JP2004196142A - 空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフザロード用空気入り重荷重ラジアルタイヤについて、タイヤ外径の成長を、バックリングを発生させることなしに抑制する。
【解決手段】トレッド部の幅方向中央にタイヤの周りに沿って延びる周方向溝を備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記周方向溝を、トレッド部の幅の4〜10%の溝幅とトレッド部の幅方向中心におけるゴムの厚さの30〜60%の溝深さを有するものとし、前記トレッド部の内側に、ベルト角度が10〜40°、ベルト幅がトレッド部の幅の50〜90%になるスチールコード層を少なくとも3層積層した主幹ベルトと、この主幹ベルトの内側に位置しベルト角度が5〜10°、ベルト幅がトレッド部の幅の25〜60%の少なくとも1層の狭幅バイアス補強ベルトからなり、ベルト拡張率が4.5%以下のベルト層を配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】トレッド部の幅方向中央にタイヤの周りに沿って延びる周方向溝を備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記周方向溝を、トレッド部の幅の4〜10%の溝幅とトレッド部の幅方向中心におけるゴムの厚さの30〜60%の溝深さを有するものとし、前記トレッド部の内側に、ベルト角度が10〜40°、ベルト幅がトレッド部の幅の50〜90%になるスチールコード層を少なくとも3層積層した主幹ベルトと、この主幹ベルトの内側に位置しベルト角度が5〜10°、ベルト幅がトレッド部の幅の25〜60%の少なくとも1層の狭幅バイアス補強ベルトからなり、ベルト拡張率が4.5%以下のベルト層を配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設車両等に装着して好適な空気入りラジアルタイヤ(オフザロード用空気入り重荷重ラジアルタイヤ)及びその製造方法に関し、補強ベルトのせり出しに起因したタイヤのバックリングを、接地性や耐偏摩耗性等に影響を与えることなしに有利に改善しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
建設車両等は生産性の改善を図る観点から、より大型化されてきており、これに伴ってタイヤも次第に大型化される傾向にある。また、かかる車両は大型化とともに高速化も進んでおり、この場合、タイヤのトレッド部における発熱が大きくなってトレッド部のヒートセパレーション等の故障原因となることが懸念され、この点に関しては、ラグパターンを有する空気入りタイヤにつき、タイヤ接地最大幅の50%に対応するセンター領域に凹部を設け、ラグ溝を除いたセンター領域のネガティブ率を10〜25%にしてトレッド部のヒートセパレーション等の故障を回避する技術が提案されている(先行特許文献1参照)。
【0003】
【先行特許文献1】
特開2001−277816号公報。
【0004】
また、この種のタイヤは要求負荷能力が高まるにつれてベルトにかかる張力も増大していくため、とくに、上記のような凹部を設けたタイヤにおいては使用中のタイヤ外径の成長も顕著であって、ベルト耐久性の低下、トレッド中央における偏摩耗等の問題も生じている。
【0005】
タイヤ外径の成長を抑制するには、幅の狭いローアングルバイアス補強ベルトをクラウンセンター領域に配置することがその対策の1つとして挙げることができるものの、この場合、生タイヤの状態でベルトの両外側域にせり出しが生じ、その結果として製品タイヤでベルト層がカーカス層とともに凹となる、所謂、バックリングが発生する不具合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、とくに周方向溝を有するオフザロード用空気入り重荷重ラジアルタイヤにおいて顕著であったタイヤ外径の成長を、バックリングを伴うことなしに抑制できる新規な空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法を提案するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トレッド部の幅方向中央にタイヤの周りに沿って延びる周方向溝を備えた空気入りラジアルタイヤであって、
前記周方向溝は、トレッド部の幅の4〜10%の溝幅とトレッド部の幅方向中心におけるゴムの厚さの30〜60%の溝深さを有するものであり、
前記トレッド部の内側に、ベルト角度が10〜40°、ベルト幅がトレッド部の幅の50〜90%になるスチールコード層を少なくとも3層積層した主幹ベルトと、この主幹ベルトの内側に位置しベルト角度が5〜10°、ベルト幅がトレッド部の幅の25〜60%の少なくとも1層の狭幅バイアス補強ベルトからなり、ベルト拡張率が4.5%以下のベルト層を配置したことを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
【0008】
上記の構成になる空気入りラジアルタイヤにおいて、トレッド部は、その幅方向の中央部に周方向溝に対応する環状凹部を備えた生トレッド部として準備され、それを加硫、成型したものが望ましい。
【0009】
また、環状凹部は製品タイヤの溝幅の100〜200%の幅と製品タイヤの溝深さの80〜100%の深さを有するものが好適である。
【0010】
トレッド部は、トレッドゴムのゴムシートを複数枚積層した積層体にて構成することができる。
【0011】
また、本発明は、トレッド部の幅方向中央にタイヤの周りに沿って延びる周方向溝を有する空気入りラジアルタイヤを製造するに当たり、
ベルト層の外側にてタイヤの幅方向の全域にわたってゴムシートを積層する第1工程と、周方向溝の溝底に相当する厚さに到達した時点で該周方向溝の100〜200%となる間隔を開けてさらにゴムシートを積層する第2工程を経てトレッド部を形成することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
【0012】
上記の製造方法において第2工程におけるゴムシートの積層厚さは、周方向溝の溝深さの80〜100%とするのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
【0014】
図1は本発明に従うオフザロード用空気入り重荷重ラジアルタイヤの断面を右側半分について模式的に示したもの(ビード部、サイドウオール部はについては一般的な建設車両用のオフザロードタイヤと同等のものであり、ここでは図示せず)であり、図中1はタイヤのトレッド部、2はトレッド部1の幅方向中央にタイヤの周り沿って設けられた周方向溝、3はトレッド部1の内側に配設されたベルト層であり、このベルト層3はスチールコード層を4層積層した例で示した主幹ベルト3aと2層の例で示した狭幅バイアス補強ベルト3bからなっている。
【0015】
トレッド部1の幅方向中央に、トレッド部1の幅wの4〜10%の幅w1でトレッド部1の幅方向中心におけるゴムの厚さtの30〜60%の深さt1を有する周方向溝2を設けることで車両の高速化に伴って生じていたトレッド部の発熱量が減少するとともに、タイヤの表面積が大きくなるためタイヤの放熱性が改善される。
【0016】
タイヤ外径の成長が懸念されるオフザロード用空気入り重荷重ラジアルタイヤにおいて、ベルト層3にタイヤの周方向での拘束力が強い狭幅バイアス補強ベルト3bを少なくとも1層配置することでタイヤ外径の成長を抑制することができるが、その幅w2がトレッド部1の幅wの25%未満ではその拘束力が十分でなく、60%を超えると拘束力が強くなりすぎて内圧充填の際に、トレッドが外側に向けて凸となる曲率半径を有する好適なクラウン形状とすることができず、接地性、耐摩耗性等が劣化し、さらには、ベルト端部の歪みが大きくなりその端からの亀裂が発生しやすくベルトの耐久性が悪化する。このため、本発明においては、狭幅バイアス補強ベルト3bのベルト幅w2はトレッド部1の幅wの25〜60%の範囲とした。
【0017】
狭幅バイアス補強ベルト3bのベルト角度(タイヤの赤道とのなす角度)は、タイヤの周方向での拘束力を確保する観点から10°以下とする必要があるが、5°を下回ると拘束力が強くなりすぎて生タイヤの加硫成型時に適切な拡張率がとることができない。このため、本発明では、狭幅バイアス補強ベルト3bのベルト角度を5〜10°の範囲とした。
【0018】
主幹ベルト3aについては、ベルト角度が10〜40°で、ベルト幅w3がトレッド部1の幅wの50〜90%になる、少なくとも3層積層したスチール交差層としたが、その理由は、主幹ベルト3aを上記の範囲内とすることで、ベルトの耐久性を確保することが可能になるとともに、トレッド部の摩耗外観を良好に維持できる他、トレッド部の変形の抑制、トレッドの耐摩耗性の確保、接地面圧の均一化、さらには牽引力を適切保つことができるからである。
【0019】
ベルト層3の拡張率は4.5%以下、より好ましくは1.5〜4.5%の範囲で調整する。ベルト層3の拡張率が1%未満では、生タイヤの製造時のばらつきを考慮した場合に、所謂、モールド噛み(トレッドゴムが加硫金型の分割ピース部分に噛み込まれること)を起こして製造不良の原因となることが懸念される。
逆に、4.5%を超えると狭幅バイアス補強ベルト3bの拘束力の影響でその両端を超える外側域に延在するカーカス層(図示せず)及び主幹ベルト3aは、加硫、成型に際してタイヤ内腔に加えられるシェーピング圧力の影響で該狭幅バイアス補強ベルト3bの両外側域でタイヤの径方向に跳ね上げられ、図2に示すようにベルト層3がカーカス層(図示せず)とともに凹となる、所謂、バックリング形状を呈することとなり、跳ね上げられた部分における応力集中のためにカーカス層及び主幹ベルト3aの耐久性に悪影響を与えるだけでなく、バックリングが生じている部分にトレッドゴムが流れ込んで厚肉となり、その部位で発熱が助長されてトレッドの耐熱耐久性を劣化させることにもなる。このため、本発明においては、ベルト層3の拡張率を4.5%以下、より好ましくは1.5〜4.5%とした。
【0020】
ベルト層3の拡張率は、狭幅バイアス補強ベルト3bの拘束力の強さ(ベルト角度)やそれを単層とするか複数枚積層した交差層とするかの違い、あるいはモールド噛みの防止、バックリングの防止を図る点を勘案しつつ1.5〜4.5%の範囲内で適宜に設定、調整すればよい。
【0021】
本発明に従うタイヤは、その基本構造や製造要領は、一般的なオフザロードタイヤと同様の工程を経ることになるが、トレッド部1については、図3に示すようにベルト層3の外側にてタイヤの幅方向の全域にわたってゴムシートsを積層し(第1工程)、周方向溝2の溝底2aに相当する厚さに到達した時点で図4に示すように該周方向溝1の溝幅w1の100〜200%となる間隔w′を開けて該周方向溝2の溝深さt1の80〜100%に到達するまでさらにゴムシートを積層(第2工程)して環状凹部をもった積層体を構成することによって成形することができるものであり、これにより簡単に、しかも効率よく任意の形状に形作ることが可能になる。
【0022】
ベルト層3の拡張率はバックリングを防止する観点からは従来のものよりも低い値となる。このため、生タイヤの加硫、成型に際してトレッド部1に周方向溝2も同時に成型する場合にはモールド噛みが生じることも懸念されるので、その防止のため、トレッドパターン部の必要幅領域の金型部品をタイヤの径方向に滑動させてその径を拡縮できる、所謂、分割式の加硫金型を用いるのが好ましい。
【0023】
上記のような加硫金型を用いることができない場合には、生タイヤにおいて予め周方向溝2に相当する溝形状になるよう抉り取るシェーピング処理を施すことによってモールド噛みの発生を防止する。
【0024】
実施例
タイヤサイズが4000R57になる上掲図1に示すようなオフザロードタイヤ(適合例A、B)を従来タイヤ(従来例A、B)とともに試作して、下記の条件のもとでトレッドの幅方向肉厚分布及びカーカス層のバックリング状況を調査した。その結果を、タイヤの各諸元項目と併せて表1に示す。
【0025】
主要構造(タイヤ)及び生トレッド形状は表1による。
【0026】
【表1】
【0027】
表1より明らかな如く、本発明に従うタイヤ(適合例A、適合例B)は何れもトレッド部の肉厚分布が幅方向にほぼ均一であり、カーカス層においてバックリングが発生することがないことが確認できた。
【0028】
なお、適合例Aは、ゴムシートを積層した積層体をトレッド部としたものであって、この場合におけるタイヤ1本の製造にかかる工数は、従来法にしたがって製造した場合に比較して2割程度軽減された。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、オフザロード用空気入り重荷重タイヤにおいて従来顕著であったタイヤ外径の成長を、バックリングの発生なしに抑制できる。
【0030】
とくに、ゴムシートを積層しつつトレッド部を形成することでタイヤの効率的な製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にしたがうタイヤの断面を右側半分について模式的に示した図である。
【図2】製品タイヤのトレッド幅方向中央部付近がタイヤの周り沿いその内側に向けて凸となる状況(バックリング)を示した図である。
【図3】トレッド部の形成要領(ゴムシートを溝底まで貼った状態)の説明図である。
【図4】トレッド部の形成要領(トレッド幅方向中央に周方向溝が形成されるようにゴムシートを貼った状態)の説明図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 周方向溝
3 ベルト層
3a 主幹ベルト(広幅)
3b 狭幅バイアス補強ベルト(狭幅)
w トレッド幅
w1 周方向溝の幅
t1 周方向溝の深さ
w2 狭幅バイアスベルトの幅
w3 主幹ベルトの幅
T トレッド部の幅方向中央のゴム総厚さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設車両等に装着して好適な空気入りラジアルタイヤ(オフザロード用空気入り重荷重ラジアルタイヤ)及びその製造方法に関し、補強ベルトのせり出しに起因したタイヤのバックリングを、接地性や耐偏摩耗性等に影響を与えることなしに有利に改善しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
建設車両等は生産性の改善を図る観点から、より大型化されてきており、これに伴ってタイヤも次第に大型化される傾向にある。また、かかる車両は大型化とともに高速化も進んでおり、この場合、タイヤのトレッド部における発熱が大きくなってトレッド部のヒートセパレーション等の故障原因となることが懸念され、この点に関しては、ラグパターンを有する空気入りタイヤにつき、タイヤ接地最大幅の50%に対応するセンター領域に凹部を設け、ラグ溝を除いたセンター領域のネガティブ率を10〜25%にしてトレッド部のヒートセパレーション等の故障を回避する技術が提案されている(先行特許文献1参照)。
【0003】
【先行特許文献1】
特開2001−277816号公報。
【0004】
また、この種のタイヤは要求負荷能力が高まるにつれてベルトにかかる張力も増大していくため、とくに、上記のような凹部を設けたタイヤにおいては使用中のタイヤ外径の成長も顕著であって、ベルト耐久性の低下、トレッド中央における偏摩耗等の問題も生じている。
【0005】
タイヤ外径の成長を抑制するには、幅の狭いローアングルバイアス補強ベルトをクラウンセンター領域に配置することがその対策の1つとして挙げることができるものの、この場合、生タイヤの状態でベルトの両外側域にせり出しが生じ、その結果として製品タイヤでベルト層がカーカス層とともに凹となる、所謂、バックリングが発生する不具合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、とくに周方向溝を有するオフザロード用空気入り重荷重ラジアルタイヤにおいて顕著であったタイヤ外径の成長を、バックリングを伴うことなしに抑制できる新規な空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法を提案するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トレッド部の幅方向中央にタイヤの周りに沿って延びる周方向溝を備えた空気入りラジアルタイヤであって、
前記周方向溝は、トレッド部の幅の4〜10%の溝幅とトレッド部の幅方向中心におけるゴムの厚さの30〜60%の溝深さを有するものであり、
前記トレッド部の内側に、ベルト角度が10〜40°、ベルト幅がトレッド部の幅の50〜90%になるスチールコード層を少なくとも3層積層した主幹ベルトと、この主幹ベルトの内側に位置しベルト角度が5〜10°、ベルト幅がトレッド部の幅の25〜60%の少なくとも1層の狭幅バイアス補強ベルトからなり、ベルト拡張率が4.5%以下のベルト層を配置したことを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。
【0008】
上記の構成になる空気入りラジアルタイヤにおいて、トレッド部は、その幅方向の中央部に周方向溝に対応する環状凹部を備えた生トレッド部として準備され、それを加硫、成型したものが望ましい。
【0009】
また、環状凹部は製品タイヤの溝幅の100〜200%の幅と製品タイヤの溝深さの80〜100%の深さを有するものが好適である。
【0010】
トレッド部は、トレッドゴムのゴムシートを複数枚積層した積層体にて構成することができる。
【0011】
また、本発明は、トレッド部の幅方向中央にタイヤの周りに沿って延びる周方向溝を有する空気入りラジアルタイヤを製造するに当たり、
ベルト層の外側にてタイヤの幅方向の全域にわたってゴムシートを積層する第1工程と、周方向溝の溝底に相当する厚さに到達した時点で該周方向溝の100〜200%となる間隔を開けてさらにゴムシートを積層する第2工程を経てトレッド部を形成することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
【0012】
上記の製造方法において第2工程におけるゴムシートの積層厚さは、周方向溝の溝深さの80〜100%とするのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
【0014】
図1は本発明に従うオフザロード用空気入り重荷重ラジアルタイヤの断面を右側半分について模式的に示したもの(ビード部、サイドウオール部はについては一般的な建設車両用のオフザロードタイヤと同等のものであり、ここでは図示せず)であり、図中1はタイヤのトレッド部、2はトレッド部1の幅方向中央にタイヤの周り沿って設けられた周方向溝、3はトレッド部1の内側に配設されたベルト層であり、このベルト層3はスチールコード層を4層積層した例で示した主幹ベルト3aと2層の例で示した狭幅バイアス補強ベルト3bからなっている。
【0015】
トレッド部1の幅方向中央に、トレッド部1の幅wの4〜10%の幅w1でトレッド部1の幅方向中心におけるゴムの厚さtの30〜60%の深さt1を有する周方向溝2を設けることで車両の高速化に伴って生じていたトレッド部の発熱量が減少するとともに、タイヤの表面積が大きくなるためタイヤの放熱性が改善される。
【0016】
タイヤ外径の成長が懸念されるオフザロード用空気入り重荷重ラジアルタイヤにおいて、ベルト層3にタイヤの周方向での拘束力が強い狭幅バイアス補強ベルト3bを少なくとも1層配置することでタイヤ外径の成長を抑制することができるが、その幅w2がトレッド部1の幅wの25%未満ではその拘束力が十分でなく、60%を超えると拘束力が強くなりすぎて内圧充填の際に、トレッドが外側に向けて凸となる曲率半径を有する好適なクラウン形状とすることができず、接地性、耐摩耗性等が劣化し、さらには、ベルト端部の歪みが大きくなりその端からの亀裂が発生しやすくベルトの耐久性が悪化する。このため、本発明においては、狭幅バイアス補強ベルト3bのベルト幅w2はトレッド部1の幅wの25〜60%の範囲とした。
【0017】
狭幅バイアス補強ベルト3bのベルト角度(タイヤの赤道とのなす角度)は、タイヤの周方向での拘束力を確保する観点から10°以下とする必要があるが、5°を下回ると拘束力が強くなりすぎて生タイヤの加硫成型時に適切な拡張率がとることができない。このため、本発明では、狭幅バイアス補強ベルト3bのベルト角度を5〜10°の範囲とした。
【0018】
主幹ベルト3aについては、ベルト角度が10〜40°で、ベルト幅w3がトレッド部1の幅wの50〜90%になる、少なくとも3層積層したスチール交差層としたが、その理由は、主幹ベルト3aを上記の範囲内とすることで、ベルトの耐久性を確保することが可能になるとともに、トレッド部の摩耗外観を良好に維持できる他、トレッド部の変形の抑制、トレッドの耐摩耗性の確保、接地面圧の均一化、さらには牽引力を適切保つことができるからである。
【0019】
ベルト層3の拡張率は4.5%以下、より好ましくは1.5〜4.5%の範囲で調整する。ベルト層3の拡張率が1%未満では、生タイヤの製造時のばらつきを考慮した場合に、所謂、モールド噛み(トレッドゴムが加硫金型の分割ピース部分に噛み込まれること)を起こして製造不良の原因となることが懸念される。
逆に、4.5%を超えると狭幅バイアス補強ベルト3bの拘束力の影響でその両端を超える外側域に延在するカーカス層(図示せず)及び主幹ベルト3aは、加硫、成型に際してタイヤ内腔に加えられるシェーピング圧力の影響で該狭幅バイアス補強ベルト3bの両外側域でタイヤの径方向に跳ね上げられ、図2に示すようにベルト層3がカーカス層(図示せず)とともに凹となる、所謂、バックリング形状を呈することとなり、跳ね上げられた部分における応力集中のためにカーカス層及び主幹ベルト3aの耐久性に悪影響を与えるだけでなく、バックリングが生じている部分にトレッドゴムが流れ込んで厚肉となり、その部位で発熱が助長されてトレッドの耐熱耐久性を劣化させることにもなる。このため、本発明においては、ベルト層3の拡張率を4.5%以下、より好ましくは1.5〜4.5%とした。
【0020】
ベルト層3の拡張率は、狭幅バイアス補強ベルト3bの拘束力の強さ(ベルト角度)やそれを単層とするか複数枚積層した交差層とするかの違い、あるいはモールド噛みの防止、バックリングの防止を図る点を勘案しつつ1.5〜4.5%の範囲内で適宜に設定、調整すればよい。
【0021】
本発明に従うタイヤは、その基本構造や製造要領は、一般的なオフザロードタイヤと同様の工程を経ることになるが、トレッド部1については、図3に示すようにベルト層3の外側にてタイヤの幅方向の全域にわたってゴムシートsを積層し(第1工程)、周方向溝2の溝底2aに相当する厚さに到達した時点で図4に示すように該周方向溝1の溝幅w1の100〜200%となる間隔w′を開けて該周方向溝2の溝深さt1の80〜100%に到達するまでさらにゴムシートを積層(第2工程)して環状凹部をもった積層体を構成することによって成形することができるものであり、これにより簡単に、しかも効率よく任意の形状に形作ることが可能になる。
【0022】
ベルト層3の拡張率はバックリングを防止する観点からは従来のものよりも低い値となる。このため、生タイヤの加硫、成型に際してトレッド部1に周方向溝2も同時に成型する場合にはモールド噛みが生じることも懸念されるので、その防止のため、トレッドパターン部の必要幅領域の金型部品をタイヤの径方向に滑動させてその径を拡縮できる、所謂、分割式の加硫金型を用いるのが好ましい。
【0023】
上記のような加硫金型を用いることができない場合には、生タイヤにおいて予め周方向溝2に相当する溝形状になるよう抉り取るシェーピング処理を施すことによってモールド噛みの発生を防止する。
【0024】
実施例
タイヤサイズが4000R57になる上掲図1に示すようなオフザロードタイヤ(適合例A、B)を従来タイヤ(従来例A、B)とともに試作して、下記の条件のもとでトレッドの幅方向肉厚分布及びカーカス層のバックリング状況を調査した。その結果を、タイヤの各諸元項目と併せて表1に示す。
【0025】
主要構造(タイヤ)及び生トレッド形状は表1による。
【0026】
【表1】
【0027】
表1より明らかな如く、本発明に従うタイヤ(適合例A、適合例B)は何れもトレッド部の肉厚分布が幅方向にほぼ均一であり、カーカス層においてバックリングが発生することがないことが確認できた。
【0028】
なお、適合例Aは、ゴムシートを積層した積層体をトレッド部としたものであって、この場合におけるタイヤ1本の製造にかかる工数は、従来法にしたがって製造した場合に比較して2割程度軽減された。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、オフザロード用空気入り重荷重タイヤにおいて従来顕著であったタイヤ外径の成長を、バックリングの発生なしに抑制できる。
【0030】
とくに、ゴムシートを積層しつつトレッド部を形成することでタイヤの効率的な製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にしたがうタイヤの断面を右側半分について模式的に示した図である。
【図2】製品タイヤのトレッド幅方向中央部付近がタイヤの周り沿いその内側に向けて凸となる状況(バックリング)を示した図である。
【図3】トレッド部の形成要領(ゴムシートを溝底まで貼った状態)の説明図である。
【図4】トレッド部の形成要領(トレッド幅方向中央に周方向溝が形成されるようにゴムシートを貼った状態)の説明図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 周方向溝
3 ベルト層
3a 主幹ベルト(広幅)
3b 狭幅バイアス補強ベルト(狭幅)
w トレッド幅
w1 周方向溝の幅
t1 周方向溝の深さ
w2 狭幅バイアスベルトの幅
w3 主幹ベルトの幅
T トレッド部の幅方向中央のゴム総厚さ
Claims (6)
- トレッド部の幅方向中央にタイヤの周りに沿って延びる周方向溝を備えた空気入りラジアルタイヤであって、
前記周方向溝は、トレッド部の幅の4〜10%の溝幅とトレッド部の幅方向中心におけるゴムの厚さの30〜60%の溝深さを有するものであり、
前記トレッド部の内側に、ベルト角度が10〜40°、ベルト幅がトレッド部の幅の50〜90%になるスチールコード層を少なくとも3層積層した主幹ベルトと、この主幹ベルトの内側に位置しベルト角度が5〜10°、ベルト幅がトレッド部の幅の25〜60%の少なくとも1層の狭幅バイアス補強ベルトからなり、ベルト拡張率が4.5%以下のベルト層を配置したことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - トレッド部は、その幅方向の中央部に周方向溝に対応する環状凹部を備えた生トレッド部として準備され、それを加硫、成型したものである、請求項1記載のタイヤ。
- 環状凹部は周方向溝の溝幅の100〜200%の幅と周方向溝の溝深さの80〜100%の深さを有するものである請求項2記載のタイヤ。
- トレッド部は、トレッドゴムのゴムシートを複数枚積層した積層体からなる、請求項1〜3の何れかに記載のタイヤ。
- トレッド部の幅方向中央にタイヤの周りに沿って延びる周方向溝を有する空気入りラジアルタイヤを製造するに当たり、
ベルト層の外側にてタイヤの幅方向の全域にわたってゴムシートを積層する第1工程と、周方向溝の溝底に相当する厚さに到達した時点で該周方向溝の100〜200%となる間隔を開けてさらにゴムシートを積層する第2工程を経てトレッド部を形成することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。 - 第2工程におけるゴムシートの積層厚さが、周方向溝の溝深さの80〜100%である請求項5記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002367642A JP2004196142A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | 空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002367642A JP2004196142A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | 空気入りラジアルタイヤ及びその製造方法 |
Publications (1)
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