JP2004202534A - プレス成形法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シームレス・カップ状モータケースを得るためのブランク材として、鋼板上の亜鉛メッキ膜の上に樹脂被膜を成膜したクロムフリー鋼板を用いる。絞り加工のうちしごき加工で用いるしごき金型において、ダイの少なくともブランク接触領域とパンチの少なくともブランク接触領域にはチタン・メッキ膜が電着されている。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形法に関し、特にモータケース等の磁性材外囲器を成形するための絞り加工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般に、小形モータのシームレス・カップ状モータケースの製法としては、鋼板上の亜鉛メッキ膜の上にクロメート処理を施して成る電気亜鉛鋼板(SECC)をブランク材として用い、これに対して絞り加工の後に縁取り加工を施して得られる。深いモータケースの場合は深絞り加工を必要とするが、この深絞り加工は、1回絞り、再絞り及び/又はしごきから成る。
【0003】
ブランク材の亜鉛メッキ膜は、下地の鋼板(鉄系)に対して陽極として働き電気化学的に保護作用を有し、防食メッキ膜として機能する。また、表面のクロメート処理膜は防食用及び耐磨耗用メッキとして機能する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この電気亜鉛鋼板のクロメート処理膜は環境・生態系有害物質である六価クロムを含有しているため、電気亜鉛鋼板をブランク材として用いることは手控えなければならない。そのため、電気亜鉛鋼板に代わり、鋼板上の亜鉛メッキ膜の上に樹脂被膜(通称、特殊有機被膜或いは特殊有機無機複合被膜)を成膜したクロムフリー鋼板をブランク材として用いることが要請されている。
【0005】
しかしながら、深いモータケースなどを得る深絞り加工中では金型表面と樹脂被膜との過度な摩擦接触により、樹脂被膜にしごき作用が加わり、ケース表面に黒ずみが発生するという不具合があった。特に、異形のケースでは円弧面ではなく平坦面に黒ずみが発生する。これは、ブランク材側の亜鉛メッキ膜との相性も影響するものであるが、樹脂被膜内の横ズレ塑性変形と焼きつき(焦げ)によるものである。この黒ずみの顕在化は外観体裁の劣化ばかりか、部分的にも樹脂被膜の防錆作用を没却させる。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、その課題は、表面に樹脂被膜を成膜してなるブランク材を絞り加工に用いても、表面に黒ずみの発生する虞を無くすことができるプレス成形法を提供することにある。
【0007】
【解決を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、鋼板表面に鍍着した第1のメッキ膜の上に樹脂被膜を成膜して成るブランク材に対し絞り加工を施して絞り製品を得るプレス成形法において、少なくとも絞り加工では硬質の第2のメッキ膜を表面に鍍着して成る絞り金型を用いることを特徴とする。
【0008】
絞り工程中、ブランク材の樹脂被膜の表面は絞り金型の第2のメッキ膜表面に接触するため、その硬質滑り性(潤滑性)により樹脂被膜内の横ズレ塑性変形と焼きつきとが相乗的に抑制できるので、絞り製品表面の黒ずみ発生を防止でき、樹脂被膜の防錆作用を保証できる。特に、異形絞り製品の平坦面における黒ずみ発生を効果的に防止できる。
【0009】
第2のメッキ膜を表面に電着する絞り金型としては、再絞り金型又はしごき金型とすることが望ましい。絞り率が大きく、或いはダイとパンチとの隙間が小さいからである。
【0010】
ダイとパンチの双方に第2のメッキ膜を形成しても構わないが、外観側の黒ずみ発生を防止するには、ブランク材が接触する部分だけに第2のメッキ膜を形成しても構わない。
【0011】
硬質の第2のメッキ膜としては、滑り性のある硬質クロムメッキ膜としても良いが、耐磨耗性のある高硬質金属であるチタン・メッキ膜が適している。高硬質であるため、金型に用いる場合、滑り性と耐磨耗性を充分得ることができる。現状の絞り金型に膜厚50μm程度のチタン・メッキ膜を施しても良い。少なくとも10μm程度の膜厚で良い。金型表面を削り修正してからメッキ処理を施しても良い。
【0012】
上記の絞り製品の用途は限られないが、第1のメッキ膜としては亜鉛メッキ膜である場合には、例えばモータケースの如く、磁束を閉じ込めるべき各種磁性材外囲器として用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態を説明する。
【0014】
本例は小形モータのシームレス・カップ状モータケースのプレス加工法に関し、そのプレス加工は絞り加工と縁取り加工から成る。また、絞り加工は1回絞り加工としごき加工(又は再絞り加工)とから成る。
【0015】
本例におけるしごき金型は従前のものを使用し、ダイの少なくともブランク接触領域とパンチの少なくともブランク接触領域にはチタン・メッキ膜を電着した。その膜厚は約50μmである。そして、ブランク材としては、鋼板上の亜鉛メッキ膜の上に樹脂被膜(通称、特殊有機被膜或いは特殊有機無機複合被膜)を成膜したクロムフリー鋼板を用いる。
【0016】
1回絞り加工では、ダイとパンチとの間隙に余裕があるため、従前金型を使用しても黒ずみは発生しない。しごき加工ではダイとパンチとの間隙が狭くなるが、チタン・メッキ膜を鍍着したしごき金型を用いたので、表面の黒ずみ発生は認められなかった。チタン・メッキ膜の硬質滑り性により樹脂被膜内の横ズレ塑性変形と焼きつきとが相乗的に抑制できる。特に、小判形モータケース(異形プレス製品)の平坦面においても黒ずみ発生が認められなかった。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、表面に樹脂被膜を成膜して成るブランク材を絞り加工に用いても、硬質の第2のメッキ膜を表面に鍍着して成る絞り金型を用いているため、絞り製品の表面に黒ずみが発生するのを防止できる。このため、従来通りの工程順により絞り製品を得ることができ、しかも外観体裁も良く、樹脂被膜の防錆作用を損なわずに済む。またクロメート処理を施さないため、環境・生態系への影響を無くすことができる。
Claims (8)
- 鋼板表面に鍍着した第1のメッキ膜の上に樹脂被膜を成膜して成るブランク材に対し絞り加工を施して絞り製品を得るプレス成形法において、少なくとも前記絞り加工では硬質の第2のメッキ膜を表面に鍍着して成る絞り金型を用いることを特徴とするプレス成形法。
- 請求項1において、前記絞り製品は異形品であることを特徴とするプレス成形法。
- 請求項1又は請求項2において、前記絞り金型は再絞り金型又はしごき金型であることを特徴とするプレス成形法。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記第2のメッキ膜はチタン・メッキ膜であることを特徴とするプレス成形法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記第2のメッキ膜の膜厚は概ね50μmであることを特徴とするプレス成形法。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、前記第1のメッキ膜は亜鉛メッキ膜であることを特徴とするプレス成形法。
- 請求項6において、前記絞り製品は磁束を閉じ込めるべき磁性材外囲器であることを特徴とするプレス成形法。
- 請求項7において、前記磁性材外囲器はモータケースであることを特徴とするプレス成形法。
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JP2002374432A JP2004202534A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | プレス成形法 |
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JP2002374432A JP2004202534A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | プレス成形法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004202534A true JP2004202534A (ja) | 2004-07-22 |
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Family Applications (1)
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JP2002374432A Pending JP2004202534A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | プレス成形法 |
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---|---|---|---|---|
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-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002374432A patent/JP2004202534A/ja active Pending
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