JP2004202520A - 鋳造方法及び鋳造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャビティに充填された溶湯を、最適なタイミングで安定して局部的に加圧して、製品に形成される引け巣を安定し抑制することができる鋳造方法及び鋳造装置を提供する。
【解決手段】キャビティ4内に溶湯充填装置24によりランナー9を介して溶湯7を射出する。キャビティ4の後端には真空ランナー13が形成されており、該真空ランナー13に溶湯検知センサー5が配置されている。この溶湯検知センサー5に溶湯7が接触したときに、溶湯検知センサー5から溶湯検知信号が制御装置6に送信される。制御装置6は、溶湯検知信号を受信してから、設定時間経過後に加圧指令信号を局部加圧装置23に送信するものである。加圧指令信号を受信した局部加圧装置23は、加圧シリンダ2により局部加圧ピン3をキャビティ4内に突出させる。これにより、キャビティ4内に充填されている溶湯7が最適なタイミングで局部的に加圧され、製品への引け巣の発生が抑制される。
【選択図】 図1
【解決手段】キャビティ4内に溶湯充填装置24によりランナー9を介して溶湯7を射出する。キャビティ4の後端には真空ランナー13が形成されており、該真空ランナー13に溶湯検知センサー5が配置されている。この溶湯検知センサー5に溶湯7が接触したときに、溶湯検知センサー5から溶湯検知信号が制御装置6に送信される。制御装置6は、溶湯検知信号を受信してから、設定時間経過後に加圧指令信号を局部加圧装置23に送信するものである。加圧指令信号を受信した局部加圧装置23は、加圧シリンダ2により局部加圧ピン3をキャビティ4内に突出させる。これにより、キャビティ4内に充填されている溶湯7が最適なタイミングで局部的に加圧され、製品への引け巣の発生が抑制される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造方法及び鋳造装置に関し、特に鋳造品の引け巣を安定して抑制できるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にダイカスト鋳造法は、全体にわたって肉厚変動があり、局部的に厚肉部や薄肉部が形成されている製品を、安定して高精度に生産するのに適している。これは、キャビティ内に溶湯を高速度・高圧力で射出するようにしているからである。しかしながら、同一製品内で薄肉部と厚肉部が存在する場合、溶湯の凝固現象という観点からみると、体積の大きい厚肉部は体積の小さい薄肉部に対して凝固完了が遅く、特に厚肉部の中央部は最終凝固部となるため、溶湯の凝固収縮により厚肉部に空隙が形成されやすい。この空隙を一般に「引け巣」と呼んでおり、製品の漏れ不良につながる最たるものである。この引け巣はダイカスト鋳造法のみではなく、重力鋳造法等の他の鋳造方法でも発生するものであり、この引け巣対策として数多の技術が開発・適用されている。
【0003】
その中で、下記の特許文献や非特許文献に示されているような局部加圧技術は最も有効な手段の一つである。これは、溶湯の引け巣が生じやすい部分(厚肉部)に、キャビティ内に出入可能なピン(局部加圧ピンと呼ぶ)を設置しておき、射出充填後、厚肉部の中央部分が凝固収縮を起こす前に局部加圧ピンをキャビティ内に突出させることにより、ピンの押込み体積と同量の溶湯を厚肉部へ強制的に補給し、その結果として引け巣の発生を抑制する方法である。このような局部加圧技術を用いた方法においては、局部加圧ピンを作動させるのが遅くても早くても引け巣を十分に抑制することができないので、局部加圧ピンを作動させるタイミングが非常に重要となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−243714号公報
【0005】
【非特許文献1】
「1986年度日本ダイカスト会議論文集」、社団法人日本ダイカスト協会、昭和61年10月27日、p183−189
【0006】
【非特許文献2】
「日本鋳造工学会研究報告74―ダイカストの鋳造欠陥と対策―」、社団法人日本鋳造工学会、平成8年12月20日、p159−160
【0007】
【非特許文献3】
「日本鋳造工学会研究報告83―ダイカストの不良対策技術―」、社団法人日本鋳造工学会、平成12年5月19日、p102−106
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来このような局部加圧技術としては、非特許文献1や非特許文献2に示されているように、溶湯の射出開始を検知してから設定時間(予めタイマーにセットされている)が経過した後に局部加圧ピンをキャビティに突出させる方式が主流となっている。しかしながら、溶湯がキャビティに到達するまでには、ランナーと呼ばれる溶湯導入路を経由する必要があるので、射出開始からキャビティへの充填までには若干のタイムラグがあり、溶湯の射出開始を検知してからタイマーを作動させる方法では、溶湯の給湯量や射出速度、射出の高速区間等にバラツキがあると、上記タイムラグ間にこのバラツキが増幅されて、局部加圧ピンを作動させる最適なタイミングにズレが生じてしまう。
【0009】
また、特許文献1に示されているように、キャビティに充填された溶湯の温度を検出し、この温度に基づいて温度勾配を求めて、この温度勾配に基づいて局部加圧ピンを作動させる最適なタイミングを決定する方法も開示されている。しかしながら、溶湯の温度を検出するにしても、キャビティ内の溶湯の温度を精度良く測定するのは困難であって、得られる測定温度の誤差も大きくなってしまう。この方法では、得られる測定温度をもとに溶湯を局部的に加圧するタイミングを決定しているので、測定温度の誤差が大きいと、溶湯を局部的に加圧する際の最適なタイミングにもズレが生じてしまう。
【0010】
このように、溶湯を局部的に加圧する際の最適なタイミングにズレが生じると、各製品毎に常時最適なタイミングで溶湯を局部的に加圧することが困難となり、ひいては引け巣の形成が抑制された製品を安定して製造することができないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであり、キャビティに充填された溶湯を局部的に加圧して、製品の引け巣を抑制する鋳造方法及び鋳造装置において、溶湯を局部的に加圧する際に、最適なタイミングで安定して行うことができ、ひいては引け巣の形成が抑制された製品を安定して製造できる鋳造方法及び鋳造装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(方法)
上記課題を解決するために、本発明の鋳造方法は、金型に形成されたキャビティに溶湯を充填し、該溶湯が凝固する前に、キャビティ内に充填された溶湯を加圧手段により局部的に加圧する鋳造方法において、キャビティ内、あるいは溶湯がキャビティ内に充填される際に該溶湯が進入する溶湯進入領域内に、溶湯が存在するか否かを溶湯検知手段により直接検知し、該溶湯検知手段の検知結果に基づいて、加圧手段を作動させ、キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧することを特徴とする。
【0013】
上記のような方法においては、溶湯が少なくともキャビティ内あるいは溶湯進入領域内に到達した時点で、その溶湯が該溶湯進入領域に存在することを溶湯検知手段により検知するようにしている。さらに、その溶湯検知手段の検知結果に基づいて、加圧手段を作動させて、キャビティに充填されている溶湯を局部的に加圧(局部加圧)するようにしている。そのため、溶湯を局部的に加圧するタイミングは、溶湯が充填開始した時点ではなく、溶湯検知手段により溶湯の存在が検知された時点で決定されるため、溶湯が充填開始してから溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に溶湯が到達するまでの間に、溶湯の給湯量や射出速度等の鋳造条件にバラツキがあっても、このバラツキにより溶湯を局部的に加圧するタイミングが影響されることはない。さらに、溶湯がキャビティ内あるいは溶湯進入領域内に存在するか否かを、溶湯検知手段により直接検知しているので、充填される溶湯の温度を測定するなど、測定結果(測定温度)にバラツキが生じやすい手段を採用せずに、溶湯を局部的に加圧する際の最適なタイミングを決定することができる。したがって、溶湯を局部的に加圧する際の最適なタイミングに各製品間でズレが生じにくく、最適なタイミングでの溶湯への局部的な加圧を、各製品間で安定して行うことができ、ひいては、引け巣が抑制された製品を安定して製造することが可能となるのである。
【0014】
また、本発明の鋳造方法においては、加圧手段は、局部加圧ピンを有するとともに、溶湯検知手段の検知結果に基づいて、局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込み、キャビティ内に充填されている溶湯を局部的に加圧するものとすることができる。局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込むことにより、この局部加圧ピンの押し込められる体積と同体積の溶湯が塑性流動し、キャビティ内の溶湯に局部的な圧力が加わることになる。
【0015】
さらに、溶湯検知手段は、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に配置され、溶湯が接触したときに、溶湯の存在を検知する溶湯検知センサーであるとすることができる。このような溶湯検知センサーによれば、溶湯が接触したときに、該溶湯が存在することが検知されるので、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に溶湯が存在することを直接検知することができる。
【0016】
また、本発明の鋳造方法においては、溶湯検知手段により溶湯の存在が検知されたときにタイマーを作動させ、設定時間経過後に加圧手段を作動させて、キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧するのがよい。このような方法によれば、製品に形成される引け巣が十分に抑制されるような、予め最適な設定時間(溶湯が検知されてから加圧手段が作動するまでの時間)を決定しておけば、あとはこの設定時間をタイマーに設定するだけで、常時最適なタイミングで安定した局部的な加圧を溶湯に対して行うことができる。
【0017】
特に、本発明の鋳造方法は、金型に形成されたキャビティに溶湯を充填し、該溶湯が凝固する前に、キャビティ内の溶湯に対して局部加圧ピンを押し込み、該キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧する鋳造方法において、キャビティ内あるいは溶湯がキャビティ内に充填される際に該溶湯が進入する溶湯進入領域内に、溶湯が接触したときに該溶湯の存在を検知する溶湯検知センサーを配置しておき、該溶湯検知センサーに溶湯が接触したときにタイマーを作動させ、設定時間経過後に、局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込み、該溶湯を局部的に加圧することを特徴とする。
【0018】
(装置)
また、上記本発明の課題を解決するために、本発明の鋳造装置は、キャビティに溶湯を充填するための溶湯充填装置と、キャビティに溶湯を充填する際に該溶湯が進入する溶湯進入領域がキャビティとともに形成されている金型と、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に溶湯が存在するか否かを直接検知する溶湯検知手段と、溶湯検知手段が溶湯の存在を検知したときに、該溶湯検知手段から発信される溶湯検知信号に基づいて、キャビティに充填された溶湯を該溶湯が凝固する前に局部的に加圧する加圧手段と、を有することを特徴とする。
【0019】
このような鋳造装置によれば、溶湯検知手段により溶湯が溶湯進入領域に存在することが直接検知され、溶湯検知手段から発信される溶湯検知信号に基づいて、加圧手段がキャビティに充填された溶湯を局部的に加圧するので、溶湯が充填開始されてから少なくとも溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に到達するまでの間に鋳造条件のバラつきがあっても、溶湯を加圧する最適なタイミングに、各製品間でズレが生じにくくなる。さらに、溶湯検知手段は、溶湯進入領域に溶湯が存在することを直接検知するものであるので、例えば温度センサーで温度を測定する場合のように、測定結果(測定温度)等にバラツキが生じやすい手段を採用しなくてもよい。したがって、最適なタイミングで安定して溶湯を局部的に加圧することができ、ひいては、引け巣が十分に抑制された製品を安定して製造することができる。
【0020】
なお、本発明の鋳造装置においては、加圧手段は、局部加圧ピンを有するとともに、溶湯検知信号に基づいて、局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込み、キャビティ内に充填されている溶湯を局部的に加圧するものとすることができる。このような加圧手段によれば、局部加圧ピンの溶湯進入領域に押し込まれる体積と、同体積の溶湯が塑性流動し、キャビティ内に充填されている溶湯に局部的な圧力が加わることになる。
【0021】
さらに、溶湯検知手段は、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に配置され、溶湯が接触したときに、溶湯の存在を検知する溶湯検知センサーとするのがよい。このような溶湯検知センサーにより溶湯進入領域に溶湯が存在することを直接検知することができる。
【0022】
また、本発明の鋳造装置においては、溶湯検知手段から発信される溶湯検知信号を受信し、該溶湯検知信号を受信したときから設定時間経過後に、キャビティ内に充填されている溶湯への局部加圧を指令する加圧指令信号を、加圧手段に送信する制御装置を有してもよい。このような鋳造装置によれば、予め最適な設定時間を決定しておき、この設定時間を制御装置に予め設定しておけば、溶湯への局部的な加圧を最適なタイミングで常に安定して行うことができる。
【0023】
また本発明の鋳造装置は、特に、キャビティに溶湯を充填するための溶湯充填装置と、キャビティに溶湯を充填する際に該溶湯が進入する溶湯進入領域がキャビティとともに形成されている金型と、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に配置され、溶湯が接触したときに、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に溶湯が存在することを直接検知する溶湯検知センサーと、溶湯を検知したときに溶湯検知センサーから発信される溶湯検知信号を受信し、該溶湯検知信号を受信したときから設定時間経過後に、キャビティに充填された溶湯への局部加圧を指令する加圧指令信号を送信する制御装置と、局部加圧ピンを有するとともに、加圧指令信号を受信し、該加圧指令信号を受信したときに、局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込み、キャビティ内に充填されている溶湯を局部的に加圧する加圧手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
上記のような鋳造装置においては、溶湯充填装置によりキャビティに充填される溶湯が、少なくとも溶湯進入領域あるいはキャビティ内に到達したときに、溶湯検知センサーによりその存在が検知される。そして、該溶湯が溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に到達したことを検知したうえで、その検知結果に基づいて、キャビティに充填されている溶湯を局部的に加圧するようにしている。そのため、キャビティに充填されている溶湯を局部的に加圧するタイミングは、溶湯が溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に到達した時点で決定されるので、溶湯の給湯量や給湯速度等の鋳造条件により、加圧する最適なタイミングにズレが生じにくくなり、最適なタイミングにて安定して溶湯を局部的に加圧することが可能となる。さらに、溶湯検知センサーは、キャビティ内に充填されている溶湯の温度を測定するような例えば温度センサーのように、測定結果(測定温度)にバラツキが生じるものではなく、溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に溶湯が存在するか存在しないかを直接検知するものであるので、溶湯を局部的に加圧する最適なタイミングにより一層ズレが生じにくくなる。そのため、最適なタイミングにてより一層安定して溶湯を局部的に加圧することができ、ひいては、引け巣の形成が抑制された製品をより安定して製造することが可能となるのである。
【0025】
なお、本発明の鋳造方法及び鋳造装置において溶湯進入領域とは、溶湯がキャビティに充填される前後あるいはキャビティに充填される途中に、該溶湯が進入する領域とすることができる。例えば、溶湯をキャビティに導くためのランナーや、加圧手段の例えば局部加圧ピン等がキャビティに対して出入するための中空部や、キャビティ内のガスを吸引するために、該キャビティと真空装置とを連通させる真空ランナー等を、溶湯進入領域として例示することができる。
【0026】
さらに本明細書中において、「溶湯検知手段の検知結果に基づいて」あるいは「溶湯検知信号に基づいて」とは、前述したように、溶湯検知手段が溶湯の存在を検知してから、あるいは溶湯検知信号が発信されてから、設定時間経過後に加圧手段を作動させるような形態を当然含むものであるが、溶湯検知手段により溶湯進入領域内に溶湯が存在することが検知された直後に、加圧手段を作動させるような形態をもその概念として含むものである。
【0027】
さらに本明細書中において、「局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込む」とは、必ずしもキャビティ内に局部加圧ピンを突出させることのみを指すのではない。つまり、キャビティ内の溶湯が結果として塑性流動するように、キャビティに連通する溶湯進入領域内に局部加圧ピンを突出させ、この溶湯進入領域内に存在する溶湯を介してキャビティ内の溶湯に局部的な圧力を加えるような形態をもその概念として含むものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本実施形態の鋳造方法及び鋳造装置について添付の図面を使用して説明する。
【0029】
(第一の実施形態)
本発明の鋳造方法にかかる第一の実施形態は、金型に形成されたキャビティに溶湯を充填する工程と、キャビティ内に溶湯が充填あるいは略充填されたことを直接検知する工程と、溶湯がキャビティ内に充填あるいは略充填されたことに基づいて、キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧する工程とを、有する。
【0030】
また、図1は第一の実施形態にかかる鋳造装置を示すもので、特にダイカスト鋳造装置の場合を示したものである。図1の鋳造装置は、溶湯充填装置24と、金型1と、溶湯検知手段としての溶湯検知センサー5と、制御装置6と、加圧手段としての局部加圧装置23とを有する。
【0031】
以下、図1を用いて本実施形態について詳細に説明する。溶湯充填装置24は、金型1に形成されているキャビティ4に溶湯7を充填するもので、射出シリンダ10とプランジャー8とを有しており、金型1に取りつけられている射出スリーブ11内に注入された溶湯7をプランジャー8によりキャビティ4内に射出するようになっている。また、プランジャー8は、射出シリンダ10の圧力室10aにかかる油圧により、前進(図1では右側に移動)・後退(図1では左側に移動)することができるようになっており、圧力室10aにかかる油圧を調整することにより、溶湯7の射出速度を制御できるようになっている。なお、射出シリンダ10には圧力室10aにかかる油圧を調整するための調整弁20が取りつけられており、射出制御装置22により当該調整弁20が制御される。
【0032】
また金型1には、キャビティ4と該キャビティ4に溶湯7を導入するランナー9が形成されており、溶湯7が注入される射出スリーブ11が取り付けられている。さらに、金型1には、キャビティ4の後端側(ランナー9とは反対側)に連通する形で後端側ランナー13が形成されている。この後端側ランナー13は、キャビティ4に溶湯7を充填する際に溶湯7が進入するもので、本実施形態において溶湯進入領域とすることができる。この後端側ランナー13(溶湯進入領域)に溶湯7が進入した(存在する)時点で、キャビティ4は溶湯7により充填あるいは略充填されているといえる。そして、この後端側ランナー13内には、溶湯検知センサー5が配置されており、この溶湯検知センサー5により、後端側ランナー13に溶湯7が進入した(存在する)こと、つまり、キャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填したことが検知される。
【0033】
また、制御装置6は、局部加圧装置23と溶湯検知センサー5とに電気的に接続されており、溶湯検知センサー5からの溶湯検知信号を受信して、予め設定されている設定時間経過後に、加圧指令信号を局部加圧装置23に送信するものである。また、局部加圧装置23は、キャビティ4内に出入可能な形態で配置される局部加圧ピン3と、この局部加圧ピン3をキャビティ4に対して出入させるための加圧シリンダ2とを有する。なお、本実施形態においては、局部加圧ピン3はキャビティ内に突出する形態としているが、局部加圧ピンの形態はこのようなものに限定されるものではなく、その先端がキャビティ内に到達することなく、キャビティ内の溶湯を局部的に加圧するようなものでもよい。
【0034】
以下、上記鋳造装置の作用を示しつつ本実施形態にかかる鋳造方法について詳しく説明する。まず、溶湯充填装置24により溶湯7を射出スリーブ11内に注入した後、射出シリンダ10の圧力室10aにかかる油圧を増加させて、プランジャー8を射出スリーブ11内に押し出す。これにより溶湯7は、金型1に形成されたランナー9を通ってキャビティ4内に進入する。ここで、ランナー9の径はキャビティ4の径と比較してかなり狭く形成されている。これは、溶湯7がゲート12(ランナー9とキャビティ4との境界)から勢い良くキャビティ4内に射出されるようにするためである。キャビティ4内に溶湯7が進入した後も、さらに溶湯7を射出することで、キャビティ4内に溶湯7が充填される。そして、キャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填され、さらに後端側ランナー13に溶湯7が進入すると、後端側ランナー13に配置されている溶湯検知センサー5により溶湯7の存在が検知される。
【0035】
溶湯検知センサー5により溶湯7が検知されると、該溶湯検知センサー5から溶湯検知信号が制御装置6に送信され、制御装置6に内蔵されているタイマーが作動する。このタイマーには予め決定されている設定時間が設定されており、溶湯検知信号を受信後、上記の設定時間経過後に、制御装置6から局部加圧装置23に加圧指令信号が送信される。なお、予め設定される設定時間は、溶湯の種類や量、あるいは溶湯の射出速度等の諸条件により異なる値が適宜設定されるものであり、引け巣の発生が抑制されるように上記条件に応じて最適な値が選択される。この加圧指令信号を受けて局部加圧装置23の加圧シリンダ2が作動し、局部加圧ピン3をキャビティ4内に突出させて溶湯7を加圧するようになっている。これにより、キャビティ4内に充填されている溶湯7が塑性流動し、特にキャビティ4内の厚肉部(最も引け巣の発生しやすい箇所である)に移動して、引け巣の発生を抑制することが可能となる。
【0036】
なお、局部加圧ピン3は、特にキャビティ4の厚肉部に突出する形態で配置しておくのがよい。局部加圧ピン3により押された溶湯7は、その周辺に優先して塑性流動するので、引け巣の発生しやすい領域に局部加圧ピン3を配置すれば、引け巣の発生しやすい領域に優先して溶湯7が塑性流動し、より効率良く引け巣の発生を抑制することができるからである。
【0037】
また上記においては、溶湯検知信号が制御装置6に送信されてから、設定時間経過後に、加圧指令信号を局部加圧装置23に送信するようにしているが、本実施形態においては、制御装置6を省くことも可能である。つまり、溶湯検知センサー5と局部加圧装置23とを、制御装置6を介さずに電気的に接続し、溶湯検知信号を溶湯検知センサー5から局部加圧装置23に直接送信させ、局部加圧装置23を作動させることもできる。このような形態においては、溶湯検知センサー5が溶湯7を検知した直後に局部加圧装置23が作動して、キャビティ4内の溶湯7が局部的に加圧されることになるが、本実施形態においては、キャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填されてから、溶湯検知センサー5が溶湯7を検知するようになっているので、溶湯7に形成される引け巣を抑制することが可能となるのである。なお、このような形態を採用する場合には、引け巣の形成を十分に抑制するために、後端側ランナー13に配置される溶湯検知センサー5の位置を微調整して、溶湯検知センサー5が溶湯7を検知した直後に、キャビティ4内に充填される溶湯7を局部的に加圧する最適なタイミングとなるようにする必要がある。
【0038】
以下、本実施形態の鋳造装置に使用される溶湯検知センサー5について簡単に説明する。図4は、溶湯検知センサー5の詳細を示す図である。図4のとおり、溶湯検知センサー5は、ケース(金属)53/絶縁体51/芯(金属)52の三重構造となっており、通常の状態ではケース53と芯52とが絶縁された状態となっている。さらに具体的に説明すると、筒状のケース53の中空内部に、ケース53の内周面に接触しない形態で棒状の芯52が挿入されており、これらの一端側(先端側)において、ケース53内部に絶縁体51が充填され、棒状の芯52が位置決めされている。そして、溶湯検知センサー5の先端面においては、筒状のケース53内部に絶縁体とともに棒状の芯52の一端が露出する形態となっている。このような溶湯検知センサー5に、この先端面を覆う形態で溶湯7が接触すると、ケース53と芯52とが短絡し、溶湯7を介して電流が導通し溶湯7の存在が検知されることになる。なお、後述する溶湯検知センサー5’や溶湯検知センサー5’’も同様の構成を有する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、キャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填したときに、溶湯7の存在を検知することができるので、溶湯7が射出開始されてからランナー9を通過し、キャビティ4内に充填あるいは略充填されるまでの鋳造条件のバラツキにより、溶湯7を局部的に加圧する際の最適なタイミングにズレが生じにくくなる。さらに、キャビティ4内に溶湯が充填あるいは略充填したことを直接検知するようにしたので、溶湯7の温度を測定するような測定条件によりバラツキが生じやすい手段を採用せずに、溶湯7を局部的に加圧する最適なタイミングを決定することができる。そのため、溶湯の局部加圧を最適なタイミングで安定して行うことができ、ひいては、引け巣の形成が抑制された製品を安定して製造することができる。
【0040】
さらに、本実施形態の鋳造装置においては、後端側ランナー13は、真空ランナーとして用いることができる。この真空ランナー13(後端側ランナー13)の一端には、真空装置15が取りつけられており、当該真空装置15により後端側ランナー13を介してキャビティ4内のガスを吸引することで、製品への巻き込み巣の形成を抑制することができる。この真空装置15は、プランジャー8に取り付けられている位置センサー21により、溶湯7の射出開始が検知されたときに、該位置センサー21からのガス抜き開始信号に基づいて、キャビティ4内のガス吸引を行うものである。そして、真空ランナー13には遮断弁14が取り付けられており、真空ランナー13に溶湯7が侵入する前に、弁制御装置16により油圧バルブ17を作動し、遮断弁14と連結されたピストン18を後退(図1においては、右方向に移動)させ、遮断弁14を閉弁位置に移動させるようになっている。これにより、真空装置15によるキャビティ4内の吸引が終了するとともに、真空装置15やシリンダ19に溶湯7が侵入するのを防止することができ、真空装置15や他の機器の故障を防止することができる。
【0041】
さらに本実施形態の鋳造装置においては、真空ランナー13(後端側ランナー13)に配置されている溶湯検知センサー5と、弁制御装置16とが電気的に接続されており、溶湯検知センサー5によりキャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填されたことが検知されると、弁制御装置16が作動して、遮断弁14が閉弁位置に移動するようになっている。具体的には、溶湯検知センサー5からの溶湯検知信号が弁制御装置16に送信され、弁制御装置16から油圧バルブ17に、遮断弁14の移動を指令する遮断指令信号が送信されることで、上記形態が実現される。
【0042】
このように溶湯検知センサー5にて溶湯7がキャビティ4内に充填されたことを検知してから弁制御装置16を作動させることにより、真空装置15等への溶湯7の侵入を安定して防止することができる。また本実施形態においては、真空装置15等の故障を防止するための溶湯検知センサーと、局部加圧装置23を作動させるための溶湯検知信号を送信する溶湯検知センサーとは同一のものを使用できるので、複数の溶湯検知センサーを用意する必要がなく、装置を簡便に構成することができる。
【0043】
さらに本実施の形態においては、真空ランナー13(後端側ランナー13)に配置されている溶湯検知センサー5と、溶湯7の射出速度を制御する射出制御装置22とが電気的に接続されており、溶湯検知センサー5によりキャビティ4内に溶湯7が充填されたことが検知されると、射出制御装置22が作動して溶湯7の射出速度が減少するようになっている。具体的には、溶湯検知センサー5からの溶湯検知信号が射出制御装置22に送信され、射出制御装置22から調整弁20に、圧力室10aにかかる油圧を減少させる旨の減圧指令信号が送信されることで、調整弁20の開度が小さくなり、射出シリンダ10からドレンに排出される油の流れが絞られて、プランジャー8の射出速度が減少する。
【0044】
このように、キャビティ4内に溶湯7が充填されたことを検知して、これに基づいてプランジャー8の射出速度を減少させることにより、溶湯7のキャビティ4への充填と同時に、真空ランナー9への溶湯7の進入速度を減少させることが可能となる。そのため、溶湯7がキャビティ4に充填してから真空ランナー9を通って遮断弁14に到達するまでに、時間的な余裕が生じ、溶湯7が遮断弁14や真空装置15に到達する前に、より確実に遮断弁14を閉弁位置に移動させることが可能となる。
【0045】
(第二の実施形態)
以下、本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の鋳造方法にかかる第二の実施形態は、金型に形成されたキャビティに、該キャビティと連通して金型に形成された溶湯導入路(図1に示したランナー9と対応する)を介して溶湯を充填する工程と、溶湯導入路内に溶湯が存在することを検知して、キャビティ内に溶湯が進入しようとすることを直接検知する工程と、キャビティ内に溶湯が進入することが検知されたことに基づき、キャビティ内に充填された溶湯を局部加圧する工程とを、有する。
【0046】
また、図2は第二の実施形態にかかる鋳造装置を示すもので、図1と同様にダイカスト鋳造装置の場合を示したものである。図1と同様の構成を有するものは同じ符号を使用して図示している。図2の鋳造装置は、溶湯充填装置24と、金型1と、溶湯検知手段としての溶湯検知センサー5’と、制御装置6と、加圧手段としての局部加圧装置23と、を有する。
【0047】
以下、図2の鋳造装置について詳細に説明する。なお、図1の鋳造装置と同様の構成及び機能を有するものは、図1と同様の符号を使用するとともに、その詳細な説明を省略する。金型1には、キャビティ4と連通する形態にて、キャビティ4に溶湯7を導くためのランナー9が形成されている。本実施形態においては、このランナー9が溶湯進入領域の概念に含まれるものである。そして、このランナー9に溶湯検知センサー5’が配置されており、溶湯検知センサー5’はランナー9に溶湯が存在すること、つまり、溶湯7がキャビティ4内に進入しようとすることを検知するものとされている。溶湯検知センサー5’により溶湯7の存在が検知される、つまり溶湯7がキャビティ4内に進入しようとすることが検知されると、溶湯検知センサー5’から溶湯検知信号が制御装置6に送信され、設定時間経過後に局部加圧装置23に加圧指令信号が送信されて、局部加圧装置23が作動することになる。この設定時間は、溶湯7がランナー9に配置されている溶湯検知センサー5’に接触してからキャビティ4内に充填されるまでの時間を考慮して、かつ引け巣の発生を抑制できるように予め決定されるものである。溶湯充填装置24、制御装置6、局部加圧装置23の基本的な構成及び機能は図1に示すものと同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
このような第二の実施形態においては、溶湯7が射出開始してからキャビティに至るまでの溶湯進入領域としてのランナー(溶湯導入路)9内において溶湯の存在を直接検知することで、溶湯7が射出開始してからランナー9のある地点に到達するまでの鋳造条件のバラツキによって、溶湯7を局部的に加圧する際の最適なタイミングにズレが生じにくくなる。さらに、ランナー9内に溶湯7が存在することを直接検知するようにしたので、溶湯7の温度を測定するような測定条件によりバラツキが生じやすい手段を採用せずに、溶湯7を局部的に加圧する最適なタイミングを決定することができる。そのため、局部加圧を最適なタイミングで安定して行うことができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、溶湯検知センサー5’は、キャビティ4とランナー9との境界(ゲート12)周辺に配置されているのが好ましい。これにより、キャビティ4に溶湯7がまさに進入しようとする直前に溶湯7の存在を検知することができる。そのため、溶湯7が射出開始されてからキャビティ4内に充填されるまでの間の、鋳造条件のバラツキにより、溶湯7を局部加圧する最適なタイミングに、さらにズレが生じにくくなる。したがって、引け巣の形成が抑制された製品をより一層安定して製造することができる。
【0050】
(第三の実施形態)
次に、本発明にかかる第三の実施形態について説明する。第三の実施形態にかかる方法は、金型に形成されたキャビティに溶湯を充填する工程と、キャビティ内に溶湯が存在することを検知して、キャビティ内に溶湯が進入したことを検知する工程と、キャビティ内に溶湯が進入したことが検知されたことに基づき、キャビティ内に充填された溶湯を局部加圧する工程とを、有する。
【0051】
図3は第三の実施形態にかかる鋳造装置を示すもので、図1と同様にダイカスト鋳造装置の場合を示したものである。図1と同様の構成を有するものは同じ符号を使用して図示している。図3の鋳造装置は、溶湯充填装置24と、金型1と、溶湯検知手段としての溶湯検知センサー5’’と、制御装置6と、加圧手段としての局部加圧装置23と、を有する。
【0052】
以下、図3の鋳造装置について詳細に説明する。なお、図1の鋳造装置と同様の構成及び機能を有するものは、図1と同様の符号を使用するとともに、その詳細な説明を省略する。本実施形態においては、溶湯検知センサー5’’は、キャビティ4内に配置されており、溶湯7がキャビティ4内に存在すること、つまり溶湯7がキャビティ4内に進入したことを検知するものである。溶湯充填装置24、制御装置6、局部加圧装置23の基本的な構成及び機能は図1に示すものと同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
このような本実施形態の鋳造装置においては、キャビティ4内に溶湯7が進入したときに溶湯7の存在を検知することができるので、溶湯7が射出されてからキャビティ4内に進入したときまでの鋳造条件のバラツキにより、溶湯7を局部的に加圧する際の最適なタイミングに各製品間でズレが生じにくくなる。そのため、キャビティ4内に充填される溶湯7を、最適なタイミングで安定して局部的に加圧することができ、ひいては、引け巣の発生が抑制された製品を安定して製造することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば、制御装置6、弁制御装置16、射出制御装置22は一体のものとして構成することが可能である。さらに、本実施形態においては、ダイカスト鋳造方法及びダイカスト鋳造装置の場合について説明したが、例えば重力鋳造方法及び重力鋳造装置等の他の鋳造方法及び鋳造装置においても、局部加圧装置23を有するものを使用する場合であれば本発明を採用することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明の鋳造方法及び鋳造装置によれば、キャビティ内に充填されている溶湯を、該溶湯が凝固する前に、引け巣の形成が抑制される最適のタイミングで安定して局部的に加圧することができる。そのため、引け巣の少ない製品を安定して製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋳造装置の第一形態を示す概略図。
【図2】本発明の鋳造装置の第二形態を示す概略図。
【図3】本発明の鋳造装置の第三形態を示す概略図。
【図4】本発明に使用される溶湯検知センサーの概略図。
【符号の説明】
1 金型
3 局部加圧ピン
4 キャビティ
5、5’、5’’ 溶湯検知センサー
6 制御装置
7 溶湯
9 ランナー(溶湯導入路)
23 局部加圧装置
24 溶湯充填装置(溶湯充填装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造方法及び鋳造装置に関し、特に鋳造品の引け巣を安定して抑制できるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にダイカスト鋳造法は、全体にわたって肉厚変動があり、局部的に厚肉部や薄肉部が形成されている製品を、安定して高精度に生産するのに適している。これは、キャビティ内に溶湯を高速度・高圧力で射出するようにしているからである。しかしながら、同一製品内で薄肉部と厚肉部が存在する場合、溶湯の凝固現象という観点からみると、体積の大きい厚肉部は体積の小さい薄肉部に対して凝固完了が遅く、特に厚肉部の中央部は最終凝固部となるため、溶湯の凝固収縮により厚肉部に空隙が形成されやすい。この空隙を一般に「引け巣」と呼んでおり、製品の漏れ不良につながる最たるものである。この引け巣はダイカスト鋳造法のみではなく、重力鋳造法等の他の鋳造方法でも発生するものであり、この引け巣対策として数多の技術が開発・適用されている。
【0003】
その中で、下記の特許文献や非特許文献に示されているような局部加圧技術は最も有効な手段の一つである。これは、溶湯の引け巣が生じやすい部分(厚肉部)に、キャビティ内に出入可能なピン(局部加圧ピンと呼ぶ)を設置しておき、射出充填後、厚肉部の中央部分が凝固収縮を起こす前に局部加圧ピンをキャビティ内に突出させることにより、ピンの押込み体積と同量の溶湯を厚肉部へ強制的に補給し、その結果として引け巣の発生を抑制する方法である。このような局部加圧技術を用いた方法においては、局部加圧ピンを作動させるのが遅くても早くても引け巣を十分に抑制することができないので、局部加圧ピンを作動させるタイミングが非常に重要となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−243714号公報
【0005】
【非特許文献1】
「1986年度日本ダイカスト会議論文集」、社団法人日本ダイカスト協会、昭和61年10月27日、p183−189
【0006】
【非特許文献2】
「日本鋳造工学会研究報告74―ダイカストの鋳造欠陥と対策―」、社団法人日本鋳造工学会、平成8年12月20日、p159−160
【0007】
【非特許文献3】
「日本鋳造工学会研究報告83―ダイカストの不良対策技術―」、社団法人日本鋳造工学会、平成12年5月19日、p102−106
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来このような局部加圧技術としては、非特許文献1や非特許文献2に示されているように、溶湯の射出開始を検知してから設定時間(予めタイマーにセットされている)が経過した後に局部加圧ピンをキャビティに突出させる方式が主流となっている。しかしながら、溶湯がキャビティに到達するまでには、ランナーと呼ばれる溶湯導入路を経由する必要があるので、射出開始からキャビティへの充填までには若干のタイムラグがあり、溶湯の射出開始を検知してからタイマーを作動させる方法では、溶湯の給湯量や射出速度、射出の高速区間等にバラツキがあると、上記タイムラグ間にこのバラツキが増幅されて、局部加圧ピンを作動させる最適なタイミングにズレが生じてしまう。
【0009】
また、特許文献1に示されているように、キャビティに充填された溶湯の温度を検出し、この温度に基づいて温度勾配を求めて、この温度勾配に基づいて局部加圧ピンを作動させる最適なタイミングを決定する方法も開示されている。しかしながら、溶湯の温度を検出するにしても、キャビティ内の溶湯の温度を精度良く測定するのは困難であって、得られる測定温度の誤差も大きくなってしまう。この方法では、得られる測定温度をもとに溶湯を局部的に加圧するタイミングを決定しているので、測定温度の誤差が大きいと、溶湯を局部的に加圧する際の最適なタイミングにもズレが生じてしまう。
【0010】
このように、溶湯を局部的に加圧する際の最適なタイミングにズレが生じると、各製品毎に常時最適なタイミングで溶湯を局部的に加圧することが困難となり、ひいては引け巣の形成が抑制された製品を安定して製造することができないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであり、キャビティに充填された溶湯を局部的に加圧して、製品の引け巣を抑制する鋳造方法及び鋳造装置において、溶湯を局部的に加圧する際に、最適なタイミングで安定して行うことができ、ひいては引け巣の形成が抑制された製品を安定して製造できる鋳造方法及び鋳造装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(方法)
上記課題を解決するために、本発明の鋳造方法は、金型に形成されたキャビティに溶湯を充填し、該溶湯が凝固する前に、キャビティ内に充填された溶湯を加圧手段により局部的に加圧する鋳造方法において、キャビティ内、あるいは溶湯がキャビティ内に充填される際に該溶湯が進入する溶湯進入領域内に、溶湯が存在するか否かを溶湯検知手段により直接検知し、該溶湯検知手段の検知結果に基づいて、加圧手段を作動させ、キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧することを特徴とする。
【0013】
上記のような方法においては、溶湯が少なくともキャビティ内あるいは溶湯進入領域内に到達した時点で、その溶湯が該溶湯進入領域に存在することを溶湯検知手段により検知するようにしている。さらに、その溶湯検知手段の検知結果に基づいて、加圧手段を作動させて、キャビティに充填されている溶湯を局部的に加圧(局部加圧)するようにしている。そのため、溶湯を局部的に加圧するタイミングは、溶湯が充填開始した時点ではなく、溶湯検知手段により溶湯の存在が検知された時点で決定されるため、溶湯が充填開始してから溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に溶湯が到達するまでの間に、溶湯の給湯量や射出速度等の鋳造条件にバラツキがあっても、このバラツキにより溶湯を局部的に加圧するタイミングが影響されることはない。さらに、溶湯がキャビティ内あるいは溶湯進入領域内に存在するか否かを、溶湯検知手段により直接検知しているので、充填される溶湯の温度を測定するなど、測定結果(測定温度)にバラツキが生じやすい手段を採用せずに、溶湯を局部的に加圧する際の最適なタイミングを決定することができる。したがって、溶湯を局部的に加圧する際の最適なタイミングに各製品間でズレが生じにくく、最適なタイミングでの溶湯への局部的な加圧を、各製品間で安定して行うことができ、ひいては、引け巣が抑制された製品を安定して製造することが可能となるのである。
【0014】
また、本発明の鋳造方法においては、加圧手段は、局部加圧ピンを有するとともに、溶湯検知手段の検知結果に基づいて、局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込み、キャビティ内に充填されている溶湯を局部的に加圧するものとすることができる。局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込むことにより、この局部加圧ピンの押し込められる体積と同体積の溶湯が塑性流動し、キャビティ内の溶湯に局部的な圧力が加わることになる。
【0015】
さらに、溶湯検知手段は、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に配置され、溶湯が接触したときに、溶湯の存在を検知する溶湯検知センサーであるとすることができる。このような溶湯検知センサーによれば、溶湯が接触したときに、該溶湯が存在することが検知されるので、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に溶湯が存在することを直接検知することができる。
【0016】
また、本発明の鋳造方法においては、溶湯検知手段により溶湯の存在が検知されたときにタイマーを作動させ、設定時間経過後に加圧手段を作動させて、キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧するのがよい。このような方法によれば、製品に形成される引け巣が十分に抑制されるような、予め最適な設定時間(溶湯が検知されてから加圧手段が作動するまでの時間)を決定しておけば、あとはこの設定時間をタイマーに設定するだけで、常時最適なタイミングで安定した局部的な加圧を溶湯に対して行うことができる。
【0017】
特に、本発明の鋳造方法は、金型に形成されたキャビティに溶湯を充填し、該溶湯が凝固する前に、キャビティ内の溶湯に対して局部加圧ピンを押し込み、該キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧する鋳造方法において、キャビティ内あるいは溶湯がキャビティ内に充填される際に該溶湯が進入する溶湯進入領域内に、溶湯が接触したときに該溶湯の存在を検知する溶湯検知センサーを配置しておき、該溶湯検知センサーに溶湯が接触したときにタイマーを作動させ、設定時間経過後に、局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込み、該溶湯を局部的に加圧することを特徴とする。
【0018】
(装置)
また、上記本発明の課題を解決するために、本発明の鋳造装置は、キャビティに溶湯を充填するための溶湯充填装置と、キャビティに溶湯を充填する際に該溶湯が進入する溶湯進入領域がキャビティとともに形成されている金型と、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に溶湯が存在するか否かを直接検知する溶湯検知手段と、溶湯検知手段が溶湯の存在を検知したときに、該溶湯検知手段から発信される溶湯検知信号に基づいて、キャビティに充填された溶湯を該溶湯が凝固する前に局部的に加圧する加圧手段と、を有することを特徴とする。
【0019】
このような鋳造装置によれば、溶湯検知手段により溶湯が溶湯進入領域に存在することが直接検知され、溶湯検知手段から発信される溶湯検知信号に基づいて、加圧手段がキャビティに充填された溶湯を局部的に加圧するので、溶湯が充填開始されてから少なくとも溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に到達するまでの間に鋳造条件のバラつきがあっても、溶湯を加圧する最適なタイミングに、各製品間でズレが生じにくくなる。さらに、溶湯検知手段は、溶湯進入領域に溶湯が存在することを直接検知するものであるので、例えば温度センサーで温度を測定する場合のように、測定結果(測定温度)等にバラツキが生じやすい手段を採用しなくてもよい。したがって、最適なタイミングで安定して溶湯を局部的に加圧することができ、ひいては、引け巣が十分に抑制された製品を安定して製造することができる。
【0020】
なお、本発明の鋳造装置においては、加圧手段は、局部加圧ピンを有するとともに、溶湯検知信号に基づいて、局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込み、キャビティ内に充填されている溶湯を局部的に加圧するものとすることができる。このような加圧手段によれば、局部加圧ピンの溶湯進入領域に押し込まれる体積と、同体積の溶湯が塑性流動し、キャビティ内に充填されている溶湯に局部的な圧力が加わることになる。
【0021】
さらに、溶湯検知手段は、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に配置され、溶湯が接触したときに、溶湯の存在を検知する溶湯検知センサーとするのがよい。このような溶湯検知センサーにより溶湯進入領域に溶湯が存在することを直接検知することができる。
【0022】
また、本発明の鋳造装置においては、溶湯検知手段から発信される溶湯検知信号を受信し、該溶湯検知信号を受信したときから設定時間経過後に、キャビティ内に充填されている溶湯への局部加圧を指令する加圧指令信号を、加圧手段に送信する制御装置を有してもよい。このような鋳造装置によれば、予め最適な設定時間を決定しておき、この設定時間を制御装置に予め設定しておけば、溶湯への局部的な加圧を最適なタイミングで常に安定して行うことができる。
【0023】
また本発明の鋳造装置は、特に、キャビティに溶湯を充填するための溶湯充填装置と、キャビティに溶湯を充填する際に該溶湯が進入する溶湯進入領域がキャビティとともに形成されている金型と、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に配置され、溶湯が接触したときに、キャビティ内あるいは溶湯進入領域内に溶湯が存在することを直接検知する溶湯検知センサーと、溶湯を検知したときに溶湯検知センサーから発信される溶湯検知信号を受信し、該溶湯検知信号を受信したときから設定時間経過後に、キャビティに充填された溶湯への局部加圧を指令する加圧指令信号を送信する制御装置と、局部加圧ピンを有するとともに、加圧指令信号を受信し、該加圧指令信号を受信したときに、局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込み、キャビティ内に充填されている溶湯を局部的に加圧する加圧手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
上記のような鋳造装置においては、溶湯充填装置によりキャビティに充填される溶湯が、少なくとも溶湯進入領域あるいはキャビティ内に到達したときに、溶湯検知センサーによりその存在が検知される。そして、該溶湯が溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に到達したことを検知したうえで、その検知結果に基づいて、キャビティに充填されている溶湯を局部的に加圧するようにしている。そのため、キャビティに充填されている溶湯を局部的に加圧するタイミングは、溶湯が溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に到達した時点で決定されるので、溶湯の給湯量や給湯速度等の鋳造条件により、加圧する最適なタイミングにズレが生じにくくなり、最適なタイミングにて安定して溶湯を局部的に加圧することが可能となる。さらに、溶湯検知センサーは、キャビティ内に充填されている溶湯の温度を測定するような例えば温度センサーのように、測定結果(測定温度)にバラツキが生じるものではなく、溶湯進入領域内あるいはキャビティ内に溶湯が存在するか存在しないかを直接検知するものであるので、溶湯を局部的に加圧する最適なタイミングにより一層ズレが生じにくくなる。そのため、最適なタイミングにてより一層安定して溶湯を局部的に加圧することができ、ひいては、引け巣の形成が抑制された製品をより安定して製造することが可能となるのである。
【0025】
なお、本発明の鋳造方法及び鋳造装置において溶湯進入領域とは、溶湯がキャビティに充填される前後あるいはキャビティに充填される途中に、該溶湯が進入する領域とすることができる。例えば、溶湯をキャビティに導くためのランナーや、加圧手段の例えば局部加圧ピン等がキャビティに対して出入するための中空部や、キャビティ内のガスを吸引するために、該キャビティと真空装置とを連通させる真空ランナー等を、溶湯進入領域として例示することができる。
【0026】
さらに本明細書中において、「溶湯検知手段の検知結果に基づいて」あるいは「溶湯検知信号に基づいて」とは、前述したように、溶湯検知手段が溶湯の存在を検知してから、あるいは溶湯検知信号が発信されてから、設定時間経過後に加圧手段を作動させるような形態を当然含むものであるが、溶湯検知手段により溶湯進入領域内に溶湯が存在することが検知された直後に、加圧手段を作動させるような形態をもその概念として含むものである。
【0027】
さらに本明細書中において、「局部加圧ピンをキャビティ内の溶湯に対して押し込む」とは、必ずしもキャビティ内に局部加圧ピンを突出させることのみを指すのではない。つまり、キャビティ内の溶湯が結果として塑性流動するように、キャビティに連通する溶湯進入領域内に局部加圧ピンを突出させ、この溶湯進入領域内に存在する溶湯を介してキャビティ内の溶湯に局部的な圧力を加えるような形態をもその概念として含むものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本実施形態の鋳造方法及び鋳造装置について添付の図面を使用して説明する。
【0029】
(第一の実施形態)
本発明の鋳造方法にかかる第一の実施形態は、金型に形成されたキャビティに溶湯を充填する工程と、キャビティ内に溶湯が充填あるいは略充填されたことを直接検知する工程と、溶湯がキャビティ内に充填あるいは略充填されたことに基づいて、キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧する工程とを、有する。
【0030】
また、図1は第一の実施形態にかかる鋳造装置を示すもので、特にダイカスト鋳造装置の場合を示したものである。図1の鋳造装置は、溶湯充填装置24と、金型1と、溶湯検知手段としての溶湯検知センサー5と、制御装置6と、加圧手段としての局部加圧装置23とを有する。
【0031】
以下、図1を用いて本実施形態について詳細に説明する。溶湯充填装置24は、金型1に形成されているキャビティ4に溶湯7を充填するもので、射出シリンダ10とプランジャー8とを有しており、金型1に取りつけられている射出スリーブ11内に注入された溶湯7をプランジャー8によりキャビティ4内に射出するようになっている。また、プランジャー8は、射出シリンダ10の圧力室10aにかかる油圧により、前進(図1では右側に移動)・後退(図1では左側に移動)することができるようになっており、圧力室10aにかかる油圧を調整することにより、溶湯7の射出速度を制御できるようになっている。なお、射出シリンダ10には圧力室10aにかかる油圧を調整するための調整弁20が取りつけられており、射出制御装置22により当該調整弁20が制御される。
【0032】
また金型1には、キャビティ4と該キャビティ4に溶湯7を導入するランナー9が形成されており、溶湯7が注入される射出スリーブ11が取り付けられている。さらに、金型1には、キャビティ4の後端側(ランナー9とは反対側)に連通する形で後端側ランナー13が形成されている。この後端側ランナー13は、キャビティ4に溶湯7を充填する際に溶湯7が進入するもので、本実施形態において溶湯進入領域とすることができる。この後端側ランナー13(溶湯進入領域)に溶湯7が進入した(存在する)時点で、キャビティ4は溶湯7により充填あるいは略充填されているといえる。そして、この後端側ランナー13内には、溶湯検知センサー5が配置されており、この溶湯検知センサー5により、後端側ランナー13に溶湯7が進入した(存在する)こと、つまり、キャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填したことが検知される。
【0033】
また、制御装置6は、局部加圧装置23と溶湯検知センサー5とに電気的に接続されており、溶湯検知センサー5からの溶湯検知信号を受信して、予め設定されている設定時間経過後に、加圧指令信号を局部加圧装置23に送信するものである。また、局部加圧装置23は、キャビティ4内に出入可能な形態で配置される局部加圧ピン3と、この局部加圧ピン3をキャビティ4に対して出入させるための加圧シリンダ2とを有する。なお、本実施形態においては、局部加圧ピン3はキャビティ内に突出する形態としているが、局部加圧ピンの形態はこのようなものに限定されるものではなく、その先端がキャビティ内に到達することなく、キャビティ内の溶湯を局部的に加圧するようなものでもよい。
【0034】
以下、上記鋳造装置の作用を示しつつ本実施形態にかかる鋳造方法について詳しく説明する。まず、溶湯充填装置24により溶湯7を射出スリーブ11内に注入した後、射出シリンダ10の圧力室10aにかかる油圧を増加させて、プランジャー8を射出スリーブ11内に押し出す。これにより溶湯7は、金型1に形成されたランナー9を通ってキャビティ4内に進入する。ここで、ランナー9の径はキャビティ4の径と比較してかなり狭く形成されている。これは、溶湯7がゲート12(ランナー9とキャビティ4との境界)から勢い良くキャビティ4内に射出されるようにするためである。キャビティ4内に溶湯7が進入した後も、さらに溶湯7を射出することで、キャビティ4内に溶湯7が充填される。そして、キャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填され、さらに後端側ランナー13に溶湯7が進入すると、後端側ランナー13に配置されている溶湯検知センサー5により溶湯7の存在が検知される。
【0035】
溶湯検知センサー5により溶湯7が検知されると、該溶湯検知センサー5から溶湯検知信号が制御装置6に送信され、制御装置6に内蔵されているタイマーが作動する。このタイマーには予め決定されている設定時間が設定されており、溶湯検知信号を受信後、上記の設定時間経過後に、制御装置6から局部加圧装置23に加圧指令信号が送信される。なお、予め設定される設定時間は、溶湯の種類や量、あるいは溶湯の射出速度等の諸条件により異なる値が適宜設定されるものであり、引け巣の発生が抑制されるように上記条件に応じて最適な値が選択される。この加圧指令信号を受けて局部加圧装置23の加圧シリンダ2が作動し、局部加圧ピン3をキャビティ4内に突出させて溶湯7を加圧するようになっている。これにより、キャビティ4内に充填されている溶湯7が塑性流動し、特にキャビティ4内の厚肉部(最も引け巣の発生しやすい箇所である)に移動して、引け巣の発生を抑制することが可能となる。
【0036】
なお、局部加圧ピン3は、特にキャビティ4の厚肉部に突出する形態で配置しておくのがよい。局部加圧ピン3により押された溶湯7は、その周辺に優先して塑性流動するので、引け巣の発生しやすい領域に局部加圧ピン3を配置すれば、引け巣の発生しやすい領域に優先して溶湯7が塑性流動し、より効率良く引け巣の発生を抑制することができるからである。
【0037】
また上記においては、溶湯検知信号が制御装置6に送信されてから、設定時間経過後に、加圧指令信号を局部加圧装置23に送信するようにしているが、本実施形態においては、制御装置6を省くことも可能である。つまり、溶湯検知センサー5と局部加圧装置23とを、制御装置6を介さずに電気的に接続し、溶湯検知信号を溶湯検知センサー5から局部加圧装置23に直接送信させ、局部加圧装置23を作動させることもできる。このような形態においては、溶湯検知センサー5が溶湯7を検知した直後に局部加圧装置23が作動して、キャビティ4内の溶湯7が局部的に加圧されることになるが、本実施形態においては、キャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填されてから、溶湯検知センサー5が溶湯7を検知するようになっているので、溶湯7に形成される引け巣を抑制することが可能となるのである。なお、このような形態を採用する場合には、引け巣の形成を十分に抑制するために、後端側ランナー13に配置される溶湯検知センサー5の位置を微調整して、溶湯検知センサー5が溶湯7を検知した直後に、キャビティ4内に充填される溶湯7を局部的に加圧する最適なタイミングとなるようにする必要がある。
【0038】
以下、本実施形態の鋳造装置に使用される溶湯検知センサー5について簡単に説明する。図4は、溶湯検知センサー5の詳細を示す図である。図4のとおり、溶湯検知センサー5は、ケース(金属)53/絶縁体51/芯(金属)52の三重構造となっており、通常の状態ではケース53と芯52とが絶縁された状態となっている。さらに具体的に説明すると、筒状のケース53の中空内部に、ケース53の内周面に接触しない形態で棒状の芯52が挿入されており、これらの一端側(先端側)において、ケース53内部に絶縁体51が充填され、棒状の芯52が位置決めされている。そして、溶湯検知センサー5の先端面においては、筒状のケース53内部に絶縁体とともに棒状の芯52の一端が露出する形態となっている。このような溶湯検知センサー5に、この先端面を覆う形態で溶湯7が接触すると、ケース53と芯52とが短絡し、溶湯7を介して電流が導通し溶湯7の存在が検知されることになる。なお、後述する溶湯検知センサー5’や溶湯検知センサー5’’も同様の構成を有する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、キャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填したときに、溶湯7の存在を検知することができるので、溶湯7が射出開始されてからランナー9を通過し、キャビティ4内に充填あるいは略充填されるまでの鋳造条件のバラツキにより、溶湯7を局部的に加圧する際の最適なタイミングにズレが生じにくくなる。さらに、キャビティ4内に溶湯が充填あるいは略充填したことを直接検知するようにしたので、溶湯7の温度を測定するような測定条件によりバラツキが生じやすい手段を採用せずに、溶湯7を局部的に加圧する最適なタイミングを決定することができる。そのため、溶湯の局部加圧を最適なタイミングで安定して行うことができ、ひいては、引け巣の形成が抑制された製品を安定して製造することができる。
【0040】
さらに、本実施形態の鋳造装置においては、後端側ランナー13は、真空ランナーとして用いることができる。この真空ランナー13(後端側ランナー13)の一端には、真空装置15が取りつけられており、当該真空装置15により後端側ランナー13を介してキャビティ4内のガスを吸引することで、製品への巻き込み巣の形成を抑制することができる。この真空装置15は、プランジャー8に取り付けられている位置センサー21により、溶湯7の射出開始が検知されたときに、該位置センサー21からのガス抜き開始信号に基づいて、キャビティ4内のガス吸引を行うものである。そして、真空ランナー13には遮断弁14が取り付けられており、真空ランナー13に溶湯7が侵入する前に、弁制御装置16により油圧バルブ17を作動し、遮断弁14と連結されたピストン18を後退(図1においては、右方向に移動)させ、遮断弁14を閉弁位置に移動させるようになっている。これにより、真空装置15によるキャビティ4内の吸引が終了するとともに、真空装置15やシリンダ19に溶湯7が侵入するのを防止することができ、真空装置15や他の機器の故障を防止することができる。
【0041】
さらに本実施形態の鋳造装置においては、真空ランナー13(後端側ランナー13)に配置されている溶湯検知センサー5と、弁制御装置16とが電気的に接続されており、溶湯検知センサー5によりキャビティ4内に溶湯7が充填あるいは略充填されたことが検知されると、弁制御装置16が作動して、遮断弁14が閉弁位置に移動するようになっている。具体的には、溶湯検知センサー5からの溶湯検知信号が弁制御装置16に送信され、弁制御装置16から油圧バルブ17に、遮断弁14の移動を指令する遮断指令信号が送信されることで、上記形態が実現される。
【0042】
このように溶湯検知センサー5にて溶湯7がキャビティ4内に充填されたことを検知してから弁制御装置16を作動させることにより、真空装置15等への溶湯7の侵入を安定して防止することができる。また本実施形態においては、真空装置15等の故障を防止するための溶湯検知センサーと、局部加圧装置23を作動させるための溶湯検知信号を送信する溶湯検知センサーとは同一のものを使用できるので、複数の溶湯検知センサーを用意する必要がなく、装置を簡便に構成することができる。
【0043】
さらに本実施の形態においては、真空ランナー13(後端側ランナー13)に配置されている溶湯検知センサー5と、溶湯7の射出速度を制御する射出制御装置22とが電気的に接続されており、溶湯検知センサー5によりキャビティ4内に溶湯7が充填されたことが検知されると、射出制御装置22が作動して溶湯7の射出速度が減少するようになっている。具体的には、溶湯検知センサー5からの溶湯検知信号が射出制御装置22に送信され、射出制御装置22から調整弁20に、圧力室10aにかかる油圧を減少させる旨の減圧指令信号が送信されることで、調整弁20の開度が小さくなり、射出シリンダ10からドレンに排出される油の流れが絞られて、プランジャー8の射出速度が減少する。
【0044】
このように、キャビティ4内に溶湯7が充填されたことを検知して、これに基づいてプランジャー8の射出速度を減少させることにより、溶湯7のキャビティ4への充填と同時に、真空ランナー9への溶湯7の進入速度を減少させることが可能となる。そのため、溶湯7がキャビティ4に充填してから真空ランナー9を通って遮断弁14に到達するまでに、時間的な余裕が生じ、溶湯7が遮断弁14や真空装置15に到達する前に、より確実に遮断弁14を閉弁位置に移動させることが可能となる。
【0045】
(第二の実施形態)
以下、本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の鋳造方法にかかる第二の実施形態は、金型に形成されたキャビティに、該キャビティと連通して金型に形成された溶湯導入路(図1に示したランナー9と対応する)を介して溶湯を充填する工程と、溶湯導入路内に溶湯が存在することを検知して、キャビティ内に溶湯が進入しようとすることを直接検知する工程と、キャビティ内に溶湯が進入することが検知されたことに基づき、キャビティ内に充填された溶湯を局部加圧する工程とを、有する。
【0046】
また、図2は第二の実施形態にかかる鋳造装置を示すもので、図1と同様にダイカスト鋳造装置の場合を示したものである。図1と同様の構成を有するものは同じ符号を使用して図示している。図2の鋳造装置は、溶湯充填装置24と、金型1と、溶湯検知手段としての溶湯検知センサー5’と、制御装置6と、加圧手段としての局部加圧装置23と、を有する。
【0047】
以下、図2の鋳造装置について詳細に説明する。なお、図1の鋳造装置と同様の構成及び機能を有するものは、図1と同様の符号を使用するとともに、その詳細な説明を省略する。金型1には、キャビティ4と連通する形態にて、キャビティ4に溶湯7を導くためのランナー9が形成されている。本実施形態においては、このランナー9が溶湯進入領域の概念に含まれるものである。そして、このランナー9に溶湯検知センサー5’が配置されており、溶湯検知センサー5’はランナー9に溶湯が存在すること、つまり、溶湯7がキャビティ4内に進入しようとすることを検知するものとされている。溶湯検知センサー5’により溶湯7の存在が検知される、つまり溶湯7がキャビティ4内に進入しようとすることが検知されると、溶湯検知センサー5’から溶湯検知信号が制御装置6に送信され、設定時間経過後に局部加圧装置23に加圧指令信号が送信されて、局部加圧装置23が作動することになる。この設定時間は、溶湯7がランナー9に配置されている溶湯検知センサー5’に接触してからキャビティ4内に充填されるまでの時間を考慮して、かつ引け巣の発生を抑制できるように予め決定されるものである。溶湯充填装置24、制御装置6、局部加圧装置23の基本的な構成及び機能は図1に示すものと同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
このような第二の実施形態においては、溶湯7が射出開始してからキャビティに至るまでの溶湯進入領域としてのランナー(溶湯導入路)9内において溶湯の存在を直接検知することで、溶湯7が射出開始してからランナー9のある地点に到達するまでの鋳造条件のバラツキによって、溶湯7を局部的に加圧する際の最適なタイミングにズレが生じにくくなる。さらに、ランナー9内に溶湯7が存在することを直接検知するようにしたので、溶湯7の温度を測定するような測定条件によりバラツキが生じやすい手段を採用せずに、溶湯7を局部的に加圧する最適なタイミングを決定することができる。そのため、局部加圧を最適なタイミングで安定して行うことができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、溶湯検知センサー5’は、キャビティ4とランナー9との境界(ゲート12)周辺に配置されているのが好ましい。これにより、キャビティ4に溶湯7がまさに進入しようとする直前に溶湯7の存在を検知することができる。そのため、溶湯7が射出開始されてからキャビティ4内に充填されるまでの間の、鋳造条件のバラツキにより、溶湯7を局部加圧する最適なタイミングに、さらにズレが生じにくくなる。したがって、引け巣の形成が抑制された製品をより一層安定して製造することができる。
【0050】
(第三の実施形態)
次に、本発明にかかる第三の実施形態について説明する。第三の実施形態にかかる方法は、金型に形成されたキャビティに溶湯を充填する工程と、キャビティ内に溶湯が存在することを検知して、キャビティ内に溶湯が進入したことを検知する工程と、キャビティ内に溶湯が進入したことが検知されたことに基づき、キャビティ内に充填された溶湯を局部加圧する工程とを、有する。
【0051】
図3は第三の実施形態にかかる鋳造装置を示すもので、図1と同様にダイカスト鋳造装置の場合を示したものである。図1と同様の構成を有するものは同じ符号を使用して図示している。図3の鋳造装置は、溶湯充填装置24と、金型1と、溶湯検知手段としての溶湯検知センサー5’’と、制御装置6と、加圧手段としての局部加圧装置23と、を有する。
【0052】
以下、図3の鋳造装置について詳細に説明する。なお、図1の鋳造装置と同様の構成及び機能を有するものは、図1と同様の符号を使用するとともに、その詳細な説明を省略する。本実施形態においては、溶湯検知センサー5’’は、キャビティ4内に配置されており、溶湯7がキャビティ4内に存在すること、つまり溶湯7がキャビティ4内に進入したことを検知するものである。溶湯充填装置24、制御装置6、局部加圧装置23の基本的な構成及び機能は図1に示すものと同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
このような本実施形態の鋳造装置においては、キャビティ4内に溶湯7が進入したときに溶湯7の存在を検知することができるので、溶湯7が射出されてからキャビティ4内に進入したときまでの鋳造条件のバラツキにより、溶湯7を局部的に加圧する際の最適なタイミングに各製品間でズレが生じにくくなる。そのため、キャビティ4内に充填される溶湯7を、最適なタイミングで安定して局部的に加圧することができ、ひいては、引け巣の発生が抑制された製品を安定して製造することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば、制御装置6、弁制御装置16、射出制御装置22は一体のものとして構成することが可能である。さらに、本実施形態においては、ダイカスト鋳造方法及びダイカスト鋳造装置の場合について説明したが、例えば重力鋳造方法及び重力鋳造装置等の他の鋳造方法及び鋳造装置においても、局部加圧装置23を有するものを使用する場合であれば本発明を採用することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明の鋳造方法及び鋳造装置によれば、キャビティ内に充填されている溶湯を、該溶湯が凝固する前に、引け巣の形成が抑制される最適のタイミングで安定して局部的に加圧することができる。そのため、引け巣の少ない製品を安定して製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋳造装置の第一形態を示す概略図。
【図2】本発明の鋳造装置の第二形態を示す概略図。
【図3】本発明の鋳造装置の第三形態を示す概略図。
【図4】本発明に使用される溶湯検知センサーの概略図。
【符号の説明】
1 金型
3 局部加圧ピン
4 キャビティ
5、5’、5’’ 溶湯検知センサー
6 制御装置
7 溶湯
9 ランナー(溶湯導入路)
23 局部加圧装置
24 溶湯充填装置(溶湯充填装置)
Claims (10)
- 金型に形成されたキャビティに溶湯を充填し、該溶湯が凝固する前に、前記キャビティ内に充填された溶湯を加圧手段により局部的に加圧する鋳造方法において、
前記キャビティ内、あるいは溶湯が前記キャビティ内に充填される際に該溶湯が進入する溶湯進入領域内に、溶湯が存在するか否かを溶湯検知手段により直接検知し、該溶湯検知手段の検知結果に基づいて、前記加圧手段を作動させ、前記キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧することを特徴とする鋳造方法。 - 前記加圧手段は、局部加圧ピンを有するとともに、前記溶湯検知手段の検知結果に基づいて、前記局部加圧ピンを前記キャビティ内の溶湯に対して押し込み、前記キャビティ内に充填されている溶湯を局部的に加圧するものであることを特徴とする請求項1に記載の鋳造方法。
- 前記溶湯検知手段は、前記キャビティ内あるいは前記溶湯進入領域内に配置され、溶湯が接触したときに、溶湯の存在を検知する溶湯検知センサーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造方法。
- 前記溶湯検知手段により溶湯の存在が検知されたときにタイマーを作動させ、設定時間経過後に前記加圧手段を作動させて、前記キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の鋳造方法。
- 金型に形成されたキャビティに溶湯を充填し、該溶湯が凝固する前に、前記キャビティ内の溶湯に対して局部加圧ピンを押し込み、該キャビティ内に充填された溶湯を局部的に加圧する鋳造方法において、
前記キャビティ内あるいは溶湯が前記キャビティ内に充填される際に該溶湯が進入する溶湯進入領域内に、溶湯が接触したときに該溶湯の存在を検知する溶湯検知センサーを配置しておき、該溶湯検知センサーに溶湯が接触したときにタイマーを作動させ、設定時間経過後に、前記局部加圧ピンを前記キャビティ内の溶湯に対して押し込み、該溶湯を局部的に加圧することを特徴とする鋳造方法。 - キャビティに溶湯を充填するための溶湯充填装置と、
前記キャビティに溶湯を充填する際に該溶湯が進入する溶湯進入領域が前記キャビティとともに形成されている金型と、
前記キャビティ内あるいは前記溶湯進入領域内に溶湯が存在するか否かを直接検知する溶湯検知手段と、
前記溶湯検知手段が溶湯の存在を検知したときに、該溶湯検知手段から発信される溶湯検知信号に基づいて、前記キャビティに充填された溶湯を該溶湯が凝固する前に局部的に加圧する加圧手段と、を有することを特徴とする鋳造装置。 - 前記加圧手段は、局部加圧ピンを有するとともに、前記溶湯検知信号に基づいて、前記局部加圧ピンを前記キャビティ内の溶湯に対して押し込み、前記キャビティ内に充填されている溶湯を局部的に加圧するものであることを特徴とする請求項6に記載の鋳造方法。
- 前記溶湯検知手段は、前記キャビティ内あるいは前記溶湯進入領域内に配置され、溶湯が接触したときに、溶湯の存在を検知する溶湯検知センサーであることを特徴とする請求項6又は7に記載の鋳造方法。
- 前記溶湯検知手段から発信される溶湯検知信号を受信し、該溶湯検知信号を受信したときから設定時間経過後に、前記キャビティ内に充填されている溶湯への局部加圧を指令する加圧指令信号を、前記加圧手段に送信する制御装置を有することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の鋳造装置。
- キャビティに溶湯を充填するための溶湯充填装置と、
前記キャビティに溶湯を充填する際に該溶湯が進入する溶湯進入領域が前記キャビティとともに形成されている金型と、
前記キャビティ内あるいは前記溶湯進入領域内に配置され、溶湯が接触したときに、前記キャビティ内あるいは前記溶湯進入領域内に溶湯が存在することを直接検知する溶湯検知センサーと、
溶湯を検知したときに前記溶湯検知センサーから発信される溶湯検知信号を受信し、該溶湯検知信号を受信したときから設定時間経過後に、前記キャビティに充填された溶湯への局部加圧を指令する加圧指令信号を送信する制御装置と、
局部加圧ピンを有するとともに、前記加圧指令信号を受信し、該加圧指令信号を受信したときに、前記局部加圧ピンを前記キャビティ内の溶湯に対して押し込み、前記キャビティ内に充填されている溶湯を局部的に加圧する加圧手段と、を有することを特徴とする鋳造装置。
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JP2002372410A JP2004202520A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 鋳造方法及び鋳造装置 |
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JP (1) | JP2004202520A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011056537A (ja) * | 2009-09-09 | 2011-03-24 | Ryobi Ltd | 溶湯感知センサ |
JP2013193100A (ja) * | 2012-03-19 | 2013-09-30 | Ryobi Ltd | 傾動式重力鋳造装置及び傾動式重力鋳造法 |
CN104858388A (zh) * | 2015-05-21 | 2015-08-26 | 上海东岩机械股份有限公司 | 用于模具的局部挤压成型装置及其挤压成型工艺 |
CN106041021A (zh) * | 2016-07-11 | 2016-10-26 | 肇庆高新区鸿胜模具制造有限公司 | 一种高气密性压铸模具的局部加压结构 |
CN106424643A (zh) * | 2016-10-12 | 2017-02-22 | 程志强 | 一种压铸模以及压铸方法 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372410A patent/JP2004202520A/ja active Pending
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