JP2004186327A - 露光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この露光装置は、ウエハの露光を制御するための光電センサ13、15と、光電センサ13、15に照射される光の光量に対する該光電センサの出力変動特性を格納するメモリ21と、光電センサ13、15に照射された光の光量、該光の単位時間当たりのエネルギ、及び、メモリ21に格納された出力変動特性に基づいて、光電センサ13、15における出力変動量を演算する演算器22と、演算器22によって演算される出力変動量に基づいて光電センサ13、15の出力を補正する補正器23とを備える。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスや液晶表示デバイス等に代表されるデバイスの製造に好適な露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス又は液晶表示デバイス等のデバイスをフォトリソグラフィ技術を用いて製造する際に、レチクル等の原版のパターンを感光材が塗布されたウエハ又はガラス板等の基板上に転写する露光装置が使用されている。
【0003】
露光装置には、ウエハ上の各ショット領域にレチクルパターンを転写する際に、ウエハが搭載されたウエハステージを静止させた状態で転写を行うステップ・アンド・リピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)や、レチクルパターンの一部を投影光学系を介してウエハ上に投影した状態で、レチクル及びウエハを投影光学系に対して相対走査することによりレチクルパターンをウエハ上の各ショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(いわゆるスキャナ或いは走査露光装置)等がある。
【0004】
露光装置の動作は、ウエハ上にレチクルパターンの転写を行う通常露光と、露光フィールド上の照度むら等の計測を行う計測露光とに分けることができる。
【0005】
図1は、露光装置の概略構成を示す図である。なお、図1に示す露光装置は、ステッパとしてもスキャナとしても構成されうる。図1において、パルス光源としてのエキシマレーザ1は、パルス状の照明光を発生する。エキシマレーザ1から出射された照明光は、ビーム整形光学系2によって所望の断面形状を有する平行光束に整形される。ビーム整形光学系2を通過した直線偏光の照明光は、1/4波長板3によって円偏光の照明光に変換される。その後、照明光は、反射鏡4で反射されてフライアイレンズ5に導かれる。フライアイレンズ5の射出面には、多数の光源像が形成され、これにより照明光の照度分布の平坦化が行なわれる。
【0006】
ビームスプリッタ6は、フライアイレンズ5を通った照明光の大部分を通過させてレンズ群7に提供する他、照明光の残りの一部を反射して積算露光量センサ15に提供する。レンズ群7は、レチクル(原版)9を均一な照度分布で照明する。この構成例では、レンズ群7の中に反射鏡8が配置されている。
【0007】
照明光で照明されたレチクル9のパターンは、投影光学系10を通してウエハ(基板)11に投影転写される。ウエハ11は、ウエハステージ(基板ステージ)12上に載置されており、ウエハステージ12によって移動或いは位置決めされて、これによりウエハ上の目標ショット領域にパターンを転写することができる。ウエハステージ12上には照度むらセンサ13が配置されている。照度むらセンサ13は、計測露光時にのみ用いられる。
【0008】
ビームスプリッタ6で反射された光は、集光レンズ14によって積算露光量センサ15上に集光される。積算露光量センサ15は、通常露光中のウエハの露光量を間接的にモニタする他、計測露光時にも用いられうる。主制御系16は、照度むらセンサ13及び積算露光量センサ15の出力信号に基づいてエキシマレーザ1を制御することによりウエハ露光を制御する。
【0009】
ところで、露光装置に使用されている光電センサ(照度むらセンサ13、積算露光量センサ15)は、受光面の温度変化に起因して感度変化が生じ、これが露光精度に影響を及ぼすことが知られている。
【0010】
例えば、露光量制御では、積算露光量センサ15の出力信号に基づいてエキシマレーザ1を制御することによりウエハの露光量を調節する。したがって、積算露光量センサ15の感度が温度変化によって変化した場合には、ウエハの実際の露光量を検出或いは推定することができず、露光量制御の精度が悪化する。
【0011】
また、露光フィールド上の照度むら計測においても、照度むらセンサ13において感度変化が生じた場合には、計測誤差が生じうる。例えば、スキャナにおいては、照度むらセンサ13の出力信号は、例えばスリット等を用いた照度むら補正のために利用されうる。したがって、照度むらセンサ13の感度変化は、結果として通常露光時における照度むらを引き起こしうる。
【0012】
図2は、露光領域(露光対象領域)、照明領域及び照度むらセンサ13の関係を示す図である。通常露光では、スリット照明領域17の真下を一定速度で露光領域18が通過するようにスキャン方向にウエハステージ12を駆動する。一方、計測露光では、スリット照明領域17の真下に照度むらセンサ13が位置するようにウエハステージ12を駆動して照度むら計測が行われる。
【0013】
例えば、スリット方向(スリットの長手方向)に沿った照度むらを計測する場合には、図2中のY1から測定を開始して、Y2までの領域を等間隔で計測する。この際、照度むらセンサ13に照射される光の光量(積算光量)は、開始位置(Y1)から終了位置(Y2)への照度むらセンサ13の移動に伴って増加するので、照度むらセンサ13の受光面での温度が上昇し、その結果、照度むらセンサ13の感度に変化が生じる。図3は、照度むらセンサ13がスリット方向に移動している際に生じうる照度むらセンサ13の感度変化の一例を示す図である。このように照度むらセンサ13において感度変化が生じると、照度或いは照度むらの測定精度が悪化する。
【0014】
さらに、近年では、露光装置の高スループット化に伴い、パルス光源の発振周波数が高周波数化する傾向にあり、光電センサの温度変化に起因する感度変化が露光精度に及ぼす影響が大きくなると考えられる。
【0015】
このような問題に関連する先行技術文献として、特開平9−22120号公報がある。同公報に記載された装置は、照明光の一部の光束の光量を計測する光電センサと、光電センサの受光面の温度を検出する温度検出手段とを備え、温度検出手段により検出された温度に基づいて光電センサの温度変化に伴う感度変化を補正する。また、同公報は、照明光の一部の光束の光量を計測する光電センサと、光電センサの受光面の温度を検出する温度検出手段と、光電センサの受光面の温度を制御する温度制御手段とを備え、温度検出手段の検出値に基づいて温度制御手段を制御し、光電センサの受光面の温度を安定させ、温度変化に伴う感度の変化を一定に保つ装置についても開示している。
【0016】
【特許文献1】
特開平9−22120号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平9−22120号公報に記載された装置では、光電センサの温度変化に起因する感度変化による影響を正確に補正することは難しいと考えられる。すなわち、光電センサの受光面の近傍に温度検出手段を備えたとしても、光電センサと温度検出手段とが別物であるがゆえに両者の間に若干の温度差が生じ、正確に光電センサの受光面の温度を検出することができず、光電センサの感度を正確に安定させることができない。この結果、ウエハ上の正確な積算露光量を検出或いは推定することが難しかった。
【0018】
また、同公報に記載された装置のように温度検出手段や温度制御手段を設置することは、ウエハステージの構成を複雑にし、温度的な安定性の低下を招くので、ウエハステージ等の性能低下や装置のコスト高も懸念される。
【0019】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、例えば、光電センサの温度変化に起因する出力変動を正確に補正することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の露光装置は、光源から提供される光を使って原版パターンを基板に転写するように構成され、該装置は、基板の露光を制御するために所定位置に配置された光電センサと、前記光電センサに照射される光の光量に対する前記光電センサの出力変動特性を格納するメモリと、前記光電センサに照射された光の光量、該光の単位時間当たりのエネルギ、及び、前記メモリに格納された出力変動特性に基づいて、前記光電センサにおける出力変動量を演算する演算器と、前記演算器によって演算される出力変動量に基づいて前記光電センサの出力を補正する補正器とを備える。
【0021】
ここで、本発明の露光装置は、ステッパとしても構成されうるし、スキャナとしても構成されうるし、或いは、他の方式の露光装置にとしても構成されうる。
【0022】
光電センサには、例えばフォトダイオードが含まれうるが、その他、光を電気信号に変換するあらゆるセンサが含まれうる。メモリには、情報を提供可能に保存するあらゆる構成(例えば、RAM、ROM、ハードディスク、ロジック回路)が含まれうる。演算器及び/又は補正器には、ソフトウエアに従って動作するCPU、ハード的に演算機能が定義されたロジック回路等、演算を実行するためのあらゆる構成が含まれうる。更に、演算器及び補正器は、単一のプロセッサで構成されてもよい。光源には、例えばエキシマレーザ等が含まれうるが、その他、露光用の光を発生するあらゆる装置或いは構成が含まれうる。
【0023】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記演算器は、前記光源を制御するための情報に基づいて、前記光電センサに照射された光の光量及び該光の単位時間当たりのエネルギを示す情報を得るように構成されうる。
【0024】
前記光源は、例えば、パルス光を発生するパルス光源とすることができる。ここで、前記情報を前記光源が発生するパルス光のパルス数及び1パルス当たりのエネルギを示す情報とすることができ、この場合、前記演算器は、前記パルス数及び前記1パルス当たりのエネルギに基づいて、前記光電センサに照射された光の光量を演算するように構成されうる。或いは、前記情報を前記光源の発振周波数、発振デューティー、及び、1パルス当たりのエネルギを示す情報とすることもでき、この場合、前記演算器は、前記発振周波数、前記発振デューティー、及び、前記1パルス当たりのエネルギに基づいて、前記単位時間当たりのエネルギを演算するように構成されうる。
【0025】
前記光電センサは、基板の露光中に該基板の積算露光量をモニタするための積算露光量センサを含みうる。これに加えて、又は、これに代えて、前記光電センサは、前記基板を移動させるステージ上に配置されたセンサ、例えば、露光領域内の照度むらを計測する照度むらセンサを含んでもよい。
【0026】
本発明の他の側面は、露光方法に係り、該方法は、光源から提供される光を使って原版パターンを基板に転写する露光方法であって、基板の露光を制御するために所定位置に配置された光電センサに照射された光の光量、該光の単位時間当たりのエネルギ、及び、メモリに格納された前記光電センサの出力変動特性に基づいて、前記光電センサにおける出力変動量を演算する演算工程と、前記演算工程で演算された出力変動量に基づいて前記光電センサの出力を補正する補正工程と、前記補正工程で補正された後の前記光電センサの出力に基づいて基板の露光を制御する露光工程とを含みうる。ここで、前記メモリに格納された前記出力変動特性は、前記光電センサに照射される光の光量に対する前記光電センサの出力変動量についての特性を含みうる。
【0027】
本発明は、更にデバイス製造方法としても認識することができ、該方法は、上記の露光装置又は露光方法によって基板に原版パターンを転写する工程と、該基板を現像する工程とを含みうる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の具体的な適用例を例示的に説明する。なお、以下では、図1及びそれに関連する上記の説明を援用し、本発明を図1に示す露光装置に適用した例を説明する。
【0029】
まず、図4を参照して、パルス光源の一例としてのエキシマレーザ1について説明する。エキシマレーザ1の運転時間は、パルス光を照射する照射時間と、非照射時間(休止時間)との繰り返しからなる。ここで、エキシマレーザ1の運転時間に対して照射時間が占める割合(すなわち、(照射時間)/(照射時間+休止時間))を”デューティー”(duty)とする。dutyが100[%]の状態は、エキシマレーザ1をその最高発振周波数で運転した状態(図4(a))である。dutyを変える方法には、例えば2通りの方法がある。
【0030】
第1の方法は、エキシマレーザの最高発振周波数を維持しつつ相応の休止時間を設ける方法、すなわち”発振duty”を変更する方法である。図4(b)に示すように、休止時間を設けて、エキシマレーザの発振を停止させることで、dutyを下げることができる。図4(b)に示す例は、休止時間と照射時間との割合から、dutyは66[%]と表すことができる。
【0031】
第2の方法は、最高発振周波数以下の任意の周波数範囲内でエキシマレーザの発振周波数を変更する方法である。図4(c)に示すように、発振周波数を下げれば、単位時間当たりの光量は減るので、発振dutyを低くした場合と同じ効果をもつ。図4(c)に示す例は、発振周波数が図4(a)に示す例の4分の1であるので、単位時間当たりの光量も4分の1に減り、dutyは25[%]と表すことができる。
【0032】
つまり、エキシマレーザ1のdutyは、発振周波数と発振dutyに依存し、(1)式より求めることができる。
【0033】
duty = 1×D×(f/fMAX) ・・・(1)
ここで、Dはエキシマレーザ1の発振duty、fはエキシマレーザ1の発振周波数(エキシマレーザを発振させる周波数)、fMAXはエキシマレーザ1の最高発振周波数である。
【0034】
また、エキシマレーザ1から出力される光の単位時間当たりのエネルギEAVEは、(2)式に示すように、dutyと1パルス当たりのエネルギEPとの積で表すことができる。
【0035】
EAVE = duty × EP ・・・(2)
次に、本発明を適用して補正すべき光電センサ(照度むらセンサ13、積算露光量センサ15)の出力特性について説明する。ここで、光電センサは、例えば、単体又はアレイ配列されたフォトダイオードを含みうる。図5は、光電センサ(照度むらセンサ13、積算露光量センサ15)の出力変動の時間特性の一例を示す図である。図5において、横軸は時間、縦軸は光電センサ13、15に一定のエネルギEAVEの光が照射された場合の出力変動量Qである。図5によると、時間経過に伴って照射される光量(積算値)が増えるため、これに伴って光電センサ13、15の温度が変化し、この温度変化によって出力変動量も増加する。なお、光電センサ13、15の温度変化は、照射された光のエネルギによって光電センサ13、15の受光面が熱せられることによって起こる。
【0036】
さらに時間が経過すると、温度変化に伴う感度変化が飽和するため、出力変動量も飽和する。これは、照射された光のエネルギによる光電センサ13、15の受光面の発熱量と、周囲への放熱量とが等しくなり、温度が安定するためである。ここで、単位時間当たりの光のエネルギが高いほど、出力変動量が早く飽和し、その時の出力変動量も大きい。
【0037】
図6は、光電センサに照射される光の光量に対する該光電センサの出力変動特性の一例を示す図である。図6において、横軸は光電センサに照射される光量P、縦軸は光電センサに一定のエネルギEAVEの光を照射した場合における光量Pに対する光電センサの出力変動量Qである。ここで、エネルギEAVEと時間tとに基づいて、光量Pは、(3)式によって求められる。なお、(3)式によって求められる光量Pは、エキシマレーザ1が発生するパルス光のパルス数と1パルス当たりのエネルギEPとの積と等価であるので、これらに基づいて光量Pを求めることもできる。
【0038】
P = EAVE × t ・・・(3)
図6に示すように、EAVEと出力変動量Qは比例関係にあるので、EMAX時における光量Pに対する出力変動特性をq(P)とすると、出力変動量Qは(4)式によって表すことができる。
【0039】
Q = (EAVE/EMAX) × q(P) ・・・(4)
ところで、照度むら計測では、スリット方向に対して一定間隔で照度むらセンサ13をステップ移動させて、ステップ移動の度に光量Pを計測することができる。さらに、各ステップで光量Pを計測する際には、照度むらセンサ13をスキャン方向に走査しながら、所定パルス数(例えば、数十パルス〜数百パルス)のパルス光を照射して、照度むらセンサ13による検出値の平均値を各ステップの光量とすることができる。
【0040】
つまり、照度むら光電センサ13には、図7に示すようなパルス光が照射されうる。図7中のB領域は、次のステップ位置に照度むらセンサ13を移動させている時間であり、A領域は、各ステップの光量を計測している時間である。照度むら計測においては、A領域において、例えば数十パルス〜数百パルスのパルス光が照射されうる。
【0041】
また、通常露光時において、積算露光量センサ15にも、図7に示すようなパルス光が照射されうる。ただし、この場合において、B領域は、次の露光領域の露光のためにステージ12を移動させている時間であり、A領域は、ステージ12を走査しながら露光領域にパルス光を照射している時間である。なお、照度むら計測とは異なり、通常露光時では露光量制御が行われるため、パルス光間には、若干のエネルギのばらつきがある。
【0042】
次に、本発明の好適な実施形態における光電センサ13、15の温度変化に起因する出力変動の補正方法について説明する。ここでは、図8に示すような時間特性にしたがって光電センサ13、15に光が照射される例を仮定し、図8中のS点における光電センサ13、15の出力値を補正する手順を説明する。
【0043】
まず、ステップ1では、図1に示す露光装置の内部又は外部に設けられたメモリ(例えば、制御系16内のメモリ21)に、予め図6に示す関数q(P)で特定される特性を格納する。以下では、関数q(P)がメモリ21に格納されるものとして説明する。ここで、関数q(P)は、例えば、光電センサ13、15を露光装置に組み込む前又は後に実測に基づいて決定されうる。
【0044】
以下のステップは、露光装置の運転時に実行される。
【0045】
まず、ステップ2では、図8中のS点における光電センサの出力変動量を推定するために、光電センサ13、15に対するパルス光の照射の開始からS点までの期間(図8中のref1領域)における光量(光電センサ13、15に照射された積算光量)と、単位時間当たりのエネルギをそれぞれ(3)式、(2)式に従って制御系16の演算器22によって演算する。なお、(2)式のdutyは、制御系16がエキシマレーザ1に提供するパラメータによって定まる値であるので、制御系16内において既知である。すなわち、dutyは、図4を参照して説明した方法に従って演算器22によって算出することができる。また、(2)式のEp(1パルス当たりのエネルギ)は、予め制御系16にパラメータとして与えられる値である。また、(3)式のt(時間)は、ref1に相当する。
【0046】
ステップ3では、ステップ2で求めた光量Pと単位時間当たりのエネルギEAVEを引数として、メモリ21に格納された関数q(P)で特定される特性にしたがって、S点における光電センサ13、15の出力変動量Qを演算器22によって演算する。具体的には、ステップ2で求めた光量Pに対応するEMAX時の出力変動量Qを関数q(p)に基づいて求め、このQの値を(4)式のq(p)に代入するとともに、エネルギEAVEを(4)式に代入することにより、ステップ2で求めた光量P及び単位時間当たりのエネルギEAVEにおける出力変動量Qを演算することができる。
【0047】
ステップ4では、制御系16内等に設けられた補正器23により、ステップ4で求めた図8中のS点における出力変動量Qに基づいて実際に得られた光電センサ13、15の出力信号値を補正する。具体的には、補正器23は、光電センサ13、15の出力信号値からS点における出力変動量Qを減算することにより、S点における正確な計測値を得ることができる。
【0048】
なお、以上の説明は、1枚のウエハの露光時において固定されたS点(1つのタイミング)でのみ補正器23による補正演算を行うことを意図するものではなく、実際には、補正器23による補正演算は、連続的又は断続的に実行されうる。すなわち、補正器23による補正演算は、光電センサ13、15の出力値を必要とする都度、実行されうる。
【0049】
以上のような補正演算を照度むらセンサ13や積算露光量センサ15の出力に対して実行することにより、これらの光電センサの温度変化に起因する出力変動量を補正して照度むらや積算露光量を正確に検出或いは推定することができ、これに基づいて積算露光量や照度むらを調整することができるので、露光量精度を向上させることができる。
【0050】
しかも、この実施の形態によれば、補正演算のための温度センサを必要としないので、温度測定誤差による補正誤差の問題や、温度センサを設けることによるステージ等の構成の複雑化(更には、それに起因するステージの温度的な安定性の低下)又はコスト上昇の問題等が解決される。
【0051】
本発明は、パルス光源を採用した場合の他、連続光源を使用した場合にも適用することができる。また、本発明は、スキャナの他、ステッパやその他の方式の露光装置にも適用することができる。
【0052】
本発明の露光装置によれば、例えば、目標露光量からの積算露光量や、照度むらを低減することができるので、これをリソグラフィー工程に適用することによりパターンを精度よく高い歩留まりで形成することができる。リソグラフィー工程は、例えば、ウエハ又はガラス板のような基板に感光剤を塗布する工程と、感光剤が塗布された基板に露光装置を使って原版パターンを転写する工程と、パターンが転写された基板を現像する工程とを含みうる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、光電センサの温度変化に起因する出力変動を正確に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】露光領域、照明領域及び照度むらセンサの関係を示す図である。
【図3】照度むらセンサ13がスリット方向に移動している際に生じうる照度むらセンサ13の感度変化の一例を示す図である。
【図4】エキシマレーザにおける発振条件(発振周波数、発振duty)を変更することによるdutyの変更を説明するための図である。
【図5】光電センサにおける出力変動量の時間特性の一例を示す図である。
【図6】光電センサに照射される光の光量に対する該光電センサの出力変動特性の一例を示す図である。
【図7】光電センサに照射されるパルス光の時間特性の一例を示す図である。
【図8】光電センサに照射されるパルス光の時間特性の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:エキシマレーザ、2:ビーム整形光学系、3:1/4波長板、4:反射鏡、5:フライアイレンズ、6:ビームスプリッタ、7:レンズ群、8:反射鏡、9:レチクル、10:投影光学系、11:ウエハ、12:ウエハステージ、13:照度むらセンサ、14:集光レンズ、15:積算露光量センサ、16:主制御系、17:スリットの照射領域、18:露光領域(露光対象領域)
Claims (1)
- 光源から提供される光を使って原版パターンを基板に転写する露光装置であって、
基板の露光を制御するために所定位置に配置された光電センサと、
前記光電センサに照射される光の光量に対する前記光電センサの出力変動特性を格納するメモリと、
前記光電センサに照射された光の光量、該光の単位時間当たりのエネルギ、及び、前記メモリに格納された出力変動特性に基づいて、前記光電センサにおける出力変動量を演算する演算器と、
前記演算器によって演算される出力変動量に基づいて前記光電センサの出力を補正する補正器と、
を備えることを特徴とする露光装置。
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