JP2004187087A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】撮像素子と、撮像素子への入射光を遮光するメカシャッターと、メカシャッター動作による撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段とを具備する撮像装置において、設定された撮影モードを判断して(ステップS202)、その判断に応じてゲイン制御の補正処理(ステップS203)や、電子シャッター制御の補正処理(ステップS204)を行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像素子を具備し静止画像を撮影可能な撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インターレース読み出し動作とフレーム読み出し動作の切り替え可能な撮像素子を利用する撮像装置が知られている。この撮像素子を利用することで、動画撮影時はインターレース読み出し動作により動解像度の高い映像信号を得ることができ、静止画撮影時はフレーム読み出し動作により、時間的ずれのない静止画像を得ることが可能となる。
以下、動画記録機能と静止画記録機能を備える撮像装置の概略構成について図3を用いて説明する。
【0003】
図3は、動画記録機能と静止画記録機能を備える撮像装置の概略構成を示す図である。図3において、100は、撮像装置であり、動画記録機能と静止画記録機能を備える。101は、結像用レンズであり、入射される光を基に後述する撮像素子103の受光面上に被写体像を結像する。102は、絞りであり、入射光量を制御する。103は、撮像素子であり、受光面に結像した被写体象の光量に応じて光電変換することで撮像信号を出力する。尚、撮像素子103は例えばCCDセンサやCMOSセンサなどである。
【0004】
104は、撮像素子駆動回路であり、撮像素子103における電荷読み出し方式および電荷蓄積時間等を制御する。105は、サンプルホールド回路であり、撮像素子103が出力する撮像信号をサンプルホールドする。106は、可変利得回路であり、サンプルホールド回路105が出力する信号の利得を変化させる。107は、絞り制御回路であり、絞り102を制御する。108は、映像信号処理回路であり、可変利得回路106の出力信号から輝度信号および色信号を生成して、生成した輝度信号および色信号を基に、動画または静止画の映像信号を生成して、出力する。
【0005】
109は、システム制御回路であり、撮像素子駆動回路104、可変利得回路106、絞り制御回路107、映像信号処理回路108の制御および撮像装置100全体の制御を行う。110は、静止画記録回路であり、映像信号処理回路108から出力された静止画の映像信号を記録する。111は、動画記録回路であり、映像信号処理回路108から出力された動画の映像信号を記録する。
【0006】
記録モード選択スイッチ112は、動画記録と静止画記録のどちらかを行うかを選択するためのスイッチであり、選択された情報をシステム制御回路109へ出力する。動画記録トリガースイッチ113は、動画記録の開始および終了を指示するためのスイッチであり、動画記録の開始および終了指示情報をシステム制御回路109へ出力する。静止画記録トリガースイッチ114は、静止画記録の実行を指示するためのスイッチであり、静止画記録実行指示情報をシステム制御回路109へ出力する。撮影モード選択スイッチ115は、全自動、シャッター優先、絞り優先、感度優先といった複数の撮影モードを選択するためのスイッチであり、選択された撮影モード情報をシステム制御回路109へ出力する。
【0007】
尚、システム制御回路109は、撮影モード選択スイッチ115で選択された撮影モードに応じた撮影条件となるよう以下の制御を行う。まず、システム制御回路109は、映像信号処理回路108が出力する輝度信号が適正なレベルとなるように、絞り制御回路107に対しては駆動量情報を出力する。これにより、絞り制御回路107は適正な露出量となる絞り102の開閉制御を行う。また、システム制御回路109は、撮像素子駆動回路104に対しては電荷蓄積時間情報を出力する。これにより、撮像素子駆動回路104は、電子シャッター速度制御を行うことで、電荷蓄積時間の制御による露出量の制御を行う。また、システム制御回路109は、可変利得回路106に対しては、利得情報を出力する。これにより、可変利得回路106は、撮像素子103から出力された信号の利得を制御する利得制御を行い、信号レベルを制御する。
【0008】
さらに、システム制御回路109は、記録モード選択スイッチ112から入力された情報から動画記録モードが選択されていると判断した場合は、撮像素子103がインターレース読み出し動作するように撮像素子駆動回路104を制御し、映像信号処理回路108に対しては、動画の映像信号を生成する処理を行うように制御する。また、システム制御回路109は動画記録回路111に動画記録の処理を行うように指示を出す。
【0009】
同様に、システム制御回路109は、記録モード選択スイッチ112から入力された情報から静止画記録モードが選択されていると判断した場合は、撮像素子103がフレーム読み出し動作するように撮像素子駆動回路104を制御し、映像信号処理回路108に対して、静止画の映像信号を生成する処理を行うように制御する。また、システム制御回路109は静止画記録回路110に静止画記録の処理を行うように指示を出す。
【0010】
上述した動画記録時のインターレース読み出し動作では、撮像素子103の画素配列における偶数ラインの信号は偶数フィールドで、奇数ラインの信号は奇数フィールドで読み出され、また、各ラインの信号は隣接するラインの信号と加算されて読み出される。
【0011】
一方、上述したフレーム読み出し動作では、撮像素子103の画素配列における偶数ラインの信号は偶数フィールド(第1読み出しフィールド)として読み出され、奇数ラインの信号は奇数フィールド(第2読み出しフィールド)として読み出される。この時、上または下に隣接する各ラインの信号は加算されずに読み出される。そのため、第1読み出しフィールドとして読み出した後も撮像素子103が露出していると、第2読み出しフィールドとして読み出す奇数ラインの各画素にさらに光電変換による信号電荷が蓄積されてしまう。これにより、偶数/奇数フィールドで読み出される信号レベルが異なってしまい、輝度フリッカーや色相のずれが発生し、撮影結果の画質が著しく劣化してしまうという問題がある。
【0012】
上記問題を解決するため、フレーム読み出し動作時には、撮影フィールドの信号蓄積が終わるタイミングで撮像素子103への入射光を遮光し、その後の第1読み出しフィールド期間における偶数ラインの信号読み出しと、第2読み出しフィールド期間における奇数ラインの信号読み出しが完了するまでの間、遮光状態を継続する必要がある。
【0013】
上述した撮像素子103への入射光を遮光する遮光手段としては、例えば、絞り機構を用いたメカシャッターが利用されている。尚、絞り機構とは図3の絞り102および絞り制御回路107により構成される機構である。すなわち、絞り制御回路107がシステム制御回路109の遮光指示を受けて絞り102を完全に閉じてしまうことで遮光を行い、メカシャッターの機能を実現している。
【0014】
しかし、メカシャッターの動作時間は撮像素子103の電荷蓄積の最短時間と比較すると十分長いため、瞬時に遮光を完了できない。これにより、絞り102が完全に閉じるまでの時間を露出時間として露出量を計算している場合に、遮光動作途中の入射光は損失していることになり、露出量の損失が発生する。この損失のため、フレーム読み出しによる静止画像の信号レベルが、計算により適正に設定された信号レベルより小さくなることで、適正露出ではない状態で静止画記録されてしまう。そこで、メカシャッター動作による光量損失を撮像装置100の露出制御手段を用いて補正する必要がある。
【0015】
以下、図3に示した撮像装置100におけるメカシャッター動作による光量損失の補正方法について図を用いて説明する。
図4は、図3に示した撮像装置100におけるメカシャッター動作による従来の光量損失の補正方法例を示すフロー図である。図4に示す補正方法例では、撮像装置100は電子シャッター制御のみで光量損失の補正処理を行う。まず、ステップS401において、システム制御回路109は、静止画記録トリガースイッチ114の操作による静止画記録要求の発生を検出したか否かを判断する。ここで検出した場合(ステップS401のYes)には、ステップS402へ進み、システム制御回路109は、絞り102(メカシャッター)の閉鎖時間情報および現時点の電子シャッター速度情報から、光量補正に必要な電子シャッターの補正量を決定し、補正した電子シャッター速度情報を撮像素子駆動回路104へ出力して、ステップS403へ進む。また、ここで検出していない場合(ステップS401のNo)には、システム制御回路109は、検出するまでステップS401の検出動作を継続する。
【0016】
次に、ステップS403においては、システム制御回路109は、絞り102(メカシャッター)が所定のタイミングで閉鎖完了するように閉鎖開始のタイミングを制御し、所定のタイミングで絞り制御回路107に対して閉鎖の指示を出力する。これにより、絞り制御回路107は、所定のタイミングで絞り102(メカシャッター)を閉鎖完了するよう制御する。ステップS403により絞り102(メカシャッター)が完全に閉鎖して遮光が完了した後に、ステップS404に進み、システム制御回路109は、撮像素子駆動回路104を制御することで撮像素子103から偶数フィールド、奇数フィールドの撮像信号を読み出す。そして、システム制御回路109は、撮像素子103の出力する撮像信号を基に静止画像を生成するよう映像信号処理回路108を制御する。次に、静止画記録回路110は、映像信号処理回路108が出力する静止画像を記録する。
【0017】
以上に示した動作により、撮像装置100は、メカシャッター動作による光量損失を補正した静止画像を生成して記録することができる。
一方で、撮像装置100においては、撮影シーンに応じて種々の撮影モードが設定可能あり、例えば利用者に電子シャッター速度を選択または設定させるシャッター速度優先モードや、利得制御情報を選択あるいは設定させる感度優先モードといった撮影モードが知られている。また、撮像装置100は、更にシャッター速度や露出量などの個々の撮影条件を利用者の好みに設定できる機能も有する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来においては上述した撮影モードを考慮せずにメカシャッター動作による光量損失の補正を行っているため画像の品質が劣化してしまう問題点がある。例えば、利用者がシャッター優先モードにおいて高速なシャッター速度を選択している場合に、システム制御回路19がメカシャッター動作による光量損失の補正のため電子シャッターを低速に制御して露出補正を行うと、被写体のぶれが大きい撮影結果となってしまうという問題点がある。同様に、利用者が感度優先モードにおいて低感度設定を選択した場合に、システム制御回路19がメカシャッター動作による光量損失の補正のため利得制御による露出補正を行ってしまうと、S/N比の悪い画像を撮影してしまうといった問題点がある。
【0019】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、メカシャッター動作による光量損失の露出補正を行う場合に、設定された撮影モードあるいは撮影条件に応じた適正な露出補正を行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述した課題を解決すべくなされたもので、本発明による撮像装置においては、受光面に結像される被写体像の光量に応じて撮像信号を出力する撮像素子と、撮像素子への入射光を遮光する遮光手段と、遮光手段の動作による撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段と、撮影モードまたは撮影条件を設定するための設定手段と、設定手段により設定された撮影モードまたは撮影条件に応じて露出補正手段別の補正量を制御する露出補正制御手段とを具備することを特徴とする。
【0021】
これにより、本発明の撮像装置においては、設定された撮影モードまたは撮影条件に応じて遮光手段(メカシャッター)の動作による撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段毎に補正量を制御することができる。すなわち、メカシャッター動作による光量損失の露出補正を行う場合に、設定された撮影モードあるいは撮影条件に応じた適正な露出補正を行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明の一実施形態における撮像装置について概略構成を説明する。尚、本実施形態における撮像装置は、静止画像と動画像を撮影可能な撮像装置である。本発明による撮像装置の概略構成は図3に示した従来の撮像装置100と同様の構成をしており、説明を省略する。また、本発明の一実施形態における撮像装置100は、動画記録モード時は、インターレース読み出し動作で撮像素子103を駆動し、静止画記録モード時はフレーム読み出し動作で撮像素子103を駆動させ映像信号の動画記録および静止画記録を行う。
【0023】
尚、本発明の一実施形態における撮像装置100は、従来の撮像装置として図3に示した撮像装置100とはシステム制御回路109による制御処理が異なる。その異なる処理とは、撮像装置100の露出量制御処理として、システム制御回路109がメカシャッター動作時の光量損失の露出補正を利用者の設定した撮影モードに応じて行う処理である。また、異なる処理を実現するには、例えばシステム制御回路109が内蔵する制御プログラムを変更することにより実現する。これにより、ハードウェアの変更を行うことなく撮像装置100において、本発明の一実施形態の処理を実現することができる。
【0024】
[実施例1]
まず、撮像装置100の露出量制御処理として、システム制御回路109がメカシャッター動作時の光量損失の露出補正を利用者の設定した撮影モードに応じて行う処理の実施例1について説明する。
実施例1では、撮影モード選択スイッチ115から得られた撮影モード情報がシャッター優先モードである場合には、システム制御回路109は、利得制御でメカシャッター動作時の光量損失の露出補正を行う。また、シャッター優先モード以外の撮影モードが選択されている場合には、システム制御回路109は、電子シャッター速度制御により、メカシャッター動作時の光量損失の露出補正を行う。
【0025】
上述したように、利用者が設定した撮影モードに応じて、撮像装置100の具備するシステム制御回路109が、メカシャッター動作による光量損失の露出補正の補正手段を切り替える処理(以下、露出量制御処理)について説明をする。図1は、本発明の一実施形態における撮像装置100の具備するシステム制御回路109の露出量制御処理の実施例1を示すフロー図である。尚、図1のフロー図の前提として、撮像装置100の電源が入れられ、静止画記録モードに設定された時点から開始する処理フローとする。
【0026】
まず、ステップS201において、システム制御回路109は、利用者の静止画記録トリガースイッチ114の操作により、静止画記録トリガースイッチ114から静止画記録要求の発生を検出したか否かを判断する。ここで、静止画記録要求の発生を検出した場合(ステップS201のYes)には、ステップS202へ進む。また、静止画記録要求の発生を検出していない場合(ステップS201のNo)には、システム制御回路109は、ステップS207へ進む。
【0027】
次に、ステップS202において、システム制御回路109は、静止画記録要求時点の撮影モードがシャッター速度優先モードか否かを判断する。ここで、シャッター速度優先モードが設定されている場合(ステップS202のYes)には、ステップS203へ進む。また、それ以外の撮影モードが選択されている場合(ステップS202のNo)には、ステップS204へ進む。尚、シャッター速度優先モードとは、露出量制御において、電子シャッターのシャッター速度の調整による露出量の調整を優先的に行うモードである。また、それ以外の撮影モードとして、例えば絞り優先モードがあり、これは露出量制御において、絞り量の調整による露出量の調整を優先的に行うモードである。
【0028】
次に、ステップS203において、システム制御回路109は、絞り102(メカシャッター)の閉鎖時間情報および現時点の電子シャッター速度情報から、メカシャッター動作時の光量損失の露出補正に必要な利得制御量を決定し、補正した利得制御量を可変利得回路106へ出力し、ステップS205へ進む。これにより、可変利得回路106は、メカシャッター動作時の光量損失の露出補正を利得制御により適正に行うことができる。尚、上述した現時点の電子シャッター速度情報とは、シャッター速度優先モードを設定する際に同時に設定された電子シャッター速度に関する情報などである。
【0029】
また、ステップS204において、システム制御回路109は、絞り102(メカシャッター)の閉鎖時間情報および現時点の電子シャッター速度情報から、メカシャッター動作時の光量損失の露出補正に必要な電子シャッターの補正量を決定し、補正された電子シャッター速度情報を撮像素子駆動回路104へ出力し、ステップS205へ進む。これにより、撮像素子駆動回路104は、メカシャッター動作時の光量損失の露出補正を電子シャッターにより適正に行うことができる。
【0030】
次に、ステップS205において、メシステム制御回路109は、絞り102(メカシャッター)が所定のタイミングで閉鎖完了するように閉鎖開始のタイミングを制御し、所定のタイミングで絞り制御回路107に対して閉鎖の指示を出し、ステップS206へ進む。これにより、絞り制御回路107は、所定のタイミングで絞り102(メカシャッター)が閉鎖完了するよう制御することができる。
【0031】
次に、ステップS206において、絞り102(メカシャッター)が完全に閉鎖した遮光完了後、メシステム制御回路109は、以下の処理を行うよう各処理部を制御する。まず、撮像素子103から偶数ラインの信号電荷を偶数フィールドとして、奇数ラインの信号電荷を奇数フィールドとして読み出し撮像信号を出力させる。次に、映像信号処理回路108において撮像信号を基に静止画を生成させる。次に、静止画記録回路110において映像信号処理回路108の生成した静止画を記録させ、ステップS207へ進む。
【0032】
次に、ステップS207において、システム制御回路109は、静止画記録モードの終了指示や電源OFF指示などの終了指示を検出したか否かを判定する。ここで、終了指示を検出した場合(ステップS207のYes)には、図1の処理を終了する。また、終了指示を検出していない場合(ステップS207のNo)には、ステップS201に戻り、静止画記録指示の検出処理を開始する。
【0033】
以上に示したように、実施例1における撮像装置100は、撮影モードとして、シャッター速度優先モードが選択されている場合に、メカシャッター動作による光量損失の露出補正に利得制御を用いる。これにより、利用者が選択したシャッター速度による静止画記録を行いつつ、露出不足とならない撮影結果を得ることが可能となる。また、実施例1における撮像装置100は、シャッター速度優先モード以外の撮影モードを選択していた場合は、電子シャッター速度制御によるメカシャッター動作による光量損失の露出補正を行う。これにより、撮像素子103において適正な信号電荷量を得ることができるので、S/N比のよい撮影結果を得ることが可能となる。
【0034】
更に、従来の撮像装置と比較して以下に実施例1における撮像装置100の効果を説明する。従来の露出補正では、利用者の意志で被写体に適した電子シャッター速度を選択したにもかかわらず、メカシャッター動作による光量損失の露出補正の補正手段として、電子シャッター速度を調整する方法を用いるので、最適な電子シャッター速度でなくなってしまう。例えば、利用者が高速なシャッター速度を設定している場合(=動く被写体のぶれを抑えた静止画像を記録したい場合)に、電子シャッター速度をより低速な方向へ調整してしまうと、ぶれた静止画像が記録されてしまう。
しかし、上述した実施例1の撮像装置100であれば、高速なシャッター速度を維持して露出補正を行うことができるので、動く被写体であってもぶれない適正な明るさの静止画像を得ることができる。
【0035】
[実施例2]
次に、図3に示した撮像装置100の露出量制御処理として、上述した実施例1と異なる処理である実施例2について説明する。
実施例2では、静止画記録トリガースイッチ操作時点の電子シャッター速度情報に応じて、補正量の上限量および補正順序が異なる複数の補正処理を切り替える。
【0036】
具体的には、システム制御回路109が、メカシャッター動作前の電子シャッター速度に応じて、メカシャッター動作による光量損失の露出補正を複数の露出補正手段を用いて行う。本実施形態においては、複数の露出補正手段として、電子シャッター速度制御機構と利得制御機構を用いる。すなわち、システム制御回路109は、電子シャッター速度が例えば1/500秒以上か否かで、電子シャッター速度制御と利得制御のどちらを利用するか制御内容を切り替える。尚、電子シャッター速度の判断基準は、1/500秒以外の値であってもよい。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態における撮像装置100の具備するシステム制御回路109の露出量制御処理の実施例2を示すフロー図である。尚、図2のフロー図の前提として、撮像装置100の電源が入れられ、静止画記録モードに設定された時点から開始する処理フローとする。
【0038】
まず、ステップS301において、システム制御回路109は、静止画記録トリガースイッチ114の操作による静止画記録要求の発生を検出したか否かを判断する。ここで、静止画記録要求が発生した場合(ステップS301のYes)には、ステップS302に進み、システム制御回路109は、記録要求時点の電子シャッター速度が1/500秒より低速か否かを判断する。ここで、シャッター速度が1/500秒より低速である場合(ステップS302のYes)は、ステップS303へ進む。また、シャッター速度が1/500秒以上の高速であれば、ステップS306へ進む。
【0039】
ステップS303において、システム制御回路109は、絞り102(メカシャッター)の閉鎖時間情報および現時点の電子シャッター速度情報から、露出補正に必要な電子シャッター速度の補正量を決定し、ステップS304へ進む。このステップS303において、システム制御回路109は、電子シャッター速度の補正量が所定の補正上限量を上回らないように制限して決定し、決定した補正量に応じた電子シャッター速度情報を撮像素子駆動回路104へ出力する。これにより、撮像素子駆動回路104は、補正された電子シャッター速度で撮像素子103を駆動する。また、システム制御回路109は、補正上限量を上回った分は未補正量と規定し、上回らない場合は、未補正量を0と規定する。
【0040】
次に、ステップS304において、システム制御回路109は、ステップS303で規定した未補正量の有無を判断する。未補正量が無い(=0)場合(ステップS304のNo)には、これ以上の補正は不要であると判断し、ステップS309へ進む。また、未補正量が有る(0より大きい)場合(ステップS304のYes)には、さらに補正が必要であると判断し、ステップS305へ進む。
【0041】
次に、ステップS305において、システム制御回路109は、ステップS303で得られた未補正量に基づき、露出補正に必要な利得制御量を決定し、補正した利得制御量を可変利得回路106へ出力して、ステップS309へ進む。これにより、可変利得回路106は、撮像素子103における電子シャッター速度の制御で対応しきれなかった分の露出補正を利得制御することにより対応することができる。
【0042】
また、上述したステップS302でNoの場合(1/500秒以上)に進むステップS306において、システム制御回路109は、絞り102(メカシャッター)の閉鎖時間情報および現時点の電子シャッター速度情報から、露出補正に必要な利得制御量を決定し、ステップS307へ進む。このステップS306において、システム制御回路109は、利得制御の補正量が所定の補正上限量を上回らないように制限して決定し、決定した利得制御量を可変利得回路106へ出力する。これにより、可変利得回路106は、補正上限量で制限した補正量の利得制御を行うことができる。また、システム制御回路109は、補正上限量を上回った分は未補正量と規定し、上回らない場合は、未補正量を0と規定する。
【0043】
次に、ステップS307において、システム制御回路109は、ステップS306で規定した利得制御の未補正量の有無を判断する。未補正量が無い(=0)場合(ステップS307のNo)には、これ以上の補正は不要であると判断し、ステップS309へ進む。また、未補正量が有る(0より大きい)場合(ステップS307のYes)には、さらに補正が必要であると判断し、ステップS308へ進む。
【0044】
次に、ステップS308において、システム制御回路109は、ステップS306で得られた利得制御の未補正量に基づき、露出補正に必要な電子シャッター速度を決定して、補正された電子シャッター速度情報を撮像素子駆動回路104へ出力し、ステップS309へ進む。これにより、撮像素子駆動回路104は、補正された電子シャッター速度で撮像素子103を駆動する。
【0045】
次に、ステップS309において、システム制御回路109は、絞り102(メカシャッター)が所定のタイミングで閉鎖完了するように閉鎖開始のタイミングを制御し、所定のタイミングで絞り制御回路107に対して閉鎖の指示を出力して、ステップS310へ進む。これにより、絞り制御回路107は、所定のタイミングで絞り102(メカシャッター)の閉鎖を完了し、撮像素子103への入射光を遮光する。
【0046】
次に、ステップS310において、絞り102(メカシャッター)が完全に閉鎖した遮光完了後、メシステム制御回路109は、以下の処理を行うよう各処理部を制御する。まず、撮像素子103から偶数ラインの信号電荷を偶数フィールドとして、奇数ラインの信号電荷を奇数フィールドとして読み出し撮像信号を出力させる。次に、映像信号処理回路108において撮像信号を基に静止画を生成させる。次に、静止画記録回路110において映像信号処理回路108の生成した静止画を記録させ、ステップS311へ進む。
【0047】
次に、ステップS311において、システム制御回路109は、静止画記録モードの終了指示や電源OFF指示などの終了指示を検出したか否かを判定する。ここで、終了指示を検出した場合(ステップS311のYes)には、図2の処理を終了する。また、終了指示を検出していない場合(ステップS311のNo)には、ステップS301に戻り、静止画記録指示の検出処理を開始する。
【0048】
以上に示したように、実施例2における撮像装置100は、撮影時のシャッター速度に応じて、メカシャッター動作による光量損失の露出補正処理を複数の露出制御手段を用いることができる。これにより、シャッター速度が高速である場合は、利得制御による補正を優先的に行い、シャッター速度の低下を防ぐことがで、補正処理による画質劣化を抑えた撮影結果を得ることが可能となる。
【0049】
尚、シャッター速度の低下よりも利得制御による画質劣化が大きくなる補正量を補正上限量に設定することで、更に画質劣化を防ぐことができる。また、シャッター速度が低速である場合は、電子シャッター速度による補正を優先的に行うことで、利得制御の補正処理による画質劣化を抑えた撮影結果を得ることが可能となる。尚、回路動作等の制限により1フィールド期間を超える低速電子シャッターが無理な場合は、その値を補正上限量に設定することで、回路の誤動作を防ぐことができる。
【0050】
更に、従来の撮像装置と比較して上述した実施例2における撮像装置の効果を説明する。従来の露出補正では、撮影条件として1/500秒のような高速シャッターを選択している状態でメカシャッター動作による光量損失の露出補正を電子シャッター速度制御で行うと、利用者の意志で被写体に適した電子シャッター速度を選択したにもかかわらず、メカシャッター動作による光量損失の露出補正の補正手段として、電子シャッター速度を調整する方法を用いるので、最適な電子シャッター速度でなくなってしまう。例えば、利用者が高速なシャッター速度を設定している場合に、電子シャッター速度をより低速な方向へ調整してしまうと、ぶれた静止画像が記録されてしまう。
しかし、上述した実施例2の撮像装置100であれば、高速なシャッター速度を維持して利得制御による露出補正を行うことができるので、動く被写体であってもぶれない適正な明るさの静止画像を得ることができる。
【0051】
また、シャッター速度として、1フィールドの期間に等しいあるいは複数フィールドに渡り、撮像素子103にて長時間電荷蓄積による長時間露出を実現する低速のシャッター速度が設定されている場合、その設定以上に、シャッター速度を遅くすることができないため、メカシャッター動作時の露出補正手段として電子シャッター速度制御を利用することができない。
しかし、上述した実施例2の撮像装置100であれば、利得制御による露出補正を優先的に行うことで、補正処理により画質劣化を抑えた撮影結果を得ることが可能となる。
【0052】
尚、上述した実施形態においては、絞り機構がメカシャッター機構も兼ねていたが、この限りではなく、例えば絞り102と撮像素子103の間にメカシャッター機構を設けた構成であってもよい。また、本発明の実施形態として、動画と静止画の両方が撮影可能な撮像装置を示したが、この限りではなく、種々の撮影条件を設定可能で、メカシャッター機構を有し、メカシャッター動作による光量損失の補正が必要な撮像装置に適用可能である。また、上述した撮影モードとは、想定した被写体に自動的に対応した撮影条件を設定するための撮像装置の動作モードである。すなわち、利用者が撮影モードを選択することにより、撮像装置の撮影条件を自動的に設定するアルゴリズムが特定される。
【0053】
また、図3に示すシステム制御部15が行う各処理は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、システム制御部15はメモリおよびCPUにより構成され、各処理を実現する為のプログラムをメモリに読み込んで実行することによりその処理を実現させるものであってもよい。
また、上記メモリは、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記録媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせによるコンピュータ読み取り、書き込み可能な記録媒体より構成されるものとする。
【0054】
また、図3に示すシステム制御部15は、撮像装置100のコンピュータが前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体より、プログラムを読み出し実行することによっても達成される。また、コンピュータが読み出したプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0055】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示にもとづき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現されてもよい。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0057】
また、本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0058】
[実施態様1] 受光面に結像される被写体像の光量に応じて撮像信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子への入射光を遮光する遮光手段と、
前記遮光手段の動作による前記撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段と、
撮影モードまたは撮影条件を設定するための設定手段と、
前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件に応じて前記露出補正手段別の補正量を制御する露出補正制御手段と
を具備することを特徴とする撮像装置。
【0059】
[実施態様2] 前記複数の露出補正手段は、前記撮像素子における電荷蓄積時間を制御する撮像素子制御手段と、前記撮像素子の出力する前記撮像信号の利得を制御する利得制御手段とを少なくとも含むことを特徴とする実施態様1に記載の撮像装置。
【0060】
[実施態様3] 前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件が、前記電荷蓄積時間または前記利得のいずれかを優先的に制御する設定である場合に、前記露出補正制御手段は、前記設定に応じて前記撮像素子制御手段または前記利得制御手段のいずれかを優先して制御することを特徴とする実施態様2に記載の撮像装置。
【0061】
[実施態様4] 前記遮光手段は、少なくとも前記撮像素子が前記撮像信号を出力する期間を遮光することを特徴とする実施態様1から実施態様3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【0062】
[実施態様5] 前記露出補正制御手段は、前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件に応じて前記複数の露出補正手段に優先順位を付与して、前記優先順位に応じて前記露出補正手段別の補正量を制御することを特徴とする実施態様1または実施態様2に記載の撮像装置。
【0063】
[実施態様6] 受光面に結像される被写体像の光量に応じて撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子への入射光を遮光する遮光手段と、前記遮光手段の動作による前記撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段と、撮影モードまたは撮影条件を設定するための設定手段とを具備する撮像装置を制御する撮像装置制御方法であって、
前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件に応じて前記露出補正手段別の補正量を制御することを特徴とする撮像装置制御方法。
【0064】
[実施態様7] 受光面に結像される被写体像の光量に応じて撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子への入射光を遮光する遮光手段と、前記遮光手段の動作による前記撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段と、撮影モードまたは撮影条件を設定するための設定手段とを具備する撮像装置を制御する撮像装置制御方法であって、
前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件に応じて前記複数の露出補正手段に優先順位を付与して、前記優先順位に応じて前記露出補正手段別の補正量を制御することを特徴とする撮像装置制御方法。
【0065】
[実施態様8] 受光面に結像される被写体像の光量に応じて撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子への入射光を遮光する遮光手段と、前記遮光手段の動作による前記撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段と、撮影モードまたは撮影条件を設定するための設定手段とを具備する撮像装置を制御するプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件に応じて前記露出補正手段別の補正量を制御する処理を前記撮像装置のコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0066】
[実施態様9] 受光面に結像される被写体像の光量に応じて撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子への入射光を遮光する遮光手段と、前記遮光手段の動作による前記撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段と、撮影モードまたは撮影条件を設定するための設定手段とを具備する撮像装置を制御するプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件に応じて前記複数の露出補正手段に優先順位を付与して、前記優先順位に応じて前記露出補正手段別の補正量を制御する処理を前記撮像装置のコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0067】
[実施態様10] 受光面に結像される被写体像の光量に応じて撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子への入射光を遮光する遮光手段と、前記遮光手段の動作による前記撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段と、撮影モードまたは撮影条件を設定するための設定手段とを具備する撮像装置を制御するプログラムであって、
前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件に応じて前記露出補正手段別の補正量を制御する処理を前記撮像装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【0068】
[実施態様11] 受光面に結像される被写体像の光量に応じて撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子への入射光を遮光する遮光手段と、前記遮光手段の動作による前記撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段と、撮影モードまたは撮影条件を設定するための設定手段とを具備する撮像装置を制御するプログラムであって、
前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件に応じて前記複数の露出補正手段に優先順位を付与して、前記優先順位に応じて前記露出補正手段別の補正量を制御する処理を前記撮像装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による撮像装置においては、設定された撮影モードまたは撮影条件に応じて遮光手段(メカシャッター)の動作による撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段毎に補正量を制御することができる。すなわち、メカシャッター動作による光量損失の露出補正を行う場合に、設定された撮影モードあるいは撮影条件に応じた適正な露出補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における撮像装置100の具備するシステム制御回路109の露出量制御処理の実施例1を示すフロー図である。
【図2】本発明の一実施形態における撮像装置100の具備するシステム制御回路109の露出量制御処理の実施例2を示すフロー図である。
【図3】動画記録機能と静止画記録機能を備える撮像装置の概略構成を示す図である。
【図4】図3に示した撮像装置100におけるメカシャッター動作による従来の光量損失の補正方法例を示すフロー図である。
【符号の説明】
100 撮像装置
101 結像用レンズ
102 絞り(メカシャッター)
103 撮像素子
104 撮像素子駆動回路
105 サンプルホールド回路
106 可変利得回路
107 絞り制御回路
108 映像信号処理回路
109 システム制御回路
110 静止画記録回路
111 動画記録回路
112 記録モード選択スイッチ
113 動画記録トリガースイッチ
114 静止画記録トリガー選択スイッチ
115 撮影モード選択スイッチ
Claims (1)
- 受光面に結像される被写体像の光量に応じて撮像信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子への入射光を遮光する遮光手段と、
前記遮光手段の動作による前記撮像素子への露出量の損失分を補正する複数の露出補正手段と、
撮影モードまたは撮影条件を設定するための設定手段と、
前記設定手段により設定された前記撮影モードまたは前記撮影条件に応じて前記露出補正手段別の補正量を制御する露出補正制御手段と
を具備することを特徴とする撮像装置。
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