JP2004205541A - 現像装置および画像形成装置ならびにトナー補給方法 - Google Patents

現像装置および画像形成装置ならびにトナー補給方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トナーの劣化を抑制し、安定して高画質の画像を形成することができる現像装置および画像形成装置ならびにトナー補給方法を提供する。
【解決手段】現像ローラ5と補給ローラ6とに補給バイアス電圧を印加し、補給ローラ6の表面に保持された導電性トナーTを所定の帯電量に帯電させる。印加した補給バイアス電圧に基づいて現像ローラ5と補給ローラ6との間に生じる電界Eによって、帯電した導電性トナーTを補給ローラ6から現像ローラ5に飛翔させて補給する。現像ローラ5表面に形成されたトナー搬送部12には適切な量の導電性トナーTが保持され、感光体ローラに供給される。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーを感光体に付着させる現像装置に関するものであり、より詳細には、導電性トナーを帯電させて感光体に付着させる現像装置およびそれを備えた画像形成装置ならびにトナー補給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタや複写機など画像形成装置の画像形成工程の概略は、感光体ローラに近接して設置される現像ローラを用いて、予めトナー収容器内で帯電させたトナーを、感光体ローラ表面に形成された静電潜像に付着させて現像を行い、顕像化したトナー像を、印刷シートに転写し、定着させることで記録紙に印刷を行う。
【0003】
このため、記録紙への印刷の際にはトナーを予め帯電させる必要がある。そこで、絶縁性トナーを用いる場合には、たとえばトナー収容器内で帯電制御材とトナーを攪拌ハネなどで混合し、トナーおよび帯電制御材に摩擦を加えて帯電させている。
【0004】
しかし、攪拌によって摩擦を加える場合には、トナーと帯電制御材とが十分に混合されずに偏析して分離したり、トナーが摩擦ストレスによって劣化したりするという問題がある。
【0005】
そこで、絶縁性トナーの代わりに導電性トナーを用いる技術が提案されている。
【0006】
導電性トナーを用いる場合には、感光体ローラ表面と現像ローラ表面とを所定の間隔となるように非接触に配置する。そして、感光体ローラ表面と現像ローラ表面との間に電圧を印加すれば、現像ローラ上の導電性トナーが帯電して感光体ローラに移動し、静電潜像に付着する。
【0007】
上記の方式で現像を行う従来技術として特許文献1記載の現像装置について説明する。
【0008】
図10に示すように、この画像形成装置100は、潜像担持体(感光体ローラ)101にトナーを供給するトナー搬送体(現像ローラ)102と、トナー搬送体にトナーを供給するスリーブ(補給ローラ)103と、トナー搬送体に供給されたトナーの層厚を規制するブレード104とを備えている。トナー搬送体は、ローラ状の導電性支持体の表面上に絶縁層が被覆されている構成である。
【0009】
トナー搬送体の導電性支持体とスリーブ103との間、およびスリーブ103とブレード104との間には、電圧印加手段105からそれぞれ電圧が印加される。また、トナー搬送体の導電性支持体と潜像担持体との間には、現像バイアス印加手段106によって電圧が印加される。
【0010】
このような構成によって、導電性トナーが、スリーブからトナー搬送体へ、トナー搬送体から潜像担持体へと順次供給される。
【0011】
現像装置内に設けられたセンサによって温度、湿度などを検出し、その検出結果に応じて導電性支持体とブレードとの間の電界を変化させることで現像されるトナー量を一定に保持している。
【0012】
また導電性トナーを用いた他の従来技術として特許文献2記載の画像形成装置について説明する。
【0013】
この画像形成装置は、帯電した光導電性トナーを充填した感光体の背面から露光し、トナーの極性を反転させて記録媒体側に飛翔させることで画像を形成している。
【0014】
光導電性トナーを用いることにより、露光時に飛翔前のトナーにおける飛翔方向に対して直交する方向、すなわち感光体平面方向への電荷の拡散を防止して解像度の劣化を抑制している。
【0015】
【特許文献1】
特開平2−199484号公報
【特許文献2】
特開2001−277594号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1記載の現像装置において、トナー搬送体から潜像担持体へのトナー供給は非接触で行っているが、スリーブからトナー搬送体へのトナー供給は、接触して行っているため、スリーブとトナー搬送体との間に挟まれたトナーに対する機械的ストレスが発生し、トナーが劣化してしまう。また、リーブとトナー搬送体との駆動トルクが大きくなり、駆動電力の消費量が多くなってしまう。
【0017】
特許文献2記載の画像形成装置において、電荷を持つトナーが飛翔する際にトナー同士が静電反発を起こし、記録媒体到達時には感光体表面方向に拡散して解像度が劣化してしまう。また、ベルト背面露光を用いているが、この場合感光体ローラの内部に露光装置を配置するため、装置の大型化および複雑化が問題となる。さらに光導電性トナーは、導電性トナーに比べて組成成分に制約があることから取り扱いが面倒で、コストがかかるという問題もある。
【0018】
本発明の目的は、トナーの劣化を抑制し、安定して高画質の画像を形成することができる現像装置および画像形成装置ならびにトナー補給方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、静電潜像が形成された感光部に導電性トナーを供給する現像部と、前記現像部に対して現像槽に貯蔵されている導電性トナーを補給する補給部と有し、感光部と現像部および現像部と補給部は相対的に移動する現像装置であって、
前記現像部と前記補給部とは所定の間隔で非接触に配置され、
前記現像部と前記補給部とに補給バイアス電圧を印加する補給バイアス部を備え、
前記補給バイアス部が補給バイアス電圧を印加すると、
前記補給部の表面に保持された導電性トナーが帯電されるとともに、前記現像部と前記補給部との間に生じる電界によって、帯電された導電性トナーを、前記補給部から前記現像部に移動させて補給することを特徴とする現像装置である。
【0020】
本発明に従えば、補給部は現像槽に貯蔵されている導電性トナーを現像部に補給し、現像部は補給された導電性トナーを静電潜像が形成された感光部に対して供給する。現像部と補給部とは所定の間隔で非接触に配置され、補給バイアス部が現像部と補給部とに補給バイアス電圧を印加する。なお、現像部と補給部との間隔は、100μm程度が好ましい。また、補給バイアス電圧は、例えば−600V程度にすることが好ましい。
【0021】
補給バイアス部が補給バイアス電圧を印加すると、まず補給部の表面に保持された導電性トナーが帯電される。帯電された導電性トナーは、現像部と補給部との間に生じる電界によって、補給部から前記現像部に移動する。
【0022】
これにより、トナーを撹拌して摩擦帯電させる場合と異なり、補給バイアスによって導電性トナーに電荷を付与することができるので、トナーの劣化を防ぐことができる。また、現像部と補給部とは非接触に配置されているので、それぞれを駆動させるためのトルクを小さくし、消費電力を削減できる。
【0023】
また、帯電した導電性トナーを、補給バイアス電圧による電界によって移動させるので、帯電量などにばらつきがない導電性トナーを供給することができるので、安定した現像動作を実現することができる。
【0024】
また本発明は、前記補給部は、導電性トナーに供給される電荷量を調整する電荷量調整手段を備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、電荷量調整手段によって、補給部で導電性トナーに供給される電荷量を調整する。
【0026】
これにより、導電性トナーの帯電量のばらつきをなくすことができる。また、導電性トナーに電荷が急激に移動することで生じる過充電を防ぐことができる。また、導電性トナーに電荷量を供給する際の時定数を設定することができる。
【0027】
また本発明は、前記電荷量調整手段は、抵抗層からなることを特徴とする。
本発明に従えば、前記電荷量調整手段は、抵抗層からなる。
【0028】
これにより、電荷量調整手段を簡単な構成で実現できる。すなわち、所定の補給バイアス電圧に対して、現像部と補給部との間で導電性トナーを移動させることによって生じる電流を、所望の抵抗を有する抵抗層を用いて制御できる。なお、抵抗層は、たとえばカーボンブラック,金属酸化物,イン導電化剤などのような、一般的な導電化剤を用いた抵抗材であればよい。
【0029】
また本発明は、前記補給部に保持された導電性トナーを振動させる加振手段を備えていることを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、加振手段が補給部に保持された導電性トナーを振動させる。
これにより、分子間力などで付着している導電性トナー同士を解離しやすくして、補給部から現像部への導電性トナーの移動を容易かつ安定させることができる。なお、加振手段は、たとえば圧電素子、磁気バイブレータおよびボイスコイルリニアモータなどを用いて補給部を機械的に振動させるものであってもよい。
【0031】
また本発明は、前記加振手段は、前記補給バイアス電圧に振動バイアス電圧を重畳するように構成されることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、加振手段は、補給バイアス部が印加する補給バイアス電圧に振動バイアス電圧を重畳する。なお、振動バイアス電圧は、たとえば交流電圧であってsin関数のような周期関数の電圧であってもよいし、所定周期のパルス電圧であってもよい。
【0033】
これにより、現像部と補給部との間に印加される電圧が振動するので、電界の大きさおよび導電性トナーの帯電量を振動させ、補給部に保持された導電性トナーを振動させることができる。したがって、簡単な構成で加振手段を実現することができる。
【0034】
なお、振動バイアス電圧は、交流重畳に伴う全放電電流の増加、すなわちオゾンの増加を抑制するために周期2.5kHzで1KVpでduty10%のパルス電圧が好ましい。10%の部分で移動のための加振力を付与するとともに残りの90%の部分はオゾンの発生を抑制するものである。
【0035】
また本発明は、前記現像部は、表面全体に凹部が形成され、前記補給部から移動した導電性トナーを前記凹部に保持して感光部に供給することを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、現像部は、表面全体に凹部が形成され、補給部から移動した導電性トナーを凹部に保持する。この保持した導電性トナーを感光部に供給する。
【0037】
これにより、凹部の形状に応じて導電性トナーの供給量や粒子径を制御することができる。凹部の形状とは、たとえば凹部の幅および深さ、隣接する凹部との間隔などである。凹部の幅および深さは、全ての凹部が同じであってもよいし、凹部ごとに異なっていてもよい。なお、凹部の深さは20〜40μm程度が好ましい。
【0038】
なお、凹部の配置は、所定の間隔で配置される直線状または曲線状に限らず、点状または所定の模様のようなものであってもよい。また、たとえば周期的な配置に限らず、印刷画像の粒状性を抑制するように考慮されたランダムパターンに配置されていてもよい。
【0039】
また本発明は、前記凹部は、深さ方向に電界を生じさせるグリッドバイアス電圧を印加するグリッド電極対を備えていることを特徴とする。
【0040】
本発明に従えば、凹部に帯電したトナーが補給されると、グリッド電極対がグリッドバイアス電圧を印加して凹部の深さ方向に電界を生じさせる。この電界によって、帯電した導電性トナーを凹部に保持することができる。さらに、グリッドバイアス電圧を調整可能に構成すれば、導電性トナーの保持と脱離とを容易に制御することができる。
【0041】
また本発明は、前記グリッド電極対は、凹部の底部に形成された第1の電極と、凹部以外の領域に露出して形成された第2の電極とからなり、第1の電極と第2の電極との間にグリッドバイアス電圧が印加されることを特徴とする。
【0042】
本発明に従えば、グリッド電極対は、凹部の底部に形成された第1の電極と、凹部以外の領域に露出して形成された第2の電極とからなる。
【0043】
これにより、グリッド電極対を簡単に実現することができる。
露出した第2の電極に導電性トナーが接触した場合、導電性トナーは、第2の電極と同電位になるように帯電する。このとき、導電性トナーの極性は反転し、補給バイアス電圧による電界によって、導電性トナーは補給部に移動する。したがって、補給部から現像部の凹部以外の領域に導電性トナーが移動しても、補給部に戻ることになり、導電性トナーは凹部にのみ保持される。
【0044】
なお、グリッド電極対は、以下のように実現することもできる。現像部の表面全体に第1の電極を形成し、さらにその上に誘電体層を形成し、その上の所定の領域に絶縁性格子を配置し、絶縁性格子の第1の電極側とは反対側に第2の電極を形成する。この場合には、隣り合う絶縁性格子の間が、凹部に相当する。第1の電極上に形成した誘電体層は、凹部に保持された導電性トナーの電荷が第1の電極に漏れないように設けられる。
【0045】
凹部の深さが20〜40μm程度の場合には、印加するグリッドバイアス電圧は100V程度が好ましい。
【0046】
また本発明は、前記グリッド電極対には、一定のグリッドバイアス電圧が印加されることを特徴とする。
【0047】
本発明に従えば、グリッド電極対には、一定のグリッドバイアス電圧が印加される。
【0048】
これにより、たとえばグリッド電極対のいずれか一方の電極の電位が変化した場合であっても、グリッド電極対によって凹部に保持した導電性トナーに印加する電界およびトナーの帯電量などを変化させないので、現像動作をさらに安定させることができる。
【0049】
また本発明は、前記凹部は、前記現像部表面に所定の間隔で配列し、
前記凹部の配列方向は、前記現像部表面の移動方向に対して所定の角度で傾斜していることを特徴とする。
【0050】
本発明に従えば、凹部は、現像部表面に所定の間隔で配列し、その配列方向は、現像部表面の移動方向に対して所定の角度で傾斜している。
【0051】
これにより、たとえば静電潜像において凹部の形状によるゴーストパターンの発生を抑制することができる。
【0052】
なお、現像部と感光部とに相対的な速度差を生じさせることにより、凹部に保持した導電性トナーが感光部へ移動する際の相対的な位置を凹部ごとに異ならせるので、凹部の形状によるパターンを平均化、平坦化することができる。
【0053】
また本発明は、前記感光部は、回転軸の軸線まわりに回転する感光体ローラからなり、
前記現像部は、前記感光体ローラの回転軸に平行な回転軸の軸線まわりに回転する現像ローラからなり、
前記感光体ローラと前記現像ローラとは所定の間隔で非接触に配置され、
前記現像ローラの周速は、前記感光体ローラの周速より大きいことを特徴とする。
【0054】
本発明に従えば、感光部は、回転軸の軸線まわりに回転する感光体ローラからなり、現像部は、感光体ローラの回転軸に平行な回転軸の軸線まわりに回転する現像ローラからなる。感光体ローラと現像ローラとは所定の間隔で非接触に配置され、現像ローラの周速は、感光体ローラの周速より大きく設定されている。
【0055】
これにより、現像ローラから感光体ローラに供給する導電性トナーの量が不足することを防ぐことができる。
【0056】
また本発明は、前記現像部と前記感光部との間に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス部を備え、
前記現像バイアス部は、現像バイアス電圧を時間的に変化させることを特徴とする。
【0057】
本発明に従えば、現像バイアス印加手段が、現像部と前記感光部との間に時間的に変化する現像バイアス電圧を印加する。
【0058】
現像バイアス電圧が時間的に変化することで、現像部から感光部への導電性トナーの移動しやすさも時間的に変化する。
【0059】
これにより、現像部から感光部へ導電性トナーが移動するタイミングを変化させて、凹部の形状によって生じるゴーストパターンを平均化、平坦化することができる。
【0060】
なお、現像バイアス印加手段は、現像バイアス電圧を正弦波状に時間変化させてもよいし、所定間隔のパルスを重畳することによって時間変化させてもよい。
【0061】
また本発明は、表面に静電潜像を形成する感光部と、
画像データに基づいて、前記感光部に静電潜像を書き込む書込部と、
前記感光部にトナーを供給してトナー像を形成する上記の現像装置と、
トナー像をシート状の記録媒体に転写する転写部と、
転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0062】
本発明に従えば、書込部が画像読取部などから入力された画像データに基づいて、感光部に静電潜像を書き込むと、上記の現像装置が感光部にトナーを供給してトナー像を形成する。転写部がトナー像をシート状の記録媒体に転写すると、定着装置が転写されたトナー像を記録媒体に定着させる。トナーが定着した記録媒体は排紙される。
【0063】
これにより、安定した現像動作を行い、高画質の画像を形成することができる。
【0064】
また本発明は、静電潜像が形成された感光部に導電性トナーを供給する現像部に対して、前記現像部と所定の間隔で非接触に配置された補給部が、現像槽に貯蔵されている導電性トナーを補給するトナー補給方法であって、
前記現像部と前記補給部とに補給バイアス電圧を印加し、
前記補給部の表面に保持された導電性トナーを帯電させ、
印加した補給バイアス電圧に基づいて前記現像部と前記補給部との間に生じる電界によって、帯電した導電性トナーを前記補給部から前記現像部に移動させて補給することを特徴とするトナー補給方法である。
【0065】
本発明に従えば、静電潜像が形成された感光部に導電性トナーを供給する現像部に対して、前記現像部と所定の間隔で非接触に配置された補給部が、現像槽に貯蔵されている導電性トナーを補給する。現像部と補給部とに補給バイアス電圧を印加すると、補給部の表面に保持された導電性トナーが帯電する。印加した補給バイアス電圧に基づいて現像部と補給部との間に生じる電界によって、帯電した導電性トナーを補給部から現像部に移動させて補給する。
【0066】
これにより、トナーを撹拌して摩擦帯電させる場合と異なり、補給バイアス電圧によって導電性トナーに電荷を付与することができるので、トナーの劣化を防ぐことができる。また、現像部と補給部とは非接触に配置されているので、それぞれを駆動させるためのトルクを小さくし、消費電力を削減できる。
【0067】
また、帯電した導電性トナーを、補給バイアス電圧による電界によって移動させるので、帯電量などにばらつきがない導電性トナーを供給することができるので、安定した現像動作を実現することができる。
【0068】
また本発明は、前記現像部は、表面全体に凹部が形成され、前記補給部から移動した導電性トナーを前記凹部に保持して感光部に供給し、
前記凹部は、グリッド電極対を備え、
前記グリッド電極対は、グリッドバイアス電圧を印加することで凹部の深さ方向に電界を生じさせ、凹部に保持する導電性トナーの帯電量を調整することを特徴とする。
【0069】
本発明に従えば、現像部は、表面全体に凹部が形成され、補給部から移動した導電性トナーを前記凹部に保持して感光部に供給する。
【0070】
また、凹部が備えるグリッド電極対は、グリッドバイアス電圧を印加することで凹部の深さ方向に電界を生じさせ、凹部に保持する導電性トナーの帯電量を調整する。導電性トナーの帯電量の調整は、導電性トナーに対して電荷を注入し、または放電させることによって行う。
【0071】
これにより、帯電量が調整され適切な電荷量を有する導電性トナーを供給するので、現像動作を安定させることができる。
【0072】
また本発明は、前記現像部は、表面全体に凹部が形成され、前記補給部から移動した導電性トナーを前記凹部に保持して感光部に供給し、
前記凹部は、グリッド電極対を備え、
前記グリッド電極対は、グリッドバイアス電圧を印加することで凹部の深さ方向に電界を生じさせ、凹部に保持する導電性トナーの保持量を調整することを特徴とする。
【0073】
本発明に従えば、現像部は、表面全体に凹部が形成され、補給部から移動した導電性トナーを前記凹部に保持して感光部に供給する。
【0074】
また、凹部が備えるグリッド電極対は、グリッドバイアス電圧を印加することで凹部の深さ方向に電界を生じさせ、凹部に保持する導電性トナーの保持量を調整する。導電性トナーの保持量の調整は、導電性トナーに対して電荷を注入し、または放電させるとともに、グリッドバイアス電圧の大きさおよび向きを調整することによって行う。
【0075】
これにより、適切な量の導電性トナーを供給するので、現像動作を安定させることができる。
【0076】
また本発明に従えば、前記補給部から前記現像部に過剰に補給された導電性トナーを、前記補給バイアス電圧によって生じる電界によって前記補給部に移動させることを特徴とする。
【0077】
本発明に従えば、補給部から現像部に過剰に補給された導電性トナーを、補給バイアス電圧によって生じる電界によって補給部に移動させる。
【0078】
これにより、現像部は過剰な導電性トナーを保持することがないので、適切な量の導電性トナーを供給することができ、現像動作を安定させることができる。
【0079】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である画像形成装置1の構成を示す概略図である。画像形成装置1は、感光装置2、転写装置3および現像装置4を備えている。
【0080】
画像形成装置1は、さらに、図示しない原稿読取装置、給紙装置、定着装置、排紙装置などを備えている。
【0081】
本実施形態の画像形成装置1の画像形成工程は、まず原稿読取装置で読み取った画像データに基づいて感光装置2が静電潜像を形成し、現像装置4がトナーTを供給して静電潜像をトナー像として顕像化し、このトナー像を給紙装置から搬送された印刷シートPに転写部が転写し、定着装置でトナーを融着して排紙装置から印刷された印刷シートPを排紙する。
【0082】
感光装置2は、感光体ローラ2a、帯電ローラ2b、レーザユニット2c、電圧印加ユニット2dを有する。感光体ローラ2aは、紙面に対して垂直な回転軸の軸線まわりに回転速度vpで回転する円柱体で、その周表面が感光性樹脂で被覆されている感光部である。なお、後述の各ローラは、感光体ローラ2aと同様の円柱体であり、感光体ローラ2aの回転軸に平行な回転軸を有し、その軸線まわりに所定の回転速度で回転している。帯電ローラ2bは、感光体ローラ2aの表面と接触して、その接触した領域を所定の電位にする。帯電ローラ2bには、電圧印加ユニット2dによってピークからピークまでが1.5kVの交流電圧(以下、1.5kVp-pとする。)が周波数2kHzで印加されるとともに、-600Vの直流電圧が印加されている。このため、帯電ローラ2bと接触した感光体ローラ2aの領域は、平均してV0=-600Vの電位となっている。このように帯電した感光体ローラ2aの表面に対して、書込部であるレーザユニット2cがレーザ照射を行い、電位が-50V以下となる露光部を画像データに基づいて形成する。この露光部の集合が静電潜像となる。
【0083】
転写装置3は、転写部である転写ローラ3aおよび電圧印加ユニット3bを有する。
転写ローラ3aは、感光体ローラ2aと自身との間に印刷シートPを挟み込んで、静電潜像に付着されたトナーTを印刷シートPに転写する。電圧印加ユニット3bは、転写ローラ3aに所定の電位VT=2kVを印加する。また、転写ローラ3aは、所定の回転速度vTで回転するように設定されている。
【0084】
現像装置4は、現像ローラ5、電圧印加ユニット5a、補給ローラ6、電圧印加ユニット6aおよび現像槽7を有する。
【0085】
現像ローラ5は、補給ローラ6から供給されるトナーTを感光体ローラ2aに供給する現像部である。現像ローラ5は、その表面と、感光体ローラ2aおよび補給ローラ6の表面とが所定の間隔となるように配置されている。また、現像ローラ5は図の矢印で示すように、所定の回転速度vdで、感光体ローラ2aとは同方向、また補給ローラ6とはカウンター方向となるように回転する。
【0086】
補給ローラ6は、現像槽7に貯えられたトナーTを現像ローラ5に補給する補給部である。補給ローラ6は、図に示すように、所定の回転速度vSで、現像ローラ5とカウンター方向に回転する。なお、本実施形態においてトナーTは導電性トナーである。
【0087】
本実施形態で用いている導電性トナーTは、メインレジンであるスチレンアクリル樹脂(90.5重量部)、導電化剤である4級アンモニウム塩(3.5重量部)および着色剤であるフタロシアニンブルー(6.0重量部)を2軸押出混練機で溶融混練し、得られた固形物を粉砕した後、分級して得られた粉砕トナーからなり、平均粒子径は8μmであり、体積抵抗値は、3×10(Ω・cm)である。
【0088】
図2は、現像ローラ5と補給ローラ6とが最も近接する位置の断面図である。図2においては、現像ローラ5と補給ローラ6との間に、トナーTを補給するための補給電界(現像バイアスおよび補給バイアス電圧)を形成していない状態を示している。
【0089】
補給ローラ6は、電極13と電荷輸送層14とを備え、トナーTは、現像槽7に貯えられたトナーTが搬送されたものである。また、図示するように、現像バイアスおよび補給バイアス電圧を印加していない状態においては、トナーTは帯電していない。
【0090】
電極13は、補給電界を形成する際に用いる電極である。電荷輸送層14は、補給電界を形成した際に、導電性のトナーTに供給される電荷の量を調整する電荷量調整手段である。電荷輸送層14は、抵抗層であり、たとえばカーボンブラック,金属酸化物,イン導電化剤などのような、一般的な導電化剤を用いた抵抗材で簡単に実現できる。
【0091】
現像ローラ5は、電極8、グリッド電極(露出部)9、絶縁性格子(絶縁層)10、誘電体層11を備え、グリッド電極9、絶縁性格子10および誘電体層11に囲まれた凹部がトナーTを搬送するトナー搬送部12となる。
【0092】
ここで、電極8とグリッド電極9とは、グリッド電極対を構成し、電極8、グリッド電極9、絶縁性格子10および誘電体層11が、トナー制御手段を構成する。
【0093】
電極8は、現像バイアス電圧を印加する際に用いる電極である。グリッド電極対は、現像ローラ5の表面に形成されたトナー搬送部12に対して、凹部の深さ方向に所望の電界を発生させるものである。本実施形態においては、第1の電極である電極8と第2の電極であるグリッド電極9との間に、グリッドバイアス△VGが印加され、所望の電界を発生させるようになっている。
【0094】
絶縁性格子10および誘電体層11によって、帯電したトナーTの電荷を電極8に逃さずに保持することができる。
【0095】
トナー搬送部12は、後述するように、空間にトナーTを保持して、補給ローラ6から供給されたトナーTを感光体ローラ2に付着させる凹部である。トナー搬送部12の深さは20〜40μm程度が好ましい。
【0096】
補給電界を形成するために、現像バイアス部および加振手段である電圧印加ユニット5aによって、現像ローラ5には直流の電圧Vdcと、交流の電圧Vacとが印加されている。このため、現像ローラ5の電極8の電位VB(現像バイアス電圧)は、VB=Vdc+Vacとなる。
【0097】
また、補給バイアス部である電圧印加ユニット5bによって、補給ローラ6には直流電圧VSが印加されている。現像バイアスVBと補給バイアスVSの電位差△VBSは以下の式で表される。
△VBS=VB-VS=Vdc-VS+Vac
【0098】
また、現像ローラ5においては、電極8とグリッド電極9との間に、直流の電位差△VG(グリッド電位差)を形成するようにグリッドバイアスVGが印加されている。これによって、グリッド電極9の電位VGは、VG=VB+△VGとなる。
【0099】
本実施形態においては、Vdc=-300V,VS=-600Vで、Vac=600Vp-p(周波数2kHz)であり、△VG=-100Vである。
【0100】
したがって、VG=-400V+600Vp-p(周波数2kHz)、VB=-300V+600Vp-p(周波数2kHz)に設定されており、△VBS=−100Vである。
【0101】
上記のような構成において、画像形成装置1は、以下のように印刷動作を行う。
【0102】
まず、図示しない原稿読取装置において、原稿画像が読み取られる。
感光体ローラ2aは、帯電ローラ2bと接触して所定の電位にされるとともに、回転速度vpで回転する。
【0103】
そこに、レーザユニット2cから、例えば1200dpiの密度で、読み取った画像データが静電潜像Sとして書き込まれる。
【0104】
現像装置4からトナーTが供給され、トナーTは、静電潜像Sに付着する。
感光体ローラ2は、転写ローラ3aと当接する位置において、転写ローラ3bとの間に印刷シートPを挟み込むことによって、印刷シートPにトナーTを転写する。
【0105】
そして、図示しない定着装置において、トナーTが定着され、その後図示しない排紙装置に排出される。
【0106】
次に、現像装置4におけるトナーTの搬送について、詳細に説明する。
図3は、補給ローラ6から現像ローラ5へのトナーTの移動原理を示す図である。図3に示す状態は、現像ローラ5および補給ローラ6に対して、前述の補給バイアス電圧を印加した状態を示している。
【0107】
現像ローラ5のグリッド電極9と補給ローラ6の電荷輸送層14との距離が、ほぼ100μmとなるように配置された補給ローラ6と現像ローラ5とに対して、補給ローラ6の電極13に補給バイアス電圧V、現像ローラ5の電極8に現像バイアスVBを印加し補給電位差△VBSを形成する。補給電位差△VBSによって、電極8から電極13に向かう方向に電界Eが生じる。なお、この補給電位差△VBSを、所定の周期で振動するように構成し、この振動に応じて、電極13と電極8との間に生じる補給電界Eの向きを変化させてもよい。
【0108】
補給ローラ6上のトナーTは、電荷輸送層14の厚みに応じた電流によって、所定の電荷量で負に帯電する。そして、負に帯電したトナーTは、電界Eの向きに応じて力Fを受けて、現像ローラ5側に飛翔して移動する。
【0109】
移動したトナーTは、トナー搬送部12に格納され、保持される。ここで、このトナー搬送部12に保持されたトナーTには、電極8と電極13との間の補給バイアス電圧VBに応じた電界と、電極8とグリッド電極9との間のグリッド電位差△VGによる電界とが印加される。したがって、トナーTには電極13から電極8に向かう方向、またはグリッド電極9から電極8に向かう方向への力が働く。これによって、トナーTはトナー搬送部12に保持される。
【0110】
また、帯電したトナーTがトナー搬送部12に保持された状態では、トナーTは、絶縁性格子10と誘電体層11とに囲まれている。したがって、トナーTの電荷が電極8に漏れることがなく、これによってトナーTは安定して保持される。また、このトナー搬送部12の形状は、搬送するトナーTの形状、およびトナーTの搬送量などに応じて設計された所定の形状となっている。
【0111】
トナー搬送部12の保持量は、以下のようにして適切な保持量に保たれる。
補給ローラ6から現像ローラ5に順次トナーTが移動するにしたがって、トナー搬送部12に保持されたトナーTの電位は変化する。そして、トナー搬送部12に保持されたトナーTの電位が、グリッド電極9とほぼ同電位となると、過剰のトナーTが補給ローラ6に戻される。
【0112】
また、図に示すように、露出部としてのグリッド電極9に、帯電したトナーTaが接触した場合、トナーTaはグリッド電極9の電位VGと同電位となるように正に帯電する。これによって、このトナーTaは補給ローラ6に移動する。すなわち、トナー搬送部12に保持される所定量のトナーT以外のトナーT、たとえば上記のグリッド電極9に接触したトナーTaのような保持量を越えるトナーTは、グリッド電極9によって逆極性に帯電させられ、補給ローラ6へと移動するようになっている。
【0113】
以上のように、トナー搬送部12の保持量は、適切な保持量に保たれる。
また、現像ローラ5には、交流電圧Vacが印加されており、これによって補給ローラ6上のトナーTが振動され、分子間力などで付着しているトナーTの粒子同士を分離して、現像ローラ5に移動しやすくしている。なお、このような交流電圧Vacの代わりに、たとえば図4に示すような、パルス電圧Vpulを用いることも可能である。これによっても、交流電圧を印加した場合と同様の効果を得ることができる。なお、振動バイアス電圧は、交流重畳に伴う全放電電流の増加、すなわちオゾンの増加を抑制するために周期2.5kHzで1KVpでduty10%のパルス電圧が好ましい。10%の部分で移動のための加振力を付与するとともに残りの90%の部分はオゾンの発生を抑制するものである。
【0114】
さらに、電圧変化の代わりに、たとえば圧電素子、磁気バイブレータおよびボイスコイルリニアモータなどを用いて補給ローラ6を機械的に振動させるものであってもよい。
【0115】
以上のように補給ローラ6から現像ローラ5にトナーTが移動し、トナー搬送部12には適切な量のトナーTが保持される。現像ローラ5と補給ローラ6とが非接触に配置されているので、現像ローラ5を回転させるための回転トルクを、従来の構成と比較して大幅に削減することができる。
【0116】
図5は、トナーTが保持されている状態の現像ローラ5の断面図である。図6は、トナーTが保持されている状態の現像ローラ5の斜視図である。
【0117】
前述のように、現像ローラ5が搬送するトナーTの量は、トナー搬送部12によって決まる。したがって、図10に示した従来の構成のように、トナー量を規制するためのブレードは不要となる。なお、搬送するトナーTの量は、トナー搬送部12の形状のみでなく、たとえば、トナーTに与えられる電荷量によって調整してもよい。
【0118】
また、トナー搬送部12ごとにトナーTを保持して、このトナーTを後述するように感光体ローラ2aに供給するようになっているので、感光体ローラ2aへのトナー供給量を安定させ、画質を安定させることができる。
【0119】
次に、現像ローラ5から感光体ローラ2aのトナーTの供給について説明する。
【0120】
図7は、現像ローラ5と感光体ローラ2aとが最も近接する位置の断面図である。現像ローラ5は、トナー搬送部12にトナーTを保持した状態で回転速度vdで回転し、感光体ローラ2aは、回転速度vpで回転する。現像ローラ5と感光体ローラ2aとは、感光体ローラ2aの表面と、現像ローラ5のグリッド電極との距離がほぼ100μmとなるように配置される。
【0121】
反転現像を行うために感光体ローラ2aの電位は、未露光表面電位V0(=-600V)に設定され、現像ローラ5の電位は現像バイアス電圧VBに設定されている。
【0122】
なお、電極8とグリッド電極9との間のグリッド電位差△VGは、前述と同様で、一定の値の△VG=-100Vに設定されている。また、前述のように、補給バイアス電圧VBは、直流電圧Vdcと、これを中心として振動する交流電圧Vacとからなる。すなわち、補給バイアス電圧VBは、-1200Vから+800Vの値で振動する。
【0123】
トナーTは負に帯電しているので、感光体ローラ2aの静電潜像を形成する露光部電位V(−50V以下)が、現像バイアス電圧VBよりも低い電位となった場合に、トナーTは感光体ローラ2aへと飛翔して移動する。なお、各電位の関係を|V0|>|V c|>|△VG|> |V|とすることにより安定した現像を行うことができる。
【0124】
図7の状態において、現像ローラ5から感光体ローラ2aへのトナーTの移動し易さは、現像ローラ5から感光体ローラ2aへの距離や、現像ローラ5と感光体ローラ2aの各点における電位の配置に応じて異なることになる。ここで、簡単のために、現像ローラ5と感光体ローラ2aとが最も近接する位置において、トナーTが最も移動しやすいと仮定する。そして、この場合のトナーTの移動量に対して、所定の割合(本実施形態では1割)以上でトナーTが現像ローラ5から感光体ローラ2aに移動する領域を、現像領域と呼ぶことにする。
【0125】
本実施形態において、現像領域の幅はトナー搬送部12による開口の大きさに対して、5倍より大きい8倍程度となっている。したがって、現像ローラ5から感光体ローラ2aへのトナーTの移動に際して、トナーTが付着する位置をトナーごとに異ならせることができ、トナー搬送部12による開口の形状を十分に平均化して、ゴーストパターンを除くことができる。
【0126】
また、前述のように、感光体ローラ2aと現像ローラ5との間には、未露光表面電位V0と補給バイアス電圧VBとの差が印加される。ここで、未露光表面電位V0がほぼ一定であるのに対して補給バイアス電圧VBは変動するので、感光体ローラ2aと現像ローラ5との間には変動電圧が印加される。したがって、トナーTの移動度も変動することになり、感光体ローラ2aにおけるゴーストパターンを除くことができる。
【0127】
また、本実施形態において、現像ローラ5の回転速度vdと感光体ローラ2aの回転速度とは、vd/vp≧1.0となるように設定されている。このため、感光体ローラ2aの静電潜像に、十分なトナーTを供給して、トナーTが不足するのを防止できる。
【0128】
なお、本実施形態において、補給バイアス電圧VBとして、直流電圧Vdcおよび交流電圧Vacを印加した構成について説明したが、本発明はこれに限るものではない。たとえば、直流電圧Vdcのみを印加する構成であってもよい。この場合には、VacとVdcとの組み合わせによる正の電圧の代わりに、Vdcのみで正の電圧を印加することになる。
【0129】
また、図1に示すように、現像ローラ5の電極8とグリッド電極9との間におけるグリッドバイアス△VGによる電界の向きに対して、現像ローラ5の電極8と補給ローラ6の電極13との間における補給バイアス電圧VBによる電界の向きが同じになった場合に、補給ローラ6から現像ローラ5へのトナーTの移動が生じる。一方、現像ローラ5の電極8とグリッド電極9との間におけるグリッドバイアス△VGによる電界の向きに対して、現像ローラ5の電極8の電位と感光体ローラ2aの電位V0との差による電界の向きが逆になった場合には、現像ローラ5から感光体ローラ2aへのトナーTの移動が生じる。
【0130】
ここで、現像ローラ5の電極8とグリッド電極9との間におけるグリッドバイアス△VGが一定であれば、たとえば、温度変化時または湿度変化時に、トナーTの濃度を制御するプロセスコントロールによって、感光体ローラ2aの電位が変化した場合であっても、現像ローラ5上のトナーTの電荷量を一定に保って、安定した現像を行うことができる。
【0131】
本発明の他の実施の形態について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、上述の画像形成装置1とは、トナー搬送部の形状が異なるのみである。以下では、この異なる点についてのみ説明する。
【0132】
本実施形態において、現像ローラ5に形成されるトナー搬送部12aは、図8の斜視図に示すように、現像ローラ5の幅方向に直線状に延びる溝状凹部であり、所定の間隔をおいて配列されている。
【0133】
また、図9の平面図に示すように、トナー搬送部12aは、現像ローラ5の回転方向に対して所定の角度θだけ傾斜している。傾斜角度θは、0度または180度ではない、任意の角度である。このような現像ローラ5によって、トナー搬送部12aの形状に応じたゴーストパターンを除くことができる。なお、図に示すように有効ニップ幅に含まれるトナー搬送部12aの数Nは、多いほうがよい。なお、凹部の形状は溝状に限定されるものでなく、格子状であっても配置の角度を傾斜させることで有効に作用する。
【0134】
現像ローラ5の周速をvc(m/s)、感光体ローラ2aの周速をvp(m/s)、移動方向におけるトナー搬送部12aのピッチをXp(m)、移動方向における画像の解像度(もしくはディザなどの画素)のピッチをIp(m)、移動方向における現像領域幅をW(m)とすると、速度差△vは、
△v=vp−vc
となり、感光体ローラ2a状の任意の点が現像領域を通過する時間Twは、
Tw=W/vp
となる。
【0135】
現像領域で感光体ローラ2a上の任意の点を通過するトナー搬送部12aの数Nは、
N=abs(△v)Tw/Xp
ただし、abs(△v)は△vの絶対値
となり、N>2、望ましくはN≧5、さらに望ましくはN≧10とすることにより現像ムラを抑制することができる。
【0136】
なお、速度差が大きくないときについては以下のようにするとよい。
任意の絶対位置を通過するトナー搬送部12aの周波数Fc(Hz)は、
Fc=vp/Xp
となる。この周波数に起因する感光体ローラ2a上での濃度変化のピッチIc(m)は、
Ic=vp/Fc
となる。感光体ローラ2a上における解像度とピッチIcの濃度変化とのビートのピッチBp(m)は、
Bp=1/abs(1/Ip−1/Ic)
となり、人間の視感度特性を考慮すると、
Bp<1×10−3、望ましくはBp<0.2×10−3
とすることにより、トナー搬送部12aと解像度とのビートムラを視覚的に抑制することができる。
【0137】
なお、本発明は、前述の構成に加えて、さらに以下の構成を備えるものであってもよい。
【0138】
所望の解像度に応じてトナー搬送部12の間隔を設定可能な構成であってもよい。また、トナーTの粒子径に応じて、トナー搬送部12の幅を好ましい値に設定可能な構成であってもよい。また、トナー搬送部12の深さを、トナー搬送部12の幅より大きい所定の値に設定可能な構成であってもよい。また、現像ローラ5と補給ローラ6との間隔、または現像ローラ5と感光体ローラ2との間隔を、所定の好ましい値に設定可能な構成であってもよい。また、現像ローラ5と補給ローラ6を構成する各部材の材質を、所定の材質とする構成であってもよい。また、正規現像、接触現像、溶融転写、粘着転写などの場合においても、好ましい現像動作が可能な構成であってもよい。
【0139】
なお、現像バイアス電圧における交流電圧の重畳は、補給を促進させるためのものであり必須条件ではなく、バイアス電圧に各々,所定の直流バイアス電圧を用いても良い。
【0140】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、トナーを撹拌して摩擦帯電させる場合と異なり、補給バイアスによって導電性トナーに電荷を付与することができるので、トナーの劣化を防ぐことができる。また、現像部と補給部とは非接触に配置されているので、それぞれを駆動させるためのトルクを小さくし、消費電力を削減できる。
【0141】
また、帯電した導電性トナーを、補給バイアス電圧による電界によって移動させるので、帯電量などにばらつきがない導電性トナーを供給することができるので、安定した現像動作を実現することができる。
【0142】
また本発明によれば、導電性トナーの帯電量のばらつきをなくすことができる。また、導電性トナーに電荷が急激に移動することで生じる過充電を防ぐことができる。また、導電性トナーに電荷量を供給する際の時定数を設定することができる。
【0143】
また本発明によれば、電荷量調整手段を簡単な構成で実現できる。なお、抵抗層は、たとえばカーボンブラック,金属酸化物,イン導電化剤などのような、一般的な導電化剤を用いた抵抗材であればよい。
【0144】
また本発明によれば、分子間力などで付着している導電性トナー同士を解離しやすくして、補給部から現像部への導電性トナーの移動を容易かつ安定させることができる。なお、加振手段は、たとえば圧電素子、磁気バイブレータおよびボイスコイルリニアモータなどを用いて補給部を機械的に振動させるものであってもよい。
【0145】
また本発明によれば、現像部と補給部との間に印加される電圧が振動するので、電界の大きさおよび導電性トナーの帯電量を振動させ、補給部に保持された導電性トナーを振動させることができる。したがって、簡単な構成で加振手段を実現することができる。
【0146】
また本発明によれば、凹部の形状に応じて導電性トナーの供給量や粒子径を制御することができる。
【0147】
また本発明によれば、グリッドバイアス電圧によって生じた電界によって、帯電した導電性トナーを凹部に保持することができる。さらに、グリッドバイアス電圧を調整可能に構成すれば、導電性トナーの保持と脱離とを容易に制御することができる。
【0148】
また本発明によれば、グリッド電極対を簡単に実現することができる。また、露出した第2の電極に導電性トナーが接触した場合、補給部から現像部の凹部以外の領域に導電性トナーが移動しても、補給部に戻ることになり、導電性トナーは凹部にのみ保持される。
【0149】
また本発明によれば、グリッド電極対のいずれか一方の電極の電位が変化した場合であっても、グリッド電極対によって凹部に保持した導電性トナーに印加する電界およびトナーの帯電量などを変化させないので、現像動作をさらに安定させることができる。
【0150】
また本発明によれば、静電潜像において凹部の形状によるゴーストパターンの発生を抑制することができる。
【0151】
また本発明によれば、現像ローラから感光体ローラに供給する導電性トナーの量が不足することを防ぐことができる。
【0152】
また本発明によれば、現像部から感光部へ導電性トナーが移動するタイミングを変化させて、凹部の形状によって生じるゴーストパターンを平均化、平坦化することができる。
【0153】
また本発明によれば、安定した現像動作を行い、高画質の画像を形成することができる。
【0154】
また本発明によれば、現像部は過剰な導電性トナーを保持することがないので、適切な量の導電性トナーを供給することができ、現像動作を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である画像形成装置1の構成を示す概略図である。
【図2】現像ローラ5と補給ローラ6とが最も近接する位置の断面図である。
【図3】補給ローラ6から現像ローラ5へのトナーTの移動原理を示す図である。
【図4】パルス電圧Vpulを示す図である。
【図5】トナーTが保持されている状態の現像ローラ5の断面図である。
【図6】トナーTが保持されている状態の現像ローラ5の斜視図である。
【図7】現像ローラ5と感光体ローラ2aとが最も近接する位置の断面図である。
【図8】現像ローラ5に形成されたトナー搬送部12aの斜視図である。
【図9】現像ローラ5に形成されたトナー搬送部12aの平面図である。
【図10】従来の画像形成装置100の構成を示す図である。
【符号の説明】
1,100 画像形成装置
2 感光装置
2a 感光体ローラ
2b 帯電ローラ
2c レーザユニット
2d,3b,5a,5b 電圧印加ユニット
3 転写装置
3a 転写ローラ
4 現像装置
5 現像ローラ
6 補給ローラ
7 現像槽
8,13 電極
9 グリッド電極
10 絶縁性格子
11 誘電体層
12 トナー搬送部
14 電荷輸送層
101 潜像担持体
102 トナー搬送体
103 スリーブ
104 ブレード
105 電圧印加手段
106 現像バイアス印加手段

Claims (17)

  1. 静電潜像が形成された感光部に導電性トナーを供給する現像部と、
    前記現像部に対して現像槽に貯蔵されている導電性トナーを補給する補給部と有し、感光部と現像部および現像部と補給部は相対的に移動する現像装置であって、
    前記現像部と前記補給部とは所定の間隔で非接触に配置され、
    前記現像部と前記補給部とに補給バイアス電圧を印加する補給バイアス部を備え、
    前記補給バイアス部が補給バイアス電圧を印加すると、
    前記補給部の表面に保持された導電性トナーが帯電されるとともに、前記現像部と前記補給部との間に生じる電界によって、帯電された導電性トナーを、前記補給部から前記現像部に移動させて補給することを特徴とする現像装置。
  2. 前記補給部は、導電性トナーに供給される電荷量を調整する電荷量調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
  3. 前記電荷量調整手段は、抵抗層からなることを特徴とする請求項2記載の現像装置。
  4. 前記補給部に保持された導電性トナーを振動させる加振手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置。
  5. 前記加振手段は、前記補給バイアス電圧に振動バイアス電圧を重畳するように構成されることを特徴とする請求項4記載の現像装置。
  6. 前記現像部は、表面全体に凹部が形成され、前記補給部から移動した導電性トナーを前記凹部に保持して感光部に供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の現像装置。
  7. 前記凹部は、深さ方向に電界を生じさせるグリッドバイアス電圧を印加するグリッド電極対を備えていることを特徴とする請求項6記載の現像装置。
  8. 前記グリッド電極対は、凹部の底部に形成された第1の電極と、凹部以外の領域に露出して形成された第2の電極とからなり、第1の電極と第2の電極との間にグリッドバイアス電圧が印加されることを特徴とする請求項7記載の現像装置。
  9. 前記グリッド電極対には、一定のグリッドバイアス電圧が印加されることを特徴とする請求項7または8記載の現像装置。
  10. 前記凹部は、前記現像部表面に所定の間隔で配列し、
    前記凹部の配列方向は、前記現像部表面の移動方向に対して所定の角度で傾斜していることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載の現像装置。
  11. 前記感光部は、回転軸の軸線まわりに回転する感光体ローラからなり、
    前記現像部は、前記感光体ローラの回転軸に平行な回転軸の軸線まわりに回転する現像ローラからなり、
    前記感光体ローラと前記現像ローラとは所定の間隔で非接触に配置され、
    前記現像ローラの周速は、前記感光体ローラの周速より大きいことを特徴とする請求項10記載の現像装置。
  12. 前記現像部と前記感光部との間に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス部を備え、
    前記現像バイアス部は、現像バイアス電圧を時間的に変化させることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の現像装置。
  13. 表面に静電潜像を形成する感光部と、
    画像データに基づいて、前記感光部に静電潜像を書き込む書込部と、
    前記感光部にトナーを供給してトナー像を形成する請求項1〜12のいずれかに記載の現像装置と、
    トナー像をシート状の記録媒体に転写する転写部と、
    転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  14. 静電潜像が形成された感光部に導電性トナーを供給する現像部に対して、前記現像部と所定の間隔で非接触に配置された補給部が、現像槽に貯蔵されている導電性トナーを補給するトナー補給方法であって、
    前記現像部と前記補給部とに補給バイアス電圧を印加し、
    前記補給部の表面に保持された導電性トナーを帯電させ、
    印加した補給バイアス電圧に基づいて前記現像部と前記補給部との間に生じる電界によって、帯電した導電性トナーを前記補給部から前記現像部に移動させて補給することを特徴とするトナー補給方法。
  15. 前記現像部は、表面全体に凹部が形成され、前記補給部から移動した導電性トナーを前記凹部に保持して感光部に供給し、
    前記凹部は、グリッド電極対を備え、
    前記グリッド電極対は、グリッドバイアス電圧を印加することで凹部の深さ方向に電界を生じさせ、凹部に保持する導電性トナーの帯電量を調整することを特徴とする請求項14記載のトナー補給方法。
  16. 前記現像部は、表面全体に凹部が形成され、前記補給部から移動した導電性トナーを前記凹部に保持して感光部に供給し、
    前記凹部は、グリッド電極対を備え、
    前記グリッド電極対は、グリッドバイアス電圧を印加することで凹部の深さ方向に電界を生じさせ、凹部に保持する導電性トナーの保持量を調整することを特徴とする請求項14記載のトナー補給方法。
  17. 前記補給部から前記現像部に過剰に補給された導電性トナーを、前記補給バイアス電圧によって生じる電界によって前記補給部に移動させることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1つに記載のトナー補給方法。
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