JP2015004912A - 表示装置および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】面内での表示特性のばらつきを抑えた表示装置および電子機器を提供する。
【解決手段】複数のセル各々に収容された第1粒子32と、前記セル内に設けられ、セル毎に分断された多孔質層33とを備えた表示装置1。
【選択図】図1
【解決手段】複数のセル各々に収容された第1粒子32と、前記セル内に設けられ、セル毎に分断された多孔質層33とを備えた表示装置1。
【選択図】図1
Description
本技術は、多孔質層を有する表示装置、およびその表示装置を備えた電子機器に関する。
近年、携帯電話機または携帯情報端末等のモバイル機器の普及に伴い、低消費電力で高品位画質の表示装置(ディスプレイ)に関する需要が高まっている。特に最近では、電子書籍の配信事業が始まり、読書用途に適した表示品位のディスプレイが望まれている。
このようなディスプレイとして、コレステリック液晶ディスプレイ,電気泳動型ディスプレイ,電気酸化還元型ディスプレイおよびツイストボール型ディスプレイ等の様々なディスプレイが提案されているが、読書用途には、反射型のディスプレイが有利である。反射型のディスプレイでは、紙と同様に、外光の反射(散乱)を利用して明表示を行うため、より紙に近い表示品位が得られる。
反射型ディスプレイの中でも、電気泳動現象を利用した電気泳動型ディスプレイは、低消費電力であると共に応答速度が速く、有力候補として期待されている。その表示方法としては、主に以下の2つの方法が提案されている。
第1の方法は、絶縁性液体中に2種類の荷電粒子を分散させ、電界に応じて荷電粒子を移動させるものである。この2種類の荷電粒子は、互いに光学的反射特性が異なり、また、その極性も反対である。この方法では、電界に応じて荷電粒子の分布状態が変化して画像が表示される。
第2の方法は、絶縁性液体中に荷電粒子を分散させると共に、多孔質層を配置するものである(例えば、特許文献1)。この方法では、電界に応じて荷電粒子が多孔質層の細孔を経て移動する。荷電粒子は隔壁により仕切られた空間(セル)内に収容されており、荷電粒子はこのセル内を移動するようになっている。多孔質層は、例えば高分子フィルム等の繊維状構造体に非泳動粒子が保持されたものにより構成されている。
しかしながら、これまでの電気泳動型ディスプレイでは、セル間の荷電粒子の移動を十分に抑えることができず、連続使用により荷電粒子の分散状態が不均一化するという問題が生じていた。これにより、コントラスト等の表示特性が面内でばらつく。
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、面内での表示特性のばらつきを抑えた表示装置および電子機器を提供することにある。
本技術の表示装置は、複数のセル各々に収容された第1粒子と、セル内に設けられ、セル毎に分断された多孔質層とを備えたものである。
本技術の電子機器は、上記本技術の表示装置を備えたものである。
本技術の表示装置では、多孔質層がセル毎に分断されているので、多孔質層を介した第1粒子のセル間の移動が抑えられる。即ち、第1粒子の分散状態が、所望の状態に維持される。
本技術の表示装置では、多孔質層をセル毎に分断するようにしたので、セルの分散状態を所望の状態に維持し、面内での表示特性のばらつきを抑えることが可能となる。
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(表示装置:テーパ状の隔壁を有する例)
2.変形例1(繊維状構造体の長さを短くする例)
3.変形例2(切欠部を有する隔壁の例)
4.変形例3(直方体状の隔壁を有する例)
5.適用例
6.実施例
1.実施の形態(表示装置:テーパ状の隔壁を有する例)
2.変形例1(繊維状構造体の長さを短くする例)
3.変形例2(切欠部を有する隔壁の例)
4.変形例3(直方体状の隔壁を有する例)
5.適用例
6.実施例
<実施の形態>
図1は本技術の一実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の断面構成を表したものである。この表示装置1は電気泳動現象を利用して画像を表示する電気泳動型の表示装置であり、駆動基板10と対向基板20との間に電気泳動素子30を有している。この表示装置1では、対向基板20側に画像が表示されるようになっている。駆動基板10および対向基板20の周縁には封止剤40が設けられている。なお、図1は表示装置1の構成を模式的に表したものであり、実際の寸法、形状とは異なる場合がある。
図1は本技術の一実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の断面構成を表したものである。この表示装置1は電気泳動現象を利用して画像を表示する電気泳動型の表示装置であり、駆動基板10と対向基板20との間に電気泳動素子30を有している。この表示装置1では、対向基板20側に画像が表示されるようになっている。駆動基板10および対向基板20の周縁には封止剤40が設けられている。なお、図1は表示装置1の構成を模式的に表したものであり、実際の寸法、形状とは異なる場合がある。
電気泳動素子30は、さまざまな用途に適用可能である。ここでは、電気泳動素子30を表示装置1に適用する場合について説明するが、表示装置1の構成は一例であり、適宜変更可能である。また、電気泳動素子30を表示装置以外のものに用いてもよく、その用途は特に限定されない。
駆動基板10は、支持部材11の一方の面に例えば、TFT(Thin Film Transistor)12、保護層13および画素電極14をこの順に有するものである。TFT12および画素電極14は、例えば画素配置に応じてマトリクス状またはセグメント状に配置されている。
支持部材11は、例えば、板状の無機材料,金属材料またはプラスチック材料などにより構成されている。無機材料としては、例えば、ケイ素(Si),酸化ケイ素(SiOX),窒化ケイ素(SiNX)または酸化アルミニウム(AlOx)などが挙げられる。酸化ケイ素には、ガラスまたはスピンオングラス(SOG)などが含まれる。金属材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)またはステンレスなどが挙げられ、プラスチック材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリエチルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。
表示装置1では、対向基板20側に画像が表示されるため、支持部材11は非光透過性であってもよい。支持部材11を、ウェハなどの剛性を有する基板により構成してもよく、あるいは可撓性を有する薄層ガラスまたはフィルム等により構成してもよい。支持部材11に可撓性材料を用いることにより、フレキシブル(折り曲げ可能)な表示装置1を実現できる。
TFT12は、画素を選択するためのスイッチング用素子である。TFT12は、チャネル層として無機半導体層を用いた無機TFTでもよいし、有機半導体層を用いた有機TFTでもよい。保護層13は、例えば、ポリイミドなどの絶縁性樹脂材料からなり、TFT12が設けられた支持部材11の表面を平坦化している。画素電極14は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ(ITO)などの導電材料により形成されている。複数の種類の導電材料を用いて画素電極14を構成するようにしてもよい。画素電極14は、保護層13に設けられたコンタクトホール(図示せず)を通じてTFT12に接続されている。
駆動基板10と電気泳動素子30との間には、粘着層(または接着層)15およびシール層16が設けられている。粘着層15は、駆動基板10とシール層16とを接着させるためのものであり、例えば、アクリル系樹脂またはウレタン系樹脂により構成されている。粘着層15には、ゴム系の粘着シートなどを用いるようにしてもよい。シール層16は、電気泳動素子30内の絶縁性液体(後述の絶縁性液体31)を封止すると共に電気泳動素子30への水分等の浸入を防ぐためのものであり、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂またはゴム系の粘着シートなどにより構成されている。
対向基板20は、例えば支持部材21および対向電極22を有しており、支持部材21の全面(駆動基板10との対向面)に対向電極22が設けられている。対向電極22を、画素電極14と同様に、マトリクス状またはセグメント状に配置するようにしてもよい。
支持部材21には、光透過性であれば支持部材11と同様の材料を用いることができる。対向電極22には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化アンチモン−酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)またはアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)などの光透光性導電性材料(透明電極材料)を用いることができる。
対向電極22を介して電気泳動素子30を見ることになるため、対向電極22の光透過性(透過率)は、できるだけ高いことが好ましく、例えば、80%以上である。また、対向電極22の電気抵抗は、できるだけ低いことが好ましく、例えば、500Ω/□以下である。
電気泳動素子30は、電気泳動現象を利用して画素毎にコントラストを生じさせるものであり、絶縁性液体31中に、泳動粒子32(第1粒子)、多孔質層33および隔壁34を含んでいる。隔壁34により区画された空間(セル36)それぞれに、泳動粒子32および多孔質層33が設けられている。換言すれば、隣り合うセル36の間には隔壁34が設けられている。
絶縁性液体31は、駆動基板10(シール層16)、対向基板20および封止剤40により囲まれた空間に充填されており、例えばパラフィンまたはイソパラフィンなどの有機溶媒により構成されている。絶縁性液体31には、1種類の有機溶媒を用いてもよく、あるいは複数種類の有機溶媒を用いるようにしてもよい。絶縁性液体31の粘度および屈折率は、できるだけ低くすることが好ましい。絶縁性液体31の粘度を低くすると泳動粒子32の移動性(応答速度)が向上する。また、これに応じて泳動粒子32の移動に必要なエネルギー(消費電力)は低くなる。絶縁性液体31の屈折率を低くすると、絶縁性液体31と多孔質層33との屈折率の差が大きくなり、多孔質層33の光反射率が高くなる。絶縁性液体31の屈折率は例えば1.48である。
絶縁性液体31には、例えば、着色剤,電荷調整剤(電荷制御剤),分散安定剤,粘度調整剤,界面活性剤または樹脂などを添加するようにしてもよい。
絶縁性液体31中に分散された泳動粒子32は、1または2以上の荷電粒子(電気泳動粒子)であり、このように帯電した泳動粒子32が電界に応じて画素電極14と対向電極22との間を多孔質層33の厚み方向(図1のZ方向)に移動する。泳動粒子32は、任意の光学的反射特性(光反射率)を有しており、泳動粒子32の光反射率と多孔質層33の光反射率との違いによりコントラストが生じるようになっている。表示装置1では、泳動粒子32の光反射率が多孔質層33の光反射率よりも低くなっており、泳動粒子32により暗表示、多孔質層33により明表示がなされる。
従って、外部から電気泳動素子30を見ると泳動粒子32は例えば黒色または黒色に近い色に視認される。このような泳動粒子32の色は、コントラストを生じさせることができれば特に限定されない。
泳動粒子32は、例えば、有機顔料,無機顔料,染料,炭素材料,金属材料,金属酸化物,ガラスまたは高分子材料(樹脂)などの粒子(粉末)により構成されている。泳動粒子32に、これらのうちの1種類を用いてもよく、または2種類以上を用いてもよい。泳動粒子32を、上記粒子を含む樹脂固形分の粉砕粒子またはカプセル粒子などにより構成することも可能である。泳動粒子32の粒径は、多孔質層33(具体的には後述の図2の細孔35)を通過できる大きさであればいつくであってもよいが、例えば10nm〜500nmである。なお、上記炭素材料,金属材料,金属酸化物,ガラスまたは高分子材料に該当する材料は、有機顔料,無機顔料または染料に該当する材料から除く。
上記の有機顔料は、例えば、アゾ系顔料、メタルコンプレックスアゾ系顔料、ポリ縮合アゾ系顔料、フラバンスロン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、アントラピリジン系顔料、ピランスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料またはインダンスレン系顔料などである。無機顔料は、例えば、亜鉛華、アンチモン白、鉄黒、硼化チタン、ベンガラ、マピコエロー、鉛丹、カドミウムエロー、硫化亜鉛、リトポン、硫化バリウム、セレン化カドミウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クロム酸鉛、硫酸鉛、炭酸バリウム、鉛白またはアルミナホワイトなどである。染料は、例えば、ニグロシン系染料、アゾ系染料、フタロシアニン系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料またはメチン系染料などである。炭素材料は、例えば、カーボンブラックなどである。金属材料は、例えば、金、銀または銅などである。金属酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、銅−クロム酸化物、銅−マンガン酸化物、銅−鉄−マンガン酸化物、銅−クロム−マンガン酸化物または銅−鉄−クロム酸化物などである。高分子材料は、例えば、可視光領域に光吸収域を有する官能基が導入された高分子化合物などである。可視光領域に光吸収域を有する高分子化合物であれば、その種類は特に限定されない。
具体的に、暗表示を行う泳動粒子32には、例えばカーボンブラックなどの炭素材料または銅−クロム酸化物、銅−マンガン酸化物、銅−鉄−マンガン酸化物、銅−クロム−マンガン酸化物および銅−鉄−クロム酸化物などの金属酸化物等が用いられる。中でも泳動粒子32には炭素材料を用いることが好ましい。炭素材料からなる泳動粒子32は、優れた化学的安定性、移動性および光吸収性を示す。
絶縁性液体31中における泳動粒子32の含有量(濃度)は、特に限定されないが、例えば、0.1重量%〜10重量%である。この濃度範囲では、泳動粒子32の遮蔽性および移動性が確保される。詳細には、泳動粒子32の含有量が0.1重量%よりも少ないと、泳動粒子32が多孔質層33を遮蔽(隠蔽)しにくくなり、十分にコントラストを生じさせることができない虞がある。一方、泳動粒子32の含有量が10重量%よりも多いと、泳動粒子32の分散性が低下して泳動粒子32が泳動しにくくなり、凝集する虞がある。
泳動粒子32は、絶縁性液体31中で長期間に渡って分散および帯電しやすく、また、多孔質層33に吸着しにくいことが好ましい。このため、例えば絶縁性液体31中に分散剤または電荷調整剤が添加される。分散剤と電荷調整剤とを併用してもよい。
この分散剤または電荷調整剤は、例えば、正、負のどちらか一方、または両方の電荷を有しており、絶縁性液体31中の帯電量を増加させると共に、静電反発により泳動粒子32を分散させるためのものである。このような分散剤として、例えば、Lubrizol社製のSolspcrscシリーズ、BYK−Chemic社製のBYKシリーズまたはAnti−Terraシリーズ、あるいはICI Americas社製Spanシリーズなどが挙げられる。
泳動粒子32の分散性を向上させるため、泳動粒子32に表面処理を施すようにしてもよい。この表面処理は、例えば、ロジン処理、界面活性剤処理、顔料誘導体処理、カップリング剤処理、グラフト重合処理またはマイクロカプセル化処理などである。特に、グラフト重合処理、マイクロカプセル化処理またはこれらを組み合わせて処理を行うことにより、泳動粒子32の長期間の分散安定性を維持することができる。
このような表面処理には、例えば、泳動粒子32の表面に吸着可能な官能基と重合性官能基とを有する材料(吸着性材料)などが用いられる。吸着可能な官能基は、泳動粒子32の形成材料に応じて決定する。例えば、泳動粒子32がカーボンブラックなどの炭素材料により構成されている場合には4−ビニルアニリンなどのアニリン誘導体、泳動粒子32が金属酸化物により構成されている場合にはメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルなどのオルガノシラン誘導体をそれぞれ吸着することができる。重合性官能基は、例えば、ビニル基、アクリル基またはメタクリル基などである。
泳動粒子32の表面に重合性官能基を導入し、これにグラフトさせて表面処理を行うようにしてもよい(グラフト性材料)。グラフト性材料は、例えば重合性官能基と分散用官能基とを有している。分散用官能基は、絶縁性液体31中に泳動粒子32を分散させ、その立体障害により分散性を保持するものである。絶縁性液体31が例えばパラフィンである場合、分散用官能基として分岐状のアルキル基などを用いることができる。重合性官能基は、例えばビニル基、アクリル基、メタクリル基などである。グラフト性材料を重合およびグラフトさせるためには、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの重合開始剤を用いればよい
上記泳動粒子32を絶縁性液体31中に分散させる方法の詳細については、「超微粒子の分散技術とその評価〜表面処理・微粉砕と気中/液中/高分子中の分散安定化〜(サイエンス&テクノロジー社)」などの書籍に掲載されている。
多孔質層33は泳動粒子32を遮蔽可能なものである。この多孔質層33は、図2に示したように、繊維状構造体33Aおよび繊維状構造体33Aに保持された非泳動粒子33B(第2粒子)を有している。本実施の形態では、この多孔質層33がセル36毎に分断されている。換言すれば、各々のセル36内の多孔質層33同士は不連続な状態で存在している。詳細は後述するが、これにより、セル36間での泳動粒子32の移動を抑え、面内での表示特性を均一に維持することができる。セル36毎に分断された多孔質層33は、例えばSEM(Scanning Electron Microscope)等を用いて確認することが可能である。
この多孔質層33は、繊維状構造体33Aにより形成された3次元立体構造物(不織布のような不規則なネットワーク構造物)であり、複数の隙間(細孔35)が設けられている。繊維状構造体33Aにより、多孔質層33の3次元立体構造を構成することで、泳動粒子32を移動させるための細孔35の十分な大きさを確保すると共に、厚みの小さな多孔質層33であってもコントラストを高く維持することが可能となる。詳細には、多孔質層33の3次元立体構造により光(外光)が乱反射(多重散乱)し、多孔質層33の光反射率が高くなる。従って、多孔質層33の厚みが小さい場合であっても高い光反射率を得ることができる。また、繊維状構造体33Aを用いることにより、細孔35の平均孔径が大きくなり、かつ、多くの細孔35が多孔質層33に設けられる。これにより、泳動粒子32が細孔35を経由して移動し易くなり、応答速度が向上すると共に、泳動粒子32を移動させるために必要なエネルギーがより小さくなる。このような多孔質層33の厚み(Z方向)は、例えば、5μm〜100μmである。
繊維状構造体33Aは、繊維径(直径)に対して十分な長さを有する繊維状物質である。例えば、複数の繊維状構造体33Aが集合し、ランダムに重なって多孔質層33を構成する。1つの、即ち連続状態の繊維状構造体33Aがランダムに絡みあって多孔質層33を構成していてもよい。あるいは、1つの繊維状構造体33Aによる多孔質層33と複数の繊維状構造体33Aによる多孔質層33とが混在していてもよい。図2は、複数の繊維状構造体33Aにより多孔質層33が構成されたものを示している。1つの繊維状構造体33Aは、1つのセル36に収容され、セル36間では繊維状構造体33Aが分断されるようになっている。セル36毎に分断されていれば、1つのセル36に複数の繊維状構造体33Aが収容されていてもよい。なお、本技術の効果を損なわない程度において、セル36間を跨ぐ繊維状構造体33Aが存在していてもよい。
繊維状構造体33Aは、例えば、高分子材料または無機材料等により構成されている。高分子材料としては、例えば、ナイロン,ポリ乳酸,ポリアミド,ポリイミド,ポリエチレンテレフタレート,ポリアクリロニトリル,ポリメタクリル酸メチル,ポリエチレンオキシド,ポリビニルカルバゾール,ポリビニルクロライド,ポリウレタン,ポリスチレン,ポリビニルアルコール,ポリサルフォン,ポリビニルピロリドン,ポリビニリデンフロリド,ポリヘキサフルオロプロピレン,セルロースアセテート,コラーゲン,ゼラチン,キトサンまたはそれらのコポリマーなどが挙げられる。無機材料は、例えば酸化チタンなどである。繊維状構造体33Aには、高分子材料を用いることが好ましい。高分子材料は、例えば光などに対する反応性が低く、化学的に安定であるためである。即ち、高分子材料を用いることにより、意図しない繊維状構造体33Aの分解反応を防ぐことができる。繊維状構造体33Aが高反応性の材料により構成される場合には、表面を任意の保護層で被覆しておくことが好ましい。
繊維状構造体33Aは、例えば直線状に延在している。繊維状構造体33Aの形状は、どのようなものであってもよく、例えば、縮れていたり、途中で折れ曲がったりしていてもよい。あるいは、繊維状構造体33Aは途中で分岐していてもよく、うねっていてもよい。うねった形状の繊維状構造体33A同士が絡み合うと、多孔質層33の構造が複雑になり、光学特性を向上させることができる。
繊維状構造体33Aの平均繊維径は、例えば1nm以上2000nm以下であり、特に1nm以上1000nm以下であることが好ましい。セルロールやビロード等により多孔質層を形成する方法も提案されているが(特公昭50−15120号参照)、これらの屈折率は絶縁性液体と近く、コントラストが低下する虞がある。またセルロールやビロードの繊維径は、10〜100μmと大きい。これに対し、上記のように平均繊維径を小さくすることにより、光が乱反射し易くなり、また、細孔35の孔径が大きくなる。繊維状構造体33Aが非泳動粒子33Bを保持できるよう、その繊維径を決定する。平均繊維径は、例えば、走査型電子顕微鏡などを用いた顕微鏡観察により測定することができる。繊維状構造体33Aの平均長さは任意である。繊維状構造体33Aは、例えば、相分離法,相反転法,静電(電界)紡糸法,溶融紡糸法,湿式紡糸法,乾式紡糸法,ゲル紡糸法,ゾルゲル法またはスプレー塗布法などにより形成される。このような方法を用いることにより、繊維径に対して十分な長さを有する繊維状構造体33Aを容易に、かつ安定して形成することができる。
繊維状構造体33Aには、その光反射率が泳動粒子32の光反射率よりも高いものを用いることが好ましい。これにより、多孔質層33と泳動粒子32との光反射率の差によるコントラストが形成され易くなる。繊維状構造体33Aが、実質的に多孔質層33の光反射率に影響を及ぼすことがない場合、即ち、非泳動粒子33Bにより多孔質層33の光反射率が決定される場合には、絶縁性液体31中で光透過性(無色透明)を示す繊維状構造体33Aを用いるようにしてもよい。
細孔35は、複数の繊維状構造体33Aが重なり合い、または1つの繊維状構造体33Aが絡まりあうことにより構成されている。この細孔35は、泳動粒子32が細孔35を経て移動し易いよう、できるだけ大きな平均孔径を有していることが好ましい。細孔35の平均孔径は、例えば、0.1μm〜10μmである。
非泳動粒子33Bは、繊維状構造体33Aに固定されており、電気泳動を行わない1または2以上の粒子である。非泳動粒子33Bは、保持されている繊維状構造体33Aの内部に埋設されていてもよく、あるいは、繊維状構造体33Aから部分的に露出されていてもよい。各々のセル36内に繊維状構造体33Aと共に、この非泳動粒子33Bが設けられている。
非泳動粒子33Bには、泳動粒子32とは異なる光反射率、具体的には、より高い光反射率を有するものが用いられる。非泳動粒子33Bは、上記泳動粒子32で説明したものと同様の材料により構成することが可能である。具体的に、明表示を行うための非泳動粒子33Bには、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウムまたはチタン酸カリウムなどの金属酸化物等を用いることが好ましい。これにより、優れた化学的安定性、定着性および光反射性を得ることができる。非泳動粒子33B、泳動粒子32それぞれの構成材料は同じであってもよく、異なっていてもよい。非泳動粒子33Bは、外部から例えば白色または白色に近い色に視認される。非泳動粒子33Bの粒径は例えば10nm〜1000nmである。
隔壁34は、駆動基板10および対向基板20の積層方向(Z方向)に向かって延在する柱状の仕切りであり、駆動基板10および対向基板20に接している。具体的には、隔壁34の一方はシール層16、他方は対向電極22にそれぞれ接している。このような隔壁34を設けることにより、泳動粒子32は各セル36内に収容され、セル36間での泳動粒子32の移動を防ぐことができる。従って、泳動粒子32の拡散、対流および凝集などによる表示ムラの発生を抑えて、画質を向上させることが可能となる。隔壁34の高さ(Z方向)は、互いに揃っていることが好ましい。同じ高さの隔壁34を設けることにより、シール層16と対向電極22との間の距離(ギャップ)が面全体で均一に保たれ、電界強度を一定に維持することができる。これにより、応答速度のムラが解消される。隔壁34の高さにより、駆動基板10と対向基板20との間隙Hが規定されるようになっている。間隙Hの大きさは、小さくすることが好ましい。これにより、消費電力を抑えることができる。隔壁34の高さは、例えば1μm〜100μmである。
この隔壁34は、例えば対向基板20から駆動基板10に向かうに連れて、その幅(X方向)が小さくなる形状、所謂逆テーパ形状を有している。隔壁34の幅のうち、最も大きな幅W1(対向基板20との対向面の幅)は例えば5μm〜50μmであり、最も小さな幅W2(駆動基板10との対向面の幅)は例えば1μm〜30μmである。
図3は、隔壁34の平面(XY平面)形状を表したものである。このように、隔壁34は四角形状のセル36を構成するように設けられている。セル36はどのような形状であってもよく、例えば正方形状であっても矩形状であってもよい。複数のセル36は、マトリクス状(複数行×複数列)に配置されていることが好ましい。所定の方向(例えばX方向)に隣り合う隔壁34の距離(隔壁34のピッチP)は、例えば50〜500μmである。図3のI−I線に沿った断面の構成が図1に相当する。
隔壁34は光透過性材料により構成されていることが好ましい。隔壁34が光透過性材料を含むことにより、隔壁34に起因する光反射または光吸収を抑えることができる。隔壁34は、光透過性材料として例えば感光性樹脂材料を含んでいる。感光性樹脂材料としては、光パターニングが可能な樹脂、例えば、光架橋反応型、光変性型、光重合反応型、または光分解反応型の光硬化性樹脂などが挙げられる。隔壁34は、1種類の感光性樹脂材料により構成されていてもよく、あるいは複数種類の感光性樹脂材料を含んでいてもよい。感光性樹脂材料として、例えば化学的に安定なフォトレジストを用いることにより、隔壁34が泳動粒子32の泳動現象へ影響を及ぼすのを防ぐことができる。フォトレジストはネガ型、ポジ型のどちらであってもよい。感光性樹脂をパターニングするための光源は、どのようなものであってもよいが、例えば半導体レーザ、エキシマレーザ、電子線、紫外線、メタルハライドランプあるいは高圧水銀灯などを用いることができる。
封止剤40は、電気泳動素子30を駆動基板10と対向基板20との間に封止するためのものであり、例えば、高分子材料などの絶縁性材料により構成されている。封止剤40を設けることにより、外部から電気泳動素子30への水分の浸入を防ぐことも可能となる。このような封止剤40には、例えば微粒子を含むシール材を用いるようにしてもよい。泳動粒子32の移動を妨げないよう、封止剤40を配置することが好ましい。封止剤40の厚みは、隔壁34の高さ、即ち間隙Hと略同じである。封止剤40が、対向基板20または駆動基板10の周縁からはみ出していてもよい。
このような表示装置1は、例えば以下の手順により製造される(図4A,図4B)。
まず、支持部材21の一面に対向電極22を設けて対向基板20を形成した後、対向電極22上に隔壁34を形成する(図4A)。対向電極22は、各種成膜法等の既存の方法を用いて形成すればよい。隔壁34は、例えば以下のようなインプリント法により形成することが可能である。まず、隔壁34の構成材料(例えば感光性樹脂材料)を含む溶液を対向電極22上に塗布する。次いで、これに凹部を有する型を押し当て、感光させた後、型を外す。これにより、柱状の隔壁34が形成される。逆テーパ形状の隔壁34では、隔壁34から型を容易に外すことができる。
隔壁34を設けた後、隣り合う隔壁34の間、即ちセル36内に多孔質層33を形成する(図4B)。具体的には、まず、対向電極22上に多孔質層33を形成する。多孔質層33は、紡糸溶液に例えば非泳動粒子33Bとして酸化チタンを加えて十分に攪拌した後、これを紡糸して形成する。紡糸溶液は、例えばN,N’−ジメチルホルムアミドに繊維状構造体33Aとしてポリアクリロニトリルを分散または溶解させて調製する。紡糸には例えば静電紡糸法を用いる。静電紡糸法に代えて、相分離法、相反転法、溶融紡糸法、湿式紡糸法、乾式紡糸法、ゲル紡糸法、ゾルゲル法およびスプレー塗布法などを用いるようにしてもよい。
繊維状構造体33Aの形成には紡糸法を用いることが好ましい。高分子フィルムにレーザ加工を用いて孔開けを行い、多孔質層を形成する方法も提案されているが(特開2005−107146号公報参照)、この方法では孔径50μm程度の大きな孔しか形成できず、多孔質層により泳動粒子を完全に遮蔽することができない虞がある。
多孔質層33を形成した後、これを分断して、各セル36内に収める。紡糸により形成した多孔質層33を上(支持部材21と反対の方向)から押圧すると、隔壁34により多孔質層33が摺り切られる。この切断された多孔質層33を隔壁34間に収容する。このようにして、繊維状構造体33Aに非泳動粒子33Bが保持された多孔質層33をセル36毎に形成することができる。
次いで、多孔質層33が形成された対向基板20に泳動粒子32を分散させた絶縁性液体31を塗布する。続いて、これを封止剤40を介してシール層16を有する剥離部材(図示せず)に対向させる。その後、剥離部材からシール層16を剥がし、粘着層15により駆動基板10に固定する。駆動基板10には、例えば既存の方法を用いて、支持部材11の一面にTFT12、保護層13および画素電極14をこの順に形成しておく。以上の工程により、表示装置1が完成する。
この表示装置1は、初期状態では、全ての絶縁性液体31中に分散された泳動粒子32が画素電極14に近い側に配置される(図1)。このとき、対向基板20側から電気泳動素子30を見ると、泳動粒子32が多孔質層33に遮蔽され、画像が表示されない状態となっている。
TFT12により画素が選択されて、画素電極14と対向電極22との間に電界が印加されると、図5に示したように、選択された画素では泳動粒子32が多孔質層33の細孔35を通り、対向電極22に向って移動する。このとき、対向基板20側から電気泳動素子30を見ると、多孔質層33が泳動粒子32により遮蔽された暗表示の画素と遮蔽されていない明表示の画素の両方が存在する状態となっている。この暗表示の画素および明表示の画素によりコントラストが生じ、対向基板20側に画像が表示される。
ここでは、多孔質層33がセル36毎に分断されているので、セル36間での多孔質層33を介した泳動粒子32の移動が抑えられる。即ち、泳動粒子32の分散状態が、所望の状態に維持される。以下、これについて説明する。
図6は比較例に係る表示装置(表示装置100)の断面構成を表したものである。この表示装置100では、上記表示装置1と同様に、セル36間の泳動粒子32の移動を防止するための隔壁134が設けられている。しかしながら、この隔壁134と対向電極22との間には隙間Cがあり、この隙間Cを介して、セル36間の多孔質層33がつながっている。即ち、この多孔質層33は隣り合うセル36の間で連続しており、セル36毎に分断されていない。そのため、この連続した多孔質層33を介して泳動粒子32がセル36間を移動し、長時間の動作により泳動粒子32の分散状態が不均一化する虞がある。泳動粒子32の分散状態が不均一であると白反射率および黒反射率等の表示特性が面内でばらつく。コントラストは、上記のように白反射率と黒反射率との差により生じるものである。
これに対し、本実施の形態では、セル36毎に多孔質層33が分断されているので、泳動粒子32が多孔質層33を介してセル36間を移動するのを抑えることができる。よって、長時間動作させた場合にも、初期の泳動粒子32の分散状態が維持されるので、面内での表示特性のばらつきを抑えることが可能となる。
以上のように本実施の形態の表示装置1では、多孔質層33をセル36毎に分断するようにしたので、セルの分散状態を所望の状態に維持し、面内での表示特性のばらつきを抑えることが可能となる。よって、多孔質層を有する表示装置として高応答速度および高コントラストを実現すると共に、面内での表示特性を均一に維持し、表示品質を向上させることができる。
以下、本実施の形態の変形例について説明するが、以降の説明において上記実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
<変形例1>
図7は、上記実施の形態の変形例1に係る表示装置(表示装置1A)の要部の断面構成を表したものである。この表示装置1Aの電気泳動素子30Aは、隔壁34のピッチPよりも長さの小さい繊維状構造体33Aを有するものである。この点を除き、表示装置1Aは上記実施の形態の表示装置1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
図7は、上記実施の形態の変形例1に係る表示装置(表示装置1A)の要部の断面構成を表したものである。この表示装置1Aの電気泳動素子30Aは、隔壁34のピッチPよりも長さの小さい繊維状構造体33Aを有するものである。この点を除き、表示装置1Aは上記実施の形態の表示装置1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
電気泳動素子30Aでは、各々の繊維状構造体33Aの長さが隔壁34のピッチPよりも小さくなっている。また、繊維状構造体33Aは非泳動粒子33Bを保持するため、非泳動粒子33Bの粒径よりも繊維状構造体33Aの長さが大きいことが好ましい。このように長さが調整された繊維状構造体33Aは、セル36内で均一に配置され易くなる。よって、面内での表示特性が均一化し、より表示品質を向上させることができる。セル36を構成する辺のうち、最も短い辺の長さ(最も小さいピッチP)よりも繊維状構造体33Aの長さが小さいことが好ましい。セル36の形状が例えば矩形状であるとき、繊維状構造体33Aの長さはセル36を構成する短辺の長さよりも短いことが好ましい。このような繊維状構造体33Aの長さは、例えば1μm〜200μmである。
繊維状構造体33Aの長さの調整は、紡糸法により形成した繊維状物質を切断することにより行うことが可能である。例えば、凍結粉砕により繊維状物質を切断することも可能である。このように長さが調整された繊維状構造体33Aを用いることにより、多孔質層33は容易にセル36内に収容され、均一に配置される。隔壁34のピッチPよりも大きな長さの繊維状構造体を用いた場合、多孔質層33を押圧してセル36内に収容する工程が必要となる。また、この押圧工程で加圧された多孔質層33は、セル36内で密の部分と疎の部分とが生じ、不均一になり易い。これに対し、隔壁34のピッチPよりも小さな長さの繊維状構造体33Aを用いることにより、この押圧工程を簡便化、あるいは省略することが可能となる。従って、表示装置1Aの製造工程時間を短縮し、コストを抑えることが可能となる。また、多孔質層33は大きな力を加えられることがないので、セル36内に均一に配置される。更に、表示装置を大型化する際には、面内で均一に多孔質層33を押圧することが困難となる。従って、押圧工程を簡便化あるいは省略することにより表示装置の大型化にも適応し易くなる。
<変形例2>
図8は、上記実施の形態の変形例2に係る表示装置(表示装置1B)の隔壁(隔壁34A)の断面構成を表したものである。この隔壁34Aは、側面34AS−1,34AS−2と駆動基板10との接触部(下面34ABの一部)との間に切欠部C1,C2を有するものである。この点を除き、表示装置1Bは上記実施の形態の表示装置1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
図8は、上記実施の形態の変形例2に係る表示装置(表示装置1B)の隔壁(隔壁34A)の断面構成を表したものである。この隔壁34Aは、側面34AS−1,34AS−2と駆動基板10との接触部(下面34ABの一部)との間に切欠部C1,C2を有するものである。この点を除き、表示装置1Bは上記実施の形態の表示装置1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
切欠部C1,C2は、例えば互いに対向する2つの側面34AS−1,34AS−2それぞれと駆動基板10との下面34ABとの間に設けられている。このような2つの切欠部(切欠部C1,C2)を設けることにより、隔壁34Aには2つの傾斜面(傾斜面34AI−1,34AI−2)が形成される。これらの傾斜面34AI−1,34AI−2は、それぞれ側面34AS−1,34AS−2に対して角度α1,α2をなす角部E1,E2を形成する。駆動基板10と対向する位置には、傾斜面34AI−1と傾斜面34AI−2とにより角度βの先鋭部Pが形成される。このように切欠部C1,C2を設けることにより、角度α1,α2の角部E1,E2および角度βの先鋭P部が形成される。この角部E1,E2および先鋭部Pに繊維状構造体33Aが接すると、繊維状構造体33Aは切断され、セル36内に収容され易くなる。即ち、セル36毎に分断された多孔質層33を容易に製造することができる。角度α1,α2は例えば100°〜160°であり、角度βは例えば90°〜150°である。
図9は駆動基板10との下面34ABの一部を残すように切欠部C1,C2を設けた隔壁34Aの断面形状を表している。この隔壁34Aでは、傾斜面34AI−1と傾斜面34AI−2とによる先鋭部(図8の先鋭部P)が設けられていない。このように先鋭部を形成せず、角部E1,E2のみを設けるようにしてもよい。
図10はシール層16に接する隔壁34Aの一例を表すものである。このように、シール層16に隔壁34Aの一部、例えば先鋭部Pが埋設されていてもよい。
<変形例3>
図11は、上記実施の形態の変形例3に係る表示装置(表示装置1C)の断面構成を表したものである。この表示装置1Cは、直方体状の隔壁34Bを有するものである。この隔壁34Bでは、その延在方向で幅が変化しない。即ち、隔壁34Bは駆動基板10から対向基板20まで一定の幅で設けられている。この点を除き、表示装置1Cは上記実施の形態の表示装置1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
図11は、上記実施の形態の変形例3に係る表示装置(表示装置1C)の断面構成を表したものである。この表示装置1Cは、直方体状の隔壁34Bを有するものである。この隔壁34Bでは、その延在方向で幅が変化しない。即ち、隔壁34Bは駆動基板10から対向基板20まで一定の幅で設けられている。この点を除き、表示装置1Cは上記実施の形態の表示装置1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
次に上記表示装置1,1A,1B,1Cの適用例について説明する。表示装置1,1A,1B,1Cは、例えば、以下の電子機器に搭載可能であるが、以下で説明する電子機器の構成はあくまで一例であるため、その構成は適宜変更可能である。
<適用例1>
図12A,12Bは、電子ブックの外観構成を表している。この電子ブックは、例えば、表示部110および非表示部120と、操作部130とを備えている。なお、操作部130は、図12Aに示したように非表示部120の前面に設けられていてもよいし、図12Bに示したように上面に設けられていてもよい。表示部110が表示装置1により構成される。なお、表示装置1,1A,1B,1Cは、図12A,12Bに示した電子ブックと同様の構成を有するPDA(Personal Digital Assistants)などに搭載されてもよい。
図12A,12Bは、電子ブックの外観構成を表している。この電子ブックは、例えば、表示部110および非表示部120と、操作部130とを備えている。なお、操作部130は、図12Aに示したように非表示部120の前面に設けられていてもよいし、図12Bに示したように上面に設けられていてもよい。表示部110が表示装置1により構成される。なお、表示装置1,1A,1B,1Cは、図12A,12Bに示した電子ブックと同様の構成を有するPDA(Personal Digital Assistants)などに搭載されてもよい。
<適用例2>
図13は、テレビジョン装置の外観構成を表している。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル210およびフィルターガラス220を含む映像表示画面部200を備えている。映像表示画面部200が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
図13は、テレビジョン装置の外観構成を表している。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル210およびフィルターガラス220を含む映像表示画面部200を備えている。映像表示画面部200が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
<適用例3>
図14は、タブレットパーソナルコンピュータの外観を表したものである。このタブレットパーソナルコンピュータは、例えば、タッチパネル部310および筐体320を有しており、タッチパネル部310が上記表示装置1,1A,1B,1Cにより構成されている。
図14は、タブレットパーソナルコンピュータの外観を表したものである。このタブレットパーソナルコンピュータは、例えば、タッチパネル部310および筐体320を有しており、タッチパネル部310が上記表示装置1,1A,1B,1Cにより構成されている。
<適用例4>
図15A,15Bは、デジタルスチルカメラの外観構成を表しており、図15Aが前面、図15Bが後面を示している。このデジタルスチルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410と、表示部420と、メニュースイッチ430と、シャッターボタン440とを備えている。表示部420が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
図15A,15Bは、デジタルスチルカメラの外観構成を表しており、図15Aが前面、図15Bが後面を示している。このデジタルスチルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410と、表示部420と、メニュースイッチ430と、シャッターボタン440とを備えている。表示部420が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
<適用例5>
図16は、ノート型パーソナルコンピュータの外観構成を表している。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510と、文字等の入力操作用のキーボード520と、画像を表示する表示部530とを備えている。表示部530が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
図16は、ノート型パーソナルコンピュータの外観構成を表している。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510と、文字等の入力操作用のキーボード520と、画像を表示する表示部530とを備えている。表示部530が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
<適用例6>
図17は、ビデオカメラの外観構成を表している。このビデオカメラは、例えば、本体部610と、その本体部610の前面に設けられた被写体撮影用のレンズ620と、撮影時のスタート/ストップスイッチ630と、表示部640とを備えている。表示部640が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
図17は、ビデオカメラの外観構成を表している。このビデオカメラは、例えば、本体部610と、その本体部610の前面に設けられた被写体撮影用のレンズ620と、撮影時のスタート/ストップスイッチ630と、表示部640とを備えている。表示部640が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
<適用例7>
図18A,18Bは、携帯電話機の外観構成を表している。図18Aは携帯電話機を閉じた状態の正面、左側面、右側面、上面および下面を示し、図18Bは携帯電話機を開いた状態の正面および側面を示している。この携帯電話機は、例えば、上部筐体710と下部筐体720とが連結部(ヒンジ部)730を介して連結されたものであり、ディスプレイ740と、サブディスプレイ750と、ピクチャーライト760と、カメラ770とを備えている。ディスプレイ740またはサブディスプレイ750が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
図18A,18Bは、携帯電話機の外観構成を表している。図18Aは携帯電話機を閉じた状態の正面、左側面、右側面、上面および下面を示し、図18Bは携帯電話機を開いた状態の正面および側面を示している。この携帯電話機は、例えば、上部筐体710と下部筐体720とが連結部(ヒンジ部)730を介して連結されたものであり、ディスプレイ740と、サブディスプレイ750と、ピクチャーライト760と、カメラ770とを備えている。ディスプレイ740またはサブディスプレイ750が表示装置1,1A,1B,1Cにより構成される。
<実施例>
次に、本技術の実施例について説明する。
次に、本技術の実施例について説明する。
多孔質層の構造が互いに異なる表示装置を2つ製造した(実験例1,2)。実験例1は、セル毎に多孔質層を分断した表示装置(例えば図1)であり、実験例2はセル間で多孔質層が連続している表示装置(例えば図6)である。これら実験例1,2の表示装置を連続して8時間動作させた。このときの実験例1,2の表示装置の表示面内3箇所(位置P1,P2,P3)の白反射率(%)および黒反射率(%)を測定し、これを動作前と比較した。この結果を表1に示す。表1中、「前」は動作前の白反射率および黒反射率を示し、「後」は8時間動作後の白反射率および黒反射率を示す。なお、図19に示したように、それぞれ位置P1は表示面左端、位置P2は表示面中央、位置P3は表示面右端である。
実験例1の表示装置では、位置P1,P2,P3に関わらず、動作後においても動作前の白反射率および黒反射率がほぼ維持されている。従って、動作後にも位置P1,P2,P3それぞれの白反射率および黒反射率は、互いに近い値を示し、位置によるばらつきが小さい。動作後の位置P1,P2,P3それぞれの白反射率は、40.1%,40.7%,40.5%であり、黒反射率は2.3%,2.3%,2.2%である。目視によっても、動作前後での表示品質は同じであることが確認された。
一方、実験例2の表示装置では、動作後の白反射率および黒反射率が共に、動作前と比較して低下しており、動作後の白反射率および黒反射率は、位置P1,P2,P3間で大きくばらついている。動作後の位置P1,P2,P3それぞれの白反射率は、39.8%,41.7%,44.1%であり、黒反射率は2.1%,2.0%,2.2%である。特に、白反射率が大きく低下している。これは、泳動粒子がセル間を移動し、隔壁と対向電極との間の隙間(図6の隙間C)に入りこむことに起因すると考えられる。このような白反射率の低下により、コントラストが低下する。目視においても、面内の位置により濃淡ムラが生じていることが確認された。
よって、上記の結果より、セル毎に分断して多孔質層を設けた実験例1の表示装置では、面内での表示特性のばらつきを抑え、表示特性を均一に維持できることが確認された。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、本技術の電気泳動素子は、表示装置に限らず、他の電子機器に適用してもよい。
また、上記実施の形態等では、泳動粒子32および多孔質層33が四角形状のセル36(図3)に収容されている場合について説明したが、セル36はどのような形状であってもよく、例えば図20に示したような六角形状(ハニカム構造)であってもよい。
更に、上記実施の形態等では、泳動粒子32により暗表示、多孔質層33により明表示を行う場合について説明したが、多孔質層33により暗表示、泳動粒子32により明表示を行うようにしてもよい。また、2種類の多孔質層により暗表示と明表示とを行うことも可能である。この場合、一方の多孔質層が電圧印加により移動する。
加えて、図1等では隔壁34のピッチと画素電極14のピッチとが一致している場合を示したが、これらは一致していなくてもよい。
また更に、上記実施の形態等では、駆動基板10とシール層16とを粘着層15を介して固定する場合について説明したが、シール層16を直接、駆動基板10に固定することも可能である。
また加えて、上記実施の形態等では、対向基板20に絶縁性液体31を塗布した後、シール層16を対向させる方法について説明したが、他の方法により表示装置1を製造するようにしてもよい。例えば、対向基板20とシール層16とを対向配置した後、絶縁性液体31を充填するようにしてもよい。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)複数のセル各々に収容された第1粒子と、前記セル内に設けられ、セル毎に分断された多孔質層とを備えた表示装置。
(2)隣り合う前記セルの間には隔壁が設けられている前記(1)に記載の表示装置。
(3)対向する一対の基板を有し、前記隔壁は前記一対の基板の両方に接している前記(2)に記載の表示装置。
(4)前記隔壁は、前記基板の一方との接触部と側面との間に切欠部を有する前記(3)に記載の表示装置。
(5)前記隔壁には、2つの前記切欠部により前記基板の一方と対向する先鋭部が形成されている前記(4)に記載の表示装置。
(6)前記多孔質層は、繊維状構造体および前記繊維状構造体に保持された第2粒子を含む前記(1)乃至(5)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
(7)前記繊維状構造体の長さは、前記セルを構成する辺のうち最も短い辺の長さよりも小さい前記(6)に記載の表示装置。
(8)前記繊維状構造体の長さは、前記第2粒子の粒径よりも大きい前記(7)に記載の表示装置。
(9)前記第1粒子は、電圧印加により前記多孔質層の厚み方向に移動可能である前記(1)乃至(8)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
(10)前記第2粒子の光反射率と前記第1粒子の光反射率とは異なる前記(6)に記載の表示装置。
(11)前記第2粒子の光反射率は前記第1粒子の光反射率よりも高い前記(10)に記載の表示装置。
(12)前記第1粒子は、有機顔料,無機顔料,染料,炭素材料,金属材料,金属酸化物,ガラスおよび高分子材料のうちの少なくともいずれか1つにより構成されている前記(1)乃至(11)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
(13)表示装置を備え、前記表示装置は、複数のセル各々に収容された第1粒子と、前記セル内に設けられ、セル毎に分断された多孔質層とを含む電子機器。
(1)複数のセル各々に収容された第1粒子と、前記セル内に設けられ、セル毎に分断された多孔質層とを備えた表示装置。
(2)隣り合う前記セルの間には隔壁が設けられている前記(1)に記載の表示装置。
(3)対向する一対の基板を有し、前記隔壁は前記一対の基板の両方に接している前記(2)に記載の表示装置。
(4)前記隔壁は、前記基板の一方との接触部と側面との間に切欠部を有する前記(3)に記載の表示装置。
(5)前記隔壁には、2つの前記切欠部により前記基板の一方と対向する先鋭部が形成されている前記(4)に記載の表示装置。
(6)前記多孔質層は、繊維状構造体および前記繊維状構造体に保持された第2粒子を含む前記(1)乃至(5)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
(7)前記繊維状構造体の長さは、前記セルを構成する辺のうち最も短い辺の長さよりも小さい前記(6)に記載の表示装置。
(8)前記繊維状構造体の長さは、前記第2粒子の粒径よりも大きい前記(7)に記載の表示装置。
(9)前記第1粒子は、電圧印加により前記多孔質層の厚み方向に移動可能である前記(1)乃至(8)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
(10)前記第2粒子の光反射率と前記第1粒子の光反射率とは異なる前記(6)に記載の表示装置。
(11)前記第2粒子の光反射率は前記第1粒子の光反射率よりも高い前記(10)に記載の表示装置。
(12)前記第1粒子は、有機顔料,無機顔料,染料,炭素材料,金属材料,金属酸化物,ガラスおよび高分子材料のうちの少なくともいずれか1つにより構成されている前記(1)乃至(11)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
(13)表示装置を備え、前記表示装置は、複数のセル各々に収容された第1粒子と、前記セル内に設けられ、セル毎に分断された多孔質層とを含む電子機器。
1,1A,1B,1C・・・表示装置、10・・・駆動基板、11・・・支持部材、12・・・TFT、13・・・保護層、14・・・画素電極、15・・・接着層、16・・・シール層、20・・・対向基板、21・・・支持部材、22・・・対向電極、30・・・電気泳動素子、31・・・絶縁性液体、32・・・泳動粒子、33・・・多孔質層、33A・・・繊維状構造体、33B・・・非泳動粒子、34,34A,34B・・・隔壁、35・・・細孔、36・・・セル、40・・・スペーサ。
Claims (13)
- 複数のセル各々に収容された第1粒子と、
前記セル内に設けられ、セル毎に分断された多孔質層と
を備えた表示装置。 - 隣り合う前記セルの間には隔壁が設けられている
請求項1に記載の表示装置。 - 対向する一対の基板を有し、
前記隔壁は前記一対の基板の両方に接している
請求項2に記載の表示装置。 - 前記隔壁は、前記基板の一方との接触部と側面との間に切欠部を有する
請求項3に記載の表示装置。 - 前記隔壁には、2つの前記切欠部により前記基板の一方と対向する先鋭部が形成されている
請求項4に記載の表示装置。 - 前記多孔質層は、繊維状構造体および前記繊維状構造体に保持された第2粒子を含む
請求項1に記載の表示装置。 - 前記繊維状構造体の長さは、前記セルを構成する辺のうち最も短い辺の長さよりも小さい
請求項6に記載の表示装置。 - 前記繊維状構造体の長さは、前記第2粒子の粒径よりも大きい
請求項7に記載の表示装置。 - 前記第1粒子は、電圧印加により前記多孔質層の厚み方向に移動可能である
請求項1に記載の表示装置。 - 前記第2粒子の光反射率と前記第1粒子の光反射率とは異なる
請求項6に記載の表示装置。 - 前記第2粒子の光反射率は前記第1粒子の光反射率よりも高い
請求項10に記載の表示装置。 - 前記第1粒子は、有機顔料,無機顔料,染料,炭素材料,金属材料,金属酸化物,ガラスおよび高分子材料のうちの少なくともいずれか1つにより構成されている
請求項1に記載の表示装置。 - 表示装置を備え、
前記表示装置は、
複数のセル各々に収容された第1粒子と、
前記セル内に設けられ、セル毎に分断された多孔質層とを含む
電子機器。
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