JP2004194426A - 電圧駆動素子の駆動回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】IGBT2のオン動作時にはゲート端子に正電圧を印加し、オフ動作時にはゲート端子に負電圧を印加する。
【解決手段】直流電源Vbの負極側は、ツェナーダイオードZ1のアノード端子と接続され、正極側は、抵抗R1の一端と接続されている。抵抗R1の他端は、ツェナーダイオードZ1のカソード端子と接続されている。IGBT2のオン動作時には、ゲート端子を直流電源Vbの正極側に電気的に接続するとともに、エミッタ端子をツェナーダイオードZ1のアノード端子に電気的に接続し、IGBT2のオフ動作時には、ゲート端子を直流電源Vbの負極側に電気的に接続するとともに、エミッタ端子をツェナーダイオードZ1のカソード端子に接続する。
【選択図】図1
【解決手段】直流電源Vbの負極側は、ツェナーダイオードZ1のアノード端子と接続され、正極側は、抵抗R1の一端と接続されている。抵抗R1の他端は、ツェナーダイオードZ1のカソード端子と接続されている。IGBT2のオン動作時には、ゲート端子を直流電源Vbの正極側に電気的に接続するとともに、エミッタ端子をツェナーダイオードZ1のアノード端子に電気的に接続し、IGBT2のオフ動作時には、ゲート端子を直流電源Vbの負極側に電気的に接続するとともに、エミッタ端子をツェナーダイオードZ1のカソード端子に接続する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧駆動型の素子の駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
電圧駆動型の素子であるIGBTを上下アームとして直列に接続してインバータを構成する回路が知られている(非特許文献1参照)。この回路では、各IGBTのゲート駆動用電源として正負電圧をそれぞれ用意しておき、反対アームのIGBTのターンオン時にゲートに負電圧を印加することがある。これは、反対アームのIGBTのターンオン時に発生するゲート電位の変動に起因するdv/dt電流の抑制やノイズによる誤動作を防ぐためである。
【0003】
【非特許文献1】
トランジスタ技術SPECIAL No.54 「特集:パワーエレクトロニクス入門」CQ出版社,P54〜P56
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的には、正電圧として15V前後、負電圧として5〜10V程度の電圧を用意する必要があるので、合計で20〜25Vと比較的高い出力電圧を有する電源回路が必要となるという問題があった。
【0005】
本発明は、電圧駆動素子のオフ動作時に制御端子に負電圧を印加する電圧駆動素子の駆動回路を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による電圧駆動素子の駆動回路は、直流電源の電圧を分割する電圧分割手段と、電圧駆動素子のオン動作時には電圧駆動素子の制御端子を直流電源の正極側に電気的に接続するとともに、接地側端子を直流電源の負極側に電気的に接続し、電圧駆動素子のオフ動作時には、制御端子を直流電源の負極側に電気的に接続するとともに、電圧分割手段により分割された電圧を接地側端子に印加する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明による電圧駆動素子の駆動回路によれば、電圧駆動素子のオン動作時には、制御端子−接地側端子間に接地側端子を基準とした正電圧を印加し、オフ動作時には制御端子−接地側端子間に接地側端子を基準とした負電圧を印加するので、直流電源を大きくせずに、電圧駆動素子のオフ動作時に、制御端子に負電圧を印加することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による電圧駆動素子の駆動回路の一実施の形態の構成を示す図である。電圧駆動素子であるIGBT1およびIGBT2は、上下アームとして直列に接続されてインバータ回路を構成する。すなわち、IGBT1のコレクタ端子は直流電源Vdcの正電圧側に、IGBT2のエミッタ端子は直流電源Vdcの負電圧側に接続され、IGBT1のエミッタ端子とIGBT2のコレクタ端子が接続されている。IGBT1とIGBT2とを交互にスイッチングさせることにより、直流電源Vdcの直流電圧を交流電圧Voutに変換する。交流電圧Voutは、図示しない交流モータなどの負荷に印加される。
【0009】
IGBT1およびIGBT2には、それぞれ並列に還流ダイオードD1,D2が設けられている。下アームを構成するIGBT2のゲート端子には、ゲート駆動回路101が接続されており、上アームを構成するIGBT1のゲート端子には、ゲート駆動回路103が接続されている。両駆動回路の基本構成は同じであるので、以下では、ゲート駆動回路101の構成および動作について説明する。
【0010】
ゲート駆動回路101は、直流電源Vb、抵抗R1,R2,R3、ツェナーダイオードZ1、バッファ102、フォトカプラP1,P2を備える。バッファ102は、NPNトランジスタTr1およびPNPトランジスタTr2を備える。フォトカプラP1は、発光ダイオードD4とその出力信号を受光するトランジスタTr4とを備え、フォトカプラP2は、発光ダイオードD3とその出力信号を受光するトランジスタTr3とを備える。
【0011】
抵抗R1の一端はツェナーダイオードZ1のカソード側と接続されており、他端は直流電源Vbの正電圧側に接続されている。また、ツェナーダイオードZ1のアノード側は直流電源Vbの負電圧側に接続されている。フォトカプラP2は、ツェナーダイオードZ1と並列に接続されているので、フォトカプラP2がオンの時にはツェナーダイオードZ1の両端が短絡される。フォトカプラP2がオフとなっており、ツェナーダイオードZ1にツェナー電圧以上の電圧が加わると、抵抗R1を介してツェナーダイオードZ1に電流が流れる。従って、フォトカプラP2がオフの時には、直流電源Vbの電圧は、抵抗R1とツェナーダイオードZ1とによって分割される。ここで、抵抗R1とツェナーダイオードZ1との接続点の電圧を基準電位Vrefとし、抵抗R1の一端(正電圧側)の電圧をVp、ツェナーダイオードZ1のアノード側(負電圧側)の電圧をVnとする。
【0012】
フォトカプラP1の発光ダイオードD4のアノード側はフォトカプラ駆動用電源Vccと接続され、カソード側には下アーム駆動信号VinNが入力される。発光ダイオードD4のカソード側にフォトカプラ駆動用電源Vccより高い電圧が印加される場合、すなわち、下アーム駆動信号VinNがHレベルの場合には、フォトカプラP1はオフとなり、下アーム駆動信号VinNがLレベルの場合には、フォトカプラP1はオンとなる。フォトカプラP1と抵抗R2とは直列に接続されているので、フォトカプラP1がオンになると、プルアップ抵抗である抵抗R2に電流が流れる。
【0013】
バッファ102を構成するNPNトランジスタTr1のコレクタ端子は、直流電源Vbの正電圧側と接続され、ベース端子は抵抗R2とフォトカプラP1との接続点と接続され、エミッタ端子はPNPトランジスタTr2のエミッタ端子と接続されている。PNPトランジスタTr2のベース端子は、抵抗R2とフォトカプラP1との接続点と接続され、コレクタ端子は直流電源Vbの負電圧側と接続されている。また、NPNトランジスタTr1のエミッタ端子とPNPトランジスタTr2のエミッタ端子との接続点は、抵抗R3の一端と接続されており、抵抗R3の他端はIGBT2のゲート端子と接続されている。なお、抵抗R3は、IGBT2のスイッチング速度を調整するためのゲート抵抗である。
【0014】
IGBT2のエミッタ端子は、抵抗R1とツェナーダイオードZ1との接続点と接続されている。従って、フォトカプラP2がオフの時には、IGBT2のエミッタ電圧はVrefであるが、フォトカプラP2がオンとなってツェナーダイオードZ1の両端が短絡されると、IGBT2のエミッタ電圧はVn(=Vref)となる。
【0015】
フォトカプラP1がオンになると、上述したように抵抗R2に電流が流れるので、NPNトランジスタTr1はオフとなり、PNPトランジスタTr2はオンとなる。逆に、フォトカプラP1がオフになると、NPNトランジスタTr1はオンとなり、PNPトランジスタTr2はオフとなる。
【0016】
NPNトランジスタTr1がオン、かつ、PNPトランジスタTr2がオフの時には、IGBT2のゲート端子に正電圧(エミッタ端子電圧より高い電圧)Vpが印加されるので、下アームを構成するIGBT2はオンする。逆に、NPNトランジスタTr1がオフ、かつ、PNPトランジスタTr2がオンの時には、IGBT2のゲート端子はトランジスタTr2を介して直流電源Vbの負電圧側と電気的に接続され、エミッタ端子は抵抗R1とツェナーダイオードZ1との接続点に接続されるので、ゲート−エミッタ間には負電圧が印加されて(ゲート端子電圧よりもエミッタ端子電圧が高くなって)IGBT2はオフとなる。以上より、下アーム駆動信号VinNがHレベルの時にはIGBT2はオンとなり、下アーム駆動信号VinNがLレベルの時には、IGBT2はオフとなる。
【0017】
なお、本明細書におけるゲート−エミッタ間電圧とは、エミッタ電圧を基準としたゲート電圧のことであり、ゲート電圧からエミッタ電圧を減じた電圧値を示す。
【0018】
上アームを構成するIGBT1については、上アーム駆動信号VinPがHレベルの時にIGBT1はオンとなり、上アーム駆動信号VinPがLレベルの時にIGBT1はオフとなる。すなわち、ゲート駆動回路103は、ゲート駆動回路101が備えるフォトカプラP1およびP2と同じフォトカプラを備えるが、それぞれのフォトカプラのカソード側に入力される信号は、VinPとVinNとが逆になっている。
【0019】
図2は、上アーム駆動信号VinPおよび下アーム駆動信号VinNの信号レベルに対する電圧Vp,VnおよびIGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeの状態をそれぞれ示す図である。ここでは、説明を分かりやすくするために、直流電源電圧Vbを15V、ツェナーダイオードZ1のツェナー電圧を10Vとする。また、電圧Vp,Vn,Vgeは、それぞれ基準電位(IGBT2のエミッタ電位)Vrefを基準として説明する。
【0020】
〜(VinP,VinN)=(H,L)の場合〜
上アーム駆動信号VinPがHレベル、かつ、下アーム駆動信号VinNがLレベルの時には、IGBT1はオン、IGBT2はオフとなっている。この時、上述したように、フォトカプラP2はオフとなっているので、抵抗R1の両端には5V、ツェナーダイオードZ1の両端には10Vの電圧が印加されている。従って、基準電位Vrefを基準とする電圧Vpは5V、電圧Vnは−10Vとなる。また、フォトカプラP1はオンとなっているので、NPNトランジスタTr1がオフ、PNPトランジスタTr2がオンとなっている。従って、IGBT2のゲート端子は、トランジスタTr2を介して直流電源Vbの負電圧側と電気的に接続され、エミッタ端子は、ツェナーダイオードZ1のカソード側と電気的に接続されるので、ゲート−エミッタ間電圧Vgeは−10Vとなる。
【0021】
〜(VinP,VinN)=(L,L)の場合〜
上アーム駆動信号VinPがHレベルからLレベルとなると(時刻t1)、IGBT1はオフとなる。この時、フォトカプラP2はオンとなってツェナーダイオードZ1の両端が短絡されるので、Vref=Vnとなる。すなわち、電圧Vpは15V、電圧Vnは0Vとなる。下アーム駆動信号VinNはLレベルに保持されているので、トランジスタTr1,Tr2およびIGBT2の状態は変わっていないが、Vref=Vnとなることから、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは、0Vとなる。なお、駆動信号VinP,VinNが共にLレベルとなっている時刻t1からt2までの期間は、IGBT1およびIGBT2が同時にオンとなるのを防ぐためのデッドタイムである。
【0022】
〜(VinP,VinN)=(L,H)の場合〜
続いて、IGBT2をオンさせるために、下アーム駆動信号VinNをLレベルからHレベルに遷移させる(時刻t2)。この時、フォトカプラP1はオフとなるので、NPNトランジスタTr1はオン、PNPトランジスタTr2はオフとなる。これにより、IGBT2のゲート端子は、NPNトランジスタTr1を介して直流電源Vbの正電圧側と電気的に接続される。フォトカプラP2はオンに保持されているので、電圧Vp(=15V)および電圧Vn(=0V)は変化しないが、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは15Vとなる。
【0023】
〜(VinP,VinN)=(L,L)の場合〜
続いて、IGBT2をオフさせるために、下アーム駆動信号VinNをHレベルからLレベルに遷移させる(時刻t3)。この場合も、上アーム駆動信号VinPはLレベルが保持されているので、電圧Vp(=15V)および電圧Vn(=0V)は変化しない。また、フォトカプラP1がオンとなるので、NPNトランジスタTr1はオフ、PNPトランジスタTr2はオンとなり、IGBT2のゲート端子は、PNPトランジスタTr2を介して直流電源Vbの負電圧側と電気的に接続される。従って、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは0Vとなる。
【0024】
〜(VinP,VinN)=(H,L)の場合〜
時刻t3からデッドタイムを経過した時刻t4において、IGBT1をオンさせるために、上アーム駆動信号VinPをLレベルからHレベルに遷移させる。この時、フォトカプラP2はオフになるので、再び抵抗R1の両端に5V、ツェナーダイオードZ1の両端に10Vの電圧が印加される。従って、電圧Vpは5V、電圧Vnは−10Vとなる。また、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeについても、時刻t1以前と同じ状態、すなわち、−10Vとなる。
【0025】
このように、直流電源電圧Vbが15Vである場合でも、IGBT2がオン(IGBT1はオフ)している時にはIGBT2のゲート端子にはエミッタ端子よりも15V高い電圧が印加され、IGBT2がオフ(IGBT1はオン)している時には−10Vの電圧(エミッタ電圧よりも10V低い電圧)がゲート端子に印加される。従って、上アームを構成するIGBT1のターンオン時に、下アームを構成するIGBT2のゲート端子に印加するための負電圧を用意する必要がなく、消費電力の低減を図ることができる。
【0026】
図3は、上アーム駆動信号VinPおよび下アーム駆動信号VinNの信号レベルに対するフォトカプラP1,P2、トランジスタTr1,tr2およびIGBT1,IGBT2の各状態をまとめた図である。
【0027】
なお、上述した説明では、IGBT1およびIGBT2がともにオンとなるのを防ぐために、オン/オフの切り換え時に、IGBT1およびIGBT2がともにオフとなるデッドタイムを設けた。従って、IGBT2のオフ動作時でも、IGBT1がオフとなっている時には、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは0Vとなっている(時刻t1〜t2,t3〜t4)。しかし、デッドタイムを設けずにIGBT1とIGBT2のオン/オフの切り換えを同時に行えば、以下のような動作となる。すなわち、IGBT2のオン動作時には、ゲート端子が直流電源Vbの正電圧側と電気的に接続されるとともに、エミッタ端子はツェナーダイオードZ1のアノード端子と電気的に接続される。また、IGBT2のオフ動作時には、ゲート端子が直流電源Vbの負電圧側と電気的に接続されるとともに、エミッタ端子はツェナーダイオードZ1のカソード端子に電気的に接続される。
【0028】
これにより、IGBT2がオン(IGBT1はオフ)している時にはIGBT2のゲート端子に正電圧(エミッタ電圧よりも高い電圧)が印加され、IGBT2がオフ(IGBT1はオン)している時には負電圧(エミッタ電圧よりも低い電圧)がゲート端子に印加されるので、電圧駆動素子であるIGBT2のオン/オフを制御することができる。また、直流電源Vbの電圧を大きくすることなく、IGBT2のオフ時には、IGBT2のゲート端子にエミッタ電圧を基準とする負電圧を印加することができる。
【0029】
本実施の形態における電圧駆動素子の駆動回路では、IGBT2のエミッタ端子はツェナーダイオードZ1のカソード端子と接続されており、ツェナーダイオードZ1と並列にフォトカプラP2を接続して、IGBT2のオン動作時(IGBT1はオフ)に、フォトカプラP2をオンさせてツェナーダイオードZ1の両端を短絡させることにより、IGBT2のエミッタ端子をツェナーダイオードZ1のアノード端子と電気的に接続させる。また、IGBT2のオフ動作時(IGBT1はオン)には、フォトカプラP2をオフさせることにより、IGBT2のエミッタ端子をツェナーダイオードZ1のカソード端子と電気的に接続させる。これにより、確実にエミッタ端子の電位を変えることができる。
【0030】
また、上アームを構成するIGBT1を駆動するための駆動信号VinPを用いて、フォトカプラP2のオン/オフを切り換えてIGBT2のゲートに負電圧を印加する構成としているので、IGBT1のターンオン時に確実にIGBT2のゲートに負電圧を印加させることができる。すなわち、上アーム駆動信号VinPがLレベルからHレベルに遷移するとIGBT1はオンし、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは、負電圧(上述した例では、―10V)となる。これにより、IGBT1のターンオン時に発生するゲート電位の変動に起因するdv/dt電流を抑制することができるとともに、ノイズによる誤動作を防ぐことができる。
【0031】
本実施の形態における電圧駆動素子の駆動回路では、直流電源Vbの正電圧側に接続されるトランジスタTr1と、トランジスタTr1と直列に接続されるとともに、直流電源Vbの負電圧側に接続されるトランジスタTr2とを設け、IGBT2のゲート端子はトランジスタTr1とトランジスタTr2との接続点に接続されている。IGBT2のオン動作時には、トランジスタTr1をオン、かつ、トランジスタTr2をオフにすることにより、IGBT2のゲート端子を直流電源Vbの正電圧側に電気的に接続し、IGBT2のオフ動作時には、トランジスタTr1をオフ、かつ、トランジスタTr2をオンにすることにより、IGBT2のゲート端子を直流電源Vbの負電圧側に電気的に接続する。これにより、確実にゲート端子の電位を変化させることができる。
【0032】
なお、上述した説明では、図1に詳細な構成を示したゲート駆動回路101について説明したが、ゲート駆動回路103についても同様である。すなわち、下アーム駆動信号VinNがLレベルからHレベルに遷移すると、IGBT2はオンし、IGBT1のゲート端子には負電圧が印加される。
【0033】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、電圧駆動素子としてIGBTを用いて説明したが、MOSFETに適用することもできる。IGBT2のオン/オフの切り換え動作を確実に行うために、バッファ102を設けたが、バッファ102を設けないこともできる。この場合、ゲート端子と接続されていない側の抵抗R3の端子を、抵抗R2とフォトカプラP1との接続点に接続すればよい。この場合でも、上述したフォトカプラP1のオン/オフ動作により、IGBT2のオン動作時(IGBT1はオフ)には、IGBT2のゲート端子を直流電源Vbの正電圧側に電気的に接続し、IGBT2のオフ動作時には、IGBT2のゲート端子を直流電源Vbの負電圧側に電気的に接続することができる。但し、直流電源Vbの電圧が高い場合には、フォトカプラP1の許容電流値を大きくする必要があり、この場合には本実施例のように、バッファ102を用いることが好ましい。
【0034】
また、直流電源の電圧を分割する素子としてツェナーダイオードZ1と抵抗R1とを用いたが、ツェナーダイオードZ1の代わりに単に抵抗素子を用いてもよい。但し、抵抗素子を用いた場合には、IGBT2のエミッタ電圧Vrefが直流電源の電流値によって変化する可能性があるため、本実施例のように、ツェナーダイオードを用いることが好ましい。
【0035】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、ツェナーダイオードZ1および抵抗R1が電圧分割手段を、ツェナーダイオードZ1がツェナーダイオードを、抵抗R1が抵抗要素を、フォトカプラP2が第1のスイッチング手段を、トランジスタTr1が第2のスイッチング手段を、トランジスタTr2が第3のスイッチング手段を、上アーム駆動信号VinP,下アーム駆動信号VinNが制御手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されることはない。例えば、スイッチング手段としてフォトカプラP2を、第2,第3のスイッチング手段としてバイポーラトランジスタを用いたが、他のスイッチング素子を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電圧駆動素子の駆動回路の一実施の形態の構成を示す図
【図2】上アーム駆動信号VinPおよび下アーム駆動信号VinNの信号レベルに対する電圧Vp,VnおよびIGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeの状態をそれぞれ示す図
【図3】上アーム駆動信号VinPおよび下アーム駆動信号VinNの信号レベルに対するフォトカプラP1,P2、トランジスタTr1,tr2およびIGBT1,IGBT2の各状態をまとめた図
【符号の説明】
1…上アームを構成するIGBT、2…下アームを構成するIGBT、101,103…ゲート駆動回路、102…バッファ、R1〜R5…抵抗、D1,D2…還流ダイオード、D3,D4…発光ダイオード、Z1…ツェナーダイオード、Vdc,Vb…直流電源、Tr1,Tr2,Tr3,Tr4…トランジスタ、P1,P2…フォトカプラ、VinP…上アーム駆動信号、VinN…下アーム駆動信号
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧駆動型の素子の駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
電圧駆動型の素子であるIGBTを上下アームとして直列に接続してインバータを構成する回路が知られている(非特許文献1参照)。この回路では、各IGBTのゲート駆動用電源として正負電圧をそれぞれ用意しておき、反対アームのIGBTのターンオン時にゲートに負電圧を印加することがある。これは、反対アームのIGBTのターンオン時に発生するゲート電位の変動に起因するdv/dt電流の抑制やノイズによる誤動作を防ぐためである。
【0003】
【非特許文献1】
トランジスタ技術SPECIAL No.54 「特集:パワーエレクトロニクス入門」CQ出版社,P54〜P56
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的には、正電圧として15V前後、負電圧として5〜10V程度の電圧を用意する必要があるので、合計で20〜25Vと比較的高い出力電圧を有する電源回路が必要となるという問題があった。
【0005】
本発明は、電圧駆動素子のオフ動作時に制御端子に負電圧を印加する電圧駆動素子の駆動回路を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による電圧駆動素子の駆動回路は、直流電源の電圧を分割する電圧分割手段と、電圧駆動素子のオン動作時には電圧駆動素子の制御端子を直流電源の正極側に電気的に接続するとともに、接地側端子を直流電源の負極側に電気的に接続し、電圧駆動素子のオフ動作時には、制御端子を直流電源の負極側に電気的に接続するとともに、電圧分割手段により分割された電圧を接地側端子に印加する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明による電圧駆動素子の駆動回路によれば、電圧駆動素子のオン動作時には、制御端子−接地側端子間に接地側端子を基準とした正電圧を印加し、オフ動作時には制御端子−接地側端子間に接地側端子を基準とした負電圧を印加するので、直流電源を大きくせずに、電圧駆動素子のオフ動作時に、制御端子に負電圧を印加することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による電圧駆動素子の駆動回路の一実施の形態の構成を示す図である。電圧駆動素子であるIGBT1およびIGBT2は、上下アームとして直列に接続されてインバータ回路を構成する。すなわち、IGBT1のコレクタ端子は直流電源Vdcの正電圧側に、IGBT2のエミッタ端子は直流電源Vdcの負電圧側に接続され、IGBT1のエミッタ端子とIGBT2のコレクタ端子が接続されている。IGBT1とIGBT2とを交互にスイッチングさせることにより、直流電源Vdcの直流電圧を交流電圧Voutに変換する。交流電圧Voutは、図示しない交流モータなどの負荷に印加される。
【0009】
IGBT1およびIGBT2には、それぞれ並列に還流ダイオードD1,D2が設けられている。下アームを構成するIGBT2のゲート端子には、ゲート駆動回路101が接続されており、上アームを構成するIGBT1のゲート端子には、ゲート駆動回路103が接続されている。両駆動回路の基本構成は同じであるので、以下では、ゲート駆動回路101の構成および動作について説明する。
【0010】
ゲート駆動回路101は、直流電源Vb、抵抗R1,R2,R3、ツェナーダイオードZ1、バッファ102、フォトカプラP1,P2を備える。バッファ102は、NPNトランジスタTr1およびPNPトランジスタTr2を備える。フォトカプラP1は、発光ダイオードD4とその出力信号を受光するトランジスタTr4とを備え、フォトカプラP2は、発光ダイオードD3とその出力信号を受光するトランジスタTr3とを備える。
【0011】
抵抗R1の一端はツェナーダイオードZ1のカソード側と接続されており、他端は直流電源Vbの正電圧側に接続されている。また、ツェナーダイオードZ1のアノード側は直流電源Vbの負電圧側に接続されている。フォトカプラP2は、ツェナーダイオードZ1と並列に接続されているので、フォトカプラP2がオンの時にはツェナーダイオードZ1の両端が短絡される。フォトカプラP2がオフとなっており、ツェナーダイオードZ1にツェナー電圧以上の電圧が加わると、抵抗R1を介してツェナーダイオードZ1に電流が流れる。従って、フォトカプラP2がオフの時には、直流電源Vbの電圧は、抵抗R1とツェナーダイオードZ1とによって分割される。ここで、抵抗R1とツェナーダイオードZ1との接続点の電圧を基準電位Vrefとし、抵抗R1の一端(正電圧側)の電圧をVp、ツェナーダイオードZ1のアノード側(負電圧側)の電圧をVnとする。
【0012】
フォトカプラP1の発光ダイオードD4のアノード側はフォトカプラ駆動用電源Vccと接続され、カソード側には下アーム駆動信号VinNが入力される。発光ダイオードD4のカソード側にフォトカプラ駆動用電源Vccより高い電圧が印加される場合、すなわち、下アーム駆動信号VinNがHレベルの場合には、フォトカプラP1はオフとなり、下アーム駆動信号VinNがLレベルの場合には、フォトカプラP1はオンとなる。フォトカプラP1と抵抗R2とは直列に接続されているので、フォトカプラP1がオンになると、プルアップ抵抗である抵抗R2に電流が流れる。
【0013】
バッファ102を構成するNPNトランジスタTr1のコレクタ端子は、直流電源Vbの正電圧側と接続され、ベース端子は抵抗R2とフォトカプラP1との接続点と接続され、エミッタ端子はPNPトランジスタTr2のエミッタ端子と接続されている。PNPトランジスタTr2のベース端子は、抵抗R2とフォトカプラP1との接続点と接続され、コレクタ端子は直流電源Vbの負電圧側と接続されている。また、NPNトランジスタTr1のエミッタ端子とPNPトランジスタTr2のエミッタ端子との接続点は、抵抗R3の一端と接続されており、抵抗R3の他端はIGBT2のゲート端子と接続されている。なお、抵抗R3は、IGBT2のスイッチング速度を調整するためのゲート抵抗である。
【0014】
IGBT2のエミッタ端子は、抵抗R1とツェナーダイオードZ1との接続点と接続されている。従って、フォトカプラP2がオフの時には、IGBT2のエミッタ電圧はVrefであるが、フォトカプラP2がオンとなってツェナーダイオードZ1の両端が短絡されると、IGBT2のエミッタ電圧はVn(=Vref)となる。
【0015】
フォトカプラP1がオンになると、上述したように抵抗R2に電流が流れるので、NPNトランジスタTr1はオフとなり、PNPトランジスタTr2はオンとなる。逆に、フォトカプラP1がオフになると、NPNトランジスタTr1はオンとなり、PNPトランジスタTr2はオフとなる。
【0016】
NPNトランジスタTr1がオン、かつ、PNPトランジスタTr2がオフの時には、IGBT2のゲート端子に正電圧(エミッタ端子電圧より高い電圧)Vpが印加されるので、下アームを構成するIGBT2はオンする。逆に、NPNトランジスタTr1がオフ、かつ、PNPトランジスタTr2がオンの時には、IGBT2のゲート端子はトランジスタTr2を介して直流電源Vbの負電圧側と電気的に接続され、エミッタ端子は抵抗R1とツェナーダイオードZ1との接続点に接続されるので、ゲート−エミッタ間には負電圧が印加されて(ゲート端子電圧よりもエミッタ端子電圧が高くなって)IGBT2はオフとなる。以上より、下アーム駆動信号VinNがHレベルの時にはIGBT2はオンとなり、下アーム駆動信号VinNがLレベルの時には、IGBT2はオフとなる。
【0017】
なお、本明細書におけるゲート−エミッタ間電圧とは、エミッタ電圧を基準としたゲート電圧のことであり、ゲート電圧からエミッタ電圧を減じた電圧値を示す。
【0018】
上アームを構成するIGBT1については、上アーム駆動信号VinPがHレベルの時にIGBT1はオンとなり、上アーム駆動信号VinPがLレベルの時にIGBT1はオフとなる。すなわち、ゲート駆動回路103は、ゲート駆動回路101が備えるフォトカプラP1およびP2と同じフォトカプラを備えるが、それぞれのフォトカプラのカソード側に入力される信号は、VinPとVinNとが逆になっている。
【0019】
図2は、上アーム駆動信号VinPおよび下アーム駆動信号VinNの信号レベルに対する電圧Vp,VnおよびIGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeの状態をそれぞれ示す図である。ここでは、説明を分かりやすくするために、直流電源電圧Vbを15V、ツェナーダイオードZ1のツェナー電圧を10Vとする。また、電圧Vp,Vn,Vgeは、それぞれ基準電位(IGBT2のエミッタ電位)Vrefを基準として説明する。
【0020】
〜(VinP,VinN)=(H,L)の場合〜
上アーム駆動信号VinPがHレベル、かつ、下アーム駆動信号VinNがLレベルの時には、IGBT1はオン、IGBT2はオフとなっている。この時、上述したように、フォトカプラP2はオフとなっているので、抵抗R1の両端には5V、ツェナーダイオードZ1の両端には10Vの電圧が印加されている。従って、基準電位Vrefを基準とする電圧Vpは5V、電圧Vnは−10Vとなる。また、フォトカプラP1はオンとなっているので、NPNトランジスタTr1がオフ、PNPトランジスタTr2がオンとなっている。従って、IGBT2のゲート端子は、トランジスタTr2を介して直流電源Vbの負電圧側と電気的に接続され、エミッタ端子は、ツェナーダイオードZ1のカソード側と電気的に接続されるので、ゲート−エミッタ間電圧Vgeは−10Vとなる。
【0021】
〜(VinP,VinN)=(L,L)の場合〜
上アーム駆動信号VinPがHレベルからLレベルとなると(時刻t1)、IGBT1はオフとなる。この時、フォトカプラP2はオンとなってツェナーダイオードZ1の両端が短絡されるので、Vref=Vnとなる。すなわち、電圧Vpは15V、電圧Vnは0Vとなる。下アーム駆動信号VinNはLレベルに保持されているので、トランジスタTr1,Tr2およびIGBT2の状態は変わっていないが、Vref=Vnとなることから、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは、0Vとなる。なお、駆動信号VinP,VinNが共にLレベルとなっている時刻t1からt2までの期間は、IGBT1およびIGBT2が同時にオンとなるのを防ぐためのデッドタイムである。
【0022】
〜(VinP,VinN)=(L,H)の場合〜
続いて、IGBT2をオンさせるために、下アーム駆動信号VinNをLレベルからHレベルに遷移させる(時刻t2)。この時、フォトカプラP1はオフとなるので、NPNトランジスタTr1はオン、PNPトランジスタTr2はオフとなる。これにより、IGBT2のゲート端子は、NPNトランジスタTr1を介して直流電源Vbの正電圧側と電気的に接続される。フォトカプラP2はオンに保持されているので、電圧Vp(=15V)および電圧Vn(=0V)は変化しないが、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは15Vとなる。
【0023】
〜(VinP,VinN)=(L,L)の場合〜
続いて、IGBT2をオフさせるために、下アーム駆動信号VinNをHレベルからLレベルに遷移させる(時刻t3)。この場合も、上アーム駆動信号VinPはLレベルが保持されているので、電圧Vp(=15V)および電圧Vn(=0V)は変化しない。また、フォトカプラP1がオンとなるので、NPNトランジスタTr1はオフ、PNPトランジスタTr2はオンとなり、IGBT2のゲート端子は、PNPトランジスタTr2を介して直流電源Vbの負電圧側と電気的に接続される。従って、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは0Vとなる。
【0024】
〜(VinP,VinN)=(H,L)の場合〜
時刻t3からデッドタイムを経過した時刻t4において、IGBT1をオンさせるために、上アーム駆動信号VinPをLレベルからHレベルに遷移させる。この時、フォトカプラP2はオフになるので、再び抵抗R1の両端に5V、ツェナーダイオードZ1の両端に10Vの電圧が印加される。従って、電圧Vpは5V、電圧Vnは−10Vとなる。また、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeについても、時刻t1以前と同じ状態、すなわち、−10Vとなる。
【0025】
このように、直流電源電圧Vbが15Vである場合でも、IGBT2がオン(IGBT1はオフ)している時にはIGBT2のゲート端子にはエミッタ端子よりも15V高い電圧が印加され、IGBT2がオフ(IGBT1はオン)している時には−10Vの電圧(エミッタ電圧よりも10V低い電圧)がゲート端子に印加される。従って、上アームを構成するIGBT1のターンオン時に、下アームを構成するIGBT2のゲート端子に印加するための負電圧を用意する必要がなく、消費電力の低減を図ることができる。
【0026】
図3は、上アーム駆動信号VinPおよび下アーム駆動信号VinNの信号レベルに対するフォトカプラP1,P2、トランジスタTr1,tr2およびIGBT1,IGBT2の各状態をまとめた図である。
【0027】
なお、上述した説明では、IGBT1およびIGBT2がともにオンとなるのを防ぐために、オン/オフの切り換え時に、IGBT1およびIGBT2がともにオフとなるデッドタイムを設けた。従って、IGBT2のオフ動作時でも、IGBT1がオフとなっている時には、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは0Vとなっている(時刻t1〜t2,t3〜t4)。しかし、デッドタイムを設けずにIGBT1とIGBT2のオン/オフの切り換えを同時に行えば、以下のような動作となる。すなわち、IGBT2のオン動作時には、ゲート端子が直流電源Vbの正電圧側と電気的に接続されるとともに、エミッタ端子はツェナーダイオードZ1のアノード端子と電気的に接続される。また、IGBT2のオフ動作時には、ゲート端子が直流電源Vbの負電圧側と電気的に接続されるとともに、エミッタ端子はツェナーダイオードZ1のカソード端子に電気的に接続される。
【0028】
これにより、IGBT2がオン(IGBT1はオフ)している時にはIGBT2のゲート端子に正電圧(エミッタ電圧よりも高い電圧)が印加され、IGBT2がオフ(IGBT1はオン)している時には負電圧(エミッタ電圧よりも低い電圧)がゲート端子に印加されるので、電圧駆動素子であるIGBT2のオン/オフを制御することができる。また、直流電源Vbの電圧を大きくすることなく、IGBT2のオフ時には、IGBT2のゲート端子にエミッタ電圧を基準とする負電圧を印加することができる。
【0029】
本実施の形態における電圧駆動素子の駆動回路では、IGBT2のエミッタ端子はツェナーダイオードZ1のカソード端子と接続されており、ツェナーダイオードZ1と並列にフォトカプラP2を接続して、IGBT2のオン動作時(IGBT1はオフ)に、フォトカプラP2をオンさせてツェナーダイオードZ1の両端を短絡させることにより、IGBT2のエミッタ端子をツェナーダイオードZ1のアノード端子と電気的に接続させる。また、IGBT2のオフ動作時(IGBT1はオン)には、フォトカプラP2をオフさせることにより、IGBT2のエミッタ端子をツェナーダイオードZ1のカソード端子と電気的に接続させる。これにより、確実にエミッタ端子の電位を変えることができる。
【0030】
また、上アームを構成するIGBT1を駆動するための駆動信号VinPを用いて、フォトカプラP2のオン/オフを切り換えてIGBT2のゲートに負電圧を印加する構成としているので、IGBT1のターンオン時に確実にIGBT2のゲートに負電圧を印加させることができる。すなわち、上アーム駆動信号VinPがLレベルからHレベルに遷移するとIGBT1はオンし、IGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeは、負電圧(上述した例では、―10V)となる。これにより、IGBT1のターンオン時に発生するゲート電位の変動に起因するdv/dt電流を抑制することができるとともに、ノイズによる誤動作を防ぐことができる。
【0031】
本実施の形態における電圧駆動素子の駆動回路では、直流電源Vbの正電圧側に接続されるトランジスタTr1と、トランジスタTr1と直列に接続されるとともに、直流電源Vbの負電圧側に接続されるトランジスタTr2とを設け、IGBT2のゲート端子はトランジスタTr1とトランジスタTr2との接続点に接続されている。IGBT2のオン動作時には、トランジスタTr1をオン、かつ、トランジスタTr2をオフにすることにより、IGBT2のゲート端子を直流電源Vbの正電圧側に電気的に接続し、IGBT2のオフ動作時には、トランジスタTr1をオフ、かつ、トランジスタTr2をオンにすることにより、IGBT2のゲート端子を直流電源Vbの負電圧側に電気的に接続する。これにより、確実にゲート端子の電位を変化させることができる。
【0032】
なお、上述した説明では、図1に詳細な構成を示したゲート駆動回路101について説明したが、ゲート駆動回路103についても同様である。すなわち、下アーム駆動信号VinNがLレベルからHレベルに遷移すると、IGBT2はオンし、IGBT1のゲート端子には負電圧が印加される。
【0033】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、電圧駆動素子としてIGBTを用いて説明したが、MOSFETに適用することもできる。IGBT2のオン/オフの切り換え動作を確実に行うために、バッファ102を設けたが、バッファ102を設けないこともできる。この場合、ゲート端子と接続されていない側の抵抗R3の端子を、抵抗R2とフォトカプラP1との接続点に接続すればよい。この場合でも、上述したフォトカプラP1のオン/オフ動作により、IGBT2のオン動作時(IGBT1はオフ)には、IGBT2のゲート端子を直流電源Vbの正電圧側に電気的に接続し、IGBT2のオフ動作時には、IGBT2のゲート端子を直流電源Vbの負電圧側に電気的に接続することができる。但し、直流電源Vbの電圧が高い場合には、フォトカプラP1の許容電流値を大きくする必要があり、この場合には本実施例のように、バッファ102を用いることが好ましい。
【0034】
また、直流電源の電圧を分割する素子としてツェナーダイオードZ1と抵抗R1とを用いたが、ツェナーダイオードZ1の代わりに単に抵抗素子を用いてもよい。但し、抵抗素子を用いた場合には、IGBT2のエミッタ電圧Vrefが直流電源の電流値によって変化する可能性があるため、本実施例のように、ツェナーダイオードを用いることが好ましい。
【0035】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、ツェナーダイオードZ1および抵抗R1が電圧分割手段を、ツェナーダイオードZ1がツェナーダイオードを、抵抗R1が抵抗要素を、フォトカプラP2が第1のスイッチング手段を、トランジスタTr1が第2のスイッチング手段を、トランジスタTr2が第3のスイッチング手段を、上アーム駆動信号VinP,下アーム駆動信号VinNが制御手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されることはない。例えば、スイッチング手段としてフォトカプラP2を、第2,第3のスイッチング手段としてバイポーラトランジスタを用いたが、他のスイッチング素子を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電圧駆動素子の駆動回路の一実施の形態の構成を示す図
【図2】上アーム駆動信号VinPおよび下アーム駆動信号VinNの信号レベルに対する電圧Vp,VnおよびIGBT2のゲート−エミッタ間電圧Vgeの状態をそれぞれ示す図
【図3】上アーム駆動信号VinPおよび下アーム駆動信号VinNの信号レベルに対するフォトカプラP1,P2、トランジスタTr1,tr2およびIGBT1,IGBT2の各状態をまとめた図
【符号の説明】
1…上アームを構成するIGBT、2…下アームを構成するIGBT、101,103…ゲート駆動回路、102…バッファ、R1〜R5…抵抗、D1,D2…還流ダイオード、D3,D4…発光ダイオード、Z1…ツェナーダイオード、Vdc,Vb…直流電源、Tr1,Tr2,Tr3,Tr4…トランジスタ、P1,P2…フォトカプラ、VinP…上アーム駆動信号、VinN…下アーム駆動信号
Claims (6)
- 直流電源の電圧を分割する電圧分割手段と、
電圧駆動素子のオン動作時には、前記電圧駆動素子の制御端子を前記直流電源の正極側に電気的に接続するとともに、接地側端子を前記直流電源の負極側に電気的に接続し、前記電圧駆動素子のオフ動作時には、前記制御端子を前記直流電源の負極側に電気的に接続するとともに、前記電圧分割手段により分割された電圧を前記接地側端子に印加する制御手段とを備えることを特徴とする電圧駆動素子の駆動回路。 - 請求項1に記載の電圧駆動素子の駆動回路において、
前記電圧分割手段は、直流電源の負極側にアノード端子が接続されるツェナーダイオードと、一方の端子が前記ツェナーダイオードのカソード端子に接続され、他方の端子が前記直流電源の正極側に接続される抵抗要素とを備え、
前記制御手段は、電圧駆動素子のオン動作時には、前記電圧駆動素子の制御端子を前記直流電源の正極側に電気的に接続するとともに、前記接地側端子を前記ツェナーダイオードのアノード端子に電気的に接続し、前記電圧駆動素子のオフ動作時には、前記制御端子を前記直流電源の負極側に電気的に接続するとともに、前記接地側端子を前記ツェナーダイオードのカソード端子に接続することを特徴とする電圧駆動素子の駆動回路。 - 請求項2に記載の電圧駆動素子の駆動回路において、
前記ツェナーダイオードと並列に接続される第1のスイッチング手段をさらに備え、
前記電圧駆動素子の接地側端子は前記ツェナーダイオードのカソード端子に接続されており、
前記制御手段は、前記電圧駆動素子のオン動作時には、前記第1のスイッチング手段をオンさせて前記ツェナーダイオードの両端を短絡させることにより、前記電圧駆動素子の接地側端子を前記ツェナーダイオードのアノード端子に電気的に接続し、前記電圧駆動素子のオフ動作時には、前記第1のスイッチング手段をオフさせることにより、前記電圧駆動素子の接地側端子を前記ツェナーダイオードのカソード端子に電気的に接続させることを特徴とする電圧駆動素子の駆動回路。 - 請求項3に記載の電圧駆動素子の駆動回路において、
前記電圧駆動素子の駆動回路は、二つの電圧駆動素子を直列に接続したインバータ回路における電圧駆動素子の駆動回路であって、
前記二つの電圧駆動素子のうちの一方の電圧駆動素子の駆動回路に備えられた前記制御手段は、他方の電圧駆動素子のオフ動作時には前記スイッチング手段をオンさせ、前記他方の電圧駆動素子のオン動作時には前記スイッチング手段をオフさせることを特徴とする電圧駆動素子の駆動回路。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の電圧駆動素子の駆動回路において、
互いに直列に接続された第2,第3のスイッチング手段であって、前記直流電源の正極側に接続される第2のスイッチング手段および前記直流電源の負極側と接続される第3のスイッチング手段をさらに備え、
前記電圧駆動素子の制御端子は前記第2のスイッチング手段と前記第3のスイッチング手段との接続点と接続されており、
前記制御手段は、前記電圧駆動素子のオン動作時には、前記第2のスイッチング手段をオン、かつ、前記第3のスイッチング手段をオフさせることにより、前記電圧駆動素子の制御端子を前記直流電源の正極側に電気的に接続し、前記電圧駆動素子のオフ動作時には、前記第2のスイッチング手段をオフ、かつ、前記第3のスイッチング手段をオンさせることにより、前記電圧駆動素子の制御端子を前記直流電源の負極側に電気的に接続することを特徴とする電圧駆動素子の駆動回路。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の電圧駆動素子の駆動回路において、
前記制御端子はゲート端子であり、前記接地側端子はエミッタ端子であることを特徴とする電圧駆動素子の駆動回路。
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