JP2004195496A - 熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法 - Google Patents

熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法 Download PDF

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洋祐 麻生
Hidetaka Ageo
英孝 上尾
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Abstract

【課題】本発明は、熱間圧延する鋼材を加熱炉で加熱する際に、鋼材の過加熱を抑制し、エネルギーロスを低減できる鋼材加熱方法を提供すること。
【解決手段】鋼材を加熱炉で加熱して熱間圧延ラインで圧延する際に、鋼材長手方向の仕上圧延機出側温度が予め定められた温度となるように、仕上圧延機入側の鋼材長手方向における鋼材の必要最小昇温量(ΔTmin)及び必要最大昇温量(ΔTmax)を決め、少なくとも前記必要最小昇温量(ΔTmin)は加熱炉で加熱し、鋼材長手方向における前記必要最大昇温量(ΔTmax)を要求される部位には前記加熱炉による加熱と共に更に加熱炉以外の他の昇温設備で加熱することを特徴とする熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間圧延する鋼材の加熱方法に関し、特に加熱炉での過加熱を抑制し、熱消費(エネルギーロス)を低減できる熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図1に示すように、熱間圧延する鋼材1は加熱炉2で所定の温度に加熱昇温されているが、従来のサイドバーナ3を有する加熱炉では、炉幅方向位置と炉内温度との関係に示すように炉の中央部の温度が低下する温度分布特性がある。
【0003】
炉の中央部の温度低下を改善するための方法は種々提案されている。例をあげると、加熱炉の天井に高低差を設けて、天井の高低差による燃焼ガス層の厚さに依存する放射熱量の差によって加熱炉内の鋼材平面の温度分布を制御する方法(特許文献1)、また、加熱炉の炉長方向に交番燃焼する複数対の蓄熱式(高速噴流)バーナ、例えば、リジェネバーナを設け、燃焼及び蓄熱動作を繰り返すことで炉内のヒートスポットを変化させ、図2に示すように、蓄熱式バーナA1の燃焼と蓄熱式バーナA2の燃焼動作を炉幅方向で繰り返して、炉内温度分布を平均化することが知られている(特許文献2)。
【0004】
一方、鋼材の熱間圧延は、図3に示すように、加熱炉2で加熱された鋼材を粗圧延機4で粗圧延して粗バーとし、仕上圧延機5で仕上圧延した後に、巻取機6で巻取る工程で行われている。そして、仕上圧延では、粗バー先端が仕上圧延機の第1スタンドに噛込んで仕上圧延された鋼板が巻取機に噛込むまでは低速圧延で通板させる必要があって、仕上圧延機速度パターンが決められる。また、低速圧延では圧延機の負荷制約を緩和するため圧延温度を高く設定する必要がある。
【0005】
図4(a)及び(b)は、それぞれ仕上圧延機速度パターン及び加熱炉抽出後〜仕上圧延機出側までの鋼材の長手方向の温度降下量パターンの例を示す図である。
【0006】
図4(a)の仕上圧延機速度パターンに示すように、粗バー先端(フロント)が仕上圧延機の第1スタンドに噛込み、仕上圧延された鋼板が巻取機に噛込むまで(区間A)は低速の噛込速度(スレッディング速度)とし、仕上圧延された鋼板の先端が巻取機に噛込んだ後に、仕上圧延機の圧延速度を最高速とまで加速して、通常の最高速度での仕上圧延(区間B)を行うのが一般的である。噛込速度(スレッディング速度)及び最高速度は、圧延材のサイズによって異なり、板厚が厚くなるに従って噛込速度及び最高速度を遅くしている。また、粗バー先端部付近の通板区間Aは、仕上圧延機入側から巻取機までの距離や噛込速度等に基づく圧延速度パターンによって一義的に決められる。代表的な圧延サイズと圧延速度との関係を表1に示す。
【0007】
【表1】
Figure 2004195496
【0008】
上記に説明したように、仕上圧延においては、圧延荷重や圧延動力は被圧延材の先端(フロント)部が圧延ロールに噛込まれるときに最大となるので、先端のフロント部では低速圧延及び高い圧延温度の確保が必要であり、通常、仕上圧延した鋼板が巻取機に噛込むまでを含む区間Aは低速圧延通板を行うため、それ以降の圧延速度が最高速に到達した以降の区間Bに比べると、温度低下が著しく大きくなってしまう。さらに、加熱炉抽出後から仕上圧延機出側までのデスケーリング水や鋼材搬送中の放冷によって温度降下も生ずる。即ち、図4(b)の温度降下量パターンに示すように、先端(フロント)部の温度降下は中央部、及び尾端に比べ大きくなってしまう。この結果、圧延パススケジュール等に基づき、圧延時の加工発熱による入熱はあるものの、例えば低速圧延を必要とする部分を含む先端(フロント)部付近においては最大温度降下量が250〜300℃もの大きな値になってしまう場合もある。このような温度降下量は、製品の寸法によって異なるが、圧延負荷が大きく、搬送時間も長い薄手材ほど温度降下が大きくなるので、薄手材の圧延では良好な材質を得る仕上圧延温度を確保するには、厚手材よりも高温の加熱炉抽出温度が必要となる。
【0009】
ところが、従来の加熱炉での鋼材長手方向温度分布パターンは、図1に示すように、加熱炉内の温度分布により中央部の温度が低いか、或いは図2に示すように、全体が均一化された温度となる特性を有している。
【0010】
例えば、中央部の温度が低い温度分布パターンの加熱炉の場合には、高温が要求されるフロント部の温度を確保するには、鋼材全体を過加熱に加熱昇温させなければならない。
【0011】
図5は、前記のように加熱炉抽出時の鋼材の長手方向の温度降下量を加味して鋼材の長手方向に必要とする鋼材の温度分布パターンと、図1に示す加熱炉での鋼材長手方向の温度分布パターンとを併記して示す図である。
【0012】
図5に示すように、フロント部の区間Aは温度降下量が大きいため、必要とする鋼材の温度分布パターン線でフロント部の最大温度(Tmax)を確保するように加熱炉で加熱すると、加熱炉の温度分布パターンにより、必然的にそれ以降の中央部及びテール部の区間Bの温度が必要以上に昇温され、これらの部分では過加熱となってエネルギーロスが生じる。逆に、区間Bの中央部の最小温度(Tmin)を確保するように加熱すると、フロント部の最大温度(Tmax)が確保されないという問題が生ずる。
【0013】
また、炉内温度分布を平均化できる図1に示す加熱炉を用いて鋼材を加熱する場合も、鋼材フロント部の必要最大昇温量を確保せざるを得ず、中央部及びテール部に過加熱(エネルギーロス)が生じ、不都合となる問題が生じる。
【0014】
【特許文献1】
特開平9−227931号公報
【特許文献2】
特開平11−323431号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記問題に鑑み、本発明は、熱間圧延する鋼材を加熱炉で加熱する際に、鋼材の過加熱を抑制し、エネルギーロスを低減できる鋼材加熱方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、熱間圧延用鋼材を加熱炉で加熱する際の過加熱によるエネルギーロスを防止することについて鋭意研究した。その結果、加熱炉における加熱は、鋼材の長手方向における必要最小昇温量(ΔTmin)だけを行い、そして、鋼材長手方向における必要最大昇温量(ΔTmax)となる部分(フロント部)には、その差(ΔT=ΔTmax−ΔTmin)を加熱炉以外の昇温設備で加熱することにより、加熱炉における過加熱によるエネルギーロスを防止し得ることを見出して本発明を完成した。
【0017】
本発明の要旨は次の通りである。
【0018】
(1) 鋼材を加熱炉で加熱して熱間圧延ラインで圧延する際に、鋼材長手方向の仕上圧延機出側温度が予め定められた温度となるように、仕上圧延機入側の鋼材長手方向における必要最小昇温量(ΔTmin)及び必要最大昇温量(ΔTmax)を決め、少なくとも前記必要最小昇温量(ΔTmin)は加熱炉で加熱し、鋼材長手方向における必要最大昇温量(ΔTmax)が要求される部位には前記加熱炉による加熱と共に更に加熱炉以外の他の昇温設備で加熱することを特徴とする熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
【0019】
(2) 加熱炉以外の昇温設備での昇温量(ΔT)は、必要最大昇温量から加熱炉での必要最小昇温量を除いた昇温量(ΔT=ΔTmax−ΔTmin)であることを特徴とする上記(1)記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
【0020】
(3) 鋼材長手方向の必要最大昇温量(ΔTmax)及び必要最小昇温量(ΔTmin)を、鋼材の加熱炉装入温度と予め定められた仕上圧延目標温度と仕上圧延機の圧延スケジュールによる温度降下量及び加熱炉から仕上圧延機までの鋼材搬送における温度降下量に応じて決めることを特徴とする上記(1)〜(2)のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
【0021】
(4) 鋼材の長手方向における必要最小昇温量となる部位が鋼材尾端部を含み、必要最大昇温量となる部位が鋼材先端部を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)の内のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
【0022】
(5) 加熱炉が蓄熱式(高速噴流)バーナを配設されていることを特徴とする上記(1)〜(4)の内のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
【0023】
(6) 加熱炉以外の昇温設備が粗圧延機と仕上圧延機との間に配設されていることを特徴とする上記(1)〜(5)の内のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
【0024】
(7) 加熱炉以外の昇温設備が誘導加熱装置からなるバーヒータであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
熱間圧延用鋼材を加熱炉で加熱する際に、図5に示すように、鋼材の長手方向におけるフロント部で要求される最大温度(Tmax)を加熱炉で達成させようとすると、加熱炉が有する特性上から、鋼材の長手方向における中央部及びテール部は過加熱となりエネルギーロス(熱消費)が生じる。
【0026】
そこで、本発明では加熱炉での過加熱によるエネルギーロスを防止するために、加熱炉では鋼材の必要最小温度(Tmin)を確保することとした。そして必要最大温度(Tmax)となるフロント部の昇温量は加熱炉だけでは加熱できないので、その不足昇温量(Tmax−Tmin)を加熱炉以外の他の昇温設備を用いて補償的に昇温させて確保することとした。
【0027】
つまり、加熱炉での過加熱によるエネルギーロスよりも、加熱炉以外の昇温設備により不足昇温量を補償的に昇温させたほうがエネルギーの消費量が小さくなるために、全エネルギーの合計量が小さくなり、熱消費を低く抑えることが可能となる。
【0028】
なお、加熱炉と加熱炉以外の昇温設備とを用いて鋼材を加熱する熱延鋼帯の圧延方法は、特開平10−118701号公報に開示されている。この発明は、スラブ加熱温度を1150℃以下とし、該スラブを粗圧延して粗バーとなし、粗圧延機と仕上圧延機の間に設置したソレノイド型誘導加熱装置等の加熱手段によって、粗バーを幅方向全体にわたって加熱する方法である。
【0029】
そして、その発明の目的は、加熱炉において酸化スケールの生成を抑制して、酸化スケールによるスラブの重量損失を減らすことにある。つまり、この発明には、本発明のように加熱炉のエネルギーロスを防止することの課題及び具体的解決手段については何ら開示されてなく、特に、フロント部のみを補償的に必要最大温度に加熱することの技術的思想も存在していない。
【0030】
本発明で用いる加熱炉としては、鋼材の長手方向における必要最小温度Tminまで加熱炉で加熱するために、従来バーナよりも鋼材長手方向の温度分布の平均化が得られる蓄熱式(高速噴流)バーナ、例えばリジェネバーナを備えた加熱炉が好ましい。
【0031】
また、必要最大温度Tmaxとなるように加熱炉以外の昇温設備で加熱するにあたっては、ディレーテーブルのトンネル炉(ガス加熱炉)やシートバーの加熱装置(誘導加熱装置)等を用いることができるが、設備設置スペース等も考慮すると磁束が粗バーの板厚方向に発生するトランスバース型誘導加熱装置又は磁束が粗バーの横断面を貫くように発生するソレノイド型誘導加熱装置からなるシートバーの加熱装置を用いることが好ましい。つまり、誘導加熱装置を用いれば、粗バーと接触することなしに加熱でき、粗バーに疵をつけることがない。また、誘導加熱装置は、制御応答性に優れているので、効率よく加熱することができる。
【0032】
なお、加熱装置の1台当りの昇温量が不足する場合には、複数台の加熱装置を設置すればよい。
【0033】
図6は、本発明の熱間圧延ラインのレイアウトの概要を示す図である。
【0034】
図6に示すように、鋼材(スラブ)は蓄熱式(高速噴流)バーナを備えた加熱炉2で鋼材長手方向において必要最小昇温量となる温度に加熱される。
【0035】
加熱炉から抽出された鋼材は、粗圧延機4により粗バーに圧延される。粗圧延機と仕上圧延機との間に設置された昇温設備7により、特に、粗バーのフロント部が必要最大昇温量となる温度に昇温設備7により補償的に加熱する。次いで、図4に示すように、仕上圧延機5により仕上圧延された先端が巻取機6に噛込むまでは低速圧延通板し、噛込んだ後に最高速度まで加速して最高速度通板を行って仕上圧延を行う。仕上圧延された鋼板は巻取機6によって巻き取られる。
【0036】
なお、図示していないが熱延ラインに、コイルボックス、シャーや冷却装置等の通常配設される設備を任意に設けることができる。
【0037】
本発明での鋼材の加熱パターンについて説明する。
【0038】
鋼材の長手方向における必要最小温度Tmin、及び必要最大温度Tmaxを決定し、さらに加熱炉装入温度Tiを基準に加熱炉装入以降の必要最小昇温量ΔTminと必要最小昇温量ΔTminの設定方法は以下の通りに行う。
まず、仕上圧延機出側の圧延完了温度(Tf)を予め決定する。図7に示すように、仕上圧延機出側温度を長手方向に一定の例えば750〜900℃の間に設定する。この仕上圧延機の出側温度は最低圧延温度以上に設定する。最低圧延温度は熱延鋼板のサイズ(厚、幅)や鋼材の成分によって決めることができ、材質を確保するための下限温度(Ar3変態温度)を基準とし、材料強度やスケール等の表面品位の要求を考慮して、最低圧延温度を決定する。鋼材の成分に影響される温度は、材料の硬さを表す指標の1つである炭素当量(CEQ)によって決めるのが一般的であり、算出式としては、例えばCEQ=[C%]+[Mn%]/6等によって成分より算出できる。取り扱う鋼材によっては、例えば、Si、Ni、Cr等の合金成分も鋼材の硬さに影響を与えるので考慮する必要がある場合もあるが、熱間圧延の薄板の領域では一般にC、Mnの含有量に基づく炭素当量によって決めることができる。
【0039】
圧延において、変態温度は、鋼材の材質に大きな影響を与え、良好な材質を確保するには、一般的にはAr3変態温度以上を確保する。Ar3変態温度は、オーステナイトがフェライトに変態する温度であり、オーステナイト域(γ域)圧延により良好な材質が得られる。フェライト域(α域)での圧延は結晶粒が大きく軟らかいが、材質強度の指標となる引張強さ(TS)や降伏強度(YP)も低いため、一般的に好まれない。但し、TS、YP等の強度を必要としない材料においてはコストダウンを志向してフェライト域で行うこともできる。
【0040】
以上により仕上圧延機出側の仕上圧延目標温度Tfを決定する。
【0041】
次いで、目標サイズ(板厚、板幅)の鋼板を得るための圧延スケジュール(圧下率、速度)を決定し、鋼材長手方向において圧延機速度パターンから粗バーにおけるフロントが仕上圧延機の第1スタンド噛み込みから仕上圧延機の最高速度に到達するまでを含む部位(区間A)及び、最高速度に到達以降の部位(区間B)を求める。
【0042】
図8に示すように、加熱炉抽出後の鋼材長手方向についての、温度降下量は加熱炉抽出から仕上圧延機出側までの鋼板の温度降下量ΔT1と仕上圧延機内での圧延スケジュールによる温度降下量ΔT2の合計量であると考えれば良い。
【0043】
加熱炉抽出から仕上圧延機までの鋼材搬送時の温度降下量ΔT1は、例えば、粗バーが搬送する際の搬送テーブル上での放冷、搬送ロールとの接触による抜熱、ロール冷却水やデスケーリング水等による温度降下量であって、加熱炉抽出から仕上圧延機までの搬送テーブルやデスケーリング装置等、設置設備に起因する温度降下量である。この温度降下量△T1は鋼板の搬送時間やデスケーリング水量等の操業条件を基に把握することができる。
【0044】
また、仕上圧延機の圧延スケジュールによる温度降下量ΔT2は、前記のように目標サイズ(板厚、板幅)の鋼板を得るために決められた圧延スケジュール(圧下率、速度)から数値計算等によって把握できる長手方向の温度降下量である。前記の如くΔT2は一定値ではなく区間Bに比べると仕上圧延速度が小さい区間Aにおいては温度降下量が大きい。なお、前記ΔT1やΔT2の温度降下量以外にさらに必要に応じて粗バーのフロント部が仕上圧延機の第1スタンドに噛み込み開始してからテール部が第1スタンドを通過するまでの温度降下量(ΔT3)も考慮した方がより好ましい。即ち、テール部は第1スタンドを通過するまでは搬送テーブル上で放冷されているため、仕上圧延が粗バーの長手方向で後半になるほど温度降下が大きくなる場合があるからである。
【0045】
以上の考え方に基づいて仕上圧延機入側における鋼材長手方向の温度パターンを決定する。
【0046】
即ち、図7の仕上圧延機出側の予め定められた温度に、図8に示した区間Aの温度降下量(ΔTmax)及び区間Bの温度降下量(ΔTmin)を加算すれば図9に示すような加熱炉抽出時の鋼材(スラブ)の長手方向の温度パターンが決定できる。
【0047】
しかし、前記のように加熱炉だけでは鋼板の長手方向に温度偏差をつけた昇温は不可能であることから、具体的には、加熱炉装入温度Tiを基準として加熱炉では鋼板長手方向全体を必要最小温度Tminだけ昇温させる。そして温度降下量が大きい区間Aについては、必要最大温度Tmaxと必要最小温度Tminの差分量の昇温量ΔT(=Tmax−Tmin=△Tmax−△Tmin)を加熱炉以外の他の昇温設備を用いて加熱する。
【0048】
なお、加熱炉以外の他の昇温設備(誘導加熱装置)での加熱は、加熱する粗バーの長手方向の位置を、粗バーのフロントを基準に仕上圧延機の速度パターンが最高速度に達しない部分の速度に応じて決定し、昇温設備の加熱制御を行うことで達することができる。
【0049】
以上のように、本発明では図5に示すように加熱炉において鋼材を必要以上に加熱することによるエネルギーロスを防止でき、加熱装置(バーヒータ)に費やされるエネルギーは、加熱炉で加熱された鋼材の過加熱によるエネルギーロスより小さくてすみ、全体としてエネルギーの消費を低下できる。また、鋼材(スラブ)全長にわたってばらつきの少ない圧延温度制御が可能となり、品質ばらつきの少ない優れた性質の熱延鋼板を歩留りよく製造することができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0051】
本実施例では、C:0.08%、Mn:2.18%を含有する炭素当量(CEQ)=0.44の鋼を供試鋼材として用いた。
【0052】
鋼材の圧延サイズを薄手材、中厚材、厚手材とし、各圧延材を7段仕上圧延機(F1〜F7)により圧延する際の通板速度(スレッディング速度)、圧延最高速度に係る圧延機速度パターンを表2に示すように決定した。
【0053】
【表2】
Figure 2004195496
【0054】
次いで、上記表2に示す仕上圧延機の速度パターンに基づいて、仕上圧延機出側の目標温度を鋼材全長がTf=850℃となるように設定し、図8に示したように、仕上圧延機内で最も温度低下の大きいA点、及び仕上圧延機に到達するまでに最もテーブル上での放冷による温度降下の大きい区間Bの温度降下量を求めた。
【0055】
圧延サイズ別の温度降下量を表3に示す。
【0056】
【表3】
Figure 2004195496
【0057】
上記表3に示す圧延サイズ別の仕上圧延機入側温度及び温度降下量に基づいて、必要最小温度(区間B:Tmin)を確保しつつ、必要最大温度(区間A:Tmax)を確保できるように、図9に示したように加熱炉での加熱温度及び加熱炉以外の昇温設備の昇温量を決定する。
【0058】
表3の本発明の実施例のNo.1に示すように、薄手材(t:1.2mm)では仕上圧延機出側で850℃を確保する必要があり、仕上圧延速度が区間A(最フロント〜250m)までは最低速度680mpmで通板区間B(最フロントから250m以降)では最高速度1570mpmに達する圧延速度パターンとなる圧延スケジュールで圧延する条件となっていることから、区間Aでは仕上圧延機入側で1100℃、区間Bでは1050℃が必要温度となるとした。したがって、噛込速度の通板区間をA区間での不足温度ΔT=Tmax−Tmin=ΔTmax−ΔTminとなる50℃を粗圧延機の間に設置してある加熱炉以外の昇温設備である誘導加熱装置で昇温する。また、加熱炉抽出から仕上圧延機までの区間Bの温度降下量ΔT1と仕上圧延機内での温度降下量ΔT2の合計は350℃となることから、この温度降下量を勘案してリジェネバーナを配設した加熱炉での鋼材(スラブ)加熱温度Tmin=1200℃とする。
【0059】
一方、本発明の実施例のNo.1に対する比較例のNo.4は区間Aと区間Bの温度降下量差分を確保する必要があることから、加熱炉で加熱炉抽出から圧延機までの温度降下量と仕上圧延機内での温度降下量を付加した加熱温度1250℃としていた。従ってこの加熱温度は、区間Bでは必要加熱温度(Tmin)よりも50℃高い不必要な過加熱温度となる。
【0060】
したがって、本実施例によれば、加熱炉での鋼材加熱温度を通板区間Bでの必要最小昇温量の温度を確保すればよいこととなるから、従来法と比較して50℃低い鋼材加熱温度とすることができ、加熱炉での過加熱によるエネルギーロスを効果的に防止することができた。
【0061】
また、同様に中厚材(t:3mm)及び厚手材(t:6mm)では、それぞれ従来法と比較して、40℃、30℃低い鋼材加熱温度とすることができ、加熱炉での過加熱によるエネルギーロスを効果的に防止することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、圧延機の速度パターンに応じた鋼材長手方向の必要温度パターン通りの鋼材加熱を行うことができるので、加熱炉での過加熱(エネルギーロス)を極限まで抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の熱間圧延する鋼材の加熱炉及び炉内(炉幅方向)温度分布を示す図である。
【図2】従来の蓄熱式(高速噴流)バーナを備えた加熱炉の炉内(炉幅方向)温度分布を示す図である。
【図3】従来の熱間圧延ラインのレイアウトの概要を示す図である。
【図4】(a)は仕上圧延機速度パターンの例、(b)は加熱炉抽出〜仕上圧延機出側までの鋼材長手方向の温度降下量パターンの例を示す図である。
【図5】鋼材の長手方向に必要とする温度パターンと、図1に示す加熱炉での鋼材長手方向の温度パターンとを併記して示す図である。
【図6】本発明の熱間圧延ラインのレイアウトの概要を示す図である。
【図7】鋼材長手方向の仕上圧延機出側温度の例を示す図である。
【図8】圧延機速度パターンによる区間A(フロント部)の温度降下量(ΔTmax)及び区間B(中央部及びテール部)の温度降下量(ΔTmin)を示す模式図である。
【図9】仕上圧延機入側の鋼材長手方向の温度パターン予測例を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼材
2 加熱炉
3 サイドバーナ
4 粗圧延機
5 仕上圧延機
6 巻取機
7 昇温設備

Claims (7)

  1. 鋼材を加熱炉で加熱して熱間圧延ラインで圧延する際に、鋼材長手方向の仕上圧延機出側温度が予め定められた温度となるように、仕上圧延機入側の鋼材長手方向における鋼材の必要最小昇温量(ΔTmin)及び必要最大昇温量(ΔTmax)を決め、少なくとも前記必要最小昇温量(ΔTmin)は加熱炉で加熱し、鋼材長手方向における前記必要最大昇温量(ΔTmax)を要求される部位には前記加熱炉による加熱と共に更に加熱炉以外の他の昇温設備で加熱することを特徴とする熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
  2. 加熱炉以外の昇温設備での昇温量(ΔT)は、必要最大昇温量から加熱炉での必要最小昇温量を除いた昇温量(ΔT=ΔTmax−ΔTmin)であることを特徴とする請求項1記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
  3. 鋼材長手方向の必要最大昇温量(ΔTmax)及び必要最小昇温量(ΔTmin)を、鋼材の加熱炉装入温度と予め定められた仕上圧延目標温度と仕上圧延機の圧延スケジュールによる温度降下量及び加熱炉から仕上圧延機までの鋼材搬送における温度降下量に応じて決めることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
  4. 鋼材の長手方向における必要最小昇温量となる部位が鋼材尾端部を含み、必要最大昇温量となる部位が鋼材先端部を含むことを特徴とする請求項1〜3の内のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
  5. 加熱炉が蓄熱式(高速噴流)バーナを配設されていることを特徴とする請求項1〜4の内のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
  6. 加熱炉以外の昇温設備が粗圧延機と仕上圧延機との間に配設されていることを特徴とする請求項1〜5の内のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
  7. 加熱炉以外の昇温設備が誘導加熱装置からなるバーヒータであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法。
JP2002365866A 2002-12-17 2002-12-17 熱間圧延ラインにおける鋼材加熱方法 Pending JP2004195496A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008238217A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Sumitomo Heavy Industries Techno-Fort Co Ltd フォージングロール
JP2016032822A (ja) * 2014-07-31 2016-03-10 Jfeスチール株式会社 熱延鋼帯の冷却制御方法

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