JP2004198474A - 感光体特性評価装置 - Google Patents

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Kazuhiko Takada
和彦 高田
Satoshi Furushima
聡 古島
Hironori Owaki
弘憲 大脇
Toshiyuki Ebara
俊幸 江原
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Abstract

【課題】電子写真プロセスに関わる膜質特性を正確に評価することのできる感光体特性評価装置を提供する。
【解決手段】円筒状の感光体101の表面電位を測定するための表面電位測定プローブ104と、この表面電位測定プローブ104の測定位置と同じ位置を測定するように設けられた、感光体101の膜厚を測定するための膜厚測定プローブ112と、表面電位測定プローブ104および膜厚測定プローブ112による各測定を制御するとともに、該各測定の結果から感光体101の膜質特性を計算する制御手段とを有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子写真感光体の特性を評価する装置に関し、より詳しくは、アモルファスシリコン系感光体(以下、「a−Si感光体」と略す。)の特性を評価する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光体は、複写機、レーザープリンターなどの電子写真プロセスを応用した装置において、最も重要な構成要素の一つであり、電子写真装置の性能を引き出すために様々な特性を満足する必要がある。このため、通常は、製品出荷前に、感光体の電子写真プロセスに関わる様々な特性の検査(良否判定)が行われる。また、電子写真装置の開発過程において、新規の感光体を開発する場合には、複数の感光体を試作し、各感光体に対し電子写真プロセスに関わる様々な特性についての評価が行われる。
【0003】
感光体の諸特性を評価する場合、既存の複写機、または既存の複写機を感光体評価用に改造した装置を用いることが多い。また、感光体の諸特性を評価する専用の評価装置を用いることもある。専用の評価装置としては、回転する円筒状の感光体(感光ドラムともいう)の周囲に、帯電器、露光装置、電位測定センサーなどの測定に必要な装置を配置したものが知られている(特許文献1〜3参照)。さらには、帯電器、露光装置、電位センサーなどの装置を取り付けたユニットを感光体の軸方向に移動させて、感光体の軸方向の特性ムラを測定する技術もある(特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特公昭64−11946号公報
【特許文献2】
特開平4−26582号公報
【特許文献3】
特開平4−40463号公報
【特許文献4】
特開平6−27082号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子写真技術の発展は目覚ましく、より性能の高い電子写真装置を短期間に開発する必要が生じてきた。こうした状況下において感光体の開発および評価を行う場合、これまで行われてきたような、電位測定による、帯電特性、感光特性、分光特性、暗減衰特性光メモリー特性などの評価だけでは不十分となってきた。
【0006】
また、最近では、膜厚測定による感光体の膜厚評価と上記の電位測定による感光体の特性評価とを組み合せて膜質を評価する、といったことも行われているが、この場合の電位測定と膜厚測定は別々の装置で行われており、しかも、感光体上でのそれら測定位置は一致していなかったため、膜質特性を正確に評価することはできなかった。
【0007】
今後の高性能化を目的とする電子写真装置の感光体の開発および評価において、感光体の膜質特性の正確な評価は必須であり、それを実現するための手法を確立することが重要な課題の1つになっていた。
【0008】
また、膜質特性の正確な評価手法の確立は、今後のa−Si感光体の開発および評価においても大きく貢献することが予想される。この点について、以下に簡単に説明する。
【0009】
a−Si感光体は、電子写真感光体として広く使用されているOPCなどの有機系感光体と比べると、感光体の静電容量が大きく、帯電性が低いという問題や、画像濃度むらが大きいという問題があるため、これまでa−Si感光体の開発は積極的に行われていなかった。しかし、a−Si感光体は、耐久性に優れており、しかも特性が安定しているため、今後の高性能化への要求を考えると、a−Si感光体の開発要求が高まることが予想される。そのようなa−Si感光体の開発には、上述した膜質特性の正確な評価が必須である。このようなことからも、膜質特性の正確な評価手法の確立は重要である。
【0010】
本発明の目的は、上記問題を解決し、膜質特性を正確に評価することのできる装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の感光体特性評価装置は、円筒状の感光体の表面電位を測定する表面電位測定手段と、前記表面電位測定手段の測定位置と同じ位置を測定するように設けられた、前記感光体の膜厚を測定する膜厚測定手段と、前記表面電位測定手段および膜厚測定手段による各測定を制御するとともに、該各測定の結果から前記感光体の膜質特性を計算する制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
上記のとおりの本発明においては、表面電位測定手段と膜厚測定手段は感光体の同じ位置を測定するようになっており、制御手段により、それぞれの測定結果から膜質特性が自動的に計算される。この構成によれば、表面電位測定と膜厚測定が別々の装置で行われていた従来の評価手法に比べて、膜質特性の評価がより正確なものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。この感光体特性評価装置は、金属のシリンダー(例えばアルミシリンダー)の表面に所望の感光体材料よりなる光導電性薄膜を形成した円筒状の感光体101の特性を評価する装置であって、その感光体101の外周部に配置される露光装置102、帯電器103、表面電位測定プローブ104および膜厚測定プローブ112と、こられが取り付けられた作動ユニット105とを有する。
【0015】
作動ユニット105はリング状のものであって、リング内に感光体101が配置される。露光装置102、帯電器103、表面電位測定プローブ104および膜厚測定プローブ112はいずれも、感光体101の外周方向における任意の位置(任意の角度位置)に取り付け可能であり、また、感光体101の表面からの距離も任意に調節することができる。この調節により、ドラム径の異なる感光体への対応が可能である。
【0016】
また、作動ユニット105は、感光体101の曲面(表面)の母線方向に移動可能である。これにより、感光体101の母線方向における任意の位置に表面電位測定プローブ104および膜厚測定プローブ112を配置することができ、また、感光体101を取り外す際には、感光体に傷を付けることがないよう、作動ユニット105を感光体101の範囲外まで移動することができる。
【0017】
露光装置102は、露光量だけでなく、波長の選択が可能な光源(図示せず)を有し、この光源からの光が例えば光ファイバー106を介して感光体101の表面に照射されるように構成されている。波長の選択が可能な光源としては、例えばハロゲンランプからのアナログ光を回折格子やフィルターによって分光するように構成した光源や、発振波長が可変なレーザー光源などがある。この他、図2に示す以下のような光源を用いることもできる。
【0018】
図2に示す光源は、断面形状が円形で、中心部を軸に円周方向に回転可能な基板201と、この基板201の表面(曲面)に円周方向に沿って配置された発光波長の異なる複数のLED(発光ダイオード)202と、これらが内部に収容された収容部205とを有する。この光源では、基板201の回転角度を調節することで、所望のLED202からの光が光線204として、収容部205の所定の箇所に設けられた開口部203から出射される。
【0019】
帯電器103は、例えばコロトロンであって、コロナ放電によって感光体101の表面を一様に帯電することができる。表面電位測定プローブ104は、感光体101の表面における電位を測定するための既存のプローブであり、膜厚測定プローブ112は感光体101の膜厚を測定するための既存のプローブである。感光体101の層構成は、例えばa−Si感光体の場合であれば、光導電層(感光層)、表面層の2つの層からなり、膜厚測定プローブ112によってこれら層の全体の厚さや表面層の厚さなどを測定することができる。表面電位測定プローブ104および膜厚測定プローブ112の各出力は、電位測定機能と膜厚測定機能を有する不図示の評価装置本体に供給されている。
【0020】
表面電位測定プローブ104および膜厚測定プローブ112は、感光体101の表面(曲面)の母線方向における両プローブの設置位置が同じで、感光体101の表面上の周方向における、両プローブの測定点が一致するようになっている。例えば感光体101の回転(回転角度または回転量)を検出するセンサーを設ければ、そのセンサーの出力に基づいて感光体101の表面の所定の点の、両プローブにおける通過タイミングを知ることができ、これを利用することで、両プローブの測定点を周方向で一致させることが可能である。図3に、そのような感光体の回転を検出するセンサー装置の構成例を示す。
【0021】
図3(a)に示すセンサー装置は、感光体の回転と同期して回転する回転板1901と、回転板1901の所定の部位に設けられた窓1902を検出するフォトセンサー1903とからなる。回転板1901と感光体は同期して回転しているので、感光体が一回転する毎に窓1902がフォトセンサー1903を通過し、その通過タイミングに応じてフォトセンサー1903からパルス信号が出力される。このパルス信号の検出タイミングと、表面電位測定プローブ104および膜厚測定プローブ112の位置関係とから、これらプローブの周方向における測定点を一致させることができる。
【0022】
また、図3(b)に示すように、回転板1901に代えて、一端を回転中心として感光体の回転と同期して回転する回転棒1904を用いることもできる。この場合は、感光体が一回転する毎に回転棒1904の他端がフォトセンサー1903を通過し、その通過タイミングに応じてフォトセンサー1903からパルス信号が出力される。この他、感光体を回転させているパルスモータの駆動パルスを検出することでも感光体の回転量(回転角度)を検出することができ、その検出結果に基づいて各プローブの周方向における測定点を一致させることができる。
【0023】
本実施形態の感光体評価装置では、評価装置本体が、露光装置102による露光、帯電器103による帯電、および感光体101の回転を制御して、表面電位測定プローブ104による表面電位の測定および膜厚測定プローブ112による膜厚の測定を感光体101の母線方向または周方向もしくはそれら両方向について行い、その測定結果に基づいて膜質特性を自動的に評価する。表面電位測定プローブ104および膜厚測定プローブ112は感光体101の表面上の同じ位置を正確に測定することができるようになっており、これにより膜質特性の評価を高精度に行うことができる。
【0024】
次に、膜厚測定および電位測定による感光体特性の評価手法について具体的に説明する。
【0025】
(膜厚測定)
まず、評価装置本体の膜厚測定機能部の構成および膜厚測定手法について具体的に説明する。図4に、その膜厚測定機能部の一構成例を示す。
【0026】
図4を参照すると、膜厚測定機能部は、膜厚測定用プローブ312、膜厚測定機本体301、ハロゲン光源302、コンピュータ装置304およびプリンター305からなる。この構成は、基本的には大塚電子製の「Photal MCPD-2000」と同じである。
【0027】
膜厚測定用プローブ312は、図1に示した膜厚測定用プローブ112であって、差動ユニットの所定の位置に取り付けられる。この膜厚測定用プローブ312は、ハロゲン光源302からY型光ファイバー306によって導かれた光が先端部から感光体の表面に照射され、その反射光が再び先端部からY型光ファイバー306に入射して膜厚測定機本体301に導かれるようになっている。
【0028】
膜厚測定機本体301は、Y型光ファイバー306によって導かれた反射光を分析することで感光体101の膜厚を算出する。コンピュータ装置304は、例えばパーソナルコンピュータであって、感光体評価装置全体の動作を制御する。上述した露光装置102による露光、帯電器103による帯電、感光体101の回転なども、このコンピュータ装置304によって制御される。プリンター305は、膜厚測定結果や電位測定結果などを出力する。
【0029】
上記のように構成された膜厚測定機能部では、膜厚測定機本体301が、膜厚測定用プローブ312からY型光ファイバー306を介して取り込まれる反射光について、周知のピークバレー法(PV法)を用いた分析を行い、該分析結果から、感光体表面の測定点における表面層と全層(表面層、感光層および阻止層の3つの層)の膜厚をそれぞれ算出する。
【0030】
以下に、PV法による膜厚測定の原理を説明する。
【0031】
感光体表面からの反射光について、所定の波長範囲(ここでは、500nm〜1100nmの範囲)における、反射率強度(=感光体の反射光強度/アルミシリンダーの反射光強度)と波長の関係を調べる。一例として、図5に500nm〜1100nmの波長範囲における、反射率強度と波長の関係を示す。図5の例では、縦軸に反射率強度、横軸に波長をとっており、500nm〜700nmの波長範囲が表面層領域に相当し、900nm〜1100nmの波長範囲が全層領域に相当する。
【0032】
表面層の膜厚dは、表面層領域(500nm〜700nm)における連続する3個のピーク、バレーの波長から以下の式により算出することができる。ここでは、波長の高い方からピーク(λ1)、バレー(λ2)、ピーク(λ3)の連続する3つピーク、バレーの波長を用いる。
【0033】
d11λ2/(4(n2λ1-n1λ2)) ・・・(1)
d22λ3/(4(n3λ2-n2λ3)) ・・・(2)
d=(d1+d2)/2 ・・・(3)
但し、λ1>λ2>λ3である。この場合の屈折率は、コーシーの分散式に従って以下の式により算出する。
【0034】
n=A+B/λ2+C/λ4 ・・・(4)
(A=2.25、B=1.46×105、C=−1.13×109
一方、全層の膜厚dは、全層領域(900nm〜1100nm)における連続する3個のピーク、バレーの波長から以下の式により算出することができる。ここでは、波長の高い方からピーク(λ4)、バレー(λ5)、ピーク(λ6)の連続する3つピーク、バレーの波長を用いる。
【0035】
d14λ5/(4n(λ45)) ・・・(5)
d25λ6/(4n(λ56)) ・・・(6)
d=(d1+ d2)/2 ・・・(7)
但し、λ4>λ5>λ6である。この場合の屈折率は、n=3.4とする。
【0036】
上記のようにして得られる表面層および全層の膜厚を、感光体の母線方向および周方向について測定する。図6(a)に母線方向の位置0cm(中央)において全層膜厚を周方向8点(45度間隔)で測定した結果を示し、図6(b)に母線方向の位置0cm(中央)において表面層膜厚を周方向8点(45度間隔)で測定した結果を示す。図6(a)の例では、縦軸に全層の膜厚(μm)をとり、横軸に感光体の周方向の測定位置(°)をとっており、位置120°近傍で全層膜厚が薄くなっている様子が示されている。図6(b)の例では、縦軸に表面層の膜厚(Å)をとり、横軸に感光体の周方向の測定位置(°)をとっており、周方向の全体でほぼ7000Åの膜厚となっている様子が示されている。周方向位置は、表面電位測定開始位置からの感光体の回転角度である。
【0037】
(感光体特性の評価)
(1)帯電特性
表面電位と前露光(帯電前に行われる露光)の波長の関係、表面電位と前露光の光量の関係、前露光メモリーと前露光の波長の関係の3つの関係から、前露光の波長や光量が電子写真プロセスの帯電工程においてどの程度影響するか、という感光体の帯電特性を評価することができる。この評価方法は、単に、開発する感光体とそれを搭載する電子写真装置との適合性だけでなく、前露光照射によって生じる様々な過程が潜像形成にどのように影響を及ぼすかといった点を正しく把握することができるため、総合的に優れた感光体及び電子写真プロセスを設計する上で非常に重要な評価方法である。
【0038】
(1a)「表面電位と前露光の波長の関係」の具体例
図1に示した感光体特性評価装置において、帯電器103に有効帯電範囲が6cmである帯電器を用いる。ここで、有効帯電範囲とは、帯電器103による帯電によって感光体101の表面に形成される、所定の電荷量を有する領域の周方向における範囲である。
【0039】
帯電器103の帯電時の諸条件を一定とし、かつ、露光装置102の露光量を一定として、露光波長を変化させながら感光体101の表面電位を表面電位測定プローブ104で測定した結果を図7に示す。この図7に示すグラフでは、縦軸に感光体の表面電位(V)をとり、横軸に前露光の波長(nm)をとっており、露光波長が500nmを超えたあたりから表面電位が急激に下がる様子が示されている。この結果から帯電特性の前露光波長に対する依存性を調べることができる。
【0040】
(1b)「表面電位と前露光の光量の関係」の具体例
上記(1a)と同様な条件で、露光光量を変化させながら感光体101の表面電位を表面電位測定プローブ104で測定した結果を図8に示す。この図8に示すグラフでは、縦軸に感光体の表面電位(V)をとり、横軸に前露光の光量(μJ/cm2)をとっており、露光量が増えるにしたがって表面電位が徐々に低下する様子が示されている。この結果から帯電特性の前露光の光量に対する依存性を調べることができる。
【0041】
なお、図8に示したグラフは、帯電プロセス開始後一回転目の電位を測定したデータである。一回転目の電位を測定した理由は、前露光光量“0”のときのデータを得るためである。この他にも、各々の光量で安定したときの電位を測定し、それらのデータを外挿して前露光光量“0”のときのデータを求めても良い。
【0042】
(1c)「前露光メモリーと前露光の波長の関係」の具体例
図8に示したように、前露光光量“0”の時の電位と、ある基準光量(図8中では、3μJ/cm2としている。)時の電位との差分を前露光メモリーとし、上記(1a)と同様な条件で、露光波長を変化させながら感光体101の表面電位を表面電位測定プローブ104で測定した結果を図9に示す。この図9に示すグラフでは、縦軸に前露光メモリー(V)をとり、横軸に前露光の波長(nm)をとっており、波長700nmの近傍で前露光メモリーが最大となる様子が示されている。この結果から前露光メモリーの前露光波長に対する依存性を調べることができる。
【0043】
(2)帯電ムラ(軸ムラ)
軸ムラの測定は、母線方向の基準位置における感光体表面電位を所定の電位になるように調整し、同一条件にて感光体の母線方向に対する表面電位測定位置のみを変化させて表面電位を測定することにより行う。表面電位測定位置は、図1に示した作動ユニット105を感光体101の母線方向に移動することで変えることができる。
【0044】
母線方向の0cm位置を基準にし、その位置での感光体表面電位が450Vになるように調整して軸ムラを測定した結果を図10に示す。この図10の例では、縦軸に表面電位(V)をとり、横軸に感光体の母線方向位置(cm)をとっており、母線方向位置は0cm位置からの距離をプラス・マイナスで表している。この軸ムラ測定例では、0cm位置からの距離がプラス方向に大きくなるに連れて表面電位は低くなっており、反対に0cm位置からの距離がマイナス方向に大きくなるに連れて表面電位は高くなっていることが分かる。
【0045】
上述した膜厚測定結果および感光体の特性評価結果から膜質特性を評価することができる。
【0046】
次に、膜質特性評価の具体的な手順について説明する。膜質特性評価では、図4に示したコンピュータ装置304が、電位測定機能部で測定された感光体特性(帯電特性、感光特性、分光特性、暗減衰特性、光メモリーなど)と膜厚測定機能部で測定された膜厚(表面層および全層の膜厚)とから膜質特性を評価する。図11に、その膜質評価の一手順を示す。
【0047】
図11を参照すると、まず、測定対象である感光体を評価装置にセットして(ステップS10)、感光体を回転させながら帯電特性や感光特性などの特性を評価するための所定の処理(帯電、露光など)を施し、そのときの表面電位の変化を測定することで感光体特性を評価する(ステップS11)。次いで、感光体を評価装置から取り外し、予め用意しておいたアルミシリンダー(測定対象の感光体に用いられているものと同じもの)を評価装置にセットして膜厚測定を行うための校正(アルミシリンダー表面からの反射光強度が予め設定された強度になるように調整すること)を行う(ステップS12)。校正後、再び感光体を評価装置にセットして膜厚測定を行う(ステップS13)。最後に、ステップS11で得られた感光体特性の評価結果とステップS13で得られた膜厚測定結果に基づいて膜質特性を評価する(ステップS14)。
【0048】
上記の手順において、ステップS11での表面電位の測定およびステップS13での膜厚測定における、周方向の測定点数および母線方向の測定位置は、いずれも任意に設定することができる。また、それら測定のサンプリングタイムは、例えば16msec〜20secの範囲において調節可能であり、感光体のプロセススピードなどの条件に応じてサンプリングタイムを適宜設定することが望ましい。
【0049】
また、ステップS12の校正は最初に行ってもよい。さらに、図11の例では、電位測定による感光体特性の測定と膜厚測定は別々に行われているが、これら測定を同時に行ってもよい。この場合は、ステップS12のアルミシリンダーを用いた校正を最初に行う必要がある。このように感光体特性の測定と膜厚測定を同時に行うことにより、測定時間が短縮される。
【0050】
以上は、本発明の感光体評価装置の基本となる、構成、測定手法および評価手順についての説明である。実際の感光体評価では、感光体の特性として、帯電能、I−V特性(Q−V特性)、E−V特性、暗減衰、残電、光メモリー、温度特性、電位シフト、母線ムラ、周ムラなど特性の評価が行われて、単位面積・膜厚当たりの帯電能(V/μC/cm2/μm)や単位面積・膜厚当たりの感度(V/μJ/cm2/μm)などの膜質が解析される。
【0051】
単位面積・膜厚当たりの帯電能は、以下の式(8)より求めることができる。
【0052】
[単位面積・膜厚当たりの帯電能]=[Q−V測定で算出された単位面積当たりの帯電能(V/μC/cm2)]/[全層膜厚−表面層膜厚]・・・(8)
また、単位面積・膜厚当たりの感度は、以下の式(9)より求めることができる。
【0053】
[単位面積・膜厚当たりの感度]=[E−V測定で算出された単位面積当たりの感度(V/μJ/cm2)]/[全層膜厚−表面層膜厚] ・・・(9)
ここで、[全層膜厚−表面層膜厚]は感光層膜厚(μm)である。
【0054】
以下に、本実施形態の感光体特性評価装置において行われる、感光体の帯電に関わる特性の具体的な評価手法について説明する。
【0055】
(帯電能)
図1に示した構成で感光体上101の表面電荷Qを直接測定することは難しいが、帯電工程において感光体方向に流れる総電流と感光体表面電位を測定し、その測定結果から、感光体の表面電荷と感光体表面電位との相関性に基づいて、単位面積当たりの帯電能を以下の式(10)より求めることができる。
【0056】
[単位面積当たりの帯電能(V/μC/cm2)]=[総電流(μA)/帯電器面積(cm2)]×[帯電器幅(cm)/プロセススピード(cm/sec)] ・・・(10)
図12(a)に、帯電工程において感光体方向に流れる総電流と感光体表面電位の関係を示し、図12(b)に感光体の表面電荷と感光体表面電位の相関性を示す。図12(a)の例では、縦軸に表面電位(V)をとり、横軸に総電流(μA)をとっており、総電流がある閾値を超えると、表面電位が直線的に増加する様子が示されている。図12(b)の例では、縦軸に表面電位(V)をとり、横軸に表面電荷(μC/cm2)をとっており、表面電荷がある閾値を超えると、表面電位が直線的に増加する様子が示されている。これらのグラフから、以下のようなことが分かる。
【0057】
図12(b)のグラフにおいて、ある閾値を境界として2つの領域、すなわち、閾値を越え、感光体の表面電位が一次関数的に増加する直線領域と、閾値以下の過渡領域とに分けることができる。過渡領域は、帯電前に感光体の膜中に残っているキャリアが再結合し、あるいは帯電器からの電界によって加速されて消滅していく過程であると推測される。直線領域は、帯電器からの電荷によって感光体が帯電していく過程であると推測される。よって、閾値や直線領域における傾きを求めることで、感光体の帯電性に関する評価を行うことができる。また、感光体の表面電荷に対してある基準値(図12(b)中では、一例として75(μC/cm2)とした。)を設定し、その基準値における感光体の表面電位をもって、感光体の帯電性に関する評価を行うことも可能である。上述した単位面積・膜厚当たりの帯電能は、図12(b)の直線領域における傾きを感光層膜厚(=全層膜厚−表面層膜厚)で割ることで算出することができる。
【0058】
(電位シフト)
電位シフト特性は、感光体の表面電位の時間変化量を測定することで求めることができる。図13に、感光体の表面電位の時間変化量(電位シフト特性)の測定結果を示す。縦軸は感光体の表面電位(V)であり、横軸は帯電プロセス開始からの経過時間(sec)である。この測定結果は、図1に示した評価装置において、感光体101を一定の速度で回転させながら、露光装置102で帯電前露光を行い、その後、帯電器103で帯電を開始し、その帯電開始時刻からの表面電位を表面電位測定プローブ104で測定したものである。帯電開始直後はΔtの時間だけ、表面電位が0になっている。このΔtは、帯電器103にて帯電が施されたポイントが表面電位測定プローブ104まで移動するのに必要な時間である。図13のグラフから、感光体101が回転を重ねる毎に帯電されて、徐々に表面電位が安定していく様子が分かる。帯電プロセス開始後から1周目または2周目の表面電位と、十分に安定した状態における表面電位とを比較することによって電位シフト特性を評価することができる。
【0059】
(第2の実施形態)
図14は、本発明の第2の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。この感光体特性評価装置は、図1に示した構成に露光装置107を追加したものである。露光装置107は、露光装置102と同様な構成で、露光量だけでなく、波長の選択が可能な光源を有し、この光源からの光が例えば光ファイバー108を介して感光体101の表面に照射されるように構成されている。また、この露光装置107は、作動ユニット105の、帯電器103と表面電位測定プローブ104との間に取り付けられている。
【0060】
上記の構成において、図15に示すように、露光装置102をLEDタイプの露光装置102aに置き換えることもできる。
【0061】
本実施形態の感光体特性評価装置においては、電子写真プロセスと同じプロセス条件において上述した第1の実施形態で説明したような感光体の特性および膜質特性の評価を行うことができ、その露光波長依存性も評価することができる。以下に、感光体の特性評価について具体的に説明する。
【0062】
(E−V特性)
図16(a)に、帯電条件を一定として、露光装置107の露光量(E)を変化させながら表面電位測定プローブ104で感光体表面電位(V)を測定した結果を示す。縦軸は感光体の表面電位(V)で、横軸は露光量(μJ/cm2)である。この図16(a)に示すグラフは、a−Si感光体を用いた場合のE−V特性であり、露光量Eに対して一次関数的に表面電位Vが減少する様子が示されている。
【0063】
図16(b)は、図16(a)に示したE−V特性の評価手法を説明するための図である。その評価手法には以下のような3つの方法がある。
【0064】
(1)直線領域における傾きを求める。
【0065】
(2)ある基準光量(図16(b)中では、一例として0.2(μJ/cm2)とした。)を露光した時の表面電位、または、電位減衰量を求める。
【0066】
(3)ある基準コントラスト電位(図16(b)中では、一例として50V(Δ400V)とした。)となる時の露光量を求める。
【0067】
上記3つの方法で感光体の感光特性を評価することができる。また、E−V特性の直線領域における傾きと感光層の膜厚(=全層膜厚−表面層膜厚)より、単位面積・膜厚当たりの感度(V/μJ/cm2/μm)を算出することができる。
【0068】
(残留電位)
残留電位特性は、上記の「E−V特性」で説明した(2)の方法で、基準光量を十分強い光量とすることによって評価することができる。
【0069】
(分光特性)
分光特性、すなわち、感光特性の露光波長依存性の評価には、図15に示した評価装置を用いるのが望ましい。上記の「E−V特性」の場合と同様、帯電条件を一定として、露光装置107の露光量(E)を変化させながら表面電位測定プローブ104で感光体表面電位(V)を測定する。そして、図16(b)に示したような手法を用いて、各波長の光に対する感光特性を、測定データの近似直線の傾きや、基準となる露光量を照射した時の電位減衰量や、単位コントラスト電位を得るために必要な露光量で表す。こうして得られる感度を波長に対してプロットしたものを図17に示す。この図17に示すグラフでは、縦軸に感度(a.u)をとり、横軸に露光波長(nm)をとっており、露光波長700nmで最も感度が高くなる様子が示されている。
【0070】
上記のような測定により、感光体の分光特性を電子写真プロセスと同条件にて評価することができる。このような分光特性評価方法は、単に、開発する感光体とそれを搭載する電子写真装置との適合性だけでなく、光照射によって生じる様々な過程が潜像形成にどのように影響を及ぼすかといった点を正しく把握することを可能にすることから、総合的に優れた感光体及び電子写真プロセスを設計する際に非常に重要な評価方法といえる。
【0071】
(第3の実施形態)
図18は、本発明の第3の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。この感光体特性評価装置は、図15に示した評価装置に表面電位測定プローブ109を追加したものである。表面電位測定プローブ109は、作動ユニット105の、表面電位測定プローブ104と膜厚測定プローブ112の間に取り付けられている。表面電位測定プローブ104、109と膜厚測定プローブ112は感光体101の表面の同じ位置を測定することができる。
【0072】
本実施形態の感光体特性評価装置においては、上述した第1、2の実施形態で説明したような感光体特性や膜質特性の評価を行うことができる他、以下に説明するような感光体の特性評価を行うことができる。
【0073】
(暗減衰)
感光体101を一定速度で回転させながら、帯電条件一定で、表面電位測定プローブ104、109による表面電位測定を行う。各表面電位測定プローブ104、109における測定データを比較することによって、感光体101の電荷保持能力に関する特性、すなわち暗減衰特性を評価することができる。
【0074】
この暗減衰特性の評価は、2つ以上の表面電位測定プローブが有れば測定可能である。図18には、2つの表面電位測定プローブを用いた構成を示したが、露光装置102aや帯電器103の直前にさらに表面電位測定プローブを設ければ、暗減衰特性の評価をより詳細に行うことができる。
【0075】
(光メモリー)
光メモリー特性を測定するための方法としては、以下に説明するような2つの測定方法がある。
【0076】
(1)第1の測定方法
まず、感光体101を回転させながら、一定の条件で帯電器3により帯電を施し、その後、露光は行わずに表面電位測定プローブ104、109のいずれかのプローブで表面電位を測定し、その測定結果が所定の表面電位となるように設定する(初期条件出し)。この状態において、帯電後、露光装置107にて光量E1でt1秒間露光し、続いて光量E2でt2秒間露光し、最後に光量E3でt3秒間露光する、といった露光プロセスをn回(n;自然数)繰り返し、そのときの表面電位の変化を測定する。この露光プロセスにおける表面電位の変化を図19(a)に示す。縦軸は感光体の表面電位(V)、横軸は経過時間(sec)である。光量E1は、電子写真プロセスで必要なコントラスト電位を得る為の光量とすることが好ましい。また、光量E2は、光量E1より少ない光量とする必要があり、E2=0としても構わない。光量E3は、実際の電子写真プロセス中における紙間部に相当するものであり、想定する電子写真プロセス条件に応じて適宜設定する。
【0077】
上記の場合、光量E1で露光した部分のゴーストが一周後に現れる。図19(a)に示すように、このゴースト部の電位、すなわちプロセス開始時刻のT(T;回転周期)秒後からT+t1秒後までの間の電位をVgnとする。
【0078】
次に、最初の露光量E1を露光量E1’として、上記の露光プロセスと同様なプロセスを行い、そのときの表面電位の変化を測定する。この露光プロセスにおける表面電位の変化を図19(b)に示す。縦軸は感光体の表面電位(V)、横軸は経過時間(sec)である。光量E1’は、光量E2以下であればよく、E1’=0としても構わない。この場合も、光量E1’で露光した部分のゴーストが一周後に現れる。図19(b)に示すように、このゴースト部の電位、すなわちプロセス開始時刻のT(T;回転周期)秒後からT+t1秒後までの間の電位をVgn’とする。
【0079】
上述したような露光プロセスにおける電位測定により得られたゴースト部の電位Vgn、Vgn’を比較し、その差分や比率を計算することによって、光メモリーに関する感光体の特性を評価する。この評価方法によれば、実際の電子写真装置を用いてゴースト評価用のチャートを画出しした条件をシミュレートすることが可能であり、画出しする電子写真装置の無い段階において、画出しした結果の善し悪しについての評価が可能である。
【0080】
(2)第2の測定方法
まず、感光体101を回転させながら、一定の条件で帯電器3により帯電を施し、その後、露光は行わずに表面電位測定プローブ104、109のいずれかのプローブで表面電位を測定し、その測定結果が所定の表面電位となるように設定する(初期条件出し)。この状態において、帯電後、露光装置107にて光量E1でn回転分(n;自然数)露光し、その後、光量E2で1回転分露光した場合における、表面電位の変化を測定する。この露光プロセスにおける表面電位の変化を図20(a)に示す。縦軸は感光体の表面電位(V)、横軸は経過時間(sec)である。光量E1は、電子写真プロセスで必要なコントラスト電位を得る為の光量とすることが好ましい。光量E2は、光量E1より少ない光量であり、E2=0としても構わない。
【0081】
上記の場合、光量E1で露光した部分のゴーストが一周後に現れる。図20(a)に示すように、このゴースト部における電位をVgとする。
【0082】
次に、最初の露光量E1を露光量E1’として、上記と同様な露光プロセスで表面電位の変化を測定する。この露光プロセスにおける表面電位の変化を図20(b)に示す。縦軸は感光体の表面電位(V)、横軸は経過時間(sec)である。光量E1’は、光量E2以下であればよく、E1’=0としても構わない。この場合も、光量E1’で露光した部分のゴーストが一周後に現れる。図20(b)に示すように、このゴースト部における電位をVgn’とする。
【0083】
上述したような露光プロセスにおける電位測定により得られたゴースト部の電位Vgn、Vgn’を比較し、その差分や比率を計算することによって、光メモリーに関する感光体の特性を評価する。この評価方法によれば、上述した第1の測定方法のような、実際の電子写真装置を用いてゴースト評価用のチャートを画出しした条件での評価を行うことはできないものの、感光体の持つ光メモリーに関する性能をより高精度に評価することができる。
【0084】
なお、以上の光メモリー特性の評価は、図14および図15に示した評価装置を用いても行うことができる。
【0085】
(第4の実施形態)
図21は、本発明の第4の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。この感光体特性評価装置は、図18に示した評価装置に感光体の表面温度を測定するための温度センサー110を追加したものである。この他、図21には示していないが、感光体101を加熱する加熱手段または冷却する冷却手段もしくはこれら両手段を含む加熱冷却装置を備えており、感光体101の表面温度を任意に変化さることができるようになっている。温度センサー110は、作動ユニット105の、表面電位測定プローブ109と膜厚測定プローブ112の間に取り付けられている。表面電位測定プローブ104、109、膜厚測定プローブ112および温度センサー110は、感光体101の表面の同じ位置を測定することができる。温度センサー110には、非接触の赤外線温度センサーの他、接触タイプの温度センサーを用いることができる。
【0086】
本実施形態の感光体特性評価装置においては、上述した第1〜3の実施形態で説明したような感光体の特性の評価およびそれに基づく膜質特性の評価を行うことができ、その温度依存性も評価することができる。
【0087】
以下、温度依存性の評価について説明する。
【0088】
ここでは、加熱手段として例えば感光体101の内側に配備したヒーターを用いる。露光装置102aにおける帯電前露光の照射条件、及び、帯電器103における帯電の条件を一定とし、一定速度で回転する感光体101の表面温度を変化させながら、表面電位測定プローブ104、109のいずれかで表面電位を測定すると同時に、温度センサー110で表面温度を測定する。その測定結果を、図22に示す。図22に示すグラフでは、縦軸に表面電位(V)をとり、横軸に表面温度(℃)をとっており、表面温度が高くなるにしたがって表面電位が下がる様子が示されている。この結果から、帯電性の温度依存性を評価することができる。
【0089】
また、感光体101を一度加熱した後に、送風機などの冷却手段を用いて感光体101の表面温度を下げながら感光体特性を評価することもできる。
【0090】
上述の温度依存性の評価では、図22に示したように、ほぼ一次関数的に変化する特性もあれば、温度に対して曲線的に変化する特性もある。したがって、上述の第1〜第3の実施形態で説明したような感光体の帯電性、感光性、電位シフト、暗減衰、光メモリー等の特性や膜質の温度依存性を把握することは、感光体の特性設計を行う上で非常に重要である。
【0091】
温度依存性の評価の別な手法としては、感光体を加熱しない状態(即ち、感光体表面がほぼ室温の状態)と感光体を加熱した状態とで、感光体の表面温度、および、それらの特性を測定し、比較することによって感光体の温度特性を評価する手法もある。
【0092】
以上説明した各実施形態1〜4における、感光体の帯電性、感光性、電位シフト、暗減衰、光メモリー、膜質特性、温度特性などの感光体特性を、感光体の母線方向に対して複数の位置において各々測定を行うことによって、感光体の諸特性の母線方向分布を測定することが可能である。その測定例として、帯電性の感光体母線方向分布について評価した結果を図23に示す。
【0093】
図23に示す例は、帯電条件を一定とし、感光体の母線方向に対する測定位置を変化させて、表面電位を測定した結果である。縦軸は表面電位(V)で、横軸は母線方向位置(cm)である。母線方向位置は、感光体の中心位置を0cmとし、そこからの距離をプラス・マイナスで表している。この図23の例では、表面電位がマイナス側7cmの位置で表面電位が高くなっており、プラス側方向にいくにしたがって表面電位は低くなっている。この結果から、感光体の特性をその感光体の母線方向の場所毎に詳細に評価することができる。
【0094】
また、各実施形態1〜4における、感光体の帯電性、感光性、電位シフト、暗減衰、光メモリー、膜質特性、温度特性などの感光体特性について、感光体の周方向に対する特性ムラを評価することも可能である。周方向の特性ムラは、表面電位測定プローブからの出力を読み取る際に、感光体一周のデータに相当する部分の最大値および最小値を読み取ることによって評価することができる。
【0095】
周方向の特性ムラを測定する場合は、例えば、表面電位測定プローブからの出力をデータメモリー機能のついたオシロスコープやデジタルマルチメータなどによって記録するようにし、図3に示したようなセンサー装置からのパルス信号を使って感光体の回転とそのメモリー機能への記録動作を同期させることで、感光体特性の周方向分布について更に詳細な測定が可能となる。
【0096】
メモリー機能への記録と感光体の回転と同期させた場合の、帯電性に関する感光体の周方向分布の測定結果を図24に示す。この図24に示す例は、帯電条件を一定とし、感光体の周方向における複数の位置における表面電位を測定した結果である。縦軸は表面電位(V)、横軸は周方向位置(°)である。周方向位置は、表面電位測定開始位置からの感光体の回転角度である。この図24に示す例では、周方向位置270°近傍で表面電位が低下している。この結果から、感光体の特性をその感光体の周方向の場所毎に詳細に評価することができる。
【0097】
また、上記の感光体の母線方向分布と周方向分布を組み合せて評価することによって、感光体全面に対する場所依存性を評価することができる。一例として、図25に、感光体全面に対する場所依存性の測定結果を示す。
【0098】
図25に示す例は、帯電条件一定で、感光体の帯電特性を感光体の表面全体の複数の位置で測定した結果で、各測定位置における感光体の表面電位の高低分布を面種の違いで表している。縦軸は周方向位置(°)で、表面電位測定開始位置からの感光体の回転角度で示されている。横軸は母線方向位置(cm)で、感光体の中心位置を0cmとし、そこからの距離をプラス・マイナスで表している。図25に示すような感光体特性のマッピングを作製する事により、その特性ムラを一目で把握できる。
【0099】
(第5の実施形態)
図26は、本発明の第5の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。この感光体特性評価装置は、図21に示した評価装置に感光体の偏芯量(感光体表面の周方向における、中心軸からの距離の変位)を測定するための偏芯量測定センサー111を追加したものである。偏芯量測定センサー111は、作動ユニット105の、露光装置102aと膜厚測定プローブ112の間に取り付けられている。偏芯量測定センサー111と、上述した表面電位測定プローブ104、109、膜厚測定プローブ112および温度センサー110とは、感光体101の表面の同じ位置を測定することができる。
【0100】
本実施形態の感光体特性評価装置においては、上述した第1〜4の実施形態で説明した感光体特性や膜質特性、温度依存性の評価に加えて、偏芯量を測定することで、それら評価結果の信頼性をより高めることができる。
【0101】
以下、本実施形態の感光体特性評価装置における良好な測定例として実施例1〜5とその比較例1を挙げて具体的な評価結果について説明する。
【0102】
(実施例1)
ここでは、帯電器103として有効帯電範囲が6cmとなるコロトロン帯電器を用いるとともに、感光体101の内側に感光体を加熱する為のヒーターを配備して、感光体の電子写真に関わる様々な特性を温度一定の条件で評価した。測定条件、および、測定ルーチンは、以下に示す通りである。
【0103】
はじめに、感光体101の温度特性を測定した。具体的には、図21で示した第4の実施形態にて、前露光照射条件、および、帯電の条件を一定とした状態で感光体101を加熱しながら、感光体母線方向の各々の位置で表面電位測定し、得られたデータの単位温度あたりの表面電位の変化量を計算してこれを温度特性とした(図22参照)。そして、感光体表面温度が42℃±1℃で一定となる状態において以下のような各特性の測定を行った。
【0104】
まず、帯電特性に対する前露光の影響について測定を行った。この測定では、第1の実施形態で説明したように前露光メモリーの波長依存性(図9参照)を測定し、前露光メモリーの最大値、および、スペクトルの半値幅を求めた。これ以降の測定においては、前露光の照射条件は波長660nm、露光量3μJ/cm2で一定とした。これは、適当な電子写真プロセスをモデル化するために行ったものであって、任意の波長および露光量を設定することが可能である。
【0105】
次に、第1の実施形態で説明したような電位シフト特性を測定する(図13参照)。このときの帯電条件は帯電電流値を100μAとし、帯電開始後、2回転目の表面電位と十分に安定した時の表面電位との差を電位シフトとした。
【0106】
次に、第2の実施形態で説明した感光体のI−V特性(図12(a)参照)を測定して、その閾値、直線領域の傾き(図12(b)参照)を計算した。そして、基準値を100μAとしたときの表面電位を帯電能とし、その後の表面電位が450Vとなるように調整したときの表面電位の周方向ムラをVD周ムラとし、そのときの表面電位センサー104,109からの両出力の差を暗減衰とした。
【0107】
次に、第2の実施形態で説明したような感光体の分光感度特性(図17)を測定し、最大感度の波長(ピーク波長)、及び、分光感度スペクトルの半値幅を算出した。これ以降の測定においては、帯電後露光の照射条件を波長650nmで一定とした。これは、適当な電子写真プロセスをモデル化するために行ったものであって、任意の波長および露光量を設定する事が可能である。
【0108】
次に、第2の実施形態で説明したような感光体のE−V特性(図16(a)参照)を測定し、その直線の傾き(図16(b)参照)を計算した。そして、基準光量を0.7μJ/cm2としたときの表面電位を残留電位とし、基準コントラストをΔ400V(露光時の表面電位で50V)としたときの露光量を感度とし、基準コントラストが得られる条件における表面電位の周方向ムラをVL周ムラとした。
【0109】
次に、第3の実施形態で説明した方法により光メモリー特性(図19の(a)および(b)参照)の測定を行った。ここでは、露光量E1は、直前の測定で求めた感度と同じ光量とし、露光量E2は、E1/2となる光量とし、露光量E3および露光量E1’はゼロとして光メモリー特性測定のための露光プロセスを5回繰り返した。そして、各々のVgnとVgn’を計算し、その最大値を光メモリーとした。
【0110】
次に、感光体の帯電特性と膜厚特性の面内むらを測定する。具体的には、最初に帯電特性を母線方向5点、周方向8点で以下に示すようなシーケンスで行った。尚、ここでは、母線方向位置は、感光体の中心位置を0cmとし、そこからの距離をマイナス(作動ユニットのホームポジション位置)、プラス(作動ユニットのホームポジション位置と反対側)で表す。
【0111】
0cm(周方向8点(45度間隔))

+13cm(周方向8点(45度間隔))

+9cm(周方向8点(45度間隔))

−9cm(周方向8点(45度間隔))

−13cm(周方向8点(45度間隔))
次に、膜厚測定装置のサンプリングタイムを16msecに設定し、感光体101を回転させた状態で全層膜厚及び表面層膜厚測定(母線方向5点、周方向8点)を帯電特性と同様なシーケンスで行った。そして、これら全層膜厚および表面層膜厚の測定結果と、上記のQ−V特性の測定において算出した帯電能と感度から、各測定位置における単位面積・膜厚当たりの帯電能(V/μC/cm2/μm)および単位面積・膜厚当たりの感度(V/μJ/cm2/μm)を算出して膜質特性を評価した。
【0112】
上述した各特性の測定において、感光体101が回転するときの偏芯量を偏芯量測定センサー2211により測定しており、偏芯量がある基準値よりも大きくなった場合は、評価を中止するように制御する。これにより、偏芯の影響により測定結果、特に、周方向特性に関かわる特性の測定結果の信頼性を高めることができる。
【0113】
以上の本実施例における測定について、時間、装置コスト、測定精度、プロセススピード(mm/sec:感光体が1秒間に回転する速さ)変化、総合評価について評価した。その評価結果を表1に示す。
【0114】
(比較例1)
全層及び表面層の膜厚測定を図4に示した膜厚測定機を使用して手動で行い、その膜厚測定結果と帯電特性の結果からパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称す。)を使用して膜質計算を手動で算出した以外は、実施例1と同様な方法で帯電特性の評価を行った。また、これらの測定について下記に示す方法で時間、装置コスト、精度、プロセススピード変化、総合評価について評価した。その評価結果を表1に示す。
【0115】
【表1】
Figure 2004198474
【0116】
ここで、「時間」は、帯電特性(光メモリー特性を含む)と膜厚(膜質計算を含む)の測定に要した時間の合計である。「装置コスト」は測定及び制御用パソコンと帯電測定ユニット、光メモリー測定ユニット、膜厚測定ユニット等の装置コストの合計である。「測定精度」は面内(特に周方向)における帯電特性と膜厚の測定をどのくらい細かく測定できるかを示す。「プロセススピード変化」は、感光体のプロセススピードの変化に関係なく、感光体の周方向の膜厚測定が速やくできるかを示す。
【0117】
評価基準は次の通りである。「時間」の欄の、「★」は比較例1の測定時間に対する各装置構成における測定時間の比が0.25未満、「☆」は比較例1の測定時間に対する各装置構成における測定時間の比が0.25以上0.25未満、「◎」は比較例1の測定時間に対する各装置構成における測定時間の比が0.5以上0.75未満、「○」は比較例1の測定時間に対する各装置構成における測定時間の比が0.75以上1.1未満、「△」は比較例1の測定時間に対する各装置構成における測定時間の比が1.1以上をそれぞれ示す。
【0118】
「装置コスト」の欄の、「☆」は比較例1の装置費用に対する各装置構成の費用の比が1.1未満、「◎」は比較例1の装置費用に対する各装置構成の費用の比が1.1以上1.5未満、「○」は比較例1の装置費用に対する各装置構成の費用の比が1.5以上4.0未満、「△」は比較例1の装置費用に対する各装置構成の費用の比が4.0以上をそれぞれ示す。
【0119】
「測定精度」の欄の、「◎」は面内における同一箇所の帯電測定と膜厚測定とを測定できるもの、「○」は面内におけるほぼ同一箇所の帯電測定と膜厚測定とを測定できるもの、「△」は面内における同一箇所の帯電測定と膜厚測定とをほとんど測定できないものをそれぞれ示す。
【0120】
「プロセススピード変化」の欄の、「◎」は膜厚測定において中速から高速までのプロセススピードで感光体の周方向で細かく測定できるもの、「○」は膜厚測定において低速でのプロセススピードでのみ感光体の周方向で細かく測定できるもの、「△」は膜厚測定においてプロセススピードを変化できないものをそれぞれ示す。
【0121】
「総合判定」の欄の、「☆」は上記4項目中、「△」がなく、最上位ランク(「◎」、「☆」、「★」等)が3個以上のもの、「◎」は上記4項目中、「△」がなく、最上位ランク(「◎」、「☆」、「★」等)が2個のもの、「○」は上記4項目中、「△」がなく、「○」が11個以上、又は最上位ランク(「◎」、「☆」、「★」等)が1個のもの、「△」は上記4項目中、1個でも「△」があるものをそれぞれ示す。
【0122】
上記表1から分かるように、実施例1は、比較例1に対して、時間、測定精度が向上し、総合評価が良くなったことがわかる。
【0123】
(実施例2)
本実施例では、膜厚測定は感光体を静止させた状態で行った。それ以外は、上記の実施例1と同様に行った。
【0124】
次に、膜厚特性の面内むらは、母線方向5点、周方向8点を以下に示すシーケンスで行った。
【0125】
0cm(周方向8点(45度間隔で感光体を回転、静止させて測定))
↓(作動ユニットごと膜厚測定プローブが感光体の母線方向に移動)
+13cm(周方向8点(45度間隔で感光体を回転、静止させて測定))
↓(作動ユニットごと膜厚測定プローブが感光体の母線方向に移動)
+9cm(周方向8点(45度間隔で感光体を回転、静止させて測定))
↓(作動ユニットごと膜厚測定プローブが感光体の母線方向に移動)
−9cm((周方向8点(45度間隔で感光体を回転、静止させて測定))
↓(作動ユニットごと膜厚測定プローブが感光体の母線方向に移動)
−13cm(周方向8点(45度間隔で感光体を回転、静止させて測定))
これら以外は、実施例1と同様な方法で帯電特性と膜厚特性を測定し、膜質計算を行った。この測定手法について、実施例1と同様に時間、装置コスト、精度、プロセススピード変化、総合評価について評価した。その評価結果が上述した表1に示されている。この表1から分かるように、実施例2は、比較例1に対して時間、測定精度が向上し、総合評価が良くなったことがわかる。
【0126】
(実施例3)
本実施例では、図27に示すように、膜厚測定プローブ112は表面電位測定プローブ104に対して軸方向に10cmの距離に1個取り付けた。測定では、感光体101を回転させた状態で、各軸測定位置に表面電位測定プローブ104と膜厚測定プローブ112を移動させた。そして、以下に示すシーケンスで帯電特性と膜厚特性の面内むらの測定を行った。
【0127】
帯電(0cm:周方向8点)→膜厚(0cm:周方向8点)

帯電(+13cm:周方向8点)→膜厚(+13cm:周方向8点)

帯電(+9cm:周方向8点)→膜厚(+9cm:周方向8点)

帯電(−9cm:周方向8点)→膜厚(−9cm:周方向8点)

帯電(−13cm:周方向8点)→膜厚(−13cm:周方向8点)
本実施例の測定では、表面電位測定プローブ104と膜厚測定プローブ112の各々に対して制御とデータ処理を兼ねるパーソナルコンピュータ(以下パソコンと称す)を1台づつと、これら2台のパソコンの制御とデータ処理を行うホスト用のパソコン1台の計3台のパソコンを用いた。これら以外は、実施例1と同様に帯電特性と膜厚特性及び膜質計算を行った。
【0128】
以上説明した本実施例の測定手法を実施例1と同様な方法で時間、装置コスト、精度、プロセススピード変化、総合評価について評価した。その評価結果が、上述した表1に示されている。この表1から分かるように、実施例3は、比較例1に対して、時間、測定精度が向上し、総合評価が良くなったことがわかる。
【0129】
(実施例4)
本実施例では、図21において、表面電位測定プローブ104に対して膜厚測定プローブ112を周方向に2個取り付けた。以下の説明では、1つ目の膜厚測定プローブを「P1」、2つ目の膜厚測定プローブを「P2」とし標記する。膜厚測定プローブP2は、膜厚測定プローブP1に対して45度回転方向下流側の位置に配置されている。この構成により、以下に示すシーケンスで感光体を回転させながら帯電特性と膜厚測定の面内むらの測定を行った。
【0130】
帯電(0cm:周方向8点)→膜厚(0cm:「P1」で周方向0度、90,180,270/「P2」で周方向45度,135,225,315)

帯電(+13cm:周方向8点)→膜厚(+13cm:「P1」で周方向0度,90,180,270/「P2」で周方向45度,135,225,315)

帯電(+9cm:周方向8点)→膜厚(+9cm:「P1」で周方向0度,90,180,270/「P2」で周方向45度,135,225,315)

帯電(-9cm:周方向8点)→膜厚(-9cm:「P1」で周方向0度,90,180,270/「P2」で周方向45度,135,225,315)

帯電(-13cm:周方向8点) →膜厚(-13cm:「P1」で周方向0度,90,180,270/「P2」で周方向45度,135,225,315)
帯電特性と膜厚及び膜質計算は、上述した実施例1と同様な方法で行った。また、これらの測定を実施例1と同様な方法で時間、装置コスト、精度、プロセススピード変化、総合評価について評価した。その評価結果は、上述した表1に示されている。この表1から分かるように、実施例4は、比較例1に対して、時間、測定精度が向上し、総合評価が良くなったことがわかる。
【0131】
(実施例5)
本実施例では、図28に示すように、感光体101の両端を支持する支持部116a、116bを有する台座115の軸方向位置(−13cm、−9cm、0cm、+9cm、+13cm)にそれぞれ作動ユニット105を設置した装置を用いた。各作動ユニット105には、帯電器103、表面電位測定プローブ104、膜厚測定プローブ112が周方向に所定の間隔で配置されており、各ユニット間におけるそれら帯電器103、表面電位測定プローブ104および膜厚測定プローブ112の周方向における位置は同じである。
【0132】
各ユニット105に対して制御とデータ処理を兼ねるパソコンを1台づつ取り付け、かつこれら5台のパソコンの制御とデータ処理を行うホスト用制御パソコンを1台設けて、計6台のパソコンで測定を行った。測定は、各軸測定位置(母線測定位置)で個別に帯電測定(周方向8点)した後に膜厚測定(周方向8点)を行う、といった手順で行った。これ以外は、上述した実施例1と同様な方法で帯電特性と膜厚特性の面内むら及び膜質計算を行い、その測定について、実施例1と同様な方法で時間、装置コスト、精度、プロセススピード変化、総合評価について評価した。その評価結果は、上述した表1に示されている。この表1から分かるように、実施例5では、比較例1に対して、時間および測定精度が向上し、総合評価が良くなったことがわかる。また、実施例5では、実施例1〜4と比較して時間が早くなったことがわかる。
【0133】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、感光体の帯電特性、感光特性、分光特性、暗減衰特性、光メモリー特性といった特性評価だけでなく、膜質特性といった電子写真に関わる様々な特性を正確に、しかも効率よく評価することができる。
【0134】
また、感光体の検査時における測定精度、および再現性が向上するといった効果を奏するだけでなく、新規の感光体を開発する上でもより大きな効果を発揮する。即ち、新規の電子写真装置の試作機さえも完成しない開発の初期段階において、完成後の電子写真装置と同等の条件において様々な特性を評価することが可能となり、感光体製作時の成膜処方と電子写真特性との相関を極めて高精度に把握することができる。この結果、開発の初期段階において開発の方向性を見定めることができ、新規の感光体の開発期間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す感光体特性評価装置に用いられる露光装置の一構成例を示す模式図である。
【図3】(a)および(b)は、図1に示す感光体特性評価装置に用いられる、感光体の回転を検出するセンサー装置の一構成例を示す模式図である。
【図4】図1に示す感光体特性評価装置の膜厚測定機能部の一構成例を示す構成図である。
【図5】反射率強度と波長の関係を示すグラフである。
【図6】(a)は感光体の全層膜厚の周方向分布の測定例を示す図、(b)は感光体の表面層膜厚の周方向分布の測定例を示す図である。
【図7】感光体の帯電特性の帯電前露光波長に対する依存性の測定例を示す図である。
【図8】
帯電前露光メモリー特性の測定例を示す図である。
【図9】帯電前露光メモリーの露光波長に対する依存性の測定例を示す図である。
【図10】母線方向の帯電ムラの測定例を示す図である。
【図11】図1に示す感光体特性評価装置において行われる膜質評価の一手順を示す不ルーチャートである。
【図12】(a)は感光体方向に流れる電流と感光体表面電位の測定例を示す図、(b)は帯電特性の評価法を模式的に示す原理説明図である。
【図13】感光体の表面電位の時間変化量の測定方法を説明するための図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。
【図15】図14に示す感光体特性評価装置の変形例を示す断面図である。
【図16】(a)は感光体のE−V特性の測定例を示す図、(b)は感光体の感光特性の評価法を模式的に示す原理説明図である。
【図17】感光体の感度の露光波長に対する依存性の測定例を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。
【図19】(a)および(b)は、感光体の光メモリーの測定法を説明するための図である。
【図20】(a)および(b)は、感光体の光メモリーの別の測定法を説明するための図である。
【図21】本発明の第4の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。
【図22】感光体の帯電特性の感光体表面温度に対する依存性の測定例を示す図である。
【図23】感光体の帯電特性の感光体母線方向分布の測定例を示す図である。
【図24】感光体の帯電特性の感光体周方向分布の測定例を示す図である。
【図25】感光体の帯電特性の感光体全面にわたる分布の測定例を示す図である。
【図26】本発明の第5の実施形態の感光体特性評価装置の概略構成を示す断面図である。
【図27】図26に示す感光体特性評価装置の変形例を示す模式図である。
【図28】図26に示す感光体特性評価装置の変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
101 感光体
102、102a、107 露光装置
103 帯電器
104、109 表面電位測定プローブ
105 作動ユニット
106 光ファイバー
110 温度センサー
111 偏芯量測定センサー
112 膜厚測定プローブ
115 台座
116a、116b 支持部
201 基板
202 LED
203 開口部
204 光線
205 収容部
301 膜厚測定機本体
302 ハロゲン光源
304 コンピュータ装置
305 プリンター
306 Y型光ファイバー
312 膜厚測定プローブ
1901 回転板
1902 窓
1903 フォトセンサー
1904 回転棒

Claims (1)

  1. 円筒状の感光体の表面電位を測定する表面電位測定手段と、前記表面電位測定手段の測定位置と同じ位置を測定するように設けられた、前記感光体の膜厚を測定する膜厚測定手段と、
    前記表面電位測定手段および膜厚測定手段による各測定を制御するとともに、該各測定の結果から前記感光体の膜質特性を計算する制御手段とを有することを特徴とする感光体特性評価装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012189952A (ja) * 2011-03-14 2012-10-04 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体の特性評価装置および特性評価方法

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