JP2004193489A - 光送信モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な実装で、低電圧、低消費電力、低EMIを達成でき、安価な光送信モジュールを提供する。
【解決手段】差動型電流スイッチの2出力両方を利用してレーザまたは光変調器を双方向に変調する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光送信モジュールに係り、特に、光通信システム用の送信回路におけるレーザダイオード駆動回路の回路方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来公知の光送信モジュールとしては、入力電圧信号を受けて波形整形する差動増幅器と、この差動増幅器の出力信号を受けてレーザダイオードを駆動する為の変調電流を発生する差動型電流スイッチと、この差動型電流スイッチの電流振幅を変える可変電流源と、このレーザダイオードに直流バイアス電流を供給するバイアス電流源で構成され、このうち可変電流源はレーザダイオードの光出力電力の設定や発光効率特性に応じて調整されるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
この従来の光送信モジュールを図2に示す。
図2は従来の光送信モジュールの回路図である。図2に示した光送信モジュールでは、レーザダイオード200をレーザ駆動回路208の直近に配置した構成となっている。トランジスタTR1、TR2で差動電流スイッチ206を構成し、この差動電流スイッチ206の入力端子204、205より入力された差動信号電圧によって、差動型電流スイッチ206を駆動する。変調電流源207より供給される電流を差動型電流スイッチ206によって、抵抗203およびレーザダイオード200に振り分け、入力信号に従いレーザダイオード200を変調駆動する。
【0004】
さらに、バイアス電流源202により、レーザダイオード200にバイアス電流を供給する。信号電流の漏洩を防ぐため、バイアス電流源202とレーザダイオード200間にはバイアスティ201を挿入する。
本回路形式を用いて、レーザダイオード200を高速変調するには、信号電流の反射による波形劣化を防ぐため、レーザダイオード200を信号波長よりも十分に近い位置に配置することが不可欠である。また、高速な電流変化時の配線のインダクタンスによる電圧降下を防ぐため、非常に低いインダクタンスの配線が必要となる。これは、高速信号になればなるほど実装が困難になることを意味し、高速変調の必要な光モジュールに本回路を用いると、高精度の精密な実装が必要となり、高価な光モジュールとなる。
また、発熱源が密集しているため、レーザ駆動回路208およびレーザダイオード200により発生した熱を効率的に放熱することが困難である。
【0005】
次に、図3を用いて、より簡易に実装可能な光送信モジュールについて説明する。
図3は従来の光送信モジュールの他の例を示す回路図である。本光伝送モジュールでは、レーザ駆動回路312とレーザダイオード300間の配線をインピーダンスコントロールされた高周波伝送線路としたものである。伝送線路304端での信号電流の反射を防ぐため、終端抵抗303をレーザダイオード300と伝送線路304間に挿入している。
バイアス電流源302からローパスフィルタ301を通してレーザダイオード300にバイアス電流を供給する。バイアス電流による電圧降下が差動型電流スイッチ308に影響を及ぼすのを防ぐため、伝送線路304にコンデンサ305を挿入する。
差動型電流スイッチ308のバイアス電圧を確保するため、電源電圧と差動型電流スイッチ308のトランジスタTR2の間に抵抗306を挿入する。また、レーザダイオード300に供給される電流波形のバランスを保つために、電源電圧とトランジスタTR1の間に抵抗307を挿入する。
【0006】
本構成を用いることにより、レーザと駆動回路を離れた位置に配置することが可能となり、簡易かつ安価な実装によって高速なレーザダイオード駆動が可能となる。即ち、本構成においては、レーザ駆動回路312とレーザダイオード300を至近距離に配置する必要がなく、レーザダイオード300のみをパッケージ化し、送信サブアセンブリとすることができるので、安価且つ容易に実装することができる。
反面、本回路を用いた場合、伝送線路304を終端するためレーザダイオード300に直列に抵抗303を挿入する。この抵抗は伝送線路の設計上の限界により一般的に25〜50Ω程度であり、レーザダイオードの抵抗値と比べ、大きな抵抗値となる。この抵抗のため、レーザダイオードを駆動した際、差動型電流スイッチ308出力端において生じる電圧降下が大きくなる。差動型電流スイッチ308、電流源311が正常に動作するためにはあるバイアス電圧を必要とするため、良好な波形を得るには、差動電流スイッチのトランジスタTR2出力端の電圧は常に一定電圧以上を保ち駆動されなければならない。よって、本方式によってレーザを駆動する際、この電圧降下を補うため、先の図2の方式と比べ高い電源電圧が必要とされる。
また、差動電流スイッチ308の供給する電流の約半分が抵抗306にて消費されるため、変調電流源311はレーザダイオード300に流入する電流の2倍の電流を必要とする。このため、レーザ駆動回路312の消費電流が図2の方式と比べ倍増する。
【0007】
さらに、レーザダイオード等を、作動信号を用いて、双方向駆動することに関連する従来技術は種々知られている(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−218543号公報
【特許文献2】
特開平07−334859号公報
【特許文献3】
特開2001−015854号公報
【特許文献4】
特開2001−111167号公報
【特許文献5】
特開2002−277840号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、図2の従来例では、高速なレーザ変調を行う際、複雑かつ高価な装置となり、また、発熱源が密集しているので、熱を効率的に放熱することが難しくなる。
また、図3の従来例では、安価かつ簡易に実装できるものの、駆動電流による電圧降下が増大するため、高い電源電圧が必要とされ、さらに消費電力が増大する。
しかしながら、近年光伝送装置の小型化に伴い、安価でかつ低電圧、低消費電力のレーザダイオード駆動回路が求められている。
【0010】
本発明の目的は、従来の欠点を解決し、簡単に実装が可能で、電源電圧が小さく、消費電力の少ない高速レーザ駆動技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、光送信モジュールは、レーザ光を発生するレーザダイオードと、前記レーザダイオードに変調電流を供給するために、第1のスイッチと第2のスイッチを備えた差動型電流スイッチとを備え、前記レーザダイオードの一端と前記第1のスイッチを伝送線路およびコンデンサを介して接続し、前記レーザダイオードの他端と前記第2のスイッチとを伝送線路およびコンデンサを介して接続し、差動型電流スイッチ各出力端と電源間に抵抗を接続して伝送線路を終端することによって、前記レーザダイオードを変調する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い、図を参照して説明する。
図1は本発明による光送信モジュールの一実施例を示す概略の回路図である。まず、レーザダイオード100の交流等価抵抗値が伝送線路105、106の特性インピーダンスよりも十分小さい場合について回路の動作を説明する。図において、入力端子112、113より入力される差動電圧入力信号を受けて差動型電流スイッチ111が駆動される。これにより、変調電流源114の供給する電流は、伝送線路106、または伝送線路105へとスイッチングされる。即ち、差動型電流スイッチ111のトランジスタTR1を通過する電流は、図4に示した様に、抵抗110、トランジスタTR1及び変調電流源114を流れる電流1と、抵抗109、コンデンサ107、伝送線路106、レーザダイオード100、伝送線路105、コンデンサ108、トランジスタTR1及び変調電流源114を通して流れる交流電流2とがある。このとき伝送線路106を流れる電流2は抵抗109によって終端され、信号電流の反射がレーザダイオード100に流入するのを防ぐ。同様に、トランジスタTR2を通過する電流は、抵抗109、トランジスタTR2及び変調電流源114を流れる電流と、インピーダンス整合素子110、コンデンサ108、伝送線路105、インピーダンス整合回路104、レーザダイオード100、インピーダンス整合回路104、伝送線路106、コンデンサ107、トランジスタTR2及び変調電流源114を通して流れる電流とがある。このとき、伝送線路105を流れる後者の電流は抵抗110によって終端され、信号電流の反射がレーザダイオード100に流入するのを防ぐ。
このように、伝送線路105、106は差動型電流スイッチ111の駆動した信号電流をレーザダイオード100に伝送し、抵抗109、110によって終端される。
【0013】
レーザダイオード100の交流等価抵抗が大きい場合、TR1によって駆動した電流の一部がレーザダイオード100と線路105の間で、TR2によって駆動した電流の一部がレーザダイオード100と線路106の間で反射される。しかしながら、この反射は全周波数域にわたって均一に起こり、振幅は落ちるものの、レーザ波形には影響を及ぼさない。また、レーザダイオード100が容量的・誘導的な成分を多く持ち、純抵抗とみなせない場合、レーザダイオード100に直列に小さな抵抗を挿入することによって、波形の劣化を防ぐことが可能である。
【0014】
本実施例では、伝送線路105、106双方の信号電流を阻害せずにレーザダイオード100にバイアス電流を供給するため、レーザダイオード100の両端にバイアスティ101、102を介して電流源103を接続する。また、バイアス電流によって生じる電圧降下により、差動型電流スイッチ111の駆動電圧が不足することを防ぐため、コンデンサ107、108をそれぞれ伝送線路105、106に挿入する。
本実施例では、レーザダイオード100と駆動回路115間をインピーダンス整合された伝送線路105、106で接続することができるため、レーザダイオード100と駆動回路115を離れた位置に実装することができ、精密な実装を必要とせず簡易な実装が可能となる。
【0015】
また、本実施例では、レーザダイオード100が双方向に変調されるため、変調電流源114の電流を効率良くレーザダイオード100に供給することができる。本実施例における、レーザダイオード100における変調電流振幅Imodと変調電流源114における電流量Imodsourceの関係を(数1)に示した。ただしRldはレーザダイオード100の交流等価抵抗とする。
【0016】
【数1】
Figure 2004193489
ここで一例として、Rd=50Ω、Rld=10Ω、Imod=30mAとすると、(数1)よりImodsource=33mAとなる。図2で示した従来例の場合、同条件においてImodsource=60mAとなり、大幅な消費電力の減少が見込めることが分かる。
【0017】
また、レーザダイオードに直列に整合抵抗を挿入しないため、差動電流スイッチ111の出力端での電圧降下が減少し、より低い電源電圧でレーザダイオード100を駆動することができる。前述したように、差動型電流スイッチ111と変調電流源114を正常動作させるにはあるバイアス電圧が必要となる。この電圧と電源電圧の差をVheadroomとするとき、本実施例におけるVheadroomとImodの関係は(数2)によって表される。
【0018】
【数2】
Figure 2004193489
一例として、Rd=50Ω、Rld=10Ω、Imod=30mAとすると、駆動に必要なVheadroomは1.575Vとなる。図2で示した従来例の場合、同条件においてVheadroomは2.25V必要であり、本実施例では大幅に低電圧化が可能であることが分かる。
【0019】
さらに、レーザ駆動回路115とレーザダイオード100間を輻射効率の低い差動伝送線路で接続することにより、駆動回路115とレーザダイオード100間に逆相の交流電流が流れるため、電磁放射も逆相となり、両者の電磁放射は打ち消されるので、電磁放射を抑え、EMI(ElectroMagnetic Interference)を低減することが可能となる。
【0020】
図5は本発明による光送信モジュールの他の実施例を示す回路図である。本実施例は先の実施例に加えて、レーザダイオード端での反射を抑制する整合抵抗を追加したものである。
本実施例において、抵抗404、405がレーザダイオード両端に接続される。この抵抗404、405の抵抗値Rsは、(数3)によって決定する。
【0021】
【数3】
Figure 2004193489
本方式によっても先の実施例と同様の効果を得ることが可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、簡易な実装によって、低電圧、低消費電力、低EMIの光送信モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光送信モジュールの一実施例を示す概略の回路図である。
【図2】従来の光送信モジュールの回路図である。
【図3】従来の光送信モジュールの他の例を示す回路図である。
【図4】図1に示すレーザ駆動回路のトランジスタTR1の駆動電流の経路を示した回路図である。
【図5】本発明による光送信モジュールの他の実施例を示す回路図である。
【符号の説明】
100、200、300、500…レーザダイオード、101、102、201、301、501…バイアスティ、103、202、302、503…バイアス電流源、105、106、304、505、506…伝送線路、107、108、305、507、508…コンデンサ、109、110、303、306、307…抵抗、111、206、308、511…差動型電流スイッチ、112、113、204、205、309、310、415…入力端子、114、207、311、514…変調電流源、115、208、312、418、515…レーザ駆動回路、203…抵抗。

Claims (9)

  1. レーザ光を発生するレーザダイオードと、前記レーザダイオードに変調電流を供給するために、第1のスイッチと第2のスイッチを備えた差動型電流スイッチとを備え、前記レーザダイオードの一端と前記第1のスイッチを接続し、前記レーザダイオードの他端と前記第2のスイッチとを接続することによって、前記レーザダイオードを双方向に変調することを特徴とする光送信モジュール。
  2. 請求項1記載の光送信モジュールにおいて、前記レーザダイオード両端に接続されたバイアスティを設け、前記バイアスティを介して前記レーザダイオードにバイアスを与えることを特徴とする光送信モジュール。
  3. 請求項1記載の光送信モジュールにおいて、前記レーザダイオードの一端と前記第1のスイッチの間に第1の伝送線路を接続し、前記レーザダイオードの他端と前記第2のスイッチの間に第2の伝送線路を接続することを特徴とする光送信モジュール。
  4. 請求項3記載の光送信モジュールにおいて、前記第1の伝送線路に第1のコンデンサを直列に接続し、前記第2の伝送線路に第2のコンデンサ直列に接続することを特徴とする光送信モジュール。
  5. 請求項4記載の光送信モジュールにおいて、前記レーザダイオードの一端と前記第1の伝送線路間に第1のインピーダンス整合回路を設け、前記レーザダイオードの他端と前記第2の伝送線路間に第2のインピーダンス整合回路を設け、前記第1、第2の伝送線路と前記レーザダイオードのインピーダンスの整合をとることを特徴とする光送信モジュール。
  6. 請求項5記載の光送信モジュールにおいて、前記第1のインピーダンス整合回路は前記レーザダイオードと並列に接続された第1の抵抗であり、前記第2のインピーダンス整合回路は前記レーザダイオードと並列に接続された第2の抵抗であることを特徴とする光送信モジュール。
  7. 請求項6記載の光送信モジュールにおいて、前記第1の抵抗に直列に第3のコンデンサを接続し、前記第2の抵抗に直列に第4のコンデンサを接続することを特徴とする光送信モジュール。
  8. 請求項1記載の光送信モジュールにおいて、前記第1のスイッチに第1のインピーダンス整合素子を接続し、前記第2のスイッチに第2のインピーダンス整合素子を接続し、前記第1と第2のインピーダンス整合素子のインピーダンスを同じ値にすることを特徴とする光送信モジュール。
  9. 請求項3記載の光送信モジュールにおいて、前記第一のスイッチに接続した抵抗によって前記第2のスイッチにより駆動した電流を終端し、前記第2のスイッチに接続した抵抗によって前記第1のスイッチにより駆動した電流を終端することを特徴とする光送受信モジュール。
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