JP2007190584A - 真空ダイカスト鋳造法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空ダイカスト鋳造において、簡単かつ確実に空気漏れを防止できるようにする。
【解決手段】金型10のキャビティ11内を真空吸引装置30により真空吸引しつつ、射出スリーブ21内のプランジャチップ23の推進により溶湯Mを、ランナー15およびゲート14を経てキャビティ11に射出する真空ダイカスト鋳造において、金型10に射出スリーブ21内の溶湯圧を検出する圧力センサ41を埋設し、射出時、最小流路断面積のゲート14に溶湯Mが到達する際、ベルヌーイの定理に従って発生する動圧による射出スリーブ内の溶湯圧の上昇を前記圧力センサ41により検出し、溶湯圧が大気圧の2倍以上になるタイミングで減圧弁34を開いてキャビティ内の真空吸引を開始し、チップ背面側からチップ前面側への空気の漏出を防止する。
【選択図】図1
【解決手段】金型10のキャビティ11内を真空吸引装置30により真空吸引しつつ、射出スリーブ21内のプランジャチップ23の推進により溶湯Mを、ランナー15およびゲート14を経てキャビティ11に射出する真空ダイカスト鋳造において、金型10に射出スリーブ21内の溶湯圧を検出する圧力センサ41を埋設し、射出時、最小流路断面積のゲート14に溶湯Mが到達する際、ベルヌーイの定理に従って発生する動圧による射出スリーブ内の溶湯圧の上昇を前記圧力センサ41により検出し、溶湯圧が大気圧の2倍以上になるタイミングで減圧弁34を開いてキャビティ内の真空吸引を開始し、チップ背面側からチップ前面側への空気の漏出を防止する。
【選択図】図1
Description
本発明は、金型のキャビティ内を真空吸引しつつ該キャビティに溶湯を射出する真空ダイカスト鋳造法および装置に関する。
この種の真空ダイカスト鋳造法では、通常図3に示されるように、金型1のキャビティ2に連通する射出スリーブ3に給湯口4を通して溶湯Mを受けた後、プランジャチップ5が前記給湯口4を超えて所定位置まで前進(推進)するタイミングでキャビティ2に通じる減圧弁6を開き、キャビティ2内を真空吸引するようにしていた。しかし、このようなタイミングでキャビティ2内を真空吸引すると、射出スリーブ3内の、プランジャチップ5の前面側と背面側との間に生じる圧力差により、チップ背面側の空気がチップ前面側に漏れ出て、溶湯M内に空気が巻き込まれてしまい(白丸で示す)、鋳造品質の悪化を招く。
そこで従来、例えば、特許文献1に記載されるように、プランジャチップ(射出チップ)の背面側に減圧室を設けて、該減圧室とキャビティ内とを同時に減圧する対策、特許文献2に記載されるように、キャビティ内の真空度を監視しながら、真空吸引のタイミングをプランジャチップの位置と連動させて制御し、キャビティ内の減圧を開始するタイミングを遅らせる対策、特許文献3に記載されるように、射出スピード(プランジャチップの推進速度)に応じて減圧度を制御することによりキャビティ内圧力を一定にする対策などが採られていた。
しかしながら、上記した特許文献1に記載の空気漏れ対策によれば、プランジャチップの背面側に減圧室を設けなければならないため、装置構造が複雑となり、一方、特許文献2、3に記載の空気漏れ対策によれば、プランジャチップの位置または推進速度に応じて減圧バルブ(真空バルブ)を操作する面倒な制御が必要になるため、制御系が複雑となり、何れも装置コストの増大やメンテナンス性の悪化が避けられない、という問題があった。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、簡単かつ確実に空気漏れを防止できるようにし、もって装置コストの低減とメンテナンス性の向上に寄与する真空ダイカスト鋳造法および装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る真空ダイカスト鋳造法は、金型のキャビティ内を真空吸引しつつ、プランジャチップの推進により射出スリーブ内の溶湯を前記キャビティに射出する真空ダイカスト鋳造法において、射出時に前記射出スリーブ内の溶湯圧を監視し、該溶湯圧が所定圧以上となるタイミングで前記キャビティ内の真空吸引を開始することを特徴とする。
ダイカスト鋳造においては、射出時に射出スリーブから金型内の流路断面積が小さくなる部分(ゲート)に溶湯が到達すると、ベルヌーイの定理に従って動圧が発生し、射出スリーブ内の溶湯圧が上昇する。本真空ダイカスト鋳造法は、この点に着目してなされたもので、射出時に射出スリーブ内の溶湯圧が所定圧以上となるタイミングでキャビティ内の真空吸引を開始することで、チップ前面側をチップ背面側より高圧にすることができ、チップ背面側からチップ前面側への空気漏れが防止される。
この場合、射出スリーブ内の溶湯圧が大気圧の2倍以上となるタイミングでキャビティ内の真空吸引を開始することにより、キャビティ内が真空状態となっても、射出スリーブ内の溶湯圧が少なくとも大気圧を維持し、したがって、キャビティ内の真空吸引開始に伴って不用意に空気漏れが生じることもなくなる。
上記課題を解決するための本発明に係る真空ダイカスト鋳造装置は、金型と、該金型のキャビティに溶湯を射出する射出装置と、前記キャビティ内を真空吸引する真空吸引装置とを備えた真空ダイカスト鋳造装置において、前記射出装置を構成する射出スリーブ内の溶湯圧を検出する圧力検出手段を設けると共に、該圧力検出手段による検出結果に基いて前記真空吸引装置による真空吸引のタイミングを制御する制御手段を設けたことを特徴とする。
このように構成した真空ダイカスト鋳造装置においては、射出スリーブ内の溶湯圧を検出する圧力検出手段を設けると共に、該圧力検出手段による検出結果に基いて前記真空吸引装置による真空吸引のタイミングを制御する制御手段を設けるだけで、簡単に空気漏れ対策を行うできる。
本真空ダイカスト鋳造装置において、上記圧力上昇検出手段の種類は任意であり、射出スリーブ内の溶湯圧を直接検出する圧力センサであっても、あるいは射出装置を構成するプランジャチップの駆動推力から射出スリーブ内の溶湯圧を間接的に検出する推力検出手段であってもよい。
本発明に係る真空ダイカスト鋳造法および装置によれば、簡単かつ確実に空気漏れを防止できるので、装置コストの低減とメンテナンス性の向上とに大きく寄与する効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一つの実施形態としての真空ダイカスト鋳造装置を示したものである。同図において、10は金型、20は、金型10のキャビティ11に溶湯Mを射出するための射出装置、30は前記キャビティ11内を真空吸引するための真空吸引装置、40は真空吸引装置30による真空吸引のタイミングを制御するコントローラ(制御手段)である。
金型10は、固定型12と可動型13とからなっており、固定型12に対して可動型13を合せた状態すなわち型閉じ状態で、両者の間には前記キャビティ11が画成されるようになっている。また、この型閉じ状態において、固定型12と可動型13との間には、キャビティ11に開口するゲート14と、このゲート14を、固定型12の背面に結合された射出装置20の射出スリーブ21内に連通させるランナー15とからなる流路が画成されるようになっている。ゲート14は流路断面積が最小となっており、ランナー15は、射出スリーブ21側からこのゲート14に向けて次第に流路が絞られている。
上記射出装置20を構成する射出スリーブ21は、その後端側上部に溶湯を受けるための給湯口22を有している。射出シリンダ20は、前記射出スリーブ21内に摺動可能に配設されたプランジャチップ23と、射出スリーブ21の後方に配設された射出シリンダ(プランジャ駆動装置)24と、この射出シリンダ24内のピストン(図示略)に一端が連結され、他端が前記プランジャチップ23に連結されたロッド25と、射出シリンダ24に供給する作動油の油量および油圧を制御する油圧制御回路26とを備えている。このような射出装置20においては、射出シリンダ24の作動に応じてプランジャチップ23が射出スリーブ21内を金型10側へ進退動する。なお、プランジャ駆動装置としての射出シリンダ24は、電動方式等の他の駆動方式に代えてもよいものである。
一方、上記真空吸引装置30は、真空ポンプ31と、この真空ポンプ31による真空引きされた負圧を蓄える真空タンク32と、この真空タンク32と前記金型10内のキャビティ11とを連通する真空配管33とこの真空配管33に介装された減圧弁34とを備えている。真空タンク32内は、真空ポンプ31の間欠運転により所定の真空度に維持されるようになっており、減圧弁34を開くことでキャビティ11内の空気は急速に真空タンク32へ真空吸引される。
本実施形態において、上記金型10を構成する可動型13の、射出スリーブ21内に臨む部位には、射出スリーブ21内の溶湯Mの圧力(溶湯圧)を検出する圧力センサ(圧力検出手段)41が埋設されている。この圧力センサ41の信号は信号線42を介して前記コントローラ40へ送出されるようになっている。コントローラ40は、前記圧力センサ41からの信号に基いて上記減圧弁34を開閉制御する機能を有しており、コントローラ40と減圧弁34との間は信号線43により接続されている。
以下、上記のように構成した真空ダイカスト鋳造装置により行う真空ダイカスト鋳造法について説明する。
鋳造の開始に際しては、射出スリーブ21内のプランジャチップ23は後退位置にあり、また、真空吸引装置30の減圧弁34は閉じられており、この状態のもと、給湯口22を通して射出スリーブ21内に所定量の溶湯Mが供給される。そして、前記給湯完了により、油圧制御回路26から射出シリンダ24内へ作動油が供給され、射出シリンダ24内のピストンと一体にロッド25が伸長動作して、プランジャチップ23が所定の速度で前進(推進)する。これにより射出スリーブ21内の溶湯Mは、図示のように金型15のランナー15内に流入してゲート14に到達する。
しかして、ランナー15の流路がゲート14に向けて次第に絞られかつゲート14の流路断面積が最小になっているので、ベルヌーイの定理に従って溶湯Mに動圧が発生し、射出スリーブ21内の溶湯圧が上昇する。本実施形態において、この射出スリーブ21内の溶湯圧は圧力センサ41により監視されており、溶湯圧が所定圧以上になると、圧力センサ41からの信号に基いてコントローラ40が減圧弁34に開弁指令を出力する。すると、減圧弁34が開弁し、キャビティ11内のガスが真空配管33を経て真空タンク32へ真空吸引される。この間、プランジャチップ23の前進は継続されており、前記真空吸引の開始と同時に溶湯Mがゲート14からキャビティ11内へ射出され、キャビティ11内は急速に溶湯Mで満たされる。この時、前記キャビティ11内への溶湯Mの射出に応じて射出スリーブ21内の溶湯圧も下がるが、前記真空吸引の開始時点を決める所定の溶湯圧を大気圧の2倍以上の大きさに設定しておけば、射出スリーブ21内の溶湯圧は大気圧よりも高い状態となる。すなわち、チップ前面側がチップ背面側より高圧になっており、したがって、チップ背面側からチップ前面側へ空気が漏れ出ることはなく、これによって、鋳巣欠陥のない鋳造品が得られるようになる。
ところで、射出時に溶湯Mに発生する動圧は、溶湯Mの密度、射出スリーブ21の内径およびゲート14の流路断面積(絞り率)が一定であれば、プランジャチップ23の推進速度(射出速度)によって変化する。したがって、予め大気圧の2倍以上の溶湯圧が得られるようにプランジャチップ23の推進速度を設定すれば、チップ背面側からチップ前面側へ空気漏れは確実に防止される。なお、この種の真空ダイカスト鋳造では、溶湯Mがゲート14に到達するタイミングで低速から高速に射出速度の切換えが一般に行われており、この場合は、前記射出速度の高速への切換えにより、十分なる溶湯圧が得られるので、射出速度を設定する特別の配慮は不要になる。
ここで、上記実施形態においては、射出シリンダ21内の溶湯圧を金型10に設けた圧力センサ41により直接検出するようにしたが、これに代えて、図2に示されるように、射出装置20のプランジャ駆動手段である射出シリンダ24にプランジャチップ23の駆動推力を検出する推力検出手段50を設け、該推力検出手段50により間接的に前記溶湯圧を求めるようにしてもよい。
図1に示した真空ダイカスト鋳造装置において、射出スリーブ21の内径を150mm(断面積:1.77×10-2m2)、ゲート14の流路断面積を4.0×10-4m2にそれぞれ設定し、密度2500kg/m3のアルミニウム溶湯を、プランジャチップ23の推進速度(射出速度)0.2m/sの条件で射出し、圧力センサ41により検出された射出スリーブ21内の溶湯圧が2気圧を超えた時点で減圧弁34を開いてキャビティ11内を真空吸引しながら鋳造を行った。そして、前記鋳造を10ショット繰返して、得られた 鋳造品(n=10)について破断による破面検査を行った。この結果、各鋳造品には、空気巻込みに起因する鋳巣欠陥は全く認められず、本真空ダイカスト鋳造法および装置が鋳造品質の向上に大きく寄与することを確認できた。
10 金型
11 キャビティ
20 射出装置
21 射出スリーブ
23 プランジャチップ
24 射出シリンダ(プランジャ駆動手段)
30 真空吸引装置
31 真空ポンプ
32 真空タンク
34 減圧弁
40 コントローラ(制御手段)
41 圧力センサ
50 推力検出手段
M 溶湯
11 キャビティ
20 射出装置
21 射出スリーブ
23 プランジャチップ
24 射出シリンダ(プランジャ駆動手段)
30 真空吸引装置
31 真空ポンプ
32 真空タンク
34 減圧弁
40 コントローラ(制御手段)
41 圧力センサ
50 推力検出手段
M 溶湯
Claims (5)
- 金型のキャビティ内を真空吸引しつつ、プランジャチップの推進により射出スリーブ内の溶湯を前記キャビティに射出する真空ダイカスト鋳造法において、射出時に前記射出スリーブ内の溶湯圧を監視し、該溶湯圧が所定圧以上となるタイミングで前記キャビティ内の真空吸引を開始することを特徴とする真空ダイカスト鋳造法。
- 射出スリーブ内の溶湯圧が大気圧の2倍以上になるタイミングでキャビティ内の真空吸引を開始することを特徴とする請求項1に記載の真空ダイカスト鋳造法。
- 金型と、該金型のキャビティに溶湯を射出する射出装置と、前記キャビティ内を真空吸引する真空吸引装置とを備えた真空ダイカスト鋳造装置において、前記射出装置を構成する射出スリーブ内の溶湯圧を検出する圧力検出手段を設けると共に、該圧力検出手段による検出結果に基いて前記真空吸引装置による真空吸引のタイミングを制御する制御手段を設けたことを特徴とする真空ダイカスト鋳造装置。
- 圧力検出手段が、射出スリーブ内の溶湯圧を直接検出する圧力センサであることを特徴とする請求項3に記載の真空ダイカスト鋳造装置。
- 圧力検出手段が、射出装置を構成するプランジャチップの駆動推力から射出スリーブ内の溶湯圧を間接的に検出する推力検出手段であることを特徴とする請求項3に記載の真空ダイカスト鋳造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006010257A JP2007190584A (ja) | 2006-01-18 | 2006-01-18 | 真空ダイカスト鋳造法および装置 |
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Publications (1)
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JP2006010257A Pending JP2007190584A (ja) | 2006-01-18 | 2006-01-18 | 真空ダイカスト鋳造法および装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113814372A (zh) * | 2021-10-15 | 2021-12-21 | 常州艾可特机电科技有限公司 | 真空压铸控制方法、系统及设备 |
-
2006
- 2006-01-18 JP JP2006010257A patent/JP2007190584A/ja active Pending
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