JP2004191838A - 電気化学表示装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】応答性に優れるとともに、紙への印刷物と同等又はそれ以上の高いコントラストを実現する。
【解決手段】金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置であって、対向面に電極2,3が形成された一対の基板1,4と、上記一対の基板1,4により狭持され、電解液が含浸された不織布5とを備える。また、上記電解液には1種類以上の粉末材料が分散され、粉末材料の少なくとも1種類は、上記電解液と異なる屈折率を有すること、又は顔料であることが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置であって、対向面に電極2,3が形成された一対の基板1,4と、上記一対の基板1,4により狭持され、電解液が含浸された不織布5とを備える。また、上記電解液には1種類以上の粉末材料が分散され、粉末材料の少なくとも1種類は、上記電解液と異なる屈折率を有すること、又は顔料であることが好ましい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光反射型ディスプレイのコントラストを向上させる手段は、表示方式に応じて様々な方法が提案されている。高分子分散型の液晶ディスプレイでは、電圧を印加した状態で透明化するように液晶を選択したとき(暗状態)、電圧を印加しない状態で液晶とこれを含浸する高分子との間で、大きな屈折率差が得られるように設定して光を散乱させ(明状態)、コントラストを得ている。
【0003】
温度による色素の化学変化を使って可逆的に表示を行う方法も提案されている。例えば、色素、色度調整剤、表示温度域調整剤を混合して可逆性感熱記録材料を調製し、温度制御による色変化を利用した記録を行う方法(例えば、特許文献1参照。)、温度変化によって生じるロイコ染料と顕減色剤の電子授受の際、ロイコ染料のラクトン環が開閉して発消色することを利用し、表示を行う方法(例えば、特許文献2参照。)等がある。
【0004】
エレクトロクロミック方式は、発色剤に電圧印加して電気的な酸化還元反応による吸収波長変化を起こさせるものである。発色剤は無機化合物、有機化合物とも知られており、例えば陰イオンをドーピングした導電性高分子からなる有機系の酸化発色層と、酸化タングステンからなる無機系の還元発色層とを組み合わせて、表示特性を向上する方法(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。また、部分的な情報の書き込み、消去を行う方法として、イオン伝導性が低い固体電解質を使い、情報を書き込む部分の電解質を加熱して流動性を持たせ、この状態で電圧印加して発色起こさせた後、冷却・固化してイオン伝導を止める方法(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。また、熱で電気伝導性が変化するマイクロカプセルに発色剤を封入し、マイクロカプセルの種類と温度と印加電圧の組み合わせでカラー表示をする方法(例えば、特許文献5参照。)が開示されている。また、電解液を含浸した不織布を電極板間に挟持して、電解質保持材・セパレータ・スペーサを兼ねさせる方式(例えば、特許文献6参照。)が開示されている。この方式は電解液と不織布の屈折率とを調整し、光透過率を80%以上に調整して使用するものである。
【0005】
また、帯電した着色トナーと白色粒子を対向する電極板間に封入し、電場応答させる方法(例えば、非特許文献1参照。)が示されている。また、白色粒子と黒色粒子を互いに相反する電荷に帯電させ、電場によって白黒表示を行う方式(例えば、特許文献7参照。)が示されている。さらに、白色粒子と黒色粒子とを互いに相反する電荷に帯電させ、さらに磁性を付与したものをセル内に入れ、外部磁場による表示の初期化等を行う性質を付与している(例えば、特許文献8参照。)。
【0006】
荷電粒子の電気泳動による表示方式は、ペーパーライク・ディスプレイの開発初期の段階から知られており、絶縁性液体中に帯電した着色粒子を分散し、これを電場応答させるもので、着色した絶縁性液体と着色粒子の色差、あるいは光反射型の電極と着色粒子の光反射率の差などを利用してコントラストをつける方式(例えば、特許文献9参照。)などがある。また、表示性能を向上させるため、着色粒子の分散液を微小なマイクロカプセルに封入し、基板上に敷き詰めるなどの方法も提案されている(例えば、特許文献10参照。)。
【0007】
また、絶縁性液体を充填したカプセル内に、互いに帯電極性が異なり、かつ白・黒半分ずつに着色された球体を入れ、電場で回転させる方式(ツイストボール方式)(例えば、特許文献11〜特許文献15参照。)が提案されている。
【0008】
また、互いに帯電極性が異なる白色球と黒色微粒子をシリコンオイルで満たした絶縁性フィルムの空孔内に保持し、電場によって表示を行う方式(例えば、特許文献16参照。)が開示されている。
【0009】
また、液体が毛細管現象などで固体に浸潤する性質を、各種の操作で制御して表示を行う方法も知られている。例えば、多孔質体フィルムにインクを含浸させ、表面部分のインク含浸率を電圧制御することで外光を散乱させ、光反射率や光透過率を制御して表示を行う方法(例えば、特許文献17参照。)が開示されている。また、インクの流動性を電界、磁界、超音波振動、熱などで制御することにより、インクが多孔質フィルム内に浸潤するレベルを調整し、書き込み・消去を行う方式(例えば、特許文献18及び特許文献19参照。)が開示されている。
【0010】
また、上述したエレクトロクロミック方式を改良した光学素子であって、金属の電気化学的な溶解・析出を利用した、いわゆるエレクトロデポジション型の画像表示デバイスも提案されている(例えば、特許文献20参照。)。
【0011】
【特許文献1】
特開昭60−264285号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平2−188293号公報
【0013】
【特許文献3】
特開昭63−144391報
【0014】
【特許文献4】
特開2000−19567号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2000−292817号公報
【0016】
【特許文献6】
特開平6−202167号公報
【0017】
【特許文献7】
特開2001−312225号公報
【0018】
【特許文献8】
特開2001−350164号公報
【0019】
【特許文献9】
特開昭48−71990号公報
【0020】
【特許文献10】
特許第2551783号公報
【0021】
【特許文献11】
特開2001−202037号公報
【0022】
【特許文献12】
米国特許第4,126,854号明細書
【0023】
【特許文献13】
米国特許第4,143,103号明細書
【0024】
【特許文献14】
米国特許第5,389,945号明細書
【0025】
【特許文献15】
特開昭64−42683号公報
【0026】
【特許文献16】
特開平11−352526号公報
【0027】
【特許文献17】
特公昭63−36512号公報
【0028】
【特許文献18】
特開平10−35095号公報
【0029】
【特許文献19】
特開平10−44592号公報
【0030】
【特許文献20】
特開平11−142895号公報
【0031】
【非特許文献1】
Japan Hardcopy'99予稿集 p10−13
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
これらの反射型表示装置のうち、高分子分散型の液晶ディスプレイは表示面の白色度が低く、充分なコントラストを得るのが難しい。ツイストボール方式は全ての球を白色に揃えた場合でも、球と球の間に入射した光は反射されないため、全体として灰色がかって見える傾向がある。さらに、ボールを2色に着色して各色に異なる帯電状態を付与するなど、装置の製造に多くの精密な工程が必要でありコストアップに繋がる。
【0033】
温度による色素の化学変化を利用する方式は、色素の選び方によっては高いコントラストを得ることができる。しかし、色素構造の平衡状態を制御することで表示を行うために書き換え速度が遅いうえ、表示状態を保つためには温度を一定範囲内に保つ必要がある。また、色素の反応劣化等による濃度変化や消え残りなどの問題を起こしやすい。
【0034】
エレクトロクロミック方式は、発色剤が酸化状態と還元状態の間に移行するときに明確な閾値を持たないため、クロストークを起こして表示品位を落とす問題があり、これを解決するためには電圧と温度という2つのパラメータを微妙に制御する必要がある。また、黒色に関してはイエロー、シアン、マゼンダの混色で表示するため、白黒コントラストの高いものが得られにくい。
【0035】
トナーを用いる方法は帯電量の経時変化やトナーの凝集によって、コントラストの低下を招く。また、白黒2色のトナーを使う場合、黒色粒子の隙間に白色粒子が入り込んで混色することがあり、これもコントラストを低下させる原因となっている。
【0036】
電気泳動方式は絶縁性液体とその中に浮遊する帯電粒子の色の違いで表示を行うため、純粋な帯電粒子の色は観察されずコントラストを低いものにしている。また、高コントラスト化実現のため特定の色に着色した絶縁性液体を利用する場合も混色の問題は避けられないうえ、色素が荷電粒子の電荷の安定性に影響を与えるなどの問題も生じる。電荷極性と色が異なる2種類の着色粒子を使い、電極間で互いに逆方向に泳動させる方法は、反対電荷を有する着色粒子が徐々に凝集して混色を起こし、コントラストを低下させる。
【0037】
着色した液体の、多孔質体への毛細管現象を制御して表示に利用する方法は、高いコントラストを得ることはできるものの、ペーパーライク・ディスプレイとして実用化するためには駆動方法において解決されるべき問題が多い。
【0038】
また、上述したエレクトロデポジション型の画像表示デバイスは、応答性に優れているものの、十分なコントラストが得られておらず、紙への印刷物と同等又はそれ以上の表示品質を与えるには至っていない。
【0039】
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、応答性に優れるとともに高いコントラストを得ることが可能な電気化学表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0040】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る電気化学表示装置は、金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置であって、対向面に電極が形成された一対の基板と、上記一対の基板により狭持され、電解液が含浸された不織布とを備えることを特徴とする。
【0041】
以上のような構成の電気化学表示装置においては、不織布が基板間のスペーサとしての役割を果たしており、電解質層には固体電解質を用いず電解液を用いることができる。イオンの伝導を考えると、固体電解質よりも電解液の方が有利であり、高品位かつ高速の表示が実現される。不織布は事実上、大きさに制限無く製造できるため、基板サイズに合わせてどのような大きさ・形状でも製造することができる。しかも表示装置の製造方法が簡単なため、量産工程の自動化が容易である。本発明で用いられる不織布は、光反射性及び遮光性が高くなるほど良好な表示品質が得られるものであり、液晶表示装置や上述した不織布に光透過性が要求されるエレクトロクロミック表示素子で提案されたものとは異なる考え方に基づくものである。
【0042】
また、上記不織布の屈折率と、上記電解液の屈折率とは互いに異なることが好ましい。電解液の屈折率と異なる屈折率の不織布を選択することで、不織布の光反射性及び遮光性を向上させ、さらなる高コントラスト化を図ることができる。
【0043】
また、上記電解液には1種類以上の粉末材料が分散されていることが好ましい。
【0044】
電解液に分散された粉末材料が不織布の凹凸を平坦化することで、不織布と電極との接触性を向上させることができる。
【0045】
また、上記粉末材料の少なくとも1種類は、上記電解液と異なる屈折率を有すること、又は顔料であることが好ましい。
【0046】
粉末材料として電解液とは異なる屈折率を有するものや、顔料などの着色材料を用いることにより、光反射性及び遮光性を向上させたり、不織布全体としての色度を調整することができる。
【0047】
また、本発明にかかる電気化学表示装置の製造方法は、金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置の製造方法であって、少なくとも一方の面上に電極が形成された一対の基板で当該電極が対向するように、不織布を狭持する狭持工程と、上記不織布に電解液を含浸させる含浸工程とを含むことを特徴とする。
【0048】
不織布に予め電解液を含浸させておき、次に基板とともに組み立てる方法は、基板サイズが大きい場合や、電解液中に顔料等の粉末材料を分散させたい場合等に特に有効である。
【0049】
また、本発明にかかる電気化学表示装置の製造方法は、金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置の製造方法であって、少なくとも一方の面上に電極が形成された一対の基板で当該電極が対向するように、不織布を狭持する工程と、上記不織布に電解液を含浸させる工程とを含むことを特徴とする。
【0050】
予め不織布と基板とを組み立てておき、その後不織布に電解液を含浸させる方法は、例えば不織布の繊維が硬い場合や不織布表面の凹凸が大きい場合に特に有効である。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電気化学表示装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0052】
本発明にかかる電気化学表示装置は、いわゆるエレクトロデポジション型と呼ばれるものであり、例えば単純マトリクス駆動方式により駆動される。その電極構造としては、図1に示すように、第1の電極群X1,X2・・・と第2の電極群Y1,Y2・・・とが互いに直交して配列されたものが挙げられる。
【0053】
図2は、電気化学表示装置の具体的構造を示すものであり、透明基板1上に第1の電極群に相当するストライプ状の透明電極2が形成されている。また、これと対向して第2の電極群に相当するストライプ状の対極3が形成された支持基板4が配され、これらが電解液を含浸した不織布5を介して重ね合わされている。上記透明電極2や対極3は、画素数に応じて所定の本数形成されており、これらの交点が画素となる。勿論、本発明の電気化学表示装置としてはこれに限らず、アクティブマトリクス駆動方式を採用することも可能であり、この場合には、支持基板4上に、各画素に対応して駆動用の薄膜トランジスタが形成される。また、透明基板1と支持基板4とは、封止部材6によって接合されるとともにセル内の気密性を保持されている。
【0054】
本発明の電気化学表示装置においては、不織布5がスペーサとしての役割を果たしており、電極基板の間隔を全面にわたって均一に保つことができる。このため、電解質層に固体電解質ではなく電解液を用いることができる。イオン伝導を考えると、固体電解質よりも電解液の方が有利であり、高品位かつ高速応答の表示を実現できる。
【0055】
不織布5は、文字や画像を表示させる背景として用いられるため、高い光反射性と遮光性とが求められる。また、不織布5に電解液を含浸する際、不織布5と電解液の屈折率差が小さいと不織布5が透明化することがある。これを避ける方法としては、不織布5そのものを不透明化させる方法と、不織布5と一緒に挟持する粉末材料を不透明化させる方法とがあり、これらを併用することもできる。そこで最初に、不織布5を不透明化させる方法について説明し、次に粉末材料を不透明化させる方法について説明する。
【0056】
不織布5は、文字や画像を表示させる背景として用いるため、表示色とは異なる色に着色することで、コントラストや視覚的な質感を自在に調整することができる。不織布5に電解液を含浸する際、不織布5と電解液との屈折率差が小さいと透明化することがある。これを避けるためには、単独の樹脂からなる不織布5を利用する場合は、電解液と不織布5との間に屈折率差を設ける必要がある。屈折率差を大きくとるほど遮光性が高くなるため、不織布5の膜厚を薄く抑えることができる。
【0057】
一般的に不織布5は、液状の樹脂材料をノズルから射出して繊維化したものを、繊維同士の絡み合いや熱融着、あるいは接着剤を用いて布状に加工することで製造される。この際、ノズルの形状を工夫することにより、ある樹脂からなる1本又は複数本の繊維の回りを、これと屈折率の異なる樹脂で被覆し、繊維内部に屈折率差を設ける方法が知られている。この方法によれば、不織布5の繊維内部に常に一定の屈折率差を確保することができる。このように1本の繊維の中に性質の異なる複数の樹脂を使う方法は、既に数多く提案・実用化されており、電解液を含浸させた際に透明化しない繊維を適宜、選択して用いることができる。不織布5には電解液を含浸するため、不織布5の樹脂材料は、少なくとも電解液と接する部分については耐溶剤性のものを用いることが望ましい。
【0058】
不織布5を構成する樹脂としては、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロースなど、不織布5の製造で一般的に用いられているものの中から、適宜、選択して用いることができるが、特にポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタンが耐溶剤性に優れているため、好適に用いることができる。不織布5の製造に用いられる主な樹脂の屈折率を表1に示す。
【0059】
【表1】
本発明で用いた電解液において、含まれる樹脂の配合比を変えた溶液の屈折率を表2に示す。
【0060】
【表2】
電解液の屈折率と不織布5に使われる樹脂の屈折率が比較的近いため、屈折率が異なる樹脂の組み合わせによって得られる不織布5を利用した場合、本発明による表示装置に供することができるような充分な遮光性を得るためには、多くの場合、膜厚を厚くする必要がある。不織布5の膜厚が厚くなると、駆動による消費電力が増大するほか、単純マトリクス方式で駆動する場合にはクロストークの原因となる。このため、不織布5は膜厚の薄いものであることが望ましく、具体的には100μm以下であることが好ましい。
【0061】
薄い膜厚で遮光性を向上させるためには、不織布5を顔料又は染料で着色する方法が有効になる。一般的には化学的な安定性が高く、長期間にわたって変色を起こしにくい顔料が好適に利用できるが、もちろん染料を使っても本発明における表示装置を製造することができる。以下は顔料を使った場合を例にとって説明する。
【0062】
顔料による着色方法は、繊維の樹脂の中に顔料を混合する方法、繊維の外側に接着剤などで顔料を固定する方法などが知られている。液状の樹脂中に顔料を分散しノズルから射出して作った不織布5は、繊維の樹脂と顔料の間に一定の屈折率差を保つことができるため、得られた不織布5に電解液を含浸しても透明化しにくい。一方、繊維原料のみをノズルから射出したのち、接着剤を用いて繊維の回りに顔料を付着させる方法は、顔料と顔料を固定する接着剤が電解液と接する。このため、電解液とは異なる屈折率を有する顔料を選択し、接着剤で不織布5表面に固定化することで目的を達成することができる。接着剤の中に顔料を分散した液を不織布5表面に付着させる方法では、接着剤と顔料とで屈折率差を大きくとることで、目的を達成することができる。これらの樹脂、顔料、接着剤等は、少なくとも電解液と接する部分については耐溶剤性のものを用いることが望ましい。
【0063】
着色する色については、例えば表示のコントラストを向上させる場合、不織布5の白色度を向上させることによって実現することができる。不織布5を白色化する手段としては白色顔料を繊維樹脂の中に混ぜたり、繊維の外側に接着剤で固定したりする方法が知られており、既に数多くの製品が市販されている。用いられる白色顔料の例としては、酸化チタン、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化亜鉛、鉛白、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリンクレー、マイカ、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、硫酸カルシウム、無水ケイ酸、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、含水ケイ酸カルシウム、石英ガラス、ケイソウ土、ホワイトカーボンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの白色顔料は単独、または複数の種類を混合して用いることができる。これらの白色顔料の中でも、屈折率が大きいルチル型の酸化チタンが特に好適に用いられる。主な白色顔料の屈折率を表3に示す。
【0064】
【表3】
また、不織布5には、白色顔料の他に蛍光剤や蓄光剤を配合して顔料が持つ色彩を強調したり、夜光性などの機能性を持たせたりすることができる。また、有機・無機の着色顔料を配合して表示を妨げない範囲で色をつけ、色度を調整することもできる。白色以外の着色顔料の例としては、有機顔料ではアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料など、無機顔料ではチタン、アンチモン、クロム、ニッケル、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、ケイ素、銅、マンガン、リチウム、リン、カルシウム、スズなどからなる複合酸化物が挙げられ、既に数多くが製造・市販されている。
【0065】
これらの顔料は単独、又は複数の種類を混合して用いることが出来、必要に応じて界面活性剤やシランカップリング剤等で表面処理を加えることができる。顔料または染料の配含量は特に制限されない。また、着色顔料を不織布5上に固定化するパターンについても、不織布5の一部または全面に均一に固定化するのはもちろん、文字や模様などの形状で固定化してもよい。
【0066】
本発明の電気化学表示装置の表示は、金属の電気化学反応による析出、溶解を利用して行われることから、不織布5には繰り返し表示に必要なイオン導通性が要求される。このため繊維の間に、イオンを導通させるための空隙が確保されていなければならない。特に不織布5の外側に、接着剤を使って顔料を固定する方法や、繊維同士を接着剤で接合する方法では、使用した接着剤によって繊維間の空隙を完全には塞がないように注意する必要がある。また、不織布5や接着剤として用いられる樹脂についても、電解液に浸したとき溶解または膨潤によって、空隙を塞がないような材質を使用する必要がある。このため、ポリプロピレンのような耐溶剤性の樹脂を、接着剤を用いないメルトブロー方式で不織布化したものが、特に好適に用いることができる。
【0067】
他方、不織布5の形状について、不織布5の目が粗くなり過ぎると、遮光性が低下する原因となるうえ、不織布5と透明電極基板との接触が不均一になって、銀の析出量が不均一化することがある。このため不織布5は、電解液に含まれるイオンの伝導性が確保できる範囲内で、緻密であることが望ましい。
【0068】
つぎに、不織布5に含浸される電解液中に粉末材料を分散させることにより、不織布5全体を不透明化する方法について説明する。
【0069】
この方式で用いられる粉末材料としては、上述したような顔料をいずれも使用可能である。この場合、先に述べた不織布5そのものを不透明化する方法とは異なり、顔料は、不織布5に固定化又は不溶出化されず、不織布5の空隙に充填された電解液に分散された状態とされている。これにより、不織布5全体の光反射性及び遮光性を増強することができる。さらに、不織布5とは異なる色の顔料や蛍光材、蓄光材などを粉末材料として利用することにより、表示背景の色度を変え、視覚的な質感を調整することができる。
【0070】
不織布5と一緒に電極基板間に挟持させる粉末材料は、不織布5表面の凹凸を平坦化して挟持物と電極板の密着性を向上させる効果もある。この目的で粉末材料を利用する場合には、粉末材料の色彩や屈折率は、どのようなものでも用いることができる。挟持物と電極板が均一かつ隙間なく接触すると、電圧を印加して析出する金属の量も均一化し、表示ムラが小さくなるうえ、逆電圧を印加して消去することも容易になる。
【0071】
また、図1及び図2に示す電気化学表示装置の、不織布5以外の構成について説明する。
【0072】
透明基板1には、石英ガラス板、白板ガラス板等の透明ガラス基板を用いることが可能であるが、これに限定されず、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素ポリマー、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミド等のポリイミドも例として挙げることができる。これら合成樹脂を支持体として用いる場合には、容易に曲がらないような剛性基板とすることも可能であるが、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
【0073】
透明電極2には、例えばIn2O3とSnO2の混合物、いわゆるITO膜や、SnO2又はIn2O3をコーティングした膜を用いることが好ましい。これらITO膜やSnO2又はIn2O3をコーティングした膜にSnやSbをドーピングしたものでも良く、MgOやZnO等を用いることも可能である。
【0074】
背面側に設けられる支持基板4は、必ずしも透明である必要はなく、対極4を確実に保持できる基板やフィルム等を用いることができる。例示すると、石英ガラス板、白板ガラス板等のガラス基板、セラミック基板、紙基板、木材基板を用いることが可能である。勿論、これに限定されず、合成樹脂基板等も使用可能である。合成樹脂基板としては、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素ポリマー、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミド等のポリイミドを例として挙げることができる。これら合成樹脂を支持基板4として用いる場合には、容易に曲がらないような剛性基板とすることも可能であるが、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
【0075】
対極3には、導電材料、例えば金属材料を使用することができる。ただし、この対極3を構成する金属と透明電極2上に析出する金属の電位差が大きいと、着色状態において電荷が電極上に蓄積され、電荷の移動が起こって意図しない画素が着色されてしまうおそれがある。特に、金属が析出する際の析出過電圧(単純マトリクス駆動の閾値)を電位差が越えると、前記着色が起こる可能性が生ずる。そこで、対極3には、発色材料として析出する金属との電位差が析出過電圧(閾値)未満となるような金属を選択することが望ましい。理想的には、対極3の金属材料として、発色材料に用いた金属イオンのイオン化前の状態(金属状態)のものを用いる。すなわち、例えば、銀の析出・溶解を利用する場合には対極3に銀を用いるというように、対極3には析出・溶解する金属と同一の金属を用いる。これによって、透明電極2上に金属が析出した状態で上記電位差が生ずることがなくなる。
【0076】
不織布5は、スペーサとしての機能を有し、イオン伝導は不織布5の空孔内に充填された電解液を介して行われる。電解液は、溶媒に電解質が溶解されてなるものである。ここで、溶媒は電解質を溶解するものであれば、どのようなものを用いることもできるが、例えば水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン及びこれらの混合物等を用いることができる。
【0077】
電解質としては、表示のための発色材料として機能する金属塩の他、必要に応じて四級アンモニウムハライド(F,Cl,Br,I)やアルカリ金属ハライド(LiCl,LiBr,LiI,NaCl,NaBr,NaI等)、シアン化アルカリ金属塩、チオシアン化アルカリ金属塩等から選ばれた少なくとも1種類の支持電解質を含有したものを電解質として溶解せしめる。ここで、表示のための発色材料として機能する金属塩を構成する金属イオンとしては、ビスマス、銅、銀、リチウム、鉄、クロム、ニッケル、カドミウム等を挙げることができ、これらを単独、若しくは組み合わせて用いる。金属塩としては、これら金属の任意の塩を用いればよく、銀塩を例にすれば、硝酸銀、ホウフッ化銀、ハロゲン化銀、過塩素酸銀、シアン化銀、チオシアン化銀等を挙げることができる。
【0078】
また、電解液には、金属の析出を均一とするため、酸素、硫黄、窒素などを含む化合物、具体的にはクマリン、ニコチン酸、けい皮酸、エチレンジアミン四酢酸、ポリビニルピロリジオン、ベンザルアセトン等が含まれていても良い。また、電解液には、目的に応じて各種の添加剤を含有させてもかまわない。また、電解液には、各種の樹脂を添加することによって粘度を調整したり、反応性の官能基を有する樹脂を添加することによって、デバイス製造プロセスにおいて電解液をゲル化又は高粘度化することも出来る。反応性の官能基を有する樹脂に重合反応を起こさせる方法としては、紫外線などの活性エネルギー線を照射する方法、オーブンやホットプレートで加熱する方法などが挙げられる。これらの目的においてはポリエーテル系やポリアクリロニトリル系の樹脂の原料となるモノマ又はオリゴマの末端に、アクリル基を導入したものなどが好適に用いられる。重合反応を効果的に起こさせるため樹脂原料とともに適量の重合開始剤を混合して利用することも出来る。重合開始剤としては、光重合反応では2−エトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2-メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパンなど、熱重合反応ではイソブチリルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカルボネート、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド、スクシニックパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどの有機化酸化物のほか、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオナミド)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオナミド]、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオナミド)などのアゾ系重合開始剤なども利用できる。
【0079】
次に、上述したような構造の電気化学表示装置の製造方法について説明する。
【0080】
不織布5に電解液を含浸させる方法としては、例えば対向面に電極が形成された一対の基板の一方に不織布5を貼付し、そこに電解液を含浸させ、対極基板を乗せる方法、不織布5にあらかじめ電解液を含浸させたものをラミネートなどの方法で基板上に貼付し、対極基板を乗せる方法など、不織布5を基板に貼り付ける工程を含む方法のほか、対向面に電極が形成された一対の基板間に不織布5を挟持したデバイスを先に作っておき、後から電解液を真空注入等で充填する方法などを用いることもできる。
【0081】
特に、粉末材料が分散した電解液が充填された不織布5を備える電気化学表示装置を製造する場合には、まず、微細に粉砕した粉末材料を電解液中に分散する。この際、適宜、分散剤を用いることで分散を安定化させることができる。次に、この分散液を不織布5に含浸させて、対向面に電極が形成された一対の基板の一方に不織布5を貼付し、対極基板を乗せる方法や、分散液を含浸した不織布5をフィルムなどの支持体を介して基板上にラミネートし、対極基板を乗せる方法などがある。
【0082】
不織布5にあらかじめ電解液を含浸させる方法は、基板サイズが大きい場合、特に有効な製造方法となる。直接添付する以外に、フィルムなどの支持体を介して基板上にラミネートすることもできる。この方法は量産工程においては、例えば次のような方法を取ることもできる。支持フィルム上に電解液を含浸させた不織布5を重ね、ディスプレイ表示部の型に合わせて打ち抜く。この際、支持フィルムは打ち抜かずに残す。不織布5の不要部分を剥離して巻き取り、ディスプレイ部分はラミネータで支持フィルム上から加圧して基板上に貼付する。支持フィルムを剥離して巻き取る。対極基板を加圧又は減圧による脱法操作を行いながら圧着し、封止剤を使って封止する。
【0083】
電解液を含まないデバイスを先に作っておき、後から電解液を注入する方法は、不織布5の繊維が硬い場合や不織布5表面の凹凸が大きい場合など、電解液を含浸した不織布5上を電極基板に挟む方法では製造工程で気泡が残り易くなるような場合などに利用できる。真空注入法ならば、例えば以下のようにして電解液を注入することができる。電解液を注入するための開口部を有するデバイスと、電解液の入った槽を減圧装置に入れて減圧する。充分、減圧度が上がったら、デバイスの開口部を電解液中につける。この状態で解圧すると、電解液がデバイス内に注入される。また、開口部を2箇所設け、1箇所から電解液を注入し、他の1箇所から脱気を行えば、デバイスを減圧装置に入れなくても電解液を注入することができる。このほか、以下のようにしても電解液を注入することができる。デバイスを構成する2枚の電極基板間に、これらを貼り合せる封止部を貫いて2本のノズルを通す。一方のノズルから電解液を注入しながら、他方のノズルから脱気することによって、封止部を電解液で汚染することなく電解液を注入できる。
【0084】
不織布5に電解液を含浸させるとき、浸透力を高めたり、不織布5上での電解液のハジキを抑制したりする目的で、電解液中に界面活性剤等を配合することもできる。また、適宜、電解液の温度を調整したり、震盪や超音波などの外力を加えたりすることで、浸透を速めることもできる。電解液を加熱する方法は、不織布5への電解液の浸透促進と、繊維内の気泡の熱膨張による除去、さらに不織布5表面の基板への密着性向上を同時に実現できるため、有効な方法である。
【0085】
以上のような構成の電気化学表示装置においては、電解液中に含まれる金属を電気化学反応によって析出・溶解させることにより表示を行うため、表示は電極表面のみで行われ、金属イオンとの間で充分な電荷の授受が行われれば、可視光領域内にある光の最大光反射率が5%以下となる黒色の表示を実現できる。新聞のコントラストは1:5程度とされており、表示装置でこれ以上のコントラストを実現するためには、表示の背景に可視光領域内の光の最大光反射率を25%以上に設定する必要がある。さらに、不織布5の繊維形状や、不織布5を構成する繊維内外の染料・顔料を選択して表示背景を変えることにより、紙や布のような視覚的質感を備えた表示装置を得ることができる。
【0086】
なお、本発明は上述の記載に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0087】
【実施例】
次に、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
【0088】
<実験1>
実験1では、不織布そのものを不透明化させた電気化学表示装置を実際に作製し、表示特性を評価した。
【0089】
〔実施例1〕
下記の成分を各配合量でジメチルスルホキシドに溶解し、電解液を調製した。
よう化銀:500mmol/l
よう化ナトリウム:750mmol/l
トリエタノールアミン:67mmol/l
クマリン:5g/l
2−メルカプトベンズイミダゾール:5g/l
【0090】
これに当重量の樹脂液TA−140(第一工業製薬社製)を混合し、電解液を調製した。
【0091】
電解液を金属バットに取り、ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製)を浸した。超音波洗浄器の中で超音波を照射しながら適宜、金属バットを揺すり、繊維間の空気を排除した。電解液を含浸した不織布はローラで電解液を軽く搾ったのち、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交するように乗せてクリップでとめ、デシケータに入れて減圧した。不織布内部の気泡が除去されたところで解圧して取り出し、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0092】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.63
消色時(白表示):反射率(W)=37.45
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=14.24
【0093】
不織布の色度と光透過率は次の通りである。なお、図3に示すように、電解液を含浸させた不織布5を厚さ1mmのスライドガラス11に挟持したものを測定サンプルとし、可視光領域内(400〜700nm)にある光の最大光反射率が3%以下である黒色平面上12に置き、スライドガラスの上部垂直方向(0°)から45°の角度で入射した光を0°で受光して光反射率を測定した。光透過率は、分光光度計を使って同じサンプルの測定を行い、波長480nmにおける値を記載した。この際、スライドガラスによる光吸収はゼロに補正した。
【0094】
不織布の色度:(L*,a*,b*)=(66.60,−0.92,−1.81)
【0095】
光透過率:0.0215%
【0096】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図4に示す。
【0097】
〔実施例2〕
実施例1と同じ電解液を、ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製)を、ホットプレート上で100℃に保った電解液槽に浸した。不織布はローラで電解液を軽く搾りながら引き上げ、PETフィルム上に乗せた。次に、この不織布を銀電極からなる単純マトリクス基板上にラミネートした。この際、不織布内部に気泡が残らないよう、加圧しながら操作を行った。PETフィルムを剥離し、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに、少し傾けて乗せ、空気を押し出しながら重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流で駆動し、実施例1と同様の応答特性およびセル特性を得た。
【0098】
〔実施例3〕
顔料を含まないポリプロピレン繊維からなる不織布の表面に、繊維間を目詰まりさせずに接着剤で酸化チタンを固定した不織布(東燃タピルス社製)に、実施例1と同じ電解液を実施例1と同じ方法で含浸させ、単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極を有する透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交するように乗せてクリップでとめ、デシケータに入れて減圧した。不織布内部の気泡が除去されたところで解圧して取り出し、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0099】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.93
消色時(白表示):反射率(W)=43.58
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=14.87
【0100】
不織布の色度と光透過率は次の通りである。
不織布の色度:(L*,a*,b*)=(72.27,−0.47,−0.14)
光透過率:0.0217%
【0101】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図5に示す。
【0102】
〔実施例4〕
顔料を含まないポリプロピレン繊維からなる不織布の表面に、繊維間を目詰まりさせないように接着剤で酸化チタンを固定した不織布(東燃タピルス社製)を、ホットプレート上で100℃に保った電解液槽に浸した。不織布はローラで電解液を軽く搾りながら引き上げ、PETフィルム上に乗せた。次に、この不織布を銀電極からなる単純マトリクス基板上にラミネートした。この際、不織布内部に気泡が残らないよう、加圧しながら操作を行った。PETフィルムを剥離し、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに、少し傾けて乗せ、空気を押し出しながら重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流で駆動し、実施例3と同様の応答特性およびセル特性を得た。
【0103】
〔実施例5〕
実施例1と同じ電解液をビーカに取り、界面活性剤としてノニオンNS−202(信越化学工業社製)を0.6重量%添加した。ここに実施例1と同じ不織布(クラレ社製)を浸した。電解液が含浸したところで不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに、少し傾けて乗せ、空気を押し出しながら重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図6に示す。
【0104】
〔比較例1〕
実施例5と同じプロセスで、界面活性剤を添加しない電解液に、実施例5と同じ時間だけ不織布を浸したのち、表示デバイスを組み立てた。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させることができたが、析出色は実施例5よりも明らかに薄く、逆電圧を印加しても完全に消去することができなかった。サイクリック・ボルタングラムを図7に示す。
【0105】
〔実施例6〕
実施例1と同じ電解液をビーカに取り、100℃に加熱した。中心をポリプロピレン、周囲をポリエチレンとする複合樹脂繊維からなる不織布(金星製紙社製)を2枚浸した。5分後、不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に、繊維の形成方向が互いに直角になるように貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに、少し傾けて乗せ、空気を押し出しながら重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0106】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.80
消色時(白表示):反射率(W)=25.93%
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=9.26
【0107】
不織布の色度と光透過率は次の通りである。
不織布の色度:(L*,a*,b*)=(51.31,−1.37,−4.29)
光透過率:0.87271%
【0108】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図8に示す。
【0109】
<実験2>
実験2では、不織布に含浸される電解液中に粉末材料を分散させた電気化学表示装置を実際に作製し、表示特性を評価した。
【0110】
〔実施例7〕
下記の成分を各配合量でジメチルスルホキシドに溶解し、電解液を調製した。
よう化銀:500mmol/l
よう化ナトリウム:750mmol/l
トリエタノールアミン:67mmol/l
クマリン:5g/l
2−メルカプトベンズイミダゾール:5g/l
【0111】
これに当重量の樹脂液TA−140(第一工業製薬社製)を混合し、電解液を調製した。
【0112】
電解液10.0gと、乳鉢で微粉末化した酸化チタン(石原産業社製、TIPAQUE,CR−95)5.0gを混合し、容器を氷冷しながらホモジナイザで15分間、分散処理した。これを、100℃に加熱し、ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製)に含浸させた。15分後に不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイスの光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0113】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.55%
消色時(白表示):反射率(W)=28.83%
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=11.31
【0114】
挟持物の色度、光反射率、光透過率は次の通りである。
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(78.81,−0.29,1.26)
光反射率(480nm):50.66%
光透過率(480nm):0.017%
【0115】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図9に示す。
【0116】
〔比較例2〕
実施例7で使用した電解液を100℃に加熱し、ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製、平均膜厚211μm)を浸した。15分後に不織布を取り出し、スライドガラスに挟持して色度、光反射率、光透過率を測定した。
【0117】
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(66.60,−0.92,−1.81)
光反射率(480nm):37.45%
光透過率(480nm):0.021%
【0118】
〔実施例8〕
実施例7で使用した電解液10.0gと、乳鉢で微粉末化した酸化チタン(石原産業(社製、TIPAQUE,CR−95)1.0gを混合し、容器を氷冷しながらホモジナイザで15分間、分散処理した。
【0119】
ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製、平均膜厚211μm)を、ヒートプレス機を用いて130℃、35kg/cm2で圧縮し、平均膜厚60μmとした。
【0120】
電解液と酸化チタンの分散液を100℃に加熱し、圧縮処理した不織布を浸した。15分後に不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0121】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.44%
消色時(白表示):反射率(W)=25.77%
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=10.56
【0122】
挟持物の色度、光反射率、光透過率は次の通りである。
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(72.48,−0.45,−0.13)
光反射率(480nm):45.28%
光透過率(480nm):0.027%
【0123】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図10に示す。
【0124】
〔比較例3〕
ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製、平均膜厚211μm)を、ヒートプレス機を用いて130℃、35kg/cm2で圧縮し、平均膜厚60μmとした。
【0125】
実施例7で使用した電解液を100℃に加熱し、圧縮処理した不織布を浸した。15分後に不織布を取り出し、スライドガラスに挟持して色度、光反射率、光透過率を測定した。
【0126】
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(66.37,−1.06,−2.49)
光反射率(480nm):37.91%
光透過率(480nm):0.169%
【0127】
〔実施例9〕
実施例7で使用した電解液10.0gと、乳鉢で微粉末化した酸化チタン(石原産業社製、TIPAQUE,CR−95)5.0gを混合し、容器を氷冷しながらホモジナイザで15分間、分散処理した。この分散液を100℃に加熱し、中心をポリプロピレン、周囲をポリエチレンとする複合樹脂繊維からなる不織布(金星製紙社製)を浸した。15分後に不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0128】
着色時(黒表示):反射率(B)=3.10%
消色時(白表示):反射率(W)=28.48%
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=9.19
【0129】
挟持物の色度、光反射率、光透過率は次の通りである。
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(76.04,−0.47,0.73)
光反射率(480nm):50.05%
光透過率(480nm):0.444%
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図11に示す。
【0130】
〔比較例4〕
実施例7で使用した電解液10.0gと、乳鉢で微粉末化した酸化チタン(石原産業社製、TIPAQUE,CR−95)5.0gを混合し、容器を氷冷しながらホモジナイザで15分間、分散処理した。この分散液を100℃に加熱し、中心をポリプロピレン、周囲をポリエチレンとする複合樹脂繊維からなる不織布(金星製紙社製)を浸した。15分後に不織布を取り出し、スライドガラスに挟持して色度、光反射率、光透過率を測定した。
【0131】
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(52.75,−0.96,−2.81)
光反射率(480nm):21.98%
光透過率(480nm):5.076%
【0132】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、不織布を用いることにより、応答性に優れ、かつ良好なコントラストでの表示が可能な電気化学表示装置を実現できる。この電気化学表示装置は、ペーパーライク・ディスプレイのような薄膜化が可能で、大画面化も容易なうえ、量産化にも好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】単純マトリクス駆動方式により駆動される、本発明の電気化学表示装置を示す概略平面図である。
【図2】本発明の電気化学表示装置の概略断面図である。
【図3】電解液を含浸した不織布の光反射率測定方法を示す模式図である。
【図4】実施例1の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図5】実施例3の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図6】実施例5の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図7】比較例1の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図8】実施例6の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図9】実施例7の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図10】実施例8の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図11】実施例9の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【符号の説明】
1 透明基板、2 透明電極、3 対極、4 支持基板、5 不織布、6 封止部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光反射型ディスプレイのコントラストを向上させる手段は、表示方式に応じて様々な方法が提案されている。高分子分散型の液晶ディスプレイでは、電圧を印加した状態で透明化するように液晶を選択したとき(暗状態)、電圧を印加しない状態で液晶とこれを含浸する高分子との間で、大きな屈折率差が得られるように設定して光を散乱させ(明状態)、コントラストを得ている。
【0003】
温度による色素の化学変化を使って可逆的に表示を行う方法も提案されている。例えば、色素、色度調整剤、表示温度域調整剤を混合して可逆性感熱記録材料を調製し、温度制御による色変化を利用した記録を行う方法(例えば、特許文献1参照。)、温度変化によって生じるロイコ染料と顕減色剤の電子授受の際、ロイコ染料のラクトン環が開閉して発消色することを利用し、表示を行う方法(例えば、特許文献2参照。)等がある。
【0004】
エレクトロクロミック方式は、発色剤に電圧印加して電気的な酸化還元反応による吸収波長変化を起こさせるものである。発色剤は無機化合物、有機化合物とも知られており、例えば陰イオンをドーピングした導電性高分子からなる有機系の酸化発色層と、酸化タングステンからなる無機系の還元発色層とを組み合わせて、表示特性を向上する方法(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。また、部分的な情報の書き込み、消去を行う方法として、イオン伝導性が低い固体電解質を使い、情報を書き込む部分の電解質を加熱して流動性を持たせ、この状態で電圧印加して発色起こさせた後、冷却・固化してイオン伝導を止める方法(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。また、熱で電気伝導性が変化するマイクロカプセルに発色剤を封入し、マイクロカプセルの種類と温度と印加電圧の組み合わせでカラー表示をする方法(例えば、特許文献5参照。)が開示されている。また、電解液を含浸した不織布を電極板間に挟持して、電解質保持材・セパレータ・スペーサを兼ねさせる方式(例えば、特許文献6参照。)が開示されている。この方式は電解液と不織布の屈折率とを調整し、光透過率を80%以上に調整して使用するものである。
【0005】
また、帯電した着色トナーと白色粒子を対向する電極板間に封入し、電場応答させる方法(例えば、非特許文献1参照。)が示されている。また、白色粒子と黒色粒子を互いに相反する電荷に帯電させ、電場によって白黒表示を行う方式(例えば、特許文献7参照。)が示されている。さらに、白色粒子と黒色粒子とを互いに相反する電荷に帯電させ、さらに磁性を付与したものをセル内に入れ、外部磁場による表示の初期化等を行う性質を付与している(例えば、特許文献8参照。)。
【0006】
荷電粒子の電気泳動による表示方式は、ペーパーライク・ディスプレイの開発初期の段階から知られており、絶縁性液体中に帯電した着色粒子を分散し、これを電場応答させるもので、着色した絶縁性液体と着色粒子の色差、あるいは光反射型の電極と着色粒子の光反射率の差などを利用してコントラストをつける方式(例えば、特許文献9参照。)などがある。また、表示性能を向上させるため、着色粒子の分散液を微小なマイクロカプセルに封入し、基板上に敷き詰めるなどの方法も提案されている(例えば、特許文献10参照。)。
【0007】
また、絶縁性液体を充填したカプセル内に、互いに帯電極性が異なり、かつ白・黒半分ずつに着色された球体を入れ、電場で回転させる方式(ツイストボール方式)(例えば、特許文献11〜特許文献15参照。)が提案されている。
【0008】
また、互いに帯電極性が異なる白色球と黒色微粒子をシリコンオイルで満たした絶縁性フィルムの空孔内に保持し、電場によって表示を行う方式(例えば、特許文献16参照。)が開示されている。
【0009】
また、液体が毛細管現象などで固体に浸潤する性質を、各種の操作で制御して表示を行う方法も知られている。例えば、多孔質体フィルムにインクを含浸させ、表面部分のインク含浸率を電圧制御することで外光を散乱させ、光反射率や光透過率を制御して表示を行う方法(例えば、特許文献17参照。)が開示されている。また、インクの流動性を電界、磁界、超音波振動、熱などで制御することにより、インクが多孔質フィルム内に浸潤するレベルを調整し、書き込み・消去を行う方式(例えば、特許文献18及び特許文献19参照。)が開示されている。
【0010】
また、上述したエレクトロクロミック方式を改良した光学素子であって、金属の電気化学的な溶解・析出を利用した、いわゆるエレクトロデポジション型の画像表示デバイスも提案されている(例えば、特許文献20参照。)。
【0011】
【特許文献1】
特開昭60−264285号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平2−188293号公報
【0013】
【特許文献3】
特開昭63−144391報
【0014】
【特許文献4】
特開2000−19567号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2000−292817号公報
【0016】
【特許文献6】
特開平6−202167号公報
【0017】
【特許文献7】
特開2001−312225号公報
【0018】
【特許文献8】
特開2001−350164号公報
【0019】
【特許文献9】
特開昭48−71990号公報
【0020】
【特許文献10】
特許第2551783号公報
【0021】
【特許文献11】
特開2001−202037号公報
【0022】
【特許文献12】
米国特許第4,126,854号明細書
【0023】
【特許文献13】
米国特許第4,143,103号明細書
【0024】
【特許文献14】
米国特許第5,389,945号明細書
【0025】
【特許文献15】
特開昭64−42683号公報
【0026】
【特許文献16】
特開平11−352526号公報
【0027】
【特許文献17】
特公昭63−36512号公報
【0028】
【特許文献18】
特開平10−35095号公報
【0029】
【特許文献19】
特開平10−44592号公報
【0030】
【特許文献20】
特開平11−142895号公報
【0031】
【非特許文献1】
Japan Hardcopy'99予稿集 p10−13
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
これらの反射型表示装置のうち、高分子分散型の液晶ディスプレイは表示面の白色度が低く、充分なコントラストを得るのが難しい。ツイストボール方式は全ての球を白色に揃えた場合でも、球と球の間に入射した光は反射されないため、全体として灰色がかって見える傾向がある。さらに、ボールを2色に着色して各色に異なる帯電状態を付与するなど、装置の製造に多くの精密な工程が必要でありコストアップに繋がる。
【0033】
温度による色素の化学変化を利用する方式は、色素の選び方によっては高いコントラストを得ることができる。しかし、色素構造の平衡状態を制御することで表示を行うために書き換え速度が遅いうえ、表示状態を保つためには温度を一定範囲内に保つ必要がある。また、色素の反応劣化等による濃度変化や消え残りなどの問題を起こしやすい。
【0034】
エレクトロクロミック方式は、発色剤が酸化状態と還元状態の間に移行するときに明確な閾値を持たないため、クロストークを起こして表示品位を落とす問題があり、これを解決するためには電圧と温度という2つのパラメータを微妙に制御する必要がある。また、黒色に関してはイエロー、シアン、マゼンダの混色で表示するため、白黒コントラストの高いものが得られにくい。
【0035】
トナーを用いる方法は帯電量の経時変化やトナーの凝集によって、コントラストの低下を招く。また、白黒2色のトナーを使う場合、黒色粒子の隙間に白色粒子が入り込んで混色することがあり、これもコントラストを低下させる原因となっている。
【0036】
電気泳動方式は絶縁性液体とその中に浮遊する帯電粒子の色の違いで表示を行うため、純粋な帯電粒子の色は観察されずコントラストを低いものにしている。また、高コントラスト化実現のため特定の色に着色した絶縁性液体を利用する場合も混色の問題は避けられないうえ、色素が荷電粒子の電荷の安定性に影響を与えるなどの問題も生じる。電荷極性と色が異なる2種類の着色粒子を使い、電極間で互いに逆方向に泳動させる方法は、反対電荷を有する着色粒子が徐々に凝集して混色を起こし、コントラストを低下させる。
【0037】
着色した液体の、多孔質体への毛細管現象を制御して表示に利用する方法は、高いコントラストを得ることはできるものの、ペーパーライク・ディスプレイとして実用化するためには駆動方法において解決されるべき問題が多い。
【0038】
また、上述したエレクトロデポジション型の画像表示デバイスは、応答性に優れているものの、十分なコントラストが得られておらず、紙への印刷物と同等又はそれ以上の表示品質を与えるには至っていない。
【0039】
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、応答性に優れるとともに高いコントラストを得ることが可能な電気化学表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0040】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る電気化学表示装置は、金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置であって、対向面に電極が形成された一対の基板と、上記一対の基板により狭持され、電解液が含浸された不織布とを備えることを特徴とする。
【0041】
以上のような構成の電気化学表示装置においては、不織布が基板間のスペーサとしての役割を果たしており、電解質層には固体電解質を用いず電解液を用いることができる。イオンの伝導を考えると、固体電解質よりも電解液の方が有利であり、高品位かつ高速の表示が実現される。不織布は事実上、大きさに制限無く製造できるため、基板サイズに合わせてどのような大きさ・形状でも製造することができる。しかも表示装置の製造方法が簡単なため、量産工程の自動化が容易である。本発明で用いられる不織布は、光反射性及び遮光性が高くなるほど良好な表示品質が得られるものであり、液晶表示装置や上述した不織布に光透過性が要求されるエレクトロクロミック表示素子で提案されたものとは異なる考え方に基づくものである。
【0042】
また、上記不織布の屈折率と、上記電解液の屈折率とは互いに異なることが好ましい。電解液の屈折率と異なる屈折率の不織布を選択することで、不織布の光反射性及び遮光性を向上させ、さらなる高コントラスト化を図ることができる。
【0043】
また、上記電解液には1種類以上の粉末材料が分散されていることが好ましい。
【0044】
電解液に分散された粉末材料が不織布の凹凸を平坦化することで、不織布と電極との接触性を向上させることができる。
【0045】
また、上記粉末材料の少なくとも1種類は、上記電解液と異なる屈折率を有すること、又は顔料であることが好ましい。
【0046】
粉末材料として電解液とは異なる屈折率を有するものや、顔料などの着色材料を用いることにより、光反射性及び遮光性を向上させたり、不織布全体としての色度を調整することができる。
【0047】
また、本発明にかかる電気化学表示装置の製造方法は、金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置の製造方法であって、少なくとも一方の面上に電極が形成された一対の基板で当該電極が対向するように、不織布を狭持する狭持工程と、上記不織布に電解液を含浸させる含浸工程とを含むことを特徴とする。
【0048】
不織布に予め電解液を含浸させておき、次に基板とともに組み立てる方法は、基板サイズが大きい場合や、電解液中に顔料等の粉末材料を分散させたい場合等に特に有効である。
【0049】
また、本発明にかかる電気化学表示装置の製造方法は、金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置の製造方法であって、少なくとも一方の面上に電極が形成された一対の基板で当該電極が対向するように、不織布を狭持する工程と、上記不織布に電解液を含浸させる工程とを含むことを特徴とする。
【0050】
予め不織布と基板とを組み立てておき、その後不織布に電解液を含浸させる方法は、例えば不織布の繊維が硬い場合や不織布表面の凹凸が大きい場合に特に有効である。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電気化学表示装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0052】
本発明にかかる電気化学表示装置は、いわゆるエレクトロデポジション型と呼ばれるものであり、例えば単純マトリクス駆動方式により駆動される。その電極構造としては、図1に示すように、第1の電極群X1,X2・・・と第2の電極群Y1,Y2・・・とが互いに直交して配列されたものが挙げられる。
【0053】
図2は、電気化学表示装置の具体的構造を示すものであり、透明基板1上に第1の電極群に相当するストライプ状の透明電極2が形成されている。また、これと対向して第2の電極群に相当するストライプ状の対極3が形成された支持基板4が配され、これらが電解液を含浸した不織布5を介して重ね合わされている。上記透明電極2や対極3は、画素数に応じて所定の本数形成されており、これらの交点が画素となる。勿論、本発明の電気化学表示装置としてはこれに限らず、アクティブマトリクス駆動方式を採用することも可能であり、この場合には、支持基板4上に、各画素に対応して駆動用の薄膜トランジスタが形成される。また、透明基板1と支持基板4とは、封止部材6によって接合されるとともにセル内の気密性を保持されている。
【0054】
本発明の電気化学表示装置においては、不織布5がスペーサとしての役割を果たしており、電極基板の間隔を全面にわたって均一に保つことができる。このため、電解質層に固体電解質ではなく電解液を用いることができる。イオン伝導を考えると、固体電解質よりも電解液の方が有利であり、高品位かつ高速応答の表示を実現できる。
【0055】
不織布5は、文字や画像を表示させる背景として用いられるため、高い光反射性と遮光性とが求められる。また、不織布5に電解液を含浸する際、不織布5と電解液の屈折率差が小さいと不織布5が透明化することがある。これを避ける方法としては、不織布5そのものを不透明化させる方法と、不織布5と一緒に挟持する粉末材料を不透明化させる方法とがあり、これらを併用することもできる。そこで最初に、不織布5を不透明化させる方法について説明し、次に粉末材料を不透明化させる方法について説明する。
【0056】
不織布5は、文字や画像を表示させる背景として用いるため、表示色とは異なる色に着色することで、コントラストや視覚的な質感を自在に調整することができる。不織布5に電解液を含浸する際、不織布5と電解液との屈折率差が小さいと透明化することがある。これを避けるためには、単独の樹脂からなる不織布5を利用する場合は、電解液と不織布5との間に屈折率差を設ける必要がある。屈折率差を大きくとるほど遮光性が高くなるため、不織布5の膜厚を薄く抑えることができる。
【0057】
一般的に不織布5は、液状の樹脂材料をノズルから射出して繊維化したものを、繊維同士の絡み合いや熱融着、あるいは接着剤を用いて布状に加工することで製造される。この際、ノズルの形状を工夫することにより、ある樹脂からなる1本又は複数本の繊維の回りを、これと屈折率の異なる樹脂で被覆し、繊維内部に屈折率差を設ける方法が知られている。この方法によれば、不織布5の繊維内部に常に一定の屈折率差を確保することができる。このように1本の繊維の中に性質の異なる複数の樹脂を使う方法は、既に数多く提案・実用化されており、電解液を含浸させた際に透明化しない繊維を適宜、選択して用いることができる。不織布5には電解液を含浸するため、不織布5の樹脂材料は、少なくとも電解液と接する部分については耐溶剤性のものを用いることが望ましい。
【0058】
不織布5を構成する樹脂としては、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロースなど、不織布5の製造で一般的に用いられているものの中から、適宜、選択して用いることができるが、特にポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタンが耐溶剤性に優れているため、好適に用いることができる。不織布5の製造に用いられる主な樹脂の屈折率を表1に示す。
【0059】
【表1】
本発明で用いた電解液において、含まれる樹脂の配合比を変えた溶液の屈折率を表2に示す。
【0060】
【表2】
電解液の屈折率と不織布5に使われる樹脂の屈折率が比較的近いため、屈折率が異なる樹脂の組み合わせによって得られる不織布5を利用した場合、本発明による表示装置に供することができるような充分な遮光性を得るためには、多くの場合、膜厚を厚くする必要がある。不織布5の膜厚が厚くなると、駆動による消費電力が増大するほか、単純マトリクス方式で駆動する場合にはクロストークの原因となる。このため、不織布5は膜厚の薄いものであることが望ましく、具体的には100μm以下であることが好ましい。
【0061】
薄い膜厚で遮光性を向上させるためには、不織布5を顔料又は染料で着色する方法が有効になる。一般的には化学的な安定性が高く、長期間にわたって変色を起こしにくい顔料が好適に利用できるが、もちろん染料を使っても本発明における表示装置を製造することができる。以下は顔料を使った場合を例にとって説明する。
【0062】
顔料による着色方法は、繊維の樹脂の中に顔料を混合する方法、繊維の外側に接着剤などで顔料を固定する方法などが知られている。液状の樹脂中に顔料を分散しノズルから射出して作った不織布5は、繊維の樹脂と顔料の間に一定の屈折率差を保つことができるため、得られた不織布5に電解液を含浸しても透明化しにくい。一方、繊維原料のみをノズルから射出したのち、接着剤を用いて繊維の回りに顔料を付着させる方法は、顔料と顔料を固定する接着剤が電解液と接する。このため、電解液とは異なる屈折率を有する顔料を選択し、接着剤で不織布5表面に固定化することで目的を達成することができる。接着剤の中に顔料を分散した液を不織布5表面に付着させる方法では、接着剤と顔料とで屈折率差を大きくとることで、目的を達成することができる。これらの樹脂、顔料、接着剤等は、少なくとも電解液と接する部分については耐溶剤性のものを用いることが望ましい。
【0063】
着色する色については、例えば表示のコントラストを向上させる場合、不織布5の白色度を向上させることによって実現することができる。不織布5を白色化する手段としては白色顔料を繊維樹脂の中に混ぜたり、繊維の外側に接着剤で固定したりする方法が知られており、既に数多くの製品が市販されている。用いられる白色顔料の例としては、酸化チタン、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化亜鉛、鉛白、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリンクレー、マイカ、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、硫酸カルシウム、無水ケイ酸、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、含水ケイ酸カルシウム、石英ガラス、ケイソウ土、ホワイトカーボンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの白色顔料は単独、または複数の種類を混合して用いることができる。これらの白色顔料の中でも、屈折率が大きいルチル型の酸化チタンが特に好適に用いられる。主な白色顔料の屈折率を表3に示す。
【0064】
【表3】
また、不織布5には、白色顔料の他に蛍光剤や蓄光剤を配合して顔料が持つ色彩を強調したり、夜光性などの機能性を持たせたりすることができる。また、有機・無機の着色顔料を配合して表示を妨げない範囲で色をつけ、色度を調整することもできる。白色以外の着色顔料の例としては、有機顔料ではアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料など、無機顔料ではチタン、アンチモン、クロム、ニッケル、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、ケイ素、銅、マンガン、リチウム、リン、カルシウム、スズなどからなる複合酸化物が挙げられ、既に数多くが製造・市販されている。
【0065】
これらの顔料は単独、又は複数の種類を混合して用いることが出来、必要に応じて界面活性剤やシランカップリング剤等で表面処理を加えることができる。顔料または染料の配含量は特に制限されない。また、着色顔料を不織布5上に固定化するパターンについても、不織布5の一部または全面に均一に固定化するのはもちろん、文字や模様などの形状で固定化してもよい。
【0066】
本発明の電気化学表示装置の表示は、金属の電気化学反応による析出、溶解を利用して行われることから、不織布5には繰り返し表示に必要なイオン導通性が要求される。このため繊維の間に、イオンを導通させるための空隙が確保されていなければならない。特に不織布5の外側に、接着剤を使って顔料を固定する方法や、繊維同士を接着剤で接合する方法では、使用した接着剤によって繊維間の空隙を完全には塞がないように注意する必要がある。また、不織布5や接着剤として用いられる樹脂についても、電解液に浸したとき溶解または膨潤によって、空隙を塞がないような材質を使用する必要がある。このため、ポリプロピレンのような耐溶剤性の樹脂を、接着剤を用いないメルトブロー方式で不織布化したものが、特に好適に用いることができる。
【0067】
他方、不織布5の形状について、不織布5の目が粗くなり過ぎると、遮光性が低下する原因となるうえ、不織布5と透明電極基板との接触が不均一になって、銀の析出量が不均一化することがある。このため不織布5は、電解液に含まれるイオンの伝導性が確保できる範囲内で、緻密であることが望ましい。
【0068】
つぎに、不織布5に含浸される電解液中に粉末材料を分散させることにより、不織布5全体を不透明化する方法について説明する。
【0069】
この方式で用いられる粉末材料としては、上述したような顔料をいずれも使用可能である。この場合、先に述べた不織布5そのものを不透明化する方法とは異なり、顔料は、不織布5に固定化又は不溶出化されず、不織布5の空隙に充填された電解液に分散された状態とされている。これにより、不織布5全体の光反射性及び遮光性を増強することができる。さらに、不織布5とは異なる色の顔料や蛍光材、蓄光材などを粉末材料として利用することにより、表示背景の色度を変え、視覚的な質感を調整することができる。
【0070】
不織布5と一緒に電極基板間に挟持させる粉末材料は、不織布5表面の凹凸を平坦化して挟持物と電極板の密着性を向上させる効果もある。この目的で粉末材料を利用する場合には、粉末材料の色彩や屈折率は、どのようなものでも用いることができる。挟持物と電極板が均一かつ隙間なく接触すると、電圧を印加して析出する金属の量も均一化し、表示ムラが小さくなるうえ、逆電圧を印加して消去することも容易になる。
【0071】
また、図1及び図2に示す電気化学表示装置の、不織布5以外の構成について説明する。
【0072】
透明基板1には、石英ガラス板、白板ガラス板等の透明ガラス基板を用いることが可能であるが、これに限定されず、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素ポリマー、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミド等のポリイミドも例として挙げることができる。これら合成樹脂を支持体として用いる場合には、容易に曲がらないような剛性基板とすることも可能であるが、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
【0073】
透明電極2には、例えばIn2O3とSnO2の混合物、いわゆるITO膜や、SnO2又はIn2O3をコーティングした膜を用いることが好ましい。これらITO膜やSnO2又はIn2O3をコーティングした膜にSnやSbをドーピングしたものでも良く、MgOやZnO等を用いることも可能である。
【0074】
背面側に設けられる支持基板4は、必ずしも透明である必要はなく、対極4を確実に保持できる基板やフィルム等を用いることができる。例示すると、石英ガラス板、白板ガラス板等のガラス基板、セラミック基板、紙基板、木材基板を用いることが可能である。勿論、これに限定されず、合成樹脂基板等も使用可能である。合成樹脂基板としては、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素ポリマー、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミド等のポリイミドを例として挙げることができる。これら合成樹脂を支持基板4として用いる場合には、容易に曲がらないような剛性基板とすることも可能であるが、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
【0075】
対極3には、導電材料、例えば金属材料を使用することができる。ただし、この対極3を構成する金属と透明電極2上に析出する金属の電位差が大きいと、着色状態において電荷が電極上に蓄積され、電荷の移動が起こって意図しない画素が着色されてしまうおそれがある。特に、金属が析出する際の析出過電圧(単純マトリクス駆動の閾値)を電位差が越えると、前記着色が起こる可能性が生ずる。そこで、対極3には、発色材料として析出する金属との電位差が析出過電圧(閾値)未満となるような金属を選択することが望ましい。理想的には、対極3の金属材料として、発色材料に用いた金属イオンのイオン化前の状態(金属状態)のものを用いる。すなわち、例えば、銀の析出・溶解を利用する場合には対極3に銀を用いるというように、対極3には析出・溶解する金属と同一の金属を用いる。これによって、透明電極2上に金属が析出した状態で上記電位差が生ずることがなくなる。
【0076】
不織布5は、スペーサとしての機能を有し、イオン伝導は不織布5の空孔内に充填された電解液を介して行われる。電解液は、溶媒に電解質が溶解されてなるものである。ここで、溶媒は電解質を溶解するものであれば、どのようなものを用いることもできるが、例えば水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン及びこれらの混合物等を用いることができる。
【0077】
電解質としては、表示のための発色材料として機能する金属塩の他、必要に応じて四級アンモニウムハライド(F,Cl,Br,I)やアルカリ金属ハライド(LiCl,LiBr,LiI,NaCl,NaBr,NaI等)、シアン化アルカリ金属塩、チオシアン化アルカリ金属塩等から選ばれた少なくとも1種類の支持電解質を含有したものを電解質として溶解せしめる。ここで、表示のための発色材料として機能する金属塩を構成する金属イオンとしては、ビスマス、銅、銀、リチウム、鉄、クロム、ニッケル、カドミウム等を挙げることができ、これらを単独、若しくは組み合わせて用いる。金属塩としては、これら金属の任意の塩を用いればよく、銀塩を例にすれば、硝酸銀、ホウフッ化銀、ハロゲン化銀、過塩素酸銀、シアン化銀、チオシアン化銀等を挙げることができる。
【0078】
また、電解液には、金属の析出を均一とするため、酸素、硫黄、窒素などを含む化合物、具体的にはクマリン、ニコチン酸、けい皮酸、エチレンジアミン四酢酸、ポリビニルピロリジオン、ベンザルアセトン等が含まれていても良い。また、電解液には、目的に応じて各種の添加剤を含有させてもかまわない。また、電解液には、各種の樹脂を添加することによって粘度を調整したり、反応性の官能基を有する樹脂を添加することによって、デバイス製造プロセスにおいて電解液をゲル化又は高粘度化することも出来る。反応性の官能基を有する樹脂に重合反応を起こさせる方法としては、紫外線などの活性エネルギー線を照射する方法、オーブンやホットプレートで加熱する方法などが挙げられる。これらの目的においてはポリエーテル系やポリアクリロニトリル系の樹脂の原料となるモノマ又はオリゴマの末端に、アクリル基を導入したものなどが好適に用いられる。重合反応を効果的に起こさせるため樹脂原料とともに適量の重合開始剤を混合して利用することも出来る。重合開始剤としては、光重合反応では2−エトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2-メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパンなど、熱重合反応ではイソブチリルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカルボネート、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド、スクシニックパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどの有機化酸化物のほか、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオナミド)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオナミド]、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオナミド)などのアゾ系重合開始剤なども利用できる。
【0079】
次に、上述したような構造の電気化学表示装置の製造方法について説明する。
【0080】
不織布5に電解液を含浸させる方法としては、例えば対向面に電極が形成された一対の基板の一方に不織布5を貼付し、そこに電解液を含浸させ、対極基板を乗せる方法、不織布5にあらかじめ電解液を含浸させたものをラミネートなどの方法で基板上に貼付し、対極基板を乗せる方法など、不織布5を基板に貼り付ける工程を含む方法のほか、対向面に電極が形成された一対の基板間に不織布5を挟持したデバイスを先に作っておき、後から電解液を真空注入等で充填する方法などを用いることもできる。
【0081】
特に、粉末材料が分散した電解液が充填された不織布5を備える電気化学表示装置を製造する場合には、まず、微細に粉砕した粉末材料を電解液中に分散する。この際、適宜、分散剤を用いることで分散を安定化させることができる。次に、この分散液を不織布5に含浸させて、対向面に電極が形成された一対の基板の一方に不織布5を貼付し、対極基板を乗せる方法や、分散液を含浸した不織布5をフィルムなどの支持体を介して基板上にラミネートし、対極基板を乗せる方法などがある。
【0082】
不織布5にあらかじめ電解液を含浸させる方法は、基板サイズが大きい場合、特に有効な製造方法となる。直接添付する以外に、フィルムなどの支持体を介して基板上にラミネートすることもできる。この方法は量産工程においては、例えば次のような方法を取ることもできる。支持フィルム上に電解液を含浸させた不織布5を重ね、ディスプレイ表示部の型に合わせて打ち抜く。この際、支持フィルムは打ち抜かずに残す。不織布5の不要部分を剥離して巻き取り、ディスプレイ部分はラミネータで支持フィルム上から加圧して基板上に貼付する。支持フィルムを剥離して巻き取る。対極基板を加圧又は減圧による脱法操作を行いながら圧着し、封止剤を使って封止する。
【0083】
電解液を含まないデバイスを先に作っておき、後から電解液を注入する方法は、不織布5の繊維が硬い場合や不織布5表面の凹凸が大きい場合など、電解液を含浸した不織布5上を電極基板に挟む方法では製造工程で気泡が残り易くなるような場合などに利用できる。真空注入法ならば、例えば以下のようにして電解液を注入することができる。電解液を注入するための開口部を有するデバイスと、電解液の入った槽を減圧装置に入れて減圧する。充分、減圧度が上がったら、デバイスの開口部を電解液中につける。この状態で解圧すると、電解液がデバイス内に注入される。また、開口部を2箇所設け、1箇所から電解液を注入し、他の1箇所から脱気を行えば、デバイスを減圧装置に入れなくても電解液を注入することができる。このほか、以下のようにしても電解液を注入することができる。デバイスを構成する2枚の電極基板間に、これらを貼り合せる封止部を貫いて2本のノズルを通す。一方のノズルから電解液を注入しながら、他方のノズルから脱気することによって、封止部を電解液で汚染することなく電解液を注入できる。
【0084】
不織布5に電解液を含浸させるとき、浸透力を高めたり、不織布5上での電解液のハジキを抑制したりする目的で、電解液中に界面活性剤等を配合することもできる。また、適宜、電解液の温度を調整したり、震盪や超音波などの外力を加えたりすることで、浸透を速めることもできる。電解液を加熱する方法は、不織布5への電解液の浸透促進と、繊維内の気泡の熱膨張による除去、さらに不織布5表面の基板への密着性向上を同時に実現できるため、有効な方法である。
【0085】
以上のような構成の電気化学表示装置においては、電解液中に含まれる金属を電気化学反応によって析出・溶解させることにより表示を行うため、表示は電極表面のみで行われ、金属イオンとの間で充分な電荷の授受が行われれば、可視光領域内にある光の最大光反射率が5%以下となる黒色の表示を実現できる。新聞のコントラストは1:5程度とされており、表示装置でこれ以上のコントラストを実現するためには、表示の背景に可視光領域内の光の最大光反射率を25%以上に設定する必要がある。さらに、不織布5の繊維形状や、不織布5を構成する繊維内外の染料・顔料を選択して表示背景を変えることにより、紙や布のような視覚的質感を備えた表示装置を得ることができる。
【0086】
なお、本発明は上述の記載に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0087】
【実施例】
次に、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
【0088】
<実験1>
実験1では、不織布そのものを不透明化させた電気化学表示装置を実際に作製し、表示特性を評価した。
【0089】
〔実施例1〕
下記の成分を各配合量でジメチルスルホキシドに溶解し、電解液を調製した。
よう化銀:500mmol/l
よう化ナトリウム:750mmol/l
トリエタノールアミン:67mmol/l
クマリン:5g/l
2−メルカプトベンズイミダゾール:5g/l
【0090】
これに当重量の樹脂液TA−140(第一工業製薬社製)を混合し、電解液を調製した。
【0091】
電解液を金属バットに取り、ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製)を浸した。超音波洗浄器の中で超音波を照射しながら適宜、金属バットを揺すり、繊維間の空気を排除した。電解液を含浸した不織布はローラで電解液を軽く搾ったのち、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交するように乗せてクリップでとめ、デシケータに入れて減圧した。不織布内部の気泡が除去されたところで解圧して取り出し、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0092】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.63
消色時(白表示):反射率(W)=37.45
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=14.24
【0093】
不織布の色度と光透過率は次の通りである。なお、図3に示すように、電解液を含浸させた不織布5を厚さ1mmのスライドガラス11に挟持したものを測定サンプルとし、可視光領域内(400〜700nm)にある光の最大光反射率が3%以下である黒色平面上12に置き、スライドガラスの上部垂直方向(0°)から45°の角度で入射した光を0°で受光して光反射率を測定した。光透過率は、分光光度計を使って同じサンプルの測定を行い、波長480nmにおける値を記載した。この際、スライドガラスによる光吸収はゼロに補正した。
【0094】
不織布の色度:(L*,a*,b*)=(66.60,−0.92,−1.81)
【0095】
光透過率:0.0215%
【0096】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図4に示す。
【0097】
〔実施例2〕
実施例1と同じ電解液を、ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製)を、ホットプレート上で100℃に保った電解液槽に浸した。不織布はローラで電解液を軽く搾りながら引き上げ、PETフィルム上に乗せた。次に、この不織布を銀電極からなる単純マトリクス基板上にラミネートした。この際、不織布内部に気泡が残らないよう、加圧しながら操作を行った。PETフィルムを剥離し、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに、少し傾けて乗せ、空気を押し出しながら重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流で駆動し、実施例1と同様の応答特性およびセル特性を得た。
【0098】
〔実施例3〕
顔料を含まないポリプロピレン繊維からなる不織布の表面に、繊維間を目詰まりさせずに接着剤で酸化チタンを固定した不織布(東燃タピルス社製)に、実施例1と同じ電解液を実施例1と同じ方法で含浸させ、単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極を有する透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交するように乗せてクリップでとめ、デシケータに入れて減圧した。不織布内部の気泡が除去されたところで解圧して取り出し、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0099】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.93
消色時(白表示):反射率(W)=43.58
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=14.87
【0100】
不織布の色度と光透過率は次の通りである。
不織布の色度:(L*,a*,b*)=(72.27,−0.47,−0.14)
光透過率:0.0217%
【0101】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図5に示す。
【0102】
〔実施例4〕
顔料を含まないポリプロピレン繊維からなる不織布の表面に、繊維間を目詰まりさせないように接着剤で酸化チタンを固定した不織布(東燃タピルス社製)を、ホットプレート上で100℃に保った電解液槽に浸した。不織布はローラで電解液を軽く搾りながら引き上げ、PETフィルム上に乗せた。次に、この不織布を銀電極からなる単純マトリクス基板上にラミネートした。この際、不織布内部に気泡が残らないよう、加圧しながら操作を行った。PETフィルムを剥離し、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに、少し傾けて乗せ、空気を押し出しながら重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流で駆動し、実施例3と同様の応答特性およびセル特性を得た。
【0103】
〔実施例5〕
実施例1と同じ電解液をビーカに取り、界面活性剤としてノニオンNS−202(信越化学工業社製)を0.6重量%添加した。ここに実施例1と同じ不織布(クラレ社製)を浸した。電解液が含浸したところで不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに、少し傾けて乗せ、空気を押し出しながら重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図6に示す。
【0104】
〔比較例1〕
実施例5と同じプロセスで、界面活性剤を添加しない電解液に、実施例5と同じ時間だけ不織布を浸したのち、表示デバイスを組み立てた。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させることができたが、析出色は実施例5よりも明らかに薄く、逆電圧を印加しても完全に消去することができなかった。サイクリック・ボルタングラムを図7に示す。
【0105】
〔実施例6〕
実施例1と同じ電解液をビーカに取り、100℃に加熱した。中心をポリプロピレン、周囲をポリエチレンとする複合樹脂繊維からなる不織布(金星製紙社製)を2枚浸した。5分後、不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に、繊維の形成方向が互いに直角になるように貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに、少し傾けて乗せ、空気を押し出しながら重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0106】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.80
消色時(白表示):反射率(W)=25.93%
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=9.26
【0107】
不織布の色度と光透過率は次の通りである。
不織布の色度:(L*,a*,b*)=(51.31,−1.37,−4.29)
光透過率:0.87271%
【0108】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図8に示す。
【0109】
<実験2>
実験2では、不織布に含浸される電解液中に粉末材料を分散させた電気化学表示装置を実際に作製し、表示特性を評価した。
【0110】
〔実施例7〕
下記の成分を各配合量でジメチルスルホキシドに溶解し、電解液を調製した。
よう化銀:500mmol/l
よう化ナトリウム:750mmol/l
トリエタノールアミン:67mmol/l
クマリン:5g/l
2−メルカプトベンズイミダゾール:5g/l
【0111】
これに当重量の樹脂液TA−140(第一工業製薬社製)を混合し、電解液を調製した。
【0112】
電解液10.0gと、乳鉢で微粉末化した酸化チタン(石原産業社製、TIPAQUE,CR−95)5.0gを混合し、容器を氷冷しながらホモジナイザで15分間、分散処理した。これを、100℃に加熱し、ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製)に含浸させた。15分後に不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイスの光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0113】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.55%
消色時(白表示):反射率(W)=28.83%
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=11.31
【0114】
挟持物の色度、光反射率、光透過率は次の通りである。
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(78.81,−0.29,1.26)
光反射率(480nm):50.66%
光透過率(480nm):0.017%
【0115】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図9に示す。
【0116】
〔比較例2〕
実施例7で使用した電解液を100℃に加熱し、ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製、平均膜厚211μm)を浸した。15分後に不織布を取り出し、スライドガラスに挟持して色度、光反射率、光透過率を測定した。
【0117】
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(66.60,−0.92,−1.81)
光反射率(480nm):37.45%
光透過率(480nm):0.021%
【0118】
〔実施例8〕
実施例7で使用した電解液10.0gと、乳鉢で微粉末化した酸化チタン(石原産業(社製、TIPAQUE,CR−95)1.0gを混合し、容器を氷冷しながらホモジナイザで15分間、分散処理した。
【0119】
ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製、平均膜厚211μm)を、ヒートプレス機を用いて130℃、35kg/cm2で圧縮し、平均膜厚60μmとした。
【0120】
電解液と酸化チタンの分散液を100℃に加熱し、圧縮処理した不織布を浸した。15分後に不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0121】
着色時(黒表示):反射率(B)=2.44%
消色時(白表示):反射率(W)=25.77%
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=10.56
【0122】
挟持物の色度、光反射率、光透過率は次の通りである。
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(72.48,−0.45,−0.13)
光反射率(480nm):45.28%
光透過率(480nm):0.027%
【0123】
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図10に示す。
【0124】
〔比較例3〕
ポリプロピレンに酸化チタンを10重量%配合した繊維からなる不織布(クラレ社製、平均膜厚211μm)を、ヒートプレス機を用いて130℃、35kg/cm2で圧縮し、平均膜厚60μmとした。
【0125】
実施例7で使用した電解液を100℃に加熱し、圧縮処理した不織布を浸した。15分後に不織布を取り出し、スライドガラスに挟持して色度、光反射率、光透過率を測定した。
【0126】
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(66.37,−1.06,−2.49)
光反射率(480nm):37.91%
光透過率(480nm):0.169%
【0127】
〔実施例9〕
実施例7で使用した電解液10.0gと、乳鉢で微粉末化した酸化チタン(石原産業社製、TIPAQUE,CR−95)5.0gを混合し、容器を氷冷しながらホモジナイザで15分間、分散処理した。この分散液を100℃に加熱し、中心をポリプロピレン、周囲をポリエチレンとする複合樹脂繊維からなる不織布(金星製紙社製)を浸した。15分後に不織布を取り出し、銀電極からなる単純マトリクス基板上に貼付した。次に、ITO蒸着電極からなる透明な単純マトリクス基板を、銀電極とITO電極が直交する向きに重ね合わせた。これをクリップで留め、電極間の隙間をエポキシ系接着剤(セメダイン社製、商品名セメダイン・スーパー)で封止して表示デバイスとした。それぞれの電極に配線を行い、1.2Vの直流電流を印加することにより、透明な単純マトリクス基板上の、対極の銀電極との交点にあたる部分に銀を析出させ、逆電圧を印加して消去することができた。着色時および消色時の、表示デバイス表面における光反射率、および光反射率から求めたコントラストは次の通りである。なお、反射率は波長480nmの値を代表値として用いた。
【0128】
着色時(黒表示):反射率(B)=3.10%
消色時(白表示):反射率(W)=28.48%
コントラスト:反射率(B)/反射率(W)=9.19
【0129】
挟持物の色度、光反射率、光透過率は次の通りである。
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(76.04,−0.47,0.73)
光反射率(480nm):50.05%
光透過率(480nm):0.444%
銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムを図11に示す。
【0130】
〔比較例4〕
実施例7で使用した電解液10.0gと、乳鉢で微粉末化した酸化チタン(石原産業社製、TIPAQUE,CR−95)5.0gを混合し、容器を氷冷しながらホモジナイザで15分間、分散処理した。この分散液を100℃に加熱し、中心をポリプロピレン、周囲をポリエチレンとする複合樹脂繊維からなる不織布(金星製紙社製)を浸した。15分後に不織布を取り出し、スライドガラスに挟持して色度、光反射率、光透過率を測定した。
【0131】
挟持物の色度:(L*,a*,b*)=(52.75,−0.96,−2.81)
光反射率(480nm):21.98%
光透過率(480nm):5.076%
【0132】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、不織布を用いることにより、応答性に優れ、かつ良好なコントラストでの表示が可能な電気化学表示装置を実現できる。この電気化学表示装置は、ペーパーライク・ディスプレイのような薄膜化が可能で、大画面化も容易なうえ、量産化にも好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】単純マトリクス駆動方式により駆動される、本発明の電気化学表示装置を示す概略平面図である。
【図2】本発明の電気化学表示装置の概略断面図である。
【図3】電解液を含浸した不織布の光反射率測定方法を示す模式図である。
【図4】実施例1の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図5】実施例3の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図6】実施例5の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図7】比較例1の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図8】実施例6の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図9】実施例7の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図10】実施例8の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【図11】実施例9の電気化学表示装置における銀の析出、溶解を示すサイクリック・ボルタングラムである。
【符号の説明】
1 透明基板、2 透明電極、3 対極、4 支持基板、5 不織布、6 封止部材
Claims (23)
- 金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置であって、
対向面に電極が形成された一対の基板と、
上記一対の基板により狭持され、電解液が含浸された不織布とを備えることを特徴とする電気化学表示装置。 - 電場応答させたときの着色部と消色部とにおける光反射率の最大コントラストが1:5以上であることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
- 上記不織布は、上記電解液を含浸させた状態でスライドガラスに狭持して可視光領域の光の最大光反射率が3%以下である黒色平面上に置き、当該スライドガラスの上部垂直方向(0°)から45°傾けた角度で入射した光の反射を0°で受光して反射率を測定したとき、可視光領域内の光の最大光反射率が25%以上であることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
- 上記不織布の屈折率と、上記電解液の屈折率とは互いに異なることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
- 上記不織布は、互いに屈折率が異なる2種類以上の繊維からなることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
- 上記不織布の繊維の内部及び/又は外部に、染料及び/又は顔料が固定されていることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
- 上記不織布が上記一対の基板間のスペーサとなることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
- 上記電解液には1種類以上の粉末材料が分散されていることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
- 上記不織布は、上記粉末材料を含有する電解液を含浸させた状態でスライドガラスに狭持して可視光領域内の光の最大光反射率が3%以下である黒色平面上に置き、当該スライドガラスの上部垂直方向(0°)から45°傾けた角度で入射した光の反射を0°で受光して反射率を測定したとき、可視光領域内の光の最大光反射率が25%以上であることを特徴とする請求項8記載の電気化学表示装置。
- 上記粉末材料の少なくとも1種類は、上記電解液と異なる屈折率を有することを特徴とする請求項8記載の電気化学表示装置。
- 上記粉末材料は、顔料であることを特徴とする請求項8記載の電気化学表示装置。
- 上記不織布及び上記粉末材料が上記一対の基板間のスペーサとなることを特徴とする請求項8記載の電気化学表示装置。
- 上記一対の基板のうち、一方の基板は透明であり、且つ当該基板に形成された電極は透明電極であり、
他方の基板に形成された電極は金属からなる対極であることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。 - 上記金属は銀であることを特徴とする請求項13記載の電気化学表示装置。
- 金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置の製造方法であって、
不織布に電解液を含浸させる工程と、
上記電解液が含浸された不織布を、少なくとも一方の面上に電極が形成された一対の基板で当該電極が対向するように狭持する工程とを含むことを特徴とする電気化学表示装置の製造方法。 - 上記電解液を室温以上に加熱することを特徴とする請求項15記載の電気化学表示装置の製造方法。
- 上記電解液は界面活性剤を含有することを特徴とする請求項15記載の電気化学表示装置の製造方法。
- 上記電解液に予め1種類以上の粉末材料を分散させることを特徴とする請求項15記載の電気化学表示装置の製造方法。
- 上記粉末材料の少なくとも1種類は、上記電解液と異なる屈折率を有することを特徴とする請求項18記載の電気化学表示装置の製造方法。
- 金属の電気化学的な析出及び溶解を利用して画像表示を行う電気化学表示装置の製造方法であって、
少なくとも一方の面上に電極が形成された一対の基板で当該電極が対向するように、不織布を狭持する工程と、
上記不織布に電解液を含浸させる工程とを含むことを特徴とする電気化学表示装置の製造方法。 - 上記電解液を室温以上に加熱することを特徴とする請求項20記載の電気化学表示装置の製造方法。
- 上記電解液は界面活性剤を含有することを特徴とする請求項20記載の電気化学表示装置の製造方法。
- 真空注入法により、上記不織布に上記電解液を含浸させることを特徴とする請求項20記載の電気化学表示装置の製造方法。
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