JP2004269304A - 赤泥の処理方法およびセメントクリンカの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】赤泥中のアルカリ分を除去することのできる赤泥の処理方法、および赤泥からアルカリ分を除去してセメントクリンカとすることのできるセメントクリンカの製造方法を提供する。
【解決手段】赤泥と、塩素含有物と、カルシウム含有物と、セメントクリンカを製造する場合には目的とするセメントクリンカ用の原料とを、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5〜1.5、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上となる比率で、1000℃以上の温度により焼成する。
【選択図】 図1
【解決手段】赤泥と、塩素含有物と、カルシウム含有物と、セメントクリンカを製造する場合には目的とするセメントクリンカ用の原料とを、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5〜1.5、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上となる比率で、1000℃以上の温度により焼成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミナ製造工程で発生する赤泥の処理方法、および赤泥を利用したセメントクリンカの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
赤泥は、バイヤー法によってアルミナを製造するときに発生する赤色泥状の副産物であり、その発生量は、日本国内で年間およそ60万t(乾燥質量)程度と推定されている。赤泥においては、酸化鉄、アルミナ、チタニア、ソーダライト(酸化ナトリウム、アルミナ、シリカ等からなる物質)等の微粒子からなる固形分が質量比で4〜5割を占め、残りは強アルカリの水溶液となっている。
【0003】
赤泥は、上記のように有用な成分を含んでいるにもかかわらず、現在のところ有効活用されることなく、中和された後に処分されている。近年、循環型社会の構築を目指して有用な成分を含むもののリサイクルが期待されており、赤泥についてもその対象となっている。
【0004】
赤泥の有効活用に関しては、これまで長年にわたって研究が進められてきた。既往の赤泥有効活用研究のうち代表的な例としては、赤泥を酸で処理し有用成分を溶出させて回収する方法、排煙中の塩化水素ガスや亜硫酸ガス等を吸収・吸着する吸収剤・吸着剤としての用途、脱水して埋め立て材料にしたり、焼成して骨材を製造したりする等の土木建築用途などが挙げられる。
【0005】
しかし、赤泥は、水分を多く含むことや、多種類の成分の混合物であるため特定成分の活用が難しいことなどが理由となって、上記研究のほとんどが工業化されることなく現在に至っている。
【0006】
これに対し、赤泥をセメント原料として活用する方法は、赤泥が多成分を含んでいても問題がなく、また生成されるセメントは建設資材として消費量が多いため、赤泥の大量処理に好適である。赤泥をセメント原料として活用する技術については、特開昭53−141172号公報(特許文献1)、米国特許第4,512,809号公報(特許文献2)に開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭53−141172号公報
【特許文献2】
米国特許第4,512,809号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セメントを製造する上で原料中の含有量が制限されなくてはならない成分の一つとしてアルカリがある。アルカリ金属化合物がセメント原料中に多量に含まれると、セメントキルンで揮発したアルカリ物質がサスペンションプレヒータで凝縮して、サスペンションプレヒータ詰りの原因となる。
【0009】
また、コンクリート構造物においては、セメント中のアルカリ分と骨材のシリカ質が反応することで、コンクリートが異常膨張を起こし、ひび割れが生じるアルカリ骨材反応が問題となっている。このアルカリ骨材反応を抑制するには、アルカリ含有量の低いセメントを使用する必要がある。
【0010】
特開昭53−141172号公報記載の方法では、好ましいセメント製造用酸化鉄原料を得るために、セメント原料中のアルカリ量が1.0%以下になるように赤泥の使用量を調整しなければならず、そのためアルミナ製造に用いるボーキサイトの産地が制限されたり、通常原料として用いられる粘土が使用できなかったりするなど、アルミナ製造およびセメント製造に種々の制約が生じるという問題があった。
【0011】
一方、米国特許第4,512,809号公報記載の方法では、赤泥等の珪酸アルミニウム含有物をカルシウム化合物とともに焼成してクリンカを製造しているが、原料中にはアルカリ分が多く含まれるため、焼成中にサスペンションプレヒータ詰り等のトラブルを引き起こす懸念があった。
【0012】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、赤泥中のアルカリ分を除去することのできる赤泥の処理方法、および赤泥からアルカリ分を除去してセメントクリンカとすることのできるセメントクリンカの製造方法を提供することを目的とする。なお、本明細書における「除去」の語には、100%除去できる場合だけでなく、所定の割合で除去できる場合も含まれるものとする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、赤泥と、塩素含有物と、カルシウム含有物とを、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5〜1.5、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上となる比率で、1000℃以上の温度により焼成することを特徴とする赤泥の処理方法を提供する(請求項1)。
【0014】
上記発明(請求項1)によれば、焼成中に赤泥中のアルカリ分、特にナトリウムを塩化物(塩化ナトリウム)として揮発させることができる。この揮発した塩化ナトリウムを適正に処理することにより、アルカリが原因で焼成炉の操業に支障が生じることを防止することができる。この場合において、赤泥の原料であるボーキサイトの産地が制限されることはなく、また、赤泥の使用量が大きく制限されることもない。焼成によって得られる焼成物のアルカリ含有量は低いため、得られる焼成物は、低アルカリであることが望ましい原料として利用することが可能である。
【0015】
上記発明(請求項1)においては、焼成時に発生する塩化ナトリウムを捕集しながら前記焼成を行うのが好ましく(請求項2)、捕集には塩素バイパス装置を使用するのが好ましい。このように塩化ナトリウムを捕集することにより、凝縮した塩化ナトリウムが焼成炉設備に悪影響を与えること、特にサスペンションプレヒータ詰りを起こすことを防ぐことができるとともに、塩化ナトリウムが焼成炉外に放出されて環境を汚染すること、および塩化ナトリウムが焼成物中に残存することを効果的に防止することができる。
【0016】
上記発明(請求項1,2)において、前記塩素含有物は塩素含有樹脂であるのが好ましい(請求項3)。塩素含有樹脂を使用することにより、塩化ナトリウム生成反応の反応性を向上させることができ、特に廃棄物としての塩素含有樹脂を使用すれば、廃棄物の有効利用を図ることができる。
【0017】
第2に本発明は、赤泥と、塩素含有物と、カルシウム含有物と、目的とするセメントクリンカ用の原料とを、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5〜1.5、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上となる比率で、1000℃以上の温度により焼成することを特徴とするセメントクリンカの製造方法を提供する(請求項4)。
【0018】
上記発明(請求項4)によれば、アルカリ含有量が低く、コンクリート構造物におけるアルカリ骨材反応を抑制し得るセメントクリンカが得られる。この場合において、赤泥の原料であるボーキサイトの産地が制限されることはなく、また、赤泥の使用量が大きく制限されることもない。さらに、上記発明(請求項4)においては、焼成中に赤泥中のアルカリ分、特にナトリウムを塩化物(塩化ナトリウム)として揮発させることができるため、揮発した塩化ナトリウムを適正に処理することにより、アルカリが原因で焼成炉の操業に支障が生じることを防止することができる。
【0019】
上記発明(請求項4)においては、焼成時に発生する塩化ナトリウムを捕集しながら前記焼成を行うのが好ましく(請求項5)、捕集には塩素バイパス装置を使用するのが好ましい。このように塩化ナトリウムを捕集することにより、凝縮した塩化ナトリウムが焼成炉設備に悪影響を与えること、特にサスペンションプレヒータ詰りを起こすことを防ぐことができるとともに、塩化ナトリウムが焼成炉外に放出されて環境を汚染すること、および塩化ナトリウムがセメントクリンカ中に残存することを効果的に防止することができる。
【0020】
上記発明(請求項4,5)において、前記塩素含有物は塩素含有樹脂であるのが好ましい(請求項6)。塩素含有樹脂を使用することにより、塩化ナトリウム生成反応の反応性を向上させることができ、特に廃棄物としての塩素含有樹脂を使用すれば、廃棄物の有効利用を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明では、赤泥を、塩素含有物およびカルシウム含有物とともに焼成することにより、赤泥中のアルカリ、特にナトリウムを塩化物として除去することができ、さらにセメントクリンカ用の原料を加えて焼成することにより、所望のセメントクリンカを製造することができる。
【0022】
〔赤泥〕
赤泥としては、バイヤー法のアルミナ製造工程で発生する通常のものであれば特に制限はなく、いずれのものも使用することができ、したがってボーキサイトの産地が制限されることもない。
【0023】
赤泥は、アルミナ製造工程で発生したそのままの状態で焼成に付しても差し支えはないが、取扱い性を向上させるために、焼成前に脱水するのが好ましく、脱水しさらに乾燥させるのが特に好ましい。
【0024】
〔塩素含有物〕
塩素含有物としては、塩素ガス、塩素イオンを含む物質、塩素化合物の他、それらを含有する混合物のいずれを使用してもよく、塩素化合物は無機系塩素化合物、有機系塩素化合物のいずれであってもよい。本発明では、骨格中に塩素原子を有する高分子化合物(塩素含有樹脂)を使用するのが好ましく、かかる塩素含有樹脂を使用することにより塩化ナトリウム生成反応の反応性を向上させることができる。また、廃棄物としての塩素含有樹脂は、ダイオキシン等の問題があることからその処理方法が問題となっているが、ここで使用することにより有効に利用することが可能となる。
【0025】
塩素含有樹脂の種類としては、有害性が低く、常温常圧で取扱い可能なものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム等が挙げられる。
【0026】
また、塩素含有樹脂は、可燃性であればその他のものとの混合物であってもよく、例えば、塩素含有樹脂を含む廃プラスチック混合物や塩素含有樹脂を含む可燃性廃棄物等を使用することができる。
【0027】
塩素含有樹脂は、焼成に適した大きさに粉砕または破砕して使用するのが好ましく、一般的には、10μm〜30cmの大きさに粉砕または破砕して使用するのが好ましい。ただし、セメントクリンカを製造する場合においては、塩素含有樹脂の大きさは、塩素含有樹脂をロータリーキルンのバーナー側から吹き込むときには、直径6mm以下であるのが好ましく、仮焼炉または窯尻(ロータリーキルンにおける原料入口部分)から投入するときには、投入装置および投入口の大きさが許す限り特に大きさの制限はないが、概ね、塊状のもので直径約10cm以下、厚さ数cm以下の薄物で縦横各100cm以下であるのが好ましい。
【0028】
塩素含有物は、赤泥とともに焼成されると、赤泥のナトリウムと反応して塩化ナトリウムとして排出されるため、赤泥からナトリウムを除去する作用を有する。したがって、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比は1であるのが最も好ましく、実際としては少なくとも0.5〜1.5の範囲である必要がある。(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が1.5を超えると、ナトリウム除去効率が悪く、焼成物中にナトリウムが残存してしまい、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5未満であると、焼成時の排ガス中に塩化水素ガスが含まれるようになる。
【0029】
〔カルシウム含有物〕
カルシウム含有物としては、カルシウム化合物、カルシウムイオンを含む物質の他、それらを含有する混合物のいずれを使用してもよい。カルシウム含有物としては、例えば、生石灰、消石灰、石灰石、貝殻等を使用することができる。
【0030】
カルシウム含有物は、焼成に適した粒径にして使用するのが好ましく、具体的には、0.1〜0.01mmの粒径とするのが好ましい。
【0031】
カルシウム含有物は、赤泥中のソーダライトを分解し、ナトリウムが塩素と反応するのを補助する作用を有する。ここで、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比は、2以上である必要がある。(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2未満であると、カルシウム含有物によるソーダライトの分解効率が低下して、焼成物中にナトリウムが残存してしまう。
【0032】
カルシウム含有物の使用量の上限は特に制限されるものではないが、多量に使用しても効果が向上することはなく不経済であるため、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比は4〜10であるのが好ましい。ただし、セメントクリンカを製造する場合にはこの限りではなく、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上である限り、後述するように、目的とするセメントクリンカを焼成するために必要な量のカルシウム含有物を使用することができる。
【0033】
〔セメントクリンカ用原料〕
セメントクリンカを製造する場合には、目的とするセメントクリンカを得るための原料を必要量加えて焼成する。ここで、一例として普通ポルトランドセメントおよび早強ポルトランドセメントの主成分の組成を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
前述したカルシウム含有物がCaOとしてセメントクリンカ中に残存する場合には、その残存量が上記範囲内になるようにカルシウム含有物の使用量を調整し、前述したカルシウム含有物がCaOとしてセメントクリンカ中に残存しない場合には、セメントクリンカ中のCaO量が上記範囲内になるようにCaOを別途加える必要がある。
【0036】
SiO2、Al2O3およびFe2O3については、元来赤泥中に含まれているため、焼成物中のSiO2、Al2O3およびFe2O3が上記範囲内になるように、使用する赤泥の組成に応じて各成分を適宜調整して加えればよい。
【0037】
セメントクリンカ用原料としては、単一の成分からなるものを使用してもよいし、上記成分の1種または2種以上を含む物質を使用してもよい。そのような物質としては、例えば、粘土、珪石、石炭灰、高炉スラグ、銅カラミ、高炉二次灰、転炉滓等が挙げられる。
【0038】
〔焼成〕
焼成は、上述した各原料を焼成炉に投入することによって行うことができる。焼成炉の種類としては、1000℃以上での焼成が可能であれば特に制限はないが、一般的にはロータリーキルンが好ましく、仮焼炉付きのサスペンションプレヒータ付きロータリーキルンであればより好ましい。加熱方法は、特に制限されず、電気加熱であってもよいし、ガス、石油、石炭、可燃性廃棄物等を燃料とする燃料燃焼であってもよく、1000℃以上に加熱できれば、内熱式、外熱式を問わない。
【0039】
赤泥の焼成炉への投入手段は、赤泥が泥状の場合には、泥状物を搬送、投入できるものであればいずれのものでもよく、例えば、バケットコンベア、スクリューコンベア、モーノポンプ等が使用できる。このとき、赤泥に赤泥以外の固体原料(カルシウム含有物等)を混合して取扱い性・搬送性を向上させた上で、搬送、投入してもよい。一方、赤泥が脱水または乾燥されている場合には、塊状物または粉状物を搬送できる装置、例えば、バケットコンベア、チェーンコンベア、スクリューコンベア、ベルトコンベア等が使用できる。
【0040】
カルシウム含有物は、通常塊状物または粉状物であるため、バケットコンベア、チェーンコンベア、スクリューコンベア、ベルトコンベア等を用いて搬送し、焼成炉に投入することができる。カルシウム含有物は、赤泥と混合して焼成炉に投入してもよいし、赤泥とは別に投入してもよい。セメントクリンカ用原料についても、カルシウム含有物と同様にして焼成炉に投入することができる。
【0041】
塩素含有物は、赤泥、カルシウム含有物とともに焼成炉に投入してもよいが、ダイオキシンの発生を防ぐために、少なくとも塩素含有物だけは焼成炉において800℃以上の温度になっている位置から投入するのが好ましい。例えば、仮焼炉付きのサスペンションプレヒータ付きロータリーキルンの場合、赤泥およびカルシウム含有物は、サスペンションプレヒータ上部から供給し、塩素含有物は、窯尻(キルンの原料入口部分)へ投入するか、あるいはロータリーキルンのバーナー付近から吹き込むのが好ましい。
【0042】
焼成炉に投入した各原料は、1000℃以上の温度で焼成する。この焼成によって、赤泥中のナトリウムは塩素と反応して塩化ナトリウムとして揮散する。焼成温度が1000℃未満では、生成した塩化ナトリウムの揮散が不十分となり、塩化ナトリウムが焼成物中に残存して好ましくない。一方、焼成温度の上限は特に制限されないが、消費燃料に関する経済性や、焼成炉を構成する耐火煉瓦の耐熱性、バーナーその他の加熱装置の性能等を考慮すると、2000℃以下で焼成するのが好ましい。なお、セメントクリンカを製造する場合には、セメントクリンカを焼成するのに適した温度、一般的には1200〜1500℃で焼成すればよい。
【0043】
焼成によって発生する塩化ナトリウムは熱ガスに含まれるが、凝縮した塩化ナトリウムが焼成炉設備に悪影響を与えないように、また環境面から塩化ナトリウムを焼成炉外に放出させないように、さらに塩化ナトリウムを焼成物中に残存させないようにするために、発生した塩化ナトリウムを熱ガスとともに捕集するのが好ましい。塩化ナトリウムの捕集には、塩素バイパス装置、電気集塵器、バグフィルター等のいずれをも使用することができるが、焼成炉として仮焼炉付きのサスペンションプレヒータ付きロータリーキルンを用いた場合には、サスペンションプレヒータの詰りを防ぐため、塩素バイパス装置を使用するのが好ましい。
【0044】
塩素バイパス装置は、図1に示すように、サスペンションプレヒータとロータリーキルンとの接続部に取り付けられ、焼成に伴ってロータリーキルンから排出された熱ガスの一部を抽気し、熱ガスを冷却するとともに濾過することで、熱ガスに含まれる塩素分を粉体として排出、除去するものである。
【0045】
なお、焼成により、塩素含有物が分解して生成するダイオキシン類、その他有害物質が排ガス中に含まれる場合には、消石灰、活性炭、ダイオキシン分解剤等の必要な排煙浄化材を煙道に吹き込んでもよい。
【0046】
〔焼成物〕
以上のようにして焼成して得られる焼成物(焼成炉から排出された処理物)においては、原料である赤泥中のアルカリ、特にナトリウムが除去されているため、アルカリ含有量が低くなっている。
【0047】
セメントクリンカとして焼成された焼成物は、そのまま通常のセメント製造工程に導入してセメントにすることができる。このセメントクリンカは、アルカリ含有量が低いため、コンクリート構造物におけるアルカリ骨材反応を抑制し得るものである。
【0048】
セメントクリンカとして焼成されていない焼成物については、目的に応じ必要な処理を施して製品化すればよい。例えば、焼成物をそのままセメント原料や製鉄原料としてもよいし、焼成物をアルカリ溶液で処理してアルミナ分を回収し、残部をセメント原料や製鉄原料としてもよい。
【0049】
【実施例】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0050】
〔実施例1〜3,比較例1〜3〕
原料として、未中和で乾燥させた赤泥(分析結果を表2に示す)と、粒径が10〜100μmである粉末状のポリ塩化ビニル(分析結果を表3に示す)と、粒径が12〜15μmである粉末状の炭酸カルシウム(関東化学社製,特級)とを用意した。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
赤泥に、表4に示される比率でポリ塩化ビニルと炭酸カルシウムとを加えて混合し、蒸留水を適宜添加して直径1.5cm程度の球形に成形した。その球形の混合物を80℃で16時間乾燥させた後、電気炉中にて表4に示される温度で焼成した。得られた焼成物を蛍光X線で分析し、焼成前後のナトリウムの量からナトリウムの揮散率を算出した。また、電気炉からの排ガスの一部を採取して、検知管により塩化水素ガスの有無を確認した。結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
表4から明らかなように、実施例1〜3においては、いずれもナトリウムが90%以上揮散しており、特に実施例1および2においては、塩化水素の発生も認められなかった。一方、比較例1〜3においては、ナトリウムが十分に揮散しなかった。
【0056】
〔実施例4〕
焼成炉として塩素バイパス装置を備えた仮焼炉付きのサスペンションプレヒータ付きロータリーキルンを使用し、以下の方法に従ってセメントクリンカを製造した。
【0057】
上記焼成炉に対し、フィルタープレスにより脱水した赤泥(Na2Oを7.5質量%、SiO2を15.5質量%、Al2O3を21.0質量%、Fe2O3を38.5質量%含有)をセメントクリンカ製造1tあたり絶乾質量で20kg、カルシウム含有物としての石灰石をCaO換算でセメントクリンカ製造1tあたり653kg、その他添加量を適宜調節しながら粘土(SiO2を62.8質量%、Al2O3を18.3質量%、Fe2O3を6.1質量%含有)、珪石(SiO2を85.6質量%、Al2O3を6.5質量%、Fe2O3を2.5質量%含有)および鉄原料(SiO2を13.7質量%、Al2O3を2.6質量%、Fe2O3を68.7質量%含有)をプレヒータ上部から投入するとともに、窯尻部分からポリ塩化ビニルを含む廃プラスチック(塩素を20質量%含有)をセメントクリンカ製造1tあたり11.6kg吹き込み、焼成温度1450℃でセメントクリンカを焼成した。
【0058】
このときの(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比は1、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比は178であった。焼成中は、塩素バイパス装置を稼動して、揮発した塩化ナトリウムを焼成系外に排出した。焼成中にプレヒータ詰りが発生することはなく、焼成系の運転に支障は認められなかった。
【0059】
得られたセメントクリンカは、通常のセメント製造の場合と同様に、石膏を加えて粉砕し、セメントとした。このセメントの品質は、通常のセメント(普通ポルトランドセメント)と同様の品質であり、特にセメント中のアルカリ量は0.51質量%(Na2O相当量)と低い値であった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の赤泥の処理方法によれば、赤泥の原料であるボーキサイトの産地が制限されることなく、また、赤泥の使用量が大きく制限されることなく、赤泥中のアルカリを除去することが可能である。一方、本発明のセメントクリンカの製造方法によれば、ボーキサイトの産地が制限されることなく、また、赤泥の使用量が大きく制限されることなく、赤泥を原料としてアルカリ含有量の低いセメントクリンカを製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る方法に用いられる焼成炉の模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミナ製造工程で発生する赤泥の処理方法、および赤泥を利用したセメントクリンカの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
赤泥は、バイヤー法によってアルミナを製造するときに発生する赤色泥状の副産物であり、その発生量は、日本国内で年間およそ60万t(乾燥質量)程度と推定されている。赤泥においては、酸化鉄、アルミナ、チタニア、ソーダライト(酸化ナトリウム、アルミナ、シリカ等からなる物質)等の微粒子からなる固形分が質量比で4〜5割を占め、残りは強アルカリの水溶液となっている。
【0003】
赤泥は、上記のように有用な成分を含んでいるにもかかわらず、現在のところ有効活用されることなく、中和された後に処分されている。近年、循環型社会の構築を目指して有用な成分を含むもののリサイクルが期待されており、赤泥についてもその対象となっている。
【0004】
赤泥の有効活用に関しては、これまで長年にわたって研究が進められてきた。既往の赤泥有効活用研究のうち代表的な例としては、赤泥を酸で処理し有用成分を溶出させて回収する方法、排煙中の塩化水素ガスや亜硫酸ガス等を吸収・吸着する吸収剤・吸着剤としての用途、脱水して埋め立て材料にしたり、焼成して骨材を製造したりする等の土木建築用途などが挙げられる。
【0005】
しかし、赤泥は、水分を多く含むことや、多種類の成分の混合物であるため特定成分の活用が難しいことなどが理由となって、上記研究のほとんどが工業化されることなく現在に至っている。
【0006】
これに対し、赤泥をセメント原料として活用する方法は、赤泥が多成分を含んでいても問題がなく、また生成されるセメントは建設資材として消費量が多いため、赤泥の大量処理に好適である。赤泥をセメント原料として活用する技術については、特開昭53−141172号公報(特許文献1)、米国特許第4,512,809号公報(特許文献2)に開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭53−141172号公報
【特許文献2】
米国特許第4,512,809号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セメントを製造する上で原料中の含有量が制限されなくてはならない成分の一つとしてアルカリがある。アルカリ金属化合物がセメント原料中に多量に含まれると、セメントキルンで揮発したアルカリ物質がサスペンションプレヒータで凝縮して、サスペンションプレヒータ詰りの原因となる。
【0009】
また、コンクリート構造物においては、セメント中のアルカリ分と骨材のシリカ質が反応することで、コンクリートが異常膨張を起こし、ひび割れが生じるアルカリ骨材反応が問題となっている。このアルカリ骨材反応を抑制するには、アルカリ含有量の低いセメントを使用する必要がある。
【0010】
特開昭53−141172号公報記載の方法では、好ましいセメント製造用酸化鉄原料を得るために、セメント原料中のアルカリ量が1.0%以下になるように赤泥の使用量を調整しなければならず、そのためアルミナ製造に用いるボーキサイトの産地が制限されたり、通常原料として用いられる粘土が使用できなかったりするなど、アルミナ製造およびセメント製造に種々の制約が生じるという問題があった。
【0011】
一方、米国特許第4,512,809号公報記載の方法では、赤泥等の珪酸アルミニウム含有物をカルシウム化合物とともに焼成してクリンカを製造しているが、原料中にはアルカリ分が多く含まれるため、焼成中にサスペンションプレヒータ詰り等のトラブルを引き起こす懸念があった。
【0012】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、赤泥中のアルカリ分を除去することのできる赤泥の処理方法、および赤泥からアルカリ分を除去してセメントクリンカとすることのできるセメントクリンカの製造方法を提供することを目的とする。なお、本明細書における「除去」の語には、100%除去できる場合だけでなく、所定の割合で除去できる場合も含まれるものとする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、赤泥と、塩素含有物と、カルシウム含有物とを、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5〜1.5、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上となる比率で、1000℃以上の温度により焼成することを特徴とする赤泥の処理方法を提供する(請求項1)。
【0014】
上記発明(請求項1)によれば、焼成中に赤泥中のアルカリ分、特にナトリウムを塩化物(塩化ナトリウム)として揮発させることができる。この揮発した塩化ナトリウムを適正に処理することにより、アルカリが原因で焼成炉の操業に支障が生じることを防止することができる。この場合において、赤泥の原料であるボーキサイトの産地が制限されることはなく、また、赤泥の使用量が大きく制限されることもない。焼成によって得られる焼成物のアルカリ含有量は低いため、得られる焼成物は、低アルカリであることが望ましい原料として利用することが可能である。
【0015】
上記発明(請求項1)においては、焼成時に発生する塩化ナトリウムを捕集しながら前記焼成を行うのが好ましく(請求項2)、捕集には塩素バイパス装置を使用するのが好ましい。このように塩化ナトリウムを捕集することにより、凝縮した塩化ナトリウムが焼成炉設備に悪影響を与えること、特にサスペンションプレヒータ詰りを起こすことを防ぐことができるとともに、塩化ナトリウムが焼成炉外に放出されて環境を汚染すること、および塩化ナトリウムが焼成物中に残存することを効果的に防止することができる。
【0016】
上記発明(請求項1,2)において、前記塩素含有物は塩素含有樹脂であるのが好ましい(請求項3)。塩素含有樹脂を使用することにより、塩化ナトリウム生成反応の反応性を向上させることができ、特に廃棄物としての塩素含有樹脂を使用すれば、廃棄物の有効利用を図ることができる。
【0017】
第2に本発明は、赤泥と、塩素含有物と、カルシウム含有物と、目的とするセメントクリンカ用の原料とを、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5〜1.5、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上となる比率で、1000℃以上の温度により焼成することを特徴とするセメントクリンカの製造方法を提供する(請求項4)。
【0018】
上記発明(請求項4)によれば、アルカリ含有量が低く、コンクリート構造物におけるアルカリ骨材反応を抑制し得るセメントクリンカが得られる。この場合において、赤泥の原料であるボーキサイトの産地が制限されることはなく、また、赤泥の使用量が大きく制限されることもない。さらに、上記発明(請求項4)においては、焼成中に赤泥中のアルカリ分、特にナトリウムを塩化物(塩化ナトリウム)として揮発させることができるため、揮発した塩化ナトリウムを適正に処理することにより、アルカリが原因で焼成炉の操業に支障が生じることを防止することができる。
【0019】
上記発明(請求項4)においては、焼成時に発生する塩化ナトリウムを捕集しながら前記焼成を行うのが好ましく(請求項5)、捕集には塩素バイパス装置を使用するのが好ましい。このように塩化ナトリウムを捕集することにより、凝縮した塩化ナトリウムが焼成炉設備に悪影響を与えること、特にサスペンションプレヒータ詰りを起こすことを防ぐことができるとともに、塩化ナトリウムが焼成炉外に放出されて環境を汚染すること、および塩化ナトリウムがセメントクリンカ中に残存することを効果的に防止することができる。
【0020】
上記発明(請求項4,5)において、前記塩素含有物は塩素含有樹脂であるのが好ましい(請求項6)。塩素含有樹脂を使用することにより、塩化ナトリウム生成反応の反応性を向上させることができ、特に廃棄物としての塩素含有樹脂を使用すれば、廃棄物の有効利用を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明では、赤泥を、塩素含有物およびカルシウム含有物とともに焼成することにより、赤泥中のアルカリ、特にナトリウムを塩化物として除去することができ、さらにセメントクリンカ用の原料を加えて焼成することにより、所望のセメントクリンカを製造することができる。
【0022】
〔赤泥〕
赤泥としては、バイヤー法のアルミナ製造工程で発生する通常のものであれば特に制限はなく、いずれのものも使用することができ、したがってボーキサイトの産地が制限されることもない。
【0023】
赤泥は、アルミナ製造工程で発生したそのままの状態で焼成に付しても差し支えはないが、取扱い性を向上させるために、焼成前に脱水するのが好ましく、脱水しさらに乾燥させるのが特に好ましい。
【0024】
〔塩素含有物〕
塩素含有物としては、塩素ガス、塩素イオンを含む物質、塩素化合物の他、それらを含有する混合物のいずれを使用してもよく、塩素化合物は無機系塩素化合物、有機系塩素化合物のいずれであってもよい。本発明では、骨格中に塩素原子を有する高分子化合物(塩素含有樹脂)を使用するのが好ましく、かかる塩素含有樹脂を使用することにより塩化ナトリウム生成反応の反応性を向上させることができる。また、廃棄物としての塩素含有樹脂は、ダイオキシン等の問題があることからその処理方法が問題となっているが、ここで使用することにより有効に利用することが可能となる。
【0025】
塩素含有樹脂の種類としては、有害性が低く、常温常圧で取扱い可能なものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム等が挙げられる。
【0026】
また、塩素含有樹脂は、可燃性であればその他のものとの混合物であってもよく、例えば、塩素含有樹脂を含む廃プラスチック混合物や塩素含有樹脂を含む可燃性廃棄物等を使用することができる。
【0027】
塩素含有樹脂は、焼成に適した大きさに粉砕または破砕して使用するのが好ましく、一般的には、10μm〜30cmの大きさに粉砕または破砕して使用するのが好ましい。ただし、セメントクリンカを製造する場合においては、塩素含有樹脂の大きさは、塩素含有樹脂をロータリーキルンのバーナー側から吹き込むときには、直径6mm以下であるのが好ましく、仮焼炉または窯尻(ロータリーキルンにおける原料入口部分)から投入するときには、投入装置および投入口の大きさが許す限り特に大きさの制限はないが、概ね、塊状のもので直径約10cm以下、厚さ数cm以下の薄物で縦横各100cm以下であるのが好ましい。
【0028】
塩素含有物は、赤泥とともに焼成されると、赤泥のナトリウムと反応して塩化ナトリウムとして排出されるため、赤泥からナトリウムを除去する作用を有する。したがって、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比は1であるのが最も好ましく、実際としては少なくとも0.5〜1.5の範囲である必要がある。(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が1.5を超えると、ナトリウム除去効率が悪く、焼成物中にナトリウムが残存してしまい、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5未満であると、焼成時の排ガス中に塩化水素ガスが含まれるようになる。
【0029】
〔カルシウム含有物〕
カルシウム含有物としては、カルシウム化合物、カルシウムイオンを含む物質の他、それらを含有する混合物のいずれを使用してもよい。カルシウム含有物としては、例えば、生石灰、消石灰、石灰石、貝殻等を使用することができる。
【0030】
カルシウム含有物は、焼成に適した粒径にして使用するのが好ましく、具体的には、0.1〜0.01mmの粒径とするのが好ましい。
【0031】
カルシウム含有物は、赤泥中のソーダライトを分解し、ナトリウムが塩素と反応するのを補助する作用を有する。ここで、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比は、2以上である必要がある。(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2未満であると、カルシウム含有物によるソーダライトの分解効率が低下して、焼成物中にナトリウムが残存してしまう。
【0032】
カルシウム含有物の使用量の上限は特に制限されるものではないが、多量に使用しても効果が向上することはなく不経済であるため、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比は4〜10であるのが好ましい。ただし、セメントクリンカを製造する場合にはこの限りではなく、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上である限り、後述するように、目的とするセメントクリンカを焼成するために必要な量のカルシウム含有物を使用することができる。
【0033】
〔セメントクリンカ用原料〕
セメントクリンカを製造する場合には、目的とするセメントクリンカを得るための原料を必要量加えて焼成する。ここで、一例として普通ポルトランドセメントおよび早強ポルトランドセメントの主成分の組成を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
前述したカルシウム含有物がCaOとしてセメントクリンカ中に残存する場合には、その残存量が上記範囲内になるようにカルシウム含有物の使用量を調整し、前述したカルシウム含有物がCaOとしてセメントクリンカ中に残存しない場合には、セメントクリンカ中のCaO量が上記範囲内になるようにCaOを別途加える必要がある。
【0036】
SiO2、Al2O3およびFe2O3については、元来赤泥中に含まれているため、焼成物中のSiO2、Al2O3およびFe2O3が上記範囲内になるように、使用する赤泥の組成に応じて各成分を適宜調整して加えればよい。
【0037】
セメントクリンカ用原料としては、単一の成分からなるものを使用してもよいし、上記成分の1種または2種以上を含む物質を使用してもよい。そのような物質としては、例えば、粘土、珪石、石炭灰、高炉スラグ、銅カラミ、高炉二次灰、転炉滓等が挙げられる。
【0038】
〔焼成〕
焼成は、上述した各原料を焼成炉に投入することによって行うことができる。焼成炉の種類としては、1000℃以上での焼成が可能であれば特に制限はないが、一般的にはロータリーキルンが好ましく、仮焼炉付きのサスペンションプレヒータ付きロータリーキルンであればより好ましい。加熱方法は、特に制限されず、電気加熱であってもよいし、ガス、石油、石炭、可燃性廃棄物等を燃料とする燃料燃焼であってもよく、1000℃以上に加熱できれば、内熱式、外熱式を問わない。
【0039】
赤泥の焼成炉への投入手段は、赤泥が泥状の場合には、泥状物を搬送、投入できるものであればいずれのものでもよく、例えば、バケットコンベア、スクリューコンベア、モーノポンプ等が使用できる。このとき、赤泥に赤泥以外の固体原料(カルシウム含有物等)を混合して取扱い性・搬送性を向上させた上で、搬送、投入してもよい。一方、赤泥が脱水または乾燥されている場合には、塊状物または粉状物を搬送できる装置、例えば、バケットコンベア、チェーンコンベア、スクリューコンベア、ベルトコンベア等が使用できる。
【0040】
カルシウム含有物は、通常塊状物または粉状物であるため、バケットコンベア、チェーンコンベア、スクリューコンベア、ベルトコンベア等を用いて搬送し、焼成炉に投入することができる。カルシウム含有物は、赤泥と混合して焼成炉に投入してもよいし、赤泥とは別に投入してもよい。セメントクリンカ用原料についても、カルシウム含有物と同様にして焼成炉に投入することができる。
【0041】
塩素含有物は、赤泥、カルシウム含有物とともに焼成炉に投入してもよいが、ダイオキシンの発生を防ぐために、少なくとも塩素含有物だけは焼成炉において800℃以上の温度になっている位置から投入するのが好ましい。例えば、仮焼炉付きのサスペンションプレヒータ付きロータリーキルンの場合、赤泥およびカルシウム含有物は、サスペンションプレヒータ上部から供給し、塩素含有物は、窯尻(キルンの原料入口部分)へ投入するか、あるいはロータリーキルンのバーナー付近から吹き込むのが好ましい。
【0042】
焼成炉に投入した各原料は、1000℃以上の温度で焼成する。この焼成によって、赤泥中のナトリウムは塩素と反応して塩化ナトリウムとして揮散する。焼成温度が1000℃未満では、生成した塩化ナトリウムの揮散が不十分となり、塩化ナトリウムが焼成物中に残存して好ましくない。一方、焼成温度の上限は特に制限されないが、消費燃料に関する経済性や、焼成炉を構成する耐火煉瓦の耐熱性、バーナーその他の加熱装置の性能等を考慮すると、2000℃以下で焼成するのが好ましい。なお、セメントクリンカを製造する場合には、セメントクリンカを焼成するのに適した温度、一般的には1200〜1500℃で焼成すればよい。
【0043】
焼成によって発生する塩化ナトリウムは熱ガスに含まれるが、凝縮した塩化ナトリウムが焼成炉設備に悪影響を与えないように、また環境面から塩化ナトリウムを焼成炉外に放出させないように、さらに塩化ナトリウムを焼成物中に残存させないようにするために、発生した塩化ナトリウムを熱ガスとともに捕集するのが好ましい。塩化ナトリウムの捕集には、塩素バイパス装置、電気集塵器、バグフィルター等のいずれをも使用することができるが、焼成炉として仮焼炉付きのサスペンションプレヒータ付きロータリーキルンを用いた場合には、サスペンションプレヒータの詰りを防ぐため、塩素バイパス装置を使用するのが好ましい。
【0044】
塩素バイパス装置は、図1に示すように、サスペンションプレヒータとロータリーキルンとの接続部に取り付けられ、焼成に伴ってロータリーキルンから排出された熱ガスの一部を抽気し、熱ガスを冷却するとともに濾過することで、熱ガスに含まれる塩素分を粉体として排出、除去するものである。
【0045】
なお、焼成により、塩素含有物が分解して生成するダイオキシン類、その他有害物質が排ガス中に含まれる場合には、消石灰、活性炭、ダイオキシン分解剤等の必要な排煙浄化材を煙道に吹き込んでもよい。
【0046】
〔焼成物〕
以上のようにして焼成して得られる焼成物(焼成炉から排出された処理物)においては、原料である赤泥中のアルカリ、特にナトリウムが除去されているため、アルカリ含有量が低くなっている。
【0047】
セメントクリンカとして焼成された焼成物は、そのまま通常のセメント製造工程に導入してセメントにすることができる。このセメントクリンカは、アルカリ含有量が低いため、コンクリート構造物におけるアルカリ骨材反応を抑制し得るものである。
【0048】
セメントクリンカとして焼成されていない焼成物については、目的に応じ必要な処理を施して製品化すればよい。例えば、焼成物をそのままセメント原料や製鉄原料としてもよいし、焼成物をアルカリ溶液で処理してアルミナ分を回収し、残部をセメント原料や製鉄原料としてもよい。
【0049】
【実施例】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0050】
〔実施例1〜3,比較例1〜3〕
原料として、未中和で乾燥させた赤泥(分析結果を表2に示す)と、粒径が10〜100μmである粉末状のポリ塩化ビニル(分析結果を表3に示す)と、粒径が12〜15μmである粉末状の炭酸カルシウム(関東化学社製,特級)とを用意した。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
赤泥に、表4に示される比率でポリ塩化ビニルと炭酸カルシウムとを加えて混合し、蒸留水を適宜添加して直径1.5cm程度の球形に成形した。その球形の混合物を80℃で16時間乾燥させた後、電気炉中にて表4に示される温度で焼成した。得られた焼成物を蛍光X線で分析し、焼成前後のナトリウムの量からナトリウムの揮散率を算出した。また、電気炉からの排ガスの一部を採取して、検知管により塩化水素ガスの有無を確認した。結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
表4から明らかなように、実施例1〜3においては、いずれもナトリウムが90%以上揮散しており、特に実施例1および2においては、塩化水素の発生も認められなかった。一方、比較例1〜3においては、ナトリウムが十分に揮散しなかった。
【0056】
〔実施例4〕
焼成炉として塩素バイパス装置を備えた仮焼炉付きのサスペンションプレヒータ付きロータリーキルンを使用し、以下の方法に従ってセメントクリンカを製造した。
【0057】
上記焼成炉に対し、フィルタープレスにより脱水した赤泥(Na2Oを7.5質量%、SiO2を15.5質量%、Al2O3を21.0質量%、Fe2O3を38.5質量%含有)をセメントクリンカ製造1tあたり絶乾質量で20kg、カルシウム含有物としての石灰石をCaO換算でセメントクリンカ製造1tあたり653kg、その他添加量を適宜調節しながら粘土(SiO2を62.8質量%、Al2O3を18.3質量%、Fe2O3を6.1質量%含有)、珪石(SiO2を85.6質量%、Al2O3を6.5質量%、Fe2O3を2.5質量%含有)および鉄原料(SiO2を13.7質量%、Al2O3を2.6質量%、Fe2O3を68.7質量%含有)をプレヒータ上部から投入するとともに、窯尻部分からポリ塩化ビニルを含む廃プラスチック(塩素を20質量%含有)をセメントクリンカ製造1tあたり11.6kg吹き込み、焼成温度1450℃でセメントクリンカを焼成した。
【0058】
このときの(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比は1、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比は178であった。焼成中は、塩素バイパス装置を稼動して、揮発した塩化ナトリウムを焼成系外に排出した。焼成中にプレヒータ詰りが発生することはなく、焼成系の運転に支障は認められなかった。
【0059】
得られたセメントクリンカは、通常のセメント製造の場合と同様に、石膏を加えて粉砕し、セメントとした。このセメントの品質は、通常のセメント(普通ポルトランドセメント)と同様の品質であり、特にセメント中のアルカリ量は0.51質量%(Na2O相当量)と低い値であった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の赤泥の処理方法によれば、赤泥の原料であるボーキサイトの産地が制限されることなく、また、赤泥の使用量が大きく制限されることなく、赤泥中のアルカリを除去することが可能である。一方、本発明のセメントクリンカの製造方法によれば、ボーキサイトの産地が制限されることなく、また、赤泥の使用量が大きく制限されることなく、赤泥を原料としてアルカリ含有量の低いセメントクリンカを製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る方法に用いられる焼成炉の模式図である。
Claims (6)
- 赤泥と、塩素含有物と、カルシウム含有物とを、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5〜1.5、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上となる比率で、1000℃以上の温度により焼成することを特徴とする赤泥の処理方法。
- 焼成時に発生する塩化ナトリウムを捕集しながら前記焼成を行うことを特徴とする請求項1に記載の赤泥の処理方法。
- 前記塩素含有物が塩素含有樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の赤泥の処理方法。
- 赤泥と、塩素含有物と、カルシウム含有物と、目的とするセメントクリンカ用の原料とを、(赤泥中のナトリウム)/(塩素含有物中の塩素)のモル比が0.5〜1.5、(カルシウム含有物中のカルシウム)/(赤泥中のナトリウム)のモル比が2以上となる比率で、1000℃以上の温度により焼成することを特徴とするセメントクリンカの製造方法。
- 焼成時に発生する塩化ナトリウムを捕集しながら前記焼成を行うことを特徴とする請求項4に記載のセメントクリンカの製造方法。
- 前記塩素含有物が塩素含有樹脂であることを特徴とする請求項4または5に記載のセメントクリンカの製造方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090225 |