JP2004195607A - 板状部材の研磨方法 - Google Patents

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Toyoichi Komuro
豊一 小室
Kenji Hyodo
建二 兵頭
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Abstract

【課題】特に肉厚の薄いプリント配線板のような板状部材を、簡易な方法でわん曲等の損傷なく、全面にわたって均等に研磨することができ、また板状部材の熱変形による寸法変化を小さくすることができる研磨方法を得る。
【解決手段】板状部材を研磨する際に、該板状部材の被研磨面の背面を該板状部材よりも硬直かつ少なくとも1つの開口を有する平面部材に接着させ、研磨部材により該板状部材を該平面部材に対し押圧しながら研磨する。さらに、板状部材と平面部材との接着は、接着剤やテープなどを使用せずに、液体の表面張力を利用することによって行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状部材の研磨方法に関し、特に肉厚の薄いプリント配線板の研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、軽量化、高性能化に伴い、プリント配線板の高密度化、多層化、極薄化が要求されている。このため、内層材では肉厚の薄いもので0.1mmから最近では0.06mm以下へと、ますます極薄化の傾向を辿っている。このような技術背景のもと、プリント配線板の製造工程においては、研磨装置の重要性がますます高まりつつある。すなわち、絶縁材に銅箔を熱プレス等により張り合わせる材料積層時、切断時、穴開け加工時の後に、その外表面の酸化被膜、酸化防止剤、指紋、傷、汚れ等を除去する場合や、ビルドアップ法による多層プリント配線板において、スクリーン印刷等によって下層回路パターンを露出させる場合などに研磨装置が用いられている。
【0003】
さて、プリント配線板のこの種の研磨装置としては、従来、図3のようなものが一般的に用いられている。図3で示した従来例の研磨装置は、機械的研磨方法が採用されており、プリント配線板1をベルトコンベア8上に乗せて搬送しつつ、上側から、バフやブラシ等の研磨部材3を回転しつつ圧接することにより、その外表面の研磨が実施されていた。なお、図中7は押さえローラ、5はベルトコンベア8の駆動ローラ、6は従動ローラである。
【0004】
ところで、このような従来例にあっては、プリント配線板が薄くなると、プリント配線板がスムーズに搬送されず、回転方向へのはね上がり、めくれ、折れ、曲がり、わん曲等の損傷が生じやすく、また、研磨部材の回転摩擦熱のため、プリント配線板が熱変形して反りや伸び等の不良も生じやすい。もって、製造上の歩留まりが悪く、また、基板が伸びることにより、多層にした時に各層間のスルーホール位置がずれて各層間の導通が取れなくなるなど、プリント基板の高密度化にとって大きな弊害となる。これらの問題を改善するために、ベルトコンベアにプリント配線板を吸引しながら搬送する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような方法では装置が複雑になるばかりか、スルーホールを有するプリント配線板に対しては十分な吸引効果が得られなど課題となる部分も多い。
【0005】
そこで、本発明者らは、これらの問題点を解決するために、特願2002−351680号において、特に肉厚の薄いプリント配線板のような板状部材を研磨する際に、該板状部材の被研磨面の背面を該板状部材よりも硬直な平面部材に接着させ、研磨部材により該板状部材を該平面部材に対し押圧しながら研磨する方法を提案した。
【0006】
図2は、この提案にかかる研磨方法の構成を示す説明図である。図2では、被研磨体である板状部材1とその載置手段である平面部材2とが液体4の表面張力を利用して液体4を介して接着されており、研磨手段である研磨部材3により板状部材1を上から押圧しながら研磨する構成となっている。このような構成とすることで、例えば、肉厚の薄いプリント配線板のような板状部材1を、ガラス板などの平面部材2に、水などの液体4の表面張力を利用して接着することで、密着性良く保持できるので、この状態で研磨部材3により押圧しながら研磨を行えば、板状部材1は、わん曲等の損傷なく、全面にわたって均等に研磨することができ、また、研磨中の板状部材1の熱変形も抑制できる。さらに、板状部材1と平面部材2との接着は、接着剤やテープなどを使用せずに、液体4の表面張力を利用することで、取り扱いが容易となる。
【0007】
しかしながら、本発明者らはさらに詳細に検討を重ねた結果、この提案にかかる板状部材の研磨方法には、以下に示す課題があることが分かった。すなわち、図2において、板状部材1を研磨した後に、該板状部材1を平面部材2から剥離するには、板状部材1の一角となる部分から吸着手段などの機械的手段により剥離を行っていくのが有効であるが、板状部材1と平面部材2の密着性が良いために、剥離に要する吸着手段への負荷が大きくなり、スムーズに剥離できない場合がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−1456号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特願2002−351680号で提案した、特に肉厚の薄いプリント配線板のような板状部材を研磨する際に、該板状部材の被研磨面の背面を該板状部材よりも硬直な平面部材に接着させ、研磨部材により該板状部材を該平面部材に対し押圧しながら研磨する板状部材の研磨方法に於いて、該板状部材の該平面部材からの剥離を容易にする方法に関する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、上記平面部材に剥離促進手段として利用するための開口を設ければ良いことを見出した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の研磨方法について詳細に説明する。
【0012】
図1に本発明の一実施形態を示す。図1では、被研磨体である板状部材1とその載置手段である平面部材2とが液体4の表面張力を利用して液体4を介して接着されており、研磨手段である研磨部材3により板状部材1を上から押圧しながら研磨する構成となっている。
【0013】
板状部材1は、少なくとも被研磨面が略平坦な部材であって、プリント配線板などの板状物が挙げられる。
【0014】
平面部材2は、板状部材1よりも硬直で、少なくとも板状部材1の載置場所は平面な部材であって、平坦なガラス板や各種金属板、大理石などの石板などが挙げられる。さらに、平面部材2は、少なくとも1つの開口9を有し、この開口9を利用して、シリンダーやエアー等の物理的手段により板状部材1の平面部材2からの剥離を促進させることで、板状部材1の剥離がより容易なものとなる。例えば、板状部材1の一角から吸着手段により板状部材1を吸着しながら剥離を行うような場合には、その一角の内側に該当する平面部材の適当な位置に、少なくとも1つの開口を設け、平面部材の下側からシリンダーやエアー等の物理的手段により剥離を促進すれば、吸着手段への負荷を軽減することができるので、剥離が容易となる。あるいは、研磨後に板状部材1を接着保持した平面部材2を天地逆になるように回転し、平面部材2に設けた開口より、シリンダーやエアー等の物理的手段により、板状部材1を平面部材2から落下させるように剥離する場合には、平面部材2には複数個の開口を設けるのが良い。平面部材2の開口9は、シリンダーやエアー等の物理的手段の利用に支障がなく、また、板状部材1の平面部材2への密着保持に支障がなければ、特にその形状は限定されるものでなはい。
【0015】
研磨部材3は円筒状のバフやブラシなど、機械的研磨装置で一般的に使用されているものを適用することができる。研磨に際しては、研磨部材3を板状部材1に押しつけながら行うことが好ましいが、研磨部材3の押圧手段は、例えば円筒状バフを用いた場合は、そのバフロールのシャフトの両端をシリンダーによって加圧するなど、従来の装置で一般的に用いられている方法を適用することができる。板状部材1の一面を研磨する方法としては、平面部材2か研磨部材3のいずれか一方を固定し、その他方を移動させるか、平面部材2及び研磨部材3の双方を移動させて行う。双方を移動させて行う場合は、双方の移動方向は逆方向だけでなく、直角方向でも良い。
【0016】
本発明において、板状部材1は平面部材2上に載置して研磨を行うが、研磨中に板状部材1が回転方向へ歪曲するなどの変形や損傷が生じる可能性のある部材であれば、板状部材1の固定手段を併用することが望ましい。板状部材1の平面部材2上への固定は、板状部材1の研磨面が突出する程度の溝を平面部材2を設けておくか、チャック様の締め付け(挟持)固定手段や吸引(真空)吸着手段等の従来公知の各種機械的固定手段であっても良いが、板状部材1と平面部材2の間に液体4を供給し、その表面張力を利用すれば、板状部材1を密着性よく保持できるだけでなく、研磨毎の板状部材1のサイズを気にせずに簡便に固定できる上、研磨中の板状部材1の熱変形も抑制できる。特に、板状部材1が肉厚の薄く柔軟性のあるものに有効である。板状部材1の固定手段としての液体は、板状部材1や平面部材2に対して腐食、溶解等の悪影響を及ぼすことなく、延展性があり、研磨後に板状部材1から除去容易なものが良く、水が有利に用いられる。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、特に肉厚の薄いプリント配線板のような板状部材を、簡易な方法でわん曲等の損傷なく、全面にわたって均等に研磨することができ、また板状部材の熱変形による寸法変化を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板状部材の研磨方法に関する説明図。
【図2】先願で提案した板状部材の研磨方法に関する説明図。
【図3】従来の板状部材の研磨方法に関する説明図。
【符号の説明】
1 プリント配線板
2 平面部材
3 研磨部材
4 液体
5 駆動ローラ
6 従動ローラ
7 押さえローラ
8 ベルトコンベア
9 開口

Claims (3)

  1. 板状部材を研磨する際に、該板状部材の被研磨面の背面を該板状部材よりも硬直な平面部材に接着させ、研磨部材により該板状部材を該平面部材に対し押圧しながら研磨する板状部材の研磨方法に於いて、該平面部材が少なくとも1つの開口を有することを特徴とする板状部材の研磨方法。
  2. 前記板状部材と、前記平面部材とを、液体の表面張力を利用して接着させることを特徴とする請求項1記載の板状部材の研磨方法。
  3. 前記板状部材がプリント配線板であることを特徴とする請求項1または2記載の板状部材の研磨方法。
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