JP2004188432A - ダイカスト鋳造装置および鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空ダイカスト法を含むダイカスト鋳造作業において、射出スリーブ内の滞留空気を溶湯内に巻き込む不具合を確実に防ぎ、鋳造品質の向上を図る。
【解決手段】射出スリーブ10は、その内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材11で構成することにより、射出スリーブ10の内部と外部との密閉性を確保しつつ多孔質部材11を空気の連通経路として用いることが可能となる。減圧手段12により、多孔質部材11を介して射出スリーブ10内の滞留空気9を吸引することにより、射出スリーブ10内の密閉性を確保したまま滞留空気9を吸引し、溶湯4中への空気の巻き込みを解消することができる。しかも、多孔質部材11の気孔率を調整することにより、射出スリーブ10内の滞留空気9の流通を阻害することなく、かつ、多孔質部材11への溶湯4の差込を回避することが可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】射出スリーブ10は、その内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材11で構成することにより、射出スリーブ10の内部と外部との密閉性を確保しつつ多孔質部材11を空気の連通経路として用いることが可能となる。減圧手段12により、多孔質部材11を介して射出スリーブ10内の滞留空気9を吸引することにより、射出スリーブ10内の密閉性を確保したまま滞留空気9を吸引し、溶湯4中への空気の巻き込みを解消することができる。しかも、多孔質部材11の気孔率を調整することにより、射出スリーブ10内の滞留空気9の流通を阻害することなく、かつ、多孔質部材11への溶湯4の差込を回避することが可能となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカスト鋳造装置とダイカスト鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイカスト鋳造法は、図3に示すように、射出スリーブ1により、金型2のキャビティ3にアルミニウム合金の溶湯4を高圧・高速で注入し、一定形状のアルミ成形品を得る鋳造方法である。射出スリーブ1は、後端部に設けた溶湯の給湯口5を通して、取鍋から一定量の溶湯4を受取り、図4に示すように、射出スリーブ1に摺動可能に配置された射出プランジャー6の前進により、金型キャビティ内の溶湯4を射出スリーブ1の前方へと高速で押出し、圧力を増大させて射出口7からキャビティ3へと注入する。この際、射出スリーブ1内の溶湯4が波打ち、スリーブ内の空気8が符号9で示すように、滞留空気として溶湯4中に巻き込まれることがある。
そこで、従来から溶湯4中への空気8の巻き込みを防ぐために、射出スリーブ1と金型外部空間とを連通する、連通路を設けた例や(例えば、特許文献1参照。)、射出スリーブ1の上壁面を貫通してプランジャチップ背面へと滞留空気9を逃がす、空気抜き部を設けた例がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−284900号公報(請求項1、図1)
【特許文献2】
特開平7−124727号公報(〔0016〕、図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の連通路や空気抜き部は、キャビティ3内の空気を真空引きする(図4に矢印10で模式的に示す。)真空ダイカスト法の場合には、キャビティ3内の密閉性を損なうこととなることから用いることができなかった。しかも、真空ダイカスト法の場合には、射出プランジャー6の先端部(プランジャチップ)と、射出スリーブ1との間から、プランジャチップ背面の空気がリークして射出プランジャー6の前方に滞留し、かかる空気も溶湯4中に巻き込み易くなるといった問題があり、何らかの解決策が望まれていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、真空ダイカスト法を含むダイカスト鋳造作業において、射出スリーブ内の滞留空気を溶湯内に巻き込む不具合を確実に防ぎ、鋳造品質の向上を図ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための、本発明の請求項1に係るダイカスト鋳造装置は、金型キャビティへと定量の溶湯を加圧注入する射出スリーブの、内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材で構成し、かつ、当該多孔質部材を介して射出スリーブ内の滞留空気を吸引する減圧手段を設けたことを特徴とするものである。
本発明によれば、射出スリーブの内壁をその表面から所定深さまで多孔質部材で構成することにより、射出スリーブの内部と外部との密閉性を確保しつつ、前記多孔質部材を空気の連通経路として用いることが可能となる。そして、前記減圧手段により、前記多孔質部材を介して射出スリーブ内の滞留空気を吸引することにより、射出スリーブ内の密閉性を確保したまま滞留空気を吸引し、溶湯中への空気の巻き込みを解消することができる。なお、前記多孔質部材の気孔率を調整することにより、前記射出スリーブ内の滞留空気の流通を阻害することなく前記多孔質部材への溶湯の差込を回避することが可能となる。
【0006】
また、本発明の請求項2に係るダイカスト鋳造装置は、請求項1記載のダイカスト鋳造装置において、前記多孔質部材は、前記射出スリーブの射出口に隣接する一定範囲に位置するものである。
この構成によれば、給湯口から射出スリーブ内に給湯した溶湯を、前記射出スリーブに摺動可能に配置された射出プランジャーの前進により金型キャビティへと射出する際に、溶湯の前進に伴って移動する射出スリーブ内の滞留空気を、前記射出スリーブから金型キャビティへと射出される前段階で、前記多孔質部材を介して、効率的に吸引、除去することが可能となる。また、溶湯上面の酸化膜を、溶湯の射出完了まで給湯口近傍に保持することができるので、当該酸化膜をビスケット部に補足させることが可能となる。
【0007】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項3に係るダイカスト鋳造方法は、給湯口から射出スリーブ内に給湯した溶湯を、前記射出スリーブに摺動可能に配置された射出プランジャーの前進により金型キャビティへと射出するダイカスト鋳造方法において、定量の溶湯を金型キャビティへと加圧注入する射出スリーブの、内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材で構成し、前記射出プランジャーの前進により、前記射出スリーブに開口する給湯口を封鎖した後射出完了までの間、前記多孔質部材を介して、射出スリーブ内の滞留空気を吸引することを特徴とするものである。
本発明によれば、給湯口から射出スリーブ内に給湯した溶湯を、前記射出スリーブに摺動可能に配置された射出プランジャーの前進により金型キャビティへと射出する際に、かかる滞留空気の吸引を、前記射出プランジャーの前進により前記射出スリーブに開口する給湯口を封鎖した後から射出完了までの間、行うことにより、溶湯の前進に伴って移動する射出スリーブ内の滞留空気を、前記射出スリーブから金型キャビティへと射出される前段階で、前記多孔質部材を介して、効率的に吸引、除去することが可能となる。また、溶湯上面の酸化膜を、溶湯の射出完了まで前記多孔質部材表面に保持することができるので、当該酸化膜をビスケット部に補足させることが可能となる。また、射出スリーブ内の滞留空気を前記多孔質部材を介して吸引することにより、射出スリーブ内の密閉性を確保したまま滞留空気を吸引し、溶湯中への空気の巻き込みを解消することができる。なお、前記多孔質部材の気孔率を調整することにより、前記射出スリーブ内の滞留空気の流通を阻害することなく前記多孔質部材への溶湯の差込を回避することが可能となる。
【0008】
また、本発明の請求項4に係るダイカスト鋳造方法は、請求項3記載のダイカスト鋳造方法において、前記金型キャビティの真空引きを行うものである。
本発明によれば、いわゆる真空ダイカスト鋳造方法において、金型キャビティ内の滞留空気をキャビティ外へと排出し、ブローホール等溶湯の充填不良による成形不良の発生を回避しつつ、金型キャビティから射出スリーブに至る部位の密閉性を確保しながら射出スリーブ内の滞留空気を除去することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0010】
図1、図2には、本発明の実施の形態に係るダイカスト鋳造装置の要部をなす射出スリーブ10を概略図示している。この射出スリーブ10は、内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材11で構成したものである。多孔質部材の設置場所は、射出スリーブ10の長手方向では、射出口7に隣接する一定範囲とする。また、射出スリーブ10の周方向では、最大で上側の半周部分に設けることとする。さらに、多孔質部材11を介して射出スリーブ内の滞留空気9を吸引する減圧手段12を備えている。
【0011】
多孔質部材11は、鉄等の金属燒結体により構成することが好ましく、セラミック等を用いることも可能である。また、多孔質部材11の気孔率を、射出スリーブ10内の滞留空気9の流通を阻害することなく、かつ、多孔質部材11への溶湯の差込を回避することが可能となるように調整する。現状では、その気孔率を例えば15%程度(5〜20%が望ましい)に調整している。多孔質部材11の厚さ(射出スリーブ10の内壁からの深さ)は、空気の連通を阻害することなく、かつ、凹部10aを設けることによる射出スリーブ10の必要強度を失うことのない範囲で、決定されるものである。
【0012】
また、射出スリーブ10の内壁の一部に多孔質部材11を構成する手法としては、円筒状をなす鋼製の射出スリーブ10の、内壁の一部を機械加工によって切削除去して凹部10aを形成し、凹部10aと同一形状に成形された多孔質部材11を凹部10aに嵌め込むようにする。なお、凹部10aに嵌め込まれた多孔質部材11の固定は、ボルト等を用いて行うことができる。
一方、減圧手段12は、射出スリーブ10の外壁から凹部10aへと穿孔して、エアポンプへと連通する空気管路を、多孔質部材11に密閉状態で固定したものである。なお、当該エアポンプは、射出プランジャー6の位置に連動して作動するものであり、後述の如く、射出プランジャー6の前進により給湯口5を封鎖した後に作動(吸引)を開始し、射出プランジャー6の前進限度位置で、作動停止するものである。
【0013】
本発明の実施の形態において、射出スリーブ10から金型2のキャビティへと溶湯を供給する手順は、次の通りである。まず、図1に示すように、射出プランジャー6を後退限度位置に待機させて、取鍋13によって射出スリーブに開口する給湯口5から射出スリーブ10内へと一定量の溶湯4を受取る。続いて、射出スリーブ1に摺動可能に配置された射出プランジャー6を高速で前進させる。そして、射出プランジャー6の前進により給湯口5を封鎖した後、射出プランジャー6が前進限度位置に至る射出完了位置までの間、図2に矢印14で模式的に示すように、多孔質部材11を介して、減圧手段12により射出スリーブ内の滞留空気9を吸引する。そして、射出スリーブ10内に給湯した溶湯4より滞留空気9を取り除いて射出口7から射出し、金型2のキャビティへと充填する。
なお、真空ダイキャスト鋳造方法に用いる場合には、少なくとも、射出プランジャー6の前進によって射出スリーブ10に開口する給湯口5を封鎖した後、射出完了までの間、金型キャビティの真空引きを行う。
【0014】
上記構成をなす本発明の実施の形態により得られる作用効果は、以下の通りである。本発明の実施の形態に係る射出スリーブ10は、その内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材11で構成することにより、射出スリーブ10の内部と外部との密閉性を確保しつつ多孔質部材11を空気の連通経路として用いることが可能となる。そして、減圧手段12により、多孔質部材11を介して射出スリーブ10内の滞留空気9を吸引することにより、射出スリーブ10内の密閉性を確保したまま滞留空気9を吸引し、溶湯4中への空気の巻き込みを解消することができる。
しかも、多孔質部材11の気孔率を調整することにより、射出スリーブ10内の滞留空気9の流通を阻害することなく、かつ、多孔質部材11への溶湯4の差込を回避することが可能となる。
【0015】
また、滞留空気9の溶湯4への巻き込みを考慮する必要がなくなるため、射出プランジャー6の作動パターンも自由に設定することが可能となり、成形品質の向上と成形サイクルの短縮とを両立させることが可能となる。
以上のごとく、本実施の形態によれば、金型キャビティから射出スリーブ10に至る部位の密閉性を確保しつつ、射出スリーブ10内の滞留空気9を除去することにより、ブローホール等溶湯の充填不良による成形不良の発生を回避することができるので、特に、真空ダイカスト鋳造方法においてその効果を十分に発揮することが可能となる。また、真空引きを行わないダイカスト鋳造方法においても、同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0016】
さらに、多孔質部材11は、射出スリーブ10の射出口7に隣接する一定範囲に位置するので、給湯口5から射出スリーブ10内に給湯した溶湯を、射出プランジャー6の前進により金型キャビティへと射出する際に、溶湯4の前進に伴って移動する射出スリーブ内の滞留空気9を、射出スリーブ10から金型キャビティへと射出される前段階で、多孔質部材11を介して、効率的に吸引、除去することが可能となる。また、溶湯4の上面に生成される酸化膜を多孔質部材11に保持することにより、当該酸化膜をビスケット部に補足させ、製品への混入を防ぐことが可能となる。
【0017】
【発明の効果】
本発明はこのように構成したので、真空ダイカスト法を含むダイカスト鋳造作業において、射出スリーブ内の滞留空気を溶湯内に巻き込む不具合を確実に防ぎ、鋳造品質の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るダイカスト鋳造装置の要部をなす射出スリーブの概略図であり、溶湯の受入時の様子を示している。
【図2】図1に示す射出スリーブの、溶湯の射出時の様子を示すものである。
【図3】従来のダイカスト鋳造装置の概略図であり、溶湯の射出開始時の様子を示すものである。
【図4】図3に示す鋳造装置において、溶湯の射出時の様子を示すものである。
【符号の説明】
2 金型
3 キャビティ
4 溶湯
5 給湯口
6 射出プランジャー
7 射出口
8 空気
9 滞留空気
10 射出スリーブ
11 多孔質部材
12 減圧手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカスト鋳造装置とダイカスト鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイカスト鋳造法は、図3に示すように、射出スリーブ1により、金型2のキャビティ3にアルミニウム合金の溶湯4を高圧・高速で注入し、一定形状のアルミ成形品を得る鋳造方法である。射出スリーブ1は、後端部に設けた溶湯の給湯口5を通して、取鍋から一定量の溶湯4を受取り、図4に示すように、射出スリーブ1に摺動可能に配置された射出プランジャー6の前進により、金型キャビティ内の溶湯4を射出スリーブ1の前方へと高速で押出し、圧力を増大させて射出口7からキャビティ3へと注入する。この際、射出スリーブ1内の溶湯4が波打ち、スリーブ内の空気8が符号9で示すように、滞留空気として溶湯4中に巻き込まれることがある。
そこで、従来から溶湯4中への空気8の巻き込みを防ぐために、射出スリーブ1と金型外部空間とを連通する、連通路を設けた例や(例えば、特許文献1参照。)、射出スリーブ1の上壁面を貫通してプランジャチップ背面へと滞留空気9を逃がす、空気抜き部を設けた例がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−284900号公報(請求項1、図1)
【特許文献2】
特開平7−124727号公報(〔0016〕、図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の連通路や空気抜き部は、キャビティ3内の空気を真空引きする(図4に矢印10で模式的に示す。)真空ダイカスト法の場合には、キャビティ3内の密閉性を損なうこととなることから用いることができなかった。しかも、真空ダイカスト法の場合には、射出プランジャー6の先端部(プランジャチップ)と、射出スリーブ1との間から、プランジャチップ背面の空気がリークして射出プランジャー6の前方に滞留し、かかる空気も溶湯4中に巻き込み易くなるといった問題があり、何らかの解決策が望まれていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、真空ダイカスト法を含むダイカスト鋳造作業において、射出スリーブ内の滞留空気を溶湯内に巻き込む不具合を確実に防ぎ、鋳造品質の向上を図ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための、本発明の請求項1に係るダイカスト鋳造装置は、金型キャビティへと定量の溶湯を加圧注入する射出スリーブの、内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材で構成し、かつ、当該多孔質部材を介して射出スリーブ内の滞留空気を吸引する減圧手段を設けたことを特徴とするものである。
本発明によれば、射出スリーブの内壁をその表面から所定深さまで多孔質部材で構成することにより、射出スリーブの内部と外部との密閉性を確保しつつ、前記多孔質部材を空気の連通経路として用いることが可能となる。そして、前記減圧手段により、前記多孔質部材を介して射出スリーブ内の滞留空気を吸引することにより、射出スリーブ内の密閉性を確保したまま滞留空気を吸引し、溶湯中への空気の巻き込みを解消することができる。なお、前記多孔質部材の気孔率を調整することにより、前記射出スリーブ内の滞留空気の流通を阻害することなく前記多孔質部材への溶湯の差込を回避することが可能となる。
【0006】
また、本発明の請求項2に係るダイカスト鋳造装置は、請求項1記載のダイカスト鋳造装置において、前記多孔質部材は、前記射出スリーブの射出口に隣接する一定範囲に位置するものである。
この構成によれば、給湯口から射出スリーブ内に給湯した溶湯を、前記射出スリーブに摺動可能に配置された射出プランジャーの前進により金型キャビティへと射出する際に、溶湯の前進に伴って移動する射出スリーブ内の滞留空気を、前記射出スリーブから金型キャビティへと射出される前段階で、前記多孔質部材を介して、効率的に吸引、除去することが可能となる。また、溶湯上面の酸化膜を、溶湯の射出完了まで給湯口近傍に保持することができるので、当該酸化膜をビスケット部に補足させることが可能となる。
【0007】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項3に係るダイカスト鋳造方法は、給湯口から射出スリーブ内に給湯した溶湯を、前記射出スリーブに摺動可能に配置された射出プランジャーの前進により金型キャビティへと射出するダイカスト鋳造方法において、定量の溶湯を金型キャビティへと加圧注入する射出スリーブの、内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材で構成し、前記射出プランジャーの前進により、前記射出スリーブに開口する給湯口を封鎖した後射出完了までの間、前記多孔質部材を介して、射出スリーブ内の滞留空気を吸引することを特徴とするものである。
本発明によれば、給湯口から射出スリーブ内に給湯した溶湯を、前記射出スリーブに摺動可能に配置された射出プランジャーの前進により金型キャビティへと射出する際に、かかる滞留空気の吸引を、前記射出プランジャーの前進により前記射出スリーブに開口する給湯口を封鎖した後から射出完了までの間、行うことにより、溶湯の前進に伴って移動する射出スリーブ内の滞留空気を、前記射出スリーブから金型キャビティへと射出される前段階で、前記多孔質部材を介して、効率的に吸引、除去することが可能となる。また、溶湯上面の酸化膜を、溶湯の射出完了まで前記多孔質部材表面に保持することができるので、当該酸化膜をビスケット部に補足させることが可能となる。また、射出スリーブ内の滞留空気を前記多孔質部材を介して吸引することにより、射出スリーブ内の密閉性を確保したまま滞留空気を吸引し、溶湯中への空気の巻き込みを解消することができる。なお、前記多孔質部材の気孔率を調整することにより、前記射出スリーブ内の滞留空気の流通を阻害することなく前記多孔質部材への溶湯の差込を回避することが可能となる。
【0008】
また、本発明の請求項4に係るダイカスト鋳造方法は、請求項3記載のダイカスト鋳造方法において、前記金型キャビティの真空引きを行うものである。
本発明によれば、いわゆる真空ダイカスト鋳造方法において、金型キャビティ内の滞留空気をキャビティ外へと排出し、ブローホール等溶湯の充填不良による成形不良の発生を回避しつつ、金型キャビティから射出スリーブに至る部位の密閉性を確保しながら射出スリーブ内の滞留空気を除去することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0010】
図1、図2には、本発明の実施の形態に係るダイカスト鋳造装置の要部をなす射出スリーブ10を概略図示している。この射出スリーブ10は、内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材11で構成したものである。多孔質部材の設置場所は、射出スリーブ10の長手方向では、射出口7に隣接する一定範囲とする。また、射出スリーブ10の周方向では、最大で上側の半周部分に設けることとする。さらに、多孔質部材11を介して射出スリーブ内の滞留空気9を吸引する減圧手段12を備えている。
【0011】
多孔質部材11は、鉄等の金属燒結体により構成することが好ましく、セラミック等を用いることも可能である。また、多孔質部材11の気孔率を、射出スリーブ10内の滞留空気9の流通を阻害することなく、かつ、多孔質部材11への溶湯の差込を回避することが可能となるように調整する。現状では、その気孔率を例えば15%程度(5〜20%が望ましい)に調整している。多孔質部材11の厚さ(射出スリーブ10の内壁からの深さ)は、空気の連通を阻害することなく、かつ、凹部10aを設けることによる射出スリーブ10の必要強度を失うことのない範囲で、決定されるものである。
【0012】
また、射出スリーブ10の内壁の一部に多孔質部材11を構成する手法としては、円筒状をなす鋼製の射出スリーブ10の、内壁の一部を機械加工によって切削除去して凹部10aを形成し、凹部10aと同一形状に成形された多孔質部材11を凹部10aに嵌め込むようにする。なお、凹部10aに嵌め込まれた多孔質部材11の固定は、ボルト等を用いて行うことができる。
一方、減圧手段12は、射出スリーブ10の外壁から凹部10aへと穿孔して、エアポンプへと連通する空気管路を、多孔質部材11に密閉状態で固定したものである。なお、当該エアポンプは、射出プランジャー6の位置に連動して作動するものであり、後述の如く、射出プランジャー6の前進により給湯口5を封鎖した後に作動(吸引)を開始し、射出プランジャー6の前進限度位置で、作動停止するものである。
【0013】
本発明の実施の形態において、射出スリーブ10から金型2のキャビティへと溶湯を供給する手順は、次の通りである。まず、図1に示すように、射出プランジャー6を後退限度位置に待機させて、取鍋13によって射出スリーブに開口する給湯口5から射出スリーブ10内へと一定量の溶湯4を受取る。続いて、射出スリーブ1に摺動可能に配置された射出プランジャー6を高速で前進させる。そして、射出プランジャー6の前進により給湯口5を封鎖した後、射出プランジャー6が前進限度位置に至る射出完了位置までの間、図2に矢印14で模式的に示すように、多孔質部材11を介して、減圧手段12により射出スリーブ内の滞留空気9を吸引する。そして、射出スリーブ10内に給湯した溶湯4より滞留空気9を取り除いて射出口7から射出し、金型2のキャビティへと充填する。
なお、真空ダイキャスト鋳造方法に用いる場合には、少なくとも、射出プランジャー6の前進によって射出スリーブ10に開口する給湯口5を封鎖した後、射出完了までの間、金型キャビティの真空引きを行う。
【0014】
上記構成をなす本発明の実施の形態により得られる作用効果は、以下の通りである。本発明の実施の形態に係る射出スリーブ10は、その内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材11で構成することにより、射出スリーブ10の内部と外部との密閉性を確保しつつ多孔質部材11を空気の連通経路として用いることが可能となる。そして、減圧手段12により、多孔質部材11を介して射出スリーブ10内の滞留空気9を吸引することにより、射出スリーブ10内の密閉性を確保したまま滞留空気9を吸引し、溶湯4中への空気の巻き込みを解消することができる。
しかも、多孔質部材11の気孔率を調整することにより、射出スリーブ10内の滞留空気9の流通を阻害することなく、かつ、多孔質部材11への溶湯4の差込を回避することが可能となる。
【0015】
また、滞留空気9の溶湯4への巻き込みを考慮する必要がなくなるため、射出プランジャー6の作動パターンも自由に設定することが可能となり、成形品質の向上と成形サイクルの短縮とを両立させることが可能となる。
以上のごとく、本実施の形態によれば、金型キャビティから射出スリーブ10に至る部位の密閉性を確保しつつ、射出スリーブ10内の滞留空気9を除去することにより、ブローホール等溶湯の充填不良による成形不良の発生を回避することができるので、特に、真空ダイカスト鋳造方法においてその効果を十分に発揮することが可能となる。また、真空引きを行わないダイカスト鋳造方法においても、同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0016】
さらに、多孔質部材11は、射出スリーブ10の射出口7に隣接する一定範囲に位置するので、給湯口5から射出スリーブ10内に給湯した溶湯を、射出プランジャー6の前進により金型キャビティへと射出する際に、溶湯4の前進に伴って移動する射出スリーブ内の滞留空気9を、射出スリーブ10から金型キャビティへと射出される前段階で、多孔質部材11を介して、効率的に吸引、除去することが可能となる。また、溶湯4の上面に生成される酸化膜を多孔質部材11に保持することにより、当該酸化膜をビスケット部に補足させ、製品への混入を防ぐことが可能となる。
【0017】
【発明の効果】
本発明はこのように構成したので、真空ダイカスト法を含むダイカスト鋳造作業において、射出スリーブ内の滞留空気を溶湯内に巻き込む不具合を確実に防ぎ、鋳造品質の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るダイカスト鋳造装置の要部をなす射出スリーブの概略図であり、溶湯の受入時の様子を示している。
【図2】図1に示す射出スリーブの、溶湯の射出時の様子を示すものである。
【図3】従来のダイカスト鋳造装置の概略図であり、溶湯の射出開始時の様子を示すものである。
【図4】図3に示す鋳造装置において、溶湯の射出時の様子を示すものである。
【符号の説明】
2 金型
3 キャビティ
4 溶湯
5 給湯口
6 射出プランジャー
7 射出口
8 空気
9 滞留空気
10 射出スリーブ
11 多孔質部材
12 減圧手段
Claims (4)
- 金型キャビティへと定量の溶湯を加圧注入する射出スリーブの、内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材で構成し、かつ、当該多孔質部材を介して射出スリーブ内の滞留空気を吸引する減圧手段を設けたことを特徴とするダイカスト鋳造装置。
- 前記多孔質部材は、前記射出スリーブの射出口に隣接する一定範囲に位置することを特徴とする請求項1記載のダイカスト鋳造装置。
- 給湯口から射出スリーブ内に給湯した溶湯を、前記射出スリーブに摺動可能に配置された射出プランジャーの前進により金型キャビティへと射出するダイカスト鋳造方法において、定量の溶湯を金型キャビティへと加圧注入する射出スリーブの、内壁の上方の一部を所定深さまで多孔質部材で構成し、前記射出プランジャーの前進により、前記射出スリーブに開口する給湯口を封鎖した後射出完了までの間、前記多孔質部材を介して、射出スリーブ内の滞留空気を吸引することを特徴とするダイカスト鋳造方法。
- 前記金型キャビティの真空引きを行うことを特徴とする請求項3記載のダイカスト鋳造方法。
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JP2002356540A JP2004188432A (ja) | 2002-12-09 | 2002-12-09 | ダイカスト鋳造装置および鋳造方法 |
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JP2014091159A (ja) * | 2012-11-06 | 2014-05-19 | Direct 21 Corp | ダイカストのガス抜き装置及びガス抜き方法 |
JP2014151351A (ja) * | 2013-02-08 | 2014-08-25 | Direct 21 Corp | ダイカスト装置 |
-
2002
- 2002-12-09 JP JP2002356540A patent/JP2004188432A/ja active Pending
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