JP2004197835A - 配管継手と配管継手構造及び配管継手方法 - Google Patents

配管継手と配管継手構造及び配管継手方法 Download PDF

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Abstract

【課題】雄側継手部を雌側継手部に挿入する際、雄側継手部のがたつきをなくしてシール性を向上できる配管継手を提供すること。
【解決手段】第1の配管部材2には雄側継手部22に膨出部24を形成し、第2の配管部材3には雌側継手部32に膨拡部35を形成する。第2の配管部材3に装着する配管継手(係止部材)10は、雌側継手部22の膨拡部35に支持される本体リング部11と膨出部24に係合する爪部15とを備えて形成する。雄側継手22を雌側継手32内に挿入すると、爪部15が拡径して雄側継手部22を挿入可能とする。雄側継手部22が雌側継手部32内に挿入し終えると、係止部材10の爪部15は、膨出部24の係合面26に係合する。この際、係止部材10内に配置したコイルばね18が雄側継手22のテーパ外面25と雌側継手32のテーパ内面34を圧接するように作用して両配管部材を接続固定する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流体用配管部材、例えば、冷凍サイクルの冷媒用配管部材を連結するのに好適な配管継手と配管継手構造及び配管継手方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、冷凍サイクルの冷媒用配管部材を連結する配管継手においては、雄側継手部を有する第1の配管部材と雌側継手部を有する第2の配管部材とを連結する際、コストアップにならないように構成することや、配管継手の部位におけるがたつきをなくして水分や異物が浸入しないようにシール性を向上して構成することが課題として挙げられていた。例えば、従来の配管継手においては、図16に示すような配管継手構造(特許文献1)または図17に示すような配管継手構造(特許文献2)が知られている。
【0003】
この特許文献1に示されている配管継手では、配管外周面より膨拡状の鍔部101を有する第1の配管部材100とテーパ外面106を有する第2の配管部材105とを接続した後で、両配管部材100・105を固定する配管継手としての第1の固定部材110と第2の固定部材115とが、それぞれ第1の配管部材100と第2の配管部材105を覆うように構成されている。第1の固定部材110は、筒状に形成されるとともに内部に螺旋状の突起部111を備え、第2の固定部材115は、筒状に形成されるとともに突起部111に係合可能な爪部116を備えている。そして第1の配管部材100が第2の配管部材105に挿入された後、第2の固定部材115を第1の固定部材110に対して回転させることによって、爪部116が突起部111に係合されて第1の固定部材110と第2の固定部材115がロックされ、それに伴って、第1の固定部材110の筒部の先端に形成される鍔部係合部112が、第1の配管部材100の鍔部101を押圧し、第2の固定部材115のテーパ内面117が第2の配管部材105のテーパ外面106を押圧することによって、第1の配管部材100と第2の配管部材105とが連結可能に構成される。
【0004】
また後者の特許文献2に示されている配管継手構造では、雄側配管120を雌側配管125に接続する際、雄側配管120の挿入部121には、継手部材130を外嵌させるとともに、挿入部121内に筒状圧入部材122を嵌入することによって挿入部121を拡径させて継手部材130を挿入部121に固着させている。継手部材130は、雄側配管120の挿入部121に外嵌する筒状基部131と、筒状基部131の外周縁部の任意の箇所から雌側配管125側に向かって突出するとともに先端側に係止爪部133を有する複数のアーム部132とを備えている。
【0005】
一方、雌側配管125は、雄側配管120の挿入部121の外周面と複数のアーム部との間を挿入するように形成されるとともに、外周面には前述のアーム部133に係止可能な爪部126を備えている。
【0006】
そして、継手部材130を装着した雄側配管120を雌側配管125に挿入することによって、継手部材130のアーム部132の係止爪部133と雌側配管125の爪部126とが係止することによって、雄側配管120と雌側配管125とは、軸方向に脱着されずに接続することができる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−332563号公報(4〜5頁、図1)
【特許文献2】
特開平11−344183号公報(4〜8頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の特許文献1に示されている配管継手構造においては、第1の固定部材110と第2の固定部材115とを第1の配管部材100と第2の配管部材105と別に製作してそれぞれ突起部111あるいは爪部116を備えてそれぞれ係合するように構成していることから、部品点数が増えて両固定部材110・115の成形費がコストアップとなるとともに、第1の固定部材110に第2の固定部材115を回転して挿入することから、第1の配管部材100と第2の配管部材105をワンタッチで挿入することができずに短時間での作業を行うことができなかった。
【0009】
さらに、配管コネクタ構造が互いに離れる方向に付勢されていることから、がたつきを生じて外部からの水分や異物の浸入の虞れが発生していた。
【0010】
また、後者の場合では、継手部材130に形成されているアーム部132は、筒状基部131の外周面から複数突出して形成されるとともに、係止爪部133と爪部126との係止状態が相互に圧接する方向に力が付加されていないことから、雄側配管120と雌側配管125とは密閉するようには構成されていない。従って、前述と同様、外部からの水分や異物の浸入の虞れが生じていた。
【0011】
外部から水分や異物が浸入して冷媒とともに流れることによって、冷媒の流れを悪くしたり熱交換器の作動を低下させたりする要因となっていた。
【0012】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、コスト低減は勿論のこと、第1の配管部材と第2の配管部材をワンタッチで接続するとともにシール性の向上を図ることのできる配管継手及び配管継手構造及び配管継手方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る配管継手では、上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、第1の配管部材あるいは第2の配管部材に支持された配管継手で、雄側継手部に膨出部を有する第1の配管部材と、雌側継手部に膨拡部を有する第2の配管部材とを接続するように構成されている。
【0014】
配管継手は、第1の配管部材あるいは第2の配管部材に支持される本体リング部と、第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部に係合可能な爪部とを備えて拡径・縮径可能形成され、第1の配管部材の雄側継手部を第2の配管部材の雌側継手部に向かって付勢するか、あるいは第2の配管部材の雌側継手部を第1の配管部材の雄側継手部に向かって付勢する付勢手段を配設している。
【0015】
そして、配管継手を第1の配管部材の雄側継手部あるいは第2の配管部材の雌側継手部のいずれかに支持して、対向するいずれかの配管部材に向かって挿入する際、配管継手の爪部は、第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部に当接することによって本体リング部に対して拡径方向に撓む。爪部がさらに進入して、第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部を越えると、拡径方向に撓んでいた爪部は縮径して第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部端面と係合する。
【0016】
この際、第1の配管部材と第2の配管部材とはテーパ面どうしで当接することとなり、付勢手段はお互いのテーパ面を圧接する方向に付勢力を付与することから、第1の配管部材と第2の配管部材とはその接触面のシール性を向上することができる。しかも、第1の配管部材と第2の配管部材はワンタッチで挿入できることから短時間での接続が可能となるとともに、配管継手が1部品で構成できることから部品点数を少なくしてコスト低減を図ることができる。
【0017】
請求項2記載の発明の配管継手では、爪部を本体リング部の円周方向に沿って少なくとも2箇所以上に形成することによって、爪部は円周方向に対して分割して配置されることとなり、拡径・縮径方向の撓みの作用を容易に行なうことができて、第1の配管部材と第2の配管部材との接続をワンタッチで行うことができる。
【0018】
また、請求項3乃至4記載の発明の配管継手では、付勢手段が樹脂製材料又は金属製のばねで形成されるか、あるいは高分子弾性材料で形成されていることから、付勢力を付与することができるとともに、付勢手段を容易に製作できることから部品コストを高くすることなく構成でき、しかも付勢手段の配管継手への装着も容易に行なうことができる。
【0019】
さらに、請求項5記載の発明では、配管継手は、本体リング部の円周方向における一部を切り欠いていることから、第1の配管部材あるいは第2の配管部材のいずれかに支持する際に、配管継手を第1の配管部材あるいは第2の配管部材の後方から装着することなく、本体リング部を切り欠き部から開いて第1の配管部材あるいは第2の配管部材に装着することができて、極めて容易に行なうことができる。
【0020】
また、請求項6記載の発明では、配管継手は、本体リング部を2分割して形成するとともに一端をヒンジ結合させて他端を開閉可能に形成していることから、請求項4記載の発明と同様に、第1の配管部材あるいは第2の配管部材のいずれかに支持する際に、本体リング部を開いて第1の配管部材あるいは第2の配管部材に装着した後、ロック機構でロックすれば、配管継手を第1の配管部材あるいは第2の配管部材の後方から装着することなく、極めて容易に配管継手のいずれかの配管部材への装着作業を行なうことができる。
【0021】
また、請求項7記載の発明による配管継手構造は、膨出部を形成した雄側継手部を有する第1の配管部材と膨拡部を形成した雌側継手部を有する第2の配管部材とを配管継手部材でワンタッチで接続できるように構成されている。
【0022】
つまり、配管継手部材は、第1の配管部材あるいは第2の配管部材に支持される本体リング部と、第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部に係合可能な爪部とを備えて拡径・縮径可能形成され、第1の配管部材の雄側継手部を第2の配管部材の雌側継手部に向かって付勢するか、あるいは第2の配管部材の雌側継手部を第1の配管部材の雄側継手部に向かって付勢する付勢手段を配設している。
【0023】
そして、配管継手部材を第1の配管部材の雄側継手部あるいは第2の配管部材の雌側継手部のいずれかに支持して、対向するいずれかの配管部材に向かって挿入する際、配管継手部材の爪部は、第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部に当接すると、本体リング部に対して拡径方向に撓む。爪部がさらに進入して、第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部を越えると、拡径方向に撓んでいた爪部は縮径して第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部端面と係合する。
【0024】
この際、第1の配管部材と第2の配管部材とはテーパ面どうしで当接することとなり、付勢手段はお互いのテーパ面を圧接する方向に付勢力を付与することから、第1の配管部材と第2の配管部材とはその接触面のシール性を向上することができる。しかも、第1の配管部材と第2の配管部材はワンタッチで挿入できることから短時間での接続が可能となるとともに、配管継手部材が1部品で構成できることから部品点数を少なくしてコスト低減を図ることができる。
【0025】
請求項8記載の発明の配管継手方法では、膨出部を形成した雄側継手部を有する第1の配管部材と膨拡部を形成した雌側継手部を有する第2の配管部材とを配管継手部材でワンタッチで接続できる方法を示すものである。
【0026】
配管継手部材は、第1の配管部材あるいは第2の配管部材に支持される本体リング部と、第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部に係合可能な爪部とを備えて拡径・縮径可能形成され、第1の配管部材の雄側継手部を第2の配管部材の雌側継手部に向かって付勢するか、あるいは第2の配管部材の雌側継手部を第1の配管部材の雄側継手部に向かって付勢する付勢手段を配設している。
【0027】
第1の配管部材あるいは第2の配管部材を接続する前に、配管継手部材を第1の配管部材あるいは第2の配管部材に装着支持した後、付勢手段の一端を爪部に当接させないように、予め圧縮仮止め手段を配管継手部材に挿入させることによって、撓ませておく。
【0028】
そして、配管継手部材を装着支持した第1の配管部材の雄側継手部あるいは第2の配管部材のいずれかを、対向するいずれかの配管部材に向かって挿入すると、配管継手部材の爪部は第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部に当接して本体リング部に対して拡径方向に撓む。その後、爪部がさらに進入して、第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部を越えると、拡径方向に撓んでいた爪部は縮径して第1の配管部材の膨出部あるいは第2の配管部材の膨拡部端面と係合する。この際、配管継手部材の爪部が係合した後に爪部に付与する付勢手段の付勢力を予め作用させておくことによって、爪部の係合する際の挿入力を軽減することになるから、第1の配管部材あるいは第2の配管部材の挿入作業を容易に行うことができる。
【0029】
第1の配管部材と第2の配管部材が接続できると、圧縮仮止め手段を配管継手部材から脱着する。
【0030】
この際、第1の配管部材と第2の配管部材とはテーパ面どうしで当接することとなり、付勢手段はお互いのテーパ面を圧接する方向に付勢力を付与することから、第1の配管部材と第2の配管部材とはその接触面のシール性を向上することができる。しかも、第1の配管部材と第2の配管部材は、配管継手部材の爪部を拡径・縮径方向に容易に撓ませることができ、さらに短時間で挿入できることが可能となるとともに、配管継手部材が1部品で構成できることから部品点数を少なくしてコスト低減を図ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
実施形態の配管継手構造は、図1〜2に示すように、冷凍サイクルにおける冷媒用配管部材としての雄側継手部22を有する第1の配管部材2と雌側継手部32を有する第2の配管部材3に接続する際に、配管継手(以下、係止部材という。)10を第2の配管部材3に装着して第1の配管部材2を第2の配管部材3に接続するように構成される。
【0033】
第1の配管部材2は、図1に示すように、樹脂製の材料あるいは金属製の材料からなるとともに冷媒を流通するために筒状に形成され、挿入側先端部が一般部筒部(以下、単に筒部ともいう。)21より拡径された雄側継手部22として形成されている。雄側継手部22には、Oリング5が嵌入されるシール溝23が形成されるとともに、シール溝23の反先端部側に膨出部24が形成され、膨出部24の前部に先端側に向かって小径となるテーパ外面25が形成され、膨出部24の後方に配置される一般部筒部21と膨拡部24との段差面が、係止部材10と係合する係合面26として形成されている。
【0034】
第2の配管部材3は、樹脂製の材料あるいは金属材料からなるとともに冷媒を流通するために筒状に形成され、挿入側先端部が一般部筒部(以下、単に筒部ともいう。)31より拡径されかつ一般部筒部31と一体成形により形成された雌側継手部32として形成されている。雌側継手部32には第1の配管部材2の雌側継手部22を内嵌する挿入口33と、第1の配管部材2のテーパ外面25に当接するテーパ内面34を有する膨拡部35を備えている。さらに、膨拡部35の先端にはフランジ部36が円周方の全周にわたって形成され、後端には係止部材10の端面と当接可能な突起部37が円周方向全周にわたって形成されている。
【0035】
図1の状態で、膨拡部35のフランジ部36と係止部材10との間には、係止部材10を第2の配管部材3の突起部37側に付勢して係止部材10を第2の配管部材3に支持する付勢手段としてのコイルばね18が装着されている。
【0036】
一方、係止部材10は、図3〜4に示すように、樹脂製の材料または金属材料あるいはそれらの複合材料等からなり、第2の配管部材3における雌側継手部32の膨拡部35の周りを覆う円筒状の本体リング部11と、本体リング部11から軸方向に向かって延設され軸心に向かって突出して形成され、軸心に対して対向するように配置される一対の爪部15・15とを備えて形成されている。なお、本体リング部11と一対の爪部15・15とは一体成形にて形成されている。
【0037】
また、爪部15は、内周面が直線部15aとして形成され、直線部15aから端面に向かって広がるテーパ面部15bを形成するとともに、爪部15の内側壁面は、第1の配管部材2における膨出部24の係合面26に係合可能な係合面15cとして形成されている。また、本体リング部11の内壁面は、コイルばね18の一端を係止する受け面11aとして形成されている。
【0038】
次に、上記のように構成された配管継手構造において、第1の配管部材2を第2の配管部材3に接続する手順について、図5〜6に基づいて説明する。
【0039】
まず、図5に示すように、係止部材10を第2の配管部材3の雌側継手32における膨拡部35に装着する。係止部材10は、コイルばね18の一端を本体リング部11の受け面11aに係止させた状態で、第2の配管部材3の後方から本体リング部11を第2の配管部材の筒部31に挿通させて、膨拡部35の突起部37を乗り越え、コイルばね18の他端が雌側継手32のフランジ部36に係止する位置まで移動する。
【0040】
従って、この状態では、係止部材10における本体リング部11の外端面が雌側継手部32における膨拡部35の突起部37の端面に係合し、係止部材10の爪部15は膨拡部35のフランジ部36の前方に位置することとなり、コイルばね18は、一端をフランジ部36に係止して他端を本体リング部11の受け面11aに係止することとなって、係止部材10を突起部37に向かって付勢している状態にある。
【0041】
この状態で、第1の配管部材2の雄側継手部22を第2の配管部材3の雌側継手部32の挿入口33に向かって挿入すると、図6に示すように、雄側継手部22先端で係止部材10のテーパ面部15bに係合して爪部15を押圧する。爪部15が雄側継手部22の先端部によって押圧されて拡径することによって、雄側継手部22は雌側継手部32に進入することとなり、雄側継手部22をさらに進入させると、第1の配管部材2の膨出部24が爪部15のテーパ面部15bをさらに拡径させて、第1の配管部材2の膨出部24を係止部材10内に挿入可能にする。
【0042】
次に、第1の配管部材2の雄側継手22をさらに進入させて膨出部24が爪部15を越えると、図1に示すように、第1の配管部材2の膨出部24前面に形成されたテーパ外面25が第2の配管部材3の膨拡部35の内面に形成されたテーパ内面34に当接するとともに、爪部15は縮径されて、係合面15cを膨出部24の係合面26に係合させることとなる。
【0043】
この際、コイルばね18が、第2の配管部材3のフランジ部36を押圧することによって、第2の配管部材3のテーパ内面34を第1の配管部材2のテーパ外面25に向かって付勢するとともに、係止部材10を第2の配管部材3側に軸方向に押圧することによって、第1の配管部材2のテーパ外面25を第2の配管部材のテーパ内面34に向かって付勢力を付与していることから、これによって、第1の配管部材2のテーパ外面25と第2の配管部材3のテーパ内面34とが密着され、第1の配管部材2は軸方向に移動を規制されてがたつきをなくした状態で、第1の配管部材2と第2の配管部材3とが接続固定されることとなる。
【0044】
上記のように、実施形態の配管継手構造では、第1の配管部材2と第2の配管部材3との間に係止部材10を配置させ、係止部材10に第2の配管部材3の雌側継手部32を覆う本体リング部11と第1の配管部材2に係合可能に配置する爪部15を備えることによって、第1の配管部材2の雄側継手部22を第2の配管部3の雌側継手部32内に挿入する際に、爪部15を拡径方向に撓ませることによってワンタッチで接続することができる。
【0045】
しかも、コイルばね18の付勢力で第1の配管部材2に形成されたテーパ外面25と、第2の配管部材3に形成されたテーパ内面34とを圧接させて密着状態で接触させることになるから、第1の配管部材2のがたつきを失くしてシール性を向上することができ、その結果、外部からの水分や異物の浸入を防止することができる。
【0046】
次に、係止部材10を第1の配管部材2に予め装着して、爪部15を第2の配管部材3の膨拡部32に係合する形態について図7〜9に基づいて説明する。
【0047】
係止部材10を第1の配管部材2に装着する際には、第1の配管部材2の後方から、コイルばね18とともに本体リング部11を筒部21に挿通させて雄側継手部22まで移動させる。係止部材10の爪部15が第1の配管部材2のテーパ外面25に係合する位置まで移動すると、コイルばね18の一端(先端部)は膨出部24後部の係合面26に係止し、コイルばね18の他端を本体リング部11の受け面11aに係止した状態になる。
【0048】
そして、この状態で、第2の配管部材3の雌側継手32を第1の配管部材2の雄側継手22に向かって挿入すると、図8に示すように、第2の配管部材3のフランジ部36が、係止部材10の爪部15に形成されたテーパ面部15b当に接してフランジ部36でテーパ面部15bを押圧して、爪部15を拡径方向に撓ませる。
【0049】
第2の配管部材3の雌側継手32をさらに進入させてフランジ部36が爪部15を越えると、図9に示すように、爪部15は縮径して内壁面をフランジ部36の後面に係合するとともに、第2の配管部材3のテーパ内面34が第1の配管部材2のテーパ外面25に当接する位置に達する。
【0050】
この際、コイルばね18は、一方で係止部材10の本体リング部11を第1の配管部材2の後方に向かって付勢し、他方で第1の配管部材2の係合面26を第2の配管部材3に向かって付勢していることから、第1の配管部材2のテーパ外面25と第2の配管部材3のテーパ内面34とが圧接した状態で接触することとなって、その間で密着状態を形成することができる。従って、第1の配管部材2と第2の配管部材3とのがたつきを失くしてシール性を向上することができ、その結果、外部からの水分や異物の浸入を防止することができる。
【0051】
この形態においても、爪部15は第2の配管部材3のフランジ部36で押圧されて拡径方向に撓んだ後、縮径されることから、ワンタッチで第2の配管部材3を第1の配管部材2に接続させることができる。
【0052】
次に、係止部材10の他の形態について説明する。
【0053】
図10〜11に示す係止部材40は、本体リング部41の円周上における一部に本体リング部41を断絶する切り欠き部42を形成して略C字状に形成するものである。爪部45は、軸心に対して対向するように一対設けられるとともに、本体リング部41から軸方向に突出するように延設し、延設端部から軸心方向に向かって扇形に突出させて形成している。
【0054】
係止部材40は、前述の形態と同様に、本体リング部41の内壁面にコイルばね18の一端を係止する受け面41aを形成し、爪部45には、第1の配管部材2あるいは第2の配管部材3に支持される直線部45aと、直線部45aの一端から拡径するように形成されるテーパ面部45bと、第1の配管部材2の膨出部24(係合面26)あるいは第2の配管部材3の膨拡部35(フランジ部36)に係合する係合面45cとを形成している。
【0055】
この形態の係止部材40を第1の配管部材2あるいは第2の配管部材3に装着させる場合、本体リング部41の切り欠き部42を広げて第1の配管部材2あるいは第2の配管部材3に装着すれば、係止部材40をいずれかの配管部材2又は3の後方から挿通させる必要はなく、始めから第1の配管部材2の筒部21あるいは第2の配管部材3の雌側継手32の位置で装着できることから、容易な作業で作業時間を短縮させることができる。
【0056】
さらに、図12〜13に示す別の形態の係止部材50は、本体リング部51を直径方向に2分割して第1の本体リング部51Aと第2の本体リング部51Bとに分割して形成する。第1の本体リング部51Aと第2の本体リング部51Bとは、それぞれ一端で軸52で回動可能に支持することによってヒンジ結合し、一方の本体リング部(例えば51A)にフック部材53を固定し、他方の本体リング部(例えば51B)に係止溝54を形成してロック機構を構成することによって本体リング部51を形成する。
【0057】
この形態においても、本体リング部51の内壁面にコイルばね18の一端を係止する受け面51aを形成し、爪部55には、第1の配管部材2あるいは第2の配管部材3に支持される直線部55aと、直線部55aの一端から拡径するように形成されるテーパ面部55bと、第1の配管部材2の膨出部24(係合面26)あるいは第2の配管部材3の膨拡部35(フランジ部36)に係合する係合面55cとを形成している。
【0058】
この形態の係止部材50を第1の配管部材2あるいは第2の配管部材3に装着させる場合、本体リング部51の第1の本体リング部51Aと第2の本体リング部51Bとを軸52を中心にして開放する方向に回動させてから、いずれかの配管部材(2又は3)に装着する。装着後、フック部材53を一方の本体リング部(51A又は51B)に形成された係止溝54に係止してロックすれば、係止部材50をいずれかの配管部材2又は3の後方から挿通させる必要はなく、始めから第1の配管部材2の筒部21あるいは第2の配管部材3の雌側継手32の位置で装着できることから、容易な作業で作業時間を短縮させることができる。
【0059】
さらに、配管継手方法の別の形態では、図14〜15に示すように、第1の形態における配管継手構造において、第1の配管部材2と第2の配管部材3とを接続する前に、例えば、第2の配管部材3の雌側継手32に係止部材10の本体リング部11を装着した後、コイルばね18を圧縮する方向に撓ませておく。
【0060】
つまり、圧縮仮止め部材としての4本足19aを有するクリップ19を、一方で第2の配管部材3における雌側継手32の突起部37と一対の係止部材10の本体リング部11の外端面との間、他方で雌側継手32のフランジ部36と一対の係止部材10の爪部15の内壁面との間にそれぞれ挿入する。これによって、コイルばね18は、予め圧縮方向に撓むこととなって、係止部材10の爪部15が係合した後に爪部15に付与するコイルばね18の付勢力を予め作用させておくことによって、爪部15の係合する際の挿入力を軽減することになるから、第1の配管部材あるいは第2の配管部材の挿入作業を容易に行うことができる。
【0061】
つまり、第1の配管部材2が第2の配管部材3に挿入する前は、コイルばね18は、雌側継手32のフランジ部36に支持されて本体リング部11を突起部37側に押圧して、本体リング部11と突起部37とを当接状態にし、爪部15が第1の配管部材2における膨出部24の係合面26と係合した状態では、コイルばね18は、爪部15が係合部26に支持されることによって、本体リング部11によって圧縮方向に撓むことになるから、コイルばね18の撓みによって発生する付勢力が爪部15に付与することとなる。
【0062】
従って、コイルばね18を予め撓ませておくことによって、第1の配管部材2の膨出部24で爪部15を押圧させる際のコイルばね18の爪部15に付与する付勢力を軽減することができることとなることから、弱い力でも第1の配管部材2を第2の配管部材3に挿入することができる。
【0063】
なお、本発明の配管継手または配管継手構造は上記の形態に限定するものではなく、例えば、付勢手段は、コイルばね18でなくても、軸方向に付勢力を付与するものであれば、樹脂製の材料で形成されていてもよく、また、エラストマー等の高分子弾性材料で形成されるものであってもよい。また、係止部材10に形成される爪部15は、勿論、本体リング部11に対して円周方向に沿って3個以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態による配管継手構造を示す一部断面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1における係止部材を示す正面図である。
【図4】図1における係止部材を示す側面図である。
【図5】第1の配管部材を第2の配管部材に挿入する前の作用を示す一部断面図である。
【図6】第1の配管部材を第2の配管部材に挿入している作用を示す一部断面図である。
【図7】係止部材を装着した第1の配管部材と第2の配管部材とを対向させた状態を示す一部断面図である。
【図8】図7において、第2の配管部材を挿入している作用を示す一部断面図である。
【図9】図7において、第2の配管部材を挿入した作用を示す一部断面図である。
【図10】係止部材の別の形態を示す側面図である。
【図11】同正面図である。
【図12】係止部材のさらに別の形態を示す側面図である。
【図13】同正面図である。
【図14】第1の形態の係止部材と第2の配管部材との間にクリップを差し込んだ状態を示す側面図である。
【図15】同正面断面図である
【図16】従来の配管継手構造を示す一部断面図である。
【図17】従来の別の配管継手構造を示す一部断面図である。
【符号の説明】
2 第1の配管部材
3 第2の配管部材
10 係止部材(配管継手)
11 本体リング部
15 爪部
15b テーパ面部
15c 係合面
18 コイルばね
21 筒部
22 雄側継手部
24 膨出部
25 テーパ外面
26 係合面
31 筒部
32 雌側継手部
34 テーパ内面
35 膨拡部
36 フランジ部
37 突起部

Claims (8)

  1. 雄側継手部を有する第1の配管部材には前記雄側継手部の外周面上に膨出した膨出部が形成され、雌側継手部を有する第2の配管部材は前記雌側継手部の外周面状の膨拡した膨拡部が形成されるものにおいて、前記第1の配管部材と前記第2の配管部材とをお互いにテーパ面どうしで当接可能に接続する配管継手であって、
    前記第1の配管部材あるいは前記第2の配管部材に支持される本体リング部と、前記本体リング部から軸心に向かって突出して前記第1の配管部材の膨出部あるいは前記第2の配管部材の膨拡部に係合可能な爪部と、有して形成され、
    前記爪部が、径方向に拡径・縮径可能な弾性を有して形成され、
    前記本体リング部には、前記第2の配管部材の雌側継手部を前記第1の配管部材の雄側継手側に付勢するか又は前記第1の配管部材の雄側継手部を前記第2の配管部材の雌側継手側に付勢する付勢手段の受け面が形成されていることを特徴とする配管継手。
  2. 前記爪部が、円周方向に沿って少なくとも2箇所以上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の配管継手。
  3. 前記付勢手段が、樹脂製材料又は金属材料のばねで形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の配管継手。
  4. 前記付勢手段が、高分子弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の配管継手。
  5. 前記本体リング部が、円周上の一部を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の配管継手。
  6. 前記本体リング部が、2分割して形成されるとともに一端がヒンジ結合されて開閉可能に形成されるとともに、他端にロック機構を備えて、閉じたときにロック可能に形成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の配管継手。
  7. 雄側継手部を有して前記雄側継手部の外周面上に膨出した膨出部を形成する第1の配管部材と、雌側継手部を有して前記雌側継手部の外周面上に膨出した膨拡部を形成する第2の配管部材と、前記第1の配管部材又は前記第2の配管部材に支持されて、前記第1の配管部材の膨出部あるいは前記第2の配管部材の膨拡部に係合可能な配管継手部材とを、備えて前記第1の配管部材と前記第2の配管部材とを前記配管継手部材で接続する配管継手構造あって、
    前記第1の配管部材と前記第2の配管部材とはお互いにテーパ面どうしで当接され、
    前記配管継手部材が、前記第1の配管部材あるいは前記第2の配管部材に支持される本体リング部と、前記本体リング部から軸心に向かって突出して前記第1の配管部材の膨出部あるいは前記第2の配管部材の膨拡部に係合可能な爪部と、を有して形成され、
    前記爪部が、径方向に拡径・縮径可能な弾性を有して形成され、
    前記配管継手部材には、前記第2の配管部材の雌側継手部を前記第1の配管部材の雄側継手側に付勢するか又は前記第1の配管部材の雄側継手部を前記第2の配管部材の雌側継手側に付勢する付勢手段を配設することを特徴とする配管継手構造。
  8. 雄側継手部を有して前記雄側継手部の外周面上に膨出した膨出部を形成する第1の配管部材と、雌側継手部を有して前記雌側継手部の外周面上に膨出した膨拡部を形成する第2の配管部材と、前記第1の配管部材又は前記第2の配管部材に支持されて、前記第1の配管部材の膨出部あるいは前記第2の配管部材の膨拡部に係合可能な配管継手部材とを、備え、
    前記第1の配管部材と前記第2の配管部材とはお互いにテーパ面どうしで当接され、
    前記配管継手部材が、前記第1の配管部材あるいは前記第2の配管部材に支持される本体リング部と、前記本体リング部から軸心に向かって突出して前記第1の配管部材の膨出部あるいは前記第2の配管部材の膨拡部に係合可能な爪部と、有して形成され、
    前記爪部が、径方向に拡径・縮径可能な弾性を有して形成され、
    前記配管継手部材には、前記第2の配管部材の雌側継手部を前記第1の配管部材の雄側継手部側に付勢するか又は前記第1の配管部材の雄側継手部を前記第2の配管部材の雌側継手部側に付勢する付勢手段が配設されるものにおいて、前記第1の配管部材と前記第2の配管部材とを配管継手部材で接続する配管継手方法あって、
    前記第1の配管部材と前記第2の配管部材とを接続する前に、前記配管継手部材に、前記付勢手段を予め圧縮方向に撓ませる圧縮仮止め手段を着脱可能に配置させ、前記爪部が前記第1の配管部材の雄側継手部あるいは第2の配管部材の雌側継手部に当接して拡径させ、係合した後において、前記圧縮仮止め手段を脱着することを特徴とする配管継手方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010095925A (ja) * 2008-10-17 2010-04-30 Maruichi Corp 遠隔操作式排水栓装置とその施工方法
JP2019522767A (ja) * 2016-06-13 2019-08-15 アイデックス ヘルス アンド サイエンス エルエルシー 迅速接続/接続解除のための流体接続アセンブリ
US11187360B2 (en) 2014-10-23 2021-11-30 Idex Health & Science Llc Fluidic connector assembly for quick connect/disconnect

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