JP2004196151A - 船外機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船外機1のエンジンカバー12内に運転状態検出装置を含む通信ユニット28を設ける。通信ユニット28に接続される通信機としての携帯電話機PHを収容する通信機収容室34をカバー12に枢支して外部から携帯電話機を出し入れ自在とする。携帯電話機PHで通信ユニットによって運転状態を自動的に外部に伝達できるほか、乗員が任意にリモートセット38を使って携帯電話機PHを使用できるようにすることもできる。通信コネクタ36は携帯電話機PHの外部接続端子に適合していて、通信ユニット28およびリモートセット38に携帯電話機PHが接続される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機に関し、特に、運転状態等のデータを外部に送信することができる無線通信装置を備える船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両において、車両の運転状態等を離れた位置で監視することが知られている。例えば、特開平9−315272号公報には、送信機付きの故障診断装置を車両に搭載し、診断結果を基地局に送信するようにした車両が開示されている。送信機を搭載した車両では、ラジオ受信用のアンテナや車両外部に突き出させた専用のアンテナを使用して基地局へデータを送信している。
【0003】
船舶に利用される船外機も過酷な条件下で長時間稼働し続けることが要求されるので、適切なメンテナンスのための情報を保守管理施設に送信することが考えられる。船外機を利用した小型船舶の場合、船外機が艇体に対して独立して後付けされることもあって、送受信のためのアンテナ類はキャビン内などの操舵位置に近い場所に設けられることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
船外機自体に通信装置を組み込もうとした場合、船外機からアンテナ類の位置が離れているので、配線の手間がかかるとか、長い配線のためにノイズ対策が必要になる等、課題が多い。特に、船外機は種々の艇体と組み合わせて使用されるため、配線経路等の違いを考慮して個別の対応が必要になり調整に手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消し、配線の手間がからず、取り付けられる艇体の種別を考慮しなくてもよいようにした船外機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、 推進器および推進器駆動用の内燃機関で構成される本体と、前記内燃機関を着脱自在に覆うカバーとを有する船外機において、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出装置と、前記運転状態検出装置が出力する運転状態検出信号を外部へ送信するための通信機を収容する通信機収容室とを具備し、前記通信機収容室が、外部からアクセス可能な状態で前記カバーに装着されている点に第1の特徴がある。
【0007】
第1の特徴によれば、通信機の設置場所としてのキャビン等を持たない船舶において、通信機を船外機のカバー内に収容することができる。通信機と運転状態検出装置とが近接しているため、配線経路を極めて短くすることができる。したがって、配線経路に乗るノイズを低減することができる。ノイズ源となりやすい内燃機関との位置関係が固定されるため、船外機単体でノイズに対する対策や確認を行うことができる。
【0008】
また、本発明は、前記通信機収容室が、前記カバーの一部をなす蓋体と、該蓋体に結合されて前記カバー内側に収まる保持部材とからなり、前記蓋体が、前記カバーに枢支されて開閉自在である点に第2の特徴がある。通信機がカバー内部に収まる保持部材に収容され、カバーと一体になる蓋体で覆われるので、外観がシンプルであるし、被水等を伴う厳しい使用環境下で通信機を保護することができる。
【0009】
また、本発明は、前記通信機収容室には、収容される通信機と前記運転状態検出装置とを接続するため、該通信機の接続端子に適合される通信コネクタが設けられている点に第3の特徴がある。第3の特徴によれば、通信機を運転状態検出装置に接続した状態で通信機収容室に装着することができる。
【0010】
また、本発明は、前記保持部材が、収容される通信機を保護する緩衝機能を備えている点に第4の特徴がある。通信機は、振動が激しい船外機で比較的振動が小さいカバーに装着されて、かつ緩衝に配慮された保持部材で保持される。
【0011】
また、本発明は、前記カバーおよび前記通信機収容室の蓋体が樹脂で形成されている点に第5の特徴がある。カバーおよび蓋体を成型が容易な樹脂で形成することによって外観を良好にすることができる。また、通信機のアンテナを全て樹脂カバー内部へ収容できるため外観性が向上し、かつアンテナを厳しい使用環境から保護することができる。
【0012】
また、本発明は、前記通信コネクタが、前記通信機を遠隔操作するためのリモートセットに接続可能に構成されている点に第6の特徴がある。運転状態を外部に伝達する場合にだけ通信機を使用するのに限定されず、リモートセットを用いて通信を行うことができる。
【0013】
また、本発明は、前記通信機が携帯電話機である点に第7の特徴がある。携帯電話機を運転状態の伝達のために使用できるし、必要に応じて、カバーを開けて携帯電話機を取り出し、通常の音声通話や緊急連絡などを行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る船外機の右側面図であり、図2は船外機の要部断面図である。船外機1は、多気筒4サイクルの内燃機関(エンジン)2を搭載する。エンジン2はそのクランク軸3が上下に延びたバーチカルタイプであり、クランク軸3から下方に駆動軸4が延びる。駆動軸4の下端はギヤ装置5を介してプロペラ軸6に連結され、このプロペラ軸6には推進器としてのプロペラ7が取り付けられる。
【0015】
エンジン2の下部は、アンダーケース8、アンダーカバー9およびエクステンションケース10に収容され、ギヤ装置5およびプロペラ軸6はギヤケース11に収容される。一方、エンジン2の本体部分つまり上部は、着脱自在なエンジンカバー12で覆われる。アンダーケース8、アンダーカバー9、およびエクステンションケース10は金属で、エンジンカバー12は樹脂で形成される。
【0016】
エンジン2は、シリンダ軸線が水平になるように配置された4つのシリンダ21とピストン22とを有する。シリンダ21はシリンダブロック23とシリンダヘッド24で形成され、シリンダヘッド24にはシリンダカバー25が被せられる。シリンダヘッド24から延びる吸気マニホルド13は消音器14に結合される。シリンダヘッド24から突き出しているカムシャフト26はベルト15を介してクランク軸3に連結される。さらにクランク軸3はベルト16を介して発電機17の軸18に連結される。ベルト15,16はベルトカバー19で覆われる。
【0017】
船外機1には、船外機取り付け具27が設けられる。船外機取り付け具27は略垂直に延びる左右揺動軸271に結合される第1ブラケット272と、該ブラケット272に対して上下揺動軸273により上下揺動自在に設けられた第2ブラケット274とを有する。第2ブラケット274で船舶Sに船外機1が固定される。
【0018】
エンジンカバー12の上部には吸気取り入れ口20が設けられる。エンジンカバー12の上部内面にはアンテナを含む通信ユニット28が配置される。エンジンカバー12の後部つまり船舶S側の壁面には通信機収容室34が設けられる。通信機収容室34は、例えば携帯電話機PHを受け入れ可能に構成され、ピボット35によって開閉自在にエンジンカバー12に支持される。外側から開閉自在とすることによって、中に収容される携帯電話機PHの装着および取り出しなどのアクセスが容易である。
【0019】
通信機収容室34は、収容される通信機を、振動と被水とから保護するため、防水構造と緩衝構造を有する。すなわち、エンジンカバー12との会合部には、防水および緩衝のためのシール部材が配される。図1では、通信機収容室34がピボット35を中心にして外側に開かれていて、該通信機収容室34に対して携帯電話機PHを出し入れ可能である。通信機収容室34の底部には携帯電話機PHの外部接続端子を接続できる通信用コネクタ36が設けられる。通信ユニット28と通信機収容室34に収容された携帯電話機PHとが接続されるように、通信ユニット28から引き出されたケーブル33が、通信用コネクタ36に接続される。
【0020】
通信用コネクタ36に接続されたケーブル33は延長されてエンジンカバー12の外部に引き出すことができる。ケーブル33の延長部37の先には携帯電話機PHを遠隔で操作できるようにリモートセット38を接続することができる。リモートセット38は、送受信表示用LED381,通話ボタン382,通話終了(切り)ボタン383、およびスピーカ/マイクロフォン384を設けることができる。リモートセット38に取り付けられる機能ボタンなどはこれらに限らず、携帯電話機PHを遠隔操作するために必要な機能を任意に選択して設けることができる。
【0021】
なお、ケーブル延長部37は、リモートセット38を操船者の近くに置けるように長さを設定できる。また、リモートセット38とエンジンカバー12との間には、任意の位置に中間接続部を配することができる。遠隔操作を必要とするときだけ、リモートセット38をエンジンカバー12に接続することができるようにするためである。リモートセット38と携帯電話機PHとの間はケーブル33や延長部37で接続するのに限らず、周知の短距離無線通信技術を使って無線で接続してもよい。
【0022】
図3は、通信機収容室34の拡大斜視図である。同図において、通信機収容室34は蓋体341と通信機保持フレーム342とからなる。蓋体341はエンジンカバー12の一部をなすものであり、外形つまり輪郭はエンジンカバー12の輪郭に一致させた形状を有し、材質はエンジンカバー12と同一または同等の樹脂製であるのがよい。蓋体341には、緩衝部材を配することをすでに述べたが、通信機保持フレーム342に関しても、緩衝機能を有する材質で形成するか、少なくとも、収容される携帯電話機PHと接する面には、緩衝のためのゴムのシート等が貼られているのが好ましい。
【0023】
通信機保持フレーム342の底部中央部に通信用コネクタ36が配され、通信用コネクタ36の両側と通信機保持フレーム342との間に隙間39を形成してある。通信機保持フレーム342に収容された携帯電話機PHのアンテナは、通信用コネクタ36を回避して隙間39内に収まることができる。通信機保持フレーム342の側部には、前記ピボット35のピンを受け入れる孔35aが形成される。
【0024】
通信機保持フレーム342には、エジェクトボタン40を設けることができる。通信用コネクタ36に接続された携帯電話機PHの外部接続端子を、ばねによってロックするような構造を採用するのが望ましく、そのような場合に、エジェクトボタン40を押して、ロック方向に付勢されているばねを解放させることができる。
【0025】
蓋体341の上端内側には該蓋体341をエンジンカバー12に固定するためのフック41が設けられる。このフック41は、板ばねを屈曲させて、エンジンケース12側に設けられるフック受け(図示せず)に係合させる。このようなフックとフック受けによる蓋体のロック機構は、従来から蓋を留めるために広く用いられているものを使用できる。
【0026】
通信機収容室34は、蓋体341と通信機保持フレーム342とが一体であるため、蓋体341を開けると通信機保持フレーム342がエンジンカバー12から外側に突出する。したがって、収容されている携帯電話機PHに対するアクセスが極めて良好である。
【0027】
図4は上記船外機に搭載される通信システムの概要図である。通信ユニット28はCPU281、EEPROM282、通信インタフェース284、および電源部285を備える。ECU29はエンジン2の運転を制御する制御装置であって、エンジンの運転状態、例えば、エンジンオイル量、エンジン温度等を検出する運転状態検出装置としての機能を備える。
【0028】
通信インタフェース284はECU29に接続され、ECU29で検出されたエンジン2の運転状態を示す情報等を読み込む。この情報等は、通信機283から無線を介して基地局30へ通信される。通信機283は、例えば、前記通信機収容室34に収容される携帯電話機PHとすることができる。
【0029】
携帯電話機PH等の通信機283は、通信ユニット28からの指示に従って外部と通信する。こうして、通信ユニット28と通信機283とで船外機本体のエンジンカバー12内に収容される無線通信システムを構成する。
【0030】
ECU29は船外機1に設けられる各種センサによる検知データを通信ユニット28に送信し、通信ユニット28は通信機283を通じて船外機1の状態データをマリーナなどに設けた基地局30へ送出し、基地局30では、状態データを監視すると共に、状態変化などを予め設定したメンテナンス会社やメーカ販売店などへ一般の公衆回線網100を介して送出する。
【0031】
船外機1にはGPS(全地球側位システム)の信号を受信するGPS受信回路31を搭載することができる。その場合、通信ユニット28のCPU281、GPS受信回路31で検出された位置情報に基づいて船舶の位置(自己位置)が算出される。
【0032】
上述のように、エンジンカバーの内部に携帯電話機等の通信装置を設けたので、船外機を船舶に後付けした場合であっても、船舶の甲板上にケーブルを引き回すことも無くなり、ノイズを拾いにくくなる。また、甲板上での作業に支障を生じさせることもない。通信装置とアンテナとの位置関係や、これらと船外機との位置関係が予め確定できる。したがって、エンジンを含めた船外機と通信装置やアンテナとの干渉や、動作上の不具合について事前に確認や対策が可能である。また、エンジンカバー内に収容した携帯電話機は、被水から保護されるし、外観上も良好である。
【0033】
なお、本実施形態では、通信機283として携帯電話機PHを使用した例を示したが、携帯電話機PHに代えて、パケット通信機を通信機収容室34に収容するようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、請求項1〜7の発明によれば、内燃機関のカバーで通信機を覆うことができるので、船外機の外観が良好に維持されるし、ノイズ対策も容易である。特に、船外機単体で組み立て時にノイズの調査や対策を講じることができる。
【0035】
請求項3の発明は、通信機に内燃機関や船舶の振動が伝達されにくいように対策されている。また、請求項4の発明では、通信機と運転状態検出装置との接続が容易にできる。
【0036】
請求項5の発明では、成型や着色が自在な樹脂材料によって、通信機を収納可能で、しかも外観良好な船外機を提供することができる。請求項6の発明によれば、遠隔操作によって通信機を使用することができる。また、通信機のアンテナを全て樹脂カバー内部へ収容できるため外観性が向上し、かつアンテナを厳しい使用環境から保護することができる。請求項7の発明によれば、携帯電話機を使って運転状態を自動的に伝達できるし、必要に応じてカバーから携帯電話機を取り外して乗員が自ら必要な情報の伝達や緊急連絡等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る船外機の側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る船外機の要部断面図である。
【図3】通信機収容室の斜視図である。
【図4】携帯電話機を含む通信システムのブロック図である。
【符号の説明】
1…船外機、 2…エンジン、 12…エンジンカバー、 28…通信ユニット、 33…ケーブル、 34…通信機収容室、 35…ピボット、 36…通信コネクタ、 38…リモートセット
Claims (7)
- 推進器および推進器駆動用の内燃機関で構成される本体と、前記内燃機関を着脱自在に覆うカバーとを有する船外機において、
前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出装置と、
前記運転状態検出装置が出力する運転状態検出信号を外部へ送信するための通信機を収容する通信機収容室とを具備し、
前記通信機収容室が、外部からアクセス可能な状態で前記カバーに装着されていることを特徴とする船外機。 - 前記通信機収容室が、前記カバーの一部をなす蓋体と、該蓋体に結合されて前記カバー内側に収まる保持部材とからなり、
前記蓋体が、前記カバーに枢支されて開閉自在であることを特徴とする請求項1記載の船外機。 - 前記通信機収容室には、収容される通信機と前記運転状態検出装置とを接続するため、該通信機の接続端子に適合される通信コネクタが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の船外機。
- 前記保持部材が、収容される通信機を保護する緩衝機能を備えていることを特徴とする請求項2記載の船外機。
- 前記カバーおよび前記通信機収容室の蓋体が樹脂で形成されていることを特徴とする請求項2記載の船外機。
- 前記通信コネクタが、前記通信機を遠隔操作するためのリモートセットに接続可能に構成されたことを特徴とする請求項3記載の船外機。
- 前記通信機が携帯電話機であることを特徴とする請求項1記載の船外機。
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