるが、例えば、Co層の膜厚は0.2〜0.8nm、Pt層の膜厚は0.05〜1.2nmであり、好ましくは、Co層の膜厚を0.2〜0.5nm、Pt層の膜厚を0.05〜0.25nmの範囲に設定する。なお、この磁性層6はAr、Kr、Xeまたはこれらの混合ガスなどをスパッタガスとして用いてスパッタリング法で成膜される。スパッタガスは、酸素ガスを質量流量比0.05〜0.5%の範囲で添加するようにしてもよい。
配向制御層(3および4)は、下地層5の結晶配向性(c軸配向性)を高めるために設けられるもので、好ましくは、第1の配向制御層3であるTa層と第2の配向制御層4であるNiFeCr層とを積層させた2層構造として構成される。なお、第2の配向制御層はNiFeNbB層やNiFeSi層であってもよい。下地層5のc軸配向性を高めることで、この下地層5の上に設けられる磁性層6の結晶配向性も向上し磁気特性を更に高めることが可能となる。例えば、Ta層とNiFeCr層の2層構造として構成する場合には、Ta層およびNiFeCr層の膜厚は各々、1〜10nmおよび5〜20nmとすることが好ましく、NiFeCr層の組成をNiが50〜70at%、Feが10〜20at%、Crが20〜30at%の範囲として下地層5であるRu膜などの結晶性と配向性とを低下させないように適正に設定される。
【0017】
裏打ち層2は、記録ヘッドでの書き込み能力を増大させるために設けられるもので、例えば、50〜400nmの厚みの軟磁性膜であり、その組成は例えばCoZrNbやCoZrTaの組成とすることができる。
以下に、参考例としての実施例1,2を含む実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では、基板1をガラス基板、裏打ち層2をCoZrNb膜、下地層5をPt膜、保護層7をカーボン膜とし、磁性層6を、CoNi−SiO2組成の第1の層6aであるCo層とPt組成の第2の層6bであるPt層6bとを多層積層して構成した例について説明する。
この垂直磁気記録媒体の製造方法は以下のとおりである。基板1は厚み1mmで直径3.5インチのガラス基板であるが、その径や厚さは本質的ではなく、基板1としてNi−Pメッキされ適切なテクスチャーが形成されたAl基板などでもよい。
【0018】
基板1を充分に洗浄したのちに、CoZrNb膜を成膜して裏打ち層2をスパッタリング法により形成する。本実施例で用いたスパッタターゲットは、87at%Co‐5at%Zr‐8at%Nb組成である。スパッタガスとしてはArガスを用い、Arガス圧約1Paで室温にて約200nmの厚さに成膜した。なお、CoZrNb膜は、室温成膜した非晶質状態でも充分な軟磁気特性を有する。
このCoZrNb膜の上に連続して、Ptの下地層5をスパッタ成膜する。用いたターゲットは純Ptである。Krガスに質量流量比4%のArガスと質量流量比0.2%のOガスを混合した混合ガスでスパッタを行い、膜厚約10nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約5Paである。
【0019】
次に、このPtの下地層5の上に、CoNi−SiO/Pt多層積層膜からなる磁性層6をスパッタリングにより形成する。用いたターゲット組成は、Co層については95at%Co−5at%Ni組成の合金に10mol%のSiOを添加したものであり、Pt層については純Ptである。これら2つのターゲットを同時に放電してスパッタさせながら回転することで、CoNi−SiO層とPt層とを交互に積層させる。具体的には、KrまたはXeガスに質量流量比4%のArガスと質量流量比0.2%のOガスを混合した混合ガスでスパッタを行い、膜厚はCoNi−SiO層が0.45nm、Pt層が0.4nmである。成膜されるCoNi−SiO層の組成は、用いたターゲットの組成を反映して、90mol%(95at%Co−5at%Ni)−10mol%SiOとなる。なお、この成膜は室温で行っており、ガス圧は5Paである。
【0020】
最後に、磁性層6の最表面に保護層7としてカーボン膜をスパッタリング法により形成する。ターゲットをカーボン、スパッタガスをArガスとし、膜厚約7nmで成膜した。なお、成膜温度は室温、Arガス圧は約1Paである。
図2〜4は、磁性層6の成膜時のスパッタガスが磁性層6の特性に与える影響を調べた結果を説明するための図で、図2は、純Co層(すなわち、NiおよびSiOは添加していない)と純Pt層とを、Ar、Kr、または、Xeガスをスパッタガスとして多層積層させた膜の、Pt層膜厚と保磁力との関係を示す図で、この図において、縦軸が保磁力Hc、横軸がPt膜厚である。
Arガスを用いてスパッタ成膜するとPt膜厚0.2nmのときに最大保磁力約4000Oeを示すが、Krガスを用いるとPt膜厚0.75nmで最大保磁力約4800Oeが得られ、Xeガスを用いるとPt膜厚1.0nmで最大保磁力約6000Oeが得られる。このように、スパッタガスの種類により最大保磁力を与えるPt膜厚が異なり、スパッタガスとしてKrやXeを用いることとすれば、Arガスを用いる場合よりも高い保磁力を有する垂直磁気記録媒体が作製可能であることが分る。
【0021】
図3は、純Co層と純Pt層とを、Ar、Kr、または、Xeガスをスパッタガスとして多層積層させた磁性層6を備えた媒体の、磁化曲線のHc付近の傾き(α)のPt層膜厚依存性を説明するための図で、この図において、縦軸が傾きα、横軸がPt膜厚である。磁化曲線の傾きαは、磁性層6を構成する磁性粒相互間の磁気的な相互作用の大きさを示す指標であり、この値が小さい方が好ましいとされる。
Arガスでスパッタ成膜したものはα値が3以上であるのに対して、KrやXeガスを用いてスパッタ成膜するとα値は略1となり、磁性粒間の磁気的相互作用が低減されているのがわかる。すなわち、KrやXeガスを用いて磁性層6をスパッタ成膜すると、磁性粒相互間の磁気的相互作用を抑制することができ、その結果、媒体ノイズが低減されることを意味している。
【0022】
図4は、純Co層と純Pt層とを、Ar、Kr、または、Xeガスをスパッタガスとして多層積層させた膜の、保磁力Hcのスパッタガス圧依存性を説明するための図で、この図において、縦軸が保磁力、横軸がガス圧である。これらのCo層とPt層の各厚みは、各ガス種の最大保磁力が得られる膜厚の近傍とし、具体的には、Arの場合はCo層を0.44nm、Pt層を0.26nmとし、Xeの場合はCo層を0.43nm、Pt層を0.87nmとし、Krの場合はCo層を0.44nm、Pt層を0.72nmの膜厚とした。
Arガスの場合は、10Paまでの圧力範囲ではガス圧が高いほどHcも高くなる。これに対して、Krガスの場合は最大保磁力を示す圧力が6.5Paとなり、Xeガスでは5Paのガス圧で最大保磁力が得られる。また、KrガスとXeガスの場合には、最大保磁力そのものの値もArガスの場合よりも高くなることがわかる。
【0023】
表1は、Ar、Kr、Xeの各スパッタガスを用いて成膜した磁性層6を備える垂直磁気記録媒体の結晶磁気異方性を評価した結果を纏めたものである。結晶磁気異方性定数(Ku)が大きいほどその媒体は熱安定性が高く優れたものとなる。
【0024】
【表1】
Figure 0004079051
【0025】
この表に示すように、Arガスに比較して、KrガスやXeガスを用いてスパッタ成膜した磁性層6を備える媒体は高い結晶磁気異方性を示すことがわかる。
表2は、磁気力顕微鏡(MFM)を用いて測定した、各媒体の磁性層6の磁気クラスタサイズを纏めた結果であり、磁気クラスタサイズが小さいほど高記録密度に有利になる。
【0026】
【表2】
Figure 0004079051
【0027】
この表から分るように、Arガスに比べてKrガスやXeガスをスパッタガスとして用いることで磁気クラスタサイズを小さくすることができ、記録密度の向上に有利である。すなわち、磁性層6の成膜に際しては、KrガスやXeガスをスパッタガスとして用いることにより、垂直磁気記録媒体の磁気特性の向上を図ることが可能となる。
以上説明した結果をもとに、スパッタガスとしてKrガスを選び、Co層に上述した種々の元素を添加させて記録再生特性の向上を図ることとした。
図5は、磁性層6の成膜時のスパッタガス中に酸素ガスを添加する効果を説明するための図で、磁性層を構成するCo層に、Ni、Ta、Nb、Mo、Mn、Cr、Siの各元素を添加するとともに、スパッタガスであるKrガスに質量流量比0〜0.2%の酸素ガスを添加してスパッタを行って作製した垂直磁気記録媒体の保磁力の酸素添加量依存性で、この図において、縦軸が保磁力、横軸が酸素添加量である。
【0028】
保磁力の酸素添加量依存性は添加元素の種類によって異なるものの、酸素添加により保磁力が向上することが確認される。これは、添加元素が雰囲気中の酸素により酸化されて酸化物を形成してCo粒子間に析出する結果、Co粒子相互間の磁気的相互作用が低減されたものと考えられ、この事実は後述する記録再生特性の向上にも寄与し得るものである。
図6は、Co層に5at%Niを添加した層(95at%Co−5at%Ni層)をPt層と多層積層させた磁性層を備える垂直磁気記録媒体(媒体A)、および、95at%Co−5at%Ni層にSiOを10mol%添加した層(90mol%(95at%Co−5at%Ni)−10mol%SiO)をPt層と多層積層した磁性層を備える垂直磁気記録媒体(媒体B)の記録再生特性(SN特性)を説明するための図で、この図の縦軸はSN比(SNR)、横軸は線記録密度である。また、比較のため、純Co層とPt層を多層積層した磁性層を備える垂直磁気記録媒体(媒体C)の記録再生特性(SN特性)も同時に示している。なお、これらの媒体の磁性層はすべて、Krガスに質量流量比0.2%の酸素ガスを添加してスパッタ成膜したものであり、記録再生特性の評価は面内媒体用のリングヘッドを用いて実行した。
【0029】
媒体Cでは400kFCI程度の記録密度までしか記録再生できないが、媒体Aでは媒体Cに比べて200kFCI以上の領域でSNRが顕著に向上しており、550kFCIまでは充分に記録再生が行えることが確認された。また、媒体Bでは媒体AよりもさらにSNRが改善されている。このように、Co層にNiやSiOなどの金属や酸化物を添加することで記録再生特性が向上し、記録密度の向上に効果的であることが確認された。
(実施例2)
本実施例では、磁性層6をCoRu/Pt多層積層構造とし、裏打ち層2としてCoZrNb膜を用いた垂直磁気記録媒体を作製した。
この垂直磁気記録媒体の製造方法は以下のとおりである。基板1は厚み1mmで直径3.5インチのガラス基板としたが、その径や厚さは本質的ではなく、基板1としてNi−Pメッキされ適切なテクスチャーが形成されたAl基板などでもよい。
【0030】
基板1を充分に洗浄したのちに、CoZrNb膜を成膜して裏打ち層2をスパッタリング法により形成する。本実施例で用いたスパッタターゲットは、87at%Co−5at%Zr−8at%Nbの組成である。スパッタガスとしてArガスを用い、Arガス圧約1Paで室温にて約200nmの厚さに成膜した。なお、CoZrNb膜は、室温成膜した非晶質状態でも充分な軟磁気特性を有する。
このCoZrNb膜の上に連続して、Ptの下地層5をスパッタ成膜する。用いたターゲットは純Ptである。Krガスに質量流量比4%のArガスおよび質量流量比0.2%のOガスを混合させた混合ガスでスパッタを行い、膜厚約10nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約5Paである。
【0031】
次に、このPtの下地層5の上に、CoRu/Pt多層積層膜からなる磁性層6をスパッタリングにより形成する。用いたターゲット組成は、Co層について95at%Co−5at%Ru、Pt層について純Ptであり、これらのターゲットを同時に放電してスパッタさせながら回転することでCoRu層とPt層とを交互に積層させる。Krガスに質量流量比4%のArガスと質量流量比0.2%のOガスを混合した混合ガスでスパッタを行い、膜厚はCoRu層が0.45nm、Pt層が0.8nmである。なお、この成膜は室温で行っており、ガス圧は5Paである。
最後に、磁性層6の最表面に保護層7としてカーボン膜をスパッタリング法により形成する。ターゲットをカーボン、スパッタガスをArガスとし、膜厚約7nmで成膜した。なお、成膜温度は室温、Arガス圧は約1Paである。
【0032】
図7は、Co層に5at%のRuを添加した層(95at%Co−5at%Ru層)をPt層と多層積層させた磁性層を備える垂直磁気記録媒体(媒体D)、および、95at%Co−5at%Ru層にOを0.2mol%添加した層(99.8mol%(95at%Co−5at%Ru)−0.2mol%O)層)をPt層と多層積層させた磁性層を備える垂直磁気記録媒体(媒体E)の記録再生特性(SN特性)を説明するための図で、この図の縦軸はSNR、横軸は線記録密度である。また、比較のため、純Co層とPt層を多層積層させた磁性層を備える垂直磁気記録媒体(媒体F)の記録再生特性(SN特性)も同時に示している。なお、これらの媒体の磁性層はすべて、Krガスに質量流量比0〜0.2%の酸素ガスを添加してスパッタ成膜したものであり、記録再生特性の評価は面内媒体用のリングヘッドを用いて実行した。
【0033】
媒体Fでは500kFCI程度の記録密度までしか記録再生できていないが、媒体Dでは媒体Fに比べてSNRが向上しており、500kFCIまでは充分に記録再生が行えることが確認された。また、媒体Eでは媒体DよりもさらにSNRが改善されている。
このように、Co層にRuを添加すること、または、同時にOを添加することで記録再生特性が向上し、記録密度の向上に効果的であることが確認された。
(実施例3)
本実施例の垂直磁気記録媒体は、図1に示したとおり、Alなどの非磁性の基板1上に、軟磁性の裏打ち層2と、第1の配向制御層3と、第2の配向制御層4と、下地層5と、多層積層構造の磁性層6と、カーボンの保護層7とが順次積層されて構成されている。
【0034】
磁性層6として第1の層6aであるCo‐SiO2層と第2の層6bであるPt層とを交互に多層積層されたCo‐SiO2/Ptを用いることとし、CoにSiO2を添加することでCo粒子間に非磁性のSiO2を偏析させてCo粒子の微細化・孤立化を図っている。このCo‐SiO2層中のSiO2添加量は、好ましくは2〜15mol%、更に好ましくは5〜11mol%と設定される。
また、下地層5として、表面に酸素吸着させたRu下地層を用いることにより、Hc付近での磁化曲線の傾きを緩やかにして垂直磁性層の粒子間の磁気的相互作用を小さくし、記録再生を容易化している。
さらに、Ruの下地層5の結晶をc軸配向させて保磁力を向上させることを目的として、結晶配向制御用に第1の配向制御層3としてTa層、第2の配向制御層4としてNiFeCr層を用いる。この場合のNiFeCr層の組成は、NiFeCr層上に設けられるRuの下地層5の結晶性向上と結晶配向制御性を低下させない範囲で適宜選択され、例えば、50〜70at%Ni−10〜20at%Fe−20〜30at%Crの範囲で設定される。
【0035】
また、各層の厚みは、好ましくは、第1の配向制御層3の膜厚は1〜10nm、第2の配向制御層4の膜厚は5〜15nm、下地層5の膜厚は10〜20nm、Co‐SiO層の膜厚は0.2〜0.8nm、そして、Pt層の膜厚は0.1〜1nmの範囲で設定される。
これらの層に加え、非磁性の基板1と第1の配向制御層3との間に軟磁性のCoZrTaの裏打ち層2を膜厚50〜400nmの範囲で設けることで記録ヘッドでの書込能力を増大させることを可能としている。
以下に、上記構成の垂直磁気記録媒体の製造方法について説明する。用いる非磁性の基板は3.5インチ径の厚み1mmのAl基板であるがその径や厚さは本質的ではなく、基板としてガラス基板を用いてもよい。
【0036】
基板を充分に洗浄したのちに、軟磁性のCoZrTaをスパッタ成膜して裏打ち層とする。ここで用いたターゲットは92at%Co‐5at%Zr‐3at%Taの組成である。スパッタガスとしてArガスを用い、約1Paのガス圧下で室温にて約200nmの厚さに成膜した。なお、CoZrTaは室温成膜した非晶質状態でも充分な軟磁気特性を有する。
このCoZrTa膜の上に、連続して、Taの第1の配向制御層3をスパッタ成膜する。用いたターゲットは純Taである。Arガスでスパッタを行い膜厚約5nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約1Paである。
このTa膜の上に、連続して、NiFeCrの第2の配向制御層4をスパッタ成膜する。用いたターゲットの組成は60at%Ni−15at%Fe−25at%Crである。Arガスでスパッタを行い膜厚約10nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約1Paである。
【0037】
このNiFeCr膜の上に、下地層5であるRu膜をスパッタ成膜する。用いたターゲットは純Ruである。Arガスでスパッタを行い膜厚約20nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約4Paである。このようにして成膜したRu下地層の表面を、0.1〜10Paの圧力下でArガスに質量流量比1〜10%のOガスを混合させた雰囲気中に1〜20秒程度曝してRu表面に適度な量の酸素を吸着させた。
次に、このRuの下地層5の上に、Co−SiO/Pt多層積層膜からなる垂直配向した磁性層6をスパッタリングにより形成する。用いたターゲットは、Coに9mol%のSiOを添加させた組成(91mol%Co−9mol%SiO)のターゲット、および、純Ptである。これらの2つのターゲットを同時に放電してスパッタさせながら回転させることで、Co−SiO層とPt層とを交互に積層させる。なお、成膜されたCo−SiO層の組成は、用いたターゲットの組成を反映して91mol%Co−9mol%SiOである。Arガスでスパッタを行い、膜厚はCo−SiO層が0.3nm、Pt層が0.1nmである。なお、この成膜は室温で行っており、ガス圧は5Paである。
【0038】
最後に、磁性層6の最表面に保護層7として窒素ドープのカーボン(C:N)膜をスパッタリング法により膜厚約7nmで成膜した。なお、成膜温度は室温、Arガス圧は約1Paである。
図8は、本発明の垂直磁気記録媒体が備える結晶配向制御層の効果を説明するための図で、第1および第2の配向制御層であるTa層およびNiFeCr層を順次成膜した上にRuの下地層5を成膜し、さらにCo−SiO/Pt多層積層構造の磁性層6を成膜した試料から得られたX線回折パターンである。この図から、Ruの下地層5からは(002)面からのみの回折が認められ、配向制御層(3および4)がRuの下地層5をc軸配向させるのに有効に作用していることが分る。
【0039】
図9は、Ruの下地層5表面に酸素を吸着させる効果を説明するための図で、上述した方法で作製された本発明の垂直磁気記録媒体の実施例から得られた磁化曲線である。横軸の単位はOe、縦軸の単位はemuである。この図において、保磁力Hc付近の磁化曲線の傾きは小さく、磁性層を構成する磁性粒間の磁気的相互作用が小さくなっていることを示している。すなわち、Ru下地層5の表面に酸素を吸着させることにより、記録再生が容易化されるという効果を奏する。
表3は、本実施例のCo‐SiO2/Pt磁性層を備える媒体の保磁力(Hc)、角形比(S)、飽和磁化(Ms)、逆磁区核形成磁界(Hn)、磁化曲線の傾き(α)を、Coにボロン(B)を添加したCo−B層とPt層を積層したCo−B/Pt磁性層(従来品)を備える媒体の保磁力と比較した結果を纏めたものである。なお、Co−B/Pt磁性層の下地層としてはPt層を用いた。
【0040】
【表3】
Figure 0004079051
【0041】
Co‐SiO/Pt磁性層の保磁力は、Co−B/Pt磁性層の保磁力に比較して1000Oe以上高く、また、磁化曲線の傾き(α)も8.5から1.8へと大きく低下している。すなわち、Ru下地層5の上にCo‐SiO層とPt層とを交互に多層積層させることで、高い保磁力と緩やかな磁化曲線の傾きとを同時に可能とする垂直磁気記録媒体を得ることができる。
表4は、これらの2つの垂直磁気記録媒体の結晶磁気異方性を評価した結果を纏めたもので、結晶磁気異方性定数(Ku)が大きいほど媒体の熱安定性が高いことを意味する。
【0042】
【表4】
Figure 0004079051
【0043】
この表から分るように、Co‐SiO/Pt磁性層のKuは、Co−B/Pt磁性層のKuに比較して僅かながらではあるが高く、熱安定性が向上していることが分る。このように、本発明の垂直磁気記録媒体は、従来の垂直磁気記録媒体に比較して優れた磁気特性を示すことが理解できる。
図10は、従来品と上記本発明品の各々の記録再生特性である再生出力を説明するための図で、このグラフの横軸は線記録密度であり、縦軸はTAA(Track Average Amplitude)である。この評価には、面内媒体用のリングヘッドを用いている。Pt下地層の上にCo−B層とPt層とを積層させた従来品では、400kFCI程度の記録密度までしか再生できていないのに対して、Ru下地層の上にCo−SiO層とPt層とを積層させた磁性層を備える媒体では、540kFCI以上でも再生信号が検出されており、高い線記録密度まで再生可能なことが分る。
【0044】
図11は、従来品と上記本発明品の記録再生特性である媒体ノイズを説明するための図で、このグラフの横軸は線記録密度であり、縦軸はノイズである。この評価にも面内媒体用のリングヘッドを用いている。Pt下地層の上にCo−B層とPt層とを積層させた従来品では、200kFCI以上になるとノイズ出力が低下しており、充分な記録再生が行われていないことを示しておりノイズ自体も大きい。これに対して、Ru下地層の上にCo−SiO層とPt層とを積層させた本発明品では、すべての線記録密度で従来品より低ノイズであることに加え、540kFCIまでノイズの増加が確認できており充分な記録再生特性が得られている。
図12は、従来品と上記本発明品の記録再生特性であるSNRを説明するための図で、このグラフの横軸は線記録密度であり、縦軸はSNRである。この評価にも面内媒体用のリングヘッドを用いている。Co−B層とPt層とを積層させた従来品に比較して、Co−SiO層とPt層とを積層させた本発明品では、すべての線記録密度で圧倒的に高いSNRを示し540kFCIまで記録再生が充分に行われている。
【0045】
このように、本発明の垂直磁気記録媒体の構成は記録再生特性の向上に効果的であり、記録密度の向上にも寄与することが分る。
(実施例4)
本実施例の垂直磁気記録媒体は、基板1としてAl基板を用い、この上にCoZrNb軟磁性の裏打ち層2と2層構造の配向制御層(3および4)とRuの下地層5を順次積層し、さらに、Co‐SiO層とPt層とを多数積層させた磁性層6が設けられている。なお、本実施例の配向制御層は第1の層としてTa層3を用い、第2の層としてはNiFeNbB層4を用いている。また、ここで用いたAl基板は3.5インチ径で厚みが1mmであるが、その径や厚さは本質的ではなく、Al基板にかえてガラス基板を用いてもよい。
【0046】
以下にこの垂直磁気記録媒体の製造プロセスについて説明する。
基板を充分に洗浄したのちに、軟磁性のCoZrNbをスパッタ成膜して裏打層2とする。ここで用いたターゲットは87at%Co‐5at%Zr‐8at%Nbの組成である。スパッタガスとしてArガスを用い、約1Paのガス圧下で室温にて約200nmの厚さに成膜した。なお、CoZrNbは室温成膜した非晶質状態でも充分な軟磁気特性を有する。
このCoZrNb軟磁性膜の上に、連続して、第1の配向制御層3であるTa層をスパッタ成膜する。用いたターゲットは純Taである。Arガスでスパッタを行い、膜厚約5nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約1Paである。
【0047】
このTa膜の上に連続して、第2の配向制御層4であるNiFeNbB層をスパッタ成膜する。用いたターゲットは79at%Ni−12at%Fe−3at%Nb−6at%Bの組成である。Arガスでスパッタを行い、膜厚約30nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約1Paである。
このNiFeNbB層の上に、下地層5であるRu膜をスパッタ成膜する。用いたターゲットは純Ruである。Arガスでスパッタを行い、膜厚約20nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約4Paである。このようにして成膜したRuの下地層5の表面を、1Paの圧力下で、Arガスに質量流量比2%のOガスを混合した雰囲気に10秒程度曝してRu表面に適度な量の酸素を吸着させる。
【0048】
次に、このRuの下地層5の上に、Co−SiO/Pt多層積層膜からなる垂直配向した磁性層6をスパッタリングにより形成する。用いたターゲットは、Co−SiO層成膜用として91mol%Co−9mol%SiOの組成もしくは94mol%Co−6mol%SiOの組成、Pt層成膜用として純Ptのターゲットである。これら2つのターゲットを同時に放電してスパッタさせながら回転させることで、Co−SiO層とPt層とを交互に積層する。Arガスでスパッタを行い、膜厚はCo−SiO層が0.3nm、Pt層が0.1nmである。なお、この成膜は室温で行っており、ガス圧は5Paである。このようにして得られるCo−SiO層の組成はターゲットの組成を反映して、91mol%Co−9mol%SiOまたは94mol%Co−6mol%SiOである。
【0049】
最後に、磁性層6の最表面に保護層7として窒素ドープのカーボン(C:N)膜をスパッタリング法により形成する。ターゲットをカーボンとし、スパッタガスをArガスに質量流量比4%のNガスを混合させた混合ガスとし、膜厚約7nmで成膜した。なお、成膜温度は室温、Arガス圧は約1Paである。
図13は、磁性層6を構成するCo−SiO層内での磁性粒子径と非磁性の粒界幅の様子を説明するための平面TEM像であり、図13(a)はSiO添加量が6mol%の試料、図13(b)はSiO添加量が9mol%の試料である。このTEM像を解析すると、SiO添加量が6mol%の試料(図13(a))では平均磁性粒子径7.1nm、平均粒界幅1.5nmであるのに対し、SiO添加量が9mol%の試料(図13(b))では平均磁性粒子径5.6nm、平均粒界幅1.6nmであることがわかる。すなわち、添加SiO量が多いほど、磁性粒子の平均粒径が小さく、かつ、平均粒界幅が大きくなる傾向があることがわかる。一般に、磁性結晶粒径が小さくなると粒子同士の磁気的相互作用が弱まり、個々の磁性粒の孤立化の程度が高くなり、高記録密度を目指すうえで適している。
【0050】
図14は、第2の層6bであるPt層の膜厚を変化させた場合の磁気特性の変化を説明するための図で、図14(a)は保磁力Hc、図14(b)は磁化曲線の傾きαの、Pt膜厚依存性である。Pt膜厚がゼロ(Pt膜を設けない場合)はHcがゼロであるのに対し、膜厚0.12nmで約6000OeのHc値を示す。Hcの値はPt膜厚0.25nmで約1200Oeまで低下し、さらに膜厚の増大に伴ってHc値は徐々に低下する。一方、α値は、Pt膜厚0.12nmでα=1.5を示し、Pt膜厚が厚くなると増加する傾向を示す。このように、Pt層の膜厚は薄い方が望ましく、本実施例の場合には0.12nmが最適である。
図15は、NiFeNbB層4の膜厚を変化させた場合の磁気特性の変化を説明するための図で、図15(a)は記録再生特性の400kFCIでのノイズであり、図15(b)は同じく400kFCIでのSNRである。なお、比較のために、NiFeNbB層の代わりに膜厚10nmのNiFeCr層を設けた場合の磁気特性も示してある。
【0051】
図15(a)に示すように、NiFeNbBの膜厚を10nmから30nmに厚くするに従いノイズが低減する傾向を示し、NiFeNbB膜厚を30nmにすると膜厚10nmのNiFeCr層を設けた場合よりもノイズレベルが低くなる。また、図15(b)に示すように、NiFeNbB膜を設けた場合のSNR値は、その膜厚に関わらず、膜厚10nmのNiFeCr膜を用いた場合よりも高い値となっている。
このように、Co層へのSiO添加量を制御することで磁性粒径や非磁性粒界層の幅を制御でき、Pt層の膜厚を最適化することで高いHcが得られ、さらに、Ru層の直下に設けられることとなる層を実施例3のNiFeCr層から10〜30nmのNiFeNbB層とすることでノイズおよびSNRを改善することができる。このようにして、さらに高い記録密度を達成可能な垂直磁気記録媒体を作製可能となる。
(実施例5)
本実施例の垂直磁気記録媒体は、実施例4で説明した媒体と略同じ構成の媒体であるが、Ruの下地層5の上に設けられる磁性層6をCo−SiO/Pd多層積層構造としている点が異なる。磁性層6の成膜に用いたターゲット組成は、91mol%Co−9mol%SiO組成ものと純Pdのものであり、これらのターゲットを同時に放電してスパッタさせながら回転させることで、Co−SiO層とPd層とを交互に積層させる。Arガスでスパッタを行い、膜厚はCo−SiO層が0.3nm、Pd層が0.72nmである。なお、この成膜は室温で行っており、ガス圧は5Paである。
【0052】
図16は、第2の層6bであるPd層の膜厚を変化させた場合の磁気特性の変化を説明するための図で、図16(a)は保磁力Hc、図16(b)は磁化曲線の傾きαの、Pd膜厚依存性である。Pd膜が厚くなるのに伴ってHc値が高くなり、Pd膜厚0.72nmでほぼ一定の値(約5500Oe)に落ち着く。一方、α値はPd膜厚に殆ど依存せず、2前後の値を示しており、磁性粒子相互間の磁気的相互作用は充分に小さいことを示している。
図17は、Co‐SiO2/Pd多層積層構造の磁性層6の磁気特性に及ぼすRu下地層5の効果について説明するための図で、図17(a)は記録再生特性のノイズであり、図17(b)はSNRである。なお、比較のため、下地層としてPt膜およびPd膜を用いた場合についても示している。図17(a)に示すように、Pt膜やPd膜を下地層として用いた場合にはノイズが大きく、かつ、高い線記録密度では充分な記録再生が行えていないが、下地層としてRu膜を用いた場合にはノイズも小さく、かつ、高い線記録密度まで充分な記録再生がなされていることがわかる。また、図17(b)に示したSNR値も、Ru膜を用いた場合に格段に良好な結果が得られている。
【0053】
図18は、実施例4で説明した本発明のCo‐SiO/Pt多層積層構造の磁性層を備える垂直磁気記録媒体と、本実施例5のCo‐SiO/Pd多層積層構造の磁性層を備える垂直磁気記録媒体との記録再生特性を説明するための図で、図18(a)は再生出力(TAA)特性、図18(b)はノイズ特性、図18(c)はSNR特性である。再生出力およびノイズともにCo‐SiO/Pd多層積層構造の磁性層を備える垂直磁気記録媒体の方が小さいが、SNRはCoSiO/Pt多層積層構造の磁性層を備える垂直磁気記録媒体とほぼ同等である。このように、磁性層としてCoSiO/Pd多層積層構造を採用しても、Ru膜を下地層として設けることで、優れた垂直磁気記録媒体が作製可能である。
(実施例6)
本実施例では、基板1をAl基板、裏打ち層2をCoZrNb膜、Ta層3とNiFeCr層4の2層構造の配向制御層、下地層5をRu膜、磁性層6をCo−SiO組成のCo層とPt−SiO組成のPt層とを多層積層させて構成した例について説明する。なお保護層7にはカーボン膜を用いている。
【0054】
この垂直磁気記録媒体の製造方法は、以下のとおりである。基板1は厚み1mmで直径3.5インチのAl基板であるが、その径や厚さは本質的ではなく、ガラス基板でもよい。
基板1を充分に洗浄したのちに、CoZrNb膜を成膜して裏打ち層2をスパッタリング法により形成する。本実施例で用いたスパッタターゲットは、87at%Co‐5at%Zr‐8at%Nbの組成である。スパッタガスとしてArガスを用い、Arガス圧約1Paで、室温にて、約200nmの厚さに成膜した。なお、CoZrNb膜は、室温成膜した非晶質状態でも充分な軟磁気特性を有する。
このCoZrNb膜の上に、連続して、第1の配向制御層3であるTa層をスパッタ成膜する。用いたターゲットは純Taである。Arガスでスパッタを行い、膜厚約3nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約1Paである。このTa層の上に連続して、第2の配向制御層4であるNiFeCr層をスパッタ成膜する。用いたターゲットは60at%Ni−15at%Fe−25at%Crの組成である。Arガスでスパッタを行い、膜厚約10nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約1Paである。これらのTa層とNiFeCr層の2層で配向制御層を構成し、この上に成膜される下地層5たるRu膜をc軸配向させる。
【0055】
NiFeCr層上にRu膜をスパッタ成膜して下地層5とする。用いたターゲットは純Ruである。Arガスでスパッタを行い膜厚約20nmの厚さに成膜した。成膜温度は室温、ガス圧は約4Paである。このようにして成膜した下地層5の表面を、1Paの圧力下でArガスに質量流量比2%のOガスを混合させた混合ガス雰囲気に10秒程度曝してRu膜の表面に適度な量の酸素を吸着させる。下地層5の表面に酸素を吸着させることにより、磁性層6のHc付近での磁化曲線の傾きを緩やかにして磁性層を構成する磁性粒相互間の磁気的相互作用を低減させている。
次に、このRu膜の下地層5の上に、Co−SiO/Pt−SiO多層積層膜からなる垂直配向した磁性層をスパッタリングにより形成する。成膜に用いたターゲットは各々、91〜94mol%Co−6〜9mol%SiOおよび95mol%Pt−5mol%SiOの組成の2つのターゲットであり、これらのターゲットを同時に放電してスパッタさせながら回転させることで、Co−SiO層とPt−SiO層とを交互に積層させる。Arガスでスパッタを行い、膜厚はCo−SiO層が0.3nm、Pt−SiO層が0.07〜0.25nmである。なお、この成膜は室温で行っており、ガス圧は5Paである。
【0056】
最後に、磁性層6の最表面に保護層7として窒素ドープのカーボン(C:N)膜をスパッタリング法により形成する。ターゲットをカーボン、スパッタガスをArガスに質量流量比4%のN2ガスを混合させた混合ガスとし、膜厚約7nmで成膜した。なお、成膜温度は室温、Arガス圧は約1Paである。
図19は、91mol%Co−9mol%SiO2/95mol%Pt−5mol%SiO2多層積層膜からなる磁性層、および、94mol%Co−6mol%SiO2/95mol%Pt−5mol%SiO2多層積層膜からなる磁性層、ならびに、91mol%Co−9mol%SiO2/Pt多層積層膜からなる磁性層を備える垂直磁気記録媒体の各々のHcの、第2の層6bの膜厚に対する依存性を説明するための図である。第1の層であるCo層へのSiO2の添加量が9mol%の場合、Pt層へSiO2を5mol%添加した媒体のHcはSiO2無添加の媒体に比較して300〜500Oe程度低い値を示すが、Co層へのSiO2添加量を6mol%とした媒体は極めて高いHcを示すことがわかる。
【0057】
図20は、上記3種の垂直磁気記録媒体の各々の磁化曲線のHc付近の傾きαの、第2の層6bの膜厚に対する依存性を説明するための図である。何れの媒体においてもα値を最小とする最適な第2の層の膜厚が存在することが読み取れる。また、91mol%Co−9mol%SiO2/95mol%Pt−5mol%SiO2多層積層膜からなる磁性層を備える媒体と、91mol%Co−9mol%SiO2/Pt多層積層膜からなる磁性層を備える媒体とを比較すると、Pt層にSiO2を添加した媒体では何れの第2の層膜厚においても0.15〜0.4程度低いα値を示している。αは磁性粒相互間の磁気的相互作用の大きさの目安であることを考慮すると、Pt層にSiO2を添加したことにより磁性粒同士の磁気的相互作用の程度が低くなり、ノイズが低減されることを意味している。
【0058】
図21は、91mol%Co−9mol%SiO2/95mol%Pt−5mol%SiO2多層積層膜からなる磁性層を備える媒体と、91mol%Co−9mol%SiO2/Pt多層積層膜からなる磁性層を備える垂直磁気記録媒体の、各々の磁気異方性定数Kuの、第2の層6bの膜厚に対する依存性を説明するための図である。何れの媒体においても略同じKu値を示しており、Pt層中へのSiO2の添加によるKuの低下はないことを意味している。
図22は、HcのCo層中SiO2添加量依存性を調べるために、Co層に18〜38体積%のSiO2を添加したCo−SiO2/Pt多層積層膜からなる磁性層を備える媒体を作製し、各々の媒体のHcを測定した結果を纏めたものである。以下、mol%と体積%の換算は次の式で行なっている。
【0059】
Co中のSiO2の体積%は、[(SiO2のmol%/100)*SiO21モルでの体積*100]/[(SiO2のmol%/100)*SiO21モルでの体積+{1−(SiO2のmol%/100)}*Co1モルでの体積]。Pt中のSiO2の体積%は、[(SiO2のmol%/100)*SiO21モルでの体積*100]/[(SiO2のmol%/100)*SiO21モルでの体積+{1−(SiO2のmol%/100)}*Pt1モルでの体積]。ここで、SiO2、Co、Ptの1モルでの体積(cm3)はそれぞれ、23.11、6.58、9.09とした。
横軸のSiO 2 添加量の体積%(Vol%)は、mol%に換算すると、6mol%、9mol%、11mol%、15mol%が、それぞれ18.3Vol%、25.8Vol%、30.3Vol%、38.3Vol%に相当する。
図22に示すように、媒体のHcは、Co層へのSiO2添加量の増大に伴って急激に低下する。このことは、磁性粒同士の粒界にSiO2を多く偏析させて個々の磁性粒の孤立性を高めてノイズを低減しようとすると、高いHcは得られなくなることを意味している。
従って、比較的高いHcを保持しつつ磁性粒の孤立性を高めてノイズの低減を可能とするためには、第1の層であるCo層に添加するSi酸化物の濃度範囲を1〜15mol%ことが好ましい。
【0060】
図23は、HcのPt層中へのSiO2添加効果を説明するための図で、Co層に18〜38体積%のSiO2を添加するとともにPt層中にもSiO2を添加し、Co−SiO2/Pt−SiO2多層積層膜磁性層を備える媒体を作製し、これらの媒体のHcを、Pt層中にはSiO2の添加のないCo−SiO2/Pt多層積層膜磁性層を備える媒体のHcと比較した結果を纏めたものである。
既に図22を用いて説明したように、Pt層にSiO2を添加せず、Co層にのみSiO2を添加した媒体の場合には、Co層中へのSiO2添加量が増加するとHcは急激に低下するが、Co層へのSiO2添加に加えPt層にもSiO2を添加すると、Hcの減少傾向は緩和されることがわかる。すなわち、Co層のみならずPt層中へもSiO2添加することとすれば、同じHcを与える媒体においてより多くのSiO2添加が可能となる。
その結果、磁性粒同士の粒界にSiO2を多く偏析させて個々の磁性粒の孤立性を高めてノイズを低減させやすくなる。
従って、比較的高いHcを保持しつつ磁性粒の孤立性を高めてノイズの低減を可能とするためには、Co層中へのSiO 2 添加量は5〜11mol%、Pt層へのSiO 2 添加量は1〜8mol%とすることが好ましい。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、磁性層は、磁性を有する第1の層であるCo層と非磁性の第2の層であるPt層またはPd層とを交互に多層積層して構成され、当該第1の層には、Si酸化物が1〜15mol%の濃度範囲で添加され、表面に酸素を吸着させたRu膜を下地層とすることにより、高記録密度で記録再生特性に優れる垂直磁気記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の垂直磁気記録媒体の構成例を説明するための図である。
【図2】純Co層と純Pt層とを、Ar、Kr、または、Xeガスをスパッタガスとして多層積層させた膜の、Pt層膜厚と保磁力との関係を示す図である。
【図3】純Co層と純Pt層とを、Ar、Kr、または、Xeガスをスパッタガスとして多層積層させた膜の、磁化曲線のHc付近の傾きのPt層膜厚依存性を説明するための図である。
【図4】純Co層と純Pt層とを、Ar、Kr、または、Xeガスをスパッタガスとして多層積層させた膜の、保磁力Hcのスパッタガス圧依存性を説明するための図である。
【図5】磁性層成膜時のスパッタガス中に酸素ガスを添加する効果を説明するための図である。
【図6】95at%Co−5at%Ni層とPt層を多層積層させた磁性層を備える垂直磁気記録媒体(CoNi/Pt媒体)、および、{90mol%(95at%Co−5at%Ni)−10mol%SiO}層とPt層を多層積層させた磁性層を備える垂直磁気記録媒体(CoNi−SiO/Pt媒体)の記録再生特性(SN特性)を説明するための図である。
【図7】95at%Co−5%Ru層とPt層を多層積層させた磁性層を備える垂直磁気記録媒体(CoRu/Pt媒体)、および、{99.8mol%(95at%Co−5at%Ru)−0.2mol%O}層とPt層を多層積層させた磁性層を備える垂直磁気記録媒体(CoRuO/Pt媒体)の記録再生特性(SN特性)を説明するための図である。
【図8】本発明の垂直磁気記録媒体が備える結晶配向制御層の効果を説明するための図である。
【図9】下地層の表面に酸素を吸着させる効果を説明するための図である。
【図10】従来品と本発明品の記録再生特性である再生出力を説明するための図である。
【図11】従来品と本発明品の記録再生特性である媒体ノイズを説明するための図である。
【図12】従来品と本発明品の記録再生特性であるSNRを説明するための図である。
【図13】磁性層を構成するCo−SiO層内での磁性粒子径と非磁性の粒界幅の様子を説明するための平面TEM像である。
【図14】Pt層の膜厚を変化させた場合の磁気特性の変化を説明するための図である。
【図15】NiFeNbB層の膜厚を変化させた場合の磁気特性の変化を説明するための図である。
【図16】Pd層の膜厚を変化させた場合の磁気特性の変化を説明するための図である。
【図17】Co‐SiO/Pd多層積層構造の磁性層の磁気特性に及ぼすRu下地層の効果について説明するための図である。
【図18】実施例4で説明した本発明のCo‐SiO/Pt多層積層構造の磁性層を備える垂直磁気記録媒体と、実施例5のCo‐SiO/Pd多層積層構造の磁性層を備える垂直磁気記録媒体との記録再生特性を説明するための図である。
【図19】 91mol%Co−9mol%SiO2/95mol%Pt−5mol%SiO2多層積層膜からなる磁性層、および、94mol%Co−6mol%SiO2/95mol%Pt−5mol%SiO2多層積層膜からなる磁性層、ならびに、91mol%Co−9mol%SiO2/Pt多層積層膜からなる磁性層を備える垂直磁気記録媒体の各々のHcの、第2の層の膜厚に対する依存性を説明するための図である。
【図20】 図19で説明した3種の垂直磁気記録媒体の各々の磁化曲線のHc付近の傾きαの、第2の層の膜厚に対する依存性を説明するための図である。
【図21】 91mol%Co−9mol%SiO2/95mol%Pt−5mol%SiO2多層積層膜からなる磁性層を備える媒体と、91mol%Co−9mol%SiO2/Pt多層積層膜からなる磁性層を備える垂直磁気記録媒体各々の、磁気異方性定数Kuの第2の層の膜厚に対する依存性を説明するための図である。
【図22】Co層に18〜38体積%のSiOを添加しCo−SiO/Pt多層積層膜からなる磁性層を備える媒体のHcを測定した結果を纏めた図である。
【図23】HcのPt層中へのSiO添加効果を説明するための図である。
【符号の説明】
1 基板
2 裏打ち層
3 第1の配向制御層
4 第2の配向制御層
5 下地層
6 磁性層
6a 磁性層を構成する第1の層
6b 磁性層を構成する第2の層
7 保護層

Claims (11)

  1. 非磁性の基板上に磁性層を備えている垂直磁気記録媒体であって、
    前記磁性層は、磁性を有する第1の層であるCo層と非磁性の第2の層であるPt層またはPd層とを交互に多層積層して構成され、当該第1の層には、Si酸化物が1〜15mol%の濃度範囲で添加され
    前記磁性層と前記基板との間に下地層を備え、前記磁性層は当該下地層の直上に設けられ、
    前記下地層は、表面に酸素を吸着させたRu膜であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記第2の層はPt層であり、前記第1および第2の層中にはともにSi酸化物が添加され、前記第1の層であるCo層中のSi酸化物添加量が5〜11mol%、前記第2の層であるPt層中のSi酸化物添加量が1〜8mol%であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記第1の層および第2の層の各々は、0.2〜0.8nmおよび0.05〜1.2nmの厚みを有していることを特徴とする請求項1または2に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記下地層の厚みは、1〜20nmであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記基板と前記下地層との間に当該下地層の結晶配向を制御するための配向制御層を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 前記配向制御層は、第1の配向制御層と第2の配向制御層とを積層して構成されており、当該第2の配向制御層の組成が、前記下地層をc軸結晶配向するように設定されていることを特徴とする請求項に記載の垂直磁気記録媒体。
  7. 前記第1の配向制御層はTa層であり、前記第2の配向制御層はNiFeCr層、NiFeNbB層またはNiFeSi層であることを特徴とする請求項に記載の垂直磁気記録媒体。
  8. 前記第1の配向制御層の厚みは1〜10nm、前記第2の配向制御層の厚みは5〜20nmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項またはに記載の垂直磁気記録媒体。
  9. 前記基板と前記第1の配向制御層との間に、軟磁性の裏打ち層が設けられていることを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の垂直磁気記録媒体。
  10. 前記裏打ち層は、CoZrNbまたはCoZrTa合金組成を有し、50〜400nmの膜厚であることを特徴とする請求項に記載の垂直磁気記録媒体。
  11. 垂直磁気記録媒体の製造方法であって、
    非磁性の基板上に、磁性を有する第1の層であるCo層と非磁性の第2の層であるPt層またはPd層を交互に多層積層して磁性層を成膜するステップを備え、
    当該第1の層の成膜は、Si酸化物が1〜15mol%の濃度範囲で添加されているターゲットを用いてスパッタ法により実行され
    前記磁性層成膜に先立ち、前記基板上に、Ru膜からなる下地層をスパッタ成膜するステップを備え、前記下地層の成膜後、前記磁性層の成膜前に、前記下地層の表面を、質量流量比1〜10%の酸素を混合したガス圧0.1〜10PaのArガス中に1〜20秒間曝して前記下地層の表面に酸素を吸着させるステップを備えていることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
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