JP2008073714A - 鋳造方法及び鋳造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】差圧給湯式の真空ダイカスト法において、射出スリーブ内への給湯量を一定化させ、安定した鋳造を可能にする。
【解決手段】湯面レベル検出手段21で検出される湯面レベルの低下量に合わせて、真空吸引する吸引時間長さを延長する補正を行い、溶湯保持炉9から溶湯8が射出スリーブ4の内部に吸引される給湯量を一定化する。
【選択図】図1
【解決手段】湯面レベル検出手段21で検出される湯面レベルの低下量に合わせて、真空吸引する吸引時間長さを延長する補正を行い、溶湯保持炉9から溶湯8が射出スリーブ4の内部に吸引される給湯量を一定化する。
【選択図】図1
Description
本発明は、差圧給湯式の高真空ダイカスト鋳造法において、保持炉の湯面が変化しても鋳造品質を安定化させることができる鋳造方法と鋳造装置に関する。
ダイカスト鋳造法は薄肉で精密な鋳物製品を大量に生産する方法として知られているが、そのための要素技術として凝固が進行する前に金型の製品キャビティ内に短時間で溶湯を充填完了させることが要求され、高速・高圧での溶湯充填が必要な鋳造技術である。このため、製品キャビティ内に予め存在する大気はその大部分が高速で製品キャビティ内に流入して来る溶湯にトラップされ、鋳巣欠陥等が多い不健全な鋳物となることがある。
このような欠点に対し、真空ポンプにて、鋳造用金型の製品形状部空間として機能する製品キャビティと、これに連通されて湯口外部に設けられた射出スリーブとを真空吸引することにより、差圧を利用して溶湯
保持炉から射出スリーブの内部に所定量の溶湯を移送した後、当該溶湯を、射出スリーブ内の射出ピストンのストローク運動によって、射出スリーブから製品キャビティに押し込んで充填する差圧給湯式の高真空ダイカスト装置が知られている(例えば特許文献1、特許文献2を参照。)。なお、ここで言う高真空とは10kPa以下に減圧することを言うものであり、鋳造技術の慣用語として高真空と称している。
保持炉から射出スリーブの内部に所定量の溶湯を移送した後、当該溶湯を、射出スリーブ内の射出ピストンのストローク運動によって、射出スリーブから製品キャビティに押し込んで充填する差圧給湯式の高真空ダイカスト装置が知られている(例えば特許文献1、特許文献2を参照。)。なお、ここで言う高真空とは10kPa以下に減圧することを言うものであり、鋳造技術の慣用語として高真空と称している。
上記の高真空ダイカスト鋳造法では、射出スリーブ内の湯口前に、金型と射出ピストンにて挟まれて押圧される溶湯部分(いわゆる「ビスケット」)を存在させ、このビスケットを介して製品キャビティ内の鋳物に高圧を掛ける。このため、鋳巣が少ない高品質の鋳物が製造できることが知られている。
しかしながら、差圧給湯式の真空ダイカスト鋳造法では、溶湯保持炉から射出スリーブ内に真空吸引する、吸引開始から終了までの時間(溶湯給湯時間)の設定により、給湯量が制御されている。射出ピストンが射出動作する鋳造ショット毎に溶湯が消費され、溶湯保持炉内の湯面レベルが下降して行き、射出スリーブへ給湯される溶湯量が減少して行く。そのため、射出スリーブへ給湯される溶湯量が一定とならず、金型、射出スリーブ、射出ピストンにて成型される上述のビスケットの厚さが変動して、製品キャビティ内の鋳物に伝わる鋳造圧力にバラツキが生じ、鋳造品質が安定しない原因となる、という問題がある。すなわち、ビスケットの厚さが薄いときは、すぐに凝固して圧力が伝わり難くなり、ビスケットの部分のみに圧力がかかるという傾向になる。
この問題の解決策として、溶湯保持炉内の溶湯レベルがあまり減少しない段階で、溶湯保持炉へ溶湯を補給することを行っているが、射出スリーブ内への給湯量を安定させるためには、頻繁に溶湯保持炉へ溶湯補給を行う必要があり、生産個数当りの補充作業工数が多くなるという問題がある。
特開昭57−152361号公報
特許第2645488号公報
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、差圧給湯式の高真空ダイカスト法において、射出スリーブ内への給湯量を一定化させ、安定した鋳造が可能な鋳造方法と鋳造装置を提供することにある。
かかる目的を達成するために、本発明の鋳造方法は、金型の製品キャビティ内及びこれと連通する射出スリーブ内を真空状態にすることにより、溶湯保持炉から射出スリーブの内部に所定量の溶湯を真空吸引した後、当該溶湯を、前記射出スリーブ内の射出ピストンのストローク運動によって前記製品キャビティに押し込んで充填する鋳造方法において、溶湯保持炉の湯面レベルの低下に伴って前記真空吸引する時間長さを延長する補正を行い、前記溶湯保持炉から溶湯が前記射出スリーブの内部に吸引される給湯量を一定化することを特徴とする。
また本発明の鋳造装置は、内部に製品キャビティを有する鋳造用金型と、前記鋳造用金型の湯口と連通して設けられた射出スリーブと、前記射出スリーブ内に進退移動可能に挿入され、前進射出動作により前記射出スリーブ内の溶湯を前記製品キャビティ内に充填する射出ピストンと、溶湯保持炉から前記射出スリーブ内部に溶湯を吸引するための吸引管とを備えた鋳造装置において、前記溶湯保持炉の湯面レベルの低下に伴って前記真空吸引する時間長さを延長する補正を行い、前記溶湯保持炉から溶湯が前記射出スリーブの内部に吸引される給湯量を一定化する補正手段を設けたことを特徴とする。
本発明では、溶湯保持炉の湯面レベルの低下(給湯量減少)に合わせて真空吸引する時間長さを延長するので、溶湯保持炉から溶湯が射出スリーブの内部に吸引される給湯量が安定化し、常に一定のビスケット厚を成形することができる。従って、ヒケ巣の少ない高品質の製品を安定して鋳造することができる。更にまた、溶湯保持炉の湯面が下降してもビスケット厚が一定になるため、溶湯保持炉内の溶湯量の下限まで使用することができ、これにより給湯サイクルが伸びるため、溶湯保持炉への給湯工数を低減することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る鋳造装置を示す概要図である。
この鋳造装置1は、溶湯凝固後の製品離型時に分割することができるように、2つの金型2a、2bを、シールパッキン5を介して接合する鋳造用金型2を有する。この鋳造用金型2の内部には、湯口3aから湯口ゲート部12を経て製品キャビティ10に至り、更にオーバーフロー部14を経てガス抜きランナー部13へと続く溶湯経路3が形成されている。更に、このガス抜きランナー部13には真空バルブ18が設けられ、この真空バルブ18から、鋳造用金型2の外部に設けてある真空ポンプ19に接続されている。
また、この鋳造装置1は、鋳造用金型2に注入される前のアルミ溶湯8を溶解状態のまま収容保持する溶湯保持炉9を有する。
鋳造用金型2の湯口3aの外部には、射出スリーブ4が湯口3aと連通して設けられている。また、射出スリーブ4には吸引管7の一端が連結され、吸引管7の他端は、溶湯保持炉9に収容されたアルミ溶湯8の中に浸かっている。
上記射出スリーブ4内には、射出ピストン6が進退移動可能に挿入され、射出ピストン6が射出スリーブ4と吸引管7との連結部分よりも鋳造用金型2から遠ざかった位置(後退位置)にある時に、射出スリーブ4と吸引管7とが連通した開状態となる。この開状態にある場合に、真空バルブ18が開かれることで、真空ポンプ19によって鋳造用金型2の製品キャビティ10と共に、射出スリーブ4内部が真空吸引される。そして、この真空吸引による差圧に基づき、上記射出スリーブ4内に、溶湯保持炉9から吸引管7を通じて所定量のアルミ溶湯8が吸引される仕組みとなっている。
射出ピストン6は、シリンダから成る射出ピストン駆動部20により水平方向に駆動され、図1に鎖線で示す射出位置まで移動する前進射出動作をする。この射出ピストン6の前進射出動作により、射出スリーブ4内のアルミ溶湯8が製品キャビティ10内に充填されると共に、射出スリーブ4内の湯口3aの前に形成されるアルミ溶湯8のビスケット11を介して、製品キャビティ10内の鋳物に高圧が伝達される。これで1ショットの鋳造ショットが終了する。なお、射出ピストン6が射出スリーブ4と吸引管7との連結部分より前に移動することにより、吸引管7は射出スリーブ4に対し閉じられた閉状態となる。
上記射出ピストン6による射出動作を繰り返し、鋳造ショット数が増えて行くことにより、溶湯保持炉9のアルミ溶湯8の湯面は、図2(a)の上限レベルL1から図2(b)の下限レベルL2へと低下し、アルミ溶湯量の差Aが生じる。これに伴い、射出スリーブ4内に吸引されるアルミ溶湯量が減少する。その結果、湯口3aの前に形成されるアルミ溶湯8のビスケット11の厚さが減少し、図3(a)の厚さのビスケット11aであったものが、図3(b)の厚さのビスケット11bに変わり、ビスケット厚の差Bだけ薄くなる。このため、溶湯保持炉9のアルミ溶湯8の湯面が下限レベルL2へと低下するに従って、ビスケット部が早く凝固する傾向となり、製品キャビティ10内の溶融金属に欠陥を押し潰すだけの圧力が伝わり難くなる。すなわち、射出ピストン6の射出動作(ショット)間で、鋳物内に伝わる鋳造圧力にバラツキが生じ品質が安定しなくなる原因となる。
そこで、本発明では、このビスケット厚の差Bをなくし、常に所望する一定のビスケット厚とするため、溶湯保持炉9の湯面レベルの低下に伴って、溶湯保持炉9から射出スリーブ4の内部に溶湯を真空吸引する時間長さを延長する補正を行い、溶湯保持炉9から溶湯が射出スリーブ4の内部に吸引される給湯量を一定化している。
第1の実施形態では、射出ピストン6が射出動作を行った鋳造ショット数に応じて、真空吸引する時間長さを延長する補正を行なうようになっている。
図1に示したコンピュータを主体に構成された制御装置22は、まず次のような一般的な制御機能を有する。すなわち、図4に示すように、鋳造する際に、金型2a、2bを閉じた後、常時真空ポンプが作動している状態下で、真空バルブ18を開いて射出スリーブ4内へのアルミ溶湯8の真空吸引を開始する処理(真空バルブ開)、真空バルブ18が開いてから所定量のアルミ溶湯8が射出スリーブ4内へ移動するまでの予め定められた一定の真空吸引時間(溶湯給湯時間)を計測する処理(溶湯給湯時間の計時処理)、この溶湯給湯時間が経過した後に、射出ピストン駆動部20を作動させて、射出ピストン6の前進射出動作を開始させる処理(射出動作処理)、溶湯充填時間が経過した後に真空バルブ18を閉じる処理、その後に凝固時間が経過(保圧処理)してから、型開き後に射出ピストン6を後退させる処理(射出ピストン6の後退処理)、及び製品取り出し処理などである。
上記に加えて、制御装置22は次のような制御を行う。1回の射出ピストン6の射出動作により真空吸引される湯面レベルの低下量が既知であれば、実際に行った射出ピストン6の射出動作回数(ショット数)との積から、湯面レベルの低下量を演算により求めることもできることから、鋳造ショット数を知ることにより、溶湯保持炉9の湯面レベルを間接的に検出する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る吸引時間の補正方法を示したフローチャートであり、射出ピストン6が射出動作を行った鋳造ショット数に応じて、真空吸引する時間長さを延長する補正を行い、溶湯保持炉9から溶湯が射出スリーブ4の内部に吸引される給湯量を一定化できるようになっている。なお、このフローチャートは制御装置22によって処理される。
この実施形態では、1回の射出ピストン6の射出動作により真空吸引される湯面レベルの低下量が既知であり、実際に行った射出ピストン6の射出動作回数(ショット数)との積から、湯面レベルの低下量を演算により求めることもできること、すなわち、鋳造ショット数に応じて溶湯保持炉9の湯面が低下する量が変化して行くことから、鋳造ショット数を知ることにより、溶湯保持炉9の湯面レベルを間接的に検出できる、ということが前提となっている。
この実施形態の場合、図4に示すように、まず真空吸引する時間長さを長くすべき鋳造1ショット当りの補正時間t1を、予めトライアルにて求めておく(S101)。次に射出動作の指示があった場合(S102:YES)、予め定めた所定のショット数nに該当するか否かを判断する(S103)。この所定のショット数nは、例えば5〜10のショット数の範囲で定められる。所定のショット数nである場合(S103:YES)、上記鋳造1ショット当りの補正時間t1と当該ショット数nとの積(t1×n)を算出し(S104)、吸引時間算出手段において基本的な吸引時間に付加して最終的な吸引時間とする(S105)。この後、制御装置22は、この最終的な吸引時間の時間長さに応じて、真空バルブ18を開き、射出ピストン駆動部20を作動させるタイミングを決定する。
次に、溶湯保持炉9に溶湯が補充されたか否かが判断される。この判断は人間が行なっても良いが、湯面のレベルが上限レベルL1まで補充されたことのみを検出できる簡単なセンサを用いて検出しても良い(S106)。上限レベルL1まで溶湯の補充が行なわれたら(S106:YES)、ショット数nをリセットして、補正時間が初期値になるようにする。
この実施形態によれば、鋳造ショット数から演算により溶湯保持炉9の湯面レベルの低下を検出するので、湯面レベルの低下を逐一検出するセンサを設けることなく、簡単に真空吸引する時間長さを補正することができ、給湯量を一定化することができる。
次に、第2の実施形態では、第1の実施形態に係る鋳造装置に、図1に示すような溶湯保持炉9内の湯面レベルをリニアに又は段階的に検出する湯面レベル検出手段21が設けられると共に、第1の実施形態とは異なる機能を持つ制御装置22が設けられる。
第2の実施形態では、湯面下降量と吸引時間補正量とが図6に示すようなリニアの関係にある補正をする場合を扱っており、湯面レベル検出手段21として、例えばレーザーセンサの如く湯面レベルをリニアに検出する構成のセンサが設けられる。また、制御装置には、アルミ溶湯8のビスケット11の厚さが一定となるように、真空吸引する時間長さを調整する制御機能部がソフトウエアにより構築される。
この制御装置22は、前述の図5に示したと同様の制御機能を有する。 上記に加えて、制御装置22は次のような制御を行う。
すなわち、上記射出ピストン6が射出動作を繰り返すと、その射出動作回数(ショット数)に応じて溶湯保持炉9のアルミ溶湯8の湯面が低下することから、湯面レベル検出手段21により、その低下量が例えばリニアに検出される。そこで制御装置22は、この湯面レベル検出手段21からの検出信号を受け、検出された湯面レベルの低下量に比例して、上記予め定めた真空吸引時間(溶湯給湯時間)の設定値を長くし、溶湯保持炉9から溶湯が射出スリーブ4の内部に吸引される給湯量を一定化する。これにより上記アルミ溶湯8のビスケット11の厚さの一定化が図られる。
このように制御すると、溶湯保持炉9内の湯面レベルが下降してもビスケット厚が一定になるため、保持炉内の溶湯量下限まで使用することができ、給湯サイクルが伸びるため給湯工数を低減することができる。
次に、本発明の鋳造方法の実施形態について、より詳しく説明する。
図7に前提となる真空吸引時間を補正する制御系の概略をブロック図にて示す。この制御装置22は、鋳造ショット1回毎の真空吸引する吸引時間長さである基本的な吸引時間を設定する吸引時間設定手段15と、この基本的な吸引時間に吸引時間補正量を付加した最終的な真空吸引時間を決定し、真空バルブ18を開くタイミング及び射出ピストン駆動部20を作動させるタイミングを決定する真空吸引時間算出手段16とを有する。更にまた、上記吸引時間補正量を作成するための手段として、溶湯補充量や、湯面レベル検出手段21からの検出信号や、鋳造ショット数や、予めトライアルして決定された既知量である1ショット当たりの補正時間などを入力として受け、真空吸引する吸引時間長さに付加する吸引時間補正量を算出し、その算出結果の吸引時間補正量を上記真空吸引時間算出手段16に与える補正量算出手段17を有する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る吸引時間の補正方法を示した図であり、溶湯保持炉9内の湯面レベルを実際にリニアに検出する湯面レベル検出手段21と、この湯面レベル検出手段21で検出される湯面レベルの低下量に合わせて、鋳造ショット1回毎に、前記真空吸引する吸引時間長さを延長する補正を行い、溶湯保持炉9から溶湯が射出スリーブ4の内部に吸引される給湯量を一定化する制御例を示している。
この実施形態の場合、図6に示したように、まず湯面レベルの低下量と鋳造ショット1回毎に吸引時間を長くすべき補正時間との関係式を、予めトライアルにて求めておき、補正量算出手段17の図示してないメモリに格納しておく(S201)。そして湯面レベル検出手段21から湯面レベルの低下量を検出する(S202)と共に、メモリに格納しておいた湯面レベルの低下量と補正時間との関係式から、補正時間を求める(S203)。そして、この求めた補正時間を真空吸引時間算出手段16に出力し、吸引時間算出手段において基本的な吸引時間に付加して最終的な吸引時間とする(S204)。この後、真空吸引時間算出手段16は、この最終的な吸引時間の時間長さに応じて、真空バルブ18を開き、射出ピストン駆動部20を作動させるタイミングを決定する。
上記のように吸引時間を補正制御することで給湯量が安定するため、製品の品質が安定し、不良品が減少すると共に、溶湯補充工数を削減することができる。
第1の実施形態では溶湯量を補充する場合には、溶湯保持炉9の湯面を必ず決めた高さ(上限レベルL1)にまで補充して、吸引時間をリセットしなければならない。しかし、第2の実施形態によれば、湯面レベル検出手段21を使用して上記のように吸引時間を補正する方法をとるため、溶湯の補充量を正確に管理する手間を省くことができる。また、補充量の間違いや、吸引時間補正のリセット忘れなど、人的ミスによる給湯量の変動や製品の品質悪化を未然に防止することができる。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る鋳造装置1を示す概要図である。この実施形態は、湯面レベル検出手段21として、フロート23と複数個の近接スイッチ24の組み合わせにより溶湯保持炉9内の湯面レベルを段階的に検出する構成の湯面レベルセンサ25が使用されている点で、第2の実施形態とは異なる。この実施形態の特徴は、図10に示すように、湯面降下量と吸引時間補正量がリニアな比例関係になく、湯面レベルの降下に対し吸引時間の補正がステップ状になされる点にある。
図11は、この第3の実施形態に係る制御例を示すフローチャートである。これは、湯面レベル検出手段21として、射出ピストン6により予め定めた複数回の射出動作が行われたことに相当する湯面レベルの低下量を検出する湯面レベルセンサ25を設けると共に、制御装置22として、湯面レベルセンサ25の出力信号に基づき真空吸引する吸引時間長さを延長する補正を、複数回の鋳造ショット分を単位としてステップ毎に行う制御例となっている。
溶湯保持炉9内の湯面レベルを段階的に検出する湯面レベルセンサ25としては、上記のフロート23と複数個の近接スイッチ24の組み合わせの他に、長さの異なる複数個の棒状の検出子を溶湯保持炉9内に差し込んで構成したセンサを用い、湯面レベルが一定高さずつ下降する毎に検出信号を得ることもできる。いずれにしても、検出信号が出力される間隔は、射出ピストン6により予め定めた複数回(n回)の射出動作が行われた分に相当する湯面レベルの低下量があったときに、湯面レベルセンサ25から検出信号が1回出力されるような関係に構成する。
図11において、まず真空吸引する時間長さを長くすべき、図10に示したような、単位湯面下降量当りの補正時間t2を、予めトライアルにて求めておく(S301)。次に射出動作の指示があった場合、湯面レベルセンサ25から出力があったかどうかをチェックする(S302〜S303)。ここで近接スイッチ24は、予め定めた所定のショット数nに相当する液面レベルの降下量があったときに、検出信号を出力するような間隔を持って配置してある。この所定のショット数nは、例えば5〜10のショット数の範囲で定められている。
そこで、湯面レベルセンサ25から出力があった場合(S303:YES)、上記単位湯面下降量当りの補正時間t2と湯面レベルセンサ25からの信号の出力回数nとの積(t2×n)を算出し(S304)、吸引時間算出手段において基本的な吸引時間に付加して最終的な吸引時間とする(S305)。この後、吸引時間算出手段は、この最終的な吸引時間の時間長さに応じて、真空バルブ18を開き、射出ピストン駆動部20を作動させるタイミングを決定する。
この実施形態によれば、湯面レベル検出手段21に近接センサや光電センサなどの簡易な汎用品により構成した湯面レベルセンサ25を用いて制御することが可能となり、上述の第2の実施形態の場合に比べて少ない費用で、ほぼ同じ効果を得ることができる。吸引時間の補正を5〜10ショット分に相当する湯面の下降量のステップに分けて制御するので、それだけ湯面高さ検知の分解能が低くなるが、製品品質への影響度は、吸引時間の吸引時間補正量を5〜10ショット毎の制御とする程度ではビスケットの厚みの変化は無視できるので、実用性に富む安価な給湯量調整装置を構築することが可能になる。
本発明は、鋳造の分野において利用することができる。
1 鋳造装置、
2 鋳造用金型、
3a 湯口、
4 射出スリーブ、
5 シールパッキン、
6 射出ピストン、
7 吸引管、
8 アルミ溶湯、
9 溶湯保持炉、
10 製品キャビティ、
11 ビスケット、
12 湯口ゲート部、
13 ランナー部、
14 オーバーフロー部、
15 吸引時間設定手段、
16 真空吸引時間算出手段、
17 補正量算出手段、
18 真空バルブ、
19 真空ポンプ、
20 射出ピストン駆動部、
21 湯面レベル検出手段、
22 制御装置、
23 フロート、
24 近接スイッチ、
25 湯面レベルセンサ。
2 鋳造用金型、
3a 湯口、
4 射出スリーブ、
5 シールパッキン、
6 射出ピストン、
7 吸引管、
8 アルミ溶湯、
9 溶湯保持炉、
10 製品キャビティ、
11 ビスケット、
12 湯口ゲート部、
13 ランナー部、
14 オーバーフロー部、
15 吸引時間設定手段、
16 真空吸引時間算出手段、
17 補正量算出手段、
18 真空バルブ、
19 真空ポンプ、
20 射出ピストン駆動部、
21 湯面レベル検出手段、
22 制御装置、
23 フロート、
24 近接スイッチ、
25 湯面レベルセンサ。
Claims (7)
- 金型の製品キャビティ内及びこれと連通する射出スリーブ内を真空状態にすることにより、溶湯保持炉から射出スリーブの内部に所定量の溶湯を真空吸引した後、当該溶湯を、前記射出スリーブ内の射出ピストンのストローク運動によって前記製品キャビティに押し込んで充填する鋳造方法において、
溶湯保持炉の湯面レベルの低下に伴って前記真空吸引する時間長さを延長する補正を行い、前記溶湯保持炉から溶湯が前記射出スリーブの内部に吸引される給湯量を一定化することを特徴とする鋳造方法。 - 前記補正として、射出ピストンが射出動作を行った鋳造ショット数に応じて、前記真空吸引する時間長さを延長する補正を行い、溶湯保持炉から溶湯が射出スリーブの内部に吸引される給湯量を一定化することを特徴とする請求項1に記載の鋳造方法。
- 前記補正として、実際に湯面レベル検出手段で検出される湯面レベルの低下量に合わせて、鋳造ショット1回毎に、前記真空吸引する吸引時間長さを延長する補正を行い、溶湯保持炉から溶湯が射出スリーブの内部に吸引される給湯量を一定化することを特徴とする請求項1に記載の鋳造方法。
- 内部に製品キャビティを有する鋳造用金型と、前記鋳造用金型の湯口と連通して設けられた射出スリーブと、前記射出スリーブ内に進退移動可能に挿入され、前進射出動作により前記射出スリーブ内の溶湯を前記製品キャビティ内に充填する射出ピストンと、溶湯保持炉から前記射出スリーブ内部に溶湯を吸引するための吸引管とを備えた鋳造装置において、
前記溶湯保持炉の湯面レベルの低下に伴って前記真空吸引する時間長さを延長する補正を行い、前記溶湯保持炉から溶湯が前記射出スリーブの内部に吸引される給湯量を一定化する補正手段を設けたことを特徴とする鋳造装置。 - 前記補正手段として、射出ピストンが射出動作を行った鋳造ショット数に応じて、前記真空吸引する時間長さを延長する補正を行い、溶湯保持炉から溶湯が射出スリーブの内部に吸引される給湯量を一定化する制御装置を設けたことを特徴とする請求項4に記載の鋳造装置。
- 前記補正手段として、前記溶湯保持炉内の湯面レベルを実際に検出する湯面レベル検出手段と、この湯面レベル検出手段で検出される湯面レベルの低下量に合わせて、鋳造ショット1回毎に、前記真空吸引する吸引時間長さを延長する補正を行い、溶湯保持炉から溶湯が射出スリーブの内部に吸引される給湯量を一定化する制御装置を設けたことを特徴とする請求項4に記載の鋳造装置。
- 前記湯面レベル検出手段として、前記射出ピストンにより予め定めた複数回の射出動作が行われたことに相当する湯面レベルの低下量を検出する湯面レベルセンサを設けると共に、前記補正手段として、前記湯面レベルセンサの出力信号に基づき、前記真空吸引する吸引時間長さを延長する補正を、複数回の鋳造ショット分を単位としてステップ毎に行う制御装置を設けたことを特徴とする請求項6に記載の鋳造装置。
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2006
- 2006-09-20 JP JP2006254714A patent/JP2008073714A/ja active Pending
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