JP4522578B2 - 供給方法と供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器、通信機、自動車等に用いられる半導体搭載用の金属ベース回路基板の搬送方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気機器、通信機、自動車等の幅広い分野で半導体素子やいろいろの電気部品を搭載した回路基板が知られているが、安価で、しかも熱放散性に優れるという理由で金属ベース回路基板が注目され、用いられている。
【0003】
金属ベース回路基板は、熱放散性に優れる金属板の一主面上に絶縁層を介して回路を設けた構造を有し、該金属板には、鉄、アルミニウムが多く使用され、絶縁層は、酸化アルミニウム等の無機充填材を含有するエポキシ樹脂等の樹脂からなり、また、回路は、いろいろな金属箔から形成され、通常は銅、アルミニウム、或いは銅とアルミニウムとの複合材が多用されている。
【0004】
金属ベース回路基板は、一般的に、金属板上に絶縁層となる樹脂層を塗布し、前記樹脂層上に金属箔を載置した積層物を、加圧加熱することで前記樹脂層を硬化させた後、金属箔の所望の部分にエッチングレジストを設け、前記金属箔をエッチングして、前記エッチングレジストを除去することで得られている。
【0005】
また、金属ベース回路基板はいろいろな用途に適用するべく量産されており、前記製造の過程において、金属板上に樹脂層を設ける操作、金属箔を積層する操作、積層物を加圧加熱することで樹脂層を硬化する操作、エッチングレジストを設ける操作、金属箔をエッチングする操作、エッチングレジストを除去する操作、更に必要に応じて加工する操作等が、かなりの部分で連続的に処理されている。
【0006】
上記操作を施す各々の装置の間の移動には、コンベヤー等の搬送装置が用いられるが、装置の構成によっては、金属板の主面を上下方向或いは水平方向に向ける必要があり、前記搬送装置の前後に、特に装置直前に設けられている搬送部に設けられることが多い。
【0007】
例えば、特開平7−101545号には、基板に損傷を与えたりゴミが付着したりすることなく、プリント配線板用の基板をラック収納装置より次の装置に搬送するための搬送装置に載置するための供給装置が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者の検討によれば、前記装置を金属ベース回路基板に適用するときに、ことに金属板上に未硬化(Bステージ)の樹脂層を介して金属箔が一体化した金属ベース回路基板中間体について前記装置を適用するときに、投入機部材の接触により金属箔の剥がれ、位置ずれ、酷いときには金属箔に破れが生じることがあり、得られる金属ベース回路基板の電気特性が劣化したり、結果として製品の歩留まりを著しく低下させる問題があることを見出した。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属ベース回路基板並びに中間体にゴミを付着したり、損傷を与えることのない、いろいろな装置の搬入部に金属ベース回路基板並びにその中間体を供給するための供給方法並びに供給装置を提供することにある。
【0010】
即ち、本発明は、(1)平板状の被供給体を前記被供給体の主面の法線が概ね水平方向を向くように配置する工程、(2)前記被供給体の一主面にガイド部の被供給体を受ける面と同一、或いはガイド部の被供給体を保持する面よりも1〜3mm出ているように予め調整した真空チャック(A)を固着させ、前記真空チャック(A)を移動することで、被供給体の一部をガイド部に接触させる工程、(3)前記ガイド部に固定され当該ガイド部と一体に可動の真空チャック(B)にて、前記被供給体を固着し、前記(B)真空チャックを移動して、被供給体の一主面を前記ガイド部に平面的に接触させた後、真空チャック(A)を取り外す工程、(4)被供給体と前記真空チャック(B)とを固着したままで、前記ガイド部を移動することにより、前記被供給体を移動して所望の位置にセットする工程、(5)前記真空チャック(B)を取り外し、前記被供給体を前記ガイド部表面に沿って滑らしながら前記被供給体を所望の装置に移動する工程、とからなる平板状被供給体の供給方法であり、好ましくは、前記(4)の工程において、ガイド部並びに真空チャック(B)が回転移動することを特徴とする前記の平板状被供給体の供給方法であり、前記(5)の工程において、所望の装置がコンベヤーであることを特徴とする前記の平板状被供給体の供給方法であり、平板状の被供給体が回路基板中間体であることを特徴とする前記の平板状被供給体の供給方法であり、更に好ましくは、回路基板中間体が、金属板上にBステージ状の絶縁層を介して金属箔を接着したものであることを特徴とする前記の平板状被供給体の供給方法である。
【0011】
また、本発明は、平板状の被供給体からなる積層物を前記被供給体の主面の法線が概ね水平方向に積層配置可能な被供給物貯蔵部と、前記被供給物の積層物の最外部に位置する被供給物の主面に固着しながら移動可能な真空チャック(A)と、前記被供給物の一主面が接することのできるガイド部と、前記ガイド部に固定され、しかも被供給体を前記ガイド部に押しつけながら移動可能な真空チャック(B)とからなり、前記ガイド部と真空チャック(B)とが被供給体とともに回転移動し、前記ガイド部が回転移動後にコンベヤーの平面部の一部を形成し、前記被供給体が前記ガイド部を滑りながら、次第にコンベヤーへと移動可能であることを特徴とする平板状供給体の供給装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の供給方法と供給装置の一例を示す図である。
本発明の被供給体は、厚さが2〜10mm程度の平板状のものであればどのようなものにも適用できるが、回路基板とその中間体、ことに金属ベース回路基板とその中間体に好ましく適用できる。
【0014】
本発明において、被供給体はその主面の法線が概ね水平方向を向くように積層、配置される(図1(a)参照)。その並べ方は、被供給体が投入される装置で受ける操作に応じて、全てが表面或いは裏面の同一方向を向いていても良いし、バラバラな向きを向いていても構わない。被供給物が金属ベース回路基板中間体の場合には、金属板が露出している面を、後述の真空チャック(A)並びに(B)に対するように向けて並べることが好ましいが、金属板の金属箔を設けた面に一部金属箔を設けていない露出面があれば、その露出面に前記真空チャックが対するように配置することもできる。また、被供給体の主面の水平方向となす角度は概ね水平であれば良く、本発明者の実験的検討結果では、0〜20度、好ましくは0〜10度である。
【0015】
本発明の次の工程は、記被供給体の一主面に真空チャック(A)を固着させ、前記真空チャック(A)を移動することで、被供給体の一部をガイド部に接触させる工程である(図1(b)参照)。真空チャック(A)は、ガイド部と一緒に動くことの無いように固定されていれば良い。また、図1において、真空チャック(A)は、ガイド部の下部に設けられた隙間を通じて、前後方向の動きが可能であり、本工程において被供給体に接する。
【0016】
本発明の次の工程は、前記ガイド部に固定され該ガイド部と一体に可動の真空チャック(B)にて、前記被供給体を固着し、前記(B)真空チャックを移動して、被供給体の一主面を前記ガイド部に平面的に接触させた後、真空チャック(A)を取り外す工程であり、本発明における最も特徴ある工程である。
【0017】
即ち、本発明において、真空チャック(B)はガイド部とともに一体となって動くことができるように、ガイド部に固定されている。本工程において、真空チャック(A)で仮固定された被供給体を、真空チャック(B)により該被供給体の前記とは異なる部分でしっかりと固定し、被供給体をガイド部に平面的に接触させた後、真空チャック(A)の真空を破り真空チャック(A)を被供給体より取り外す(図1(c)参照)。この場合、真空チャック(B)並びに真空チャック(A)のチャック部分の位置を予めガイド部の被供給体を受ける面と同一、或いは真空チャック(A、B)のチャック部分がガイド部の被供給体を保持する面よりも1〜3mm程度出ているように予め調整しておくことで、被供給体に衝撃がかかることを一層防止できる。
【0018】
本発明の次の工程は、被供給体と前記真空チャック(B)とを固定したままで、前記ガイド部を移動することにより、前記被供給体を移動して所望の位置にセットする工程である。前述したとおりに、真空チャック(B)はガイド部とともに一体となって動くことができるように、ガイド部に固定されているので、容易に上記の操作が達成される。図1(d)は、ガイド部が回転移動できる場合について、本工程後の状態を例示している。被供給物は、真空チャック(B)でガイド部に圧着された状態で回転移動され、装置の供給部にあたるコンベヤー上に、損傷を受けることなく、又、ゴミの付着することなく、移動される。
【0019】
本発明の最後の工程は、前記真空チャック(B)を取り外し、前記ガイド部表面に沿って滑らしながら被供給体を所望の装置に移動する工程である。図1(d)において、コンベヤーにのせられた被供給物は、コンベヤーに設けられた押出機、或いは駆動ローラー等により装置の所望の方向に搬送されて行く。この間、前記ガイド部並びに真空チャック(B)のチャック部の位置は、前記コンベヤーの被供給体が移動する面よりも下方にあることは言うまでもない。
【0020】
【実施例】
〔実施例、比較例〕
本発明の供給方法を達成するために、本発明者は、平板状の被供給体からなる積層物を前記被供給体の主面の法線が概ね水平方向に向くように積層配置可能な被供給物貯蔵部と、前記被供給物の積層物の最外部に位置する被供給物をその主面に固着して移動させる真空チャック(A)と、前記被供給物の一主面が接することのできるガイド部と、前記ガイド部に固定され、しかも被供給体を前記ガイド部に押しつけながら移動可能な真空チャック(B)とからなり、前記ガイド部と真空チャック(B)とが被供給体とともに回転移動し、前記ガイド部が回転移動後にコンベヤーの平面部を形成して、前記被供給体が前記ガイド部を滑りながら、次第にコンベヤーへと移動させることを特徴とする平板状供給体の供給装置を作製した。
【0021】
本装置を用いて、金属ベース回路基板中間体1000枚について搬送テストを行ったところ、金属板の傷、金属箔の剥離やしわ等の異状のあるものは見いだせず、良好であった。
【0022】
特開平7−101545号に開示された装置を用い、金属ベース回路基板中間体1000枚について搬送テストを行ったところ、金属板の傷、金属箔の剥離やしわ等の異状のあるものが87枚見出された。
【0023】
【発明の効果】
本発明の供給方法並びに供給装置を用いるとき、金属板の傷、金属箔の剥離やしわ等の異状の発生が防止でき、その結果品質の良好な金属ベース回路基板を高い歩留まりで得ることができ、産業上非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の供給方法を説明する図で、(a)は被供給体が並んでいる状態、(b)は真空チャック(A)で、被供給体を固着した後、更に真空チャック(B)を被供給体に接した状態、(c)は真空チャック(B)により被供給体をガイド部に押しつけ固定した状態であり、未だ真空チャック(A)が被供給体に固着している状態を示している。更に、(d)は、ガイド部が真空チャック(B)とともに回転移動して、被供給体がコンベヤー上に乗せられる状態を示している。
【符号の説明】
1 :被供給体(金属ベース回路基板中間体)
2 :装置の搬入部(コンベヤー)
3 :ガイド部
4 :真空チャック(A)
5 :真空チャック(B)
Claims (6)
- (1)平板状の被供給体を前記被供給体の主面の法線が概ね水平方向を向くように配置する工程、(2)前記被供給体の一主面に、ガイド部の被供給体を受ける面と同一、或いはガイド部の被供給体を保持する面よりも1〜3mm出ているように予め調整した真空チャック(A)を固着させ、前記真空チャック(A)を移動することで、被供給体の一部をガイド部に接触させる工程、(3)前記ガイド部に固定され当該ガイド部と一体に可動の真空チャック(B)にて、前記被供給体を固着し、前記(B)真空チャックを移動して、被供給体の一主面を前記ガイド部に平面的に接触させた後、真空チャック(A)を取り外す工程、(4)被供給体と前記真空チャック(B)とを固着したままで、前記ガイド部を移動することにより、前記被供給体を移動して所望の位置にセットする工程、(5)前記真空チャック(B)を取り外し、前記被供給体を前記ガイド部表面に沿って滑らしながら前記被供給体を所望の装置に移動する工程、とからなる平板状被供給体の供給方法。
- 前記(4)の工程において、ガイド部並びに真空チャック(B)が回転移動することを特徴とする請求項1記載の平板状被供給体の供給方法。
- 前記(5)の工程において、所望の装置がコンベヤーであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の平板状被供給体の供給方法。
- 平板状の被供給体が回路基板中間体であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の平板状被供給体の供給方法。
- 回路基板中間体が、金属板上にBステージ状の絶縁層を介して金属箔を接着したものであることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の平板状被供給体の供給方法。
- 平板状の被供給体からなる積層物を前記被供給体の主面の法線が概ね水平方向に積層配置可能な被供給物貯蔵部と、前記被供給物の積層物の最外部に位置する被供給物の主面に固着しながら移動可能で、ガイド部の被供給体を受ける面と同一、或いはガイド部の被供給体を保持する面よりも1〜3mm出ているように予め調整した真空チャック(A)と、前記被供給物の一主面が接することのできるガイド部と、前記ガイド部に固定され、しかも被供給体を前記ガイド部に押しつけながら移動可能な真空チャック(B)とからなり、前記ガイド部と真空チャック(B)とが被供給体とともに回転移動し、前記ガイド部が回転移動後にコンベヤーの平面部の一部を形成し、前記被供給体が前記ガイド部を滑りながら、次第にコンベヤーへと移動可能であることを特徴とする平板状供給体の供給装置。
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