JP2004187563A - IgGに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示したファージを用いたIgGの検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】IgGのFcフラグメントに結合性を有する新規なペプチド又は該ペプチドを表面に呈示したファージを検出手段として用いたIgGの検出方法を提供する。
【解決手段】各種動物由来のIgGのFcフラグメントをターゲット物質として用い、ファージディスプレイ法によりスクリーニングを行い、該ターゲット物質に結合性を有するペプチドのアミノ酸配列を同定する。このようにして得られた特定のアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージをIgGの検出手段として用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】各種動物由来のIgGのFcフラグメントをターゲット物質として用い、ファージディスプレイ法によりスクリーニングを行い、該ターゲット物質に結合性を有するペプチドのアミノ酸配列を同定する。このようにして得られた特定のアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージをIgGの検出手段として用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IgGのFcフラグメントに結合性を有する新規なペプチド又は該ペプチドを表面に呈示したファージを用いたIgGの検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
免疫反応の中心的な役割を担うタンパク質である抗体は、従来から医療や臨床診断をはじめとする幅広い分野で利用されている。
【0003】
例えば、抗体は、微量物質を特異的に検出・測定する手段として広く利用されており、酵素免疫測定法や蛍光免疫測定法等に用いられている。これらの測定方法は、ターゲット物質に結合する抗体(一次抗体)と、前記一次抗体に結合する抗体であって、蛍光物質や酵素等で標識された抗体(二次抗体)を用いてターゲット物質を検出する方法であり、検査薬に応用されているほか、医学・薬学・生化学分野等の研究に欠くことのできないものとなっている。
【0004】
一般的な抗体の作製方法としては、マウス、ウサギ、ヒツジ等の動物に抗原を接種して免疫することによって抗血清を調製し、その抗血清からポリクローナル抗体を精製する方法、ハイブリドーマをマウス等の腹腔にて増殖させ、モノクローナル抗体を含む腹水を調製し、その腹水から抗体を精製する方法、ハイブリドーマを血清培地や無血清培地中で培養してモノクローナル抗体を含む培養液を調製し、その培養液から抗体を精製する方法等がある。
【0005】
一方、近年、ファージディスプレイ法によるターゲット物質に対して結合性を有するペプチドのスクリーニングも行われており、例えば、非特許文献1には、ヒトIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドとして、配列番号281〜287で表されるアミノ酸配列を有するペプチドが報告されており、これらのペプチドが、分析や医薬用途の抗体の精製工程におけるアフィニティリガンドとして利用できる可能性があることが記載されている。
【0006】
【非特許文献1】
Journal of Immunological Methods 221 (1998) 151−157
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法による抗体の作製はいずれも非常に手間がかかり、また、大量調製も難しいため、抗体作製のコストが高くなってしまうという問題があった。また、二次抗体として用いられる抗IgG抗体は、検出感度を上げるために多点で一次抗体に結合するポリクローナル抗体であることが望ましいが、ポリクローナル抗体を作製するためには動物を用いる必要があるため、得られる抗IgG抗体の結合力等にばらつきを生じやすく、一定品質の抗体を安定供給しにくいという問題があった。更に、抗体を作製する毎に動物を屠殺しなければならないという倫理上の問題もあった。
【0008】
一方、上記のようなIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドは、化学合成することができるので、一定品質のペプチドを安定して低コストで供給できるだけでなく、動物を使用しないので倫理上の問題もないといった利点を有しているが、上記非特許文献1に記載されたペプチド以外にIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドは報告されていない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、IgGのFcフラグメントに結合性を有する新規なペプチド又は該ペプチドを表面に呈示したファージを検出手段として用いたIgGの検出方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のIgGの検出方法は、配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることを特徴とする。
【0011】
本発明の検出方法によれば、IgGの検出手段として、配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを用いることにより、従来の抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なIgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したIgGの検出系を提供できる。すなわち、上記ペプチドは化学合成により簡単に合成でき、また、上記ペプチドを表面に呈示しているファージは大腸菌等に感染させることにより簡単に増幅することができるので、一定品質のものを大量、かつ安価に調製することができる。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、配列番号1〜87で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なヒト由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したヒト由来IgGの検出系を提供できる。
【0013】
また、別の好ましい態様においては、配列番号88〜90で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するウマ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なウマ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したウマ由来IgGの検出系を提供できる。
【0014】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号91〜93で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するヒツジ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なヒツジ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したヒツジ由来IgGの検出系を提供できる。
【0015】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号94〜97で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するウサギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なウサギ由来IgG検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したウサギ由来IgGの検出系を提供できる。
【0016】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号98〜104で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するモルモット由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なモルモット由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したモルモット由来IgGの検出系を提供できる。
【0017】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号105〜108で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するヤギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なヤギ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したヤギ由来IgGの検出系を提供できる。
【0018】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号109〜131で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するネコ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なネコ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したネコ由来IgGの検出系を提供できる。
【0019】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号132〜151で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するイヌ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なイヌ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したイヌ由来IgGの検出系を提供できる。
【0020】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号152〜156で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するウシ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なウシ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したウシ由来IgGの検出系を提供できる。
【0021】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号157〜162で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するブタ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なブタ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したブタ由来IgGの検出系を提供できる。
【0022】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号163〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するマウス由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なマウス由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したマウス由来IgGの検出系を提供できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明において、IgGの検出手段として用いられるペプチドは、IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドであり、ペプチド中に配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するものである。
【0024】
前記ペプチドは、上記の部分アミノ酸配列を有するものであれば、そのアミノ酸数は特に制限されないが、通常、アミノ酸数4〜50個からなることが好ましく、アミノ酸数6〜20個からなることがより好ましい。また、前記ペプチドは、IgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾(例えばアセチル化、アシル化、アミド化、カルボキシル化、リン酸化、糖鎖の付加等)、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失があってもよい。なお、前記ペプチドは、上記アミノ酸配列を複数個有していてもよい。
【0025】
本発明において、配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列は、IgGのFcフラグメントをターゲット物質として用いたファージディスプレイ法(Smith, G.P., Science, 288, 1315−1317 (1985))によって決定されたものであるが、コンピューターソフト(日立Bio Package)を用いた解析によっても決定することができる。なお、ファージディスプレイ法は、ファージの外殻タンパク質に、ランダムなアミノ酸配列を有するペプチド(通常、アミノ酸数5〜12個程度)を融合タンパク質として呈示させたファージライブラリを用いて、ターゲット物質に結合するペプチドをスクリーニングする方法である。ファージライブラリは、例えば、Smith, G. P., Science, 288, 1315−1317 (1985)、J. K. Scott and G. P. Smith, Science, 249, 386−390 (1990)等に記載された方法にしたがって、ランダム化したDNAを化学合成し、これをファージDNAの外殻タンパク質をコードする遺伝子に挿入し、このDNAを大腸菌に導入することにより調製することができる。また、ファージライブラリは市販されており、例えば、商品名「Phage Display Peptide Library Kit」、New England Biolab社製)等を用いることもできる。
【0026】
そして、ファージディスプレイ法等により決定されたアミノ酸配列に基づいて、例えば、固相法、Fmoc法等の公知のペプチド合成法により、目的とするペプチドを簡単に合成することができる。
【0027】
本発明において、IgGの検出手段として用いられるファージは、ファージの外殻タンパク質に、配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドを融合タンパク質として呈示させたファージである。
【0028】
このようなファージは、基本的には、Smith, G. P., Science, 288, 1315−1317 (1985)、J. K. Scott and G. P. Smith, Science, 249, 386−390 (1990)等に記載されたファージライブラリの作製方法にしたがって得ることができる。すなわち、上記のIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドをコードするDNAを化学合成し、このDNAをファージラブラリを作製するときと同様の方法で、ファージDNAの外殻タンパク質をコードする遺伝子に挿入し、このDNAを大腸菌に導入することにより、所望のペプチドを表面に呈示したファージを得ることができる。
【0029】
本発明において、IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドを呈示させるファージとしては、通常、ファージライブラリに用いられているファージが好ましく用いられる。このようなファージとしては、M13ファージ等の繊維状ファージ、T系ファージ等が例示できる。例えば、M13ファージの場合は、ファージの表面マイナータンパク質pIII遺伝子に、上記IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドをコードしたDNAを挿入し、このDNAを大腸菌に導入することにより、ファージの表面マイナータンパク質pIIIに、上記IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドを融合タンパク質として呈示させたファージを得ることができる。
【0030】
以下、本発明で用いられるペプチドについて詳しく説明する。
配列番号1〜87で表されるアミノ酸配列は、ヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、上記のようなファージライブラリを、ヒト由来IgGのFcフラグメントに接触させて選択操作(バイオパニング)を行い、ヒト由来IgGのFcフラグメントに結合するペプチドを発現したファージ群のみを選択し、このファージのDNAを解析することにより、ファージ表面に呈示されたペプチドのアミノ酸配列を同定して得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例1の表2参照)。
【0031】
したがって、配列番号1〜87で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ヒト由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ヒト由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0032】
配列番号88〜90で表されるアミノ酸配列は、ウマ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ウマ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例6の表5参照)。
【0033】
したがって、配列番号88〜90で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ウマ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ウマ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0034】
配列番号91〜93で表されるアミノ酸配列は、ヒツジ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ヒツジ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例7の表7参照)。
【0035】
したがって、配列番号91〜93で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ヒツジ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ヒツジ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0036】
配列番号94〜97で表されるアミノ酸配列は、ウサギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドであり、ターゲット物質として、ウサギ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことにより、アミノ酸配列を同定したものである(実施例8の表9参照)。
【0037】
したがって、配列番号94〜97で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ウサギ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ウサギ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0038】
配列番号98〜104で表されるアミノ酸配列は、モルモット由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、モルモット由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例9の表11参照)。
【0039】
したがって、配列番号98〜104で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、モルモット由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、モルモット由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0040】
配列番号105〜108で表されるアミノ酸配列は、ヤギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ヤギ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例10の表13参照)。
【0041】
したがって、配列番号105〜108で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ヤギ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ヤギ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0042】
配列番号109〜131で表されるアミノ酸配列は、ネコ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ネコ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例11の表15参照)。
【0043】
したがって、配列番号109〜131で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ネコ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ネコ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0044】
配列番号132〜151で表されるアミノ酸配列は、イヌ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、イヌ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例12の表17参照)。
【0045】
したがって、配列番号132〜151で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、イヌ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、イヌ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0046】
配列番号152〜156で表されるアミノ酸配列は、ウシ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ウシ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例13の表19参照)。
【0047】
したがって、配列番号152〜156で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ウシ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ウシ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0048】
配列番号157〜162で表されるアミノ酸配列は、ブタ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ブタ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例14の表21参照)。
【0049】
したがって、配列番号157〜162で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ブタ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ブタ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0050】
配列番号163〜164で表されるアミノ酸配列は、マウス由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、マウス由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例15の表23参照)。
【0051】
したがって、配列番号163〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、マウス由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、マウス由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0052】
本発明においては、IgGの検出手段として用いられる上記ペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、公知の方法により、蛍光物質や酵素等の標識物質を結合させてから用いることが好ましい。これにより、上記ペプチド又はファージを二次抗体の代替品として、酵素免疫測定法や蛍光免疫測定法等に利用することができるので、抗IgG抗体を用いた場合に比べて、より安価な酵素免疫測定法や蛍光免疫測定法等を提供できる。
【0053】
上記蛍光物質としては、FITC(フルオレセイン)、Cy3、Cy5、Alexa等が例示でき、例えば「超高感度酵素免疫測定法(石川栄治著 学会出版センター)」等に記載の方法に従って、これらの蛍光物質を上記ペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージに結合させることができる。
【0054】
また、上記酵素としては、HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)、AP(アルカリホスファターゼ)、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素等が例示でき、例えば「超高感度酵素免疫測定法」(石川栄治著 学会出版センター)等に記載の方法に従って、これらの酵素を上記ペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージに結合させることができる。
【0055】
例えば、上記ペプチドに標識物質を結合させる場合には、ペプチドの末端等に標識物質との結合に利用可能な適当なスペーサーを挿入してもよい。スペーサーを挿入することにより、標識物質の結合を行いやすくなると共に、スペーサーの長さを調整することにより、立体障害を回避してターゲット物質(IgGのFcフラグメント)との接触をより容易にすることができ、検出感度の向上を図ることも可能となる。例えば、スペーサーがアミノ酸やペプチドである場合は、それらのスペーサーを挿入したペプチドを簡単に合成することができるので好ましい。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0057】
実施例1
(1)ヒト由来IgGのFcフラグメント(以下、human Fcと略記する。)に結合性を有するペプチドのスクリーニング
ターゲット物質として、human Fcを用い、ファージディスプレイ法により、human Fcに結合性を有するペプチドのスクリーニングを以下のようにして行った。なお、ファージディスプレイ法では、M13ファージの表面のマイナータンパクpIIIにペプチドがランダムに呈示されるライブラリ(呈示されるランダムアミノ酸数が7個、10個、12個のペプチドライブラリ)を、Smith, G.P., Science, 288, 1315−1317 (1985)、J.K. Scott and G.P. Smith, Science, 249, 386−390 (1990)等の記載に基づいて作製し、この3種類のライブラリを用いた。
【0058】
ターゲットとなるhuman Fc(ICN/CAPPEL社製、PURIFIED HUMAN IGG FC)は、商品名「sulfoNHS−LC−Biotin」(ピアース社製)を用いてビオチン標識し、ストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズ(商品名「Dynabeads M280 streptavidin」、Dyanal社製)に、ビオチン−ストレプトアビジン結合活性を利用して固定化した。この磁気ビーズは非特異的な結合を最低限にするため、2%(w/v)スキムミルク溶液(10mMリン酸バッファ、pH7.4)に懸濁してブロッキングを行った。
【0059】
この磁気ビーズを用いて、常法にしたがってファージディスプレイ法(選択操作3回)を行い、配列番号165〜207で表されるhuman Fcに結合性を有するペプチドのアミノ酸配列を決定した。
【0060】
(2)得られたペプチドのhuman Fcに対する結合性の確認
ターゲットとなるhuman Fcを、コーニング社製ELISAプレート(高結合タイプ)に以下のようにして固定化した。human Fc(ICN/CAPPEL社製、PURIFIED HUMANIGG FC)を100μg/mlとなるように炭酸バッファ(100mM NaHCO3、pH8.0)に溶解した溶液を調製し、この溶液を100μlずつプレートのウェルに入れて4℃で一晩放置して、human Fcフラグメントの固定化を行った。また、上記と同様にして、特異性の対照として、ニワトリ、ウサギ、ウマ、ヤギ由来の各種IgGのFcフラグメント(いずれもROCKLAND社製)を、コーニング社製ELISAプレート(高結合タイプ)に固定化した。
【0061】
なお、ウェルは24列用い、1列は抗human Fc抗体用(ポジティブコントロール)に、1列はhuman Fcに結合性を有さないペプチドを呈示するファージ用(ネガティブコントロール)とし、残りの22列は、配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージ用とした。
【0062】
一晩放置した後、各ウェル中の溶液を捨て、300μlのブロッキングバッファ(2%(w/v)スキムミルク PBS溶液)を、上記Fcフラグメント固定化ウェル、及びターゲット無しの空ウェル(コントロール用、24個)に加えて、2時間室温で放置した。
【0063】
一方、各ファージ(上記22種のhuman Fcに結合性を有するペプチドを呈示した各ファージと、human Fcに結合性を有さないペプチドを呈示したファージ)溶液(1011pfu/μl)50μlをブロッキングバッファ650μlに加えて30分放置し、非特異的結合の低減前処理を行った。また、抗human Fc抗体(CAPPEL社製、rabbit anti human IgG Fc antiserum)30μlを650μlのブロッキングバッファに溶解し、同様に非特異的吸着低減処理を行った。
【0064】
各ウェルのブロッキングバッファを捨て、PBS−Tween(0.1%Tween in PBS)で5回洗浄した後、上記の各ファージ溶液と抗human Fc抗体溶液を、human Fc固定化ウェル、各動物種Fcフラグメント固定化ウェル、コントロール用ウェルに100μlずつ加え、1時間軽く撹拌(20rpm/min程度)しながら室温で放置した。
【0065】
そして、各ウェル中の溶液を捨て、200μlのPBS−Tweenで6回洗浄した後、各ウェルに、下記の発色用の抗体を含む溶液を100μlずつ加え、穏やかに撹拌しながら1時間放置した。
【0066】
・ペプチド呈示ファージを加えたウェル:商品名「anti M13 antibody HRP monoclonalconjugate」(Amersham Biosceiences社製)を4μl/20mlとなるようにブロッキングバッファに溶解した溶液。
【0067】
・抗human Fc抗体を加えたウェル:商品名「HRP−anti rabbit antibody(Goat)」(CAPPEL社製)を0.2μl/mlとなるように2mlのブロッキングバッファに溶解した溶液。
【0068】
そして、各ウェル中の溶液を捨て、PBS−Tweenで6回洗浄した後、ABTS発色溶液(ABTS(和光純薬製)を0.22mg/mlとなるようにクエン酸バッファ(50mM、pH4.0)に溶解し、使用直前に1.8μl/mlとなるように30%過酸化水素水(和光純薬製)を加えたもの)を200μlずつ、各ウェルに加えて発色させて、吸光度(405nm)をプレートリーダー(「ARVO.SX」、ワラック社製)で測定した。その結果を図1に示す。なお、図1において、Y軸は各Fcフラグメント固定化ウェルの吸光度をコントロールのウェルの吸光度で割ったものである。
【0069】
図1から、配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージは、human Fcに対する特異性が高いことが分かる。一方、ポジティブコントロールの抗体はhuman Fc以外にも結合しており、ポリクローナルの未吸収血清では特異性が低いことが分かる。
【0070】
(3)得られた全てのペプチド(配列番号165〜207)について、上記(2)と同様の方法(ELISA法)で、human Fcに対する結合性を調べた。その結果を表1に示す。なお、表1中の「発色値」は、human Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、human Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1から、配列番号165〜207で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、human Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもhuman Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0073】
(4)ペプチドの共通配列の検索
配列番号165〜207で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表2のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号1〜87で表される共通配列を決定した。
【0074】
【表2】
【0075】
実施例2
実施例1のhuman Fcの代わりに、ヒト由来IgG(CAPPEL社製)そのものを用い、対照としてブタ、ウシ、マウス、ヤギ、ウサギ由来の各種IgG(ROCKLAND社製)を用いた以外は、実施例1の(2)と同様の方法で実験を行い、配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのヒト由来IgGに対する特異性を検討した。その結果を図2に示す。
【0076】
図2から分かるように、実施例1の場合とほぼ同様の結果が得られ、配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、ヒト由来IgGそのものに対しても特異性が高いことが確認された。
【0077】
実施例3
human Fcに対して結合性を有するペプチドを呈示したファージを作製し、このファージを用いてhuman Fc及びhuman IgGに対する結合性を確認した。
【0078】
(1)配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドがファージ(M13)のpIIIマイナーコートタンパクのN末端に呈示されるように、以下の方法により、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを指定するDNA配列を、ファージゲノム上のpIII遺伝子のリーディング鎖5’末端側に組み込んだ。
【0079】
上記DNA配列を導入するためのM13DNAとしては、M13KE(New England Biolabs社製)を改変したものを用いた。このM13KE(改変型)のpIII遺伝子の5’末端側、すなわち、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを指定するDNA配列を挿入する部分の塩基配列を配列番号288に示す。配列番号288に示される塩基配列において、1〜54番目の塩基配列はpIIIタンパク質のN末端にあるシグナル配列(VKKLLFAIPLVVPFYSHS)をコードする部分、55〜66番目の塩基配列はファージpIIIタンパクと呈示させるペプチドとの間にスペースを作るためのフレキシブルリンカーをコードする部分であり、それ以降(67番目以降)の塩基配列が実際のM13pIIIタンパク質をコードする部分である。
【0080】
したがって、配列番号288に示される塩基配列の1〜54番目の塩基配列部分と、55〜66番目の塩基配列部分との間に、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチド指定するDNA配列を挿入するために、配列番号289、290に示される塩基配列を有するプライマー(プライマーの作製はSIGMA GENOSIS社に依頼)と、鋳型M13(改変型)一本鎖DNAを混合し、商品名「Ex Taq」(TaKaRa製)を用いて常法に従ってPCR反応を行った。
【0081】
配列番号289に示されるプライマーは、M13KE(改変型)のpIII遺伝子の5’末端の塩基配列(配列番号288)中、33〜54番目の塩基配列にアニーリングするように設計されたプライマーである。また、配列番号290に示されるプライマーの1〜21番目の塩基配列は、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチド(KLYHLSI)をコードし、22〜43番目の塩基配列はpIII遺伝子の5’末端の塩基配列(配列番号288)中、55〜76番目の塩基配列の相補鎖にアニーリングするように設計されたプライマーである。
【0082】
PCR反応終了後、増幅されたM13DNA(上記DNA配列が挿入されたM13DNA)の両末端を結合して、環状2本鎖M13DNAを構成するため、両末端を平滑化し、リン酸化し、リゲーション反応を行った。なお、この一連の反応は、商品名「BKLキット」(TaKaRa社製)を用いた。
【0083】
(2)組み込んだM13ファージゲノムDNAの大腸菌へのトランスフォーム
上記で得られたファージ2本鎖DNAをエレクトロポレーションにより大腸菌にトランスフォームした。
【0084】
まず、リゲーションを行ったM13DNA溶液から塩を除くため、エタノール沈殿法を行い、滅菌済み超純水に再溶解した。ホストとなる大腸菌はJM109を用い、これを定法により予めエレクトロコンピテントセル(エレクトロポレーション用の前処理)とした。エレクトロポレーションはECM399(BTX社製)のエレクトロポレーション用機器を用い、印可電圧は2500V、キャパシタンス25μF、キュベットは2mm電極幅で行った。電圧を印可後、すぐにSOC培地を1ml加え試験管に移し、37℃で1時間振とう培養を行った。
【0085】
(3)配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージの選別
上記トランスフォームした大腸菌(JM109)をアガローストップ法によって選別した。トランスフォームされたかどうかはプラークによって確認できる(トランスフォームされた大腸菌(JM109)は青色のプラークとなって識別される。)。
【0086】
すなわち、上記振とう培養後、培養液300μlをアガローストップ3mlに加えて撹拌し、直ちにIPTGとX−Galを加えたLBプレート培地に上層し、数分乾燥後、ふたをして37℃で一晩放置した。
【0087】
出現したプラーク(12個)を楊枝でつつき、それぞれ予め600nmの吸光度で0.6まで培養していた大腸菌(ER2537)5ml(LB培地)に入れ、これを37℃で4.5時間激しく振とう培養した。
【0088】
その後、それぞれの培養液を遠沈管に移して遠心(10000rpm、4℃、10min)し、上澄みを別の遠沈管に移し、更に同条件で再度遠心し、上澄みを別の遠沈管に移して上澄み液の1/5量のPEG・NaCl溶液(20%PEG#6000/2.5M NaCl)を加えて撹拌後、4℃で一晩(4時間以上)放置した。
【0089】
放置後、遠心(10000rpm、4℃、10min)して上澄みを捨て、沈殿を1mlのTBSバッファで溶解して1.5ml容の遠心チューブに移し、遠心(10000rpm、4℃、10min)し、上澄みを別の1.5ml容チューブに移して、200μlのPEG・NaCl溶液を加えて氷中で30分放置した。その後、遠心(10000rpm、4℃、10min)して上澄みを捨て、沈殿を200μlのTBSバッファに溶解してそれぞれのファージ溶液を調製した。
【0090】
それぞれのファージ溶液50μlを取り、常法に従ってファージの一本鎖DNAを調製し、目的のペプチド(配列番号166)が呈示されるファージであるかを、ダイ・プライマー法DNAシークエンスによって確認した。
【0091】
シークエンスには、蛍光物質(Cy5)で5’末端を標識した配列番号291に示されるプライマー(プライマーの作製はSIGMA GENOSIS社に依頼)を用い、上記で調製したそれぞれの一本鎖M13DNAを鋳型に、「ThermoSequenase Primer CycleSequencing Kit 7−deaza dGTP」(Amersham Biosciences社製)でシークエンス反応後、「ALFexpressII」(Amersham Biosciences社製)で、pIII遺伝子の5’
末端側の塩基配列を決定した。
【0092】
その結果、得られた全てのファージ(12個)で、所定の箇所(配列番号288に示される塩基配列において、シグナル配列をコードする部分(1〜54番目の塩基配列)とフレキシブルリンカーをコードする部分(55〜66番目)との間)に、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドの指定配列(AAACTTTATCATTTATCTATT)が挿入されていることが確認され、これらのファージが、pIIIマイナーコートタンパクのN末端に配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示していることが確認された。
【0093】
(4)選別されたファージがhuman Fc及びhuman IgG本体に結合するかの確認実施例1(2)、及び実施例2と同様の方法で、選別されたファージのhuman Fc及びhuman IgG本体に対する結合性を確認した。その結果を表3に示す。なお、表3中の「発色値」は、ターゲット物質(human Fc又はhuman IgG)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、ターゲット物質に対する親和性が強いことを示す。
【0094】
【表3】
【0095】
表3から、上記の方法により作製した配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージは、human Fc及びhuman IgGに対して結合性を有することが分かる。
【0096】
実施例4
(1)HRP標識されたファージの作製
ファージのHRP標識には、商品名「ActiZyme−HRP:Activated Peroxydase Kit」(ZYMED社製)を用い、以下のようにしてファージのHRP標識を行った。
【0097】
商品名「ActiZyme−HRP :Activated Peroxydase Kit」(ZYMED社製)の「Activated Peroxydase」2mgを、1mlの100mM炭酸ナトリウムバッファ(pH9.0)に加えて溶解してPeroxydase溶液を調製し、このPeroxydase溶液500μlを、予め100mM炭酸ナトリウムバッファ(pH9.5)を500μl入れておいた1.5ml容エッペンドルフチューブに加えて混合し、Peroxydase濃度1mg/mlのPeroxydase溶液を調製した。このPeroxydase溶液500μlを、予め100mM炭酸ナトリウムバッファ(pH9.5)を500μl入れておいた1.5ml容エッペンドルフチューブに加えて混合し、Peroxydase濃度0.5mg/mlのPeroxydase溶液を調製した。同様の操作を行い、Peroxydase濃度0.25mg/ml、0.125mg/ml、0.0625mg/mlのPeroxydase溶液をそれぞれ調製した。
【0098】
一方、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージを、常法に従って大腸菌に感染させて増幅し、1011pfu(≒1011ファージ/1μl)濃度のファージ溶液を調製し、このファージ溶液500μlを1.5ml容エッペンドルフチューブに入れ、Peroxydase濃度1mg/mlのPeroxydase溶液500μlを加え、4℃で一晩インキュベートした。また、Peroxydase濃度0.5mg/ml、0.25mg/ml、0.125mg/ml、0.0625mg/mlのPeroxydase溶液を用いて、同様にしてそれぞれファージのHRP標識を行った。
【0099】
インキュベート後、未反応の「Activated Peroxydase」を反応させるため、1MLysine溶液を400μl加えて室温で2時間放置した。次に、余分なHRPやLysineを除去するため、上記反応後のファージ溶液に、PEG溶液(20%PEG#6000、2.5M NaCl)250μlを加えて撹拌し、氷中に30分放置した後、遠心(10000rpm、10分)して上清を除去し、PBS(10mM リン酸、140mM NaCl、pH7.4)1mlを加えて沈殿を再懸濁した。この再懸濁液に、PEG溶液を200μl加えて氷中に30分放置してから、遠心(10000rpm、10分)して上清を除去した。このような操作を3回繰り返して行い、最終的に得られた沈殿にPBSを500μl加えて懸濁し、HRP標識されたファージ(HRP標識ファージという)を含む溶液を得た。このようにして得られたHRP標識ファージは、1ヶ月程度であれば冷蔵庫で保存可能であり、数ヶ月保存する場合は、50%となるようにグリセロールを加えて−20℃で保存すればよい。
【0100】
(2)human Fcの検出
上記HRP標識ファージを用いて、human Fcを検出できるかどうかを確認した。これによって、ヒト由来IgG自体の検出も可能であることが示唆される。
【0101】
まず、human Fc(ICN/CAPPEL社製、PURIFIED HUMAN IGG FC)を100μg/mlとなるように炭酸バッファ(100mM NaHCO3、pH8.0)に溶解した溶液を調製し、この溶液を100μlずつ、96穴のELISAプレート(コーニング社製、Costar高結合タイプ、cat. No9018)のウェルに入れて4℃で一晩放置して、human Fcフラグメントの固定化を行った。
【0102】
固定化後、各ウェル中の溶液を捨て、300μlのブロッキングバッファ(2%(w/v)スキムミルク PBS溶液)を、human Fc固定化ウェル、及び空ウェル(コントロール用)に加えて、室温で1時間放置した。
【0103】
一方、上記HRP標識ファージを含む溶液50μlをブロッキングバッファ200μlに加えて15分放置し、非特異的結合の低減前処理を行った。
【0104】
各ウェルのブロッキングバッファを捨て、PBS−Tween(0.1%Tween in PBS)で5回洗浄した後、上記の非特異的結合の低減前処理を行ったHRP標識ファージ溶液を、human Fc固定化ウェル及びコントロール用ウェルに100μlずつ加え、軽く撹拌(20rpm/min程度)しながら室温で1時間放置した。
【0105】
そして、各ウェル中の溶液を捨て、200μlのPBS−Tweenで7回洗浄した後、ABTS発色溶液(ABTS(和光純薬製)を0.22mg/mlとなるようにクエン酸バッファ(50mM、pH4.0)に溶解して作製し、使用直前に1.8μl/mlとなるように30%過酸化水素水(和光純薬製)を加えたもの)を200μlずつ、各ウェルに加えて発色させて、吸光度(405nm)をプレートリーダー(「ARVO.SX」、ワラック社製)で測定した。その結果を図3に示す。なお、図3において、Y軸は、human Fc固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、X軸の1、2、3、4、5は、それぞれPeroxydase濃度が1mg/ml、0.5ml/ml、0.25mg/ml、0.125mg/ml、0.0625mg/mlのPeroxydase溶液を用いて標識したファージの結果を表す。
【0106】
図3から、直接HRPで標識した、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージを用いることにより、human Fcを検出できることが分かる。
【0107】
実施例5
配列番号173で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージを用いた以外は、実施例3と同様にしてファージのHRP標識を行い、human Fcの検出を行った。その結果を図4に示す。なお、図4において、Y軸は、human Fc固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、X軸の1、2、3、4、5は、それぞれPeroxydase濃度が1mg/ml、0.5ml/ml、0.25mg/ml、0.125mg/ml、0.0625mg/mlのPeroxydase溶液を用いて標識したファージの結果を表す。
【0108】
図4から、直接HRPで標識した、配列番号173で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージを用いることにより、human Fcを検出できることが分かる。
【0109】
以上の結果から、直接HRPで標識した、human Fcに対して結合性を有するペプチドを呈示したファージを用いることにより、human Fcを検出でき、二次抗体の代替品として十分に利用できることが示唆される。
【0110】
実施例6
ターゲット物質として、ウマ由来IgGのFcフラグメント(以下、horse Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、horse Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号208〜212で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0111】
得られた全てのペプチド(配列番号208〜212)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、horse Fcに対する結合性を調べた。その結果を表4に示す。なお、表3中の「発色値」は、horse Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、horse Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0112】
【表4】
【0113】
表4から、配列番号208〜212で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、horse Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもhorse Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0114】
また、配列番号208〜212で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表5のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号88〜90で表される共通配列を決定した。
【0115】
【表5】
【0116】
実施例7
ターゲット物質として、ヒツジ由来IgGのFcフラグメント(以下、sheep Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、sheep Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号213〜216で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0117】
得られた全てのペプチド(配列番号213〜216)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、sheep Fcに対する結合性を調べた。その結果を表5に示す。なお、表6中の「発色値」は、sheep Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、sheep Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0118】
【表6】
【0119】
表6から、配列番号213〜216で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、sheep Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもsheep Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0120】
また、配列番号213〜216で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表7のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号91〜93で表される共通配列を決定した。
【0121】
【表7】
【0122】
実施例8
ターゲット物質として、ウサギ由来IgGのFcフラグメント(以下、rabbit Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、rabbit Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号217〜220で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0123】
得られた全てのペプチド(配列番号217〜220)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、rabbit Fcに対する結合性を調べた。その結果を表8に示す。なお、表8中の「発色値」は、rabbit Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、rabbit Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0124】
【表8】
【0125】
表8から、配列番号217〜220で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、rabbit Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもrabbit Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0126】
また、配列番号217〜220で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表9のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号94〜97で表される共通配列を決定した。
【0127】
【表9】
【0128】
実施例9
ターゲット物質として、モルモット由来IgGのFcフラグメント(以下、guinea pig Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、guinea pig Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号221〜227で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0129】
得られた全てのペプチド(配列番号221〜227)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、guinea pig Fcに対する結合性を調べた。その結果を表10に示す。なお、表10中の「発色値」は、guinea pig Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、guinea pig Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0130】
【表10】
【0131】
表10から、配列番号221〜227で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、guinea pig Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもguinea pig Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0132】
また、配列番号221〜227で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表11のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号98〜104で表される共通配列を決定した。
【0133】
【表11】
【0134】
実施例10
ターゲット物質として、ヤギ由来IgGのFcフラグメント(以下、goat Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、goat Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号228〜232で表されるアミノ酸配列を同定した。
【0135】
得られた全てのペプチド(配列番号228〜232)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、goat Fcに対する結合性を調べた。その結果を表12に示す。なお、表12中の「発色値」は、goat Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、goat Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0136】
【表12】
【0137】
表12から、配列番号228〜232で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、goat Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもgoat Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0138】
また、配列番号228〜232で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表13のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号105〜108で表される共通配列を決定した。
【0139】
【表13】
【0140】
実施例11
ターゲット物質として、ネコ由来IgGのFcフラグメント(以下、cat Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、cat Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号233〜248で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0141】
得られた全てのペプチド(配列番号233〜248)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、cat Fcに対する結合性を調べた。その結果を表14に示す。なお、表14中の「発色値」は、cat Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、cat Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0142】
【表14】
【0143】
表14から、配列番号233〜248で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、cat Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもcat Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0144】
また、配列番号233〜248で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表15のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号109〜131で表される共通配列を決定した。
【0145】
【表15】
【0146】
実施例12
ターゲット物質として、イヌ由来IgGのFcフラグメント(以下、dog Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、dog Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号249〜261で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0147】
得られた全てのペプチド(配列番号249〜261)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、dog Fcに対する結合性を調べた。その結果を表16に示す。なお、表16中の「発色値」は、dog Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、dog Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0148】
【表16】
【0149】
表16から、配列番号249〜261で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、dog Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもdog Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0150】
また、配列番号249〜261で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表17のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号132〜151で表される共通配列を決定した。
【0151】
【表17】
【0152】
実施例13
ターゲット物質として、ウシ由来IgGのFcフラグメント(以下、bovine Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、bovine Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号262〜267で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0153】
得られた全てのペプチド(配列番号262〜267)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、bovine Fcに対する結合性を調べた。その結果を表18に示す。なお、表18中の「発色値」は、bovine Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、bovine Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0154】
【表18】
【0155】
表18から、配列番号262〜267で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、bovine Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもbovine Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0156】
また、配列番号262〜267で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表19のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号152〜156で表される共通配列を決定した。
【0157】
【表19】
【0158】
実施例14
ターゲット物質として、ブタ由来IgGのFcフラグメント(以下、swine Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、swine Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号268〜277で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0159】
得られた全てのペプチド(配列番号268〜277)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、swine Fcに対する結合性を調べた。その結果を表20に示す。なお、表20中の「発色値」は、swine Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、swine Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0160】
【表20】
【0161】
表20から、配列番号268〜277で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、swine Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもswine Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0162】
また、配列番号268〜277で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表21のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号157〜162で表される共通配列を決定した。
【0163】
【表21】
【0164】
実施例15
ターゲット物質として、マウス由来IgGのFcフラグメント(以下、mouse Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、mouse Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号278〜280で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0165】
得られた全てのペプチド(配列番号278〜280)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、mouse Fcに対する結合性を調べた。その結果を表22に示す。なお、表22中の「発色値」は、mouse Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、mouse Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0166】
【表22】
【0167】
表22から、配列番号278〜280で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、mouse Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもmouse Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0168】
また、配列番号278〜280で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表23のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号163〜164で表される共通配列を決定した。
【0169】
【表23】
【0170】
「配列表フリーテキスト」
配列番号1〜87:ファージディスプレイ法で得られたヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号88〜90:ファージディスプレイ法で得られたウマ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号91〜93:ファージディスプレイ法で得られたヒツジ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号94〜97:ファージディスプレイ法で得られたウサギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定されたアミノ酸配列である。
配列番号98〜104:ファージディスプレイ法で得られたモルモット由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号105〜108:ファージディスプレイ法で得られたヤギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号109〜131:ファージディスプレイ法で得られたネコ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号132〜151:ファージディスプレイ法で得られたイヌ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号152〜156:ファージディスプレイ法で得られたウシ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号157〜162:ファージディスプレイ法で得られたブタ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号163〜164:ファージディスプレイ法で得られたマウス由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号165〜207:ファージディスプレイ法によって得られた、ヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号208〜212:ファージディスプレイ法によって得られた、ウマ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号213〜216:ファージディスプレイ法によって得られた、ヒツジ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号217〜220:ファージディスプレイ法によって得られた、ウサギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号221〜227:ファージディスプレイ法によって得られた、モルモット由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号228〜232:ファージディスプレイ法によって得られた、ヤギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号233〜248:ファージディスプレイ法によって得られた、ネコ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号249〜261:ファージディスプレイ法によって得られた、イヌ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号262〜267:ファージディスプレイ法によって得られた、ウシ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号268〜277:ファージディスプレイ法によって得られた、ブタ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号278〜280:ファージディスプレイ法によって得られた、マウス由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号281〜287:非特許文献1に記載されたヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号288:M13KE(改変型)のpIII遺伝子の5’末端側の塩基配列である。
配列番号289:M13KE(改変型)のpIII遺伝子の5’末端の塩基配列(配列番号288)中、33〜54番目の塩基配列にアニーリングするように設計されたプライマーである。
配列番号290:配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチド(KLYHLSI)をコードする塩基配列を含み、かつpIII遺伝子の5’末端の塩基配列(配列番号288)中、55〜76番目の塩基配列の相補鎖にアニーリングするように設計されたプライマーである。
配列番号291:M13DNAのシークエンス用のプライマーである。
【0171】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、上記のIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることにより、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なIgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したIgGの検出系を提供できる。
【0172】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージのhuman Fcに対する結合性の確認試験の結果を表す図である。
【図2】配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージのヒト由来IgGに対する特異性を検討した結果を示す図である。
【図3】配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージを二次抗体として用い、human Fcを検出した結果を示す図である。
【図4】配列番号173で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージを二次抗体として用い、human Fcを検出した結果を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、IgGのFcフラグメントに結合性を有する新規なペプチド又は該ペプチドを表面に呈示したファージを用いたIgGの検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
免疫反応の中心的な役割を担うタンパク質である抗体は、従来から医療や臨床診断をはじめとする幅広い分野で利用されている。
【0003】
例えば、抗体は、微量物質を特異的に検出・測定する手段として広く利用されており、酵素免疫測定法や蛍光免疫測定法等に用いられている。これらの測定方法は、ターゲット物質に結合する抗体(一次抗体)と、前記一次抗体に結合する抗体であって、蛍光物質や酵素等で標識された抗体(二次抗体)を用いてターゲット物質を検出する方法であり、検査薬に応用されているほか、医学・薬学・生化学分野等の研究に欠くことのできないものとなっている。
【0004】
一般的な抗体の作製方法としては、マウス、ウサギ、ヒツジ等の動物に抗原を接種して免疫することによって抗血清を調製し、その抗血清からポリクローナル抗体を精製する方法、ハイブリドーマをマウス等の腹腔にて増殖させ、モノクローナル抗体を含む腹水を調製し、その腹水から抗体を精製する方法、ハイブリドーマを血清培地や無血清培地中で培養してモノクローナル抗体を含む培養液を調製し、その培養液から抗体を精製する方法等がある。
【0005】
一方、近年、ファージディスプレイ法によるターゲット物質に対して結合性を有するペプチドのスクリーニングも行われており、例えば、非特許文献1には、ヒトIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドとして、配列番号281〜287で表されるアミノ酸配列を有するペプチドが報告されており、これらのペプチドが、分析や医薬用途の抗体の精製工程におけるアフィニティリガンドとして利用できる可能性があることが記載されている。
【0006】
【非特許文献1】
Journal of Immunological Methods 221 (1998) 151−157
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法による抗体の作製はいずれも非常に手間がかかり、また、大量調製も難しいため、抗体作製のコストが高くなってしまうという問題があった。また、二次抗体として用いられる抗IgG抗体は、検出感度を上げるために多点で一次抗体に結合するポリクローナル抗体であることが望ましいが、ポリクローナル抗体を作製するためには動物を用いる必要があるため、得られる抗IgG抗体の結合力等にばらつきを生じやすく、一定品質の抗体を安定供給しにくいという問題があった。更に、抗体を作製する毎に動物を屠殺しなければならないという倫理上の問題もあった。
【0008】
一方、上記のようなIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドは、化学合成することができるので、一定品質のペプチドを安定して低コストで供給できるだけでなく、動物を使用しないので倫理上の問題もないといった利点を有しているが、上記非特許文献1に記載されたペプチド以外にIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドは報告されていない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、IgGのFcフラグメントに結合性を有する新規なペプチド又は該ペプチドを表面に呈示したファージを検出手段として用いたIgGの検出方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のIgGの検出方法は、配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることを特徴とする。
【0011】
本発明の検出方法によれば、IgGの検出手段として、配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを用いることにより、従来の抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なIgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したIgGの検出系を提供できる。すなわち、上記ペプチドは化学合成により簡単に合成でき、また、上記ペプチドを表面に呈示しているファージは大腸菌等に感染させることにより簡単に増幅することができるので、一定品質のものを大量、かつ安価に調製することができる。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、配列番号1〜87で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なヒト由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したヒト由来IgGの検出系を提供できる。
【0013】
また、別の好ましい態様においては、配列番号88〜90で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するウマ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なウマ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したウマ由来IgGの検出系を提供できる。
【0014】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号91〜93で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するヒツジ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なヒツジ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したヒツジ由来IgGの検出系を提供できる。
【0015】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号94〜97で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するウサギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なウサギ由来IgG検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したウサギ由来IgGの検出系を提供できる。
【0016】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号98〜104で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するモルモット由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なモルモット由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したモルモット由来IgGの検出系を提供できる。
【0017】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号105〜108で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するヤギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なヤギ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したヤギ由来IgGの検出系を提供できる。
【0018】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号109〜131で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するネコ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なネコ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したネコ由来IgGの検出系を提供できる。
【0019】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号132〜151で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するイヌ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なイヌ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したイヌ由来IgGの検出系を提供できる。
【0020】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号152〜156で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するウシ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なウシ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したウシ由来IgGの検出系を提供できる。
【0021】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号157〜162で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するブタ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なブタ由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したブタ由来IgGの検出系を提供できる。
【0022】
また、更に別の好ましい態様においては、配列番号163〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するマウス由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることが好ましい。これによれば、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なマウス由来IgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したマウス由来IgGの検出系を提供できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明において、IgGの検出手段として用いられるペプチドは、IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドであり、ペプチド中に配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するものである。
【0024】
前記ペプチドは、上記の部分アミノ酸配列を有するものであれば、そのアミノ酸数は特に制限されないが、通常、アミノ酸数4〜50個からなることが好ましく、アミノ酸数6〜20個からなることがより好ましい。また、前記ペプチドは、IgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾(例えばアセチル化、アシル化、アミド化、カルボキシル化、リン酸化、糖鎖の付加等)、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失があってもよい。なお、前記ペプチドは、上記アミノ酸配列を複数個有していてもよい。
【0025】
本発明において、配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列は、IgGのFcフラグメントをターゲット物質として用いたファージディスプレイ法(Smith, G.P., Science, 288, 1315−1317 (1985))によって決定されたものであるが、コンピューターソフト(日立Bio Package)を用いた解析によっても決定することができる。なお、ファージディスプレイ法は、ファージの外殻タンパク質に、ランダムなアミノ酸配列を有するペプチド(通常、アミノ酸数5〜12個程度)を融合タンパク質として呈示させたファージライブラリを用いて、ターゲット物質に結合するペプチドをスクリーニングする方法である。ファージライブラリは、例えば、Smith, G. P., Science, 288, 1315−1317 (1985)、J. K. Scott and G. P. Smith, Science, 249, 386−390 (1990)等に記載された方法にしたがって、ランダム化したDNAを化学合成し、これをファージDNAの外殻タンパク質をコードする遺伝子に挿入し、このDNAを大腸菌に導入することにより調製することができる。また、ファージライブラリは市販されており、例えば、商品名「Phage Display Peptide Library Kit」、New England Biolab社製)等を用いることもできる。
【0026】
そして、ファージディスプレイ法等により決定されたアミノ酸配列に基づいて、例えば、固相法、Fmoc法等の公知のペプチド合成法により、目的とするペプチドを簡単に合成することができる。
【0027】
本発明において、IgGの検出手段として用いられるファージは、ファージの外殻タンパク質に、配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドを融合タンパク質として呈示させたファージである。
【0028】
このようなファージは、基本的には、Smith, G. P., Science, 288, 1315−1317 (1985)、J. K. Scott and G. P. Smith, Science, 249, 386−390 (1990)等に記載されたファージライブラリの作製方法にしたがって得ることができる。すなわち、上記のIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドをコードするDNAを化学合成し、このDNAをファージラブラリを作製するときと同様の方法で、ファージDNAの外殻タンパク質をコードする遺伝子に挿入し、このDNAを大腸菌に導入することにより、所望のペプチドを表面に呈示したファージを得ることができる。
【0029】
本発明において、IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドを呈示させるファージとしては、通常、ファージライブラリに用いられているファージが好ましく用いられる。このようなファージとしては、M13ファージ等の繊維状ファージ、T系ファージ等が例示できる。例えば、M13ファージの場合は、ファージの表面マイナータンパク質pIII遺伝子に、上記IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドをコードしたDNAを挿入し、このDNAを大腸菌に導入することにより、ファージの表面マイナータンパク質pIIIに、上記IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドを融合タンパク質として呈示させたファージを得ることができる。
【0030】
以下、本発明で用いられるペプチドについて詳しく説明する。
配列番号1〜87で表されるアミノ酸配列は、ヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、上記のようなファージライブラリを、ヒト由来IgGのFcフラグメントに接触させて選択操作(バイオパニング)を行い、ヒト由来IgGのFcフラグメントに結合するペプチドを発現したファージ群のみを選択し、このファージのDNAを解析することにより、ファージ表面に呈示されたペプチドのアミノ酸配列を同定して得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例1の表2参照)。
【0031】
したがって、配列番号1〜87で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ヒト由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ヒト由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0032】
配列番号88〜90で表されるアミノ酸配列は、ウマ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ウマ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例6の表5参照)。
【0033】
したがって、配列番号88〜90で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ウマ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ウマ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0034】
配列番号91〜93で表されるアミノ酸配列は、ヒツジ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ヒツジ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例7の表7参照)。
【0035】
したがって、配列番号91〜93で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ヒツジ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ヒツジ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0036】
配列番号94〜97で表されるアミノ酸配列は、ウサギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドであり、ターゲット物質として、ウサギ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことにより、アミノ酸配列を同定したものである(実施例8の表9参照)。
【0037】
したがって、配列番号94〜97で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ウサギ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ウサギ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0038】
配列番号98〜104で表されるアミノ酸配列は、モルモット由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、モルモット由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例9の表11参照)。
【0039】
したがって、配列番号98〜104で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、モルモット由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、モルモット由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0040】
配列番号105〜108で表されるアミノ酸配列は、ヤギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ヤギ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例10の表13参照)。
【0041】
したがって、配列番号105〜108で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ヤギ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ヤギ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0042】
配列番号109〜131で表されるアミノ酸配列は、ネコ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ネコ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例11の表15参照)。
【0043】
したがって、配列番号109〜131で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ネコ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ネコ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0044】
配列番号132〜151で表されるアミノ酸配列は、イヌ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、イヌ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例12の表17参照)。
【0045】
したがって、配列番号132〜151で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、イヌ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、イヌ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0046】
配列番号152〜156で表されるアミノ酸配列は、ウシ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ウシ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例13の表19参照)。
【0047】
したがって、配列番号152〜156で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ウシ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ウシ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0048】
配列番号157〜162で表されるアミノ酸配列は、ブタ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、ブタ由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例14の表21参照)。
【0049】
したがって、配列番号157〜162で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、ブタ由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、ブタ由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0050】
配列番号163〜164で表されるアミノ酸配列は、マウス由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドの共通配列である。これらの共通配列は、ターゲット物質として、マウス由来IgGのFcフラグメントを用い、上記と同様にしてファージディスプレイ法を行うことによって得られたペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定したものである(実施例15の表23参照)。
【0051】
したがって、配列番号163〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、マウス由来IgGのFcフラグメントを特異的に認識することができるので、マウス由来IgGの検出手段として好適に用いることができる。
【0052】
本発明においては、IgGの検出手段として用いられる上記ペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージは、公知の方法により、蛍光物質や酵素等の標識物質を結合させてから用いることが好ましい。これにより、上記ペプチド又はファージを二次抗体の代替品として、酵素免疫測定法や蛍光免疫測定法等に利用することができるので、抗IgG抗体を用いた場合に比べて、より安価な酵素免疫測定法や蛍光免疫測定法等を提供できる。
【0053】
上記蛍光物質としては、FITC(フルオレセイン)、Cy3、Cy5、Alexa等が例示でき、例えば「超高感度酵素免疫測定法(石川栄治著 学会出版センター)」等に記載の方法に従って、これらの蛍光物質を上記ペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージに結合させることができる。
【0054】
また、上記酵素としては、HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)、AP(アルカリホスファターゼ)、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素等が例示でき、例えば「超高感度酵素免疫測定法」(石川栄治著 学会出版センター)等に記載の方法に従って、これらの酵素を上記ペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージに結合させることができる。
【0055】
例えば、上記ペプチドに標識物質を結合させる場合には、ペプチドの末端等に標識物質との結合に利用可能な適当なスペーサーを挿入してもよい。スペーサーを挿入することにより、標識物質の結合を行いやすくなると共に、スペーサーの長さを調整することにより、立体障害を回避してターゲット物質(IgGのFcフラグメント)との接触をより容易にすることができ、検出感度の向上を図ることも可能となる。例えば、スペーサーがアミノ酸やペプチドである場合は、それらのスペーサーを挿入したペプチドを簡単に合成することができるので好ましい。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0057】
実施例1
(1)ヒト由来IgGのFcフラグメント(以下、human Fcと略記する。)に結合性を有するペプチドのスクリーニング
ターゲット物質として、human Fcを用い、ファージディスプレイ法により、human Fcに結合性を有するペプチドのスクリーニングを以下のようにして行った。なお、ファージディスプレイ法では、M13ファージの表面のマイナータンパクpIIIにペプチドがランダムに呈示されるライブラリ(呈示されるランダムアミノ酸数が7個、10個、12個のペプチドライブラリ)を、Smith, G.P., Science, 288, 1315−1317 (1985)、J.K. Scott and G.P. Smith, Science, 249, 386−390 (1990)等の記載に基づいて作製し、この3種類のライブラリを用いた。
【0058】
ターゲットとなるhuman Fc(ICN/CAPPEL社製、PURIFIED HUMAN IGG FC)は、商品名「sulfoNHS−LC−Biotin」(ピアース社製)を用いてビオチン標識し、ストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズ(商品名「Dynabeads M280 streptavidin」、Dyanal社製)に、ビオチン−ストレプトアビジン結合活性を利用して固定化した。この磁気ビーズは非特異的な結合を最低限にするため、2%(w/v)スキムミルク溶液(10mMリン酸バッファ、pH7.4)に懸濁してブロッキングを行った。
【0059】
この磁気ビーズを用いて、常法にしたがってファージディスプレイ法(選択操作3回)を行い、配列番号165〜207で表されるhuman Fcに結合性を有するペプチドのアミノ酸配列を決定した。
【0060】
(2)得られたペプチドのhuman Fcに対する結合性の確認
ターゲットとなるhuman Fcを、コーニング社製ELISAプレート(高結合タイプ)に以下のようにして固定化した。human Fc(ICN/CAPPEL社製、PURIFIED HUMANIGG FC)を100μg/mlとなるように炭酸バッファ(100mM NaHCO3、pH8.0)に溶解した溶液を調製し、この溶液を100μlずつプレートのウェルに入れて4℃で一晩放置して、human Fcフラグメントの固定化を行った。また、上記と同様にして、特異性の対照として、ニワトリ、ウサギ、ウマ、ヤギ由来の各種IgGのFcフラグメント(いずれもROCKLAND社製)を、コーニング社製ELISAプレート(高結合タイプ)に固定化した。
【0061】
なお、ウェルは24列用い、1列は抗human Fc抗体用(ポジティブコントロール)に、1列はhuman Fcに結合性を有さないペプチドを呈示するファージ用(ネガティブコントロール)とし、残りの22列は、配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージ用とした。
【0062】
一晩放置した後、各ウェル中の溶液を捨て、300μlのブロッキングバッファ(2%(w/v)スキムミルク PBS溶液)を、上記Fcフラグメント固定化ウェル、及びターゲット無しの空ウェル(コントロール用、24個)に加えて、2時間室温で放置した。
【0063】
一方、各ファージ(上記22種のhuman Fcに結合性を有するペプチドを呈示した各ファージと、human Fcに結合性を有さないペプチドを呈示したファージ)溶液(1011pfu/μl)50μlをブロッキングバッファ650μlに加えて30分放置し、非特異的結合の低減前処理を行った。また、抗human Fc抗体(CAPPEL社製、rabbit anti human IgG Fc antiserum)30μlを650μlのブロッキングバッファに溶解し、同様に非特異的吸着低減処理を行った。
【0064】
各ウェルのブロッキングバッファを捨て、PBS−Tween(0.1%Tween in PBS)で5回洗浄した後、上記の各ファージ溶液と抗human Fc抗体溶液を、human Fc固定化ウェル、各動物種Fcフラグメント固定化ウェル、コントロール用ウェルに100μlずつ加え、1時間軽く撹拌(20rpm/min程度)しながら室温で放置した。
【0065】
そして、各ウェル中の溶液を捨て、200μlのPBS−Tweenで6回洗浄した後、各ウェルに、下記の発色用の抗体を含む溶液を100μlずつ加え、穏やかに撹拌しながら1時間放置した。
【0066】
・ペプチド呈示ファージを加えたウェル:商品名「anti M13 antibody HRP monoclonalconjugate」(Amersham Biosceiences社製)を4μl/20mlとなるようにブロッキングバッファに溶解した溶液。
【0067】
・抗human Fc抗体を加えたウェル:商品名「HRP−anti rabbit antibody(Goat)」(CAPPEL社製)を0.2μl/mlとなるように2mlのブロッキングバッファに溶解した溶液。
【0068】
そして、各ウェル中の溶液を捨て、PBS−Tweenで6回洗浄した後、ABTS発色溶液(ABTS(和光純薬製)を0.22mg/mlとなるようにクエン酸バッファ(50mM、pH4.0)に溶解し、使用直前に1.8μl/mlとなるように30%過酸化水素水(和光純薬製)を加えたもの)を200μlずつ、各ウェルに加えて発色させて、吸光度(405nm)をプレートリーダー(「ARVO.SX」、ワラック社製)で測定した。その結果を図1に示す。なお、図1において、Y軸は各Fcフラグメント固定化ウェルの吸光度をコントロールのウェルの吸光度で割ったものである。
【0069】
図1から、配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージは、human Fcに対する特異性が高いことが分かる。一方、ポジティブコントロールの抗体はhuman Fc以外にも結合しており、ポリクローナルの未吸収血清では特異性が低いことが分かる。
【0070】
(3)得られた全てのペプチド(配列番号165〜207)について、上記(2)と同様の方法(ELISA法)で、human Fcに対する結合性を調べた。その結果を表1に示す。なお、表1中の「発色値」は、human Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、human Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1から、配列番号165〜207で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、human Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもhuman Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0073】
(4)ペプチドの共通配列の検索
配列番号165〜207で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表2のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号1〜87で表される共通配列を決定した。
【0074】
【表2】
【0075】
実施例2
実施例1のhuman Fcの代わりに、ヒト由来IgG(CAPPEL社製)そのものを用い、対照としてブタ、ウシ、マウス、ヤギ、ウサギ由来の各種IgG(ROCKLAND社製)を用いた以外は、実施例1の(2)と同様の方法で実験を行い、配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのヒト由来IgGに対する特異性を検討した。その結果を図2に示す。
【0076】
図2から分かるように、実施例1の場合とほぼ同様の結果が得られ、配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、ヒト由来IgGそのものに対しても特異性が高いことが確認された。
【0077】
実施例3
human Fcに対して結合性を有するペプチドを呈示したファージを作製し、このファージを用いてhuman Fc及びhuman IgGに対する結合性を確認した。
【0078】
(1)配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドがファージ(M13)のpIIIマイナーコートタンパクのN末端に呈示されるように、以下の方法により、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを指定するDNA配列を、ファージゲノム上のpIII遺伝子のリーディング鎖5’末端側に組み込んだ。
【0079】
上記DNA配列を導入するためのM13DNAとしては、M13KE(New England Biolabs社製)を改変したものを用いた。このM13KE(改変型)のpIII遺伝子の5’末端側、すなわち、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを指定するDNA配列を挿入する部分の塩基配列を配列番号288に示す。配列番号288に示される塩基配列において、1〜54番目の塩基配列はpIIIタンパク質のN末端にあるシグナル配列(VKKLLFAIPLVVPFYSHS)をコードする部分、55〜66番目の塩基配列はファージpIIIタンパクと呈示させるペプチドとの間にスペースを作るためのフレキシブルリンカーをコードする部分であり、それ以降(67番目以降)の塩基配列が実際のM13pIIIタンパク質をコードする部分である。
【0080】
したがって、配列番号288に示される塩基配列の1〜54番目の塩基配列部分と、55〜66番目の塩基配列部分との間に、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチド指定するDNA配列を挿入するために、配列番号289、290に示される塩基配列を有するプライマー(プライマーの作製はSIGMA GENOSIS社に依頼)と、鋳型M13(改変型)一本鎖DNAを混合し、商品名「Ex Taq」(TaKaRa製)を用いて常法に従ってPCR反応を行った。
【0081】
配列番号289に示されるプライマーは、M13KE(改変型)のpIII遺伝子の5’末端の塩基配列(配列番号288)中、33〜54番目の塩基配列にアニーリングするように設計されたプライマーである。また、配列番号290に示されるプライマーの1〜21番目の塩基配列は、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチド(KLYHLSI)をコードし、22〜43番目の塩基配列はpIII遺伝子の5’末端の塩基配列(配列番号288)中、55〜76番目の塩基配列の相補鎖にアニーリングするように設計されたプライマーである。
【0082】
PCR反応終了後、増幅されたM13DNA(上記DNA配列が挿入されたM13DNA)の両末端を結合して、環状2本鎖M13DNAを構成するため、両末端を平滑化し、リン酸化し、リゲーション反応を行った。なお、この一連の反応は、商品名「BKLキット」(TaKaRa社製)を用いた。
【0083】
(2)組み込んだM13ファージゲノムDNAの大腸菌へのトランスフォーム
上記で得られたファージ2本鎖DNAをエレクトロポレーションにより大腸菌にトランスフォームした。
【0084】
まず、リゲーションを行ったM13DNA溶液から塩を除くため、エタノール沈殿法を行い、滅菌済み超純水に再溶解した。ホストとなる大腸菌はJM109を用い、これを定法により予めエレクトロコンピテントセル(エレクトロポレーション用の前処理)とした。エレクトロポレーションはECM399(BTX社製)のエレクトロポレーション用機器を用い、印可電圧は2500V、キャパシタンス25μF、キュベットは2mm電極幅で行った。電圧を印可後、すぐにSOC培地を1ml加え試験管に移し、37℃で1時間振とう培養を行った。
【0085】
(3)配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージの選別
上記トランスフォームした大腸菌(JM109)をアガローストップ法によって選別した。トランスフォームされたかどうかはプラークによって確認できる(トランスフォームされた大腸菌(JM109)は青色のプラークとなって識別される。)。
【0086】
すなわち、上記振とう培養後、培養液300μlをアガローストップ3mlに加えて撹拌し、直ちにIPTGとX−Galを加えたLBプレート培地に上層し、数分乾燥後、ふたをして37℃で一晩放置した。
【0087】
出現したプラーク(12個)を楊枝でつつき、それぞれ予め600nmの吸光度で0.6まで培養していた大腸菌(ER2537)5ml(LB培地)に入れ、これを37℃で4.5時間激しく振とう培養した。
【0088】
その後、それぞれの培養液を遠沈管に移して遠心(10000rpm、4℃、10min)し、上澄みを別の遠沈管に移し、更に同条件で再度遠心し、上澄みを別の遠沈管に移して上澄み液の1/5量のPEG・NaCl溶液(20%PEG#6000/2.5M NaCl)を加えて撹拌後、4℃で一晩(4時間以上)放置した。
【0089】
放置後、遠心(10000rpm、4℃、10min)して上澄みを捨て、沈殿を1mlのTBSバッファで溶解して1.5ml容の遠心チューブに移し、遠心(10000rpm、4℃、10min)し、上澄みを別の1.5ml容チューブに移して、200μlのPEG・NaCl溶液を加えて氷中で30分放置した。その後、遠心(10000rpm、4℃、10min)して上澄みを捨て、沈殿を200μlのTBSバッファに溶解してそれぞれのファージ溶液を調製した。
【0090】
それぞれのファージ溶液50μlを取り、常法に従ってファージの一本鎖DNAを調製し、目的のペプチド(配列番号166)が呈示されるファージであるかを、ダイ・プライマー法DNAシークエンスによって確認した。
【0091】
シークエンスには、蛍光物質(Cy5)で5’末端を標識した配列番号291に示されるプライマー(プライマーの作製はSIGMA GENOSIS社に依頼)を用い、上記で調製したそれぞれの一本鎖M13DNAを鋳型に、「ThermoSequenase Primer CycleSequencing Kit 7−deaza dGTP」(Amersham Biosciences社製)でシークエンス反応後、「ALFexpressII」(Amersham Biosciences社製)で、pIII遺伝子の5’
末端側の塩基配列を決定した。
【0092】
その結果、得られた全てのファージ(12個)で、所定の箇所(配列番号288に示される塩基配列において、シグナル配列をコードする部分(1〜54番目の塩基配列)とフレキシブルリンカーをコードする部分(55〜66番目)との間)に、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドの指定配列(AAACTTTATCATTTATCTATT)が挿入されていることが確認され、これらのファージが、pIIIマイナーコートタンパクのN末端に配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示していることが確認された。
【0093】
(4)選別されたファージがhuman Fc及びhuman IgG本体に結合するかの確認実施例1(2)、及び実施例2と同様の方法で、選別されたファージのhuman Fc及びhuman IgG本体に対する結合性を確認した。その結果を表3に示す。なお、表3中の「発色値」は、ターゲット物質(human Fc又はhuman IgG)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、ターゲット物質に対する親和性が強いことを示す。
【0094】
【表3】
【0095】
表3から、上記の方法により作製した配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージは、human Fc及びhuman IgGに対して結合性を有することが分かる。
【0096】
実施例4
(1)HRP標識されたファージの作製
ファージのHRP標識には、商品名「ActiZyme−HRP:Activated Peroxydase Kit」(ZYMED社製)を用い、以下のようにしてファージのHRP標識を行った。
【0097】
商品名「ActiZyme−HRP :Activated Peroxydase Kit」(ZYMED社製)の「Activated Peroxydase」2mgを、1mlの100mM炭酸ナトリウムバッファ(pH9.0)に加えて溶解してPeroxydase溶液を調製し、このPeroxydase溶液500μlを、予め100mM炭酸ナトリウムバッファ(pH9.5)を500μl入れておいた1.5ml容エッペンドルフチューブに加えて混合し、Peroxydase濃度1mg/mlのPeroxydase溶液を調製した。このPeroxydase溶液500μlを、予め100mM炭酸ナトリウムバッファ(pH9.5)を500μl入れておいた1.5ml容エッペンドルフチューブに加えて混合し、Peroxydase濃度0.5mg/mlのPeroxydase溶液を調製した。同様の操作を行い、Peroxydase濃度0.25mg/ml、0.125mg/ml、0.0625mg/mlのPeroxydase溶液をそれぞれ調製した。
【0098】
一方、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージを、常法に従って大腸菌に感染させて増幅し、1011pfu(≒1011ファージ/1μl)濃度のファージ溶液を調製し、このファージ溶液500μlを1.5ml容エッペンドルフチューブに入れ、Peroxydase濃度1mg/mlのPeroxydase溶液500μlを加え、4℃で一晩インキュベートした。また、Peroxydase濃度0.5mg/ml、0.25mg/ml、0.125mg/ml、0.0625mg/mlのPeroxydase溶液を用いて、同様にしてそれぞれファージのHRP標識を行った。
【0099】
インキュベート後、未反応の「Activated Peroxydase」を反応させるため、1MLysine溶液を400μl加えて室温で2時間放置した。次に、余分なHRPやLysineを除去するため、上記反応後のファージ溶液に、PEG溶液(20%PEG#6000、2.5M NaCl)250μlを加えて撹拌し、氷中に30分放置した後、遠心(10000rpm、10分)して上清を除去し、PBS(10mM リン酸、140mM NaCl、pH7.4)1mlを加えて沈殿を再懸濁した。この再懸濁液に、PEG溶液を200μl加えて氷中に30分放置してから、遠心(10000rpm、10分)して上清を除去した。このような操作を3回繰り返して行い、最終的に得られた沈殿にPBSを500μl加えて懸濁し、HRP標識されたファージ(HRP標識ファージという)を含む溶液を得た。このようにして得られたHRP標識ファージは、1ヶ月程度であれば冷蔵庫で保存可能であり、数ヶ月保存する場合は、50%となるようにグリセロールを加えて−20℃で保存すればよい。
【0100】
(2)human Fcの検出
上記HRP標識ファージを用いて、human Fcを検出できるかどうかを確認した。これによって、ヒト由来IgG自体の検出も可能であることが示唆される。
【0101】
まず、human Fc(ICN/CAPPEL社製、PURIFIED HUMAN IGG FC)を100μg/mlとなるように炭酸バッファ(100mM NaHCO3、pH8.0)に溶解した溶液を調製し、この溶液を100μlずつ、96穴のELISAプレート(コーニング社製、Costar高結合タイプ、cat. No9018)のウェルに入れて4℃で一晩放置して、human Fcフラグメントの固定化を行った。
【0102】
固定化後、各ウェル中の溶液を捨て、300μlのブロッキングバッファ(2%(w/v)スキムミルク PBS溶液)を、human Fc固定化ウェル、及び空ウェル(コントロール用)に加えて、室温で1時間放置した。
【0103】
一方、上記HRP標識ファージを含む溶液50μlをブロッキングバッファ200μlに加えて15分放置し、非特異的結合の低減前処理を行った。
【0104】
各ウェルのブロッキングバッファを捨て、PBS−Tween(0.1%Tween in PBS)で5回洗浄した後、上記の非特異的結合の低減前処理を行ったHRP標識ファージ溶液を、human Fc固定化ウェル及びコントロール用ウェルに100μlずつ加え、軽く撹拌(20rpm/min程度)しながら室温で1時間放置した。
【0105】
そして、各ウェル中の溶液を捨て、200μlのPBS−Tweenで7回洗浄した後、ABTS発色溶液(ABTS(和光純薬製)を0.22mg/mlとなるようにクエン酸バッファ(50mM、pH4.0)に溶解して作製し、使用直前に1.8μl/mlとなるように30%過酸化水素水(和光純薬製)を加えたもの)を200μlずつ、各ウェルに加えて発色させて、吸光度(405nm)をプレートリーダー(「ARVO.SX」、ワラック社製)で測定した。その結果を図3に示す。なお、図3において、Y軸は、human Fc固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、X軸の1、2、3、4、5は、それぞれPeroxydase濃度が1mg/ml、0.5ml/ml、0.25mg/ml、0.125mg/ml、0.0625mg/mlのPeroxydase溶液を用いて標識したファージの結果を表す。
【0106】
図3から、直接HRPで標識した、配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージを用いることにより、human Fcを検出できることが分かる。
【0107】
実施例5
配列番号173で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージを用いた以外は、実施例3と同様にしてファージのHRP標識を行い、human Fcの検出を行った。その結果を図4に示す。なお、図4において、Y軸は、human Fc固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、X軸の1、2、3、4、5は、それぞれPeroxydase濃度が1mg/ml、0.5ml/ml、0.25mg/ml、0.125mg/ml、0.0625mg/mlのPeroxydase溶液を用いて標識したファージの結果を表す。
【0108】
図4から、直接HRPで標識した、配列番号173で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示するファージを用いることにより、human Fcを検出できることが分かる。
【0109】
以上の結果から、直接HRPで標識した、human Fcに対して結合性を有するペプチドを呈示したファージを用いることにより、human Fcを検出でき、二次抗体の代替品として十分に利用できることが示唆される。
【0110】
実施例6
ターゲット物質として、ウマ由来IgGのFcフラグメント(以下、horse Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、horse Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号208〜212で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0111】
得られた全てのペプチド(配列番号208〜212)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、horse Fcに対する結合性を調べた。その結果を表4に示す。なお、表3中の「発色値」は、horse Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、horse Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0112】
【表4】
【0113】
表4から、配列番号208〜212で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、horse Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもhorse Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0114】
また、配列番号208〜212で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表5のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号88〜90で表される共通配列を決定した。
【0115】
【表5】
【0116】
実施例7
ターゲット物質として、ヒツジ由来IgGのFcフラグメント(以下、sheep Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、sheep Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号213〜216で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0117】
得られた全てのペプチド(配列番号213〜216)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、sheep Fcに対する結合性を調べた。その結果を表5に示す。なお、表6中の「発色値」は、sheep Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、sheep Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0118】
【表6】
【0119】
表6から、配列番号213〜216で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、sheep Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもsheep Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0120】
また、配列番号213〜216で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表7のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号91〜93で表される共通配列を決定した。
【0121】
【表7】
【0122】
実施例8
ターゲット物質として、ウサギ由来IgGのFcフラグメント(以下、rabbit Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、rabbit Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号217〜220で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0123】
得られた全てのペプチド(配列番号217〜220)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、rabbit Fcに対する結合性を調べた。その結果を表8に示す。なお、表8中の「発色値」は、rabbit Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、rabbit Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0124】
【表8】
【0125】
表8から、配列番号217〜220で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、rabbit Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもrabbit Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0126】
また、配列番号217〜220で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表9のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号94〜97で表される共通配列を決定した。
【0127】
【表9】
【0128】
実施例9
ターゲット物質として、モルモット由来IgGのFcフラグメント(以下、guinea pig Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、guinea pig Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号221〜227で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0129】
得られた全てのペプチド(配列番号221〜227)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、guinea pig Fcに対する結合性を調べた。その結果を表10に示す。なお、表10中の「発色値」は、guinea pig Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、guinea pig Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0130】
【表10】
【0131】
表10から、配列番号221〜227で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、guinea pig Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもguinea pig Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0132】
また、配列番号221〜227で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表11のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号98〜104で表される共通配列を決定した。
【0133】
【表11】
【0134】
実施例10
ターゲット物質として、ヤギ由来IgGのFcフラグメント(以下、goat Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、goat Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号228〜232で表されるアミノ酸配列を同定した。
【0135】
得られた全てのペプチド(配列番号228〜232)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、goat Fcに対する結合性を調べた。その結果を表12に示す。なお、表12中の「発色値」は、goat Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、goat Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0136】
【表12】
【0137】
表12から、配列番号228〜232で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、goat Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもgoat Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0138】
また、配列番号228〜232で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表13のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号105〜108で表される共通配列を決定した。
【0139】
【表13】
【0140】
実施例11
ターゲット物質として、ネコ由来IgGのFcフラグメント(以下、cat Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、cat Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号233〜248で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0141】
得られた全てのペプチド(配列番号233〜248)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、cat Fcに対する結合性を調べた。その結果を表14に示す。なお、表14中の「発色値」は、cat Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、cat Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0142】
【表14】
【0143】
表14から、配列番号233〜248で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、cat Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもcat Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0144】
また、配列番号233〜248で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表15のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号109〜131で表される共通配列を決定した。
【0145】
【表15】
【0146】
実施例12
ターゲット物質として、イヌ由来IgGのFcフラグメント(以下、dog Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、dog Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号249〜261で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0147】
得られた全てのペプチド(配列番号249〜261)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、dog Fcに対する結合性を調べた。その結果を表16に示す。なお、表16中の「発色値」は、dog Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、dog Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0148】
【表16】
【0149】
表16から、配列番号249〜261で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、dog Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもdog Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0150】
また、配列番号249〜261で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表17のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号132〜151で表される共通配列を決定した。
【0151】
【表17】
【0152】
実施例13
ターゲット物質として、ウシ由来IgGのFcフラグメント(以下、bovine Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、bovine Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号262〜267で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0153】
得られた全てのペプチド(配列番号262〜267)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、bovine Fcに対する結合性を調べた。その結果を表18に示す。なお、表18中の「発色値」は、bovine Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、bovine Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0154】
【表18】
【0155】
表18から、配列番号262〜267で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、bovine Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもbovine Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0156】
また、配列番号262〜267で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表19のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号152〜156で表される共通配列を決定した。
【0157】
【表19】
【0158】
実施例14
ターゲット物質として、ブタ由来IgGのFcフラグメント(以下、swine Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、swine Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号268〜277で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0159】
得られた全てのペプチド(配列番号268〜277)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、swine Fcに対する結合性を調べた。その結果を表20に示す。なお、表20中の「発色値」は、swine Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、swine Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0160】
【表20】
【0161】
表20から、配列番号268〜277で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、swine Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもswine Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0162】
また、配列番号268〜277で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表21のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号157〜162で表される共通配列を決定した。
【0163】
【表21】
【0164】
実施例15
ターゲット物質として、マウス由来IgGのFcフラグメント(以下、mouse Fcと略記する。)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にしてファージディスプレイ法(選択操作4回)を行い、mouse Fcに対して結合性を有するペプチドのスクリーニングを行い、配列番号278〜280で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列を同定した。
【0165】
得られた全てのペプチド(配列番号278〜280)について、実施例1(2)と同様の方法(ELISA法)で、mouse Fcに対する結合性を調べた。その結果を表22に示す。なお、表22中の「発色値」は、mouse Fc(ターゲット物質)固定化ウェルの吸光度(405nm)/コントロール(空)ウェルの吸光度(405nm)を表し、「発色値」が大きいほど、mouse Fcに対する親和性が強いことを示す。
【0166】
【表22】
【0167】
表22から、配列番号278〜280で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、mouse Fcに対する親和性が異なるものの、いずれもmouse Fcに対して結合力を有していることが分かる。
【0168】
また、配列番号278〜280で表されるアミノ酸配列を有するペプチドのアミノ酸配列から、表23のような組み合わせで共通配列の検索を行い、配列番号163〜164で表される共通配列を決定した。
【0169】
【表23】
【0170】
「配列表フリーテキスト」
配列番号1〜87:ファージディスプレイ法で得られたヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号88〜90:ファージディスプレイ法で得られたウマ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号91〜93:ファージディスプレイ法で得られたヒツジ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号94〜97:ファージディスプレイ法で得られたウサギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定されたアミノ酸配列である。
配列番号98〜104:ファージディスプレイ法で得られたモルモット由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号105〜108:ファージディスプレイ法で得られたヤギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号109〜131:ファージディスプレイ法で得られたネコ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号132〜151:ファージディスプレイ法で得られたイヌ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号152〜156:ファージディスプレイ法で得られたウシ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号157〜162:ファージディスプレイ法で得られたブタ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号163〜164:ファージディスプレイ法で得られたマウス由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドから決定された共通配列である。
配列番号165〜207:ファージディスプレイ法によって得られた、ヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号208〜212:ファージディスプレイ法によって得られた、ウマ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号213〜216:ファージディスプレイ法によって得られた、ヒツジ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号217〜220:ファージディスプレイ法によって得られた、ウサギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号221〜227:ファージディスプレイ法によって得られた、モルモット由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号228〜232:ファージディスプレイ法によって得られた、ヤギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号233〜248:ファージディスプレイ法によって得られた、ネコ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号249〜261:ファージディスプレイ法によって得られた、イヌ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号262〜267:ファージディスプレイ法によって得られた、ウシ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号268〜277:ファージディスプレイ法によって得られた、ブタ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号278〜280:ファージディスプレイ法によって得られた、マウス由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号281〜287:非特許文献1に記載されたヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチドである。
配列番号288:M13KE(改変型)のpIII遺伝子の5’末端側の塩基配列である。
配列番号289:M13KE(改変型)のpIII遺伝子の5’末端の塩基配列(配列番号288)中、33〜54番目の塩基配列にアニーリングするように設計されたプライマーである。
配列番号290:配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチド(KLYHLSI)をコードする塩基配列を含み、かつpIII遺伝子の5’末端の塩基配列(配列番号288)中、55〜76番目の塩基配列の相補鎖にアニーリングするように設計されたプライマーである。
配列番号291:M13DNAのシークエンス用のプライマーである。
【0171】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、上記のIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることにより、抗IgG抗体を用いた検出系に比べて、より安価なIgGの検出系を提供できる。また、抗IgG抗体のような品質のばらつきがないので、より安定したIgGの検出系を提供できる。
【0172】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージのhuman Fcに対する結合性の確認試験の結果を表す図である。
【図2】配列番号165〜167、169、170、172、173、175〜189で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージのヒト由来IgGに対する特異性を検討した結果を示す図である。
【図3】配列番号166で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージを二次抗体として用い、human Fcを検出した結果を示す図である。
【図4】配列番号173で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを呈示したファージを二次抗体として用い、human Fcを検出した結果を示す図である。
Claims (12)
- 配列番号1〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するIgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いることを特徴とするIgGの検出方法。
- 配列番号1〜87で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するヒト由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号88〜90で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するウマ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号91〜93で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するヒツジ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号94〜97で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するウサギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号98〜104で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するモルモット由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号105〜108で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するヤギ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号109〜131で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するネコ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号132〜151で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するイヌ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号152〜156で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するウシ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号157〜162で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するブタ由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
- 配列番号163〜164で表されるアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列においてIgGのFcフラグメントに対する結合性が損なわれない範囲で修飾、アミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失したアミノ酸配列から選ばれたアミノ酸配列を有するマウス由来IgGのFcフラグメントに結合性を有するペプチド又は該ペプチドを表面に呈示しているファージを、IgGの検出手段として用いる、請求項1に記載のIgGの検出方法。
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