JP2004193107A - 燃料電池システムの起動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水素ガスと空気中の酸素ガスとの電気化学反応により発電を行う燃料電池1と、前記燃料電池1と接続された水素ガス排出流路16を水素ガス供給流路12に合流させる水素ガス循環流路13を備え、水素ガス循環流路13から循環水素ガスを排出するパージ弁15を備えた燃料電池システムの起動方法であって、前記燃料電池1に水素ガスを供給すると共に前記パージ弁15を開作動させ、前記水素ガス循環流路13の窒素ガスが水素ガスで置換された後に、前記パージ弁15を閉作動させることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
この燃料電池では、一般に、燃料の利用率を上げて燃費を向上させるために、消費されずに燃料電池から排出される未反応の水素ガスをリサイクルさせ新鮮な燃料ガスと混合して再度燃料電池に供給するように燃料循環流路を形成したものがある。
これらの燃料電池を停止するにあたっては空気の供給を停止し、次に水素ガスの供給を停止することで、停止後に燃料電池内部に残った反応ガスにより停止時に電圧が残らないようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特に、燃料電池が車両用燃料電池である場合には、上記空気中の窒素ガスが系内に浸透していると燃料電池の起動に時間がかかるため、燃料電池車両の始動性が悪くなり商品性が悪化するという問題がある。
そこで、この発明は速やかに始動を行うことができる燃料電池システムの起動方法を提供するものである。
このように構成することで、燃料ガスの供給とパージ弁の開作動により、とりわけ窒素ガスによる悪影響が大きい燃料ガス側の系内の窒素ガスを排出して、燃料ガスを供給し燃料電池内に燃料ガスを満たした後にパージ弁を閉じる。
このように構成することで、燃料電池の停止時間が長ければ長いほど、パージ弁を閉作動させる時期を遅らせて、窒素ガスを燃料ガスで置換する時間を確保することができる。
このように構成することで、燃料電池の停止時間が長ければ長いほど燃料電池の温度は低くなり、又は発電電圧は低くなることに着目して、燃料ガスに置換すべき窒素ガスの量を決定する前記燃料電池の停止時間を推定する。
このように構成することで、窒素ガスが燃料ガスに置換されるほど、燃料ガス循環流路内の燃料ガス濃度が上がることに着目して前記パージ弁を閉作動させる時期を決定することができる。
このように構成することで、前記燃料ガスを供給した後にパージ弁を前記推定停止時間に応じた時間で開作動させることにより、燃料ガス側の系内の窒素ガスを排出して、燃料電池内に燃料ガスを満たした後にパージ弁を閉じる。
このように構成することで、燃料電池の停止時間が長ければ長いほど燃料電池の温度は低くなり、又は発電電圧は低くなることに着目して、前記燃料電池の推定停止時間を推定することができる。
このように構成することで、前記燃料電池に燃料ガスが供給されるほど、燃料ガス循環流路内の燃料ガス濃度が上がることに着目して前記パージ弁を閉作動させる時期を決定することができる。
このように構成することで、燃料ガス側の系内に燃料ガスを満たした状態で、前記燃料電池の発電を開始することができる。
このように構成することで、前記燃料電池の停止時間が長ければ長いほど発電電圧は低くなり、その一方で、前記燃料電池の停止時間が比較的短い場合には残存する水素が前記酸素ガスの系内に残存する酸素と反応するため前記燃料ガス循環流路の圧力は低下していき、前記燃料電池の停止時間が比較的長くなると前記酸素ガスの系内に残存する窒素ガスが前記燃料ガスの系内に逆拡散するため前記燃料ガス循環流路の圧力は上昇していくことに着目して、前記燃料電池の推定停止時間を精度よく推定することができる。
燃料電池1は、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜2をアノード3とカソード4とで両側から挟み込んで形成されたセルを複数積層して構成されたものであり(図1では単セルのみを示す)、アノード3の反応ガス流路5に燃料ガスとして水素ガスを供給し、カソード4の反応ガス流路6に酸化剤ガスとして酸素ガスを含む空気を供給すると、アノード3で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜2を通過してカソード4まで移動して、カソード4で酸素と電気化学反応を起こして発電し、水が生成される。カソード側で生じた生成水の一部は固体高分子電解質膜2を介してアノード側に逆拡散するため、アノード側にも生成水が存在する。
前記燃料電池1は、コントロールユニットであるECU19により制御され、そのためECU19には、燃料電池1の冷却水の温度を検出する冷却水温センサ20からの信号が入力され、コンプレッサ7の回転数、水素ポンプ14の回転数、遮断弁17の開閉、パージ弁15の開閉制御が行われる。又、ECU19は燃料電池1のセル電圧センサ21、発電電流を検出する電流センサ23、燃料電池1の総電圧(全セル電圧)を検出する電圧センサ24、水素センサ25、アノード圧力センサ26からの信号が入力される。尚、電圧センサ21は各セル毎に電圧を測定するセンサであり、水素センサ25は排出ガス処理装置10内に設けられ水素濃度を検出するセンサであり、アノード圧力センサ26は燃料電池1の燃料ガス側の系内の圧力を検出するセンサである。本実施形態においては、燃料ガス側の系として、水素ガス循環流路13内の圧力をアノード圧力センサ26で検出している。
ステップS01において遮断弁17を開いて水素供給を開始すると共にパージ弁15を開き、必要に応じて水素ポンプ14を駆動する。そして、ステップS02に進む。
このようにして、前記燃料電池1の冷却水温度又は前記燃料電池1のセル電圧(総電圧)に基づいて燃料電池1の停止時間を推定してパージ弁15を閉作動させる時期を決定している。つまり、燃料電池1の停止時間が長いほど、燃料電池1の温度あるいは電圧は低いため、残留している水素ガスと空気中の酸素ガスとが反応して、それだけ多くの窒素ガスが水素ガス循環流路13内に残留しているので、パージ弁15を開弁時間を長く設定する必要があるのである。
ステップS05では水素センサ25により検出された水素ガス濃度が所定値を超えているか否かを判定する。判定結果が「YES」で、所定値を超えている場合はステップS08に進み、判定結果が「NO」で、所定値を超えていない場合はステップS06に進んでパージ弁15を開いた状態を維持する。水素ガス濃度が所定値を超えていたら、十分に窒素ガスが水素ガスに置換されたと考えらえるからである。
そして、セル電圧が発電許可判定電圧閾値Xとなると、燃料電池1がモータ18等の負荷に接続されて発電が開始される。これにより発電電流が生じセル電圧(総電圧)はやや低下する。そして、イグニッションスイッチOFF(IGSWOFF)で発電が停止される。
ここで、この実施形態における燃料電池1の停止時間とは、図5におけるイグニッションスイッチOFF(IGSWOFF)からイグニッションスイッチON(IGSWON)までの時間、及び図示しない最後のイグニッションスイッチOFF(IGSWOFF)から図5の最初のイグニッションスイッチON(IGSWON)までの時間を意味している。
この実施形態では、パージ弁15の開弁時間を、水素ガスを供給する前の燃料電池のセル電圧(総電圧でも可)に基づいて定めたものである。
ステップS10において、遮断弁17が開か否かを判定する。判定結果が「YES」(開)である場合はステップS17に進み、判定結果が「NO」(閉)である場合はステップS11に進む。
燃料電池1の電圧が低ければ低いほど、燃料電池1の停止時間が長いことになるので、残留している水素ガスと空気中の酸素ガスとが反応して多くの窒素ガスが残留していることになり、パージ弁15を開弁時間を長く設定する必要があるからである。
ステップS14ではパージ弁15の開弁処理タイマをセットし、次のステップS15で水素供給開始を決定し、更に、ステップS16で遮断弁17を開いて処理を終了する。ステップS13においては、開弁時間を算出中なので遮断弁17は閉じたままの状態で処理を終了する。
次に、遮断弁17が開き水素ガスの供給が開始されて無負荷運転がなされ、水素供給後の無負荷電圧チェックがなされる(eの区間)。この無負荷電圧チェックは前記実施形態と同様の内容であるので説明は省略する。
そして、セル電圧が発電許可判定電圧閾値Xとなると、燃料電池1がモータ18等の負荷に接続されて発電が開始される。これにより発電電流が生じセル電圧(総電圧)はやや低下する。
そして、前記燃料電池1の停止時間は、前記燃料電池1の温度又は前記燃料電池1のセル電圧や総電圧に基づいて推定されるので、燃料電池1の停止時間が長ければ長いほど燃料電池1の温度は低くなり、又は発電電圧は低くなることに着目して、水素ガスに置換すべき窒素ガスの量を決定する前記燃料電池1の停止時間を正確に推定できる。
又、前記パージ弁15を閉作動させる時期を、前記水素ガス循環流路13からの排出ガスに含まれる水素ガス濃度によっても決定しているため、排出される水素ガス濃度を直接的に用いることで、無駄な水素ガスの使用を最小限に抑え、水素ガス循環流路13に残留した窒素ガスが障害となって発電開始までの時間が長くなるのを防止し、燃料電池車両の始動性を高めることができる。
この実施形態では、パージ弁15の開弁時間を、燃料電池のスタック電圧(総電圧。セル電圧でも可)とアノード圧力とに基づいて定めたものである。
ステップS20において、電圧センサ24で検出されたスタック電圧が閾値V0(図9参照)以下か否かを判定する。判定結果が「YES」(閾値V0以下)である場合はステップS22に進み、判定結果が「NO」(閾値V0より上)である場合はステップS21に進む。
又、パージ弁15の閉弁時期を決定するために、燃料電池1の停止時間を直接的に測定して用いることもできる。この場合は燃料電池1の停止時間が短ければ短いほどパージ弁15を閉じる時期を早めに設定することで対処できる。
更に、燃料電池1の温度、セル電圧(総電圧)、あるいは前記水素ガス循環流路13からの排出ガスに含まれる燃料ガス濃度の何れか1つを単独であるいは任意に組み合わせて用いてパージ弁15を閉作動させる時期を決定することができる。
12 水素ガス供給流路(燃料ガス供給流路)
13 水素ガス循環流路(燃料ガス循環流路)
15 パージ弁
16 水素ガス排出流路(燃料ガス排出流路)
Claims (9)
- 燃料ガスと空気中の酸素ガスとの電気化学反応により発電を行う燃料電池と、前記燃料電池と接続された燃料ガス排出流路を燃料ガス供給流路に合流させる燃料ガス循環流路を備え、燃料ガス循環流路から循環燃料ガスを排出するパージ弁を備えた燃料電池システムの起動方法であって、前記燃料電池に燃料ガスを供給すると共に前記パージ弁を開作動させ、前記燃料ガス循環流路の窒素ガスが燃料ガスで置換された後に、前記パージ弁を閉作動させることを特徴とする燃料電池システムの起動方法。
- 前記パージ弁を閉作動させる時期は、前記燃料電池の停止時間に応じて決定されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムの起動方法。
- 前記燃料電池の停止時間は、前記燃料電池の温度又は前記燃料電池の電圧に基づいて推定されることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システムの起動方法。
- 前記パージ弁を閉作動させる時期は、前記燃料ガス循環流路からの排出ガスに含まれる燃料ガス濃度に応じて決定されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムの起動方法。
- 燃料ガスと空気中の酸素ガスとの電気化学反応により発電を行う燃料電池と、前記燃料電池と接続された燃料ガス排出流路を燃料ガス供給流路に合流させる燃料ガス循環流路を備え、燃料ガス循環流路から循環燃料ガスを排出するパージ弁を備えた燃料電池システムの起動方法であって、前記燃料電池に燃料ガスを供給し、その後前記パージ弁を開作動させ、前記燃料電池の推定停止時間に応じて決定される前記パージ弁を開作動させる時間の経過後、前記パージ弁を閉作動させることを特徴とする燃料電池システムの起動方法。
- 前記燃料電池の推定停止時間は、前記燃料電池の温度又は前記燃料電池の電圧に基づいて推定されることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システムの起動方法。
- 燃料ガスと空気中の酸素ガスとの電気化学反応により発電を行う燃料電池と、前記燃料電池と接続された燃料ガス排出流路を燃料ガス供給流路に合流させる燃料ガス循環流路を備え、燃料ガス循環流路から循環燃料ガスを排出するパージ弁を備えた燃料電池システムの起動方法であって、前記燃料電池に燃料ガスを供給し、その後前記パージ弁を開作動させ、前記燃料ガス循環流路からの排出ガスに含まれる燃料ガス濃度に応じて前記パージ弁を閉作動させることを特徴とする燃料電池システムの起動方法。
- 前記パージ弁の閉作動後、前記燃料電池の発電を開始することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の燃料電池システムの起動方法。
- 前記パージ弁を閉作動させる時期は、前記燃料ガス循環流路の圧力および前記燃料電池の電圧に応じて決定されることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれかに記載の燃料電池システムの起動方法。
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