JP2004189890A - 水性組成物、発泡シートおよび壁紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホルムアルデヒド揮散などの環境負荷が少なく、かつ、着色が少なく、発泡性および耐ブロッキング性さらには耐風化性に優れる水性組成物、発泡シートおよび壁紙を提供すること。
【解決手段】分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、ホルムアルデヒド濃度が1ppm以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)、発泡剤(B)および無機フィラー(C)からなる水性組成物、上記組成物から得られる発泡シートおよび壁紙。
【選択図】なし
【解決手段】分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、ホルムアルデヒド濃度が1ppm以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)、発泡剤(B)および無機フィラー(C)からなる水性組成物、上記組成物から得られる発泡シートおよび壁紙。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性組成物、発泡シートおよび壁紙に関する。さらに詳しくは、ホルムアルデヒドを、ほとんどまたはまったく含有しない環境負荷の少ない水性組成物、および前記組成物を用いて得られる、着色がなく、発泡性および耐ブロッキング性、さらには耐風化性に優れる発泡シートおよび壁紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、壁紙用途として難燃性発泡シート用水性エマルジョン組成物が用いられている。従来のエマルジョンは、塩化ビニルを含有する共重合体をポリマー成分として用い、その難燃性を維持していた。ところが、塩化ビニルを含有する共重合体を用いた壁紙は、焼却処分時に有害なダイオキシンを発生することから、その代替品が強く求められている。この問題を解決する方法として、アクリル樹脂系の装飾シート材に係る発明が開示されている(特許文献1)。しかしながらこの方法は、十分な発泡性及び耐折性を得るという点において不満足なものであった。そこで、エチレンにバーサチック酸ビニルなどのビニルエステルを共重合して得たエマルジョンを使用することにより、上記耐折性などが改善された(特許文献2)が、その発泡性は未だ十分なものとはいえなかった。さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンは、その調製時に重合開始剤としてソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート(通称ロンガリット、以下ロンガリットと記述する)が頻用され、ロンガリットは分解時にホルムアルデヒドを発生することから、このようなエマルジョンを用いた壁紙を室内に用いた場合、シックハウス症候群を引き起こす恐れがあり、何ら問題点の解決につながらなかったというのが現状である。また、従来の発泡シート、壁紙等は年月の経過とともに風合が変化するなどの問題点があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−108640号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2000−95915号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を解消するためになされたものであり、ホルムアルデヒド揮散などの環境負荷が少なく、かつ、着色が少なく、発泡性および耐ブロッキング性さらには耐風化性に優れる水性組成物、発泡シートおよび壁紙を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、ホルムアルデヒド濃度が1ppm以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)、発泡剤(B)および無機フィラー(C)からなる水性組成物によって達成される。
また、本発明の上記目的は、分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体が、オレフィン単位の含有量をXモル%とするとき、1,2−グリコール結合を(1.7−X/40)〜4モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤として用いることによって、より好適に達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)を製造する際、分散剤として用いる、分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体(以下、α−オレフィン変性PVA系重合体と略記する場合がある)は、ビニルエステルと炭素数4以下のα−オレフィンとの共重合体をけん化することにより得ることができる。ここで炭素数4以下のα−オレフィン単位としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン単位が挙げられるが、エチレン単位が好適である。またビニルエステルとしては、酢酸ビニルが好適である。
エチレン単位を代表とするα−オレフィン単位の含有量は、1〜20モル%であることが重要であり、より好ましくは1.5モル%以上、さらには2モル%以上であり、また15モル%以下、さらには12モル%以下が好適である。エチレン単位を代表とするα−オレフィン単位がこの範囲を下回ると、壁紙等の耐風化性が充分優れたものとはならない。また、α−オレフィン単位がこの範囲を上回ると、ビニルアルコール系重合体本来の性質である水溶性が低下し、満足なエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンが得られない。
【0007】
また、α−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体としては、α−オレフィン単位の含有量をXモル%とするとき、1,2−グリコール結合を(1.7−X/40)モル%以上有するビニルアルコール系重合体も本発明の好ましい態様の一つであり、この重合体を使用することにより、発泡性、耐風化性などがより改善される。
この重合体の製法としては、例えば、ビニレンカーボネートを上記の1,2−グリコール結合量になるようα−オレフィンとビニルエステル系単量体とを共重合する方法、α−オレフィンとビニルエステル系単量体を共重合する際、重合温度を通常の条件より高い温度、例えば70〜200℃で、加圧下に重合する方法などが挙げられる。後者の方法において、より好適な重合温度は75〜190℃、最適には75〜160℃である。重合はラジカル重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などいずれの方法でも行うことができるが、溶液重合、とくにメタノールを溶媒とする溶液重合法が好適である。このようにして得られたビニルエステル重合体を通常の方法によりけん化することによりビニルアルコール系重合体が得られる。
【0008】
この場合、1,2−グリコール結合の含有量は、(1.7−X/40)モル%以上であることが好ましく、より好ましくは(1.75−X/40)モル%以上、最適には(1.8−X/40)モル%以上である。また、1,2−グリコール結合の含有量は4モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3.5モル%以下、最適には3.2モル%以下である。ここで1,2−グリコール結合の含有量はNMRスペクトルの解析から求められる。
【0009】
該ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(以下重合度と略す)は、各種の状況に応じて選定すればよく、特に制限はないが、粉末化時の作業性の観点から100〜3000が好適であり、好ましくは150〜2000、より好ましくは200〜1800である。一方、けん化度も特に制限されないが、70〜99モル%であることが好ましく、80〜98モル%がより好ましく、83〜95モル%がさらに好ましい。
【0010】
該ビニルアルコール系重合体は本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体をα−オレフィンと共重合し、得られた共重合体をけん化することによって得られる末端変性物を用いることもできる。
【0011】
分散剤として使用するα−オレフィン変性PVA系重合体の使用量については特に制限はないが、本発明の目的をより好適に達成するためには、分散質(エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂)100重量部に対して好ましくは2〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部の範囲である。PVA系重合体の使用量が上記範囲にあるとき、得られる発泡シート、壁紙の発泡性、耐ブロッキングが向上する。
【0012】
本発明の上記エマルジョン(A)を製造する際、乳化重合時に単量体としてエチレンおよび酢酸ビニルを主に使用するが、本発明の目的を損なわない範囲で、エチレン性不飽和単量体および/またはジエン系単量体を共重合しても構わない。このような単量体としては、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリドなどのハロゲン化オレフィン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸およびそのエステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸およびそのエステル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、さらには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などのアクリルアミド系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩などのスチレン系単量体、その他N−ビニルピロリドン、バーサチック酸ビニルなど、また、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体、さらにはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレートなどの多官能性単量体が挙げられる。難燃性を付与する観点でバーサチック酸ビニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどは好ましく共重合される場合がある。
【0013】
このように乳化重合して得た分散質中のエチレンの含有量は、5〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは7〜40重量%、最適には10〜30重量%である。エチレンの含有量が上記範囲にあるとき、発泡性、耐ブロッキング性が向上する。
【0014】
本発明に使用する上記エマルジョン(A)を製造する際、重合開始剤として過酸化水素と酒石酸および/またはその金属塩からなるレドックス系重合開始剤を用いる。酒石酸としては右旋性のL(+)酒石酸、左旋性のD(−)酒石酸、これら対掌体のラセミ化合物であるDL酒石酸があり、特に制限されないが、これらの中でもL(+)酒石酸を用いた場合、着色が少なく、さらに乳化重合コントロール性も良好である。また、酒石酸の金属塩を用いることも可能であり、金属の種類は特に制限されないが、通常、酒石酸ナトリウムが用いられる。中でもL(+)酒石酸ナトリウムが好ましく用いられる。L(+)酒石酸ナトリウムを用いた場合、上記利点に加えて、乳化重合後通常行われるアンモニア、苛性ソーダ等のアルカリによるpH調整も不要となる長所がある。
過酸化水素の使用量は、全単量体100重量部に対して0.01〜0.2重量部であることが好適であり、さらに好適には0.02〜0.15重量部である。
【0015】
過酸化水素と酒石酸および/またはその金属塩の使用割合は特に制限されないが、通常過酸化水素100重量部に対して、酒石酸および/またはその金属塩が50〜300重量部、好ましくは70〜250重量部、より好ましくは80〜200重量部である。酒石酸および/またはその金属塩をこの範囲で使用することにより、着色が少なく、また重合コントロール性も良好となる。
【0016】
本発明では、乳化重合系のpHを3〜7、好ましくは4〜6に調整する。pHをこの範囲に調整することにより、着色が少なく、発泡性、耐ブロッキング性が良好となり、また重合コントロール性も良好となる。乳化重合系のpHの調整方法は特に制限されず、任意の緩衝剤を用いることが可能であるが、通常、酢酸ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウム系、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが好ましく用いられる。本発明において、乳化重合系のpHとは、重合初期から重合終了までのpHを言い、本発明においては重合系のどの時点においてもpHが3〜7にあることが好適である。
【0017】
また、本発明では、乳化重合系に鉄化合物を添加することが好適である。鉄化合物としては特に制限されないが、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄から選ばれる少なくとも1種の鉄化合物が好ましく用いられ、中でも塩化第一鉄、硫酸第一鉄が特に好ましく用いられる。
【0018】
鉄化合物の使用量は特に制限されないが、全単量体に対して1〜100ppm、より好ましくは5〜50ppmである。鉄化合物をこの範囲で使用することにより、着色が少なく、また重合コントロール性も良好となる。
【0019】
上記レドックス系重合開始剤の添加方法は特に制限されない。過酸化水素は通常の乳化重合で行われる方法、すなわち、重合開始初期にショットで添加する方法、重合中に逐次的に添加する方法などが挙げられる。酒石酸および/またはその金属塩は、乳化重合初期に全量を添加して用いても良いし、乳化重合中に逐次的に添加する方法でも構わないが、通常全量を乳化重合初期に添加して用いる。鉄化合物の添加方法も特に制限されないが、通常、乳化重合初期に全量を添加して用いる。
【0020】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)の製造は、加圧下、好適には2〜7MPaの加圧下に行われるが、乳化重合途中で、たとえば残存酢酸ビニル濃度が10重量%となったところで、最初の重合圧力より0.5〜3.5MPa低い圧力下、好適には1〜3MPa低い圧力下にエチレンの一部を放出して重合を完結することが好適である。
【0021】
乳化重合後、30〜200mmHg、好適には50〜180mmHgの減圧下で、10〜70℃、好適には15〜60℃において、0.5〜5時間、好適には1〜4時間かけて脱エチレンを行うことで、より確実に未反応酢酸ビニルモノマー量を低減することが可能である。
【0022】
本発明に用いる上記エマルジョン(A)に含まれるホルムアルデヒド濃度は1ppm以下であることが必須である。このようなエマルジョン(A)は上記の方法により好適に得られる。ここでエマルジョン中のホルムアルデヒド濃度の測定は、ガス検知管を用いて行った数値をいう。エマルジョン中に含まれるホルムアルデヒド濃度が1ppmを超える場合、いわゆるノンホルムアルデヒドエマルジョンということは出来ず、本発明の目的を達成することができない。
【0023】
本発明に使用する上記エマルジョン(A)は、そのままで用いることができるが、必要があれば、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種エマルジョンを添加して用いることができる。
さらにまた、本発明に用いる分散剤としては、上記したα−オレフィン変性PVA系重合体が用いられるが、必要に応じて、従来公知のアニオン性、ノニオン性あるいはカチオン性の界面活性剤や、ヒドロキシエチルセルロースなどを併用することもできる。
【0024】
本発明において使用する発泡剤(B)としては、加熱、減圧等の操作により発泡がおこるものであれば特に制限はないが、熱分解型の発泡剤、熱膨張性中空微小球体などが挙げられ、特に熱膨張性中空微小球体が好ましく用いられる。熱分解型の発泡剤としては、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3’−ジスルホンヒドラジドジフェニルスルホン、トルエンジスルホニルヒドラジン、p−トルエンジスルホニルヒドラジド、p−トルエンジスルホニルセミカルバジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカーボンアミド、ジエチルアゾジカルボキシレート等が挙げられる。
熱膨張性中空微小球体とは、加熱により膨張・発泡させることができる微小球体からなる発泡剤であり、たとえばポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルとアクリル酸メチルの共重合体などからなる殻部分の内部にエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの低沸点炭化水素を含有する粒径1〜50μmの球体である。市販品としては、たとえば松本油脂社製 商品名「マイクロスフェアF−85D」を用いることができる。
【0025】
本発明において使用する無機フィラー(C)としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第1鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ類、二酸化チタン、ケイ酸マグネシウムなどを挙げることができる。好ましくは水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化第1鉄、塩基性炭酸亜鉛、二酸化チタンである。
【0026】
上記発泡剤(B)の含有量は特に限定されないが、上記エマルジョン(A)100重量部(固形分基準)に対し好ましくは5〜50重量部、より好ましくは5〜40重量部である。(B)成分が少なすぎる場合は発泡性に劣る懸念が生じ、一方(B)成分が多過ぎる場合は耐ブロッキング性が低下する懸念が生じる。
【0027】
また、上記無機フィラー(C)の含有量も特に限定されないが、(A)100重量部(固形分基準)に対し好ましくは50〜350重量部であり、さらに好ましくは80〜300重量部である。(C)成分が過少な場合は、耐ブロッキング性に劣る懸念が生じ、一方(C)成分が過多な場合は発泡性に劣る懸念が生じる。
本発明の水性組成物は、上記の(A)〜(C)成分の所定量を混合することにより得られる。
【0028】
本発明の発泡シートおよび壁紙を得る方法は特に限定されないが、たとえば、上記水性組成物をロールコーター、リバースロールコーター、ドクターコーター等のコーティング方式やスクリーン印刷、グラビア印刷、彫刻ロール印刷、フレキソ印刷等の凹凸印刷方式を用いて紙に塗布または印刷し、乾燥後、発泡処理、エンボス加工を施こすことなどにより得られる。
【0029】
本発明の水性組成物、発泡シートおよび壁紙は、ホルムアルデヒドを、ほとんどまたは全く含有しないので環境負荷が少なく、さらに着色が少なく、発泡性および耐ブロッキング性、耐風化性に優れる。そのために、本発明の壁紙は、環境配慮型の内装用壁紙などとして広範に好適に用いられる。
【0030】
【実施例】
次に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。また、得られた組成物中の未反応酢酸ビニルモノマー量、ホルムアルデヒド含有量などの物性を下記の要領で評価した。
【0031】
(評価方法)
(1)ホルムアルデヒド含有量
10mlガラスバイアルにエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)を0.1g採取し、40℃×1hr加温した後、ガス検知管(No.171SB:光明理化学工業製、100ml吸引)で測定した。
(2)発泡性
水性組成物を、乾燥後の厚さが0.15mmとなるように壁紙用基紙(防湿加工未処理紙)に塗布し、100℃で10分間乾燥させ、更に180℃で1分間加熱することにより発泡させ発泡倍率を下式により評価した。
発泡倍率=(発泡体の厚さ)/(乾燥塗膜の厚さ:0.15mm)
(3)耐ブロッキング性
水性組成物を発泡させた、2つの発泡シートの塗膜面同士を重ねて合わせ、45℃、90%RH(相対湿度)の条件下、5kg/cm2の荷重をかけて24時間放置した。その後、発泡シート同士を剥がし、以下の基準により評価した。
○(抵抗なし)、△(抵抗あり)、×(材破)
(4)発泡シートからのホルムアルデヒド放散量
JIS R3503(化学分析用ガラス器具)に規定する大きさ240mmのデシケータの底部に300mlの蒸留水を入れた容器をおき、その上に2.5cm×7.5cmに切り出した上記発泡シート10枚を支持金具に固定し、それぞれが接触しない様に20℃で24時間放置し、放散するホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させて試料溶液とした。この試料溶液を用い、JAS木材編「普通合板」第19頁に示されるアセチルアセトン法によりホルムアルデヒド量を測定した。
(5)着色性
上記の発泡シートを空気雰囲気下、100℃で、10分間放置し、その後発泡シートを目視により観察し、着色状態を以下の基準により判断した。
○ 着色なし、△ 微黄色に着色、× 黄色に着色
(6)耐風化性
上記の発泡シートを40℃において3ケ月放置し、発泡状態の変化を以下の基準により評価した。
変化率(%)=[1−{(3ケ月後の発泡体の厚さ)/(発泡直後の厚さ)}]×100
【0032】
実施例1
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧50リットルオートクレーブにPVA−1(エチレン変性量3モル%、重合度1700、けん化度94.5モル%)を1061g、イオン交換水19440g、L(+)酒石酸8.3g、酢酸ナトリウム10g、塩化第一鉄0.4gを仕込み、95℃で完全に溶解し、その後60℃に冷却し、窒素置換を行った。次に酢酸ビニル22360gを仕込んだ後、エチレンを4.4MPaまで加圧して導入し、0.4%過酸化水素水溶液1000gを5時間かけて圧入し、60℃で乳化重合を行った。重合初期の重合系のpHは5.2であった。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレンを放出し、エチレン圧力2MPaとし、3%過酸化水素水溶液50gを圧入し、重合を完結させた。冷却後、pHを確認したところ、pH=4.8であった。10%水酸化ナトリウム水溶液を120g添加しエマルジョンのpHを5.5に調整し、60メッシュのステンレス製金網を用い、ろ過した。その結果、固形分濃度54.4%、エチレン含量20重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンが得られた。このエマルジョン184部(固形分で100部)に熱膨張性中空微小球体(松本油脂社製マイクロスフェアF−85D)30部、炭酸カルシウム200部、水30部を加えてホモミキサーで分散させ、水性組成物を調製した。この組成物の評価を前述の方法により行った。結果を表1に示す。表1中、Etはエチレンを示す。また、分散剤の量(phm)は、エチレンと酢酸ビニルの合計量(エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂の重量)100重量部に対する重量部を示す。
【0033】
実施例2
実施例1においてPVA−1の代わりにPVA−2(エチレン変性量3モル%、重合度1000、けん化度93モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0034】
比較例1
実施例1においてL(+)酒石酸の代わりにロンガリットを、PVA−1の代わりにPVA−3(重合度1700、けん化度95モル%:(株)クラレ製PVA−617)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0035】
実施例3
実施例1においてPVA−1の代わりにPVA−4(エチレン変性量5モル%、重合度1700、けん化度98モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0036】
実施例4
実施例1においてPVA−1の代わりにPVA−5(エチレン変性量3モル%、重合度1000、けん化度90モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0037】
実施例5
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧60リットルオートクレーブにPVA−1を4063g、イオン交換水25064g、L(+)酒石酸8.3g、酢酸ナトリウム10g、塩化第一鉄0.4gを仕込み、95℃で完全に溶解し、その後60℃に冷却し、窒素置換を行った。次に酢酸ビニル22360gを仕込んだ後、エチレンを4.4MPaまで加圧して導入し、0.4%過酸化水素水溶液1000gを5時間かけて圧入し、60℃で乳化重合を行った。重合初期の重合系のpHは5.2であった。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレンを放出し、エチレン圧力2MPaとし、3%過酸化水素水溶液50gを圧入し、重合を完結させた。冷却後、pHを確認したところ、pH=4.8であった。10%水酸化ナトリウム水溶液を120g添加しエマルジョンのpHを5.5に調整し、60メッシュのステンレス製金網を用い、ろ過した。その結果、固形分濃度50.3%、エチレン含量19重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンが得られた。このエマルジョン199部(固形分で100部)に熱膨張性中空微小球体(松本油脂社製マイクロスフェアF−85D)30部、炭酸カルシウム200部、水30部を加えてホモミキサーで分散させ、水性組成物を調製した。この組成物の評価を前述の方法により行った。結果を表1に示す。
【0038】
実施例6
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧50リットルオートクレーブにPVA−1(エチレン変性量3モル%、重合度1700、けん化度94.5モル%)を1061g、イオン交換水19440g、L(+)酒石酸8.3g、酢酸ナトリウム10g、塩化第一鉄0.4gを仕込み、95℃で完全に溶解し、その後60℃に冷却し、窒素置換を行った。次に酢酸ビニル22360gを仕込んだ後、エチレンを2.5MPaまで加圧して導入し、0.4%過酸化水素水溶液1000gを5時間かけて圧入し、60℃で乳化重合を行った。重合初期の重合系のpHは5.2であった。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレンを放出し、エチレン圧力1MPaとし、3%過酸化水素水溶液50gを圧入し、重合を完結させた。冷却後、pHを確認したところ、pH=4.7であった。10%水酸化ナトリウム水溶液を120g添加しエマルジョンのpHを5.5に調整し、60メッシュのステンレス製金網を用い、ろ過した。その結果、固形分濃度54%、エチレン含量7重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンが得られた。このエマルジョン185部(固形分で100部)に熱膨張性中空微小球体(松本油脂社製マイクロスフェアF−85D)30部、炭酸カルシウム200部、水30部を加えてホモミキサーで分散させ、水性組成物を調製した。この組成物の評価を前述の方法により行った。結果を表1に示す。
【0039】
比較例2
実施例1において熱膨張性中空微小球体を用いなかった他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0040】
比較例3
実施例1において炭酸カルシウムを用いなかった他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0041】
実施例7
実施例1において熱膨張性中空微小球体を45部とした他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0042】
実施例8
実施例1において炭酸カルシウムを60部とした他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0043】
実施例9
実施例1において炭酸カルシウムを300部とした他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0044】
実施例10
実施例1においてPVA−1の代わりにPVA−6(エチレン変性量3モル%、重合度1000、けん化度93モル%、1,2−グリコール結合量1.9モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明の水性組成物、発泡シートおよび壁紙は、ホルムアルデヒドをほとんどまたはまったく含有しないので、環境負荷が少なく、さらに着色が少なく、発泡性および耐ブロッキング性、耐風化性に優れる。そのため、環境配慮型の内装用壁紙などとして広範に好適に用いられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性組成物、発泡シートおよび壁紙に関する。さらに詳しくは、ホルムアルデヒドを、ほとんどまたはまったく含有しない環境負荷の少ない水性組成物、および前記組成物を用いて得られる、着色がなく、発泡性および耐ブロッキング性、さらには耐風化性に優れる発泡シートおよび壁紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、壁紙用途として難燃性発泡シート用水性エマルジョン組成物が用いられている。従来のエマルジョンは、塩化ビニルを含有する共重合体をポリマー成分として用い、その難燃性を維持していた。ところが、塩化ビニルを含有する共重合体を用いた壁紙は、焼却処分時に有害なダイオキシンを発生することから、その代替品が強く求められている。この問題を解決する方法として、アクリル樹脂系の装飾シート材に係る発明が開示されている(特許文献1)。しかしながらこの方法は、十分な発泡性及び耐折性を得るという点において不満足なものであった。そこで、エチレンにバーサチック酸ビニルなどのビニルエステルを共重合して得たエマルジョンを使用することにより、上記耐折性などが改善された(特許文献2)が、その発泡性は未だ十分なものとはいえなかった。さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンは、その調製時に重合開始剤としてソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート(通称ロンガリット、以下ロンガリットと記述する)が頻用され、ロンガリットは分解時にホルムアルデヒドを発生することから、このようなエマルジョンを用いた壁紙を室内に用いた場合、シックハウス症候群を引き起こす恐れがあり、何ら問題点の解決につながらなかったというのが現状である。また、従来の発泡シート、壁紙等は年月の経過とともに風合が変化するなどの問題点があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−108640号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2000−95915号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を解消するためになされたものであり、ホルムアルデヒド揮散などの環境負荷が少なく、かつ、着色が少なく、発泡性および耐ブロッキング性さらには耐風化性に優れる水性組成物、発泡シートおよび壁紙を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、ホルムアルデヒド濃度が1ppm以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)、発泡剤(B)および無機フィラー(C)からなる水性組成物によって達成される。
また、本発明の上記目的は、分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体が、オレフィン単位の含有量をXモル%とするとき、1,2−グリコール結合を(1.7−X/40)〜4モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤として用いることによって、より好適に達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)を製造する際、分散剤として用いる、分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体(以下、α−オレフィン変性PVA系重合体と略記する場合がある)は、ビニルエステルと炭素数4以下のα−オレフィンとの共重合体をけん化することにより得ることができる。ここで炭素数4以下のα−オレフィン単位としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン単位が挙げられるが、エチレン単位が好適である。またビニルエステルとしては、酢酸ビニルが好適である。
エチレン単位を代表とするα−オレフィン単位の含有量は、1〜20モル%であることが重要であり、より好ましくは1.5モル%以上、さらには2モル%以上であり、また15モル%以下、さらには12モル%以下が好適である。エチレン単位を代表とするα−オレフィン単位がこの範囲を下回ると、壁紙等の耐風化性が充分優れたものとはならない。また、α−オレフィン単位がこの範囲を上回ると、ビニルアルコール系重合体本来の性質である水溶性が低下し、満足なエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンが得られない。
【0007】
また、α−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体としては、α−オレフィン単位の含有量をXモル%とするとき、1,2−グリコール結合を(1.7−X/40)モル%以上有するビニルアルコール系重合体も本発明の好ましい態様の一つであり、この重合体を使用することにより、発泡性、耐風化性などがより改善される。
この重合体の製法としては、例えば、ビニレンカーボネートを上記の1,2−グリコール結合量になるようα−オレフィンとビニルエステル系単量体とを共重合する方法、α−オレフィンとビニルエステル系単量体を共重合する際、重合温度を通常の条件より高い温度、例えば70〜200℃で、加圧下に重合する方法などが挙げられる。後者の方法において、より好適な重合温度は75〜190℃、最適には75〜160℃である。重合はラジカル重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などいずれの方法でも行うことができるが、溶液重合、とくにメタノールを溶媒とする溶液重合法が好適である。このようにして得られたビニルエステル重合体を通常の方法によりけん化することによりビニルアルコール系重合体が得られる。
【0008】
この場合、1,2−グリコール結合の含有量は、(1.7−X/40)モル%以上であることが好ましく、より好ましくは(1.75−X/40)モル%以上、最適には(1.8−X/40)モル%以上である。また、1,2−グリコール結合の含有量は4モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3.5モル%以下、最適には3.2モル%以下である。ここで1,2−グリコール結合の含有量はNMRスペクトルの解析から求められる。
【0009】
該ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(以下重合度と略す)は、各種の状況に応じて選定すればよく、特に制限はないが、粉末化時の作業性の観点から100〜3000が好適であり、好ましくは150〜2000、より好ましくは200〜1800である。一方、けん化度も特に制限されないが、70〜99モル%であることが好ましく、80〜98モル%がより好ましく、83〜95モル%がさらに好ましい。
【0010】
該ビニルアルコール系重合体は本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体をα−オレフィンと共重合し、得られた共重合体をけん化することによって得られる末端変性物を用いることもできる。
【0011】
分散剤として使用するα−オレフィン変性PVA系重合体の使用量については特に制限はないが、本発明の目的をより好適に達成するためには、分散質(エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂)100重量部に対して好ましくは2〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部の範囲である。PVA系重合体の使用量が上記範囲にあるとき、得られる発泡シート、壁紙の発泡性、耐ブロッキングが向上する。
【0012】
本発明の上記エマルジョン(A)を製造する際、乳化重合時に単量体としてエチレンおよび酢酸ビニルを主に使用するが、本発明の目的を損なわない範囲で、エチレン性不飽和単量体および/またはジエン系単量体を共重合しても構わない。このような単量体としては、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリドなどのハロゲン化オレフィン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸およびそのエステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸およびそのエステル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、さらには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などのアクリルアミド系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩などのスチレン系単量体、その他N−ビニルピロリドン、バーサチック酸ビニルなど、また、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体、さらにはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレートなどの多官能性単量体が挙げられる。難燃性を付与する観点でバーサチック酸ビニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどは好ましく共重合される場合がある。
【0013】
このように乳化重合して得た分散質中のエチレンの含有量は、5〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは7〜40重量%、最適には10〜30重量%である。エチレンの含有量が上記範囲にあるとき、発泡性、耐ブロッキング性が向上する。
【0014】
本発明に使用する上記エマルジョン(A)を製造する際、重合開始剤として過酸化水素と酒石酸および/またはその金属塩からなるレドックス系重合開始剤を用いる。酒石酸としては右旋性のL(+)酒石酸、左旋性のD(−)酒石酸、これら対掌体のラセミ化合物であるDL酒石酸があり、特に制限されないが、これらの中でもL(+)酒石酸を用いた場合、着色が少なく、さらに乳化重合コントロール性も良好である。また、酒石酸の金属塩を用いることも可能であり、金属の種類は特に制限されないが、通常、酒石酸ナトリウムが用いられる。中でもL(+)酒石酸ナトリウムが好ましく用いられる。L(+)酒石酸ナトリウムを用いた場合、上記利点に加えて、乳化重合後通常行われるアンモニア、苛性ソーダ等のアルカリによるpH調整も不要となる長所がある。
過酸化水素の使用量は、全単量体100重量部に対して0.01〜0.2重量部であることが好適であり、さらに好適には0.02〜0.15重量部である。
【0015】
過酸化水素と酒石酸および/またはその金属塩の使用割合は特に制限されないが、通常過酸化水素100重量部に対して、酒石酸および/またはその金属塩が50〜300重量部、好ましくは70〜250重量部、より好ましくは80〜200重量部である。酒石酸および/またはその金属塩をこの範囲で使用することにより、着色が少なく、また重合コントロール性も良好となる。
【0016】
本発明では、乳化重合系のpHを3〜7、好ましくは4〜6に調整する。pHをこの範囲に調整することにより、着色が少なく、発泡性、耐ブロッキング性が良好となり、また重合コントロール性も良好となる。乳化重合系のpHの調整方法は特に制限されず、任意の緩衝剤を用いることが可能であるが、通常、酢酸ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウム系、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが好ましく用いられる。本発明において、乳化重合系のpHとは、重合初期から重合終了までのpHを言い、本発明においては重合系のどの時点においてもpHが3〜7にあることが好適である。
【0017】
また、本発明では、乳化重合系に鉄化合物を添加することが好適である。鉄化合物としては特に制限されないが、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄から選ばれる少なくとも1種の鉄化合物が好ましく用いられ、中でも塩化第一鉄、硫酸第一鉄が特に好ましく用いられる。
【0018】
鉄化合物の使用量は特に制限されないが、全単量体に対して1〜100ppm、より好ましくは5〜50ppmである。鉄化合物をこの範囲で使用することにより、着色が少なく、また重合コントロール性も良好となる。
【0019】
上記レドックス系重合開始剤の添加方法は特に制限されない。過酸化水素は通常の乳化重合で行われる方法、すなわち、重合開始初期にショットで添加する方法、重合中に逐次的に添加する方法などが挙げられる。酒石酸および/またはその金属塩は、乳化重合初期に全量を添加して用いても良いし、乳化重合中に逐次的に添加する方法でも構わないが、通常全量を乳化重合初期に添加して用いる。鉄化合物の添加方法も特に制限されないが、通常、乳化重合初期に全量を添加して用いる。
【0020】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)の製造は、加圧下、好適には2〜7MPaの加圧下に行われるが、乳化重合途中で、たとえば残存酢酸ビニル濃度が10重量%となったところで、最初の重合圧力より0.5〜3.5MPa低い圧力下、好適には1〜3MPa低い圧力下にエチレンの一部を放出して重合を完結することが好適である。
【0021】
乳化重合後、30〜200mmHg、好適には50〜180mmHgの減圧下で、10〜70℃、好適には15〜60℃において、0.5〜5時間、好適には1〜4時間かけて脱エチレンを行うことで、より確実に未反応酢酸ビニルモノマー量を低減することが可能である。
【0022】
本発明に用いる上記エマルジョン(A)に含まれるホルムアルデヒド濃度は1ppm以下であることが必須である。このようなエマルジョン(A)は上記の方法により好適に得られる。ここでエマルジョン中のホルムアルデヒド濃度の測定は、ガス検知管を用いて行った数値をいう。エマルジョン中に含まれるホルムアルデヒド濃度が1ppmを超える場合、いわゆるノンホルムアルデヒドエマルジョンということは出来ず、本発明の目的を達成することができない。
【0023】
本発明に使用する上記エマルジョン(A)は、そのままで用いることができるが、必要があれば、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種エマルジョンを添加して用いることができる。
さらにまた、本発明に用いる分散剤としては、上記したα−オレフィン変性PVA系重合体が用いられるが、必要に応じて、従来公知のアニオン性、ノニオン性あるいはカチオン性の界面活性剤や、ヒドロキシエチルセルロースなどを併用することもできる。
【0024】
本発明において使用する発泡剤(B)としては、加熱、減圧等の操作により発泡がおこるものであれば特に制限はないが、熱分解型の発泡剤、熱膨張性中空微小球体などが挙げられ、特に熱膨張性中空微小球体が好ましく用いられる。熱分解型の発泡剤としては、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3’−ジスルホンヒドラジドジフェニルスルホン、トルエンジスルホニルヒドラジン、p−トルエンジスルホニルヒドラジド、p−トルエンジスルホニルセミカルバジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカーボンアミド、ジエチルアゾジカルボキシレート等が挙げられる。
熱膨張性中空微小球体とは、加熱により膨張・発泡させることができる微小球体からなる発泡剤であり、たとえばポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルとアクリル酸メチルの共重合体などからなる殻部分の内部にエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの低沸点炭化水素を含有する粒径1〜50μmの球体である。市販品としては、たとえば松本油脂社製 商品名「マイクロスフェアF−85D」を用いることができる。
【0025】
本発明において使用する無機フィラー(C)としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第1鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ類、二酸化チタン、ケイ酸マグネシウムなどを挙げることができる。好ましくは水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化第1鉄、塩基性炭酸亜鉛、二酸化チタンである。
【0026】
上記発泡剤(B)の含有量は特に限定されないが、上記エマルジョン(A)100重量部(固形分基準)に対し好ましくは5〜50重量部、より好ましくは5〜40重量部である。(B)成分が少なすぎる場合は発泡性に劣る懸念が生じ、一方(B)成分が多過ぎる場合は耐ブロッキング性が低下する懸念が生じる。
【0027】
また、上記無機フィラー(C)の含有量も特に限定されないが、(A)100重量部(固形分基準)に対し好ましくは50〜350重量部であり、さらに好ましくは80〜300重量部である。(C)成分が過少な場合は、耐ブロッキング性に劣る懸念が生じ、一方(C)成分が過多な場合は発泡性に劣る懸念が生じる。
本発明の水性組成物は、上記の(A)〜(C)成分の所定量を混合することにより得られる。
【0028】
本発明の発泡シートおよび壁紙を得る方法は特に限定されないが、たとえば、上記水性組成物をロールコーター、リバースロールコーター、ドクターコーター等のコーティング方式やスクリーン印刷、グラビア印刷、彫刻ロール印刷、フレキソ印刷等の凹凸印刷方式を用いて紙に塗布または印刷し、乾燥後、発泡処理、エンボス加工を施こすことなどにより得られる。
【0029】
本発明の水性組成物、発泡シートおよび壁紙は、ホルムアルデヒドを、ほとんどまたは全く含有しないので環境負荷が少なく、さらに着色が少なく、発泡性および耐ブロッキング性、耐風化性に優れる。そのために、本発明の壁紙は、環境配慮型の内装用壁紙などとして広範に好適に用いられる。
【0030】
【実施例】
次に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。また、得られた組成物中の未反応酢酸ビニルモノマー量、ホルムアルデヒド含有量などの物性を下記の要領で評価した。
【0031】
(評価方法)
(1)ホルムアルデヒド含有量
10mlガラスバイアルにエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)を0.1g採取し、40℃×1hr加温した後、ガス検知管(No.171SB:光明理化学工業製、100ml吸引)で測定した。
(2)発泡性
水性組成物を、乾燥後の厚さが0.15mmとなるように壁紙用基紙(防湿加工未処理紙)に塗布し、100℃で10分間乾燥させ、更に180℃で1分間加熱することにより発泡させ発泡倍率を下式により評価した。
発泡倍率=(発泡体の厚さ)/(乾燥塗膜の厚さ:0.15mm)
(3)耐ブロッキング性
水性組成物を発泡させた、2つの発泡シートの塗膜面同士を重ねて合わせ、45℃、90%RH(相対湿度)の条件下、5kg/cm2の荷重をかけて24時間放置した。その後、発泡シート同士を剥がし、以下の基準により評価した。
○(抵抗なし)、△(抵抗あり)、×(材破)
(4)発泡シートからのホルムアルデヒド放散量
JIS R3503(化学分析用ガラス器具)に規定する大きさ240mmのデシケータの底部に300mlの蒸留水を入れた容器をおき、その上に2.5cm×7.5cmに切り出した上記発泡シート10枚を支持金具に固定し、それぞれが接触しない様に20℃で24時間放置し、放散するホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させて試料溶液とした。この試料溶液を用い、JAS木材編「普通合板」第19頁に示されるアセチルアセトン法によりホルムアルデヒド量を測定した。
(5)着色性
上記の発泡シートを空気雰囲気下、100℃で、10分間放置し、その後発泡シートを目視により観察し、着色状態を以下の基準により判断した。
○ 着色なし、△ 微黄色に着色、× 黄色に着色
(6)耐風化性
上記の発泡シートを40℃において3ケ月放置し、発泡状態の変化を以下の基準により評価した。
変化率(%)=[1−{(3ケ月後の発泡体の厚さ)/(発泡直後の厚さ)}]×100
【0032】
実施例1
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧50リットルオートクレーブにPVA−1(エチレン変性量3モル%、重合度1700、けん化度94.5モル%)を1061g、イオン交換水19440g、L(+)酒石酸8.3g、酢酸ナトリウム10g、塩化第一鉄0.4gを仕込み、95℃で完全に溶解し、その後60℃に冷却し、窒素置換を行った。次に酢酸ビニル22360gを仕込んだ後、エチレンを4.4MPaまで加圧して導入し、0.4%過酸化水素水溶液1000gを5時間かけて圧入し、60℃で乳化重合を行った。重合初期の重合系のpHは5.2であった。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレンを放出し、エチレン圧力2MPaとし、3%過酸化水素水溶液50gを圧入し、重合を完結させた。冷却後、pHを確認したところ、pH=4.8であった。10%水酸化ナトリウム水溶液を120g添加しエマルジョンのpHを5.5に調整し、60メッシュのステンレス製金網を用い、ろ過した。その結果、固形分濃度54.4%、エチレン含量20重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンが得られた。このエマルジョン184部(固形分で100部)に熱膨張性中空微小球体(松本油脂社製マイクロスフェアF−85D)30部、炭酸カルシウム200部、水30部を加えてホモミキサーで分散させ、水性組成物を調製した。この組成物の評価を前述の方法により行った。結果を表1に示す。表1中、Etはエチレンを示す。また、分散剤の量(phm)は、エチレンと酢酸ビニルの合計量(エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂の重量)100重量部に対する重量部を示す。
【0033】
実施例2
実施例1においてPVA−1の代わりにPVA−2(エチレン変性量3モル%、重合度1000、けん化度93モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0034】
比較例1
実施例1においてL(+)酒石酸の代わりにロンガリットを、PVA−1の代わりにPVA−3(重合度1700、けん化度95モル%:(株)クラレ製PVA−617)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0035】
実施例3
実施例1においてPVA−1の代わりにPVA−4(エチレン変性量5モル%、重合度1700、けん化度98モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0036】
実施例4
実施例1においてPVA−1の代わりにPVA−5(エチレン変性量3モル%、重合度1000、けん化度90モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0037】
実施例5
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧60リットルオートクレーブにPVA−1を4063g、イオン交換水25064g、L(+)酒石酸8.3g、酢酸ナトリウム10g、塩化第一鉄0.4gを仕込み、95℃で完全に溶解し、その後60℃に冷却し、窒素置換を行った。次に酢酸ビニル22360gを仕込んだ後、エチレンを4.4MPaまで加圧して導入し、0.4%過酸化水素水溶液1000gを5時間かけて圧入し、60℃で乳化重合を行った。重合初期の重合系のpHは5.2であった。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレンを放出し、エチレン圧力2MPaとし、3%過酸化水素水溶液50gを圧入し、重合を完結させた。冷却後、pHを確認したところ、pH=4.8であった。10%水酸化ナトリウム水溶液を120g添加しエマルジョンのpHを5.5に調整し、60メッシュのステンレス製金網を用い、ろ過した。その結果、固形分濃度50.3%、エチレン含量19重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンが得られた。このエマルジョン199部(固形分で100部)に熱膨張性中空微小球体(松本油脂社製マイクロスフェアF−85D)30部、炭酸カルシウム200部、水30部を加えてホモミキサーで分散させ、水性組成物を調製した。この組成物の評価を前述の方法により行った。結果を表1に示す。
【0038】
実施例6
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧50リットルオートクレーブにPVA−1(エチレン変性量3モル%、重合度1700、けん化度94.5モル%)を1061g、イオン交換水19440g、L(+)酒石酸8.3g、酢酸ナトリウム10g、塩化第一鉄0.4gを仕込み、95℃で完全に溶解し、その後60℃に冷却し、窒素置換を行った。次に酢酸ビニル22360gを仕込んだ後、エチレンを2.5MPaまで加圧して導入し、0.4%過酸化水素水溶液1000gを5時間かけて圧入し、60℃で乳化重合を行った。重合初期の重合系のpHは5.2であった。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレンを放出し、エチレン圧力1MPaとし、3%過酸化水素水溶液50gを圧入し、重合を完結させた。冷却後、pHを確認したところ、pH=4.7であった。10%水酸化ナトリウム水溶液を120g添加しエマルジョンのpHを5.5に調整し、60メッシュのステンレス製金網を用い、ろ過した。その結果、固形分濃度54%、エチレン含量7重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンが得られた。このエマルジョン185部(固形分で100部)に熱膨張性中空微小球体(松本油脂社製マイクロスフェアF−85D)30部、炭酸カルシウム200部、水30部を加えてホモミキサーで分散させ、水性組成物を調製した。この組成物の評価を前述の方法により行った。結果を表1に示す。
【0039】
比較例2
実施例1において熱膨張性中空微小球体を用いなかった他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0040】
比較例3
実施例1において炭酸カルシウムを用いなかった他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0041】
実施例7
実施例1において熱膨張性中空微小球体を45部とした他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0042】
実施例8
実施例1において炭酸カルシウムを60部とした他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0043】
実施例9
実施例1において炭酸カルシウムを300部とした他は、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0044】
実施例10
実施例1においてPVA−1の代わりにPVA−6(エチレン変性量3モル%、重合度1000、けん化度93モル%、1,2−グリコール結合量1.9モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを用い、実施例1と同様にして水性組成物を調製し、評価を実施例1と同様に行った。結果を併せて表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明の水性組成物、発泡シートおよび壁紙は、ホルムアルデヒドをほとんどまたはまったく含有しないので、環境負荷が少なく、さらに着色が少なく、発泡性および耐ブロッキング性、耐風化性に優れる。そのため、環境配慮型の内装用壁紙などとして広範に好適に用いられる。
Claims (5)
- 分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、ホルムアルデヒド濃度が1ppm以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(A)、発泡剤(B)および無機フィラー(C)からなる水性組成物。
- 分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体が、オレフィン単位の含有量をXモル%とするとき、1,2−グリコール結合を(1.7−X/40)〜4モル%含有するビニルアルコール系重合体である請求項1記載の水性組成物。
- 発泡剤が、熱膨張性中空微小球体である請求項1または2記載の水性組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の水性組成物を用いて得られる発泡シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の水性組成物を用いて得られる壁紙。
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JP2002359607A JP2004189890A (ja) | 2002-12-11 | 2002-12-11 | 水性組成物、発泡シートおよび壁紙 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010216054A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-09-30 | Toppan Cosmo Inc | 発泡壁紙 |
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2002
- 2002-12-11 JP JP2002359607A patent/JP2004189890A/ja active Pending
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