JP2004189912A - 発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】適度な発泡性で、表面強度、耐寒性にすぐれ、ホルムアルデヒド等の有害物の発生のない安全性に優れる熱膨張型発泡剤を用いてなる発泡壁紙用として好適に使用できる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物を提供する。
【解決手段】ガラス転移温度(Tg)が+10〜−15℃であるエチレン−酢酸ビニル−多官能性単量体共重合体エマルジョンであって、多官能性単量体が酢酸ビニル100重量部に対し0.05〜0.2重量部であり、かつ共重合体のエマルジョン重合に際し乳化剤にヒドロキシエチルセルロースおよびHLBが5〜20であるポリオキシエチレン非イオン界面活性剤を用いて得られる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ガラス転移温度(Tg)が+10〜−15℃であるエチレン−酢酸ビニル−多官能性単量体共重合体エマルジョンであって、多官能性単量体が酢酸ビニル100重量部に対し0.05〜0.2重量部であり、かつ共重合体のエマルジョン重合に際し乳化剤にヒドロキシエチルセルロースおよびHLBが5〜20であるポリオキシエチレン非イオン界面活性剤を用いて得られる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡壁紙用水性エマルジョン組成物に関するものである。更に詳しくは、本発明は、適度な発泡性で、表面強度、耐寒性にすぐれ、ホルムアルデヒド等の有害物の発生のない安全性に優れる熱膨張型発泡剤を用いてなる発泡壁紙用として好適に使用できる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の内装材として発泡壁紙が大量に使用されている。これまで発泡壁紙には、すぐれた難燃性や加工適性およびコストから塩化ビニル樹脂が好んで使用されてきたが、近年、焼却時に発生する有害ガスや可塑剤として含有するフタル酸エステルの安全性の問題からエチレン-酢酸ビニル系共重合体水性樹脂エマルジョンが用いられるようになった。例えば特許文献1ではトルエン不溶分が30%以上のエチレン−酢酸ビニル系エマルジョンが、特許文献2には軟化温度が110℃以下でトルエン不溶分が50%未満のエチレン-酢酸ビニル系エマルジョンなどがあげられる。しかしながら、かかる方法のエマルジョンでは適度な発泡性で、表面強度にすぐれ、ホルムアルデヒド等の有害物の発生のない安全性にすぐれる発泡壁紙を得ることは出来なかった。エチレン−酢酸ビニル系エマルジョンは通常の乳化重合で製造されるが、乳化剤にポリビニルアルコールを使用するとポリマーにトルエン不溶分を持つようになり、発泡壁紙にすると発泡性はやや劣るものの強度等にはすぐれるものとなる。乳化剤にポリビニルアルコールの代わりに界面活性剤を使用するとポリマーにトルエン不溶分がなく、発泡壁紙にすると発泡性は非常にすぐれるものの強度は劣る、特に表面強度が劣るものとなる。
その表面強度改良のためにN−メチロールアクリルアミドなどの自己架橋モノマーを共重合することがあるが、そうすると発泡壁紙よりホルムアルデヒドの発生が見られる。また、乳化重合に際して触媒としてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートが好んで使用されるが、エマルジョンおよびそれで製造する発泡壁紙からホルムアルデヒドが発生する問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−188502号公報
【特許文献2】
特開2000−44720号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題は、適度な発泡性で、表面強度、耐寒性にすぐれ、ホルムアルデヒド等の有害物の発生のない安全性に優れる熱膨張型発泡剤を用いてなる発泡壁紙用として好適に使用できる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ガラス転移温度(Tg)が+10〜−15℃であるエチレン−酢酸ビニル−多官能性単量体共重合体エマルジョンであって、多官能性単量体が酢酸ビニル100重量部に対し0.05〜0.2重量部であり、かつ共重合体のエマルジョン重合に際し乳化剤にヒドロキシエチルセルロースおよびHLBが5〜20であるポリオキシエチレン非イオン界面活性剤を用いて得られる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のエマルジョンを構成するエチレン−酢酸ビニル−多官能性単量体共重合体のガラス転移温度(Tg)は+10〜−15℃であり、該温度が高すぎると耐寒性に劣り、該温度が低すぎると表面強度に劣る。
【0007】
共重合体は、エチレン-酢酸ビニル−多官能性単量体共重合体で必須の構成成分であるエチレン、酢酸ビニルおよび多官能性単量体に加えて共重合体のTgが上記範囲のものであれば、他の共重合可能なビニルエステル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸エステルなどを共重合したものであっても良い。
【0008】
多官能性単量体としては、アジピン酸ジビニル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等をあげることができる。
【0009】
共重合体中の多官能性単量体の含有量は、酢酸ビニル100重量部に対し0.05〜0.2重量部である。該含有量が過少であると発泡壁紙において表面強度が劣り、一方、該含有量が過多であると発泡壁紙の表面強度はすぐれるものの発泡性が劣り、また乳化重合で安定なエマルジョン組成物が得られない。
【0010】
本発明のエマルジョンは、乳化重合で製造するが乳化剤分散剤としては共重合に供する酢酸ビニル100重量部あたり2〜6重量部が必要で、また該乳化分散剤はヒドロキシエチルセルロースおよびHLBが5〜20であるポリオキシエチレン非イオン界面活性剤を使用する。重合触媒はレドックス系が好ましく、一般に使用される酸化剤および還元剤を用いることができるが、還元剤はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートのようなホルムアルデヒドを発生するものは使用できない。具体的には酒石酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウムなどが好ましい。
【0011】
本発明を実施する好ましい具体例をあげると、次のとおりである。重合反応容器に水、ヒドロキシエチルセルロースおよびポリオキシエチレン非イオン界面活性剤の全量、初期仕込みの酢酸ビニルを仕込み、必要なエチレンを供給する。次に重合触媒を添加し重合を開始する。重合開始の温度は30〜50℃である。重合触媒はレドックス系で、酸化剤としては過酸化水素、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸塩、還元剤としては第一鉄塩、酒石酸ソーダ、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなどをあげることができる。重合温度が50〜60℃になったら後添加の酢酸ビニルと多官能性単量体の添加を開始する。後添加の酢酸ビニルおよび多官能性単量体の添加が完了した後、反応系内の未反応酢酸ビニルが2%以下程度になった時点で重合反応を終了する。
【0012】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明する。
実施例1
初期仕込みとして、酢酸ビニル30重量部、ヒドロキシエチルセルロース1.59重量部、HLB17.9のポリオキシエチレンアルキルエーテル1.05重量部、HLB13.4のポリオキシエチレンアルキルエーテル0.73重量部、HLB=6.2のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体0.73重量部、HLB=15.5のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体0.73重量部及び水73重量部を用いた。重合触媒としてはレドックス系のものを用いた。還元剤としてはエリソルビン酸ナトリウムを酢酸ビニルの全量に対し0.25重量部、酸化剤としては過硫酸ナトリウムを同0.18重量部、t-ブチルハイドロパーオキサイドを同0.07重量部を使用した。
重合圧力が5.0MPaに保持するようにエチレンを供給し、触媒を添加して重合を開始した。重合温度は50.5℃を保持するように重合を継続した。後添加として、酢酸ビニル70重量部及びトリアリルイソシアヌレート0.10重量部を重合開始1時間後から始め、5時間後に終了した。反応系内の酢酸ビニルの残存量が2%以下程度になったところで重合反応を終了した。重合は10時間で終了し、得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが−2℃、不揮発分が55%、粘度が200mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.1mg/L以下であった。ホルムアルデヒド放出量はJIS A 6922「壁紙施工用でん粉系接着剤」5.5に準じて評価した。
本エマルジョン100部(不揮発分で)に水酸化アルミニウム120部、熱膨張性中空微小球体15部、分散剤1.5部を加えて攪拌分散して発泡材料組成物を調整した。発泡材料組成物を、乾燥後の厚さが0.1mmになるように難燃性紙に塗工し、オーブンで120℃、1分間乾燥させ、さらに180℃で1分間加熱することにより発泡させた。
【0013】
得られた発泡材料組成物は以下の方法に基づき評価した。
1.発泡性
発泡倍率(=発泡体の厚さ/乾燥塗膜の厚さ)で評価した
表面(機械的)強度
発泡体の外観を指で10回強く摩擦した後の外観を観察し、○(異常なし)、△(一部傷有り)及び×(塗膜の表面剥離有り)の基準にて評価した。
耐寒性
発泡体を5℃の雰囲気下で180度に折り曲げ、曲げ部分の外観を観察し、○(異常なし)、△(一部ひび割れ有り)及び×(全面にひび割れ有り)の基準にて評価した。
【0014】
比較例1
実施例1の多官能性単量体のトリアリルイソシアヌレートを使用しないこと以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが0℃、不揮発分が55%、粘度が300mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.1mg/L以下であった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0015】
比較例2
実施例1の多官能性単量体のトリアリルイソシアヌレートを使用しないこと、および還元剤としてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを使用すること以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが−4℃、不揮発分が55%、粘度が350mPa・sのものであった。
エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.6mg/Lであった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0016】
比較例3
実施例1の重合圧力を6.5MPaに保持すること以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが−20℃、不揮発分が55%、粘度が150mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.1mg/L以下であった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0017】
比較例4
実施例1の重合圧力を3.5MPaに保持すること以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが13℃、不揮発分が55%、粘度が400mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.1mg/L以下であった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0018】
比較例5
実施例1の多官能性単量体としてN−メチロールアクリルアミド3.09重量部を用いること以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが−2℃、不揮発分が55%、粘度が600mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.6mg/L以下であった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、適度な発泡性で、表面強度、耐寒性にすぐれ、ホルムアルデヒド等の有害物の発生のない安全性に優れる熱膨張型発泡剤を用いてなる発泡壁紙用として好適に使用できる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡壁紙用水性エマルジョン組成物に関するものである。更に詳しくは、本発明は、適度な発泡性で、表面強度、耐寒性にすぐれ、ホルムアルデヒド等の有害物の発生のない安全性に優れる熱膨張型発泡剤を用いてなる発泡壁紙用として好適に使用できる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の内装材として発泡壁紙が大量に使用されている。これまで発泡壁紙には、すぐれた難燃性や加工適性およびコストから塩化ビニル樹脂が好んで使用されてきたが、近年、焼却時に発生する有害ガスや可塑剤として含有するフタル酸エステルの安全性の問題からエチレン-酢酸ビニル系共重合体水性樹脂エマルジョンが用いられるようになった。例えば特許文献1ではトルエン不溶分が30%以上のエチレン−酢酸ビニル系エマルジョンが、特許文献2には軟化温度が110℃以下でトルエン不溶分が50%未満のエチレン-酢酸ビニル系エマルジョンなどがあげられる。しかしながら、かかる方法のエマルジョンでは適度な発泡性で、表面強度にすぐれ、ホルムアルデヒド等の有害物の発生のない安全性にすぐれる発泡壁紙を得ることは出来なかった。エチレン−酢酸ビニル系エマルジョンは通常の乳化重合で製造されるが、乳化剤にポリビニルアルコールを使用するとポリマーにトルエン不溶分を持つようになり、発泡壁紙にすると発泡性はやや劣るものの強度等にはすぐれるものとなる。乳化剤にポリビニルアルコールの代わりに界面活性剤を使用するとポリマーにトルエン不溶分がなく、発泡壁紙にすると発泡性は非常にすぐれるものの強度は劣る、特に表面強度が劣るものとなる。
その表面強度改良のためにN−メチロールアクリルアミドなどの自己架橋モノマーを共重合することがあるが、そうすると発泡壁紙よりホルムアルデヒドの発生が見られる。また、乳化重合に際して触媒としてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートが好んで使用されるが、エマルジョンおよびそれで製造する発泡壁紙からホルムアルデヒドが発生する問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−188502号公報
【特許文献2】
特開2000−44720号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題は、適度な発泡性で、表面強度、耐寒性にすぐれ、ホルムアルデヒド等の有害物の発生のない安全性に優れる熱膨張型発泡剤を用いてなる発泡壁紙用として好適に使用できる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ガラス転移温度(Tg)が+10〜−15℃であるエチレン−酢酸ビニル−多官能性単量体共重合体エマルジョンであって、多官能性単量体が酢酸ビニル100重量部に対し0.05〜0.2重量部であり、かつ共重合体のエマルジョン重合に際し乳化剤にヒドロキシエチルセルロースおよびHLBが5〜20であるポリオキシエチレン非イオン界面活性剤を用いて得られる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のエマルジョンを構成するエチレン−酢酸ビニル−多官能性単量体共重合体のガラス転移温度(Tg)は+10〜−15℃であり、該温度が高すぎると耐寒性に劣り、該温度が低すぎると表面強度に劣る。
【0007】
共重合体は、エチレン-酢酸ビニル−多官能性単量体共重合体で必須の構成成分であるエチレン、酢酸ビニルおよび多官能性単量体に加えて共重合体のTgが上記範囲のものであれば、他の共重合可能なビニルエステル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸エステルなどを共重合したものであっても良い。
【0008】
多官能性単量体としては、アジピン酸ジビニル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等をあげることができる。
【0009】
共重合体中の多官能性単量体の含有量は、酢酸ビニル100重量部に対し0.05〜0.2重量部である。該含有量が過少であると発泡壁紙において表面強度が劣り、一方、該含有量が過多であると発泡壁紙の表面強度はすぐれるものの発泡性が劣り、また乳化重合で安定なエマルジョン組成物が得られない。
【0010】
本発明のエマルジョンは、乳化重合で製造するが乳化剤分散剤としては共重合に供する酢酸ビニル100重量部あたり2〜6重量部が必要で、また該乳化分散剤はヒドロキシエチルセルロースおよびHLBが5〜20であるポリオキシエチレン非イオン界面活性剤を使用する。重合触媒はレドックス系が好ましく、一般に使用される酸化剤および還元剤を用いることができるが、還元剤はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートのようなホルムアルデヒドを発生するものは使用できない。具体的には酒石酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウムなどが好ましい。
【0011】
本発明を実施する好ましい具体例をあげると、次のとおりである。重合反応容器に水、ヒドロキシエチルセルロースおよびポリオキシエチレン非イオン界面活性剤の全量、初期仕込みの酢酸ビニルを仕込み、必要なエチレンを供給する。次に重合触媒を添加し重合を開始する。重合開始の温度は30〜50℃である。重合触媒はレドックス系で、酸化剤としては過酸化水素、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸塩、還元剤としては第一鉄塩、酒石酸ソーダ、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなどをあげることができる。重合温度が50〜60℃になったら後添加の酢酸ビニルと多官能性単量体の添加を開始する。後添加の酢酸ビニルおよび多官能性単量体の添加が完了した後、反応系内の未反応酢酸ビニルが2%以下程度になった時点で重合反応を終了する。
【0012】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明する。
実施例1
初期仕込みとして、酢酸ビニル30重量部、ヒドロキシエチルセルロース1.59重量部、HLB17.9のポリオキシエチレンアルキルエーテル1.05重量部、HLB13.4のポリオキシエチレンアルキルエーテル0.73重量部、HLB=6.2のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体0.73重量部、HLB=15.5のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体0.73重量部及び水73重量部を用いた。重合触媒としてはレドックス系のものを用いた。還元剤としてはエリソルビン酸ナトリウムを酢酸ビニルの全量に対し0.25重量部、酸化剤としては過硫酸ナトリウムを同0.18重量部、t-ブチルハイドロパーオキサイドを同0.07重量部を使用した。
重合圧力が5.0MPaに保持するようにエチレンを供給し、触媒を添加して重合を開始した。重合温度は50.5℃を保持するように重合を継続した。後添加として、酢酸ビニル70重量部及びトリアリルイソシアヌレート0.10重量部を重合開始1時間後から始め、5時間後に終了した。反応系内の酢酸ビニルの残存量が2%以下程度になったところで重合反応を終了した。重合は10時間で終了し、得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが−2℃、不揮発分が55%、粘度が200mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.1mg/L以下であった。ホルムアルデヒド放出量はJIS A 6922「壁紙施工用でん粉系接着剤」5.5に準じて評価した。
本エマルジョン100部(不揮発分で)に水酸化アルミニウム120部、熱膨張性中空微小球体15部、分散剤1.5部を加えて攪拌分散して発泡材料組成物を調整した。発泡材料組成物を、乾燥後の厚さが0.1mmになるように難燃性紙に塗工し、オーブンで120℃、1分間乾燥させ、さらに180℃で1分間加熱することにより発泡させた。
【0013】
得られた発泡材料組成物は以下の方法に基づき評価した。
1.発泡性
発泡倍率(=発泡体の厚さ/乾燥塗膜の厚さ)で評価した
表面(機械的)強度
発泡体の外観を指で10回強く摩擦した後の外観を観察し、○(異常なし)、△(一部傷有り)及び×(塗膜の表面剥離有り)の基準にて評価した。
耐寒性
発泡体を5℃の雰囲気下で180度に折り曲げ、曲げ部分の外観を観察し、○(異常なし)、△(一部ひび割れ有り)及び×(全面にひび割れ有り)の基準にて評価した。
【0014】
比較例1
実施例1の多官能性単量体のトリアリルイソシアヌレートを使用しないこと以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが0℃、不揮発分が55%、粘度が300mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.1mg/L以下であった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0015】
比較例2
実施例1の多官能性単量体のトリアリルイソシアヌレートを使用しないこと、および還元剤としてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを使用すること以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが−4℃、不揮発分が55%、粘度が350mPa・sのものであった。
エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.6mg/Lであった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0016】
比較例3
実施例1の重合圧力を6.5MPaに保持すること以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが−20℃、不揮発分が55%、粘度が150mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.1mg/L以下であった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0017】
比較例4
実施例1の重合圧力を3.5MPaに保持すること以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが13℃、不揮発分が55%、粘度が400mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.1mg/L以下であった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0018】
比較例5
実施例1の多官能性単量体としてN−メチロールアクリルアミド3.09重量部を用いること以外は実施例1と同様に重合を行った。得られた水性エマルジョンは、共重合体のTgが−2℃、不揮発分が55%、粘度が600mPa・sのものであった。エマルジョンのホルムアルデヒド放出量は0.6mg/L以下であった。
本エマルジョンを実施例1.と同様に発泡材料組成物に調整し、その評価を行った。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、適度な発泡性で、表面強度、耐寒性にすぐれ、ホルムアルデヒド等の有害物の発生のない安全性に優れる熱膨張型発泡剤を用いてなる発泡壁紙用として好適に使用できる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物を提供することができた。
Claims (2)
- ガラス転移温度(Tg)が+10〜−15℃であるエチレン−酢酸ビニル−多官能性単量体共重合体エマルジョンであって、多官能性単量体が酢酸ビニル100重量部に対し0.05〜0.2重量部であり、かつ共重合体のエマルジョン重合に際し乳化剤にヒドロキシエチルセルロースおよびHLBが5〜20であるポリオキシエチレン非イオン界面活性剤を用いて得られる発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物。
- 重合触媒にホルムアルデヒドを発生しない還元剤を使用した請求項1記載の発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002360326A JP2004189912A (ja) | 2002-12-12 | 2002-12-12 | 発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2002360326A JP2004189912A (ja) | 2002-12-12 | 2002-12-12 | 発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004189912A true JP2004189912A (ja) | 2004-07-08 |
Family
ID=32759431
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002360326A Pending JP2004189912A (ja) | 2002-12-12 | 2002-12-12 | 発泡壁紙用水性樹脂エマルジョン組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004189912A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015154157A1 (pt) * | 2014-04-08 | 2015-10-15 | Oxiteno S.A. Indústria E Comércio | Composição de emulsão de resina, e, processo de obtenção da mesma |
-
2002
- 2002-12-12 JP JP2002360326A patent/JP2004189912A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015154157A1 (pt) * | 2014-04-08 | 2015-10-15 | Oxiteno S.A. Indústria E Comércio | Composição de emulsão de resina, e, processo de obtenção da mesma |
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