JP2004344910A - 真空ダイカスト装置とその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空ダイカスト装置において、従来の装置と比較して、より高い真空度が得られるまで真空バルブの閉鎖タイミングを引き延ばすことを可能とし、高速圧入の場合であっても、湯切れや巣のない綺麗なダイカスト製品を得ることを可能とする。
【解決手段】真空装置4に接続した真空バルブ3を開閉操作し、金型内のキャビティ2内を真空引きした状態で溶湯を圧入する真空ダイカスト装置において、射出装置20のプランジャ22の移動により圧入される溶湯10がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報を入手し、該情報を演算処理して溶湯がプランジャの移動開始後キャビティ内の前記所定位置へ到達するまでの時間tを演算し、演算結果に基づき真空バルブ3の閉制御を行うようにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカスト射出装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空ダイカスト装置および方法は知られている。そのための装置は、通常、可動型と固定型とからなる金型であって、真空装置に接続した真空バルブを備え該真空バルブの開閉操作によりキャビティ内が真空引きされるようになっている金型と、真空バルブを開閉制御する制御手段と、金型のキャビティ内に溶湯を圧入するプランジャとスリーブを備えた射出装置とを少なくとも備えている。
【0003】
図7は真空ダイカスト装置の一例を示す図であり、金型1を構成する固定型1aと可動型1bによってキャビティ2が形成され、このキャビティ2には真空装置4に接続した真空バルブ3が組み込まれいる。真空装置4は、真空タンクTと真空ポンプPなどから構成され、真空ポンプPを運転して真空タンクTの真空度を高めた状態を保持し、真空バルブ3を開くことによって、瞬時にキャビティ2が減圧されるようになっている。
【0004】
キャビティ2に溶湯10を加圧充填するための射出装置20は、スリーブ21とプランジャ22を備え、プランジャロッド23の他端側は、ピストンシリンダ装置24のピストンロッド25に連結している。スリーブ21には注湯口21aが設けられ溶湯10が注湯される。ピストンシリンダ装置24のピストン26は例えば油圧力で移動し、その加圧力で溶湯10はキャビティ2内に圧入される。ピストンシリンダ装置24にはピストン26の位置を検出する位置センサ27が備えられ、ピストン26すなわちプランジャ22の動作に対して真空バルブ3の開閉を連動させるための信号を発する。
【0005】
この種の真空ダイカスト装置においては、まず、スリーブ21に形成した注湯口21aから溶湯10が注湯されると、プランジャ22は初期位置から所定距離だけ前進し、図に示すように注湯口21aを閉塞した第1の位置P1にきたとき、位置センサ27がプランジャ22を検知して、真空バルブ3を開く信号を出す。それにより、キャビティ2の減圧を開始する。その後も、プランジャ22は前進を続けて、溶湯10がキャビティ2に充填され始める。プランジャ22がさらに前進して、キャビティ2への溶湯10の充填が完了する直前の所定位置P2に達すると、その位置を位置センサ27が検出して、真空バルブ3を閉じる信号を発する。このようにして、溶湯10はキャビティ2内が減圧された状態で迅速に充填される。
【0006】
上記の従来技術では、真空バルブ3の開閉タイミングはプランジャ22の位置情報のみに依存しており、真空度の管理とは独立している。そのために、溶湯10とともに空気が巻き込まれながらキャビティ2に吸い込まれる問題が生じる場合がある。それを解消するものとして、特許文献1(特開平7−68366号公報)には、真空バルブの開閉を制御するプランジャの位置情報と、キャビティ内の真空度情報をリンクさせ、真空度情報により開閉信号を発するプランジャの位置を随時調節するようにした真空ダイカスト方法と装置が記載されている。
【0007】
この方法と装置では、ピストン26(プランジャ22)が前記第2の位置P2に到達した時点における真空系統の真空度と、予め設定した真空度とを比較し、第2の位置P2における真空度が設定値よりも高い場合には第1の位置P1を所定距離だけ金型側に移動して変更し、真空度が設定値よりも低い場合には前記第1の位置P1を所定距離だけ反金型側に移動して変更して、次回のサイクルではこの変更した第1の位置P1で真空バルブ3を開き、第2の位置P2で真空バルブ3を閉じるようにして射出工程を行うようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開平7−68366号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1(特開平7−68366号公報)に記載の方法のように、各ショット毎に真空バルブが閉じるときの真空度を測定し、それを次回のショットでの真空バルブを開く位置にフィードバックすることにより、溶湯をキャビティに射出するときの空気の巻き込みを防止して、巣の発生のない高品質の鋳造品を得ることができると期待される。
【0010】
しかしながら、真空センサを用いて各ショット毎にキャビティ内の真空度を測定し、それをフィードバック制御することは容易でない。また、近年では、製品の薄肉、大形化に伴い射出速度がより速くなっており、キャビティ内での真空センサ取り付け部や真空バルブ部分に高速で圧入される溶湯が入り込むのを防止するために、安全率を見込んでおく、すなわち、真空度測定時でのプランジャの位置(第2の位置P2)をある程度手前に設定しておく必要がある。そのために、キャビティ内にかなりの空間を残した状態で真空バルブを閉じることとなり、空気の巻き込みを完全に排除することはできない。
【0011】
さらに、アルミニウムやマグネシウムのような金属は溶融状態での熱容量は大きくなく、スリープ内に充填された溶湯が溶湯路を通ってキャビティ内に入り込んで行く過程で、周囲の温度環境(特に、スリーブ温度、金型温度)の影響を受け、その粘性が変化する場合がある。高速でキャビティ内に射出することが求められる薄肉、大形化の製品を真空ダイカストする場合に、この粘性の変化がキャビティ内の到達位置に与える影響は大きく、前回のショットでの真空度によってフィードバック制御されたプランジャ位置で真空バルブの閉じ操作を行っても、粘性が低い場合には、キャビティ内での真空センサ取り付け部や真空バルブ部分に溶湯が入り込んで、装置に故障を生じさせる一因となりかねず、また、粘性が高い場合には、より高い真空度を得ることができるにもかかわらず、それ以前に真空バルブを閉じてしまうことが起こり得る。
【0012】
さらに、一回のショット分の湯量は予め定められているものの、何らかの事情により、基準量を超えたあるいはそれ以下の溶湯が注湯口からスリーブに供給されたような場合にも、同様な事態が発生するのを回避できない。
【0013】
すなわち、従来の真空ダイカスト方法および装置では、プランジャがある位置(前記第2の位置P2)に到達したときに、溶湯はキャビティ内の所定位置(すなわち安全率を勘案した完全充填よりも前の位置)に到達したものとみなし、その時点でのキャビティ内の真空度を規定値として設定し、それを基準として真空バルブの閉制御をするようにしており、溶湯の粘性変化やわずかな湯量の変動など、プランジャの移動距離は同じであっても、溶湯がキャビティ内で到達する位置に変動を与えるファクターには格別の配慮がなされていなかった。従来の比較的低速で溶湯の圧入充填を行う真空ダイカスト方法では、格別の問題は生じないが、高速充填を必要とする真空ダイカストの場合には、溶湯の粘性変化やわずかな湯量の変動は、巣のない鋳造品を得るためには、無視できないファクターとなる。
【0014】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、各ショット毎に溶湯の粘性が変化する場合でも、また、スリーブ内に規定値によりわずかに多いあるいは少ない量の溶湯が供給される場合でも、常にキャビティ内の所定位置に溶湯が到達した時点で真空バルブを閉鎖できるようにし、それにより、所定の真空度を維持して、真空ダイカストを反復して行うことを可能とした、より改良された真空ダイカスト装置と方法を提供することを目的とする。結果として、本発明によれば、従来以上の高い真空度が得られるまで、真空バルブの閉鎖を引き延ばすことが可能となり、高速圧入の場合であっても、湯切れや巣のない綺麗なダイカスト製品を得ることができる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明による真空ダイカスト装置は、真空装置に接続した真空バルブを備え該真空バルブの開閉操作によりキャビティ内が真空引きされるようになっている金型と、真空バルブを開閉制御する制御手段と、金型のキャビティ内に溶湯を圧入するプランジャとスリーブを備えた射出装置とを少なくとも持つ真空ダイカスト装置であって、前記射出装置のプランジャの移動により圧入される溶湯がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報を得るための1個以上のセンサと、各センサからの情報を演算処理して溶湯がプランジャ移動開始後キャビティ内の前記所定位置へ到達するまでの時間を演算する演算手段をさらに有しており、前記真空バルブを開閉制御する制御手段は該演算手段による演算結果に基づき真空バルブの閉制御を行うようにされていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による真空ダイカスト方法は、真空装置に接続した真空バルブを開閉操作し、金型内のキャビティ内を真空引きした状態でプランジャとスリーブを備えた射出装置からキャビティ内に溶湯を圧入する真空ダイカスト方法において、射出装置のプランジャの移動により圧入される溶湯がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報を入手し、該情報を演算処理して溶湯がプランジャの移動開始後キャビティ内の前記所定位置へ到達するまでの時間を演算し、演算結果に基づき真空バルブの閉制御を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明において、真空バルブを開く、すなわちキャビティ内の真空引きを開始するタイミングは、プランジャが初期位置から所定距離だけ前進して注湯口を閉塞したとき(第1の位置)であってよい。真空引きと並行して、第1の位置からプランジャが前進することにより溶湯のキャビティ内への圧入が開始する。必要な場合には、溶湯温度や量に応じて、最適なプランジャの射出パターン(移動パターン)が選択される。
【0018】
一方、圧入される溶湯がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報が、各センサからデータ処理装置に送られており、データ処理装置は、各センサからの情報を演算処理して溶湯がプランジャ移動開始後キャビティ内の前記所定位置へ到達するまでの時間を演算する。より正確な制御を行うために、多段に所定位置を設定し、各位置ごとの到達時間を演算するようにしてもよい。
【0019】
圧入される溶湯がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報は、種々存在する。例えば、プランジャの位置・速度情報、溶湯の粘性に関する情報、溶湯量に関する情報、などである。溶湯の粘性は温度依存性が高いので、スリーブ温度や金型温度の情報から演算することができる。これらの情報に基づき、データ処理装置は、溶湯がキャビティ内の所定位置に達する時間tを演算する。前記のように、キャビティ内に多段に溶湯センサを配置した場合には、各溶湯センサでの到達時間を実測して予測演算値と比較し、フィードバック制御を行うこともできる。真空バルブを開閉制御する制御手段は、プランジャが移動してからt時間経過後に、真空バルブを閉鎖する。その後も、プランジャは移動を継続し、キャビティの残りの空間部分は溶湯に満たされることにより、金型への給湯は終了する。
【0020】
本発明では、前記到達時間tを演算して、それに従い真空バルブを閉鎖するようにしており、しかも、多くのセンサから集めた複数個の情報に基づき前記到達時間が演算されるので、得られる演算値の信頼性は高い。溶湯の粘性をも加味して到達時間を演算する場合には、その正確度は一層向上する。そのために、真空バルブを閉鎖する基準位置である「溶湯が到達するキャビティ内の所定位置」を真空バルブの物理的な位置に相当近接した場所に設定することが可能であり、それにより、一層高い真空度でもって真空バルブを閉鎖することができ、鋳物に巣が生じる確率を大きく低減することが可能となる。
【0021】
スリーブ内に供給されるショット毎の溶湯量を演算ファクターの1つとして加えることも有効である。一回のショット分の湯量は予め定められており、変動はない。しかし、何らかの事情により、基準量をわずかに超えた、あるいはわずかに少ない溶湯がスリーブに供給されたような場合に、プランジャの位置情報のみを基準として真空バルブを閉操作するものでは、この溶湯量の変化に適切に対処できない。本発明では、重量センサからの情報あるいはスリーブ内での溶湯の高さセンサからの情報などにより、各ショット毎の実際の溶湯量を計測し、それを溶湯がキャビティ内の所定位置に到達する時間を演算するファクターの1つとして用いることにより、真空バルブの損傷や低真空圧で真空バルブが閉じてしまうような事態を有効に回避することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明による真空ダイカスト装置と方法の一実施の形態について添付の図面を参照して説明する。なお、本発明の一実施の形態の構成を示す図1において、従来技術の図7の構成要素と同一の構成要素には、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。図示の例において、金型1は固定型1aと可動型1bを備え、両型で形成されるキャビティ2内は真空装置4に接続した真空バルブ3と繋がっている。真空装置4は、図示しない真空タンクと真空ポンプとから構成されており、真空バルブ3を開くことによって瞬時にキャビティ2が減圧されるようになっている。
【0023】
キャビティ2に溶湯10を加圧充填する射出装置20は、スリーブ21とプランジャ22を備え、プランジャロッド23の他端側は、ピストンシリンダ装置24に連結している。スリーブ21には注湯口21aが設けられ給湯装置29から溶湯10が注湯される。注湯された溶湯10はピストンシリンダ装置24の加圧力でキャビティ2内に圧入される。ピストンシリンダ装置24にはピストン26の位置と速度を検出する位置・速度センサ27Aが備えられ、ピストン26すなわちプランジャ22の動作状態の信号をデータ処理装置50に送る。
【0024】
スリーブ21にはスリーブヒータ51とスリーブ温度センサ52が備えられ、さらに給湯装置29からの給湯量を測定する重量センサ54も備えられる。金型1には金型ヒータ55と金型温度センサ56が備えられ、さらにキャビティ2に面するようにして多段に複数個の溶湯センサ57a,57b…57nが備えられる。溶湯センサ57はキャビティ2内に圧入される溶湯の到達時間を順次検出する。各センサからの信号はデータ処理装置50に送られ、フィードバック制御に用いられる。
【0025】
データ処理装置50の概要を図2に示す。データ処理装置50はCPU80を有し、上記各センサに加え、給湯装置29,金型温調機61、キャビティ2内の圧力を測定する減圧センサ62からの情報も、溶湯10がキャビティ2内の所定位置に到達するのに影響を与える情報の1つとして入力される。データベース63は、溶湯温度と粘度のような情報を保持している。CPU80は、真空バルブ制御回路70を備え、該回路70は各センサからの情報を演算処理して溶湯10がプランジャ移動開始後キャビティ内の所定位置へ到達するまでの時間を演算する演算手段を持つ。該演算手段は、入力データの全部または一部に基づき所要の演算を行い、演算結果を真空バルブ3を開閉制御する制御手段71に真空バルブ3の開閉信号として出力する。この例では、キャビティ2には多段に複数個の溶湯センサ57a,57b…57nが備えられており、制御をより精緻にするために、それぞれの溶湯センサを通過する時間も演算され、実測値と比較される。CPU80は、さらに、スリーブ温度制御回路72、金型温度制御回路73、溶湯量制御回路74などを備え、より適切な閉信号を真空バルブ3に送り出せるように、それぞれのフィードバック制御を行う。
【0026】
この真空ダイカスト装置では、まず、スリーブ21に形成した注湯口21aから所定量の溶湯10が注湯される。その量は重量センサ(スリーブ溶湯量センサ)54により計測され、データ処理装置50に送られる。プランジャ22が初期位置から所定距離だけ前進して、図に示す注湯口21aを閉塞した第1の位置P1にきたとき、位置・速度センサ27Aによりプランジャ22が検出されデータ処理装置50に送られる。データ処理装置50は真空バルブ制御手段71に対して真空バルブ3を開く信号を出力する。それにより、キャビティ2の減圧が開始する。プランジャ22は前進を続け、溶湯10がキャビティ2に充填され始める。
【0027】
真空バルブ制御回路70の作動フローを図3に示す。金型温度が金型温度センサ56により測定され(ステップ301)、スリーブ温度がスリーブ温度センサ52により測定され(ステップ302)、さらに溶湯量が重量センサ54により測定され(ステップ303)、それぞれがCPU80に送られる。次に、鋳造すべき製品の形態や上記センサからの情報に基づき、最適の射出パターン(プランジャの移動パターン)が選択される(ステップ304)。
【0028】
CPU80は、データベース63中の蓄積データと新たに得た実測値とを参照して、圧入される溶湯が、キャビティ2内の各溶湯センサ57を通過する時間s1…snと、真空バルブ到着時間t(真空バルブ3の閉信号を出すべき本発明でいう「キャビティ内の所定位置」であり、多段に配置した最上位の溶湯センサ位置かそれよりも上位の位置)を演算する(ステップ305)。
【0029】
溶湯のキャビティ内での到達時間s,tは、キャビティ容量が一定であれば、プランジャ22の位置や速度により、また溶湯量により影響を受ける。さらに、当該溶湯の粘性の影響も受ける。しかし、それらのデータが得られていれば、通常の手段により各到達時間s,tは演算可能である。また、溶湯の粘性は温度依存性が高いので、金型温度センサ56やスリーブ温度センサ52からの温度データ情報を利用することにより、粘度の影響も正確に反映させることができる。さらに、各ショットでの溶湯量の影響も受けるが、重量センサ54からのデータにより、溶湯量も正確に反映させることができる。
【0030】
n個目の溶湯センサ通過時間を実測し、予測値(演算値)snと比較する(ステップ306)。予測値どおりであれば、n+1個目の溶湯センサ通過時間を実測し、予測値(演算値)sn+1と比較する(ステップ307)。以下、これをすべての溶湯センサについて繰り返し、前記真空バルブ到着時間tにおいて、真空バルブ閉信号を出して、真空バルブを閉じる(ステップ308)。以下、さらにプランジャ22が前進して、溶湯全量を圧入する。
【0031】
ステップ306において実測値と予測値が異なる場合には、n+1個目の溶湯センサの通過時間sn+1と真空バルブ到着時間tを修正(ステップ309)して、次のステップ307に移行する。ステップ307において実測値と予測値が異なる場合には、さらに、n+2個目の溶湯センサの通過時間sn+2と真空バルブ到着時間tを修正(ステップ310)する。以下、これを必要に応じて反復する。
【0032】
上記のように、本発明では、真空バルブ到達時間tを演算して、それに従い真空バルブ3を閉鎖するようにしており、しかも、多くのセンサから集めた複数個の情報に基づき前記到達時間tが演算されるので、得られる演算値の信頼性は高い。ショット時の溶湯の粘性や実際の溶湯量をも加味して到達時間tを演算することも可能であり、正確度は一層向上する。そのために、真空バルブ3を閉鎖する基準位置である「溶湯が到達するキャビティ内の所定位置」を真空バルブ3の物理的な位置に相当近接した場所に設定することが可能となり、高い真空度でもって真空バルブを閉鎖することができる。結果として、鋳物に巣が生じる確率を大きく低減することが可能となる。
【0033】
上記の実施の形態において、より高い真空度でもって所要の鋳造ができるように、各ショット毎のスリーブ温度、金型温度、溶湯量は、それぞれスリーブヒータ51、金型ヒータ55、給湯装置29にフィードバックされるようになっている。図4はスリーブ温度制御回路72のフローを示しており、スリーブ温度センサ52で測定されたスリーブ21の温度実測値(ステップ401)はデータ処理装置で格納されている温度目標値と比較され(ステップ402)、目標値内であれば、次に前ショットでの真空度の実測値が真空度目標値に入っていたかどうかが比較される(ステップ403)。入っていれば、設定値内での真空ダイカストが継続していることであり、ショットを継続する。実測値が目標値から外れている場合には、スリーブヒータ21に出力して(ステップ404)、スリーブ温度の調整を行う。図5は金型温度制御回路73について、図6は溶湯量制御回路74についての同様なフローを示す図であるが、実質的に、上記スリーブ温度制御回路72のフローと同様であり、説明は省略する。このようなフィードバック制御を行うことにより、溶湯の粘性や湯量をより目標値に近い状態でショットを繰り返すことが可能となり、高い真空度の目標値を確実にクリアできる。それにより、一層精度の高い製品が得られる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明による真空ダイカスト装置と方法では、溶湯がキャビティの所定位置に到達するのに影響を与える多くの情報を入手し、それから到達時間を演算して、該演算結果に基づき真空バルブを閉鎖するようにしたので、各ショット毎に溶湯の粘性が変化する場合でも、また、スリーブ内に規定値によりわずかに多いあるいは少ない量の溶湯が供給される場合でも、所定の高い真空度を常に維持した状態で、真空ダイカストを反復して行うことが可能となる。換言すれば、従来の真空ダイカスト装置と比較して、より高い真空度が得られるまで真空バルブの閉鎖を引き延ばすことが可能となり、高速圧入の場合であっても、湯切れや巣のない綺麗なダイカスト製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による真空ダイカスト装置の一実施の形態の構成を示す図。
【図2】データ処理装置の概要を示す図。
【図3】真空バルブ制御回路の作動フローを示す図。
【図4】スリーブ温度制御回路の作動フローを示す図。
【図5】金型温度制御回路の作動フローを示す図。
【図6】溶湯量制御回路の作動フローを示す図。
【図7】従来の真空ダイカスト装置の一例を示す図。
【符号の説明】
1…金型、1a…固定型、1b…可動型、2…キャビティ、3…真空バルブ、4…真空装置、10…溶湯、20…射出装置、21…スリーブ、21a…注湯口、22…プランジャ、24…ピストンシリンダ装置、26…ピストン、27A…位置・速度センサ、29…給湯装置、50…データ処理装置、51…スリーブヒータ、52…スリーブ温度センサ、54…重量センサ(スリーブ溶湯量センサ)、55…金型ヒータ、56…金型温度センサ、57…溶湯センサ、80…CPU、70…真空バルブ制御回路、71…真空バルブ開閉制御手段、72…スリーブ温度制御回路、73…金型温度制御回路、74…溶湯量制御回路

Claims (6)

  1. 真空装置に接続した真空バルブを備え該真空バルブの開閉操作によりキャビティ内が真空引きされるようになっている金型と、真空バルブを開閉制御する制御手段と、金型のキャビティ内に溶湯を圧入するプランジャとスリーブを備えた射出装置とを少なくとも持つ真空ダイカスト装置であって、該真空ダイカスト装置は、前記射出装置のプランジャの移動により圧入される溶湯がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報を得るための1個以上のセンサと、各センサからの情報を演算処理して溶湯がプランジャ移動開始後キャビティ内の前記所定位置へ到達するまでの時間を演算する演算手段をさらに有しており、前記真空バルブを開閉制御する制御手段は該演算手段による演算結果に基づき真空バルブの閉制御を行うようにされていることを特徴とする真空ダイカスト装置。
  2. 溶湯がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報には、少なくとも溶湯の粘性に影響を与える情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の真空ダイカスト装置。
  3. 真空装置に接続した真空バルブを開閉操作し、金型内のキャビティ内を真空引きした状態でプランジャとスリーブを備えた射出装置からキャビティ内に溶湯を圧入する真空ダイカスト方法において、射出装置のプランジャの移動により圧入される溶湯がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報を入手し、該情報を演算処理して溶湯がプランジャの移動開始後キャビティ内の前記所定位置へ到達するまでの時間を演算し、演算結果に基づき真空バルブの閉制御を行うことを特徴とする真空ダイカスト方法。
  4. 溶湯がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報には、少なくとも溶湯の粘性に影響を与える情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の真空ダイカスト方法。
  5. 溶湯の粘性に関する情報には、少なくともスリーブ温度と金型温度とを含むことを特徴とする請求項4に記載の真空ダイカスト方法。
  6. 溶湯がキャビティ内の所定位置に到達するのに影響を与える情報には、少なくとも溶湯量に関する情報をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の真空ダイカスト方法。
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