JP4592868B2 - ダイカストマシンの射出制御装置および射出制御方法 - Google Patents

ダイカストマシンの射出制御装置および射出制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカストマシン射出制御装置および射出制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイカスト製品の品質は、金属溶湯を金型内に充填する際の射出速度や射出圧力に影響されることが知られているが、ダイカストマシンにおける金型に金属溶湯を充填する射出工程では、たとえば、以下のような射出制御を行なっている。
まず、プランジャスリーブに金属溶湯を供給し、金属溶湯の空気の巻き込み等を避けるためにプランジャを低速の射出速度で駆動して金型のキャビティへの金属溶湯の充填を開始する。
次いで、金属溶湯の先端が金型の湯口に達する位置までプランジャが移動したら、プランジャを高速の射出速度に切り換えて駆動し、金属溶湯を金型のキャビティに急速に充填する。
次いで、金型のキャビティに金属溶湯が充填されたらプランジャの圧力を上昇させて、金属溶湯を加圧する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のプランジャの低速の射出速度から高速の射出速度への切り換えは、上記したように、プランジャスリーブに供給した金属溶湯の先端が金型の湯口に達する時点で行うのが好ましい。すなわち、プランジャスリーブおよび金型のキャビティに金属溶湯を導く流路に金属溶湯が充填された時点で、プランジャを高速の射出速度に切り換えることが好ましい。
従来、プランジャを低速の射出速度から高速の射出速度へ切り換える切り換え位置は、たとえば、鋳造品の重量を当該鋳造品を形成する材料の比重で除算して鋳造品の体積を算出し、この体積に基づいてプランジャの移動すべきストロークを求め、このストロークから予め決定していた。
しかしながら、金属溶湯の比重は、温度によって異なる。また、低速から高速に変わるまでにプランジャを駆動する油圧シリンダおよび制御バルブにタイムラグが存在する。さらに、プランジャスリーブへの金属溶湯の供給量は一定とは限らず、ばらつくことがあり、また、供給量を積極的に増減することもある。
このため、切り換え位置にプランジャが到達しても、プランジャスリーブおよび金型のキャビティへの流路に金属溶湯が不足していたり、あるいは、湯口を通じてキャビティ内へ金属溶湯が既に導入されていたりする場合がある。
【0004】
たとえば、切り換え位置にプランジャが到達した時点で、プランジャスリーブおよび金型のキャビティへの流路に金属溶湯が不足している状態では、プランジャは高速に切り換わると、スリーブ内のガスがプランジャの高速動作により撹拌され金属溶湯に巻き込まれる。このとき、金属溶湯が湯口に到達するまでは、プランジャには殆ど抵抗が作用しないため、プランジャは大きく加速されたのち、湯口に金属溶湯の先端が到達すると、プランジャは湯口の抵抗の影響で減速される。
この結果、金属溶湯の先端のみがキャビティ内に入り、その後の溶湯が続いて導入されない状態となり、金属溶湯の先端が切れた状態となりやすい。金属溶湯の先端のみがキャビティ内に導入されると、鋳造後の製品の表面にいわゆる湯ジワが発生しやすいという不利益が存在する。
一方、低速で移動するプランジャが切り換え位置に到達した時点で、すでに金属溶湯の先端がキャビティ内に導入されていると、金属溶湯の先端の凝固が進み、鋳造された鋳造品にいわゆる湯境が発生しやすいという不利益が存在する。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであって、ダイカストマシンにおいて、プランジャの射出速度の切り換えのタイミングを最適化でき、安定した品質の鋳造品を鋳造可能なダイカストマシンの射出制御装置および射出制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点に係るダイカストマシンの射出制御装置は、プランジャスリーブに供給された金属溶湯を金型のキャビティへ射出するプランジャと、当該プランジャを駆動する射出シリンダを備える駆動手段と、を具備するダイカストマシンの射出制御装置であって、前記プランジャを第1の射出速度で駆動し、当該第1の射出速度よりも高い第2の射出速度に切り換える速度切換位置を設定する速度切換位置設定手段と、前記プランジャの実際の速度切換位置を検出する切換位置検出手段と、前記プランジャスリーブおよび前記キャビティに通じる流路に金属溶湯が充填され、前記キャビティへの金属溶湯の充填開始状態となったときの前記プランジャの充填開始位置を検出する充填開始位置検出手段と、検出した前記プランジャの充填開始位置および速度切換位置に基づいて、設定された前記速度切換位置を補正する切換位置補正手段と、補正された前記速度切換位置にしたがって、前記プランジャを第1の射出速度で駆動した後、前記第2の射出速度に切り換える制御指令を前記駆動手段に対して出力する射出制御手段とを有する。
【0007】
前記切換位置補正手段は、実際の速度切換位置と充填開始位置とが一致するように前記設定された速度切換位置を補正する。
【0008】
また、本発明の射出制御装置は、前記プランジャの前記金属溶湯に対する充填圧力を検出する圧力検出手段と、前記プランジャの変位を検出する変位検出手段と、前記プランジャの速度を検出する速度検出手段と、を有し、前記充填開始位置検出手段は、前記プランジャの変位、速度および充填圧力の変化に基づいて前記プランジャの充填開始位置を決定する。
【0009】
また、本発明の射出制御装置は、前記圧力検出手段の検出した充填圧力を時系列データとして記憶保持する圧力データ保持部と、前記変位検出手段の検出した前記プランジャの変位を時系列データとして記憶保持する変位データ保持部と、前記速度検出手段の検出した前記プランジャの速度を時系列データとして記憶保持する速度データ保持部と、前記充填圧力の時系列データに基づいて、前記プランジャによる前記キャビティへの金属溶湯の充填開始後の充填圧力の平均値を算出し、前記充填圧力および変位の時系列データから、前記プランジャの充填圧力が前記平均値に対して所定の割合に達する当該プランジャの位置を検出し、当該位置を前記充填開始位置とする充填開始位置算出部とを有する。
【0010】
前記充填開始位置算出部は、前記充填圧力、変位および速度の時系列データから、前記キャビティへ金属溶湯が充填した時点の前記プランジャの位置を検出し、当該充満時のプランジャの位置からプランジャの進行方向に遡った所定の距離の範囲での充填圧力の平均値を算出する。
【0011】
また、本発明の射出制御装置は、前記変位検出手段によって検出された前記プランジャの変位から当該プランジャの射出速度を算出する速度算出部と、前記速度検出手段の検出した射出速度の時系列データを記憶保持する速度データ保持部と、前記速度および変位の時系列データから前記プランジャの実際の速度切換位置を検出する切換位置検出部とを有する。
【0012】
前記切換位置検出部は、前記変位および前記速度の時系列データから、前記プランジャの第1の射出速度を検出し、かつ、当該第1の射出速度に対して所定の割合の速度に上昇する当該プランジャの位置を検出し、当該プランジャの位置を実際の速度切換位置とする。
【0013】
また、本発明の射出制御装置は、前記切換位置補正手段によって補正された速度切換位置に応じて、前記第2の射出速度を最適化する高速速度最適化手段をさらに有する。
【0014】
好適には、前記高速速度最適化手段は、前記補正された速度切換位置と補正前の速度切換位置との差に応じて前記第2の射出速度を調整する。
【0015】
さらに好適には、前記切換位置補正手段は、複数回の射出動作によって得られる複数の前記プランジャの充填開始位置データおよび速度切換位置データの平均値に基づいて前記速度切換位置を補正する。
【0016】
また、本発明の射出制御装置は、前記検出された充填開始位置および実際の切換位置の情報を画面上に表示する表示手段をさらに有する
【0017】
本発明の第2の観点に係るダイカストマシンの射出制御装置は、プランジャスリーブに供給された金属溶湯を金型のキャビティへ射出するプランジャと、当該プランジャを駆動する射出シリンダを備える駆動手段と、を具備するダイカストマシンの射出制御装置であって、前記プランジャスリーブおよび前記キャビティに通じる流路に金属溶湯が充填され、前記キャビティへの金属溶湯の充填開始状態となったときの前記プランジャの充填開始位置を前記プランジャの充填圧力に基づいて検出する充填開始位置検出手段と、前記充填開始位置検出手段の検出した前記プランジャの充填開始位置に基づいて、当該プランジャの射出速度の射出切換位置を決定する切換位置決定手段と、前記プランジャを第1の射出速度で駆動し、前記決定された速度切換位置にしたがって当該第1の射出速度よりも高い第2の射出速度に切り換える制御指令を前記駆動手段に対して出力する射出制御手段とを有する。
【0018】
本発明の第1の観点に係るダイカストマシンの射出制御方法は、プランジャスリーブに供給された金属溶湯に対してプランジャを第1の射出速度で駆動したのち、当該第1の射出速度より高い第2の射出速度に切り換えて金型のキャビティへ金属溶湯を射出するダイカストマシンの射出制御方法であって、金属溶湯が供給された前記プランジャスリーブに対してプランジャを第1の射出速度で駆動し、予め設定された設定切換位置で前記プランジャを第2の射出速度に切り換えて駆動し、キャビティへ金属溶湯を充填する充填ステップと、前記充填ステップにおいて検出された前記プランジャの金属溶湯に対する充填圧力および前記プランジャの変位および速度の時系列データから、前記プランジャスリーブおよび前記キャビティに通じる流路に金属溶湯が充填され、前記キャビティへの金属溶湯の充填開始状態となったときの前記プランジャの充填開始位置を検出する充填開始位置検出ステップと、前記充填ステップにおいて検出された前記プランジャの変位および速度の時系列データから、前記プランジャの射出速度の実際の切換位置を検出する切換位置検出ステップと、前記検出された実際の切換位置と充填開始位置に基づいて、前記プランジャの充填開始位置と切換位置とが一致するように前記設定切換位置を補正する切換位置補正ステップとを有する。
【0019】
前記切換位置変更ステップは、変更した切換位置に応じて、前記第2の射出速度を最適化する最適化ステップをさらに有する。
【0020】
本発明の第2の観点に係るダイカストマシンの射出制御方法は、プランジャスリーブに供給された金属溶湯に対してプランジャを第1の射出速度で駆動したのち、当該第1の射出速度よりも高い第2の射出速度に切り換えて金型のキャビティへ金属溶湯を射出するダイカストマシンの射出制御方法であって、プランジャスリーブ内に所定量の金属溶湯を供給する供給ステップと、金属溶湯が供給された前記プランジャスリーブに対してプランジャを第1の射出速度で駆動する低速駆動ステップと、駆動される前記プランジャの金属溶湯に対する充填圧力の変化から、前記プランジャスリーブおよびキャビティに通じる流路に金属溶湯が充填され、前記キャビティへの金属溶湯の充填開始状態となったことを前記プランジャの充填圧力に基づいて検出する充填開始状態検出ステップと、前記充填開始状態の検出に応じて前記プランジャを第2の射出速度に切り換えて駆動する高速駆動ステップとを有する。
【0021】
本発明の第1の観点に係る射出制御装置および射出制御方法では、予め設定された射出条件にしたがって、金型に金属溶湯を充填してダイカスト製品の鋳造を行う。
このとき、プランジャの変位、速度および金属溶湯に対する充填圧力を計測し、これらの時系列データを記憶保持する。
次いで、上記の変位、速度および充填圧力の時系列データの変化からキャビティへの金属溶湯の充填開始状態となったときのプランジャの充填開始位置を検出する。さらに、プランジャの変位および速度からプランジャの実際の速度切換位置を検出する。
次いで、検出したプランジャの充填開始位置とプランジャの実際の速度切換位置とが一致していることが、ダイカストマシンで鋳造される鋳造品の品質の観点からは望ましいことから、プランジャの充填開始位置と速度切換位置とが一致するように、設定された速度切換位置を補正する。
補正された速度切換位置にしたがって、再度、射出動作を行うことにより、プランジャの実際の速度切換位置が最適化され、鋳造された鋳造品の品質が安定化する。
【0022】
さらに、上記のように設定された速度切換位置を補正すると、これに応じて、高速である第2の射出速度でプランジャが駆動される距離も変化する。
このため、本発明では、検出された充填開始位置および実際の速度切換位置に応じて、第2の射出速度である高速射出速度を最適化する。たとえば、検出された実際の速度切換位置が充填開始位置の手前である場合には、この検出された実際の速度切換位置に基づいて補正された速度切換位置で速度切換を行うと、プランジャの高速射出速度による駆動距離が以前より短くなる。このため、プランジャの高速射出速度による駆動距離が短くなった分高速射出速度を高める。
【0023】
また、本発明の第2の観点に係る射出制御装置および射出制御方法では、金属溶湯が供給されたプランジャスリーブに対して、まず、プランジャを低速の第1の射出速度で駆動する。このとき、金属溶湯に対するプランジャの充填圧力を同時に計測する。
プランジャスリーブおよび金型のキャビティに通じる流路に金属溶湯が充填されると、金属溶湯の先端部はキャビティに通じる湯口に到達する。湯口は流路に対して開口が絞られているため、金属溶湯の先端部が湯口に到達すると、プランジャに作用する抵抗が増加し、充填圧力が上昇する。
この充填圧力の上昇の検出に応じて、プランジャを高速射出速度である第2の射出速度に切り換えて駆動する。
これにより、プランジャの実際の速度切換位置と充填開始位置とが略一致し、鋳造品の品質が安定化される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態
図1は、本発明が適用されるダイカストマシンの一例を示す構成図である。
図1において、ダイカストマシン1は、ベースBS上に設けられた固定ダイプレート54と、この固定ダイプレート54に固定された固定金型52と、固定ダイプレート54に対向してベースBS上に移動可能設けられた可動ダイプレート55と、この可動ダイプレート55に固定金型52に対向するように設けられた可動金型53と、固定金型52と可動金型53との間に形成されたキャビティCに流路Laを通じて連通しているプランジャスリーブ56と、プランジャスリーブ56に移動自在に嵌合しているプランジャチップ57aおよびこのプランジャチップ57aが先端に設けられたプランジャロッド57bからなるプランジャ57とを備えている。
上記の固定ダイプレート54の背後には、図示しないトグル機構を備えた型締装置が設けられており、この型締装置によって固定金型52と可動金型53は所定の型締力で型締される。
【0025】
また、ダイカストマシン1は、プランジャ57を駆動する駆動手段としての射出シリンダ部70を備えている。
この射出シリンダ部70は、連結部材57cによってプランジャロッド57bと連結されプランジャ57を駆動する射出用ピストンロッド58のピストン58aを内蔵する射出用シリンダ70aと、射出用ピストンロッド58の背部に設けられた昇圧用ピストン59を内蔵する昇圧用シリンダ70bとを備える。
射出シリンダ部70には、アキュミュレータ71が接続されており、アキュミュレータ71に蓄えられた油圧が射出用シリンダ70aまたは昇圧用70bに供給され、これにより、射出用ピストンロッド58および昇圧用ピストン59が駆動される。
射出シリンダ部70は、アキュミュレータ71からシリンダ70a,70bへ供給される圧油の圧力および流量を制御する制御弁72、73および74を備えており、これらの制御弁72、73および74によって、プランジャ57の駆動および昇圧が行われる。
【0026】
射出シリンダ部70の射出用シリンダ70aには、アキュミュレータ71から作動油が供給される側の油圧を検出する圧力センサS2と、作動油を排出する側の油圧を検出する圧力センサS3とが設けられている。
これら、圧力センサS2,S3は、ダイカストマシン1に対して設けられた制御装置10に接続されており、圧力センサS2,S3の検出した各圧力P1およびP2は制御装置10に入力される。
【0027】
また、ピストンロッド58に対し変位センサS1が設けられている。この変位センサS1は、たとえば、ピストンロッド58の軸方向に沿って等間隔に形成された溝に埋め込まれた図示しないメッキ部の変位を、たとえば、光学的あるいは磁気的に読み取り、ピストンロッド58の移動量に応じたパルス信号を発生する変位センサである。変位センサS1は、制御装置10に接続されており、プランジャ57の移動量に応じたパルス信号が制御装置10に入力される。
【0028】
制御装置10は、基本的には、ラドル90によってプランジャスリーブ56の注湯口56aを通じて所定量の金属溶湯がプランジャスリーブ56内に供給された状態で、まず、射出用ピストンロッド58を動作させる。このとき、金属溶湯の空気の巻き込み等を避けるためにプランジャ57を低い速度で駆動し、金属溶湯の先端が流路Laを通って金型の湯口Lbに達する位置までプランジャ57のプランジャチップ57aが移動したら、プランジャ57の射出速度を高速にし、金属溶湯を金型のキャビティCに急速に充填する。さらに、金型のキャビティCに金属溶湯が充填されたら、昇圧用ピストン59を動作させる。これにより、プランジャ57の圧力を上昇させて、キャビティCに充填された金属溶湯を加圧する。なお、この昇圧動作は、鋳造品にひけや巣が発生するのを防ぐため等の理由で行う。
【0029】
図2は、本発明の射出制御装置の一実施形態に係る制御装置10の構成を示す構成図である。
制御装置10は、入力部11,12および13と、速度算出部15と、変位データ保持部16と、速度データ保持部17と、充填圧力算出部18と、圧力データ保持部19と、充填開始位置算出部20と、切換位置検出部21と、射出条件設定部22と、切換位置補正部23と、高速速度最適化部24と、射出制御部25と、表示部26と、表示装置27とを備えている。
【0030】
ここで、射出条件設定部22は本発明の速度切換位置設定手段、切換位置補正部23は本発明の切換位置補正手段、高速速度最適化部24は本発明の高速速度最適化手段、射出制御部25は本発明の射出制御手段、表示部26および表示装置27は本発明の表示手段をそれぞれ構成している。
また、変位データ保持部16、速度データ保持部17および切換位置検出部21は本発明の切換位置検出手段を構成している。
さらに、圧力センサS2,S3、充填圧力算出部18、圧力データ保持部19、変位センサS1、変位データ保持部16、速度データ保持部17および充填開始位置算出部20は本発明の充填開始位置検出手段を構成している。
【0031】
入力部11は、プランジャ57の変位量CMを検出する変位センサS1の検出信号が入力される。変位センサS1の検出信号は、たとえば、パルス信号として入力されるため、入力部11はこのパルス信号をカウントしてディジタル値に変換し、変位データ保持部16に逐次出力する。
【0032】
入力部12は、射出用シリンダ70aの作動油供給側の油圧P1を検出する圧力センサS2の検出信号が入力される。圧力センサS2の検出信号は、たとえば、アナログ信号として入力されるため、入力部12は、このアナログ信号をディジタル信号に変換して充填圧力算出部18に逐次出力する。
入力部13は、射出用シリンダ70aの作動油排出側の油圧P2を検出する圧力センサS3の検出信号が入力される。この入力部13は、入力部12と同様に、圧力センサS3の検出信号をディジタル信号に変換して充填圧力算出部18に逐次出力する。
【0033】
速度算出部15は、プランジャ57の変位量を検出する変位センサS1の検出信号が入力され、この検出信号からプランジャ57の射出速度CVを算出して、速度データ保持部17に逐次出力する。この速度算出部15は、たとえば、パルス信号の周波数を電圧に変換するF/V変換器と、この電圧をディジタル信号に変換するA/D変換器とで構成することができる。
【0034】
変位データ保持部16は、入力部12を通じて入力されたプランジャ57の変位データを時系列データとして記憶保持する。この変位データ保持部16はメモリから構成される。
【0035】
速度データ保持部17は、速度算出部15から入力されたプランジャ57の射出速度データを時系列データとして記憶保持する。この速度データ保持部17はメモリから構成される。
【0036】
充填圧力算出部18は、入力部13,14からそれぞれ入力された射出用シリンダ70aの作動油供給側の油圧P1および作動油排出側の油圧P2から、プランジャ57のプランジャチップ57aの金属溶湯に対する充填圧力CPを算出する。
充填圧力算出部18は、充填圧力CPを次式(1)によって算出する。
【0037】
CP=P1−{(d12 −d22 )/d12 }・P2 …(1)
なお、d1はピストン部58aの直径であり、d2はピストンロッド58の直径である。
【0038】
圧力データ保持部19は、充填圧力算出部18から逐次入力される充填圧力CPの時系列データを記憶保持する。この圧力データ保持部19は、メモリから構成される。
【0039】
射出条件設定部22は、鋳造品に応じた各種の射出条件データを保持している。
具体的には、プランジャ57を駆動するときの低速射出速度および高速射出速度、低速射出速度から高速射出速度への切換位置、昇圧の際の圧力等の各種データである。
【0040】
ここで、図3はダイカストマシン1において金型のキャビティCに金属溶湯を充填する直前の状態を示す断面図である。
図3は、所定量の金属溶湯MLをプランジャスリーブ56内に供給した状態からプランジャ57を低速で駆動している状態を示している。
図3に示す状態では、プランジャチップ57aの前方には金属溶湯MLとともにガスGが存在しており、プランジャスリーブ56内の金属溶湯MLをキャビティCに導く流路LbにもガスGが存在している。
また、図3に示す位置FPは、プランジャチップ57aがこの位置FPまで到達すると、プランジャスリーブ56内および流路Laに金属溶湯MLが充填され、金属溶湯MLの先端部が湯口Lbに達する位置、すなわち、キャビティCへの金属溶湯MLの充填が開始される充填開始位置である。
上述したように、この充填開始位置FPでプランジャチップ57aが低速の射出速度から高速の射出速度に切り換わることが好ましい。
【0041】
たとえば、図3に示す充填開始位置FPの手前にある位置EPA でプランジャチップ57aが低速の射出速度から高速の射出速度に切り換わると、プランジャチップ57aは金属溶湯MLからの抵抗をほとんど受けないため、急激に加速され、ガスGが金属溶湯MLに撹拌される。プランジャチップ57aが前進して金属溶湯MLの先端部が湯口Lbに到達すると、湯口Lbの断面積は流路Laの断面積よりも絞ってあるので、その抵抗によりプランジャチップ57aは急激に減速され、その結果、金属溶湯MLの先端部のみが湯口Lbを通じてキャビティC内に導入してしまうことが発生しやすい。このため、鋳造品の表面に湯ジワが発生しやすい。
【0042】
一方、図3に示す充填開始位置FPの後方にある位置EPC でプランジャチップ57aが低速の射出速度から高速の射出速度に切り換わると、高速充填が行われる以前に、キャビティC内に金属溶湯MLの先端部が低速で射出されるため、この先端部の凝固が進行しすぎて湯境が発生しやすい。
【0043】
切換位置検出部21は、速度データ保持部17に保持された射出速度CVの時系列データおよび変位データ保持部16に保持された変位CMの時系列データからプランジャ57の実際の速度切換位置EPを検出し、この速度切換位置EPのデータを切換位置補正部23および表示部26に出力する。
すなわち、切換位置検出部21は、図3に示した、実際の切換位置EPA 〜EPC を検出する。なお、具体的な検出方法については後述する。
【0044】
充填開始位置算出部20は、圧力データ保持部19に保持された充填圧力CPの時系列データ、変位データ保持部16に保持されたプランジャ57の変位CMの時系列データおよび速度データ保持部17に保持されたプランジャ57の射出速度CVの時系列データに基づいて、プランジャスリーブ56およびキャビティCに通じる流路Laに金属溶湯MLが充填され、キャビティCへの金属溶湯MLの充填開始状態となったときのプランジャ57の充填開始位置を算出する。
すなわち、充填開始位置算出部20は、図3に示した充填開始位置FPを算出し、切換位置補正部23に出力する。
なお、具体的な算出方法については後述する。
【0045】
切換位置補正部23は、充填開始位置算出部20および切換位置検出部21で検出した充填開始位置FPおよび切換位置EPのデータに基づいて、射出条件設定22に設定された、プランジャチップ57aを低速の射出速度から高速の射出速度に切り換える設定切換位置SEPを補正し、補正された設定切換位置MEPを射出条件設定部22および高速速度最適化部24に出力する。
【0046】
具体的には、切換位置補正部23は、実際の切換位置EPと検出した充填開始位置FPとが一致するように設定切換位置SEPを補正する。
たとえば、設定切換位置SEPと充填開始位置FPとを同じであると、低速で駆動されるプランジャチップ57aが設定切換位置SEPに到達してから高速速度に切り換わるまでにタイムラグが存在するため、実際の切換位置EPと充填開始位置FPとが一致しないため、このタイムラグ等を考慮して設定切換位置SEPを補正する。
【0047】
高速速度最適化部24は、切換位置補正部23で得られた補正された設定切換位置MEPに応じて、射出条件設定部22で設定されている高速射出速度HCVを最適化し、最適化された高速射出速度OCVを射出条件設定部22に出力する。
具体的には、高速速度最適化部24は、補正された切換位置MEPと補正前の切換位置SEPとの差に応じて高速射出速度HCVを最適化する。
すなわち、たとえば、検出された実際の切換位置が充填開始位置FPの手前EPA である場合には、この実際の切換位置EPA に基づいて切換位置補正部23で補正された補正後の切換位置で設定切換位置MEPで速度切換を行うと、プランジャチップ57の高速射出速度による駆動距離が補正前より短くなってしまい、鋳造品の品質に影響を与える。このため、プランジャ57の高速射出速度HCVを駆動距離の短縮に応じて高める。
【0048】
射出制御部25は、射出条件設定部22において設定された各種の射出条件データとともに、補正された設定切換位置MEPおよび最適化された高速射出速度OCVにしたがって、ダイカストマシン1の制御バルブ72、73および74の駆動制御を行う。
制御バルブ72、73および74にはそれぞれ駆動モータ72a、73aおよび74aと、これらの駆動モータ72a、73aおよび74aの回転位置を検出するエンコーダ72b、73bおよび74bとが備わっており、射出制御部25は、駆動モータ72a、73aおよび74aからのフィードバック情報に基づいて駆動モータ72a、73aおよび74aを駆動制御する。
【0049】
表示部26は、圧力データ保持部19、変位データ保持部16、速度データ保持部17、充填開始位置算出部20、切換位置検出部21等から得られる情報を、たとえば、グラフ化して表示装置27の画面に表示する。
表示装置27の画面に、たとえば、図3に示したように、充填開始位置FPを基準として、実際の切換位置EPが充填開始位置FPより手前にある場合には画面上に「+」と表示し、実際の切換位置EPが充填開始位置FPより後方にある場合には「−」と表示するなど、充填開始位置FPおよび実際の切換位置EPを視覚的に把握できるように表示することが好ましい。
なお、表示装置27には、液晶表示装置、CRT等が使用される。
【0050】
次に、上記構成の制御装置10を用いたダイカストマシン1による射出制御方法について図4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、プランジャスリーブ56の注湯口56aを通じて所定量の金属溶湯MLをラドル90を使用して供給する(ステップS1)。
【0051】
次いで、金型のキャビティCに金属溶湯を射出動作により充填する(ステップS2)。
すなわち、制御装置10の射出制御部25は、射出条件設定部22に設定された射出条件にしたがって、プランジャ57を低速の射出速度LCVで駆動し、プランジャ57が設定切換位置SEPに到達したら、高速の射出速度HCVに切り換えて駆動し、キャビティCに金属溶湯MLが充填されることによってプランジャ57の速度が減速したら、昇圧用ピストン59を動作させて昇圧する。その後、金型を開いて鋳造品を取り出す。
この鋳造の際には、変位センサS1、圧力センサS2およびS3は、プランジャ57の変位CM、射出速度CVおよび充填圧力CPを計測されており、鋳造が間隙した時点で変位データ保持部16、速度データ保持部17および圧力データ保持部19にそれぞれ時系列データが保持されている。
【0052】
ここで、図5〜図7に上記の鋳造によって得られるプランジャ57の速度データおよび充填圧力データの一例を示す。なお、図5は実際の切換位置EPが充填開始位置FPより手前に位置する場合であり、図6は実際の切換位置EPが充填開始位置FPと一致する場合であり、図7は実際の切換位置EPが充填開始位置FPよりも後方に位置する場合のグラフである。
【0053】
図5に示すように、実際の切換位置EPが充填開始位置FPより手前に位置した状態で、プランジャ57の速度切り換えが行われると、射出速度CVが大きく増加し、ピーク速度CVmax に到達した後、高速の射出速度に安定する。このとき、充填圧力CPは、プランジャ57が急激に加速されるため、図5のCPaで示すように、若干上昇した後、降下し、充填開始位置FPから再度上昇し、プランジャ57が高速の射出速度で移動している間は、略一定の値をとる。その後、充填圧力CPは昇圧によって急上昇する。
一方、プランジャ57の速度は、プランジャ57が高速の射出速度で移動している間は、略一定の値をとり、キャビティCの金属溶湯MLが充満すると、プランジャ57は減速する。
【0054】
図6に示すように、実際の切換位置EPが充填開始位置FPと一致する場合では、プランジャ57の速度切り換えが行われても、射出速度CVは略一定の値に上昇し、その後下降する。
また、充填圧力CPもプランジャ57の速度切り換えに応じて上昇し、略一定の値をとったのち、昇圧によって急上昇する。
【0055】
図7に示すように、実際の切換位置EPが充填開始位置FPよりも後方に位置する場合には、プランジャ57が充填開始位置FPを通過すると、速度切り換えが行われる前に充填圧力CPはある程度上昇し、プランジャ57の速度切り換えに応じてさらに上昇し、略一定の値をとったのち、昇圧によって急上昇する。
【0056】
ダイカストマシン1による鋳造完了後には、制御装置10の速度データ保持部17および圧力データ保持部19には、上記の図5〜図7のようなデータのうちいずれかが保持されている。
【0057】
次に、充填開始位置算出部20において充填開始位置FPを検出する。
まず、充填開始位置算出部20では、速度データ保持部17の速度CVの時系列データからピーク速度CVmax の有無を判断する(ステップS3)。
たとえば、速度データ保持部17および圧力データ保持部19に図5に示したようなデータが保持されているとすると、ピーク速度CVmax が存在する。
【0058】
この場合には、速度データ保持部17に保持された時系列データからピーク速度CVmax および高速射出速度CVhを検出する(ステップS4)。
【0059】
次いで、充填開始位置算出部20は、まず、高速の射出速度で駆動されるプランジャ57が減速するポイントPA を検出する。この減速ポイントPA は、たとえば、高速射出速度CVhから5%速度が低下した位置とする(ステップS5)。
【0060】
次いで、プランジャ57によるキャビティCへの金属溶湯MLの充填開始後の充填圧力の平均値CPmを算出する(ステップS6)。
この充填圧力の平均値CPmは、減速ポイントPA から、予定の距離、たとえば、20mm手前に遡った位置までの範囲の充填圧力CVの平均から求める。こにようにして高速で駆動されるプランジャ57の平均充填圧力CPmを求めることで、その後の算出値の精度のばらつきを抑制することができる。
【0061】
次いで、充填圧力CVデータを射出が完了した時点Pfから遡ってサーチし、充填圧力CVの値が平均充填圧力CPmに対して、所定の割合、たとえば、90%となる時点PB を特定し、この時点PB に対応するプランジャ57の位置を充填開始位置FPとする(ステップS7)。
このような処理によって、充填開始位置算出部20で充填開始位置FPが特定される。
【0062】
一方、図6および図7に示したように、充填開始位置FPと実際の切換位置EPが一致あるいは切換位置EPが充填開始位置FPより前方に位置する場合には、ピーク速度CVmax が存在しない。
この場合には、圧力データ保持部19に保持された充填圧力CPの時系列データをサーチし、圧力の上昇点を検出する(ステップS8)。
すなわち、図6において説明したように、充填開始位置FPと実際の切換位置EPが一致している場合には、昇圧による充填圧力CPの上昇を除くと、充填開始による圧力上昇点Pjのみであるが、図7に示した切換位置EPが充填開始位置FPより前方に位置する場合には、圧力上昇点PgおよびPhの2つが存在する。
【0063】
したがって、圧力上昇点Pjのみの場合には、この圧力上昇点Pgに対応するプランジャ57の位置を充填開始位置FPとし、圧力上昇点PgおよびPhの2つが存在する場合には、手前の圧力上昇点Pgに対応するプランジャ57の位置を充填開始位置FPとする(ステップS9)。
【0064】
次いで、切換位置検出部21において、図5〜図7に示す実際の切換位置EPA ,EPB ,EPC を検出する(ステップS10)。
切換位置検出部21は、低速の射出速度CVLに対して、速度CVが所定の割合の増加、たとえば、5%増加する時点Pcに対応するプランジャ57の位置を実際の切換位置EPとする。
【0065】
次いで、切換位置補正部23において、設定切換位置SEPを補正し、補正した設定切換位置MEPを射出条件設定部22に設定する(ステップS11)。
具体的には、切換位置補正部23は、次回の射出動作において実際の切換位置EPと検出した充填開始位置FPとが一致するように設定切換位置SEPを補正し、たとえば、設定切換位置SEPと充填開始位置FPとを同じであると、低速で駆動されるプランジャ57が設定切換位置SEPに到達してから高速速度に切り換わるまでにタイムラグが存在するため、実際の切換位置EPと充填開始位置FPとが一致ないため、このタイムラグ等を考慮して設定切換位置SEPを補正する。
【0066】
次いで、高速速度最適化部24において、切換位置補正部23で得られた補正された設定切換位置MEPに応じて、射出条件設定部22で設定されている高速射出速度HCVを最適化し、最適化された高速射出速度OCVを射出条件設定部22に設定する(ステップS12)。
【0067】
次いで、金属溶湯MLをプランジャスリーブ56に供給した後、射出条件設定部22に設定した射出条件、すなわち、補正した設定切換位置MEP、最適化された高速射出速度OCVにしたがって、再度、金型のキャビティCに金属溶湯を射出動作により充填する(ステップS13)。
【0068】
一方、上記の各処理に加えて、制御装置10の表示部26は、たとえば、図5〜図7に示したようなグラフを表示装置27の画面に表示する。
鋳造技術者は、表示装置27の画面から、低速から高速への切換が、充填開始位置FPの手前で行われたか、あるいは、充填開始位置FPの後方で行われたかを視覚的に把握することができる。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、プランジャ57の射出速度切換を予め設定された切換位置において行うのではなく、プランジャスリーブ56および金型のキャビティCに金属溶湯MLを導く流路Laに金属溶湯MLが充填された状態を、プランジャ57の変位、速度および充填圧力から間接的に検出し、この充填開始位置FPと実際のプランジャ57の切換位置EPとが一致するように設定切換位置MEPを補正する。
この結果、プランジャ57の充填開始位置FPと実際の切換位置EPとが一致し、理想的な状態でキャビティCへの金属溶湯MLの充填が行われ、品質の安定した鋳造品が得られる。
また、補正された設定切換位置MEPに応じて高速射出速度を最適化することで、プランジャ57が高速で駆動される距離が変化しても鋳造品の品質を一定に保つことができる。
【0070】
なお、上述した実施形態では、一回の射出動作によって得られるプランジャ57の変位、速度および充填圧力のデータに基づいて、実際の切換位置EPおよび充填開始位置FPを検出し、これらに基づいて、設定切換位置を補正し、高速射出速度を最適化する構成としたが、本発明はこれに限定されない。
たとえば、複数回の射出動作によって得られる複数のプランジャ57の充填開始位置データおよび速度切換位置データの平均値に基づいて設定切換位置を補正し、この補正された設定切換位置に応じて高速射出速度を最適化する構成とすることも可能である。
【0071】
第2実施形態
図8は、本発明の第2の実施形態に係る制御装置の構成を示す構成図である。
図8に示す制御装置101は、入力部102,103と、圧力算出部104と、射出条件設定部105と、充填開始位置検出部106と、切換位置決定部107と、射出制御部108とを備えている。
ここで、充填開始位置検出部106は本発明の充填開始位置検出手段、切換位置決定部107は本発明の切換位置決定手段、射出条件設定部105および射出制御部108は本発明の射出制御手段23を構成している。
【0072】
第1の実施形態に係る制御装置10は、射出動作を行うことで得られるプランジャ57の変位、速度および充填圧力の時系列データに基づいて、プランジャ57の射出速度の切換位置を最適化する構成としたが、本実施形態では、射出動作中にリアルタイムにプランジャ57の射出速度の切換位置を最適化する点で構成が異なっている。
【0073】
入力部102および入力部103は、第1の実施形態に係る入力部13および14と同様の構成であり、射出用シリンダ70aの作動油供給側の油圧P1を検出する圧力センサS2の検出信号および作動油排出側の油圧P2を検出する圧力センサS3の検出信号がそれぞれ入力され、これらを充填圧力算出部104に逐次出力する。
【0074】
充填圧力算出部104は、上記の充填圧力算出部18と同様の構成であり、入力部102,103からそれぞれ入力された射出用シリンダ70aの作動油供給側の油圧P1および作動油排出側の油圧P2から、プランジャ57のプランジャチップ57aの金属溶湯に対する充填圧力CPを算出する。
【0075】
射出条件設定部105は、射出条件設定部22と同様の構成であり、鋳造品に応じた各種の射出条件データを保持している。
【0076】
充填開始位置検出部106は、充填圧力算出部104から入力されるプランジャ57の充填圧力データに基づいて、プランジャ57が充填開始位置FPに到達したことを検出し、検出信号106sを切換位置決定部107に出力する。
【0077】
切換位置決定部107は、検出信号106sが入力された時点でのプランジャ57の位置を射出速度切換位置として、切換信号107sを射出制御部108に出力する。
【0078】
射出制御部108は、射出条件設定部105に設定された射出条件にしたがって、ダイカストマシン1のプランジャ57を、まず、低速の射出速度で駆動し、切換位置決定部107からの切換信号107sの入力に応じてプランジャ57を高速の射出速度に切り換えて駆動する。
【0079】
次に、上記構成の制御装置101を用いた本発明の射出制御方法について説明する。
まず、プランジャスリーブ56内に所定量の金属溶湯MLを供給する。
【0080】
金属溶湯MLが供給されたプランジャスリーブ56に対してプランジャ57を射出条件設定部105に設定された低速の射出速度で駆動する。
【0081】
プランジャ57のプランジャチップ57aが上記の充填開始位置FPに到達すると、金属溶湯MLには湯口Lbの抵抗が作用してプランジャチップ57aの充填圧力は上昇する。
制御装置101の充填開始位置検出部106は、この湯口Lbの抵抗によるプランジャチップ57aの充填圧力の上昇を検出し、検出信号107sを切換位置決定部107に出力する。
【0082】
射出制御部108は、上記の充填開始位置FPへのプランジャチップ57aの到達の検出に応じてプランジャチップ57aを高速の射出速度に切り換えて駆動する。
【0083】
これにより、常に安定して充填開始位置FPでプランジャチップ57aを低速の射出速度から高速の射出速度に切り換えることができる。
なお、本実施形態では、切換位置の検出を射出動作中にリアルタイムに行うため、ダイカストマシン1の射出シリンダ部70の動作に低速から高速に切り換わるまでにタイムラグが存在すると、充填開始位置FPと実際の切換位置EPを一致させることは難しいが、この場合にも、充填開始位置FPに対する実際の切換位置EPの相対関係が常に一定するため、品質を安定化することができる。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、ダイカストマシンにおいてプランジャの射出速度の切り換えのタイミングを最適化でき、安定した品質の鋳造品を鋳造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるダイカストマシンの一例を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る制御装置10の構成を示す図である。
【図3】ダイカストマシン1において金型のキャビティCに金属溶湯を充填する直前の状態を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る射出制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】実際の切換位置EPが充填開始位置FPより手前に位置するときの、プランジャの速度および圧力の波形データの一例を示すグラフである。
【図6】実際の切換位置EPが充填開始位置FPと一致するときの、プランジャの速度および圧力の波形データの一例を示すグラフである。
【図7】実際の切換位置EPが充填開始位置FPよりも後方に位置するときの、プランジャの速度および圧力の波形データの一例を示すグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…ダイカストマシン
10,101…制御装置
11,12,13…入力部
15…速度算出部
16…変位データ保持部
17…速度データ保持部
18…充填圧力算出部
19…圧力データ保持部
20…充填開始位置算出部
21…切換位置検出部
22…射出条件設定部
23…切換位置補正部
24…高速速度最適化部
25…射出制御部
26…表示部
27…表示装置
56…プランジャスリーブ
57…プランジャ
57a…プランジャチップ
57b…プランジャロッド
70…射出シリンダ部

Claims (12)

  1. プランジャスリーブに供給された金属溶湯を金型のキャビティへ射出するプランジャと、当該プランジャを駆動する射出シリンダを備える駆動手段と、を具備するダイカストマシンの射出制御装置であって、
    前記プランジャを第1の射出速度で駆動し、当該第1の射出速度よりも高い第2の射出速度に切り換える速度切換位置を設定する速度切換位置設定手段と、
    前記プランジャの前記金属溶湯に対する充填圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記プランジャの変位を検出する変位検出手段と、
    前記プランジャの速度を検出する速度検出手段と、
    前記圧力検出手段の検出した充填圧力を時系列データとして記憶保持する圧力データ保持部と、
    前記変位検出手段の検出した前記プランジャの変位を時系列データとして記憶保持する変位データ保持部と、
    前記速度検出手段の検出した前記プランジャの速度を時系列データとして記憶保持する速度データ保持部と、
    前記速度および変位の時系列データから前記プランジャの実際の速度切換位置を検出する切換位置検出手段と、
    前記充填圧力、変位および速度の時系列データから、前記プランジャスリーブおよび前記キャビティに通じる流路に金属溶湯が充填され、前記キャビティへの金属溶湯の充填開始状態となったときの前記プランジャの充填開始位置検出する充填開始位置検出手段と、
    検出した前記充填開始位置および速度切換位置に基づいて、設定された前記速度切換位置を補正する切換位置補正手段と、
    前記プランジャを前記第1の射出速度で駆動し、前記プランジャが、補正された前記速度切換位置に到達したら、前記第2の射出速度に切り換えて前記プランジャを駆動するように前記駆動手段を制御する射出制御手段と
    を有し、
    前記充填開始位置検出手段は、前記速度の時系列データから、前記第2の射出速度の前に当該第2の射出速度よりも大きいピーク速度が生じているか否かを判断し、生じていると判断した場合は、前記充填圧力、変位および速度の時系列データから、前記第2の射出速度で駆動される前記プランジャが減速する減速ポイントを検出し、検出した減速ポイントから前記プランジャの進行方向に対して遡った所定の距離の範囲での充填圧力の平均値を算出し、前記プランジャの充填圧力が前記平均値に対して所定の割合に達する当該プランジャの位置を、前記充填開始位置として検出する
    ダイカストマシンの射出制御装置。
  2. 前記切換位置補正手段は、実際の速度切換位置と充填開始位置とが一致するように前記設定された速度切換位置を補正する
    請求項1に記載のダイカストマシンの射出制御装置。
  3. 前記充填開始位置検出手段は、前記第2の射出速度から5%速度が低下した位置を前記減速ポイントとして検出し、前記プランジャの充填圧力が前記平均値に対して90%となる位置を前記充填開始位置として検出する
    請求項1又は2に記載のダイカストマシンの射出制御装置。
  4. 前記充填開始位置検出手段は、前記第2の射出速度の前に当該第2の射出速度よりも大きいピーク速度が生じていないと判断した場合は、前記充填圧力の時系列データをサーチし、圧力の上昇点を検出し、上昇点が一つのみであるときは、当該上昇点に対応するプランジャの位置を前記充填開始位置として検出し、上昇点が二つのときは、先に生じた上昇点に対応するプランジャの位置を前記充填開始位置として検出する
    請求項1〜3のいずれかに記載のダイカストマシンの射出制御装置。
  5. 前記速度検出手段は、前記変位検出手段によって検出された前記プランジャの変位から当該プランジャの射出速度を算出する
    請求項1〜4のいずれかに記載のダイカストマシンの射出制御装置。
  6. 前記切換位置検出手段は、前記変位および前記速度の時系列データから、前記第1の射出速度を検出し、かつ、当該第1の射出速度に対して所定の割合の速度に上昇する当該プランジャの位置を検出し、当該プランジャの位置を実際の速度切換位置とする
    請求項1〜5のいずれかに記載のダイカストマシンの射出制御装置。
  7. 前記切換位置補正手段によって補正された速度切換位置に応じて、前記第2の射出速度を最適化する高速速度最適化手段をさらに有する
    請求項1〜6のいずれかに記載のダイカストマシンの射出制御装置。
  8. 前記高速速度最適化手段は、前記補正された速度切換位置と補正前の速度切換位置との差に応じて前記第2の射出速度を調整する
    請求項7に記載のダイカストマシンの射出制御装置。
  9. 前記切換位置補正手段は、複数回の射出動作によって得られる複数の前記プランジャの充填開始位置データおよび速度切換位置データの平均値に基づいて前記速度切換位置を補正する
    請求項1〜8のいずれかに記載のダイカストマシンの射出制御装置。
  10. 前記検出された充填開始位置および実際の切換位置の情報を画面上に表示する表示手段をさらに有する
    請求項1〜9のいずれかに記載のダイカストマシンの射出制御装置。
  11. プランジャスリーブに供給された金属溶湯に対してプランジャを第1の射出速度で駆動したのち、当該第1の射出速度より高い第2の射出速度に切り換えて金型のキャビティへ金属溶湯を射出するダイカストマシンの射出制御方法であって、
    金属溶湯が供給された前記プランジャスリーブに対して前記プランジャを前記第1の射出速度で駆動し、予め設定された設定切換位置で前記プランジャを前記第2の射出速度に切り換えて駆動し、前記キャビティへ金属溶湯を充填する充填ステップと、
    前記充填ステップにおいて検出された前記プランジャの金属溶湯に対する充填圧力および前記プランジャの変位および速度の時系列データから、前記プランジャスリーブおよび前記キャビティに通じる流路に金属溶湯が充填され、前記キャビティへの金属溶湯の充填開始状態となったときの前記プランジャの充填開始位置検出する充填開始位置検出ステップと、
    前記充填ステップにおいて検出された前記プランジャの変位および速度の時系列データから、前記プランジャの射出速度の実際の切換位置を検出する切換位置検出ステップと、
    前記検出された実際の切換位置と充填開始位置に基づいて、前記プランジャの充填開始位置と切換位置とが一致するように前記設定切換位置を補正する切換位置補正ステップと
    を有し、
    前記充填開始位置検出ステップでは、前記速度の時系列データから、前記第2の射出速度の前に当該第2の射出速度よりも大きいピーク速度が生じているか否かを判断し、生じていると判断した場合は、前記充填圧力、変位および速度の時系列データから、前記第2の射出速度で駆動される前記プランジャが減速する減速ポイントを検出し、検出した減速ポイントから前記プランジャの進行方向に対して遡った所定の距離の範囲での充填圧力の平均値を算出し、前記プランジャの充填圧力が前記平均値に対して所定の割合に達する当該プランジャの位置を、前記充填開始位置として検出する
    ダイカストマシンの射出制御方法。
  12. 前記切換位置補正ステップにより補正した切換位置に応じて、前記第2の射出速度を最適化する最適化ステップをさらに有する
    請求項11に記載のダイカストマシンの射出制御方法。
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