JP2004190489A - 燃料供給装置 - Google Patents

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Hironori Ohashi
弘典 大橋
Masaaki Iijima
正昭 飯島
Yutaka Ogiwara
豊 荻原
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Abstract

【課題】多層型の燃料フィルタをチャンバの開口側に設けて燃料ポンプの吸込側に配置することにより、チャンバの容積を有効に活用し、装置を小型化する。
【解決手段】チャンバ3の開口部3B側には、フィルタエレメント5,6,7を有する多層型燃料フィルタ4を設ける。そして、燃料ポンプ9は、フィルタ4を通過してチャンバ3内に溜まる燃料を吸込み、供給パイプ11から外部に吐出する。また、吸引ポンプ14は、ポンプ9による吐出燃料を利用してチャンバ3の外側で燃料を吸込み、吐出パイプ17からフィルタ4の上流に燃料を吐出する。これにより、フィルタ4の体積を含めてチャンバ3の容積を十分に確保できると共に、これらをコンパクトに配置することができる。また、多層型燃料フィルタ4を用いることにより、その性能を維持しつつ、フィルタ4を小型化することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用エンジン等にタンク内の燃料を供給するのに好適に用いられる燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用エンジン等の燃料供給装置は、例えば燃料タンク内に貯留された燃料を電動式の燃料ポンプ等によって外部に吐出し、この燃料をエンジン本体側に設けられた噴射弁等に供給するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特表2002−506501号公報
【0004】
この種の従来技術による燃料供給装置は、燃料タンク内に配置されたチャンバを有し、このチャンバ内には、燃料を吸込んでタンクの外部に吐出する燃料ポンプと、該燃料ポンプの吐出側に接続され、燃料ポンプから吐出される燃料を浄化する燃料フィルタとが配置されている。
【0005】
ここで、チャンバは、燃料タンク内に貯留された燃料の一部をポンプの周囲に溜めるための容器として形成されている。そして、チャンバは、例えばタンク内の燃料が残り少なくなって燃料の液面が低下した場合、または車両の旋回動作等によって液面が傾いた場合でも、燃料ポンプの吸込側に十分な量の燃料を確保し、ポンプの吸込側を燃料中に浸した状態に保持するものである。
【0006】
このため、チャンバの容積は、例えば燃料ポンプの吐出性能や車両の旋回時に想定される燃料の挙動等に応じて所定の大きさに設計されている。また、従来技術では、このチャンバ内に燃料フィルタを配置した構成もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、燃料フィルタをチャンバ内に配置する構成としている。しかし、チャンバの容積は、燃料ポンプの吸込側に所定量の燃料を溜めるように予め設定されているため、チャンバ内に燃料フィルタを配置すると、その配置スペース分だけチャンバの容積を大きく形成しなければならず、チャンバを含めて装置全体が大型化するという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、チャンバの容積を確保しつつ、燃料フィルタをコンパクトに配置でき、装置全体を小型化できるようにした燃料供給装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、燃料タンク内に配置された有底筒状のチャンバと、該チャンバの開口側に設けられ該チャンバに流入する燃料を浄化する燃料フィルタと、前記チャンバ内に収容された燃料を吸込んで前記燃料タンクの外部に吐出する燃料ポンプと、前記チャンバの外側から前記燃料フィルタの上流に燃料を流入させる燃料流入手段とからなり、前記燃料フィルタは、上,下流方向に積層された複数層のフィルタエレメントにより構成している。
【0010】
このように構成することにより、チャンバ内には、燃料フィルタを通過した燃料を溜めることができ、燃料ポンプは、燃料フィルタを通過してチャンバ内に溜まる燃料を吸込むようになる。このため、燃料ポンプからみると、燃料フィルタは、当該燃料ポンプの上流側(吸込側)に配置されることになる。この結果、燃料フィルタをチャンバ内に配置したとしても、燃料ポンプは、フィルタ内を通過する燃料をチャンバ内に溜まっている燃料の一部として吸込むことができる。
【0011】
従って、燃料フィルタの体積をチャンバの容積の一部として扱うことができ、チャンバを燃料フィルタの配置スペース分だけ大きく形成しなくても、チャンバの実質的な容積を十分に確保することができる。これにより、チャンバや燃料フィルタを含めて装置全体をコンパクトに形成でき、これらを車両のタンク等に対して容易に搭載することができる。
【0012】
また、例えば燃料フィルタによってチャンバの開口側を施蓋できるので、チャンバ内に溜まっている燃料が外力、振動等によって漏れ出るのを抑えることができる。また、燃料フィルタをチャンバによって支持できるので、フィルタ支持用の特別な部品等を設ける必要がなくなり、これらの部品点数を削減して構造を簡略化することができる。
【0013】
また、燃料流入手段によりチャンバの外側から燃料フィルタの上流側に燃料を流入させるだけで、この燃料が自重によりフィルタを通過してチャンバ内に流下する。従って、例えば燃料フィルタからチャンバ内に燃料を加圧して送り込む場合と比較して、圧損等を低減できるので、燃料をチャンバ内に効率よく流入させることができ、装置の作動効率を高めることができる。
【0014】
さらに、例えば多層型の燃料フィルタをチャンバの開口側を閉塞するように配置できるから、燃料フィルタを構成する複数種類のフィルタエレメントによって燃料を複数段階で濾過することができ、フィルタの濾過性能を長期間にわたって良好に維持することができる。
【0015】
即ち、多層型の燃料フィルタは、燃料中に含まれる異物の形態(例えば異物の大きさ、形状、材質、磁性の有無等)に応じて個々のフィルタエレメントの種類、目の粗さ等をそれぞれ適切に設定することができる。これにより、燃料中の異物がフィルタを上流側から下流側に向けて通過するときには、個々のフィルタエレメントによりそれぞれ異なる形態の異物を選択的に捕捉でき、燃料フィルタの上流側(燃料の流入側)だけでなく、フィルタ内の各層で異物の捕捉を分散して行うことができる。
【0016】
また、請求項2の発明によると、燃料フィルタは、上流側に目の粗いフィルタエレメントを配置し、下流側に目の細かいフィルタエレメントを配置する構成としている。
【0017】
これにより、上流側のフィルタエレメントは、燃料中に含まれる異物のうち比較的大きな粒子のみを選択的に捕捉でき、このフィルタエレメントにより捕捉されないような細かい異物の粒子は、下流側のフィルタエレメントによって捕捉することができる。そして、例えば燃料中に含まれる異物の量が比較的多い場合でも、その大きさに応じて異物をフィルタ全体に分散して捕捉でき、個々のフィルタエレメントが早期に目詰まりするのを防止することができる。
【0018】
また、請求項3の発明によると、燃料流入手段は、チャンバに設けられ燃料ポンプから吐出される燃料の一部を利用して前記チャンバの外側から燃料を吸込み燃料フィルタの上流に燃料を吐出する吸引ポンプにより構成している。
【0019】
これにより、吸引ポンプは、燃料ポンプによる吐出燃料の一部を利用してチャンバの外側で燃料を効率よく吸引でき、この燃料を燃料フィルタの上流に向けて吐出することができる。従って、チャンバの外側から内側に燃料を流入させるために特別な動力源等を用いる必要がなくなり、吸引ポンプを用いた簡単な構造でチャンバ内に燃料を送り込むことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による燃料供給装置を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
ここで、図1ないし図5は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、自動車用エンジンに適用した場合を例に挙げて述べる。
【0022】
1は自動車等の車両に搭載された略箱形状の燃料タンクで、該燃料タンク1は底板1Aと上板1Bとを有し、上板1Bには、後述の蓋体2が取付けられる取付開口1Cが形成されている。
【0023】
2は燃料タンク1の取付開口1Cに取付けられる蓋体で、該蓋体2は、図2に示す如く、タンク1の周壁の一部を構成し取付開口1Cを施蓋する閉塞板部2Aと、該閉塞板部2Aから取付開口1Cを介してタンク1内に突出した筒状のチャンバ取付部2Bとにより構成されている。
【0024】
3は燃料タンク1内に配置されるチャンバで、該チャンバ3は、例えば樹脂材料、金属材料等により有底筒状の容器として形成されている。そして、チャンバ3の下部側には閉塞された底部3Aが形成され、チャンバ3の上部側には開口部3Bが形成されている。また、チャンバ3の内部には、タンク1内に貯留された燃料の一部が後述の多層型燃料フィルタ4を介して流入する構成となっている。
【0025】
そして、チャンバ3は、タンク1内の燃料の一部を常時収容し、後述する燃料ポンプ9の吸込口9Aの周囲に一定量の燃料を溜めるものである。これにより、例えばタンク1内の燃料が残り少なくなって燃料の液面が低下した場合、または車両の旋回動作等によって液面が傾いた場合でも、チャンバ3により燃料ポンプ9の吸込口9A側に十分な量の燃料を確保でき、この吸込口9Aを燃料中に浸した状態に保持することができる。
【0026】
4はチャンバ3の開口部3B側に嵌合して設けられた多層型燃料フィルタで、該多層型燃料フィルタ4は、図2、図3に示す如く、複数層のフィルタエレメントを上,下流方向(例えば、上,下方向)に積層することによって形成され、本実施の形態では、例えば後述する3層のフィルタエレメント5,6,7によって構成されている。
【0027】
ここで、多層型燃料フィルタ4は、全体として上面4Aと下面4Bとを有する板状に形成され、その内部には、後述の燃料ポンプ9が嵌合されるポンプ嵌合孔4Cと、パイプ11,17が挿通される2個のパイプ挿通孔4Dとが厚さ方向(上,下方向)に貫通して設けられている。また、燃料フィルタ4は、チャンバ3の開口部3Bを施蓋し、燃料タンク1内でチャンバ3の外側に位置する空間と後述の燃料溜り8との間を仕切るように配置されている。
【0028】
そして、燃料フィルタ4は、チャンバ3の外側から燃料溜り8に流入する燃料をフィルタエレメント5,6,7によって複数段階で濾過し、浄化するものである。この場合、燃料ポンプ9は、フィルタ4により濾過された燃料に対して吸込,吐出動作を行うものであるため、燃料フィルタ4は、燃料ポンプ9からみて上流側(吸込口9A側)に配置されている。
【0029】
5は多層型燃料フィルタ4の上面4A側(上流側)に配置された第1のフィルタエレメントで、該第1のフィルタエレメント5は、例えばメッシュ状の繊維材料、スポンジ状の多孔質材料等を含めた各種のフィルタ材料からなり、このフィルタ材料の目の粗さは、フィルタエレメント5,6,7のうち最も粗く形成されている。そして、フィルタエレメント5は、燃料フィルタ4を通過する燃料中に含まれる金属粉、ダスト等の異物のうち、比較的大きな異物を捕捉、除去し、大きな異物粒子が下流側のフィルタエレメント6,7に達するのを防止するものである。
【0030】
6は燃料フィルタ4の厚さ方向の途中部位に配置された第2のフィルタエレメントで、該第2のフィルタエレメント6は、例えばフィルタエレメント5よりも目が細かいフィルタ材料を用いて形成され、フィルタエレメント5,7間に位置して中間程度の大きさをもつ異物を捕捉するものである。
【0031】
7は多層型燃料フィルタ4の下面4B側(下流側)に配置された第3のフィルタエレメントで、該第3のフィルタエレメント7は、フィルタエレメント5,6,7のうち最も細かい目のフィルタ材料を用いて形成されている。そして、フィルタエレメント7は、フィルタエレメント5,6で捕捉されなかった小さな異物を捕捉、除去し、燃料溜り8内に異物が侵入するのを防止するものである。
【0032】
このように、多層型燃料フィルタ4は、その上流側から下流側に向けてフィルタ材料の目の粗さがフィルタエレメント5,6,7の順に細かく形成されている。また、燃料フィルタ4は、これらのフィルタエレメント5,6,7がチャンバ3の開口部3B内に嵌合されることにより、チャンバ3内に燃料溜り8を画成している。そして、この状態でフィルタエレメント5はチャンバ3の外側に面して配置され、フィルタエレメント7は燃料溜り8に面して配置されている。
【0033】
9は燃料供給装置の動力源となる燃料ポンプで、該燃料ポンプ9は、例えば略円柱状の外形を有する電動式の燃料ポンプ等からなり、タンク1内に位置してチャンバ3に配置されている。そして、燃料ポンプ9は、外部から通電されることによりステータに対してロータが回転するモータ部と、該モータ部により回転駆動されて燃料の吸込,吐出動作を行うポンプ部(いずれも図示せず)と、チャンバ3内の燃料を吸込む吸込口9Aと、吸込んだ燃料を後述の供給パイプ11に吐出する吐出口9Bとを含んで構成されている。
【0034】
ここで、燃料ポンプ9は、燃料フィルタ4のポンプ嵌合孔4Cに嵌合され、フィルタ4を貫通して上,下方向に延びると共に、長さ方向の一側(吸込口9A側)がチャンバ3内に配置され、他側がチャンバ3の外部に突出している。また、吸込口9Aには、チャンバ3の内側に位置して燃料中に含まれる異物が燃料ポンプ9内に侵入するのを防止する内側吸込フィルタ10が取付けられている。
【0035】
そして、燃料ポンプ9は、燃料の流れ方向に対して燃料フィルタ4の下流側に配置され、この位置でチャンバ3内の燃料を吸込口9Aから吸込むと共に、吐出口9Bから供給パイプ11に燃料を吐出するものである。この場合、燃料ポンプ9から吐出される燃料は、図5に示す如く、その一部分が供給パイプ11等を介して燃料タンク1の外部に送られ、噴射弁21側に供給される。
【0036】
また、吐出燃料のうち供給パイプ11に吐出されない残余の部分は、後述の吸引ポンプ用パイプ12に流入し、吸引ポンプ14を作動させる。この結果、吸引ポンプ14によってチャンバ3の外側から燃料フィルタ4の上面4A側に燃料が吸引され、この燃料は、燃料フィルタ4を介してチャンバ3内に流入する構成となっている。
【0037】
11はタンク1内の燃料を外部に供給する供給パイプで、該供給パイプ11は、例えば樹脂材料、金属材料等により形成され、その基端側はチャンバ3内で燃料ポンプ9の吐出口9Bに接続されている。また、供給パイプ11の途中部位は、吸引ポンプ用パイプ12との接続部位で上向きに屈曲し、燃料フィルタ4のパイプ挿通孔4Dを介してチャンバ3の外部に引出されている。そして、供給パイプ11の先端側は、蓋体2の閉塞板部2Aを介して燃料タンク1の外部に突出し、この突出端側には、後述の燃料配管19,20等を介して噴射弁21に接続される供給口11Aが形成されている。
【0038】
12は燃料ポンプ9による吐出燃料の一部を後述の吸引ポンプ14に供給する吸引ポンプ用パイプで、該吸引ポンプ用パイプ12は、その基端側がチャンバ3内で供給パイプ11の途中部位に接続され、その先端側が吸引ポンプ14のノズル部14Aに接続されている。
【0039】
13は吸引ポンプ用パイプ12に設けられた絞り部で、該絞り部13は、吸引ポンプ用パイプ12の途中部位を縮径させることにより、所定の流路面積をもって形成されている。そして、絞り部13は、燃料ポンプ9の吐出燃料のうち吸引ポンプ14に供給される燃料の流量を絞ることにより、この燃料と噴射弁21側に供給される燃料との流量比率を適切に設定するものである。
【0040】
14はチャンバ3の底部3A側に設けられた燃料流入手段としての吸引ポンプで、該吸引ポンプ14は、例えばジェットポンプ等により構成され、燃料ポンプ9による吐出燃料の一部を利用してチャンバ3の外側から燃料フィルタ4の上面4A側に燃料を流入させるものである。
【0041】
ここで、吸引ポンプ14は、図4に示す如く、基端側が吸引ポンプ用パイプ12に接続され先端側が縮径したノズル部14Aと、該ノズル部14Aを取囲む筒体として形成された吸引部14Bとにより構成されている。また、吸引部14Bは、その基端側(吸込側)が後述の吸込パイプ15に接続され、その先端側(吐出側)が後述の吐出パイプ17に接続されている。
【0042】
そして、燃料ポンプ9による吐出燃料の一部が吸引ポンプ用パイプ12を介してノズル部14Aに流入すると、この燃料がノズル部14Aの先端側から高い流速で流出することによって吸引部14B内に負圧を発生させる。これにより、吸引ポンプ14は、チャンバ3の外側から吸込パイプ15を介して燃料を吸引し、この燃料をノズル部14Aから流出する燃料と一緒に吐出パイプ17に吐出するものである。
【0043】
15は吸引ポンプ14によりチャンバ3の外側から燃料を吸込むための吸込パイプで、該吸込パイプ15は、その基端側がチャンバ3内で吸引ポンプ14の吸引部14Bに接続されている。また、吸込パイプ15の先端側はチャンバ3の底部3A側で外部に突出し、この突出端側には、吸引ポンプ14内への異物侵入を防止する外側吸込フィルタ16が取付けられている。
【0044】
17は吸引ポンプ14により吸込んだ燃料を燃料フィルタ4の上面4A側に吐出する吐出パイプで、該吐出パイプ17は、その基端側がチャンバ3内で吸引ポンプ14の吸引部14Bに接続され、チャンバ3内を上,下方向に延びている。
【0045】
また、吐出パイプ17の先端側は、燃料フィルタ4のパイプ挿通孔4Dを介してチャンバ3の上側に突出し、フィルタ4の上面4Aに近い位置で側方に屈曲している。そして、吐出パイプ17の先端側には燃料の吐出口17Aが形成され、この吐出口17Aから吐出される燃料は、自重により燃料フィルタ4を通過してチャンバ3内に流入(流下)するものである。
【0046】
一方、図1において、18は車両に搭載されたエンジン本体、19は該エンジン本体18に向けて燃料を供給するための燃料配管で、該燃料配管19は、その一端側が燃料供給装置の供給パイプ11(供給口11A)に接続されている。また、燃料配管19の他端側は、エンジン本体18に取付けられた他の燃料配管20に接続され、この燃料配管20には、エンジン本体18の各気筒に対応して複数の噴射弁21が取付けられている。
【0047】
本実施の形態による燃料供給装置は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0048】
まず、燃料ポンプ9が作動すると、チャンバ3内の燃料が内側吸込フィルタ10を介して燃料ポンプ9の吸込口9Aに吸込まれ、吐出口9Bから供給パイプ11に吐出される。この場合、吐出燃料の一部は、図2中の矢示Aに示す如く、供給パイプ11から燃料配管19,20等を介して各噴射弁21に供給されるため、これらの噴射弁21からエンジン本体18の各気筒に燃料を噴射することができる。
【0049】
また、吐出燃料のうち絞り部13を通過した一部の燃料は、矢示Bに示す如く、吸引ポンプ用パイプ12を介して吸引ポンプ14のノズル部14Aに流入し、吸引ポンプ14を作動させる。これにより、タンク1内の燃料は、矢示Cに示す如く、吸引ポンプ14により外側吸込フィルタ16と吸込パイプ15とを介してチャンバ3の外側から内側に吸引される。そして、この燃料は、矢示Dに示す如く、吸引ポンプ用パイプ12内の燃料と一緒に吐出パイプ17から燃料フィルタ4の上面4A側に吐出される。
【0050】
この場合、吐出パイプ17から吐出される燃料は、自重によりフィルタ4内を流下して浄化され、燃料溜り8内に流入する。また、タンク1内の液面レベルがチャンバ3の開口端よりも高い位置にあるときには、この吐出燃料が燃料ポンプ9の吸込動作により周囲の燃料と一緒になってチャンバ3内に吸込まれる。
【0051】
これにより、チャンバ3内には、燃料溜り8内に流入した燃料だけでなく、燃料フィルタ4を通過する燃料も含めて、燃料ポンプ9の吸込口9A側に一定量の燃料を溜めることができる。従って、例えばタンク1内の液面が低下したり、傾いた場合でも、燃料ポンプ9によってチャンバ3内の燃料を安定的に吸込み、吐出することができる。
【0052】
また、燃料フィルタ4内を燃料が通過するときには、例えば金属粉、ダスト等の異物が燃料中に含まれていると、まず上流側のフィルタエレメント5によって大きな異物粒子が捕捉された後に、フィルタエレメント6によって中間程度の大きさの異物粒子が捕捉される。そして、この燃料が燃料溜り8内に流出するときには、下流側のフィルタエレメント7によって微小な異物等が捕捉される。
【0053】
このため、多層型燃料フィルタ4により燃料中の異物を複数段階で除去することができる。このとき、大きさが異なる複数種類の異物をフィルタエレメント5,6,7に分散して捕捉できるから、個々のフィルタエレメント5,6,7に溜まる異物の量を抑えることができ、これらが早期に目詰まりするのを防止することができる。
【0054】
かくして、本実施の形態によれば、チャンバ3の開口部3B側には、例えばフィルタエレメント5,6,7を有する3層型の燃料フィルタ4を設け、チャンバ3内の燃料を吸込んでタンク1の外部に吐出する燃料ポンプ9と、燃料フィルタ4を介してチャンバ3の外側から内側に燃料を吸引する吸引ポンプ14とを設ける構成としている。
【0055】
これにより、多層型燃料フィルタ4は、燃料中に含まれる異物の形態(例えば異物の大きさ、形状、材質、磁性の有無等)に応じて個々のフィルタエレメント5,6,7の種類、目の粗さ等をそれぞれ適切に設定することができる。そして、燃料中の異物がフィルタ4を上面4A側から下面4B側に向けて通過するときには、個々のフィルタエレメント5,6,7によりそれぞれ異なる形態の異物を選択的に捕捉することができる。
【0056】
従って、複数種類のフィルタエレメント5,6,7によって燃料を複数段階で濾過でき、燃料フィルタ4の上面4A側(上流側)だけでなく、フィルタ内の各層で異物の捕捉を分散して行うことができるから、例えばフィルタ4の上流側で異物が集中的に捕捉されて目詰まり等が早期に生じるのを防止でき、その濾過性能を長期間にわたって良好に維持することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、燃料フィルタ4を燃料ポンプ9の吸込口9Aに対して上流側に配置できるから、このフィルタ4をチャンバ3内に配置した状態でも、燃料ポンプ9は、フィルタ4内を通過する燃料をチャンバ3内に溜まっている燃料の一部として吸込むことができる。
【0058】
従って、燃料溜り8の容積だけでなく、燃料フィルタ4の体積をチャンバ3の容積の一部として扱うことができ、チャンバ3内の空間を有効に活用できると共に、その容積を燃料フィルタ4の配置スペース分だけ大きく形成しなくても、十分に大きな容積を確保することができる。これにより、チャンバ3や燃料フィルタ4を含めて装置全体をコンパクトに形成でき、これらを車両のタンク1等に対して容易に搭載することができる。
【0059】
また、燃料フィルタ4によってチャンバ3の開口部3B側を施蓋できるので、例えば車両の旋回動作等によりタンク1内の液面が傾いた場合でも、チャンバ3内に溜まっている燃料が外部に漏れ出るのを抑えることができる。この結果、チャンバ3によって燃料ポンプ9の吸込口9Aの周囲に燃料を安定的に溜めることができ、エンジン本体18側に燃料を円滑に供給することができる。
【0060】
また、吸引ポンプ14を用いることにより、燃料ポンプ9による吐出燃料の一部を利用してチャンバ3の外側で燃料を吸引でき、この燃料をチャンバ3の内側に向けて効率よく吐出することができる。これにより、特別な動力源等を用いることなく、簡単な構造でチャンバ3内に燃料を送り込むことができる。
【0061】
この場合、吸引ポンプ14の吐出側には、燃料フィルタ4の上面4A側に延びる吐出パイプ17を設けたので、例えば燃料タンク1内の液面が低いときには、吸引ポンプ14により吐出パイプ17を介してフィルタ4の上面4A側に燃料を吐出するだけで、この燃料を自重によりフィルタ4を介してチャンバ3内に流下させることができる。従って、例えば燃料フィルタからチャンバ内に燃料を加圧して送り込む場合と比較して、圧損等を低減できるので、燃料をチャンバ3内に効率よく流入させることができ、装置の作動効率を高めることができる。
【0062】
また、燃料フィルタ4をチャンバ3によって直接的に支持できるので、例えば蓋体2やチャンバ3にフィルタ用の支持構造等を設ける必要がなくなり、これらの部品点数を削減して構造を簡略化することができる。
【0063】
さらに、燃料ポンプ9を、フィルタ4を貫通した状態でチャンバ3に配置したので、燃料ポンプ9のうち吸込口9Aが配置された部位をチャンバ3内に配置し、他の部位をチャンバ3の開口部3B側から上向きに突出した状態で配置することができる。これにより、燃料ポンプ9の外形等に制限されることなく、チャンバ3の寸法、形状等を容易に設定できると共に、その径方向寸法を小型化することができる。従って、チャンバ3や燃料ポンプ9の設計自由度を高め、これらのレイアウト設計等を円滑に行うことができる。
【0064】
次に、図6は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、燃料タンクの蓋体にポンプ収容部を形成し、このポンプ収容部内に燃料ポンプを収容する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0065】
31は燃料タンクで、該燃料タンク31は、第1の実施の形態とほぼ同様に、底板31A、上板31Bおよび取付開口31Cを有し、この取付開口31Cには後述の蓋体32が取付けられている。
【0066】
32は燃料タンク31の取付開口31Cに取付けられた蓋体で、該蓋体32は、例えば金属材料、樹脂材料等により形成され、取付開口31Cを閉塞する閉塞板部32Aと、該閉塞板部32Aの下面側に設けられ、燃料タンク31内に向けて突出したポンプ収容部32Bとにより形成されている。
【0067】
そして、ポンプ収容部32Bは、取付開口31Cを介して燃料タンク31内に突出し、ポンプ収容部32B内には、後述の燃料ポンプ39が収容されている。
【0068】
33は燃料タンク31内に配置されるチャンバで、該チャンバ33は、第1の実施の形態とほぼ同様に、底部33Aと開口部33Bとを有する有底筒状に形成されている。
【0069】
34はチャンバ33の開口部33B側に嵌合して設けられた多層型燃料フィルタで、該多層型燃料フィルタ34は、第1の実施の形態とほぼ同様に、全体として上面34Aと下面34Bとを有する板状に形成され、例えば3層のフィルタエレメント35,36,37によって構成されている。また、燃料フィルタ34は、燃料ポンプ39からみて上流側(吸込口39C側)に配置されている。
【0070】
そして、フィルタエレメント35,36,37は、燃料フィルタ34の上流側(上面34A側)から下流側(下面34B側)に向けてフィルタ材料の目の粗さがフィルタエレメント35,36,37の順に細かく形成され、フィルタエレメント37の目が最も細かくなっている。また、燃料フィルタ34は、これらのフィルタエレメント35,36,37がチャンバ33の開口部33B内に嵌合されることにより、チャンバ33内に燃料溜り38を画成している。
【0071】
これにより、燃料フィルタ34は、チャンバ33の外側から燃料溜り38に流入する燃料をフィルタエレメント35,36,37によって複数段階で濾過し、浄化するものである。また、燃料フィルタ34には、後述のパイプ40,43,48がそれぞれ挿通される3個のパイプ挿通孔34Cが設けられている。
【0072】
39は燃料供給装置の動力源となる電動式の燃料ポンプで、該燃料ポンプ39は、第1の実施の形態とほぼ同様に、外部から通電されることによりステータに対してロータが回転するモータ部39Aと、該モータ部39Aにより回転駆動されて燃料の吸込,吐出動作を行うポンプ部39Bと、チャンバ33内の燃料を吸込む吸込口39Cと、吸込んだ燃料を吐出する吐出口39Dとを含んで構成され、全体として略円柱状に形成されている。
【0073】
そして、モータ部39Aは、燃料タンク31の外部に位置して蓋体32のポンプ収容部32B内に収容され、タンク31の上板31B等に沿って水平方向に延びた状態(横置き状態)で配置されている。また、ポンプ部39Bは、燃料タンク31の内部に位置してポンプ収容部32Bの周壁に取付けられ、この周壁を介してモータ部39Aの出力側に連結されている。
【0074】
また、吸込口39Cには、燃料フィルタ34のパイプ挿通孔34Cを介してチャンバ33内に延びる接続パイプ40が接続され、該接続パイプ40の先端側には内側吸込フィルタ41が取付けられている。
【0075】
42はタンク31内の燃料を外部に供給する供給パイプで、該供給パイプ42は、その基端側が燃料ポンプ39の吐出口39Dに接続されている。また、供給パイプ42の先端側は、蓋体32の閉塞板部32Aを介して燃料タンク31の外部に突出し、この突出端側には燃料の供給口42Aが形成されている。
【0076】
43は燃料ポンプ39による吐出燃料の一部を後述の吸引ポンプ45に供給する吸引ポンプ用パイプで、該吸引ポンプ用パイプ43は、その基端側が供給パイプ42の途中部位に接続されている。また、吸引ポンプ用パイプ43は、燃料フィルタ34のパイプ挿通孔34Cを介して下向きに延び、その先端側が吸引ポンプ45のノズル部45Aに接続されている。また、吸引ポンプ用パイプ43の途中部位には、第1の実施の形態とほぼ同様に、絞り部44が設けられている。
【0077】
45はチャンバ33の底部33A側に設けられた燃料流入手段としての吸引ポンプで、該吸引ポンプ45は、第1の実施の形態とほぼ同様に、吸引ポンプ用パイプ43の先端側に接続されたノズル部45Aと、該ノズル部45Aを取囲んで配置された略筒状の吸引部45Bとにより構成されている。そして、吸引ポンプ45は、燃料ポンプ39による吐出燃料の一部を利用してチャンバ33の外側から燃料フィルタ34の上面34A側に燃料を流入させるものである。
【0078】
また、吸引部45Bの基端側(吸込側)には、チャンバ33の底部33A側で外部に突出する吸込パイプ46が接続され、該吸込パイプ46の突出端側には、外側吸込フィルタ47が取付けられている。また、吸引部45Bの先端側(吐出側)には、燃料フィルタ34のパイプ挿通孔34Cを介してチャンバ33の上側に突出する吐出パイプ48が接続され、該吐出パイプ48の突出端側には燃料の吐出口48Aが形成されている。
【0079】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0080】
なお、前記各実施の形態では、多層型フィルタとして3層型の燃料フィルタ4,34を例に挙げて説明した。しかし、本発明の燃料フィルタを構成するフィルタエレメントの層数は、実施の形態に限定されるものではなく、例えば図7に示す第1の変形例のように構成してもよい。この場合、燃料フィルタ51は、2層のフィルタエレメント52,53により構成され、その上面51A側に位置するフィルタエレメント52は、下面51B側に位置するフィルタエレメント53よりも目が粗いフィルタ材料を用いて形成されている。
【0081】
また、例えば図8に示す第2の変形例のように、5層型の燃料フィルタ61を用いる構成としてもよい。この場合、燃料フィルタ61を構成する5層のフィルタエレメント62,63,64,65,66は、その上面61A側から下面61B側に向けてフィルタエレメント62,63,64,65,66の順に目が細かくなっている。さらに、本発明では、4層型または6層以上の燃料フィルタを用いてもよいのは勿論である。
【0082】
また、実施の形態では、燃料タンク1の底板1Aと、チャンバ3の底部3Aとを別個に形成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、チャンバの底部を燃料タンクの底板の一部によって構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による燃料供給装置を用いた燃料供給系統を示す系統図である。
【図2】図1中の燃料供給装置を拡大して示す縦断面図である。
【図3】多層型燃料フィルタを示す図2中の要部拡大断面図である。
【図4】図2中の矢示IV−IV方向からみた吸引ポンプ等の部分拡大断面図である。
【図5】燃料供給装置による燃料の供給系統を模式的に示す系統図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による燃料供給装置を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第1の変形例による燃料供給装置の多層型燃料フィルタを示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第2の変形例による燃料供給装置の多層型燃料フィルタを示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1,31 燃料タンク
3,33 チャンバ
3A,33A 底部
3B,33B 開口部
4,34,51,61 多層型燃料フィルタ(燃料フィルタ)
5,6,7,35,36,37,52,53,62,63,64,65,66フィルタエレメント
9,39 燃料ポンプ
14,45 吸引ポンプ(燃料流入手段)

Claims (3)

  1. 燃料タンク内に配置された有底筒状のチャンバと、該チャンバの開口側に設けられ該チャンバに流入する燃料を浄化する燃料フィルタと、前記チャンバ内に収容された燃料を吸込んで前記燃料タンクの外部に吐出する燃料ポンプと、前記チャンバの外側から前記燃料フィルタの上流に燃料を流入させる燃料流入手段とからなり、前記燃料フィルタは、上,下流方向に積層された複数層のフィルタエレメントにより構成してなる燃料供給装置。
  2. 前記燃料フィルタは、上流側に目の粗いフィルタエレメントを配置し、下流側に目の細かいフィルタエレメントを配置してなる請求項1に記載の燃料供給装置。
  3. 前記燃料流入手段は、前記チャンバに設けられ前記燃料ポンプから吐出される燃料の一部を利用して前記チャンバの外側から燃料を吸込み前記燃料フィルタの上流に燃料を吐出する吸引ポンプにより構成してなる請求項1または2に記載の燃料供給装置。
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