JP2004190765A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の転がり軸受10は、外周面に内輪軌道面を形成した内輪14,16と、内周面に外輪軌道面12,13を形成した外輪11と、内輪14,16の外周面と外輪11の内周面との間に内外輪11,14,16に対し相対回転自在に配された保持器19,19と、保持器19,19に転動自在に保持されたころ18とからなる組合せを複数列または単列を複数列備えている。そして、各列に予め定められたテーパ角をもつテーパ状軌道面15,17を有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般産業機械用に使用される円筒ころ軸受に関し、特に支持軸に撓みを生ずるような重負荷荷重条件に用いられる転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、重負荷荷重によるモーメント荷重を支持する軸受では、径方向へのサイズアップを行うことによって負荷容量を増やすのと同時に、複数列の円筒ころ軸受を配置することによって軸受剛性を高めるのが一般的である。
【0003】
上記の場合、実際的には、重荷重による支持軸の撓みが生ずることによって、軸受内部軌道面と転動面間においては、ミスアライメント角を受けた状態で運転が行われることになる。ミスアライメントを持つ軸受は、内輪の中心軸と外輪の中心軸とが非平行の状態にある軸受であり、実機においては摩擦トルクの上昇などを伴う。
【0004】
ミスアライメント角が特に大きくなる場合には、転動面軸方向の接触面分布は偏りをもった面圧分布になり、エッジロードの発生によって剥離やかじり等の軸受の損傷を引き起こす問題が懸念されている。ここで、エッジロードとは、軌道輪ところとの接触において、ころの形状が不適切であると、局所的な面圧増大が端部に生じ、そこを起点として早期剥離が生じることである。エッジロードは、軸受が大きく傾いた際にも発生する。
【0005】
上記従来の不具合に対し、転動面に、転動面端部の落ち込み量が通常よりも大きいクラウニングを施すことによって、エッジロードの発生を抑制するようにしたもの(例えば、特許文献1参照)や、ころ径と軌道径とを列毎に変更することによって、エッジロードの発生を抑制するようにしたもの(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献1に記載されたころ軸受は、案内鍔のない軌道輪の軌道面には半径Rのフルクラウニングを施し、案内鍔のある軌道輪にはクラウニングを施さないようにして、ころ中心線と内輪とのなす角度を最も小さくし、案内鍔のある軌道輪には直線部を中央に残し、両端の案内鍔の近傍のみにクラウニングを施している。
【0007】
特許文献2に記載された圧延機用ロールネック軸受装置は、4列円筒ロールネックに用いられるものであって、ロール側の列の転動体に対向する外輪のロール側軌道面の直径から内輪のロール側軌道面の直径とロール側の列の転動体の直径の2倍とを引き算した値であるロール側転動体径方向隙間を、駆動手段側の列の転動体に対向する外輪の駆動手段側軌道面の直径から内輪の駆動手段側軌道面の直径と駆動手段側の列の転動体の直径の2倍とを引き算した値である駆動手段側転動体径方向隙間よりも大きくしている。
【0008】
【特許文献1】
実用新案登録第2554882号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】
特許第3151082号公報(第3−4頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ころ軸受及び圧延機用ロールネック軸受装置では、支持軸の撓み等による軸受へのミスアライメントが生じた条件において、転動面クラウニング形状での対応策のみでは限界があり、過酷な条件下において、剥離やかじり等の軸受損傷を完全に回避することができない。
【0010】
例えば、複列円筒ころ軸受を用いて上記のような大きなモーメント荷重を支持するに際しては、支持軸のベンディングによって、軸受内部の各列におけるベンディング量や撓み量は異なっており、負荷荷重点に近い側の列が、その角度や量は大きくなる。
しかしながら、通常仕様として、各列(列1,列2)のラジアル内部隙間は同じ値に設定されているため、各々の列にかかる荷重分担に差を生じ、負荷荷重に近い側の列に、より多く負荷されることになる。その結果、軸受の損傷は、負荷分担を多く受けた列、つまり、負荷荷重側の転動面や軌道面に損傷を及ぼす度合いが高くなる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来の負荷容量のままで、軸受内部の仕様に格別な工夫を施すことによって、耐モーメント荷重性を高くすることができる転がり軸受を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の転がり軸受は、外周面に内輪軌道面を形成した内輪と、内周面に外輪軌道面を形成した外輪と、前記内輪の外周面と前記外輪の内周面との間に該内外輪に対し相対回転自在に配された保持器と、前記保持器に転動自在に保持されたころと、からなる組合せを複数列または単列を複数列備えた転がり軸受であって、前記各列に、予め定められたテーパ角をもつテーパ状軌道面を有することを特徴とする。
【0013】
前記構成の転がり軸受によれば、内輪と、外輪と、保持器と、ころと、からなる複数列または単列を複数列備えた組合せの各列が、予め定められたテーパ角をもつテーパ状軌道面を有する。
したがって、各列で受け持つ支持軸のベンディング角を、その列の軸受において、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに設けられ、接触面圧分布の均等化が図られる。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0014】
本発明の請求項2記載の転がり軸受は、外周面に内輪軌道面を形成した内輪と、内周面に外輪軌道面を形成した外輪と、前記内輪の外周面と前記外輪の内周面との間に該内外輪に対し相対回転自在に配された保持器と、前記保持器に転動自在に保持されたころと、からなる組合せを複数列または単列を複数列備えた転がり軸受であって、前記各列に、異なる大きさのラジアル内部隙間が設定されていることを特徴とする。
【0015】
前記構成の転がり軸受によれば、内輪と、外輪と、保持器と、ころと、からなる複数列または単列を複数列備えた組合せの各列が、異なる大きさのラジアル内部隙間を有する。
したがって、各列で受け持つ支持軸の撓み量を、その列の軸受部分において負荷荷重の条件として捉え、各列及び各ころが均等に全体荷重を分担できるようにするため、負荷荷重側の列のラジアル内部隙間量を大きくするように、各々のラジアル内部隙間量が設定される。その結果、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0016】
本発明の請求項3記載の転がり軸受は、前記テーパ状軌道面のテーパ角が同一方向に向けて配されていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受である。前記構成において、テーパ状軌道面のテーパ角を、同一方向に向けて配すれば、各列で受け持つ支持軸のベンディング角を、その列の軸受において、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに同一方向にして設けられ、接触面圧分布の均等化が図られる。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0017】
本発明の請求項4記載の転がり軸受は、前記ラジアル内部隙間は、各列のテーパ状軌道面に対応して隙間寸法が順次異なる大きさに設定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の転がり軸受である。
前記構成において、ラジアル内部隙間が、各列のテーパ状軌道面に対応して隙間寸法が順次異なる大きさに設定されれば、各列で受け持つ支持軸の撓み量を、その列の軸受部分において負荷荷重の条件として捉え、各列及び各ころが均等に全体荷重を分担できるようにするため、負荷荷重側の列のラジアル内部隙間量を大きくするように、各々のラジアル内部隙間量が、各列のテーパ状軌道面に対応して順次設定される。その結果、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る第1実施形態の転がり軸受の半断面図、図2は図1に示す転がり軸受の使用例(複列円筒ころ軸受と自動調心ころ軸受で軸を支持したモデル)である概略図、図3は図1に示す転がり軸受における荷重負荷時の半断面図、図4は本発明に係る第2実施形態の転がり軸受の半断面図、図5は本発明に係る第3実施形態の転がり軸受の半断面図である。なお、第2実施形態以下に示す各実施形態において、既に説明した部材等と同様な構成・作用を有する部材等については、図中に対応符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。
【0019】
図1に示すように、本発明の第1実施形態の転がり軸受10は、内輪分割型の複列円筒ころ軸受であって、内周面に軸方向に平行で同一の内径をもつ一対の外輪軌道面12,13を有する単一の外輪11と、外周面に第1テーパ状軌道面15を有する第1内輪14と、外周面に第2テーパ状軌道面17を有する第2内輪16と、外輪11の外輪軌道面12と第1内輪14の第1テーパ状軌道面15との間及び、外輪11の外輪軌道面13と第2内輪16の第2テーパ状軌道面17との間に複数配置された転動体である円筒形で同一外径のころ18とを備えている。
【0020】
ころ18は、外輪11の内周面と第1内輪14の外周面及び外輪11の内周面と第2内輪16の外周面との間に組み込まれた一対の環状の保持器19,19によって、周方向に一定の間隔を隔てて保持されている。転がり軸受10は、第1,第2内輪14,16に内嵌される支持軸の端部に負荷されるラジアル荷重を自動調心軸受と組み合わせて支持する。
【0021】
外輪11には、外輪軌道面12に連続して大つば12a,小つば12bが形成され、外輪軌道面13に連続して大つば13a,小つば13bが形成されている。大つば12a,13aは外輪軌道面12,13の正面側に設けられ、小つば12b,13bは外輪軌道面12,13の背面側に設けられている。
【0022】
第1内輪14は、複列のうち、図1中の左方側の荷重負荷側列A1に配されている。第1内輪14の第1テーパ状軌道面15は、外輪軌道面12に平行に配される内周面14aに対して予め定められたミスアライメント角∠A1をもって形成されている。
第1テーパ状軌道面15は、第2内輪16側の背面から正面に向けて第1内輪14の外径がテーパ状に小さくなるように傾斜して形成されており、第1内輪14の中心線X1上で、ころ18の外周面から予め定められたラジアル内部隙間量ΔA1だけ離れて配されている。
【0023】
第2内輪16は、複列のうち、図1中の右方側の荷重負荷側列A2に配されている。第2内輪16の第2テーパ状軌道面17は、外輪軌道面13に平行に配される内周面16aに対して予め定められたミスアライメント角∠A2をもって形成されている。
第2テーパ状軌道面17は、第1内輪14側の背面から正面に向けて第2内輪16の外径が逆テーパ状に大きくなるように傾斜して形成されており、第2内輪16の中心線X2上で、ころ18の外周面から予め定められたラジアル内部隙間量ΔA2だけ離れて配されている。ここで、第1内輪14のラジアル内部隙間量ΔA1と、第2内輪16のラジアル内部隙間量ΔA2との関係は、ΔA1>ΔA2である。
【0024】
第1,第2テーパ状軌道面15,17は、荷重負荷側の同一方向に向けたテーパ角∠A1,∠A2をもち、荷重負荷側が大きくなるように互いに異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2を有する。
【0025】
ころ18は、外輪軌道面12,13上に転動自在に配されており、大つば12a,小つば12b、大つば13a,小つば13bによってアキシアル方向の移動を規制される。
【0026】
保持器19,19は、櫛形保持器であって、ころ18を挿入して転動自在に保持するために、等脚台形のポケット19aが周方向に一定の間隔で複数形成され、ころ18をポケット19a内に収容して周方向の間隔が一定に保たれる。
【0027】
次に、上記複列円筒ころ軸受10の使用例として、複列円筒ころ軸受と自動調心ころ軸受で軸を支持したモデルについて説明する。
図2に示すように、支持軸50に負荷されるラジアル荷重Wに対して、
複列円筒ころ軸受Aの荷重負荷側列A1及び非荷重負荷側列A2と、支持軸50の端部に配される自動調心軸受Bに負荷荷重が作用する。過大な荷重が負荷された支持軸50は、各軸受に支持されながらも支持軸50に撓みが生じることにより、各軸受内部には各々異なる変位量ΔA1,ΔA2及びミスアライメント角∠A1,∠A2が発生し、これらが使用条件として釣合った状態にある。
【0028】
ここで、ラジアル荷重Wの作用点から自動調心軸受Bまでの距離をaとし、ラジアル荷重Wの作用点から外輪11の中心までの距離をbとし、外輪11の中心から自動調心軸受Bまでの距離をcとすると、外輪11の中心にかかる応力F1は、F1=(a/c)・Wであり、自動調心軸受Bにかかる応力F2は、F2=(b/c)・Wで表される。
【0029】
ここで、各列A1,A2の最大転動体荷重がほぼ同等になるように、各列A1,A2のラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2を解析により求めて設定することにより、両列A1,A2の負荷割合が均等化される。
従来では、各列A1,A2のラジアル内部隙間量は共に同じ値であり、軸受変位量が大きい荷重負荷側列A1側が多くの荷重を受けてしまう。
【0030】
また、各列A1,A2のミスアライメント角∠A1,∠A2を解析により求めて、それらを内輪軌道面のテーパ角に一致させて第1,第2テーパ状軌道面15,17とすることで、各列A1,A2の転動面における接触面圧分布が平均化され、エッジロードの発生を回避することができる。
【0031】
上述した内部仕様を施すことにより、転動面における接触面圧は、エッジロードの回避とともに、各列A1,A2の接触応力を有効長さ全体で緩和することができるので、軸受寿命の延長化を図ることができる。
【0032】
図3に示すように、支持軸に過大な荷重が負荷された際、その過大な荷重によって撓む支持軸の撓み量に対応して、ラジアル内部隙間量ΔA1を介して配された荷重負荷側列A1の第1テーパ状軌道面15が、ミスアライメント角∠A1をもって軸線X0に対して相対的に傾斜する。また、ラジアル内部隙間量ΔA2を介して配された非荷重負荷側列A2の第2テーパ状軌道面17が、ミスアライメント角∠A2をもって軸線X0に対して相対的に傾斜する。
これにより、両列A1,A2の負荷割合が均等化され、使用条件として釣合うことで、各列A1,A2の転動面における接触面圧分布が平均化され、エッジロードの発生を回避することができる。
【0033】
第1実施形態の転がり軸受10によれば、第1,第2内輪14,16と、外輪11と、保持器19,19と、ころ18と、からなる各列A1,A2が、予め定められたミスアライメント角∠A1,∠A2をもち、異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2を介して配された第1,第2テーパ状軌道面15,17を有する。
したがって、各列A1,A2で受け持つ支持軸のベンディング角を、その列の軸受において、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに設けられ、接触面圧分布の均等化が図られるので、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0034】
また、各列A1,A2で受け持つ支持軸の撓み量を、その列の軸受部分において負荷荷重の条件として捉え、各列A1,A2及び各ころ18が均等に全体荷重を分担できるようにするため、負荷荷重側の列A1のラジアル内部隙間量を大きくするように、各々のラジアル内部隙間量が設定される。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0035】
また、第1実施形態の転がり軸受10によれば、第1,第2テーパ状軌道面15,17のテーパ角∠A1,∠A2が、同一方向に向けて配され、ラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2が、各列A1,A2の第1,第2テーパ状軌道面15,17に対応して隙間寸法を順次異なる大きさに設定されている。
したがって、各列A1,A2で受け持つ支持軸のベンディング角を、その列の軸受において、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに同一方向にして設けられ、接触面圧分布の均等化が図られる。
【0036】
また、各列A1,A2で受け持つ支持軸50の撓み量を、その列の軸受部分において負荷荷重の条件として捉え、各列A1,A2及び各ころ18が均等に全体荷重を分担できるようにするため、負荷荷重側の列A1のラジアル内部隙間を大きくするように、各々のラジアル内部隙間量が、各列A1,A2の第1,第2テーパ状軌道面15,17に対応して順次設定される。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0037】
次に、図4を用いて本発明の第2実施形態の転がり軸受について説明する。図4に示す転がり軸受20は、内輪分割型の複列円筒ころ軸受であって、この場合、外輪軌道面にもラジアル内部隙間に相当する変位量を設定している。
【0038】
転がり軸受20は、内周面に軸方向に平行で内径が異なる一対の外輪軌道面22,23を有する単一の外輪21と、外周面に第1テーパ状軌道面25を有する第1内輪24と、外周面に第2テーパ状軌道面27を有する第2内輪26と、を備えている。
また、外輪21の外輪軌道面22と第1内輪24の第1テーパ状軌道面25との間及び、外輪21の外輪軌道面23と第2内輪26の第2テーパ状軌道面27との間に複数配置された円筒形で同一外径のころ28と、一対の環状の保持器29,29と、を備えている。
【0039】
外輪21は、図4中左側の列A1側に配される外輪軌道面22の内径が、図4中右側の列A2側に配される外輪軌道面23の内径よりも変位量Δだけ大きく設定されている。そのため、外輪軌道面22上に配される列A1のころ28の外周面における内径の方が、外輪軌道面23上に配される列A2のころ28の外周面における内径よりも大きい。
【0040】
第1内輪24は、列A1側に配されており、第1内輪24の第1テーパ状軌道面25は、外輪軌道面22に平行に配される内周面24aに対して予め定められたミスアライメント角∠A1をもって形成されている。
第1テーパ状軌道面25は、第2内輪26側の背面から正面に向けて第1内輪24の外径がテーパ状に小さくなるように傾斜して形成されており、第1内輪24の中心線X1上で、ころ28の外周面から予め定められたラジアル内部隙間量ΔA1だけ離れて配されている。
【0041】
第2内輪26は、列A2側に配されており、第2内輪26の第2テーパ状軌道面27は、外輪軌道面23に平行に配される内周面26aに対して予め定められたミスアライメント角∠A2をもって形成されている。
第2テーパ状軌道面27は、第1内輪24側の背面から正面に向けて第2内輪26の外径が逆テーパ状に大きくなるように傾斜して形成されており、第2内輪26の中心線X2上で、ころ28の外周面から予め定められたラジアル内部隙間量ΔA2だけ離れて配されている。ここで、第1内輪24のラジアル内部隙間量ΔA1と、第2内輪26のラジアル内部隙間量ΔA2との関係は、ΔA1>ΔA2である。
【0042】
第1,第2テーパ状軌道面25,27は、荷重負荷側の同一方向に向けたテーパ角∠A1,∠A2をもち、荷重負荷側が大きくなるように互いに異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2を有する。
【0043】
第1,第2テーパ状軌道面25,27のテーパ角∠A1,∠A2は、列A1,A2におけるミスアライメントによる接触面圧上の悪影響が少なければ、∠A1=∠A2としても同等の機能を果たすことが可能である。
これにより、テーパ角が異なる場合での識別表示の手間が省けるとともに、異なるテーパ角をもつ内輪を逆の順序で組付けてしまうという組立てミスを回避することができる。よって、生産性の向上によるコスト低減や不具合対策の不要化を図れる。
【0044】
第2実施形態の転がり軸受20では、第1,第2内輪24,26と、外輪21と、保持器29,29と、ころ28と、からなる各列A1,A2が、予め定められたミスアライメント角∠A1,∠A2をもち、異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2を介して配された第1,第2テーパ状軌道面25,27を有している。更に、列A1側に配される外輪軌道面22の内径が、列A2側に配される外輪軌道面23の内径よりも変位量Δだけ大きく設定されている。変位量Δは、列A1におけるラジアル内部隙間量ΔA1とともにラジアル内部隙間量を構成する。
したがって、各列A1,A2で受け持つ支持軸のベンディング角を、その列の軸受において、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに設けられ、接触面圧分布の均等化が図られるので、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0045】
また、各列A1,A2で受け持つ支持軸の撓み量を、その列の軸受部分において負荷荷重の条件として捉え、各列A1,A2及び各ころ28が均等に全体荷重を分担できるようにするため、負荷荷重側の列A1のラジアル内部隙間量を大きくするように、各々のラジアル内部隙間量が設定される。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0046】
また、第2実施形態の転がり軸受20では、第1,第2テーパ状軌道面25,27のテーパ角∠A1,∠A2が、同一方向に向けて配され、第1,第2ラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2が、各列A1,A2の第1,第2テーパ状軌道面25,27に対応して隙間寸法を順次異なる大きさに設定されている。
したがって、各列A1,A2で受け持つ支持軸のベンディング角を、その列の軸受において、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに同一方向にして設けられ、接触面圧分布の均等化が図られる。
【0047】
また、各列A1,A2で受け持つ支持軸の撓み量を、その列の軸受部分において負荷荷重の条件として捉え、各列A1,A2及び各ころ28が均等に全体荷重を分担できるようにするため、負荷荷重側の列A1のラジアル内部隙間量を大きくするように、各々のラジアル内部隙間量が、各列A1,A2の第1,第2テーパ状軌道面25,27に対応して順次設定される。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0048】
次に、図5を用いて本発明の第3実施形態の転がり軸受について説明する。図5に示す転がり軸受30は、3列の円筒ころ軸受であって、内輪が単列、外輪が複列と単列の組合せにより構成されている。
【0049】
転がり軸受30は、内周面が軸方向に平行で内径が同一の一対の外輪軌道面32,33を有する第1外輪31と、内周面が軸方向に平行な外輪軌道面35を有する第2外輪34と、外周面に第1テーパ状軌道面37を有する第1内輪36と、外周面に第2テーパ状軌道面39を有する第2内輪38と、外周面に第3テーパ状軌道面41を有する第3内輪40とを備えている。
また、第1外輪31の外輪軌道面32と第1内輪36の第1テーパ状軌道面37との間、第1外輪31の外輪軌道面33と第2内輪38の第2テーパ状軌道面39との間及び、第2外輪34の外輪軌道面35と第3テーパ状軌道面41との間に複数配置された同一外径の円筒形のころ42と、環状の保持器43,44,45とを備えている。
【0050】
第1外輪31には、外輪軌道面32に連続して大つば32a,小つば32bが形成され、外輪軌道面33に連続して大つば33a,小つば33bが形成されている。大つば32a,33aは、外輪軌道面32,33の正面側に設けられ、小つば32b,33bは外輪軌道面32,33の背面側に設けられている。
また、第2外輪34には、外輪軌道面35に連続して大つば35a,小つば35bが形成されている。大つば35aは外輪軌道面35の正面側に設けられ、小つば35bは外輪軌道面35の背面側に設けられている。
【0051】
第1内輪36は、複列のうち、図5中の左方側の荷重負荷側列(A1)に配されている。第1内輪36の第1テーパ状軌道面37は、外輪軌道面32に平行に配される内周面36aに対して予め定められたミスアライメント角∠A1をもって形成されている。
第1テーパ状軌道面37は、第2内輪38側の背面から正面に向けて第1内輪36の外径がテーパ状に小さくなるように傾斜して形成されており、第1内輪36の中心線X1上で、ころ42の外周面から予め定められたラジアル内部隙間量ΔA1だけ離れて配されている。
【0052】
第2内輪38は、複列のうち、図5中の中央部の荷重負荷側列(A2)に配されている。第2内輪38の第2テーパ状軌道面39は、外輪軌道面33に平行に配される内周面38aに対して予め定められたミスアライメント角∠A2をもって形成されている。
第2テーパ状軌道面39は、第1内輪36側の背面から正面に向けて第2内輪38の外径が逆テーパ状に大きくなるように傾斜して形成されており、第2内輪38の中心線X2上で、ころ42の外周面から予め定められたラジアル内部隙間量ΔA2だけ離れて配されている。
【0053】
第3内輪40は、複列のうち、図5中の右方側の荷重負荷側列(A3)に配されている。第3内輪40の第3テーパ状軌道面41は、外輪軌道面35に平行に配される内周面40aに対して予め定められたミスアライメント角∠A3をもって形成されている。
第3テーパ状軌道面41は、第2内輪38側の背面から正面に向けて第3内輪40の外径が逆テーパ状に大きくなるように傾斜して形成されており、第3内輪40の中心線X3上で、ころ42の外周面から予め定められたラジアル内部隙間量ΔA3だけ離れて配されている。ここで、第1内輪36のラジアル内部隙間量ΔA1と、第2内輪38のラジアル内部隙間量ΔA2と、第3内輪40のラジアル内部隙間量ΔA3との関係は、ΔA1>ΔA2>ΔA3である。
【0054】
第1,第2,第3テーパ状軌道面37,39,41は、荷重負荷側の同一方向に向けたテーパ角∠A1,∠A2,∠A3をもち、荷重負荷側が大きくなるように互いに異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2,ΔA3を有する。
【0055】
ころ42は、外輪軌道面32,33,35上に転動自在に配されており、大つば32a,小つば32b、大つば33a,小つば33b、大つば35a,小つば35bによってアキシアル方向の移動を規制される。
【0056】
保持器43,44は、櫛形保持器であって、ころ42を挿入して転動自在に保持するために、等脚台形のポケット43a,44aが周方向に一定の間隔で複数形成され、ころ42をポケット43a,44a内に収容して周方向の間隔が一定に保たれる。
また、保持器45は、もみぬき保持器であって、ころ42を挿入して転動自在に保持するために、矩形状のポケット45aが周方向に一定の間隔で複数形成され、ころ42をポケット45a内に収容して周方向の間隔が一定に保たれる。
【0057】
第3実施形態の転がり軸受30では、第1,第2,第3内輪36,38,40と、第1,第2外輪31,34と、保持器43,44,45と、ころ42と、からなる各列A1,A2,A3が、予め定められたミスアライメント角∠A1,∠A2,∠A3をもち、異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2,ΔA3を介して配された第1,第2,第3テーパ状軌道面37,39,41を有する。
【0058】
したがって、各列A1,A2,A3で受け持つ支持軸のベンディング角を、その列の軸受において、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに設けられ、接触面圧分布の均等化が図られるので、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
また、各列A1,A2,A3で受け持つ支持軸の撓み量を、その列の軸受部分において負荷荷重の条件として捉え、各列A1,A2,A3及び各ころ42が均等に全体荷重を分担できるようにするため、負荷荷重側の列A1のラジアル内部隙間量を大きくするように、各々のラジアル内部隙間量が設定される。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0059】
また、第3実施形態の転がり軸受30では、第1,第2,第3テーパ状軌道面37,39,41のテーパ角∠A1,∠A2,∠A3が、同一方向に向けて配され、第1,第2,第3ラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2,ΔA3が、各列A1,A2,A3の第1,第2,第3テーパ状軌道面37,39,41に対応して隙間寸法を順次異なる大きさに設定されている。
【0060】
したがって、各列A1,A2,A3で受け持つ支持軸のベンディング角を、その列の軸受において、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに同一方向にして設けられ、接触面圧分布の均等化が図られる。
また、各列A1,A2,A3で受け持つ支持軸の撓み量を、その列の軸受部分において負荷荷重の条件として捉え、各列A1,A2,A3及び各ころ42が均等に全体荷重を分担できるようにするため、負荷荷重側の列A1のラジアル内部隙間量を大きくするように、各々のラジアル内部隙間量が、各列A1,A2,A3の第1,第2,第3テーパ状軌道面37,39,41に対応して順次設定される。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0061】
次に、図6を用いて本発明の第4実施形態の転がり軸受について説明する。図6に示す転がり軸受50は、主に圧延機用のロールネック軸受であり、内輪軌道径をテーパ形状にした4列円筒ころ軸受(内輪1個タイプ)であって、1個の内輪と、各2列2個の外輪とから構成されている。
すなわち、転がり軸受50は、内周面が軸方向に平行で内径が同一の一対の外輪軌道面52を有する第1外輪51と、同じく内周面が軸方向に平行な一対の外輪軌道面54を有する第2外輪53と、外周面にテーパ状軌道面56bを有する内輪56とを備えている。
また、第1外輪51の外輪軌道面52と内輪56のテーパ状軌道面56bとの間、及び第2外輪53の外輪軌道面54とテーパ状軌道面56bとの間に複数配置されアキシアル方向の移動を規制された同一外径の円筒形のころ55a〜55dと、該ころを挿入して転動自在に保持する環状で櫛形の保持器58とを備えている。
【0062】
内輪56のテーパ状軌道面56bは、外輪軌道面52,54に平行に配される内周面56aに対して予め定められたミスアライメント角∠Aをもって、図中右側から左側に向けて内輪56の外径がテーパ状に小さくなるように傾斜して形成されている。これにより、ころ55aの中心線X1上で、ころ55aの外周面とテーパ状軌道面56bとの間にラジアル内部隙間量ΔA1が形成される。
同様に、ころ55b,55c,55dの中心線X2,X3,X4上で、ころ55b,55c,55dの外周面と共通のテーパ状軌道面56bとの間に異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA2,ΔA3,ΔA4が形成される。ここで、各々ラジアル内部隙間量ΔA1〜ΔA4の関係は、ΔA1>ΔA2>ΔA3>ΔA4である。
【0063】
第4実施形態の転がり軸受50は、予め定められたミスアライメント角∠Aをもち、異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA1〜ΔA4を介して配された共通のテーパ状軌道面56bを有する。
したがって、各ころ55a〜55dで受け持つ支持軸のベンディング角を、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに同一方向に設けられ、接触面圧分布の均等化が図られる。
また、各ころ55a〜55dで受け持つ支持軸の撓み量を負荷荷重の条件として捉え、各ころ55a〜55dが均等に全体荷重を分担できるようにするため、ころ55a側のラジアル内部隙間量ΔA1を大きくするように、各々ラジアル内部隙間量が設定される。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0064】
次に、図7を用いて本発明の第5実施形態の転がり軸受について説明する。図7に示す転がり軸受60は、主に圧延機用のロールネック軸受であり、内輪軌道径をテーパ形状にした4列円筒ころ軸受(内輪2個タイプ)であって、2個の内輪と、各2列2個の外輪とから構成されている。
すなわち、転がり軸受60は、図中左側の荷重負荷側列の内周面が軸方向に平行で内径が同一の一対の外輪軌道面62を有する第1外輪61と、外周面にテーパ状軌道面66bを有する第1内輪66と、第1外輪61の外輪軌道面62と第1内輪66のテーパ状軌道面66bとの間に複数配置されアキシアル方向の移動を規制された同一外径の円筒形のころ65a,65bと、該ころを挿入して転動自在に保持する環状で櫛形の保持器68とを備えている。
【0065】
また、図中右側の荷重負荷側列の内周面が軸方向に平行で内径が同一の一対の外輪軌道面64を有する第2外輪63と、外周面にテーパ状軌道面67bを有する第2内輪67と、第2外輪63の外輪軌道面64と第2内輪67のテーパ状軌道面67bとの間に複数配置されアキシアル方向の移動を規制された同一外径の円筒形のころ65c,65dと、該ころを挿入して転動自在に保持する環状で櫛形の保持器68とを備えている。
【0066】
第1内輪66のテーパ状軌道面66bは、外輪軌道面62に平行に配される内周面66aに対して予め定められたミスアライメント角∠A1をもって、図中右側から左側に向けて第1内輪66の外径がテーパ状に小さくなるように傾斜して形成されている。これにより、ころ65a,65bの中心線X1,X2上で、ころ65a,65bの外周面とテーパ状軌道面66bとの間にラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2が形成される。
【0067】
また、第2内輪67のテーパ状軌道面67bは、外輪軌道面64に平行に配される内周面67aに対して予め定められたミスアライメント角∠A4をもって、図中右側から左側に向けて第2内輪67の外径がテーパ状に小さくなるように傾斜して形成されている。これにより、ころ65c,65dの中心線X3,X4上で、ころ65c,65dの外周面とテーパ状軌道面67bとの間にラジアル内部隙間量ΔA3,ΔA4が形成される。ここで、各々ラジアル内部隙間量ΔA1〜ΔA4の関係は、ΔA1>ΔA2>ΔA3>ΔA4である。
【0068】
第5実施形態の転がり軸受60は、予め定められたミスアライメント角∠A1,∠A4をもち、異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA1〜ΔA4を介して配されたテーパ状軌道面66b,67bを有する。
したがって、各ころ65a〜65dで受け持つ支持軸のベンディング角を、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに同一方向に設けられ、接触面圧分布の均等化が図られる。
また、各ころ65a〜65dで受け持つ支持軸の撓み量を負荷荷重の条件として捉え、各ころ65a〜65dが均等に全体荷重を分担できるようにするため、ころ65a側のラジアル内部隙間量ΔA1を大きくするように、各々ラジアル内部隙間量が設定される。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0069】
次に、図8を用いて本発明の第6実施形態の転がり軸受について説明する。図8に示す転がり軸受70は、内輪軌道径をテーパ形状にした複列円筒ころ軸受であって、1個の内輪と、各2列1個の外輪とから構成されている。すなわち、転がり軸受70は、内周面が軸方向に平行で内径が同一の一対の外輪軌道面72を有する外輪71と、外周面にテーパ状軌道面76bを有する内輪76と、外輪71の外輪軌道面72と内輪76のテーパ状軌道面76bとの間に2個配置されアキシアル方向の移動を規制された同一外径の円筒形のころ75a,75bと、該ころを挿入して転動自在に保持する環状で櫛形の保持器78とを備えている。
【0070】
内輪76のテーパ状軌道面76bは、外輪軌道面72に平行に配される内周面76aに対して予め定められたミスアライメント角∠Aをもって、図中右側から左側に向けて内輪76の外径がテーパ状に小さくなるように傾斜して形成されている。これにより、ころ75a,75bの中心線X1,X2上で、ころ75a,75bの外周面とテーパ状軌道面76bとの間にラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2が形成される。ここで、各々ラジアル内部隙間量ΔA1とΔA2の関係は、ΔA1>ΔA2である。
【0071】
第6実施形態の転がり軸受70は、予め定められたミスアライメント角∠Aをもち、異なる大きさのラジアル内部隙間量ΔA1,ΔA2を介して配されたテーパ状軌道面76bを有する。
したがって、各ころ75a,75bで受け持つ支持軸のベンディング角を、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに同一方向に設けられ、接触面圧分布の均等化が図られる。
また、各ころ75a,75bで受け持つ支持軸の撓み量を負荷荷重の条件として捉え、各ころ75a,75bが均等に全体荷重を分担できるようにするため、ころ75a側のラジアル内部隙間量ΔA1を大きくするように、各々ラジアル内部隙間量が設定される。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0072】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。例えば、両つばタイプの内輪を用いて、第1〜第6実施形態と同様に構成しても良い。
また、ラジアル内部隙間を設定するに際して、内輪のテーパ状軌道面に加えて、各列のころの外径が異なるものを組み合わせて用いるのも良い。その場合、負荷荷重が大きくなる列の方向に向けて、各列毎に外径が小さくなるころを用いるのが好ましい。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の転がり軸受によれば、内輪と、外輪と、保持器と、ころとからなる複数列または単列を複数列備えた組合せの各列が、予め定められたテーパ角をもつテーパ状軌道面を有する。
したがって、各列で受け持つ支持軸のベンディング角を、その列の軸受において、ミスアライメント角の発生する条件として捉え、軸線に対する軌道面のテーパ角を得られたミスアライメント角と同じに設けられ、接触面圧分布の均等化が図られる。その結果、エッジロードの発生が抑制され、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0074】
また、本発明の転がり軸受によれば、内輪と、外輪と、保持器と、ころとからなる複数列または単列を複数列備えた組合せの各列が、異なる大きさのラジアル内部隙間を有する。
したがって、各列で受け持つ支持軸の撓み量を、その列の軸受部分において負荷荷重の条件として捉え、各列及び各ころが均等に全体荷重を分担できるようにするため、負荷荷重側の列のラジアル内部隙間量を大きくするように、各々のラジアル内部隙間量が設定される。その結果、耐モーメント荷重性を高くすることができる。
【0075】
以上の結果、多列円筒ころ軸受の各列のラジアル内部隙間及び内外輪の軌道面形状において、各列の荷重分担や支持軸の撓み量、傾き角等を予め解析等により想定し、線接触域の接触面圧分圧は平均化するように最適の設定されることから、エッジロードの発生を抑制でき、早期剥離やかじり等の不具合を回避し、特に重荷重条件下において寿命の延長化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の転がり軸受を示す断面図である。
【図2】図1における転がり軸受の一使用例(複列円筒ころ軸受と自動調心ころ軸受で軸を支持したモデル)を示す概略図である。
【図3】図1における荷重負荷時の断面図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態の転がり軸受を示す断面図である。
【図5】本発明に係る第3実施形態の転がり軸受を示す断面図である。
【図6】本発明に係る第4実施形態の転がり軸受を示す断面図である。
【図7】本発明に係る第5実施形態の転がり軸受を示す断面図である。
【図8】本発明に係る第6実施形態の転がり軸受を示す断面図である。
【符号の説明】
10,20,30,50,60,70 転がり軸受
11,21,71 外輪
12,13,22,23,32,33,35,52,54,62,64,72外輪軌道面
14,24,36,56,66,76 内輪(第1内輪)
15,25,37,56b,66b,76b 第1テーパ状軌道面(テーパ状軌道面)
16,26,38,67 内輪(第2内輪)
17,27,39,67b 第2テーパ状軌道面(テーパ状軌道面)
18,28,42,55,65,75 ころ
19,29,43,44,45,58,68,78 保持器
31,51,61 外輪(第1外輪)
34,53,63 外輪(第2外輪)
40 内輪(第3内輪)
41 第3テーパ状軌道面(テーパ状軌道面)
Claims (4)
- 外周面に内輪軌道面を形成した内輪と、内周面に外輪軌道面を形成した外輪と、前記内輪の外周面と前記外輪の内周面との間に該内外輪に対し相対回転自在に配された保持器と、前記保持器に転動自在に保持されたころと、からなる組合せを複数列または単列を複数列備えた転がり軸受であって、
前記各列に、予め定められたテーパ角をもつテーパ状軌道面を有することを特徴とする転がり軸受。 - 外周面に内輪軌道面を形成した内輪と、内周面に外輪軌道面を形成した外輪と、前記内輪の外周面と前記外輪の内周面との間に該内外輪に対し相対回転自在に配された保持器と、前記保持器に転動自在に保持されたころと、からなる組合せを複数列または単列を複数列備えた転がり軸受であって、
前記各列に、異なる大きさのラジアル内部隙間が設定されていることを特徴とする転がり軸受。 - 前記テーパ状軌道面のテーパ角は、同一方向に向けて配されていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記ラジアル内部隙間は、各列のテーパ状軌道面に対応して隙間寸法が順次異なる大きさに設定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の転がり軸受。
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