JP2004203685A - セラミックス生成形体の焼成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成時におけるセラミックス生成形体を覆う構造と焼成雰囲気用ガスの供給方法とを適切に調整することによって、収縮ばらつきや配線導体の電気特性等の品質ばらつきを有効に抑制できるセラミックス生成形体の焼成方法を提供すること。
【解決手段】セラミックス生成形体3を焼成炉1内に焼成雰囲気用ガス5を供給しながら焼成するセラミックス生成形体3の焼成方法において、セラミックス生成形体3を一対の対向する側面にそれぞれ開口部8を有する筐体6で覆うとともに、焼成雰囲気用ガス5を、筐体6の開口部8の一方からこの開口部8と同じ開口幅のノズル7を用いて、1分間当たり筐体6の容積の10〜20倍の体積の量で供給する。収縮ばらつきや配線導体の電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが可能となり、多層セラミック配線基板や半導体素子収納用パッケージ等において安定した品質を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層セラミックス配線基板や半導体収納用パッケージ等の製造に使用するセラミックス生成形体の焼成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多層セラミックス基板は、例えば、積層セラミックコンデンサ・圧電素子等の電子セラミックスデバイスの小型化および高性能化や半導体素子等の高密度実装に必須のセラミックス多層配線基板等への技術として、近年特に電子産業部門において欠かすことのできない技術となってきている。セラミックス絶縁層の多層化は、一般的にはセラミックグリーンシートの積層法を用いて行なわれることが多い。
【0003】
一方、セラミックスは焼成過程において焼結に伴う収縮ばらつきを伴う。この収縮ばらつきは、使用する基板用無機材料・グリーンシートの組成・原料である粉体粒度のバラツキ・導体パターン・内部電極材料等により、収縮率や収縮方向が異なってくる。
【0004】
そのため、焼結後の寸法精度を高く保つことはセラミックス基板を作製する上で大変難しい技術であった。多層セラミックス基板に対しても同様に高い寸法精度が要求され、例えば携帯用端末等の電子機器の小型化や使用される周波数帯域の高周波化に伴い、電子機器に組み込まれる配線基板にも小型化・高周波化が要求されており、これまで配線基板の表面に実装されていたチップコンデンサを、配線基板内部に形成することで実装面積を削減し配線基板を小型化しつつ、低インダクタンスで実装し高周波特性を向上させることのできるコンデンサを内蔵した配線基板が要求されておりこれらの配線基板も高い寸法精度が要求されている。
【0005】
これらの収縮ばらつきを小さくするためには、回路設計による基板の収縮ばらつきの傾向や、製造工程において基板材料およびグリーンシート組成および粉体粒度のばらつき、プレス圧や温度等の積層条件を十分管理する必要がある。しかしながら、それでも一般に収縮ばらつきとして±0.5%程度は発生するといわれている。これは、収縮ばらつきや電気特性等の品質ばらつきに起因する要因が焼成工程にあるものといわれている。
【0006】
ここで、セラミックス生成形体の焼成方法について図面を参照しつつ説明する。
【0007】
図2は従来のセラミックス生成形体の焼成方法の一例を示す断面図である。図2において、100は焼成炉、101は炉壁、102は炉室、103はセラミックス生成形体、104はセラミックス生成形体103を搭載する台座、105は焼成雰囲気用ガス、106は焼成雰囲気用ガス105を供給するノズル、107はセラミックス生成形体103を搭載する台座104を固定するために設けられた炉床板である。このような従来のセラミックス生成形体の焼成方法を用いて焼成を行なうことにより多層セラミック配線基板や半導体素子収納用パッケージ等を作製した場合は、焼成炉100の構造上、焼成雰囲気用ガス105の濃度が不均一な状態となるため、収縮ばらつきや電気特性等の品質ばらつきが大きくなるので、それらに形成した配線導体によって設計通りに高周波信号を通すことが困難となり、搭載された電子部品を正常に作動させることができないという問題点があった。
【0008】
これらの問題点に対して、セラミックス生成形体の脱バインダを確実に行ない、焼結性を向上させることができ、収縮ばらつきを抑えて電気特性等の品質ばらつきを改善できるという理由から、セラミックス生成形体を押さえ治具に挟んで多段に積み上げて焼成を行なったり、適正な量の雰囲気ガスを供給できるようにすることが特開2002−134913号公報や特開平8−320188号公報に開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−134913号公報
【特許文献2】
特開平8−320188号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の多層セラミック配線基板に対してさらに高い寸法精度が要求されており、特に携帯用端末等の電子機器の小型化や使用される周波数帯域の高周波化に伴い、電子機器に組み込まれる配線基板にも小型化・高周波化が要求されているため、セラミックス生成形体の焼成に対してさらに工夫が必要となっている。
【0011】
従来の焼成方法においては、焼成雰囲気ガス105を供給するノズル106から炉室102内に導入された焼成雰囲気用ガス105中において焼成を行なった際に、炉室102内に供給された新しい焼成雰囲気用ガス105が、炉室102内にあった旧い焼成雰囲気用ガス105との比重差等の違いにより、炉室102内の上方あるいは下方を層流となって炉室102内のノズル106もしくは焼成雰囲気用ガス105の排出口方向に流動しやすい状態となる。また、この焼成雰囲気用ガス105中においてセラミックス生成形体103が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスを発生することにより、焼成雰囲気用ガス105の濃度は不均一な状態となる。その結果、セラミックス生成形体103と接触していない新鮮な焼成雰囲気用ガス105が被焼成物であるセラミックス生成形体103を均一に包囲することなく焼成されることにより、セラミックス生成形体103は収縮ばらつきやそれに形成される配線導体における電気特性等の品質ばらつきを発生してしまい、その配線導体によって設計通りに高周波信号を通すことができないという問題点があった。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑み完成されたもので、その目的は、収縮ばらつきやそれに形成される配線導体における電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが可能で、安定した品質の多層セラミック配線基板や半導体素子収納用パッケージ等を得ることができるセラミックス生成形体の焼成方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、焼成時におけるセラミックス生成形体を覆う構造と焼成雰囲気用ガスの供給方法とを適切に調整することによって、収縮ばらつきや形成される配線導体における電気特性等の品質ばらつきを有効に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法は、無機粉末およびバインダから成るセラミックス生成形体を焼成炉内に焼成雰囲気用ガスを供給しながら焼成するセラミックス生成形体の焼成方法において、前記セラミックス生成形体を一対の対向する側面にそれぞれ開口部を有する筐体で覆うとともに、前記焼成雰囲気用ガスを、前記筐体の前記開口部の一方からこの開口部と同じ開口幅のノズルを用いて、1分間当たり前記筐体の容積の10〜20倍の体積の量で供給することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法は、上記構成において、前記ノズルの開口高さが、前記筐体の前記開口部の開口高さに対して50〜100%であることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法は、上記構成において、前記ノズルの開口を、前記セラミックス生成形体の側面に対向するように配置することを特徴とするものである。
【0017】
本発明のセラミックス生成形体の焼成方法によれば、セラミックス生成形体を一対の対向する側面にそれぞれ開口部を有する筐体で覆うとともに、焼成雰囲気用ガスを、筐体の開口部の一方からこの開口部と同じ開口幅のノズルを用いて、1分間当たり筐体の容積の10〜20倍の体積の量で供給することにより、焼成雰囲気用ガスが例えば直方体状の筐体の開口部からこの筐体内に供給され、この筐体内の焼成雰囲気用ガス中に対して、セラミックス生成形体が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスが筐体内において滞留することなく連続的に対向する側面の開口部から排気されることとなり、焼成雰囲気ガスの濃度が均一な焼成雰囲気ガスの下でセラミックス生成形体を焼成することができることから、収縮ばらつきや形成される配線導体等における電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが可能となる。
【0018】
また、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法によれば、ノズルの開口高さが、筐体の開口部の開口高さに対して50〜100%であるものとしたときには、セラミックス生成形体が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスが筐体内において滞留することなく連続的に対向する側面の開口部から確実かつ良好に排気されることとなり、焼成雰囲気用ガスの濃度が極めて均一な雰囲気の下でセラミックス生成形体を焼成することができることから、収縮ばらつきや形成される配線導体における電気特性等の品質ばらつきをより一層有効に抑えることが可能となる。
【0019】
また、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法によれば、ノズルの開口を、セラミックス生成形体の側面に対向するように配置したときには、ノズルから供給された焼成雰囲気用ガスがセラミックス生成形体の全面に確実に接触するため、セラミックス生成形体の熱分解や解重合反応がより促進されると同時に、発生した分解ガスが筐体内において滞留することなく連続的に対向する側面の開口部からより一層確実かつ良好に排気されるため、より効率のよい、完成度の高い脱バインダができる。その結果、焼成後における磁器中の残留カーボン量が減少するため、誘電損失(tanδ)が小さくなることから、電気特性をさらにより一層向上させることが可能となる。
【0020】
その結果として、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法によって配線基板を作製すると、収縮ばらつきや配線導体の電気特性等の品質ばらつきが小さくなり、さらに電気特性も向上するので、配線導体によって設計通りに高周波信号を通すことが可能で、搭載された電子部品を正常に作動させることが可能な多層セラミック配線基板や半導体素子収納用パッケージを得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法について図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1(a)は本発明のセラミックス生成形体の焼成方法の実施の形態の一例を示す上面図であり、図1(b)はそのA−A’線断面図、図1(c)はそのB−B’線断面図である。
【0023】
これらの図において、1は焼成炉、2は炉壁、3はセラミックス生成形体、4は炉室、5は焼成雰囲気用ガス、6は一対の対向する側面にそれぞれ開口部8を有する筐体、7は開口部8と同じ開口幅のノズル、8は筐体6の開口部、9はセラミックス生成形体3を搭載する台座、10は台座9を固定するために設けられた炉床板である。
【0024】
セラミックス生成形体3は、例えば、ガラス粉末,フィラー粉末(セラミック粉末)、さらに有機バインダ,可塑剤,有機溶剤等を混合したガラスセラミックスグリーンシートを積層することで形成される。
【0025】
ガラス成分としては、例えばSiO−B系,SiO−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同一または異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは前記と同じである),SiO−B−M O系(但し、MはLi,NaまたはKを示す),SiO−B−Al−M O系(但し、Mは前記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
【0026】
また、フィラーとしては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられる。
【0027】
これらガラスとフィラーとの混合割合は質量比で40:60〜99:1であるのが好ましい。
【0028】
ガラスセラミックスグリーンシートに配合される有機バインダとしては、従来からセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0029】
ガラスセラミックスグリーンシートは、これらガラス粉末,フィラー粉末,有機バインダに必要に応じて所定量の可塑剤,溶剤(有機溶剤,水等)を加えてスラリーを得て、これをドクターブレード,圧延,カレンダーロール,金型プレス等により厚さ約50〜500μmに成形することによって得られる。
【0030】
このようにして得られたガラスセラミックスグリーンシートに切断加工や打ち抜き加工等を施して適当な形状にするとともにこれを複数枚積層した後、有機バインダ等の有機成分の除去および焼成を行なう。有機成分の除去は、100〜800℃の温度範囲でこの積層体を加熱することによって行ない、有機成分を分解,揮散させる。また、焼成温度はガラスセラミックス組成により異なるが、通常は約800〜1100℃の範囲内である。焼成は通常、大気中で行なうが、導体材料に銅を使用する場合には100〜700℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中で有機成分の除去を行なった後、窒素雰囲気中で焼成を行なう。
【0031】
本発明のセラミックス生成形体の焼成方法においては、セラミックス生成形体3を一対の対向する側面にそれぞれ開口部8を有する筐体6で覆うとともに、焼成雰囲気用ガス5を、筐体6の開口部8の一方からこの開口部8と同じ開口幅のノズル7を用いて、1分間当たり筐体6の容積の10〜20倍の体積の量で供給することが重要である。
【0032】
これは、セラミックス生成形体3を一対の対向する側面にそれぞれ開口部8を有する筐体6で覆うことにより、焼成雰囲気用ガス5が例えば直方体状の筐体6の開口部8からこの筐体6内に供給され、この焼成雰囲気用ガス5とセラミックス生成形体3が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスとが筐体6内において滞留することなく連続的に筐体6の対向する側面の開口部8から排気される。そのため焼成雰囲気ガス5の濃度が焼成炉1中で一定な状態の下でセラミックス生成形体3を焼成することができることから、セラミックス生成形体3単体における位置の差やセラミックス生成形体3の仕込み場所の差による焼成ばらつきを有効に抑えることが可能となる。また、焼成ばらつきが起因となり問題となる収縮ばらつきやこれに形成される配線導体等における電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが可能となる。
【0033】
また、焼成雰囲気用ガス5を、筐体6の開口部8の一方からこの開口部8と同じ開口幅のノズル7を用いて、1分間当たり筐体6の容積の10〜20倍の体積の量で供給することにより、焼成雰囲気用ガス5がセラミックス生成形体3に対して、筐体6の開口部8と同じ開口幅のノズル7から供給されて流量が常に一定の割合で均一に接触することにより、セラミックス生成形体3中に含まれる有機バインダが均一に熱分解して除去されるため、未分解として残留する有機バインダのセラミック生成形体3中における偏在を有効に抑えることが可能となる。
【0034】
さらに、焼成雰囲気用ガス5の濃度が焼成炉1中の筐体6の内部で一定となり、かつ流量が常に一定である焼成雰囲気用ガス5の下でセラミックス生成形体3を焼成することが可能となることから、セラミックス生成形体3単体における位置の差やセラミックス生成形体3の仕込み場所の差による焼成ばらつきを有効に抑えることが可能となる。
【0035】
その結果、焼成ばらつきが起因となって発生する収縮ばらつきや配線導体等における電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが可能となる。
【0036】
なお、筐体6の容積の10倍未満での体積量で焼成雰囲気用ガス5を供給した場合は、その焼成雰囲気用ガス5の供給量が十分に均一な雰囲気を形成するのに必要な量より少なくなることから、セラミックス生成形体3が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスの濃度がセラミックス生成形体3の近傍で局部的に高くなり、セラミックス生成形体3の近傍で雰囲気ガスの組成が不均一となる。
【0037】
そのため、筐体6内においてセラミックス生成形体3が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスが滞留することを対向する側面の開口部8から連続的に排気することによって有効に抑えることが困難となる。その結果、焼成雰囲気ガス5の濃度が焼成炉1中の筐体6の内部で一定でない状態でセラミックス生成形体3が焼成されることから、有機バインダ等を効果的に均一に除去することが困難となることにより、収縮ばらつきや配線導体等の電気特性等の品質ばらつきが起こる可能性が高くなる傾向がある。
【0038】
また、筐体6の容積の10倍未満での体積量となるような焼成雰囲気用ガス5の供給量では、筐体6内においてセラミックス生成形体3が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスが滞留することを対向する側面の開口部8から連続的に排気することによって有効に抑えることが困難となるのは、焼成雰囲気用ガス5等の気体がセラミックス生成形体3の仕込まれた狭い筐体6内の隙間をほぼ均一な分布で流れることが困難となるからであり、供給した焼成雰囲気用ガス5の一部の逆流現象等が発生したりする可能性があり、この現象は特に焼成雰囲気用ガス5の供給量が少ない条件下において顕著に発生する傾向にあるものであるが、この条件下においては焼成ばらつきが発生し、それが起因となって、問題となるような収縮ばらつきや配線導体等の電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが困難となるからである。
【0039】
他方、筐体6の容積の20倍を超える体積量となるような焼成雰囲気用ガス5の供給量では、焼成雰囲気用ガス5が常温であることから、供給した焼成雰囲気用ガス5の影響によりセラミックス生成形体3の近傍において局部的に温度が低くなることから、焼成炉1中における温度を所望の温度範囲で一定な状態とすることが困難となる。
【0040】
その結果、焼成ばらつきが発生し、それが起因となって発生する収縮ばらつきや配線導体等の電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが困難となる。
【0041】
また、筐体6の容積の20倍を超える体積量となるような焼成雰囲気用ガス5の供給量では、小型のセラミックス生成形体3の焼成においては台座9の上でセラミックス生成形体3が飛散してしまい、焼成することができないといった問題が発生してしまう傾向がある。
【0042】
一方、筐体6の容積に対するセラミックス生成形体3の仕込み体積としては、50体積%以下とすることが好ましい。これは、50体積%を超える仕込み体積となると、筐体6内においてセラミックス生成形体3が熱分解や解重合反応して発生した分解ガス量が多くなることにより、焼成雰囲気用ガス5の濃度が焼成炉1中の筐体6の内部で一定でない状態でセラミックス生成形体3が焼成されることとなることから、セラミックス生成形体3から有機バインダ等を効果的に除去することが困難となる。そのため、分解ガスを、対向する側面の開口部8から連続的に排気することによって有効に抑えることが困難となる。
【0043】
その結果、焼成ばらつきが起因となり発生する収縮ばらつきや配線導体等の電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが困難となる。
【0044】
さらに、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法においては、ノズル7の開高さは、筐体6の開口部8の開口高さに対して50〜100%の範囲であることが好ましい。
【0045】
これは、ノズル7の開口高さを筐体6の開口部8の開口高さに対して十分な大きさのものとして設定することによって、ノズル7から開口部8を介して筐体6の内部に、1分間当たり筐体の容積の10〜20倍の体積の量で供給される焼成雰囲気ガス5を筐体6の高さ方向においても流量が常に均一な状態で供給することができるものとなり、その結果、セラミックス生成形体3が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスを筐体6の内部に滞留させることなく連続的に対向する側面の開口部8から排出させることができるようになって、焼成雰囲気用ガス5の濃度が極めて均一な雰囲気の下でセラミックス生成形体3を焼成することができるので、収縮ばらつきや形成される配線導体における電気特性等の品質ばらつきをより一層有効に抑えることが可能となるからである。
【0046】
このノズル7の開口高さが、筐体6の開口部8の開口高さに対して50%未満の場合は、そのノズル7によって焼成雰囲気用ガス5を開口部8を介して筐体6に供給すると、焼成雰囲気用ガス5が開口部8を介して直接供給される筐体6内の領域と、ノズル7の存在しない高さ方向において焼成雰囲気用ガス5が直接供給されない筐体6内の領域との間で、流量の違いによるガスの流れに差が存在するようになることから、筐体6内の一部に乱流(対流)が発生し、焼成雰囲気用ガス5と、セラミックス生成形体3が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスとが、滞留してしまうといった傾向があるため、焼成雰囲気用ガス5を供給する開口部8に対向する側面から分解ガスを連続的に排気することが困難となる傾向にある。
【0047】
その結果、焼成雰囲気用ガス5の濃度が焼成炉1中の筐体6の内部で均一でない状態でセラミックス生成形体3が焼成されることになることから、施肥生成形体3から有機バインダ等を効果的に均一に除去することが困難となることにより、収縮ばらつきや配線導体等の電気特性等の品質ばらつきが起こりやすくなる傾向がある。
【0048】
また、筐体6の内部に、ノズル7に近いところと遠いところとで流速に大きな差が生じるように開口高さの低いノズル7から局部的に焼成雰囲気用ガス5を供給することとなるため、局部的に焼成雰囲気用ガス5が供給された箇所に対応する部位のセラミックス生成形体3の温度が低くなるといった傾向があることから、筐体6の内部でセラミックス生成形体3の温度を均一な状態として焼成することが困難となる。
【0049】
さらにまた、筐体6の開口部8の開口高さに対して50%未満の開口高さを有するノズル7で焼成雰囲気用ガス5を供給した場合には、1分間当たり筐体6の容積の10〜20倍の体積の量で供給される焼成雰囲気用ガス5の流速が、開口高さに反比例する傾向でもって高くなる傾向にあるため、小型のセラミックス生成形体3を焼成する場合において焼成中にそれら小型のセラミックス生成形体3が飛散してしまい、良好に焼成することができなくなるといった問題が発生する可能性がある。
【0050】
一方、ノズル7の開口高さが、筐体6の開口部8の開口高さに対して100%を超える場合は、焼成雰囲気用ガス5の一部が筐体6内に供給されないようになるため、焼成雰囲気用ガス5の供給量が十分に均一な雰囲気を形成するのに必要な量より少なくなることから、セラミックス生成形体3が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスの濃度がセラミックス生成形体3の近傍で局部的に高くなり、セラミックス生成形体3の近傍で焼成雰囲気用ガス5の組成が不均一となる傾向がある。また、筐体6内における焼成雰囲気用ガス5の流量低下を招き、焼成雰囲気用ガス5をセラミックス生成形体3の仕込まれた狭い筐体6内の隙間に均一な分布で流すことが困難となる。その結果、供給した焼成雰囲気用ガス5の一部の逆流現象等が発生したりするといった不具合が発生する傾向がある。その結果、焼成ばらつきが発生し、収縮ばらつきや配線導体等の電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが困難となる傾向がある。
【0051】
また、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法においては、ノズル7の開口を、セラミックス生成形体3の側面に対向するように配置することが好ましい。
【0052】
これは、ノズル7の開口をセラミックス生成形体3の側面に対向するように配置することによって、ノズル7から筐体6の開口部8を介して供給される焼成雰囲気用ガス5が確実にセラミックス生成形体3に接触するため、セラミックス生成形体3の熱分解や解重合反応がより促進されると同時に、発生した分解ガスが筐体6内において滞留することなく連続的に対向する側面の開口部8からより一層確実かつ良好に排気されることにより、より効率のよい、完成度の高い脱バインダができるからである。その結果、焼成後における磁器中の残留カーボン量が減少し、異物の残量が減少することにより、誘電損失(tanδ)が小さくなり、電気特性を向上させることが可能となる。
【0053】
このようにノズル7の開口をセラミックス生成形体3の側面に対向させるに当たっては、ノズル7の開口を焼成雰囲気用ガス5の流れ方向に対して平行移動したとき、セラミックス生成形体3の側面が一部分でも含まれるような位置にその開口が面するようにノズル7を配置しておくことが望ましい。
【0054】
このノズル7の開口が、セラミックス生成形体3の側面に対向しないように配置された場合は、ノズル7とセラミックス生成形体3との対向ズレにより、焼成雰囲気用ガス5がセラミックス生成形体3に直接接触ができない部分ができ、焼成雰囲気用ガス5がそのまま筐体6を通過して排気されるようになるため、脱バインダ効率が低下する傾向にある。
【0055】
その結果、セラミックス生成形体3から有機バインダ等を効果的に除去することが困難となるため、収縮不足や配線導体の電気特性の劣化等が起こりやすくなる傾向がある。
【0056】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行なうことは何等差し支えない。例えば、上述の例では、ガラスセラミックスの焼成方法に適用したが、アルミナセラミックスや窒化アルミニウム等の他セラミックス材料から成るセラミックス生成形体に適用してもよい。
【0057】
【実施例】
以下に本発明の具体例について詳細に説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
【0058】
図3(a)は、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法においてセラミックス生成形体3として用いられるガラスセラミック・グリーンシート積層体の一例を示す断面図である。これは、誘電損失(tanδ)の測定用サンプルとして使用されるものである。
【0059】
図3において、11はガラスセラミック・グリーンシート、12は表面の導体パターン、13は内層の導体パターン、14はこれらガラスセラミック・グリーンシート11,表面の導体パターン12および内層の導体パターン13からなるセラミックス生成形体の焼成における収縮を拘束して抑制するための拘束グリーンシートである。また、図3(b)は、表面の導体パターン12および内層の導体パターン13の概略形状を示す平面図である。
【0060】
ここで、本実施例で評価したガラスセラミックス成形体の作製手順を示す。
【0061】
ガラスセラミック成分として、SiO−Al−ZnO系ガラス粉末60質量%,CaZrO粉末20質量%,SrTiO粉末17質量%およびAl粉末3質量%を使用した。このガラスセラミック成分100重量部に有機アクリル樹脂12重量部、フタル酸系可塑剤6重量部および溶剤としてトルエン30重量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ50μmおよび300μmのガラスセラミック・グリーンシートを成形した。次いで、このグリーンシート上に銅ペーストを用いて、導体パターン12を厚さ50μmのグリーンシートに、また導体パターン13を厚さ300μmのグリーンシートにそれぞれスクリーン印刷にて形成した。なお、銅ペーストとしては、平均粒径0.5μmの100%純銅粉末に有機バインダとしてアクリル樹脂8重量部を、溶剤としてテルピネオールを加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合したものを用いた。
【0062】
一方、無機成分としてAl粉末95質量%と軟化点720℃のSiO−Al−MgO−B−ZnO系ガラス粉末5質量%とを用いて、ガラスセラミック・グリーンシートと同様にしてスラリーを作製し、次いで成形して厚さが250μmの拘束グリーンシート11を得た。
【0063】
次に、表面に導体パターン12が、内層に導体パターン13が構成されるようにして温度55℃,圧力10MPaで積層し、さらにその両面に拘束グリーンシート11を重ね合わせ、温度55℃,圧力20MPaで圧着してセラミックス生成形体3を得た。
【0064】
次に、架台を焼成炉1内に設置し、炉床板10上に一辺200mmの正方形の、アルミナを主成分とする台座9を載せた。そして、ノズル(開口高さ15mm)7の位置を台座9の高さにくるように調整し、セラミックス生成形体3を配置した。続いて、ノズル7側に筐体6の開口部8の面が配置するようにセラミックス生成形体3を直方体状の筐体6(寸法:縦200mm×横200mm×高さ20mm)で覆った。その後、露点40℃の窒素を焼成用雰囲気ガス5として用い、ノズル7より筐体6に供給し、最高温度900℃で焼成した。焼成後は、セラミックス生成形体3を焼成して成るセラミックス成形体の表面に被着した拘束シート11を焼成して成る拘束シートを、球状Al微粉末と水との混合物を高圧の空気圧で投射するウェットブラスト法により除去し、乾燥した後、誘電損失(tanδ)を1MHzで測定した。
【0065】
また、寸法精度評価サンプルについては、厚みが300μmのグリーンシートを4枚積み重ね、温度55℃,1cm当たり圧力5MPaで圧着して積層体を得た。次いで、このグリーンシート上に、銅ペーストを用いスクリーン印刷にて、所定のピッチ(配設間隔)を持つφ100μmの円形の導体パターンを形成し、その距離を測定した後、前述のセラミックス生成形体3と同様に焼成し、焼成後に再度同一箇所の寸法を測定することで、収縮率を計算した。
【0066】
飛散性評価サンプルについては、寸法精度評価サンプルと同様に、厚みが300μmのグリーンシートを4枚積み重ね、温度55℃,1平方cm当たり圧力5MPaで圧着した後に、10mm角に裁断した。焼成においては、縦横10mm間隔で台座9の上に載置し、焼成前後での位置のズレ,台座9からの落下,飛散の有無を確認した。その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 2004203685
【0068】
ここで表1における電気特性(tanδ)のばらつきについて「○」は、同一バッチ内の特性値が平均値の±10%以内に収まることを示す。また、同一バッチ内の特性値が平均値の±10%を超えるものを「×」とした。
【0069】
寸法精度について「○」は、同一バッチ内の焼成収縮率が平均値の±0.1%以内に収まることを示す。また、同一バッチ内の焼成収縮率が平均値の±0.1%を超えるものを「×」とした。
【0070】
飛散性について「○」は、焼成前後で台座上におけるサンプルの移動が見られなかったものを示す。また、「×」については、焼成前後で台座上におけるサンプルの移動もしくは台座からの飛散,落下が見られたことを示す。
【0071】
比較例は、従来の構造の焼成雰囲気用ガス供給手段をもつ焼成炉により焼成された試料の評価結果である。比較例の供給ガスの筐体に対する体積は、焼成ガスを筐体内に直接供給しないため実施例と比較することはできないので、参考値として扱った。表1に示す結果から分かるように、電気特性(tanδ)のばらつきは、ノズルの開口幅を筐体の開口部の開口幅と同じ寸法にした、試料No.11,12,13で良好であった。筐体の開口部の開口幅より、ノズルの開口幅が小さい試料No.1〜8については、いずれもばらつきを改善することはできなかった。
【0072】
また、寸法精度については、ノズルの開口幅を筐体の開口部の開口幅と同じ寸法にした、試料No.9〜12で良好であった。一方、筐体の開口部の開口幅よりノズルの開口幅が小さい試料No.1〜8については、いずれもばらつきを改善することはできなかった。
【0073】
飛散性については、筐体の容積に対する焼成雰囲気用ガスの供給量の多い試料No.4,8,13で発生した。また、筐体の開口部の開口幅よりノズルの開口幅を小さくするに従って、供給量の少ない試料No.3,7さらには2においても発生が見られた。
【0074】
また、表1の結果から分かるように、試料No.1〜10については、電気特性(tanδ)のばらつきに問題があった。また、ノズルの開口幅を筐体の開口部の開口幅と同じ寸法にした、試料No.11,12,13で良好であった。また、試料No.13については、寸法精度および飛散性に問題があった。
【0075】
これに対して、本発明の試料No.11,12は、寸法精度に優れ、飛散性についても問題なかった。
【0076】
試料No.15〜23は、筐体にダミーのセラミックス生成形体を載置することで、セラミックス生成形体の占有する体積を変化させ、筐体の開口部の開口幅に対する開口幅の比(開口比)が100%のノズルにて、焼成雰囲気用ガスを筐体の容積に対して10倍および20倍で供給し、試料No.1〜13と同様の評価を行なったものである。また、試料No.24〜27は、試料No.20と同様の条件下(焼成雰囲気用ガスの供給量が対筐体容積で20倍、セラミックス生成形体の体積が対筐体容積で10%)で、筐体の開口部の開口高さに対してノズルの開口高さを10%〜100%の範囲で変化させ、試料No.1〜13と同様の評価を行なったものである。ここでは、筐体とその開口部との高さをともに変化させ、かつ筐体の内部にダミーのセラミックス生成形体を載置することで、上記の条件を設定した。その結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
Figure 2004203685
【0078】
表2に対しての評価基準は表1と同様とした。なお、電気特性(tanδ)のばらつきについて平均値の±10%を超えるものがわずかに発生したもの、寸法精度について同一バッチ内の焼成収縮率が平均値の±0.1%を超えるものがわずかに発生したもの、飛散性について焼成前後で台座上におけるサンプルの移動がわずかに見られたものを、それぞれ実用上は大きな問題はないものの、やや劣る結果であるとして「△」とした。
【0079】
表2の結果から分かるように、筐体の容積に対する焼成雰囲気用ガスの供給量が10倍の条件下で、筐体の容積に対するセラミックス生成形体の体積が対筐体容積で50%の試料No.18は、電気特性(tanδ)のばらつきがやや劣るものであった。また、筐体の容積に対する焼成雰囲気用ガスの供給量が20倍の条件下で、筐体の容積に対するセラミックス生成形体の体積が対筐体容積で50%の試料No.23は、その生成形体の大きさによっては、寸法精度,飛散性に問題が見られる場合があった。
【0080】
これに対し、セラミックス生成形体の体積が対筐体容積で5%〜30%の試料No.14〜17,19〜22は、電気特性(tanδ)のばらつき,寸法精度,飛散性ともに問題が無く非常に優れたものであった。
【0081】
また、筐体の開口部の開口高さに対するノズルの開口高さが10%の試料No.24は、電気特性(tanδ)のばらつき,寸法精度,飛散性にやや問題が見られた。また、筐体の開口部の開口高さに対するノズルの開口高さが25%の試料No.25は、寸法精度,飛散性にやや問題が見られた。
【0082】
これに対し、筐体の開口部の開口高さに対するノズルの開口高さが50%および100%の試料No.26および27は、いずれも電気特性(tanδ)のばらつき,寸法精度,飛散性ともに問題が無く非常に優れたものであった。
【0083】
また、試料No.28〜30は、試料No.26と同様の条件下(焼成雰囲気用ガスの供給量が対筐体容積で20倍、セラミックス生成形体の体積が対筐体容積で10%、ノズルの開口高さが対筐体開口高さ50%)で、ノズルの開口とセラミックス生成形体の側面との対向ズレ量を変化させ、試料No.1〜27と同様の評価と、電気特性(tanδ)の平均値の比較とを行なったものである。その結果を、試料No.26における結果とともに表3に示す。
【0084】
【表3】
Figure 2004203685
【0085】
なお、この評価におけるノズルの開口とセラミックス生成形体の側面との対向ズレ量とは、試料No.26の場合のセラミックス生成形体の上面からノズルの開口の下辺までの距離を1としたときの比率で示してある。また、電気特性(tanδ)の平均値については、試料No.26の平均値を100としたとき、平均値が80〜120のものを「△」、80未満のものを「○」とした。
【0086】
表3の結果から分かるように、焼成雰囲気用ガスの供給量が対筐体容積で20倍、セラミックス生成形体の体積が対筐体容積で10%、ノズルの開口高さが対筐体開口高さ50%の条件下において、ノズルの開口とセラミックス生成形体の側面とが試料No.26よりさらに対向しない位置にある対向ズレ量が4の試料No.28は、電気特性(tanδ)の平均値は試料No.26の平均値と同等であり、電気特性(tanδ)のばらつき,寸法精度,飛散性ともに問題ないものであった。
【0087】
これに対し、ノズルの開口とセラミックス生成形体の側面とが対向開始する位置にある対向ズレ量が0の試料No.29および完全な対向位置にある試料No.30は、ノズルから供給される焼成雰囲気用ガスが確実にセラミックス生成形体に接触するため、セラミックス生成形体の熱分解や解重合反応がより促進されるとともに、それにより発生した分解ガスが筐体内に滞留しにくくなって連続的に対向する側面の開口部からより一層確実かつ良好に排気されるようになったことにより、効率のよい、完成度の高い脱バインダができる。そのため、ノズルの開口とセラミックス生成形体の側面とが対向の位置にない試料の電気特性(tanδ)の平均値よりも20%を超える低い数値となり、誘電損失の少ない優れたものであった。また、電気特性(tanδ)のばらつき,寸法精度,飛散性ともに問題が無く非常に優れたものであった。
【0088】
【発明の効果】
本発明のセラミックス生成形体の焼成方法によれば、無機粉末およびバインダから成るセラミックス生成形体を焼成炉内に焼成雰囲気用ガスを供給しながら焼成するセラミックス生成形体の焼成方法において、セラミックス生成形体を一対の対向する側面にそれぞれ開口部を有する筐体で覆うとともに、焼成雰囲気用ガスを、筐体の開口部の一方からこの開口部と同じ開口幅のノズルを用いて、1分間当たり筐体の容積の10〜20倍の体積の量で供給することにより、焼成雰囲気用ガスが例えば直方体の筐体の開口部からこの筐体内に供給され、この焼成雰囲気用ガスとセラミックス生成形体が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスとが筐体内において滞留することなく連続的に対向する側面の開口部から排気されることとなり、濃度が均一な焼成雰囲気用ガスの下でセラミックス生成形体を焼成することができることから、収縮ばらつきや形成される配線導体等における電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが可能となる。
【0089】
また、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法によれば、ノズルの開口高さが、筐体の開口部の開口高さに対して50〜100%であるものとしたときには、セラミックス生成形体が熱分解や解重合反応して発生した分解ガスが筐体内において滞留することなく連続的に対向する側面の開口部から確実かつ良好に排気されることとなり、焼成雰囲気用ガスの濃度が極めて均一な雰囲気の下でセラミックス生成形体を焼成することができることから、収縮ばらつきや形成される配線導体における電気特性等の品質ばらつきをより一層有効に抑えることが可能となる。
【0090】
また、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法によれば、ノズルの開口を、セラミックス生成形体の側面に対向するように配置したときには、ノズルから供給された焼成雰囲気用ガスがセラミックス生成形体の全面に確実に接触するため、セラミックス生成形体の熱分解や解重合反応がより促進されると同時に、発生した分解ガスが筐体内において滞留することなく連続的に対向する側面の開口部からより一層確実かつ良好に排気されるため、より効率のよい、完成度の高い脱バインダができる。その結果、焼成後における磁器中の残留カーボン量が減少するため、誘電損失(tanδ)が小さくなることから、電気特性をさらにより一層向上させることが可能となる。
【0091】
その結果として、本発明のセラミックス生成形体の焼成方法によって配線基板を作製すると、収縮ばらつきや配線導体の電気特性等の品質ばらつきが小さくなり、さらに、セラミックスの電気特性を向上させることもできるので、配線導体によって設計通りに高周波信号を通すことが可能で、搭載された電子部品を正常に作動させることが可能な多層セラミック配線基板や半導体素子収納用パッケージを得ることができる。
【0092】
以上により、本発明によれば、収縮ばらつきや配線導体の電気特性等の品質ばらつきを有効に抑えることが可能で、高い寸法精度と高い電気特性が要求されている電子機器に組み込まれる配線基板にも好適な成形体が得られるセラミックス生成形体の焼成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のセラミックス生成形体の焼成方法の実施の形態の一例を示す上面図であり、(b)はそのA−A’線断面図、(c)はそのB−B’線断面図である。
【図2】従来のセラミックス生成形体の焼成方法の一例を示す断面図である。
【図3】(a)は本発明のセラミックス生成形体の焼成方法においてセラミックス生成形体として用いられるガラスセラミック・グリーンシート積層体の一例を示す断面図であり、(b)は表面の導体パターンおよび内層の導体パターンの概略形状を示す平面図である。
【符号の説明】
1・・・・・焼成炉
2・・・・・炉壁
3・・・・・セラミックス生成形体
4・・・・・炉室
5・・・・・焼成雰囲気用ガス
6・・・・・筐体
7・・・・・ノズル
8・・・・・開口部
9・・・・・台座
10・・・・・炉床板

Claims (3)

  1. 無機粉末およびバインダから成るセラミックス生成形体を焼成炉内に焼成雰囲気用ガスを供給しながら焼成するセラミックス生成形体の焼成方法において、前記セラミックス生成形体を一対の対向する側面にそれぞれ開口部を有する筐体で覆うとともに、前記焼成雰囲気用ガスを、前記筐体の前記開口部の一方から該開口部と同じ開口幅のノズルを用いて、1分間当たり前記筐体の容積の10〜20倍の体積の量で供給することを特徴とするセラミックス生成形体の焼成方法。
  2. 前記ノズルの開口高さが、前記筐体の前記開口部の開口高さに対して50〜100%であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス生成形体の焼成方法。
  3. 前記ノズルの開口を、前記セラミックス生成形体の側面に対向するように配置することを特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミックス生成形体の焼成方法。
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