JP2004203662A - セメントの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】含水汚泥をセメント製造設備で大量に処理する方法において、リン成分の蓄積を防止し、安定した品質でセメントを製造することができるセメントの製造方法を提供する。
【解決手段】含水汚泥からリン成分の含有率を低減せしめる除リン工程、上記除リン工程より得られたリン成分の含有率が低減された含水汚泥を乾燥する乾燥工程及び上記乾燥工程より得られた乾燥汚泥をセメント製造設備にてセメント製造用燃料及び原料として使用し、セメントクリンカーを製造するセメント製造工程よりなる。セメント製造工程において、乾燥汚泥をセメント製造設備のロータリーキルンの窯前、仮焼炉及び/又はロータリーキルンの釜尻、に供給することが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】含水汚泥からリン成分の含有率を低減せしめる除リン工程、上記除リン工程より得られたリン成分の含有率が低減された含水汚泥を乾燥する乾燥工程及び上記乾燥工程より得られた乾燥汚泥をセメント製造設備にてセメント製造用燃料及び原料として使用し、セメントクリンカーを製造するセメント製造工程よりなる。セメント製造工程において、乾燥汚泥をセメント製造設備のロータリーキルンの窯前、仮焼炉及び/又はロータリーキルンの釜尻、に供給することが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水汚泥を使用したセメントの新規な製造方法に関する。詳しくは、セメント製造用の燃料及び原料として含水汚泥を大量に使用することが可能なセメントの製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水汚泥、工場排水汚泥、活性汚泥などの含水汚泥の処理は、その臭気による廃棄場所の制限などにより、大きな問題となっている。かかる問題に対して、近年、産業廃棄物をセメント工場で燃料或いは原料として使用することが行われるようになり、上記含水汚泥についても、セメント製造設備で、焼却処理することが検討されつつある。例えば、上記含水汚泥をセメント製造設備のロータリーキルンの窯尻部に直接供給する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記含水汚泥をセメント製造工程において処理するため、該含水汚泥を仮焼炉、キルン(焼成炉)などの高温燃焼領域に直接投入して燃焼処理しようとした場合、含水汚泥が水分を多量に含むことから、該汚泥の水分の蒸発により熱が消費され、燃焼エネルギーの損失を招くため、その処理量が低く制限されていた。
【0004】
一方、セメント製造設備での含水汚泥の処理量は、今後急激に増大することが予想され、上記含水汚泥のセメント製造のための燃料或いは原料としての利用率も大幅に増大することが予想される。
【0005】
本発明者らは、上記問題への対応について、含水汚泥を乾燥してセメント製造設備に大量供給する方法を検討してきた。その結果、含水汚泥の利用率を上げることによって、セメント製造設備より得られるセメントの品質にリン成分が大きな影響を及ぼすという問題があることが判明した。
【0006】
上記リン成分のセメントへの影響は、含水汚泥を直接投入する場合の少量供給では問題として認識されていなかったことである。また、含水汚泥を乾燥させてセメント製造設備に供給する方法として、含水汚泥に酸化カルシウム粉を添加し、水と酸化カルシウムとの反応によって発生する熱を利用して含水汚泥の乾燥を行う方法、所謂、「乾粉法」が提案されている(特許文献2参照)が、かかる方法においても、汚泥の大量供給及びそれによるリン成分の問題は認識されていない。
【0007】
即ち、乾粉法によって乾燥汚泥を大量に使用するためには、それに伴って生成する水酸化カルシウムを仮焼することが必要となり、セメント製造設備のプレヒーター上部より供給するという制限を受ける。さらにこの場合、プレヒーター上部は有機物が燃焼するには十分な温度ではないため、乾燥汚泥の有機成分によってはプレヒーターの上部で燃焼されずに揮発するため、熱量の損失となる。また、燃焼した場合には、局部的にプレヒーター温度が上昇する恐れがある。そのため、乾粉法においては乾燥汚泥の使用量は自ずと制限され、前記リン成分の問題が生じるに至っていなかったのが現状である。
【0008】
尚、含水汚泥を製造する際に、リン成分を低減させる方法は知られている(非特許文献1参照)。しかし、かかる方法は、一部の含水汚泥に対して適用されるものであり、多種多様の含水汚泥をセメント製造設備において処理する場合には、上記汚泥の他に高含有量でリン成分を含有する汚泥も存在し、セメント製造設備に供給されるトータルの含水汚泥でみると、含水汚泥中のリン成分は、未だ高い濃度であると言える。
【0009】
しかも、かかる含水汚泥を乾燥汚泥としてセメント製造設備に大量に供給する試みは成されておらず、これから取り組まなければならない問題として挙げられる。
【特許文献1】特開平8−276199号公報
【特許文献2】特開平3−98700号公報
【非特許文献1】環境バイオテクノロジー学会誌 第1巻、第1号、25〜32頁
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、含水汚泥をセメント製造設備に供給して大量に処理する方法を、リン成分の蓄積を防止しながら実施し、安定した品質でセメントを製造することができるセメントの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記知見に基づく上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた。その結果、含水汚泥から殆どの水分を、前記乾粉法の如き乾燥材を添加することなく、加熱乾燥により水分を除去して乾燥した後、得られる乾燥汚泥をセメント製造設備に供給することにより大量の含水汚泥を処理することができ、また、その際、供給される乾燥汚泥全体のリン成分の含有率を特定の値に調整することによって、得られるセメントにおけるリン成分の問題が解決でき、安定した品質のセメントを製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、含水汚泥を加熱乾燥して得られる乾燥汚泥をセメント製造設備にてセメント製造用燃料及び原料として使用し、セメントを製造する際、該乾燥汚泥の固形分中に占めるリン含有率を4重量%以下に調整することを特徴とするセメントの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、使用される含水汚泥は、セメントの製造において原料となり得る無機物或いは燃料となり得る有機物を含むものでリン成分を含有するものである。例えば、下水汚泥、工場排水汚泥、活性汚泥などの含水汚泥が代表的である。
【0014】
本発明において、上記含水汚泥の乾燥は、加熱乾燥によって行われる。従来、含水汚泥の乾燥方法としては、前記「乾紛法」が主として採用されていたが、酸化カルシウムの水和により生成する水酸化カルシウムを仮焼するため、その供給個所が制限され、しかも、それにより供給量も制限されていた。本発明においては、含水汚泥の乾燥を加熱乾燥によって実施することにより、乾燥物の供給量、供給個所に著しい制限を受けず、任意の個所に供給できることにより、セメント製造設備における含水汚泥の処理量を著しく増大することを可能とした。
【0015】
因みに、上記含水汚泥の添加量は、セメントを得るために石膏を添加前のセメントクリンカーの生産量に対して、固形物換算で10重量%程度の高添加量を達成することが可能である。また、本発明においては、前記した除リン処理によってリン成分の含有量を低減された乾燥汚泥を使用するため、大量に供給した場合のリン成分のセメントへの混入による悪影響を効果的に低減することが可能である。
【0016】
上記加熱乾燥は、含水汚泥の乾燥方法は特に制限されないが、加熱ガスにより直接加熱して乾燥する方法、或いは、伝熱面を介して間接的に加熱する方法が挙げられる。
【0017】
具体的には、直接加熱方法としては、セメントクーラーの排ガス等を含水汚泥と直接接触せしめて乾燥する方法が挙げられる。
【0018】
一方、間接加熱方法としては、上記排ガス、或いは蒸気と伝熱面を介して該含水汚泥を加熱し、乾燥させる方法、また、該加熱面を電熱線により加熱してもよい。好ましい態様として、蒸気或いは排ガスを導入可能なジャケット付のロータリー乾燥機などにより、含水汚泥を間接的に加熱して乾燥する方法が挙げられる。
【0019】
上記加熱において、セメント製造設備の廃熱、特に排ガスを熱源として利用する方法が好ましい。
【0020】
かかる乾燥の度合いは、含有される水分量がセメント製造設備への添加量を著しく制限するに至らない範囲であれば特に特に制限されない。一般には、水分量が30重量%以下、特に、10重量%以下となるように乾燥することが好ましい。
【0021】
乾燥により発生するガスは、そのまま、或いは、含有する水を凝縮せしめた後、セメント製造設備の800℃以上の箇所に循環せしめることにより、含水汚泥の臭気の処理を同時に行うこともできる。また、上記乾燥により発生するガスは、公知の吸着手段により、臭気を除去した後、排気することもできる。
【0022】
上記乾燥方法のうち、間接加熱方法は、臭気を含有するガスの発生量を少なく抑えることができ、本発明において特に好適である。
【0023】
本発明において重要な構成は、上記乾燥汚泥をセメント製造設備に供給する際、含有されるリン成分の含有率を、その固形分中に占める割合で、4重量%以下、特に、3重量%以下、更には、2重量%以下に調整することにある。
【0024】
従来、含水汚泥のリン成分を低減された含水汚泥は存在するものの、これを単独で使用することは現実的でなく、リン成分の含有量の多い含水汚泥が、かなりの比率で混入しているのが現状である。
【0025】
そのため、リン成分の占める割合は、含水汚泥の固形分中、6重量%を超え、場合によっては、10重量%以上にも達する。
【0026】
本発明においては、含水汚泥を乾燥してセメント製造設備に供給するに際し、該固形分中のリン成分の割合を、4重量%以下という低い値に低減せしめることにより、前記乾燥汚泥の大量使用においても、リン成分の蓄積により得られるセメントクリンカーの品質を著しく低減させる事がないという効果を発揮する。
【0027】
本発明において、乾燥汚泥中のリン成分を上記範囲に調整する方法は、特に制限されない。例えば、含水汚泥を得る工程において除リンを行う方法、或いは、含水汚泥を得た後、該含水汚泥に対して除リンを行う方法が挙げられる。
【0028】
含水汚泥を得る工程において除リンを行う方法としては、前記非特許文献1に記載の方法が好適である。即ち、汚泥をろ過する前に、嫌気性処理を行った後、曝気処理を行い、次いで、加熱処理することによって、リン成分をリン鉱石として回収する方法が挙げられる。
【0029】
また、含水汚泥を得た後に除リンを行う方法としては、含水汚泥のpHを3以下に調整することにより、リン成分を可溶化せしめる可溶化工程、及び、pH3以下に維持した状態でろ過して上記溶出したリン成分を汚泥の固形分より分離する固液分離工程よりなる方法によって行うことが好ましい。
【0030】
上記可溶化工程におけるpH調整は、塩酸、硫酸等の強酸を使用することが好ましい。また、固液分離工程でのろ過を容易とするために、前記可溶化工程の前又は後に、或いは同時に高圧滅菌して含水汚泥に含有される菌を低減させることが好ましい。この高圧滅菌の条件は、適宜決定することができるが、一般には、0.04〜0.34MPaの圧力、110〜145℃の温度下で、5〜60分間実施することが好ましい。
【0031】
また、固液分離工程でのろ過を容易とする他の方法として、前記可溶化工程の後にデカンテーションを行う方法が挙げられる。上記デカンテーションに使用する新液には、pHが5〜9の水が使用される。また、上記デカンテーションは、1又は複数回行うことができるが、好ましくは、2〜5回実施される。
【0032】
上記除リン方法において、含水汚泥は、一般に、60重量%以上の水分を含むものが、リンの除去を効率的に実施するために好ましい。即ち、乾燥状態に近い状態まで水分を減少された含水汚泥は、後記のリンの除去において、汚泥中のリンの溶出速度が低下し、処理時間の増大や処理効率の低下を招く傾向がある。
【0033】
また、上述した処理によって生成した排水の処理は、特に制限されるものではないが、該排液のpHを4以上、12未満に調整することによってリン成分を析出させ分離するリン分離工程、リン分離工程より得られるリンを除去後の分離液のpHを12以上に調整することによって重金属と酸可溶性有機物を析出させ分離するアルカリ処理工程によって処理することが好ましい。
【0034】
前記リン分離工程においては、炭酸カルシウムを添加することによってpH調整を行うことが、また、前記アルカリ処理工程においては、水酸化カルシウムを添加することによってpH調整を行うことが好ましい。
【0035】
また、アルカリ処理工程より得られる分離液中には、アンモニアが含有されている場合があり、この場合、塩酸、硫酸等の酸を添加し、該分離液のpHを7程度に低下せしめ、且つ、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤の存在下に該アンモニアを分解せしめるアンモニア除去工程を設けることが好ましい。
【0036】
更に、アンモニア除去工程より得られる液には、亜硫酸水素ナトリウムの如き還元剤を添加して、残存する酸化剤を無害化した後、アルカリでpH調整を行う中和工程を経て、廃棄或いは再利用することが好ましい。
【0037】
本発明において、乾燥汚泥のセメント製造設備への供給箇所は、特に制限されるものではないが、燃料としての燃焼効率を考慮した場合、該設備におけるロータリーキルンの窯前、仮焼炉及び/又はロータリーキルンの窯尻が適当である。
【0038】
本発明において、セメント製造設備で使用されるセメント原料は、石灰石を主成分とする公知の原料が特に制限なく使用される。セメント原料を具体的に示せば、石灰石を主とし、これに粘土質原料、珪石質原料、酸化鉄原料などを配合して使用するのが一般的である。ポルトランドセメントの場合、石灰石50〜90重量%、粘土質原料10〜40重量%、珪石質原料5〜20重量%、酸化鉄原料2〜8重量%よりなる組成が一般的である。
【0039】
尚、乾燥汚泥に含まれる有機質は燃料の一部として作用し、無機質はセメント中にその組成の一部として含まれる。
【0040】
本発明において、セメント製造設備では、セメント原料の焼成によって得られるセメントクリンカーを適当な粒度に粉砕した後、石膏及び必要に応じてその他の混合材を添加してセメントとされる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明によれば、含水汚泥を乾燥し、乾燥汚泥としてセメント製造設備に供給するため、該乾燥汚泥をセメント製造用燃料或いは原料として大量に供給することができる。また、該乾燥汚泥は、前記した除リン処理によってリン成分の含有量を低減されているため、これをセメント製造設備に大量に供給した場合のリン成分のセメントへの混入による悪影響を効果的に低減することが可能である。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0043】
実施例1
含水汚泥は複数の下水処理場より収集された消化汚泥を用いた。なお、この汚泥の含水量は81%であった。105℃、8hr乾燥後の化学組成を表1に示す。この含水汚泥を使用して、図1に示す工程に従って、下記の工程を実施した。
【0044】
即ち、図1に示す工程は、含水汚泥よりリン成分を除去する態様の工程に関するものであり、含水汚泥からリン成分の含有率を低減せしめる除リン工程、上記除リン工程より得られたリン成分の含有率が低減された含水汚泥を加熱乾燥する乾燥工程及び上記乾燥工程より得られた乾燥汚泥をセメント製造設備にてセメント製造用燃料及び原料として使用し、セメントクリンカーを製造するセメント製造工程よりなる。
【0045】
(除リン工程)
・可溶化工程
上記下水汚泥を反応槽に投入し、重量で7倍量の工業用水と同倍量の3.3%硫酸を投入後、30分間攪拌した。希塩酸投入直後のPHは1.51であったが、30分後に1.78まで上昇した。
・固液分離工程
30分攪拌終了後、さらに30分間静置し、大部分の下水汚泥の固形分を沈降させた。懸濁状の上澄液を上部から抜き取り、新たに工業用水を加えて5分間攪拌した。攪拌後、30分静置し、同様に上澄液を上部から抜き取った。
【0046】
この操作をさらに2回繰り返し、ろ過特性を改良し、スクリュープレス機により含水率80%のリン低減汚泥を得た。得られたリン低減汚泥の化学組成を表1に示した。
【0047】
(排液処理工程)
・リン回収工程
固液分離工程から排出されたリン含有排水を反応槽に投入し、攪拌させながら排水に対して0.05重量%の炭酸カルシウムを添加し、pHを4まで上昇させた。析出した沈殿物を吸引ろ過により分離した。分離したリン濃縮成分の化学組成を表1に示した。なお、リンの回収率は56%であった。
・アルカリ処理工程
リン回収工程から排出された廃液を反応槽に投入し、攪拌させながら廃液に対して0.09重量%の水酸化カルシウムを添加し、PHを12まで上昇させた。析出した沈殿物を吸引ろ過により分離した。分離した沈殿物の化学組成を表1に示した。なお、アルカリ沈殿物は下水汚泥の1割程度であった。
・アンモニア除去工程
アルカリ処理工程から排出された廃液を反応槽に投入し、攪拌させながら10%塩酸を加えて、pHを7.5まで中和したところ、廃液中のCODは40ppm、P濃度は<0.1ppm、NH3濃度は100ppmであった。その後、12%次亜塩素酸ナトリウムを添加し、アンモニアを分解させた。
・中和工程
アンモニアを分解後、亜硫酸水素ナトリウムと、水酸化カルシウムを添加し、pH=7.6、NH3<0.5ppm、COD<10ppmの排水となり、排出基準を満足する廃水となった。
【0048】
【表1】
(乾燥工程)
上記含水汚泥を図2に示すセメント製造設備の加熱排ガスにより乾燥した。上記セメント製造設備は、原料12を予熱、仮焼するプレヒーター2、原料を焼成するためのロータリーキルン1、焼成によって得られたセメントクリンカーを冷却ガスにより冷却するクーラー4より基本的に構成される。
【0049】
含水汚泥9は、上記セメント製造設備のクーラー3の排ガスを配管によって導入するようにした回転式ドライヤー4に投入し、クーラーの排ガスにより乾燥を行なった。乾燥工程によって得られた汚泥の含水率はほぼ0%であった。
【0050】
乾燥によって排出される排ガス11は、排ガス処理設備で臭気等を除外した後、排気した。
【0051】
(セメント製造工程)
上記の工程により乾燥汚泥を製造し、該乾燥汚泥を配管5、サイクロン6及び配管8を経てロータリーキルンの窯尻に接続する原料シュート7からセメントクリンカー生産量の4重量%となる割合で投入した。投入に際しては通常運転の水硬率、ケイ酸率および鉄率になるよう石灰石、珪石質原料などセメントクリンカー原料の調整を行なった。また、セメントキルンの窯尻の温度が通常運転と同じになるよう燃料調整も行なった。
【0052】
得られたセメントクリンカーの化学成分はP2O5が問題とならない量に抑えられ、通常運転のクリンカーと同等の品質のものが得られた。
【0053】
参考として通常運転時のクリンカーの化学分析値を表2に併せて記した。
【0054】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の工程を示す概略図
【図2】本発明を実施する代表的な装置を示す概略図
【符号の説明】
1 ロータリーキルン
2 プレヒーター
3 クーラー
4 回転式ドライヤー
5 配管
6 サイクロン
7 原料シュート
8 配管
9 含水汚泥
10 セメントクリンカー
11 排ガス
12 セメント原料
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水汚泥を使用したセメントの新規な製造方法に関する。詳しくは、セメント製造用の燃料及び原料として含水汚泥を大量に使用することが可能なセメントの製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水汚泥、工場排水汚泥、活性汚泥などの含水汚泥の処理は、その臭気による廃棄場所の制限などにより、大きな問題となっている。かかる問題に対して、近年、産業廃棄物をセメント工場で燃料或いは原料として使用することが行われるようになり、上記含水汚泥についても、セメント製造設備で、焼却処理することが検討されつつある。例えば、上記含水汚泥をセメント製造設備のロータリーキルンの窯尻部に直接供給する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記含水汚泥をセメント製造工程において処理するため、該含水汚泥を仮焼炉、キルン(焼成炉)などの高温燃焼領域に直接投入して燃焼処理しようとした場合、含水汚泥が水分を多量に含むことから、該汚泥の水分の蒸発により熱が消費され、燃焼エネルギーの損失を招くため、その処理量が低く制限されていた。
【0004】
一方、セメント製造設備での含水汚泥の処理量は、今後急激に増大することが予想され、上記含水汚泥のセメント製造のための燃料或いは原料としての利用率も大幅に増大することが予想される。
【0005】
本発明者らは、上記問題への対応について、含水汚泥を乾燥してセメント製造設備に大量供給する方法を検討してきた。その結果、含水汚泥の利用率を上げることによって、セメント製造設備より得られるセメントの品質にリン成分が大きな影響を及ぼすという問題があることが判明した。
【0006】
上記リン成分のセメントへの影響は、含水汚泥を直接投入する場合の少量供給では問題として認識されていなかったことである。また、含水汚泥を乾燥させてセメント製造設備に供給する方法として、含水汚泥に酸化カルシウム粉を添加し、水と酸化カルシウムとの反応によって発生する熱を利用して含水汚泥の乾燥を行う方法、所謂、「乾粉法」が提案されている(特許文献2参照)が、かかる方法においても、汚泥の大量供給及びそれによるリン成分の問題は認識されていない。
【0007】
即ち、乾粉法によって乾燥汚泥を大量に使用するためには、それに伴って生成する水酸化カルシウムを仮焼することが必要となり、セメント製造設備のプレヒーター上部より供給するという制限を受ける。さらにこの場合、プレヒーター上部は有機物が燃焼するには十分な温度ではないため、乾燥汚泥の有機成分によってはプレヒーターの上部で燃焼されずに揮発するため、熱量の損失となる。また、燃焼した場合には、局部的にプレヒーター温度が上昇する恐れがある。そのため、乾粉法においては乾燥汚泥の使用量は自ずと制限され、前記リン成分の問題が生じるに至っていなかったのが現状である。
【0008】
尚、含水汚泥を製造する際に、リン成分を低減させる方法は知られている(非特許文献1参照)。しかし、かかる方法は、一部の含水汚泥に対して適用されるものであり、多種多様の含水汚泥をセメント製造設備において処理する場合には、上記汚泥の他に高含有量でリン成分を含有する汚泥も存在し、セメント製造設備に供給されるトータルの含水汚泥でみると、含水汚泥中のリン成分は、未だ高い濃度であると言える。
【0009】
しかも、かかる含水汚泥を乾燥汚泥としてセメント製造設備に大量に供給する試みは成されておらず、これから取り組まなければならない問題として挙げられる。
【特許文献1】特開平8−276199号公報
【特許文献2】特開平3−98700号公報
【非特許文献1】環境バイオテクノロジー学会誌 第1巻、第1号、25〜32頁
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、含水汚泥をセメント製造設備に供給して大量に処理する方法を、リン成分の蓄積を防止しながら実施し、安定した品質でセメントを製造することができるセメントの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記知見に基づく上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた。その結果、含水汚泥から殆どの水分を、前記乾粉法の如き乾燥材を添加することなく、加熱乾燥により水分を除去して乾燥した後、得られる乾燥汚泥をセメント製造設備に供給することにより大量の含水汚泥を処理することができ、また、その際、供給される乾燥汚泥全体のリン成分の含有率を特定の値に調整することによって、得られるセメントにおけるリン成分の問題が解決でき、安定した品質のセメントを製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、含水汚泥を加熱乾燥して得られる乾燥汚泥をセメント製造設備にてセメント製造用燃料及び原料として使用し、セメントを製造する際、該乾燥汚泥の固形分中に占めるリン含有率を4重量%以下に調整することを特徴とするセメントの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、使用される含水汚泥は、セメントの製造において原料となり得る無機物或いは燃料となり得る有機物を含むものでリン成分を含有するものである。例えば、下水汚泥、工場排水汚泥、活性汚泥などの含水汚泥が代表的である。
【0014】
本発明において、上記含水汚泥の乾燥は、加熱乾燥によって行われる。従来、含水汚泥の乾燥方法としては、前記「乾紛法」が主として採用されていたが、酸化カルシウムの水和により生成する水酸化カルシウムを仮焼するため、その供給個所が制限され、しかも、それにより供給量も制限されていた。本発明においては、含水汚泥の乾燥を加熱乾燥によって実施することにより、乾燥物の供給量、供給個所に著しい制限を受けず、任意の個所に供給できることにより、セメント製造設備における含水汚泥の処理量を著しく増大することを可能とした。
【0015】
因みに、上記含水汚泥の添加量は、セメントを得るために石膏を添加前のセメントクリンカーの生産量に対して、固形物換算で10重量%程度の高添加量を達成することが可能である。また、本発明においては、前記した除リン処理によってリン成分の含有量を低減された乾燥汚泥を使用するため、大量に供給した場合のリン成分のセメントへの混入による悪影響を効果的に低減することが可能である。
【0016】
上記加熱乾燥は、含水汚泥の乾燥方法は特に制限されないが、加熱ガスにより直接加熱して乾燥する方法、或いは、伝熱面を介して間接的に加熱する方法が挙げられる。
【0017】
具体的には、直接加熱方法としては、セメントクーラーの排ガス等を含水汚泥と直接接触せしめて乾燥する方法が挙げられる。
【0018】
一方、間接加熱方法としては、上記排ガス、或いは蒸気と伝熱面を介して該含水汚泥を加熱し、乾燥させる方法、また、該加熱面を電熱線により加熱してもよい。好ましい態様として、蒸気或いは排ガスを導入可能なジャケット付のロータリー乾燥機などにより、含水汚泥を間接的に加熱して乾燥する方法が挙げられる。
【0019】
上記加熱において、セメント製造設備の廃熱、特に排ガスを熱源として利用する方法が好ましい。
【0020】
かかる乾燥の度合いは、含有される水分量がセメント製造設備への添加量を著しく制限するに至らない範囲であれば特に特に制限されない。一般には、水分量が30重量%以下、特に、10重量%以下となるように乾燥することが好ましい。
【0021】
乾燥により発生するガスは、そのまま、或いは、含有する水を凝縮せしめた後、セメント製造設備の800℃以上の箇所に循環せしめることにより、含水汚泥の臭気の処理を同時に行うこともできる。また、上記乾燥により発生するガスは、公知の吸着手段により、臭気を除去した後、排気することもできる。
【0022】
上記乾燥方法のうち、間接加熱方法は、臭気を含有するガスの発生量を少なく抑えることができ、本発明において特に好適である。
【0023】
本発明において重要な構成は、上記乾燥汚泥をセメント製造設備に供給する際、含有されるリン成分の含有率を、その固形分中に占める割合で、4重量%以下、特に、3重量%以下、更には、2重量%以下に調整することにある。
【0024】
従来、含水汚泥のリン成分を低減された含水汚泥は存在するものの、これを単独で使用することは現実的でなく、リン成分の含有量の多い含水汚泥が、かなりの比率で混入しているのが現状である。
【0025】
そのため、リン成分の占める割合は、含水汚泥の固形分中、6重量%を超え、場合によっては、10重量%以上にも達する。
【0026】
本発明においては、含水汚泥を乾燥してセメント製造設備に供給するに際し、該固形分中のリン成分の割合を、4重量%以下という低い値に低減せしめることにより、前記乾燥汚泥の大量使用においても、リン成分の蓄積により得られるセメントクリンカーの品質を著しく低減させる事がないという効果を発揮する。
【0027】
本発明において、乾燥汚泥中のリン成分を上記範囲に調整する方法は、特に制限されない。例えば、含水汚泥を得る工程において除リンを行う方法、或いは、含水汚泥を得た後、該含水汚泥に対して除リンを行う方法が挙げられる。
【0028】
含水汚泥を得る工程において除リンを行う方法としては、前記非特許文献1に記載の方法が好適である。即ち、汚泥をろ過する前に、嫌気性処理を行った後、曝気処理を行い、次いで、加熱処理することによって、リン成分をリン鉱石として回収する方法が挙げられる。
【0029】
また、含水汚泥を得た後に除リンを行う方法としては、含水汚泥のpHを3以下に調整することにより、リン成分を可溶化せしめる可溶化工程、及び、pH3以下に維持した状態でろ過して上記溶出したリン成分を汚泥の固形分より分離する固液分離工程よりなる方法によって行うことが好ましい。
【0030】
上記可溶化工程におけるpH調整は、塩酸、硫酸等の強酸を使用することが好ましい。また、固液分離工程でのろ過を容易とするために、前記可溶化工程の前又は後に、或いは同時に高圧滅菌して含水汚泥に含有される菌を低減させることが好ましい。この高圧滅菌の条件は、適宜決定することができるが、一般には、0.04〜0.34MPaの圧力、110〜145℃の温度下で、5〜60分間実施することが好ましい。
【0031】
また、固液分離工程でのろ過を容易とする他の方法として、前記可溶化工程の後にデカンテーションを行う方法が挙げられる。上記デカンテーションに使用する新液には、pHが5〜9の水が使用される。また、上記デカンテーションは、1又は複数回行うことができるが、好ましくは、2〜5回実施される。
【0032】
上記除リン方法において、含水汚泥は、一般に、60重量%以上の水分を含むものが、リンの除去を効率的に実施するために好ましい。即ち、乾燥状態に近い状態まで水分を減少された含水汚泥は、後記のリンの除去において、汚泥中のリンの溶出速度が低下し、処理時間の増大や処理効率の低下を招く傾向がある。
【0033】
また、上述した処理によって生成した排水の処理は、特に制限されるものではないが、該排液のpHを4以上、12未満に調整することによってリン成分を析出させ分離するリン分離工程、リン分離工程より得られるリンを除去後の分離液のpHを12以上に調整することによって重金属と酸可溶性有機物を析出させ分離するアルカリ処理工程によって処理することが好ましい。
【0034】
前記リン分離工程においては、炭酸カルシウムを添加することによってpH調整を行うことが、また、前記アルカリ処理工程においては、水酸化カルシウムを添加することによってpH調整を行うことが好ましい。
【0035】
また、アルカリ処理工程より得られる分離液中には、アンモニアが含有されている場合があり、この場合、塩酸、硫酸等の酸を添加し、該分離液のpHを7程度に低下せしめ、且つ、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤の存在下に該アンモニアを分解せしめるアンモニア除去工程を設けることが好ましい。
【0036】
更に、アンモニア除去工程より得られる液には、亜硫酸水素ナトリウムの如き還元剤を添加して、残存する酸化剤を無害化した後、アルカリでpH調整を行う中和工程を経て、廃棄或いは再利用することが好ましい。
【0037】
本発明において、乾燥汚泥のセメント製造設備への供給箇所は、特に制限されるものではないが、燃料としての燃焼効率を考慮した場合、該設備におけるロータリーキルンの窯前、仮焼炉及び/又はロータリーキルンの窯尻が適当である。
【0038】
本発明において、セメント製造設備で使用されるセメント原料は、石灰石を主成分とする公知の原料が特に制限なく使用される。セメント原料を具体的に示せば、石灰石を主とし、これに粘土質原料、珪石質原料、酸化鉄原料などを配合して使用するのが一般的である。ポルトランドセメントの場合、石灰石50〜90重量%、粘土質原料10〜40重量%、珪石質原料5〜20重量%、酸化鉄原料2〜8重量%よりなる組成が一般的である。
【0039】
尚、乾燥汚泥に含まれる有機質は燃料の一部として作用し、無機質はセメント中にその組成の一部として含まれる。
【0040】
本発明において、セメント製造設備では、セメント原料の焼成によって得られるセメントクリンカーを適当な粒度に粉砕した後、石膏及び必要に応じてその他の混合材を添加してセメントとされる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明によれば、含水汚泥を乾燥し、乾燥汚泥としてセメント製造設備に供給するため、該乾燥汚泥をセメント製造用燃料或いは原料として大量に供給することができる。また、該乾燥汚泥は、前記した除リン処理によってリン成分の含有量を低減されているため、これをセメント製造設備に大量に供給した場合のリン成分のセメントへの混入による悪影響を効果的に低減することが可能である。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0043】
実施例1
含水汚泥は複数の下水処理場より収集された消化汚泥を用いた。なお、この汚泥の含水量は81%であった。105℃、8hr乾燥後の化学組成を表1に示す。この含水汚泥を使用して、図1に示す工程に従って、下記の工程を実施した。
【0044】
即ち、図1に示す工程は、含水汚泥よりリン成分を除去する態様の工程に関するものであり、含水汚泥からリン成分の含有率を低減せしめる除リン工程、上記除リン工程より得られたリン成分の含有率が低減された含水汚泥を加熱乾燥する乾燥工程及び上記乾燥工程より得られた乾燥汚泥をセメント製造設備にてセメント製造用燃料及び原料として使用し、セメントクリンカーを製造するセメント製造工程よりなる。
【0045】
(除リン工程)
・可溶化工程
上記下水汚泥を反応槽に投入し、重量で7倍量の工業用水と同倍量の3.3%硫酸を投入後、30分間攪拌した。希塩酸投入直後のPHは1.51であったが、30分後に1.78まで上昇した。
・固液分離工程
30分攪拌終了後、さらに30分間静置し、大部分の下水汚泥の固形分を沈降させた。懸濁状の上澄液を上部から抜き取り、新たに工業用水を加えて5分間攪拌した。攪拌後、30分静置し、同様に上澄液を上部から抜き取った。
【0046】
この操作をさらに2回繰り返し、ろ過特性を改良し、スクリュープレス機により含水率80%のリン低減汚泥を得た。得られたリン低減汚泥の化学組成を表1に示した。
【0047】
(排液処理工程)
・リン回収工程
固液分離工程から排出されたリン含有排水を反応槽に投入し、攪拌させながら排水に対して0.05重量%の炭酸カルシウムを添加し、pHを4まで上昇させた。析出した沈殿物を吸引ろ過により分離した。分離したリン濃縮成分の化学組成を表1に示した。なお、リンの回収率は56%であった。
・アルカリ処理工程
リン回収工程から排出された廃液を反応槽に投入し、攪拌させながら廃液に対して0.09重量%の水酸化カルシウムを添加し、PHを12まで上昇させた。析出した沈殿物を吸引ろ過により分離した。分離した沈殿物の化学組成を表1に示した。なお、アルカリ沈殿物は下水汚泥の1割程度であった。
・アンモニア除去工程
アルカリ処理工程から排出された廃液を反応槽に投入し、攪拌させながら10%塩酸を加えて、pHを7.5まで中和したところ、廃液中のCODは40ppm、P濃度は<0.1ppm、NH3濃度は100ppmであった。その後、12%次亜塩素酸ナトリウムを添加し、アンモニアを分解させた。
・中和工程
アンモニアを分解後、亜硫酸水素ナトリウムと、水酸化カルシウムを添加し、pH=7.6、NH3<0.5ppm、COD<10ppmの排水となり、排出基準を満足する廃水となった。
【0048】
【表1】
(乾燥工程)
上記含水汚泥を図2に示すセメント製造設備の加熱排ガスにより乾燥した。上記セメント製造設備は、原料12を予熱、仮焼するプレヒーター2、原料を焼成するためのロータリーキルン1、焼成によって得られたセメントクリンカーを冷却ガスにより冷却するクーラー4より基本的に構成される。
【0049】
含水汚泥9は、上記セメント製造設備のクーラー3の排ガスを配管によって導入するようにした回転式ドライヤー4に投入し、クーラーの排ガスにより乾燥を行なった。乾燥工程によって得られた汚泥の含水率はほぼ0%であった。
【0050】
乾燥によって排出される排ガス11は、排ガス処理設備で臭気等を除外した後、排気した。
【0051】
(セメント製造工程)
上記の工程により乾燥汚泥を製造し、該乾燥汚泥を配管5、サイクロン6及び配管8を経てロータリーキルンの窯尻に接続する原料シュート7からセメントクリンカー生産量の4重量%となる割合で投入した。投入に際しては通常運転の水硬率、ケイ酸率および鉄率になるよう石灰石、珪石質原料などセメントクリンカー原料の調整を行なった。また、セメントキルンの窯尻の温度が通常運転と同じになるよう燃料調整も行なった。
【0052】
得られたセメントクリンカーの化学成分はP2O5が問題とならない量に抑えられ、通常運転のクリンカーと同等の品質のものが得られた。
【0053】
参考として通常運転時のクリンカーの化学分析値を表2に併せて記した。
【0054】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の工程を示す概略図
【図2】本発明を実施する代表的な装置を示す概略図
【符号の説明】
1 ロータリーキルン
2 プレヒーター
3 クーラー
4 回転式ドライヤー
5 配管
6 サイクロン
7 原料シュート
8 配管
9 含水汚泥
10 セメントクリンカー
11 排ガス
12 セメント原料
Claims (6)
- 含水汚泥を加熱乾燥して得られる乾燥汚泥を、セメント製造設備にてセメント製造用燃料及び原料として使用してセメントを製造する方法であって、該乾燥汚泥の固形分中に占めるリン含有率を4重量%以下に調整することを特徴とするセメントの製造方法。
- 含水汚泥からリン成分の含有率を低減せしめる除リン工程、上記除リン工程より得られたリン成分の含有率が低減された含水汚泥を加熱乾燥する乾燥工程及び上記乾燥工程より得られた乾燥汚泥をセメント製造設備にてセメント製造用燃料及び原料として使用し、セメントを製造するセメント製造工程よりなることを特徴とするセメントの製造方法。
- 乾燥工程において、含水汚泥の含水率が30重量%以下となるように加熱乾燥する請求項1又は2に記載のセメントの製造方法。
- セメント製造工程において、乾燥汚泥をセメントクリンカーの生産量に対して、固形分換算で2〜10重量%の割合で供給する請求項1〜3のいずれか一項に記載のセメントの製造方法。
- セメント製造工程において、乾燥汚泥をセメント製造設備のロータリーキルンの窯前、仮焼炉及び/又はロータリーキルンの窯尻、に供給する請求項1〜4のいずれか一項に記載のセメントの製造方法。
- 乾燥工程において、含水汚泥の加熱乾燥を間接加熱により行う請求項1〜5のいずれか一項に記載のセメントの製造方法。
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