JP3608102B2 - ラミネータおよび積層成形方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラミネータおよび積層方法に関し、さらに詳しくは、被ラミネート材と粘着性を有する搬送方向に延在するように形成されたフィルム状積層材とからなる積層成形材を真空雰囲気下で加熱および加圧することにより積層成形するラミネータおよび積層方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ラミネータにより積層成形される積層成形材の例としては、プリント配線板を挙げることができる。プリント配線板を製造する場合においては、単層または多層からなる基板の表面に積層された導電層をエッチング、めっき、はんだ等から保護するために、ドライフィルムフォトレジストを積層成形する工程がある。被ラミネート材としての基板には、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸してなる積層基板や、ポリイミド等の熱可塑性樹脂からなる可撓性を有する所謂フレキシブル基板等の種類がある。また、フィルム状積層材としてのドライフィルムフォトレジストは一般に、ベースフィルムに感光層が塗布され、感光層の表面に保護フィルムが貼着された構成となっている。ドライフィルムフォトレジストは、加熱することによって感光層が粘着性を備えた状態で、回路基板の表面に対して加圧することにより積層される。
【0003】
このように被ラミネート材にフィルム状積層材を積層成形するための従来の技術としては、特開平1−146741号公報に開示されたパネルにフィルムシートを付着させる方法およびそれに用いるラミネータや、特開平5−154918号公報に開示された基板にフィルムをラミネートする方法およびラミネータが知られている。また、別の従来の技術としては、特開平2−196633号公報、特開平2−196635号公報、および特開平2−196656号公報等に開示されたラミネータも知られている。
【0004】
これらの従来の技術は、被ラミネート材の先端部にフィルム状積層材を仮付け(仮留め)し、積層成形材を加熱可能な一対のラミネートロールの間に送り込むことにより積層成形するものである。
【0005】
ところで、積層基板やフレキシブル積層基板とドライフィルムフォトレジストとの間には、これら積層成形材の揮発性成分等による気泡や空気等が残留することによりボイドが発生し易くなる。発生したボイドは、例えば溶融はんだ浴等、後工程における高温処理時に膨張し、積層成形されたドライフィルムフォトレジストを破損させる場合等があり、プリント配線板の保護不良や絶縁不良、ひいては導電不良等の原因となるおそれがある。
【0006】
そのため、上記プリント配線板のような積層成形材を積層成形する場合には、被ラミネート材とフィルム状積層材との間にボイドを発生させないように、真空雰囲気下において積層成形材を加熱・加圧することにより積層成形することも従来から行われている。
【0007】
従来の真空雰囲気下で積層成形材を積層成形するための技術としては、特開平10−641号公報等に開示された真空積層装置および真空積層方法が知られている。この特開平10−641号公報に開示された真空積層装置にあっては、相対向して近接遠退可能に設けられた上板および下板と、該上板および下板の対向面にそれぞれ設けられた膜体と、上板または下板のいずれか一方の膜体を加熱するように設けられた加熱手段と、上板と下板の膜体に挟持されることによって被成形材を収容するための密閉されたチャンバを形成する枠体と、該チャンバ内を真空引きする吸引手段と、任意に各膜体を、その設けられた上板および下板の対向面に密接させると共に、その設けられた上板および下板の対向面から離間させて被成形材を加圧する密着・加圧手段とを備えている。
また、この真空積層方法では、被成形材を対面させて位置させ、該被成形材の間および周囲を被成形材を加圧することなく1気圧以下に減圧し、次いで、被成形材の間および周囲の減圧を維持しつつ被成形材を加熱すると共に膜体により加圧して貼り合わせることが記載されている。
【0008】
このような真空積層装置および方法では、基板の両面にドライフィルムフォトレジストを積層する場合には、ドライフィルムフォトレジストを連続した帯状に形成し、上プラテン(上板)と下プラテン(下板)との間に帯状のドライフィルムフォトレジストを渡すように上下に配置して、この下側のドライフィルムフォトレジスト上に基板を所定ピッチで載置し、連続した帯状のドライフィルムフォトレジストをその長手方向に沿って移動させることにより基板を両プラテンの間に搬送させる、すなわち、フィルム状積層材を搬送方向に移送させることにより被ラミネート材をプラテン間に搬入およびプラテン間から搬出する。また、基板の片面にドライフィルムフォトレジストを積層する場合には、上記下側のドライフィルムフォトレジストに代えて帯状のキャリヤフィルム上に基板を載置して搬送する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
フィルム状積層材、特にドライフィルムフォトレジストの基板と直接積層される感光層の中には、加熱される前の通常の状態であっても粘着性(タック性ともいう)の強いものがある。このようなタック性の強いフィルム状積層材上に被ラミネート材を載置して搬送する場合には、両プラテンを近接して形成されたチャンバ内を減圧する前にフィルム状積層材が被ラミネート材と不用意に付着することとなる。このことは特に、被ラミネート材がフレキシブル積層基板に比べて重量の重い積層基板である場合に顕著となる。その結果、チャンバ内を減圧しても、フィルム状積層材と被ラミネート材との間に残留した空気が除去されず、プリント配線板を製造する場合にはボイドが発生するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、膜体により積層成形材を加圧するまでは、フィルム状積層材がタック性の高い場合であっても、被ラミネート材とフィルム状積層材とが不用意に付着しないようにすることができ、もって、両者の間に空気が残留することを確実に防止することができるラミネータおよび積層成形方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るラミネータの発明は、上記目的を達成するため、積層成形材が、被ラミネート材と、該被ラミネート材よりも幅が狭く且つ搬送方向に沿って延在するように形成された粘着性を有するフィルム状積層材とからなり、相対向して開閉可能に配置されチャンバを形成するプラテンと、チャンバ内に配置された積層成形材を加熱する加熱手段と、少なくともいずれか片方のプラテンの対向面に設けられた可撓性を有する膜体と、チャンバ内を真空引きする減圧手段と、膜体をその設けられたプラテンの対向面に吸着すると共に積層成形材を加圧するように膨らませる膜体操作手段と、を備え、積層成形材を、真空雰囲気下で加熱すると共に加圧することにより積層成形するラミネータであって、チャンバ内に配置される前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めする仮留め手段と、チャンバ内で、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持する支持手段と、 フィルム状積層材を搬送方向に移送させる移送手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0012】
請求項2に係るラミネータの発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明において、被ラミネート材の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を、チャンバ内の支持手段に搬入可能に支持する搬入手段を具備することを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に係るラミネータの発明は、上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明において、一方のプラテンが固定されると共に、他方のプラテンが一方のプラテンに対して近接離間するように移動可能に支持され、支持手段がいずれか一方のプラテンに設けられており、搬入手段に支持された被ラミネート材を支持手段に搬入し得るように、他方のプラテンの移動に伴って搬入手段を追従移動させる追従移動手段を具備することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項4に係る積層方法の発明は、上記目的を達成するため、積層成形材が、被ラミネート材と、該被ラミネート材よりも幅が狭く且つ搬送方向に沿って延在するように形成された粘着性を有するフィルム状積層材とからなり、相対向して開閉可能に配置されたプラテン間に積層成形材を配置し、プラテンを閉じることにより密閉されたチャンバ内に積層成形材を収容し、積層成形材を加圧することなくチャンバ内を減圧し、積層成形材を加熱すると共に可撓性を有する膜体により加圧して積層成形材を積層成形する積層成形方法であって、プラテン間に配置する前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めし、フィルム状積層材を搬送方向に移送させることにより被ラミネート材をプラテン間に搬送し、可撓性を有する膜体により加圧されるまでは、フィルム状積層材が被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁に仮留めされた部分以外の部分に接触しないように、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持することを特徴とするものである。
【0015】
請求項1の発明では、仮留め手段によりチャンバ内に配置する前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めする。そして、移送手段によってフィルム状積層材を搬送方向に移送させて被ラミネート材を支持手段に搬入して支持させる。被ラミネート材は、その搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分が支持手段により支持される。フィルム状積層材は被ラミネート材に仮留めされた部分以外の部分が接触することがない。両プラテンを閉じてチャンバを形成し、加圧膜体操作手段によって膜体が積層成形材を加圧しないようにさせた状態で、減圧手段によってチャンバ内を真空引きする。その後、積層成形材を加熱手段により加熱すると共に、加圧膜体操作手段によって膜体を操作して加圧させてフィルム状積層材を被ラミネート材に積層成形する。
【0016】
請求項2の発明では、請求項1に記載の発明において、被ラミネート材は搬入手段により支持手段に搬入される。搬入手段が被ラミネート材の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持するため、フィルム状積層材は被ラミネート材に仮留めされた部分以外の部分が接触することがない。
【0017】
請求項3の発明では、請求項2に記載の発明において、プラテンの移動に伴って搬入手段が追従移動手段により追従移動して支持手段との間で確実に被ラミネート材を受け渡すことができるように整合される。
【0018】
また、請求項4の発明では、プラテン間に配置する前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めすると、フィルム状積層材を搬送方向に移送することによって被ラミネート材がプラテン間に搬送される。その後、両プラテンを閉じることによって被ラミネート材が収容されたチャンバを形成し、積層成形材を加圧することなくチャンバ内を減圧し、積層成形材を加熱すると共に可撓性を有する膜体により加圧して積層成形材を積層成形する。被ラミネート材は、その搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持することにより、可撓性を有する膜体により加圧されるまでは、フィルム状積層材が仮留めされた部分以外の部分に接触することがない。したがって、チャンバ内を減圧した状態で積層成形材を加熱・加圧すると、被ラミネート材とフィルム状積層材との間に空気が残留することなく積層成形される。
【0019】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明に係るラミネータの実施の一形態を図1乃至図3に基づいて詳細に説明する。なお、図において、同一符号は同一部分または相当部分とする。本発明のラミネータ1は、真空雰囲気下で加熱すると共に加圧することにより、積層成形材Sを積層成形するためのもので、この実施の形態では、被ラミネート材としてフェノール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸してなる単層または多層の積層基板Saの表面に、この積層基板Saの幅Waよりもわずかに幅が狭く、連続した帯状に形成されたフィルム状積層材としてのタック性が高いドライフィルムフォトレジストSbが積層される。ラミネータ1は、相対向して開閉可能に配置され間に枠体13が挟まれることによりチャンバを形成するプラテン11,12と、チャンバ内に配置された積層成形材Sを加熱する加熱手段14,15と、少なくともいずれか片方のプラテン11,12の対向面に設けられた可撓性を有する膜体16と、チャンバ内を真空引きする減圧手段(後述する)と、膜体16をその設けられたプラテン12の対向面に吸着すると共に積層成形材Sを加圧するように膨らませる膜体操作手段(後述する)と、チャンバ内に配置される前に積層基板Saの下面の搬送方向前端縁にドライフィルムフォトレジストSbを仮留めする仮留め手段17と、チャンバ内で、積層基板Saの搬送方向に沿った側縁の、ドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも外側の部分を支持する支持手段18と、ドライフィルムフォトレジストSbを搬送方向に移送させる移送手段(後述する)と、積層基板Saの側縁のドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも外側の部分を、支持手段18へ搬入可能に支持する搬入手段19と、この搬入手段19を追従移動させる追従移動手段20とを備えている。
【0020】
図1に示すように、上プラテン11の下面に形成された凹部30内には、断熱材31と、加熱手段としてのヒータ14と、平滑に形成された上定盤32とが順次設けられている。凹部30には吸引手段の管路が接続される接続口33が形成されている。断熱材31、ヒータ14、および上定盤32の側部と凹部30との間には、接続口33と連通すると共にチャンバ内に開放するように、間隙34が形成されている。また、上プラテン11と断熱材31との間には、接続口33と間隔34とを連通する通路31aが格子状に形成されている。
【0021】
一方、下プラテン12の上面には、断熱材41と、加熱手段としてのヒータ15と、下定盤42とが順次設けられている。下プラテン12には膜体操作手段の管路が接続される接続口43が形成されている。下プラテン12と断熱材41との間には、その側面と接続口43との間にわたって連通する通路41aが形成されており、断熱材41およびヒータ15には接続口43と連続するように孔41b,15bがそれぞれ形成され、さらに、下定盤42は例えばパンチングメタルのような通気性を有する部材により構成されている。
【0022】
断熱材41、ヒータ15、および下定盤42の周囲にはこれらの高さよりも高く積層成形材Sを収容するチャンバを形成し得るように形成された枠体13が取付けられている。枠体13の上プラテン11に当接される面にはOリング等のシール材50が設けられている。この実施の形態では、下プラテン12がシリンダ等(図示を省略した)により支持されており、上プラテン11に対して近接・遠退するように昇降移動される。上プラテン11に対して下プラテン12が近接するように上昇移動されると、枠体13が上プラテン11と下プラテン12との間で挟まれて、気密性を有するチャンバが形成される。
【0023】
膜体16は、この実施の形態の場合、下プラテン12のみに設けられており、その周縁が全周にわたって、下プラテン12との間の気密性が保持されるように、枠体13に固定されている。本発明は、この実施の形態に限定されることなく、上プラテン11のみ、あるいは上プラテン11と下プラテン12の双方に膜体16を設けることもできる。
【0024】
図2に示すように、上プラテン11には、積層基板Saの搬送方向に対する幅方向の側縁を支持するための断面が略鉤状に形成された支持手段18が、この実施の形態の場合には上定盤32の側縁に、長手方向に搬送されるドライフィルムフォトレジストSbの両側縁に沿って延在するように設けられている。支持手段18は、チャンバを形成した際に枠体13の内側に収容され且つ下定盤42の表面上の膜体13に干渉しないように設定されている。また、断面が鉤状に形成された両支持手段18の間隔Wcは、ドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも広く、且つ、積層基板Saの幅Waよりも狭くなるように設定される。支持手段18の搬入側と搬出側は、積層基板Saをスムーズに搬送することができるように、傾斜するよう形成されている。
【0025】
ドライフィルムフォトレジストSbは、帯状に連続するように形成されたベースフィルムに感光層が塗布されたもので(図示は省略する)、感光層の表面にはベースフィルムと同様に帯状に連続するように形成された保護フィルムSfが貼着された状態で、ロール状に巻かれている。この実施の形態においては、積層基板Saの上下両面に、保護フィルムSfが剥がされたドライフィルムフォトレジストSbを積層成形する。ラミネータ1の搬出側(図1においては左側)には、積層基板Saに対する積層成形が完了したドライフィルムフォトレジストSbの両側縁を掴んで移動することにより、その長手方向に搬送させる移送手段としてのチャック(図示を省略した)が設けられている。一方、ラミネータ1の搬入側(図1においては右側)には、チャックがドライフィルムフォトレジストの側縁を掴んで移動する際に、ドライフィルムフォトレジストSbを引き出すことができるように、回転可能に軸支されたドライフィルムフォトレジストSbのロールが配設されている。また、ドライフィルムフォトレジストSbのロール上には、ドライフィルムフォトレジストSbから剥がされた保護フィルムSfを巻き取るロールが、ドライフィルムフォトレジストSbのロール回転に従動して回転するようにそれぞれ配設されている。上側のドライフィルムフォトレジストSbは、中間ローラ51および52を介して上定盤32と支持手段18に支持された積層基板Saとの間に所定のテンションで張り渡されるように配置されている。また、下側のドライフィルムフォトレジストSbは、中間ローラ53を介して膜体16等と支持手段18に支持された積層基板Saとの間に所定のテンションで張り渡されるように配置されている。
【0026】
ラミネータ1の搬入側と下側のドライフィルムフォトレジストSbの中間ローラ53との間には、チャンバ内に配置される前に積層基板Saの下面前方側縁にドライフィルムフォトレジストSbを仮留めする仮留め手段17と、上プラテン11に設けられた支持手段18に積層基板Saを搬入し得るように積層基板Saを支持する搬入手段としてのセッティングテーブル19とが配設されている。
【0027】
図3に示すように、セッティングテーブル19は、搬送されるドライフィルムフォトレジストSbの両側縁に沿って延在する支持部材55を備えたもので、各支持部材55には積層基板Saの搬送方向に対する幅方向の側縁を支持する段部55aが形成されている。セッティングテーブル19の後方(図1の右側)は枢軸56によって枢支されており、またセッティングテーブル19の前方(図1の左側)の自由端は下プラテン12の枠体13に形成された段部13aに載置されている。セッティングテーブル19は、下プラテン12の昇降移動に伴って、枢軸56を中心に俯仰することができる。なお、セッティングテーブル19の自由端の最下降位置は、下側のドライフィルムフォトレジストSbが巻き掛けられている中間ローラ53の高さ以上となるように設定されている。
【0028】
仮留め手段17は、下側のドライフィルムフォトレジストSbを積層基板Saに対して押圧する押圧部材60と、この押圧部材60によって下側のドライフィルムフォトレジストSbが押圧された積層基板Saを受け止める受け部材61とにより構成されている。押圧部材60と受け部材61は、セッティングテーブル19に載置された積層基板Saの前端縁と整合するように相対向して配置されている。押圧部材60は、エアシリンダ等の駆動手段(図示を省略した)によって受け部材61に対して近接・遠退するように支持されている。押圧部材60は、ドライフィルムフォトレジストSbのタック性が比較的低く、押圧するだけでは積層基板Saに仮留めすることができない場合には、ドライフィルムフォトレジストSbを加熱してタック性を増加させるための加熱手段を設けることもできる(図示は省略する)。
【0029】
本発明は、この実施の形態に限定されることなく、例えば、上プラテン11に膜体16および枠体13を設け、支持手段18を下プラテン12に設けることもできる。この場合にあっては、支持手段18をセッティングテーブル19に設けられた支持部材55と同様の段部を形成することができる。また、セッティングテーブル19に設けられた支持部材55は、段部55aに代えて支持手段18と同様の断面が鉤状となるように形成することもできる。
この実施の形態では、積層基板Saの両面にドライフィルムフォトレジストSbを積層成形する場合によって説明したが、本発明は積層基板Saの下面のみにドライフィルムフォトレジストSbを積層成形することもできる。さらには、積層成形材Sは、積層基板SaとドライフィルムフォトレジストSbとを積層成形する場合に限定されず、他の被ラミネート材とフィルム状積層材とを積層する場合にも適用することができる。
【0030】
次に、本発明の積層成形方法を、以上のように構成されたラミネータ1を用いた場合によって詳細に説明する。
本発明の積層成形方法は、概略、相対向して開閉可能に配置されたプラテン11,12間に帯状に連続するように形成されたドライフィルムフォトレジストSbを配置し、このドライフィルムフォトレジストSb上に積層基板Saの搬送方向前端縁のみを仮留めし、ドライフィルムフォトレジストSbを移送させて積層基板Saをプラテン11,12間に搬入して、可撓性を有する膜体16により加圧されるまでは、ドライフィルムフォトレジストSbが積層基板Saの下面の前端縁に仮留めされた部分以外の部分に接触しないように、積層基板Saの搬送方向に沿った側縁の、ドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも外側の部分を支持し、プラテン11,12を閉じることにより密閉されたチャンバ内にドライフィルムフォトレジストSbが仮留めされた積層基板Saを収容し、この積層成形材Sを加圧することなくチャンバ内を減圧し、その後、積層成形材Sを加熱すると共に可撓性を有する膜体16により加圧して積層成形材Sを積層成形するものである。
【0031】
最初に、下プラテン12は上プラテン11から離れるように下降されており、両プラテン11,12の間に帯状に連続するように形成されたドライフィルムフォトレジストSbがそれぞれ所定のテンションで、張り渡されるように配置されている。上側のドライフィルムフォトレジストSbは支持手段18に支持された積層基板Saに接触しないように弛みをなくす程度のテンションで張り渡され、下側のドライフィルムフォトレジストSbは支持手段18およびセッティングテーブル19の支持部材55に支持された積層基板Saにそれぞれ接触しないように適度な弛みをもたせせる程度のテンションで張り渡されている。両ドライフィルムフォトレジストSbを図示しないチャックにより掴んで移送させるときのロールの回転抵抗を調整することにより、このような所望するテンションを得ることができる。
【0032】
下プラテン12が上プラテン11から離れるように最も下降した状態では、セッティングテーブル19の自由端は下側のドライフィルムフォトレジストSbに近づいている。この状態で押圧部材60を上昇させると、下側のドライフィルムフォトレジストSbは、積層基板Saの下面の前方端縁に当接されて、受け部材61との間で押圧され仮留めされることとなる。
【0033】
次いで、押圧部材60を下降させると共に、下プラテン12を上プラテン11に対して上昇移動させる。この移動に追従してセッティングテーブル19の自由端の高さ方向の位置が、下側のドライフィルムフォトレジストSbが仮留めされた積層基板Saを支持手段18に受け渡すことができるように、支持手段18の高さ方向の位置と整合するまで下プラテン12は上昇移動される。このとき、下側のドライフィルムフォトレジストSbが巻き掛けられている中間ローラ53の高さがセッティングテーブル19の自由端の最下降位置よりも低く、また、積層基板Saに仮留めされた下側のドライフィルムフォトレジストSbが弛みをもたせるようなテンションで張り渡されているために、下側のドライフィルムフォトレジストSbは積層基板Saの仮留めされた部分以外の部分に接触することがない。
【0034】
この状態で、両ドライフィルムフォトレジストSbの側縁を図示しないチャックにより掴んで移動させて両ドライフィルムフォトレジストSbをその長手方向に搬送する。支持手段18およびセッティングテーブル19の支持部材55の間隔Wdが積層基板Saの幅Waよりも狭く且つ下側のドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも広く設定されているため、下側のドライフィルムフォトレジストSbが仮留めされた積層基板Saの側縁をセッティングテーブル19の支持部材55あるいは支持手段18が支持した状態で、且つ、下側のドライフィルムフォトレジストSbが支持部材55および支持手段18に邪魔されることなく移動することができ、したがって、下側のドライフィルムフォトレジストSbを仮留めされた積層基板Saがセッティングテーブル19の支持部材55から支持手段18へと搬送されることとなる。また、これと同時に、既にドライフィルムフォトレジストSbが積層成形された積層基板Saは、両プラテン11,12の間から搬出されることとなる。なお、下側のドライフィルムフォトレジストSbに対して仮留めされる積層基板Saのピッチは、図示しないチャックの1回の移動によって、積層基板Saをセッティングテーブル19の支持部材55から支持手段18に搬送してチャンバ内に確実に収容することができ、また、ドライフィルムフォトレジストSbが積層成形された積層基板Saを両プラテン11,12の間から確実に搬出することができるように、図示しないチャックの移動ストロークや枠体13の大きさ等に基づいて設定される。
【0035】
下側のドライフィルムフォトレジストSbを仮留めされた積層基板Saが支持手段18に搬送されると、下プラテン12がさらに上昇移動され、枠体13が上プラテン11との間に挟まれることにより、下側のドライフィルムフォトレジストSbが仮留めされた状態の積層基板Saを収容した気密のチャンバが形成される。続いて、膜体操作手段が接続口43を介して減圧するよう作動される。断熱材41の側面と接続口43との間にわたって連通する通路41aが形成され、且つ、断熱材41およびヒータ15には接続口43と連続するように孔41b,15bがそれぞれ形成され、さらに、下定盤42が通気性を有する部材により構成されていることにより、膜体操作手段による減圧は膜体16を下定盤42全面に密着させるように作用する。この状態で、吸引手段が接続口33を介してチャンバ内を減圧するように作動される。断熱材31、ヒータ14、および上定盤32の側部と凹部30との間に、接続口33と連通すると共にチャンバ内に開放するように、間隙34が形成されていることにより、吸引手段による減圧はチャンバ内全体を真空引きするように作用する。このとき、膜体操作手段によって膜体16が下定盤42に密着されているため、チャンバ内を減圧した際に、膜体16が不用意にチャンバ内で膨らんで積層成形材Sを加圧することが防止される。
【0036】
チャンバ内が減圧されると、各プラテン11,12に設けられたヒータ14,15によりドライフィルムフォトレジストSbを加熱すると共に、膜体操作手段の減圧を停止して吸引手段によるチャンバ内の減圧によって膜体16を膨らませることにより、あるいは、膜体操作手段によるり減圧を停止して圧縮空気等の作動流体を接続口43を介して供給して膜体16を膨らませることにより、積層成形材Saを上定盤32に押しつけるようにして加圧する。膜体操作手段により接続口43を介して作動流体を供給する場合には、その減圧作用と同様に、作動流体が膜体16全体に作用して均一に膨らませることとなる。
【0037】
積層基板Saの両側縁のドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも外側の部分を支持手段18により支持しているため、チャンバ内を減圧して膜体16により加圧されるまでは、ドライフィルムフォトレジストSbが積層基板Saの下面の前端縁に仮留めされた部分以外の部分に接触することがない。そのため、ドライフィルムフォトレジストSbがタック性の高いものであっても、積層基板Saと不用意に付着することが防止され、チャンバ内を減圧することによって積層基板SaとドライフィルムフォトレジストSbとの間に空気が残留することがなく、したがってボイドの発生を確実に防止してプリント配線板の製造効率を高めることができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、チャンバ内に配置される前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めする仮留め手段と、チャンバ内で、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持する支持手段と、フィルム状積層材を搬送方向に移送させる移送手段と、を具備することにより、簡単な構成で、膜体により積層成形材を加圧するまでは、フィルム状積層材がタック性の高い場合であっても、被ラミネート材とフィルム状積層材とが不用意に付着しないようにすることができ、もって、両者の間に空気が残留することを確実に防止することができるラミネータを提供することができる。
【0039】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、被ラミネート材の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を、チャンバ内の支持手段に搬入可能に支持する搬入手段を具備することにより、被ラミネート材をフィルム状積層材に不用意に付着させることなく確実にチャンバ内に搬送することができるラミネータを提供することができる。
【0040】
請求項3の発明によれば、請求項2に記載された発明において、一方のプラテンが固定されると共に、他方のプラテンが一方のプラテンに対して近接離間するように移動可能に支持され、支持手段がいずれか一方のプラテンに設けられている場合に、搬入手段に支持された被ラミネート材を支持手段に搬入し得るように、他方のプラテンの移動に伴って搬入手段を追従移動させる追従移動手段を具備することにより、他方のプラテンの移動によって搬入手段を確実に支持手段と整合させることができ、簡単な構成で、被ラミネート材をさらに確実にチャンバ内に搬送することができるラミネータを提供することができる。
【0041】
請求項4の発明によれば、プラテン間に配置する前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めし、フィルム状積層材を搬送方向に移送させることにより被ラミネート材をプラテン間に搬送し、可撓性を有する膜体により加圧されるまでは、フィルム状積層材が被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁に仮留めされた部分以外の部分に接触しないように、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持する、という簡単な構成で、膜体により積層成形材を加圧するまでは、フィルム状積層材がタック性の高い場合であっても、被ラミネート材とフィルム状積層材とが不用意に付着しないようにすることができ、もって、両者の間に空気が残留することを確実に防止することができるラミネータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラミネータの一実施の形態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【符号の説明】
S 積層成形材
Sa 積層基板(被ラミネート材)
Sb ドライフィルムフォトレジスト(フィルム状積層材)
Wa 積層基板の幅
Wb ドライフィルムフォトレジストの幅
1 ラミネータ
11 上プラテン
12 下プラテン
13 枠体
14,15 ヒータ(加熱手段)
16 膜体
17 仮留め手段
18 支持手段
19 セッティングテーブル(搬入手段)
20 追従移動手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラミネータおよび積層方法に関し、さらに詳しくは、被ラミネート材と粘着性を有する搬送方向に延在するように形成されたフィルム状積層材とからなる積層成形材を真空雰囲気下で加熱および加圧することにより積層成形するラミネータおよび積層方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ラミネータにより積層成形される積層成形材の例としては、プリント配線板を挙げることができる。プリント配線板を製造する場合においては、単層または多層からなる基板の表面に積層された導電層をエッチング、めっき、はんだ等から保護するために、ドライフィルムフォトレジストを積層成形する工程がある。被ラミネート材としての基板には、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸してなる積層基板や、ポリイミド等の熱可塑性樹脂からなる可撓性を有する所謂フレキシブル基板等の種類がある。また、フィルム状積層材としてのドライフィルムフォトレジストは一般に、ベースフィルムに感光層が塗布され、感光層の表面に保護フィルムが貼着された構成となっている。ドライフィルムフォトレジストは、加熱することによって感光層が粘着性を備えた状態で、回路基板の表面に対して加圧することにより積層される。
【0003】
このように被ラミネート材にフィルム状積層材を積層成形するための従来の技術としては、特開平1−146741号公報に開示されたパネルにフィルムシートを付着させる方法およびそれに用いるラミネータや、特開平5−154918号公報に開示された基板にフィルムをラミネートする方法およびラミネータが知られている。また、別の従来の技術としては、特開平2−196633号公報、特開平2−196635号公報、および特開平2−196656号公報等に開示されたラミネータも知られている。
【0004】
これらの従来の技術は、被ラミネート材の先端部にフィルム状積層材を仮付け(仮留め)し、積層成形材を加熱可能な一対のラミネートロールの間に送り込むことにより積層成形するものである。
【0005】
ところで、積層基板やフレキシブル積層基板とドライフィルムフォトレジストとの間には、これら積層成形材の揮発性成分等による気泡や空気等が残留することによりボイドが発生し易くなる。発生したボイドは、例えば溶融はんだ浴等、後工程における高温処理時に膨張し、積層成形されたドライフィルムフォトレジストを破損させる場合等があり、プリント配線板の保護不良や絶縁不良、ひいては導電不良等の原因となるおそれがある。
【0006】
そのため、上記プリント配線板のような積層成形材を積層成形する場合には、被ラミネート材とフィルム状積層材との間にボイドを発生させないように、真空雰囲気下において積層成形材を加熱・加圧することにより積層成形することも従来から行われている。
【0007】
従来の真空雰囲気下で積層成形材を積層成形するための技術としては、特開平10−641号公報等に開示された真空積層装置および真空積層方法が知られている。この特開平10−641号公報に開示された真空積層装置にあっては、相対向して近接遠退可能に設けられた上板および下板と、該上板および下板の対向面にそれぞれ設けられた膜体と、上板または下板のいずれか一方の膜体を加熱するように設けられた加熱手段と、上板と下板の膜体に挟持されることによって被成形材を収容するための密閉されたチャンバを形成する枠体と、該チャンバ内を真空引きする吸引手段と、任意に各膜体を、その設けられた上板および下板の対向面に密接させると共に、その設けられた上板および下板の対向面から離間させて被成形材を加圧する密着・加圧手段とを備えている。
また、この真空積層方法では、被成形材を対面させて位置させ、該被成形材の間および周囲を被成形材を加圧することなく1気圧以下に減圧し、次いで、被成形材の間および周囲の減圧を維持しつつ被成形材を加熱すると共に膜体により加圧して貼り合わせることが記載されている。
【0008】
このような真空積層装置および方法では、基板の両面にドライフィルムフォトレジストを積層する場合には、ドライフィルムフォトレジストを連続した帯状に形成し、上プラテン(上板)と下プラテン(下板)との間に帯状のドライフィルムフォトレジストを渡すように上下に配置して、この下側のドライフィルムフォトレジスト上に基板を所定ピッチで載置し、連続した帯状のドライフィルムフォトレジストをその長手方向に沿って移動させることにより基板を両プラテンの間に搬送させる、すなわち、フィルム状積層材を搬送方向に移送させることにより被ラミネート材をプラテン間に搬入およびプラテン間から搬出する。また、基板の片面にドライフィルムフォトレジストを積層する場合には、上記下側のドライフィルムフォトレジストに代えて帯状のキャリヤフィルム上に基板を載置して搬送する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
フィルム状積層材、特にドライフィルムフォトレジストの基板と直接積層される感光層の中には、加熱される前の通常の状態であっても粘着性(タック性ともいう)の強いものがある。このようなタック性の強いフィルム状積層材上に被ラミネート材を載置して搬送する場合には、両プラテンを近接して形成されたチャンバ内を減圧する前にフィルム状積層材が被ラミネート材と不用意に付着することとなる。このことは特に、被ラミネート材がフレキシブル積層基板に比べて重量の重い積層基板である場合に顕著となる。その結果、チャンバ内を減圧しても、フィルム状積層材と被ラミネート材との間に残留した空気が除去されず、プリント配線板を製造する場合にはボイドが発生するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、膜体により積層成形材を加圧するまでは、フィルム状積層材がタック性の高い場合であっても、被ラミネート材とフィルム状積層材とが不用意に付着しないようにすることができ、もって、両者の間に空気が残留することを確実に防止することができるラミネータおよび積層成形方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るラミネータの発明は、上記目的を達成するため、積層成形材が、被ラミネート材と、該被ラミネート材よりも幅が狭く且つ搬送方向に沿って延在するように形成された粘着性を有するフィルム状積層材とからなり、相対向して開閉可能に配置されチャンバを形成するプラテンと、チャンバ内に配置された積層成形材を加熱する加熱手段と、少なくともいずれか片方のプラテンの対向面に設けられた可撓性を有する膜体と、チャンバ内を真空引きする減圧手段と、膜体をその設けられたプラテンの対向面に吸着すると共に積層成形材を加圧するように膨らませる膜体操作手段と、を備え、積層成形材を、真空雰囲気下で加熱すると共に加圧することにより積層成形するラミネータであって、チャンバ内に配置される前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めする仮留め手段と、チャンバ内で、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持する支持手段と、 フィルム状積層材を搬送方向に移送させる移送手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0012】
請求項2に係るラミネータの発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明において、被ラミネート材の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を、チャンバ内の支持手段に搬入可能に支持する搬入手段を具備することを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に係るラミネータの発明は、上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明において、一方のプラテンが固定されると共に、他方のプラテンが一方のプラテンに対して近接離間するように移動可能に支持され、支持手段がいずれか一方のプラテンに設けられており、搬入手段に支持された被ラミネート材を支持手段に搬入し得るように、他方のプラテンの移動に伴って搬入手段を追従移動させる追従移動手段を具備することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項4に係る積層方法の発明は、上記目的を達成するため、積層成形材が、被ラミネート材と、該被ラミネート材よりも幅が狭く且つ搬送方向に沿って延在するように形成された粘着性を有するフィルム状積層材とからなり、相対向して開閉可能に配置されたプラテン間に積層成形材を配置し、プラテンを閉じることにより密閉されたチャンバ内に積層成形材を収容し、積層成形材を加圧することなくチャンバ内を減圧し、積層成形材を加熱すると共に可撓性を有する膜体により加圧して積層成形材を積層成形する積層成形方法であって、プラテン間に配置する前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めし、フィルム状積層材を搬送方向に移送させることにより被ラミネート材をプラテン間に搬送し、可撓性を有する膜体により加圧されるまでは、フィルム状積層材が被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁に仮留めされた部分以外の部分に接触しないように、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持することを特徴とするものである。
【0015】
請求項1の発明では、仮留め手段によりチャンバ内に配置する前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めする。そして、移送手段によってフィルム状積層材を搬送方向に移送させて被ラミネート材を支持手段に搬入して支持させる。被ラミネート材は、その搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分が支持手段により支持される。フィルム状積層材は被ラミネート材に仮留めされた部分以外の部分が接触することがない。両プラテンを閉じてチャンバを形成し、加圧膜体操作手段によって膜体が積層成形材を加圧しないようにさせた状態で、減圧手段によってチャンバ内を真空引きする。その後、積層成形材を加熱手段により加熱すると共に、加圧膜体操作手段によって膜体を操作して加圧させてフィルム状積層材を被ラミネート材に積層成形する。
【0016】
請求項2の発明では、請求項1に記載の発明において、被ラミネート材は搬入手段により支持手段に搬入される。搬入手段が被ラミネート材の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持するため、フィルム状積層材は被ラミネート材に仮留めされた部分以外の部分が接触することがない。
【0017】
請求項3の発明では、請求項2に記載の発明において、プラテンの移動に伴って搬入手段が追従移動手段により追従移動して支持手段との間で確実に被ラミネート材を受け渡すことができるように整合される。
【0018】
また、請求項4の発明では、プラテン間に配置する前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めすると、フィルム状積層材を搬送方向に移送することによって被ラミネート材がプラテン間に搬送される。その後、両プラテンを閉じることによって被ラミネート材が収容されたチャンバを形成し、積層成形材を加圧することなくチャンバ内を減圧し、積層成形材を加熱すると共に可撓性を有する膜体により加圧して積層成形材を積層成形する。被ラミネート材は、その搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持することにより、可撓性を有する膜体により加圧されるまでは、フィルム状積層材が仮留めされた部分以外の部分に接触することがない。したがって、チャンバ内を減圧した状態で積層成形材を加熱・加圧すると、被ラミネート材とフィルム状積層材との間に空気が残留することなく積層成形される。
【0019】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明に係るラミネータの実施の一形態を図1乃至図3に基づいて詳細に説明する。なお、図において、同一符号は同一部分または相当部分とする。本発明のラミネータ1は、真空雰囲気下で加熱すると共に加圧することにより、積層成形材Sを積層成形するためのもので、この実施の形態では、被ラミネート材としてフェノール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸してなる単層または多層の積層基板Saの表面に、この積層基板Saの幅Waよりもわずかに幅が狭く、連続した帯状に形成されたフィルム状積層材としてのタック性が高いドライフィルムフォトレジストSbが積層される。ラミネータ1は、相対向して開閉可能に配置され間に枠体13が挟まれることによりチャンバを形成するプラテン11,12と、チャンバ内に配置された積層成形材Sを加熱する加熱手段14,15と、少なくともいずれか片方のプラテン11,12の対向面に設けられた可撓性を有する膜体16と、チャンバ内を真空引きする減圧手段(後述する)と、膜体16をその設けられたプラテン12の対向面に吸着すると共に積層成形材Sを加圧するように膨らませる膜体操作手段(後述する)と、チャンバ内に配置される前に積層基板Saの下面の搬送方向前端縁にドライフィルムフォトレジストSbを仮留めする仮留め手段17と、チャンバ内で、積層基板Saの搬送方向に沿った側縁の、ドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも外側の部分を支持する支持手段18と、ドライフィルムフォトレジストSbを搬送方向に移送させる移送手段(後述する)と、積層基板Saの側縁のドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも外側の部分を、支持手段18へ搬入可能に支持する搬入手段19と、この搬入手段19を追従移動させる追従移動手段20とを備えている。
【0020】
図1に示すように、上プラテン11の下面に形成された凹部30内には、断熱材31と、加熱手段としてのヒータ14と、平滑に形成された上定盤32とが順次設けられている。凹部30には吸引手段の管路が接続される接続口33が形成されている。断熱材31、ヒータ14、および上定盤32の側部と凹部30との間には、接続口33と連通すると共にチャンバ内に開放するように、間隙34が形成されている。また、上プラテン11と断熱材31との間には、接続口33と間隔34とを連通する通路31aが格子状に形成されている。
【0021】
一方、下プラテン12の上面には、断熱材41と、加熱手段としてのヒータ15と、下定盤42とが順次設けられている。下プラテン12には膜体操作手段の管路が接続される接続口43が形成されている。下プラテン12と断熱材41との間には、その側面と接続口43との間にわたって連通する通路41aが形成されており、断熱材41およびヒータ15には接続口43と連続するように孔41b,15bがそれぞれ形成され、さらに、下定盤42は例えばパンチングメタルのような通気性を有する部材により構成されている。
【0022】
断熱材41、ヒータ15、および下定盤42の周囲にはこれらの高さよりも高く積層成形材Sを収容するチャンバを形成し得るように形成された枠体13が取付けられている。枠体13の上プラテン11に当接される面にはOリング等のシール材50が設けられている。この実施の形態では、下プラテン12がシリンダ等(図示を省略した)により支持されており、上プラテン11に対して近接・遠退するように昇降移動される。上プラテン11に対して下プラテン12が近接するように上昇移動されると、枠体13が上プラテン11と下プラテン12との間で挟まれて、気密性を有するチャンバが形成される。
【0023】
膜体16は、この実施の形態の場合、下プラテン12のみに設けられており、その周縁が全周にわたって、下プラテン12との間の気密性が保持されるように、枠体13に固定されている。本発明は、この実施の形態に限定されることなく、上プラテン11のみ、あるいは上プラテン11と下プラテン12の双方に膜体16を設けることもできる。
【0024】
図2に示すように、上プラテン11には、積層基板Saの搬送方向に対する幅方向の側縁を支持するための断面が略鉤状に形成された支持手段18が、この実施の形態の場合には上定盤32の側縁に、長手方向に搬送されるドライフィルムフォトレジストSbの両側縁に沿って延在するように設けられている。支持手段18は、チャンバを形成した際に枠体13の内側に収容され且つ下定盤42の表面上の膜体13に干渉しないように設定されている。また、断面が鉤状に形成された両支持手段18の間隔Wcは、ドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも広く、且つ、積層基板Saの幅Waよりも狭くなるように設定される。支持手段18の搬入側と搬出側は、積層基板Saをスムーズに搬送することができるように、傾斜するよう形成されている。
【0025】
ドライフィルムフォトレジストSbは、帯状に連続するように形成されたベースフィルムに感光層が塗布されたもので(図示は省略する)、感光層の表面にはベースフィルムと同様に帯状に連続するように形成された保護フィルムSfが貼着された状態で、ロール状に巻かれている。この実施の形態においては、積層基板Saの上下両面に、保護フィルムSfが剥がされたドライフィルムフォトレジストSbを積層成形する。ラミネータ1の搬出側(図1においては左側)には、積層基板Saに対する積層成形が完了したドライフィルムフォトレジストSbの両側縁を掴んで移動することにより、その長手方向に搬送させる移送手段としてのチャック(図示を省略した)が設けられている。一方、ラミネータ1の搬入側(図1においては右側)には、チャックがドライフィルムフォトレジストの側縁を掴んで移動する際に、ドライフィルムフォトレジストSbを引き出すことができるように、回転可能に軸支されたドライフィルムフォトレジストSbのロールが配設されている。また、ドライフィルムフォトレジストSbのロール上には、ドライフィルムフォトレジストSbから剥がされた保護フィルムSfを巻き取るロールが、ドライフィルムフォトレジストSbのロール回転に従動して回転するようにそれぞれ配設されている。上側のドライフィルムフォトレジストSbは、中間ローラ51および52を介して上定盤32と支持手段18に支持された積層基板Saとの間に所定のテンションで張り渡されるように配置されている。また、下側のドライフィルムフォトレジストSbは、中間ローラ53を介して膜体16等と支持手段18に支持された積層基板Saとの間に所定のテンションで張り渡されるように配置されている。
【0026】
ラミネータ1の搬入側と下側のドライフィルムフォトレジストSbの中間ローラ53との間には、チャンバ内に配置される前に積層基板Saの下面前方側縁にドライフィルムフォトレジストSbを仮留めする仮留め手段17と、上プラテン11に設けられた支持手段18に積層基板Saを搬入し得るように積層基板Saを支持する搬入手段としてのセッティングテーブル19とが配設されている。
【0027】
図3に示すように、セッティングテーブル19は、搬送されるドライフィルムフォトレジストSbの両側縁に沿って延在する支持部材55を備えたもので、各支持部材55には積層基板Saの搬送方向に対する幅方向の側縁を支持する段部55aが形成されている。セッティングテーブル19の後方(図1の右側)は枢軸56によって枢支されており、またセッティングテーブル19の前方(図1の左側)の自由端は下プラテン12の枠体13に形成された段部13aに載置されている。セッティングテーブル19は、下プラテン12の昇降移動に伴って、枢軸56を中心に俯仰することができる。なお、セッティングテーブル19の自由端の最下降位置は、下側のドライフィルムフォトレジストSbが巻き掛けられている中間ローラ53の高さ以上となるように設定されている。
【0028】
仮留め手段17は、下側のドライフィルムフォトレジストSbを積層基板Saに対して押圧する押圧部材60と、この押圧部材60によって下側のドライフィルムフォトレジストSbが押圧された積層基板Saを受け止める受け部材61とにより構成されている。押圧部材60と受け部材61は、セッティングテーブル19に載置された積層基板Saの前端縁と整合するように相対向して配置されている。押圧部材60は、エアシリンダ等の駆動手段(図示を省略した)によって受け部材61に対して近接・遠退するように支持されている。押圧部材60は、ドライフィルムフォトレジストSbのタック性が比較的低く、押圧するだけでは積層基板Saに仮留めすることができない場合には、ドライフィルムフォトレジストSbを加熱してタック性を増加させるための加熱手段を設けることもできる(図示は省略する)。
【0029】
本発明は、この実施の形態に限定されることなく、例えば、上プラテン11に膜体16および枠体13を設け、支持手段18を下プラテン12に設けることもできる。この場合にあっては、支持手段18をセッティングテーブル19に設けられた支持部材55と同様の段部を形成することができる。また、セッティングテーブル19に設けられた支持部材55は、段部55aに代えて支持手段18と同様の断面が鉤状となるように形成することもできる。
この実施の形態では、積層基板Saの両面にドライフィルムフォトレジストSbを積層成形する場合によって説明したが、本発明は積層基板Saの下面のみにドライフィルムフォトレジストSbを積層成形することもできる。さらには、積層成形材Sは、積層基板SaとドライフィルムフォトレジストSbとを積層成形する場合に限定されず、他の被ラミネート材とフィルム状積層材とを積層する場合にも適用することができる。
【0030】
次に、本発明の積層成形方法を、以上のように構成されたラミネータ1を用いた場合によって詳細に説明する。
本発明の積層成形方法は、概略、相対向して開閉可能に配置されたプラテン11,12間に帯状に連続するように形成されたドライフィルムフォトレジストSbを配置し、このドライフィルムフォトレジストSb上に積層基板Saの搬送方向前端縁のみを仮留めし、ドライフィルムフォトレジストSbを移送させて積層基板Saをプラテン11,12間に搬入して、可撓性を有する膜体16により加圧されるまでは、ドライフィルムフォトレジストSbが積層基板Saの下面の前端縁に仮留めされた部分以外の部分に接触しないように、積層基板Saの搬送方向に沿った側縁の、ドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも外側の部分を支持し、プラテン11,12を閉じることにより密閉されたチャンバ内にドライフィルムフォトレジストSbが仮留めされた積層基板Saを収容し、この積層成形材Sを加圧することなくチャンバ内を減圧し、その後、積層成形材Sを加熱すると共に可撓性を有する膜体16により加圧して積層成形材Sを積層成形するものである。
【0031】
最初に、下プラテン12は上プラテン11から離れるように下降されており、両プラテン11,12の間に帯状に連続するように形成されたドライフィルムフォトレジストSbがそれぞれ所定のテンションで、張り渡されるように配置されている。上側のドライフィルムフォトレジストSbは支持手段18に支持された積層基板Saに接触しないように弛みをなくす程度のテンションで張り渡され、下側のドライフィルムフォトレジストSbは支持手段18およびセッティングテーブル19の支持部材55に支持された積層基板Saにそれぞれ接触しないように適度な弛みをもたせせる程度のテンションで張り渡されている。両ドライフィルムフォトレジストSbを図示しないチャックにより掴んで移送させるときのロールの回転抵抗を調整することにより、このような所望するテンションを得ることができる。
【0032】
下プラテン12が上プラテン11から離れるように最も下降した状態では、セッティングテーブル19の自由端は下側のドライフィルムフォトレジストSbに近づいている。この状態で押圧部材60を上昇させると、下側のドライフィルムフォトレジストSbは、積層基板Saの下面の前方端縁に当接されて、受け部材61との間で押圧され仮留めされることとなる。
【0033】
次いで、押圧部材60を下降させると共に、下プラテン12を上プラテン11に対して上昇移動させる。この移動に追従してセッティングテーブル19の自由端の高さ方向の位置が、下側のドライフィルムフォトレジストSbが仮留めされた積層基板Saを支持手段18に受け渡すことができるように、支持手段18の高さ方向の位置と整合するまで下プラテン12は上昇移動される。このとき、下側のドライフィルムフォトレジストSbが巻き掛けられている中間ローラ53の高さがセッティングテーブル19の自由端の最下降位置よりも低く、また、積層基板Saに仮留めされた下側のドライフィルムフォトレジストSbが弛みをもたせるようなテンションで張り渡されているために、下側のドライフィルムフォトレジストSbは積層基板Saの仮留めされた部分以外の部分に接触することがない。
【0034】
この状態で、両ドライフィルムフォトレジストSbの側縁を図示しないチャックにより掴んで移動させて両ドライフィルムフォトレジストSbをその長手方向に搬送する。支持手段18およびセッティングテーブル19の支持部材55の間隔Wdが積層基板Saの幅Waよりも狭く且つ下側のドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも広く設定されているため、下側のドライフィルムフォトレジストSbが仮留めされた積層基板Saの側縁をセッティングテーブル19の支持部材55あるいは支持手段18が支持した状態で、且つ、下側のドライフィルムフォトレジストSbが支持部材55および支持手段18に邪魔されることなく移動することができ、したがって、下側のドライフィルムフォトレジストSbを仮留めされた積層基板Saがセッティングテーブル19の支持部材55から支持手段18へと搬送されることとなる。また、これと同時に、既にドライフィルムフォトレジストSbが積層成形された積層基板Saは、両プラテン11,12の間から搬出されることとなる。なお、下側のドライフィルムフォトレジストSbに対して仮留めされる積層基板Saのピッチは、図示しないチャックの1回の移動によって、積層基板Saをセッティングテーブル19の支持部材55から支持手段18に搬送してチャンバ内に確実に収容することができ、また、ドライフィルムフォトレジストSbが積層成形された積層基板Saを両プラテン11,12の間から確実に搬出することができるように、図示しないチャックの移動ストロークや枠体13の大きさ等に基づいて設定される。
【0035】
下側のドライフィルムフォトレジストSbを仮留めされた積層基板Saが支持手段18に搬送されると、下プラテン12がさらに上昇移動され、枠体13が上プラテン11との間に挟まれることにより、下側のドライフィルムフォトレジストSbが仮留めされた状態の積層基板Saを収容した気密のチャンバが形成される。続いて、膜体操作手段が接続口43を介して減圧するよう作動される。断熱材41の側面と接続口43との間にわたって連通する通路41aが形成され、且つ、断熱材41およびヒータ15には接続口43と連続するように孔41b,15bがそれぞれ形成され、さらに、下定盤42が通気性を有する部材により構成されていることにより、膜体操作手段による減圧は膜体16を下定盤42全面に密着させるように作用する。この状態で、吸引手段が接続口33を介してチャンバ内を減圧するように作動される。断熱材31、ヒータ14、および上定盤32の側部と凹部30との間に、接続口33と連通すると共にチャンバ内に開放するように、間隙34が形成されていることにより、吸引手段による減圧はチャンバ内全体を真空引きするように作用する。このとき、膜体操作手段によって膜体16が下定盤42に密着されているため、チャンバ内を減圧した際に、膜体16が不用意にチャンバ内で膨らんで積層成形材Sを加圧することが防止される。
【0036】
チャンバ内が減圧されると、各プラテン11,12に設けられたヒータ14,15によりドライフィルムフォトレジストSbを加熱すると共に、膜体操作手段の減圧を停止して吸引手段によるチャンバ内の減圧によって膜体16を膨らませることにより、あるいは、膜体操作手段によるり減圧を停止して圧縮空気等の作動流体を接続口43を介して供給して膜体16を膨らませることにより、積層成形材Saを上定盤32に押しつけるようにして加圧する。膜体操作手段により接続口43を介して作動流体を供給する場合には、その減圧作用と同様に、作動流体が膜体16全体に作用して均一に膨らませることとなる。
【0037】
積層基板Saの両側縁のドライフィルムフォトレジストSbの幅Wbよりも外側の部分を支持手段18により支持しているため、チャンバ内を減圧して膜体16により加圧されるまでは、ドライフィルムフォトレジストSbが積層基板Saの下面の前端縁に仮留めされた部分以外の部分に接触することがない。そのため、ドライフィルムフォトレジストSbがタック性の高いものであっても、積層基板Saと不用意に付着することが防止され、チャンバ内を減圧することによって積層基板SaとドライフィルムフォトレジストSbとの間に空気が残留することがなく、したがってボイドの発生を確実に防止してプリント配線板の製造効率を高めることができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、チャンバ内に配置される前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めする仮留め手段と、チャンバ内で、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持する支持手段と、フィルム状積層材を搬送方向に移送させる移送手段と、を具備することにより、簡単な構成で、膜体により積層成形材を加圧するまでは、フィルム状積層材がタック性の高い場合であっても、被ラミネート材とフィルム状積層材とが不用意に付着しないようにすることができ、もって、両者の間に空気が残留することを確実に防止することができるラミネータを提供することができる。
【0039】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、被ラミネート材の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を、チャンバ内の支持手段に搬入可能に支持する搬入手段を具備することにより、被ラミネート材をフィルム状積層材に不用意に付着させることなく確実にチャンバ内に搬送することができるラミネータを提供することができる。
【0040】
請求項3の発明によれば、請求項2に記載された発明において、一方のプラテンが固定されると共に、他方のプラテンが一方のプラテンに対して近接離間するように移動可能に支持され、支持手段がいずれか一方のプラテンに設けられている場合に、搬入手段に支持された被ラミネート材を支持手段に搬入し得るように、他方のプラテンの移動に伴って搬入手段を追従移動させる追従移動手段を具備することにより、他方のプラテンの移動によって搬入手段を確実に支持手段と整合させることができ、簡単な構成で、被ラミネート材をさらに確実にチャンバ内に搬送することができるラミネータを提供することができる。
【0041】
請求項4の発明によれば、プラテン間に配置する前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めし、フィルム状積層材を搬送方向に移送させることにより被ラミネート材をプラテン間に搬送し、可撓性を有する膜体により加圧されるまでは、フィルム状積層材が被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁に仮留めされた部分以外の部分に接触しないように、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持する、という簡単な構成で、膜体により積層成形材を加圧するまでは、フィルム状積層材がタック性の高い場合であっても、被ラミネート材とフィルム状積層材とが不用意に付着しないようにすることができ、もって、両者の間に空気が残留することを確実に防止することができるラミネータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラミネータの一実施の形態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【符号の説明】
S 積層成形材
Sa 積層基板(被ラミネート材)
Sb ドライフィルムフォトレジスト(フィルム状積層材)
Wa 積層基板の幅
Wb ドライフィルムフォトレジストの幅
1 ラミネータ
11 上プラテン
12 下プラテン
13 枠体
14,15 ヒータ(加熱手段)
16 膜体
17 仮留め手段
18 支持手段
19 セッティングテーブル(搬入手段)
20 追従移動手段
Claims (4)
- 積層成形材が、被ラミネート材と、該被ラミネート材よりも幅が狭く且つ搬送方向に沿って延在するように形成された粘着性を有するフィルム状積層材とからなり、
相対向して開閉可能に配置されチャンバを形成するプラテンと、チャンバ内に配置された積層成形材を加熱する加熱手段と、少なくともいずれか片方のプラテンの対向面に設けられた可撓性を有する膜体と、チャンバ内を真空引きする減圧手段と、膜体をその設けられたプラテンの対向面に吸着すると共に積層成形材を加圧するように膨らませる膜体操作手段と、を備え、積層成形材を、真空雰囲気下で加熱すると共に加圧することにより積層成形するラミネータであって、
チャンバ内に配置される前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めする仮留め手段と、
チャンバ内で、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持する支持手段と、
フィルム状積層材を搬送方向に移送させる移送手段と、を具備することを特徴とするラミネータ。 - 被ラミネート材の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を、チャンバ内の支持手段に搬入可能に支持する搬入手段を具備することを特徴とする請求項1に記載のラミネータ。
- 一方のプラテンが固定されると共に、他方のプラテンが一方のプラテンに対して近接離間するように移動可能に支持され、支持手段がいずれか一方のプラテンに設けられており、
搬入手段に支持された被ラミネート材を支持手段に搬入し得るように、他方のプラテンの移動に伴って搬入手段を追従移動させる追従移動手段を具備することを特徴とする請求項2に記載のラミネータ。 - 積層成形材が、被ラミネート材と、該被ラミネート材よりも幅が狭く且つ搬送方向に沿って延在するように形成された粘着性を有するフィルム状積層材とからなり、
相対向して開閉可能に配置されたプラテン間に積層成形材を配置し、プラテンを閉じることにより密閉されたチャンバ内に積層成形材を収容し、積層成形材を加圧することなくチャンバ内を減圧し、積層成形材を加熱すると共に可撓性を有する膜体により加圧して積層成形材を積層成形する積層成形方法であって、
プラテン間に配置する前に被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁にフィルム状積層材を仮留めし、
フィルム状積層材を搬送方向に移送させることにより被ラミネート材をプラテン間に搬送し、
可撓性を有する膜体により加圧されるまでは、フィルム状積層材が被ラミネート材の下面の搬送方向前端縁に仮留めされた部分以外の部分に接触しないように、被ラミネート材の搬送方向に沿った側縁の、フィルム状積層材の幅よりも外側の部分を支持することを特徴とする積層成形方法。
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